パコ・デルガドにリカルド・フランコ賞*マラガ映画祭2018 ④ ― 2018年03月28日 17:55
オスカー賞に2回ノミネートされた国際派の衣装デザイナー
◎リカルド・フランコ賞―マラガ映画アカデミー
★今回からマラガ映画アカデミーとのコラボになり、上記のように長い賞名になりました。主に技術面で活躍しているシネアストに贈られる賞です。昨年はメイクアップ・アーティストのシルヴィ・インベールに贈られました。リカルド・フランコは、1949年マドリード生れ、監督、脚本家、俳優、製作者。1998年長らく患っていた心臓病のため48歳という若さで鬼籍入りしてしまいました。日本での紹介作品は、ノーベル文学賞を受賞したカミロ・ホセ・セラの『パスクアル・ドゥアルテの家族』を映画化した『パスクアル・ドゥアルテ』(カンヌ映画祭1976正式出品、スペイン映画祭1984上映)と、『エストレーリャ~星のまわりで』(ゴヤ賞1998作品・監督・脚本賞、スペイン映画祭1998上映)の2作だけかと思います。
*リカルド・フランコについての記事は、コチラ⇒2014年4月7日
アルモドバルやデ・ラ・イグレシア監督とコラボレーション
◎受賞者のキャリア&フィルモグラフィー
★パコ・デルガド Francisco ‘Paco’ Delgado Lopezは、1965年カナリア諸島ランサロテ生れ、衣装デザイナー。1982年物理学を学ぶためマドリードに上京するも3学年で退学、舞台装置と衣装を学ぶためバルセロナに移動する。その後奨学金を貰ってロンドンに移り、12年間舞台装置家として仕事をする。帰国後ヘラルド・ベラの「La Celestina」(1996)に、衣装デザイナーのソニア・グランデの助手として映画界に入る。

(『リリーのすべて』で2度目のオスカー賞をノミネートされたパコ・デルガド、2016年)
★2000年、アレックス・デ・ラ・イグレシアの「La comunidad」(『13みんなのしあわせ』)を手掛け、第1作目でゴヤ賞2001衣装デザイン賞にノミネートされる。以後デ・ラ・イグレシア映画の『マカロニ・ウエスタン800発の銃弾』(02)、『オックスフォード連続殺人』(08)、『気狂いピエロの決闘』(10、ゴヤ賞2回目のノミネート)、『スガラムルディの魔女』(13、ゴヤ賞2回目の受賞、フェニックス映画賞ノミネート)などを担当する。

(デ・ラ・イグレシアとデルガド、『気狂いピエロの決闘』から)
★2004年、ペドロ・アルモドバルの『バッド・エデュケーション』、『私が、生きる肌』(11、ゴヤ賞ノミネート)に起用される。パブロ・ベルヘルの『ブランカニエベス』(12)で初めてゴヤ賞を受賞、ヨーロッパ映画賞、ガウディ賞も受賞、国際映画祭でも高い評価を受けた。ベルヘルの最新作「Abracadabra」(17)も手掛けている。
*ヨーロッパ映画賞2013の記事については、コチラ⇒2013年11月2日

(ゴヤ賞初受賞の『ブランカニエベス』の衣装とデルガド)
★国際舞台に躍り出たのは、やはりトム・フーパーの『レ・ミゼラブル』(13)でオスカー賞や英国映画テレビ芸術アカデミーBAFTAにノミネートされたこと、米国サタン賞を受賞したことでしょうか。同監督の『リリーのすべて』(15「The Danish Girl」)もオスカー賞、BAFTAにノミネートされたほか、衣装デザイナー・ガウディ賞を受賞した。世界初の性別適合手術を受けたリリー・エルベの実話がもとになっている。

(『リリーのすべて』の衣装をバックに)
★最新作はディズニー実写映画「A Wrinkle in Time」(18)、マデレイン・レングルのSFファンタジー小説をエイヴァ・デュヴァーネイが映画化した。邦題は『五次元世界のぼうけん』、クリス・パン、リース・ウィザースプーン、オプラ・ウィンフリー、ミンディ・カリングなどが出演している。

(オプラ・ウィンフリーとデルガド)
◎「金の映画」ペドロ・オレアの「Un hombre llamado Flor de Otoño」
★本作の公開40周年を記念して選ばれています。主役のホセ・サクリスタンが女装に挑戦、サンセバスチャン映画祭1978の男優銀貝賞を受賞した作品です。ホセ・サクリスタンはカルロス・ベルムトの『マジカル・ガール』出演より日本での若いファン層を開拓しましたが、マラガ映画祭2014の「レトロスペクティブ賞」の受賞者でもあります。

(ホセ・サクリスタン、「Un hombre llamado Flor de Otoño」から)
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