第73回サンセバスチャン映画祭セクション・オフィシアル*SSIFF2025 ② ― 2025年07月24日 14:02
サンセバスティアンでデビューしたシネアストたちが戻ってきました

(SSIFF2025上映のスペイン映画一覧)
★第73回サンセバスチャン映画祭2025のノミネート作品が発表されました。まだスペイン映画に限定した部分的発表であり、全体像が見えてくるのはもう少し後です。金貝賞を競うセクション・オフィシアルには、ホセ・マリ・ゴエナガ&アイトル・アレギの「Maspalomas」、25年ぶりに戻ってきたホセ・ルイス・ゲリンの「Historias del buen valle / Good Valley Stories」、今回も脚本家ラファエル・コボスとタッグを組んでいるアルベルト・ロドリゲスの「Los Tigres」の3作品がノミネートされました。昨年は4作でしたが例年3~4作が選ばれています。情報に多寡がありますが、基本的なデータをアップしておきます。
*第73回SSIFFセクション・オフィシアル*
1)「Maspalomas」ホセ・マリ・ゴエナガ&アイトル・アレギ
データ:製作国スペイン、2025年、スペイン語、ドラマ、115分、撮影地カナリア諸島ラスパルマス、公開スペイン2025年9月26日
製作:Euskal Irrati Telebista(EiTB)/ ICAA / Irusoin / Maspalomas Pelikula /
Moriarti Produkzioak / RTVE
監督:ホセ・マリ・ゴエナガ(スペイン、オルディシア1976)、アイトル・アレギ(スペイン、オニャティ1977)の共同監督、脚本:ホセ・マリ・ゴエナガ、撮影:ハビエル・アギレ、編集:マイアレン・サラスア・オリデン、キャスティング:マリア・ロドリゴ、衣装デザイン:サイオア・ララ、製作者:アンデル・バリナガ・レメンテリア、シャビエル・ベルソサ、アンデル・サガルドイ
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キャスト:ホセ・ラモン・ソロイス(ビセンテ)、ナゴレ・アランブル、カンディド・ウランガ、ソリオン・エギレオル、クリスティナ・イェラモス、ケパ・エラスティ
ストーリー:パートナーと別れた76歳のビセンテは、お気に入りのカナリア諸島のマスパロマスで人生を謳歌している。毎日太陽を浴び、思う存分娯楽三昧に浸っている。ところが予期しないアクシデントが彼をサンセバスティアンに引き戻すことになる。数年前からほったらかしにしていた娘と再会する。すでに解決されたと思っていた彼自身の隠された部分に再び直面しなければならない邸宅で暮らさなければならないだろう。この新たな状況のなかでビセンテは、他の人たちと仲直りする時間が未だあるかどうか自問することになるだろう。



2)「Historias del buen valle / Good Valley Stories」ホセ・ルイス・ゲリン
データ:製作国スペイン=フランス、2025年、ドキュメンタリー、スペイン語、122分、撮影地バルセロナ郊外バルボナ地区、配給元スペインWanda Visión、公開決定
製作:Los Ilusos Films(ホナス・トゥルエバ&ハビエル・ラフエンテ)/ Perspective Films(ガエル・ジョネス&ホセ・ルイス・ゲリン)
監督・脚本:ホセ・ルイス・ゲリン(バルセロナ1960)、ベルリン映画祭1984パノラマ部門にデビュー作「Los motivos de Berta」(『ベルタのモチーフ』)プレミア、第2作「Innisfree」(『イニスフリー』)がカンヌ映画祭1990「ある視点」プレミアされ、サンセバスチャン映画祭SSIFFサバルテギ部門上映、第3作「Tren de sombras」(『影の列車』)がカンヌ映画祭1997併催の「監督週間」プレミア、第4作ドキュメンタリー「En construcción」(『工事中』)がSSIFF 2001で審査員特別賞とFIPRESCI賞を受賞した。第5作「En la ciudad de Sylvia」がベネチア映画祭2007で上映、『シルビアのいる街で』で初めて公開された。2010年の「Guest」(『ゲスト』)はベネチアFFのオリゾンティ部門でプレミアされ、SSIFF サバルテギ・スペシャル部門で上映された。セビーリャ-ヨーロッパ映画祭2015で作品賞を受賞した「La academia de las musas」は、東京国際映画祭で『ミューズ・アカデミー』の邦題で上映された。当ブログで作品紹介をしています。
*『ミューズ・アカデミー』の紹介記事は、コチラ⇒2015年10月06日/同年11月24日
解説:バルセロナ郊外のバルボナ地区は、川、鉄道、高速道路によって周囲から孤立している。農村から都市への移行を生き、中心部では根絶された生活様式を保存している。スペイン内戦後にやってきた最初の移民の家と、ベッドタウンとして新たに移住してきたブロックが共存しており、この質素な一角を本物の地球村に変えました。本作は偏見、社会的な対立、世代とアイデンティティ、都市計画と環境保護の総和を語っていますが、今日の世界を冷静に人間味のある視点で描いている。移民人口の割合がかなり高いバルセロナのバルボナ地区で3年間にわたって撮影された。
★監督によると「この映画に登場する人々が経験する夢と葛藤は、世界中のいたる所に存在している。周縁部での生活は欠乏をはらんでいますが、それは中心部では消えてしまった独特なもの、抵抗の形態、生活様式を保存しています。それは映画製作者が構想する最も刺激的で野心的な挑戦です。質素であまり知られていない地域を描くことが全世界を映しだすことができる、つまり一枚の葉っぱを観察することで木全体の性質が明らかになるというのに似ています」と。



(ホセ・ルイス・ゲリン)
3)「Los Tigres」 アルベルト・ロドリゲス
データ:製作国スペイン=フランス、2025年、スペイン語、スリラー、109分、撮影地カディス湾に面したウエルバ港、アリカンテのスタジオ Ciudad de la Luz、2024年5月6日クランクイン、公開スペイン2025年10月31日、配給ブエナ・ビスタ・インターナショナル
製作:Movistar Plus+ / Kowalski Films / Feelgood Media / Mazagón AIE / Le Pacto(仏)
監督:アルベルト・ロドリゲス(セビーリャ1971)、監督、脚本家。本祭関係映画は、ニューディレクターズ部門ノミネートの「El traje」(02)、セクション・オフィシアルの「7 virgenes」(05『7人のバージン』)では主演のフアン・ホセ・バジェスタが銀貝男優賞を受賞した。「La isra mínima」(14『マーシュランド』公開)では、ハビエル・グティエレスが銀貝男優賞、アレックス・カタランが撮影賞、監督もフェロス・シネマルディア賞を受賞、翌年のゴヤ賞では作品賞を筆頭になんと10冠を制したヒット作になった。「El hombre de las mil caras」(16『スモーク・アンド・ミラーズ』)では、主演のエドゥアルド・フェルナンデスに銀貝賞のトロフィーをもたらし、ゴヤ賞では脚色賞を受賞した。「Modelo 77」(22)はコンペ外だったがセクション・オフィシアルのオープニング作品に選ばれている。
★またTVシリーズ「La peste」(17)と「Apagón」(22)も上映されており、今年もミニシリーズ「Anatomía de un instante」の上映が決定している。新作の脚本は今回も盟友ラファエル・コボスと共同執筆している。音楽:フリオ・デ・ラ・ロサ、撮影:パウ・エステベ・ビルバ、編集:ホセ・M. G. モヤノ
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*『マーシュランド』の紹介記事は、コチラ⇒2015年01月24日
*『スモーク・アンド・ミラーズ』の紹介記事は、コチラ⇒2016年09月24日
キャスト:アントニオ・デ・ラ・トーレ(アントニオ)、バルバラ・レニー(エストレーリャ)、ホアキン・ヌニェス、シルビア・アコスタ、セサル・ビセンテ、ホセ・ミゲル・マンサノバサロ”スコーン”、リカルド・ロッカ、ウルスラ・ディアス・マンサノ、カルロス・ベルナルディーノ、ホセ・ルイス・ラセロ、他
ストーリー:アントニオとエストレーリャは兄妹の物語。父親もダイバーでした。彼らは人生を通じて海と結びついています。アントニオはEl Tigre(タイガー)、無敵を誇る産業ダイバーとして仲間から一目置かれています。エストレーリャは海底生物を研究して海以外の陸にもつながっていますが、兄の働いているはしけ船で兄を手伝います。アントニオは本当に不器用な男で、将来のことはそっちのけ、生活はらくではありません。アントニオにアクシデントがおき、ダイバーとしての人生の終わりを告げられ、どん底に陥っている。しかしウエルバ港で沈没した石油タンカーの船体に隠されているコカインの密輸品を見つけることができれば、状況は好転するかもしれません。アントニオはそれに賭けることにしますが、エストレーリャは別の可能性を考えます。いつものことです。
★アントニオ・デ・ラ・トーレは、ロドリゲスの『マーシュランド』や『UNIT 7ユニット7麻薬取締第七班』(12「Grupo 7」)に出演している。バルバラ・レニーは初めてでしょうか。



(セクション・オフィシアルにノミネートされた監督)
★セクション・オフィシアル追加作品の発表がありました。アラウダ・ルイス・デ・アスアの「Los domingos」これで昨年と同じ4作品になりました。次回アップします。
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