マラガ映画祭2022特別賞 ④ ― 2022年05月17日 14:02
最高賞マラガ・スール賞はマリアノ・バロッソ
★マラガ映画祭の特別賞には6賞があり、時代により名称こそ変わりましたが内容は同じです。この他にクラシック映画から選ばれる〈金の映画〉というのがあり、今年は1970年製作のペドロ・オレアの「El bosque del lobo」が選ばれています。半世紀前の映画ですがオレア監督は元気です。リカルド・フランコ賞のソル・カルニセロとビスナガ・シウダ・デル・パライソ賞のミゲル・レリャンは、当ブログ初登場です。受賞者は以下の通りです。
◎マラガ―スール賞(日刊紙「スール」とのコラボレーション、昨年はアレハンドロ・アメナバル)
マリアノ・バロッソ
★昨年のレトロスペクティブ賞受賞者、スペイン映画アカデミー前会長イボンヌ・ブレイクの急死を受けて、2018年から現職、アカデミー改革やゴヤ賞授賞式に新風を吹き込んでいる。地中海を見下ろすマラガの遊歩道に記念碑を立ててもらえました。
*主なキャリア紹介は、コチラ⇒2018年06月23日
(手形入りの記念碑の前で、3月20日)
(プレゼンターは、マラガの名誉市民アントニオ・バンデラス、3月20日)
◎レトロスペクティブ賞―マラガ・オイ(マラガ・オイ紙とのコラボ、昨年はマリアノ・バロッソ)
メルセデス・モラン
★メルセデス・モランは、1955年アルゼンチンのサン・ルイス生れ、ラテンアメリカを代表する女優。セシリア・ロスに続いての受賞です。同郷のルクレシア・マルテルの「サルタ三部作」(『沼地という名の町』『ラ・サンタ・ニーニャ』)に出演のほか、ラテンビート2018でアナ・カッツの『夢のフロリアノポリス』や、同2019のアンドレス・ウッドの『蜘蛛』に主演、リカルド・ダリンとコンビを組んだコメディを得意とするが、演技の守備範囲は広い。
*主なキャリア紹介は、コチラ⇒2018年08月14日/同年09月21日
(授賞式は3月26日)
◎マラガ才能賞―マラガ・オピニオン(マラガ・オピニオン紙とのコラボ、昨年はオリベル・ラシェ)
ハビエル・カルボ & ハビエル・アンブロッシ
★通称ロス・ハビス、ラテンビート2017の『ホーリー・キャンプ!』の共同監督。
*主なキャリア紹介は、コチラ⇒2017年10月07日
(喜びを爆発させるロス・ハビス、3月25日)
◎リカルド・フランコ賞(映画アカデミーとのコラボ、フリア・フアニス)
ソル・カルニセロ
★映画産業を裏から支えるシネアストに贈られる賞、昨年はフィルム編集者のフリア・フアニスでしたが、今年はスペイン映画の草分け的な女性製作者マリソル・カルニセロ(ブルゴス)が受賞者でした。1968年にオーディオビジュアル界入り、スタートはスペイン国営テレビTVE、1974年からプログラム編成に従事、セシリア・バルトロメの「Vámonos, Bárbara」で映画デビューした。ガルシア・ベルランガの「国民銃三部作」やピラール・ミロの『クエンカ事件』,ハイメ・チャバリがスペイン内戦中のある家族を描いた「Las bicicletas son para el verano」などを手掛けている。スペイン映画アカデミー創設に尽力、ゴヤ賞1988プロダクション賞を「Cara de acelga」で受賞しているほか、1989年ホセ・ルイス・ガルシア・サンチェスのコメディ「Pasodoble」、1990年ホセフィナ・モリーナの18世紀を舞台にした歴史ドラマ「Esquilache」でノミネートされている。
(フォトコール、3月22日)
◎ビスナガ・シウダ・デル・パライソ賞(昨年はペトラ・マルティネス)
ミゲル・レリャン
★ミゲル・レリャンは1943年テトゥアン市生れ、舞台、映画、TV俳優。テトゥアンはモロッコのスペイン保護領、医師だった父親の赴任地でした。セビリア大学で医学を勉強中に参加していた演劇グループに魅了され、卒業間際に演劇を選択、1965年からスペイン演劇大学で4年間演技を学ぶ。舞台俳優としてスタート、1977年に映画デビューする。ホセ・ルイス・クエルダ、ホセ・ルイス・ガルシ、ハイメ・チャバリ、フェルナンド・コロモ、フェルナンド・フェルナン・ゴメスなどの監督作品の出演が多く、脚本を吟味して出演していることが分かる。「バカンスをとらない」と言われるほど出演作は多い。ゴヤ賞はホセ・ルイス・ボラウの「Tata mía」で助演男優賞を1987年に受賞、公開作品ではカルロス・サウラの『歌姫カルメーラ』や映画祭上映のピラール・ミロの『愛は奪った』などがある。最新作はクエルダ監督の遺作となった2018年の「Tiempo después」がある。最近はTVシリーズ出演にシフトしている。
(フォトコール、3月18日)
◎ビスナガ栄誉賞
カルロス・サウラ
★1932年アラゴン州の県都ウエスカ生れ、90歳と3ヵ月になった。忘れていたわけではないでしょうが、未だ栄誉賞を受賞していなかったのですね。昨年は『だれもが愛しいチャンピオン』のハビエル・フェセル監督でした。どこに行くにも愛用のカメラを手放さないサウラ監督、舞台から参加者をパチリ。「朝目が覚めると、なんてこった、まだ生きてるぞ」とスピーチした。孫世代の監督カルラ・シモンからトロフィーを受け取った。
*主なキャリア紹介は、コチラ⇒2017年11月11日
(プレゼンターはカルラ・シモン監督、ガラは3月20日)
最近のコメント