『エリ』の撮影監督ロレンソ・ハーゲルマン最優秀撮影賞受賞 ― 2013年11月23日 11:19
ストックホルム国際映画祭ハーゲルマン撮影賞を受賞
★ストックホルム国際映画祭で『エリ』の撮影監督ロレンソ・ハーゲルマンがベスト撮影賞を受賞しました。『エリ』についてはLBFFその他で既にご紹介済みです。スペイン語映画として公式コンペティションに、サンセバスチャン映画祭SIFF 2013「金貝賞」受賞のマリアナ・ロンドンの“Pelo malo”(“Bad Hair”ベネズエラ=ペルー=ドイツ)、同銀貝賞監督賞を受賞したフェルナンド・エインビッケの“Club Sandwich”(メキシコ)がエントリーされていました。
★SIFFについては、個別作品を折々ご紹介しただけで総括をしないままですが、まもなく始まるゴヤ賞候補作品と重なると思うので、そちらで纏めるつもりです。大物受賞者は国際批評家連盟賞のベルトラン・タヴェルニエだけ、「大スター不在の映画が大賞を射止めた」と評されたSIFF 2013年でした。こうやって国際映画祭の受賞作品をご紹介していると「1年の364日はどこかで映画祭が開催中」が冗談じゃなく思えてきます(笑)。

★ロレンソ・ハーゲルマン(カンヌでの発音による)Lorenzo
Hagermanは、ドキュメンタリー映画で出発、“Which Way Home”(2009、アメリカ)が2010年のアカデミー賞にノミネートされるという実績の持主です。エルサルバドルの10代前半の子供たちが豊かな「北」を目指して列車の屋根で旅をするドキュメンタリー。そうキャリー・フクナガの『闇の列車、光の旅』のドキュメンタリー版です。『エリ』ではエスカランテ監督とカンヌ入りしており単独インタビューも受けておりました。映画をご覧になった方はメキシコのウンザリするほど乾いた風景や特に遠景の捉え方にドキュメンタリー手法を感じた方が多かったのではないでしょうか。(東京国際映画祭カタログにフィルム編集者のナタリア・ロペスが紹介されておりますが、撮影監督はハーゲルマンです。

★ついでにSIFFに触れますと、マリアナ・ロンドン Mariana
Rondon の第3作“Pelo
malo”金貝賞受賞には驚きました。ベネズエラ作品がオフィシャル・コンペに選ばれるのも珍しいこと。他に彼女は「セバスチャン2013スペシャル・メンション」も手にしました。不寛容なベネズエラ社会をえぐり出した本作はサンセバスチャンの惜しみない熱烈な歓迎を受けた。「不寛容を癒すために作られた、こんなちっちゃい映画にこんな大賞をありがとう。違いを尊重してくれたサンセバスチャン、本当にありがとう」と受賞の言葉もよかった。審査委員長トッド・ヘインズによると「審査員全員一致の受賞」ということです。彼の『エデンより彼方に』のテーマも不寛容、主役のジュリアン・ムーアにヴェネチア以下数々の女優賞をもたらした映画でした。

★フェルナンド・エインビッケ Fernando Eimbckeの“Club Sandwich”は、母親と思春期にさしかかった息子のあいだに芽生えるオイディプス的な密接な関係についての物語。エインビッケは既に『ダック・シーズン』(2004)や『レイク・タホ』(2008)で国際的な評価を受けている監督。アリエル賞、アルフレッド・バウアー賞受賞など国際舞台の体験者です。後者は劇場未公開ですが第21回TIFF 2008で上映されました。いずれ“Pelo malo”ともどもご紹介する機会があるでしょう。
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