アルモドバルの初短編がベネチア映画祭で上映*ベネチア映画祭2020 ― 2020年08月16日 15:42
アルモドバル初となる英語映画「The Human Voice」上映が決定

★去る7月28日(現地)、第77回ベネチア映画祭2020(9月2日~12日)のコンペティション上映作品の発表がありましたが、スペイン語映画は、メキシコのミシェル・フランコ「Nuevo orden」(20、「New Order」フランスとの合作)の1作だけでした。カンヌ映画祭受賞者常連のフランコ監督、ベネチアは今回が初登場となります。そのほかでは、アンドレイ・コンチャロフスキー(ロシア)、アモス・ギタイ(イスラエル)、クロエ・ジャオ(米)、ジャンフランコ・ロッシ(伊)などの名前がありました。
★当ブログで製作発表当時から紹介してきた、ペドロ・アルモドバルの初短編「The Human Voice」(「La Voz Humana」30分)がコンペティション外で上映されることになりました。アルモドバル初短編、初英語映画として話題になっていましたが、新型コロナウイルス感染者拡大で完成が遅れていました。ジャン・コクトーの一人芝居” La Voix humaine”(1930) の映画化。去ったばかりの恋人からの電話をひたすら待っている絶望を抱えた女性の物語だそうです。英国女優ティルダ・スウィントンを起用しており、彼女はすでに今回のベネチア映画祭で栄誉金獅子賞を受賞することが決定しています。もう一人の受賞者が香港のアン・ホイ監督、女性が受賞するのは今回が初めてというからびっくりする。
*「La Voz Humana」の紹介記事は、コチラ⇒2020年02月17日

(撮影中の監督と主役ティルダ・スウィントン)
★前回栄誉金獅子賞を受賞したばかりのアルモドバルによると「このコロナ感染の特別な年に、ティルダとベネチアに戻ることができて非常に嬉しい。本作は女優としてティルダが残した数多くの実績の一つです」と。それも自分が昨年受賞した栄誉賞をティルダが受賞するので喜びもひとしおのようです。映画祭ディレクターのアルベルト・バルバラも「今年も再びアルモドバル監督を迎えることができるのはとても光栄なことです」と呼応している。
★コロナの時代の映画祭は、すべてにおいて例年とは異なる。オンライン上映もあり、リド島以外のベネチアの映画館上映、レッド・カーペットは敷く予定だが、審査委員長のケイト・ブランシェット以外の大物シネアストの登場は予定にない由。コロナが世界の映画祭に及ぼす影響は計り知れない。ともあれクラスターを警戒しながら終了して欲しい。

(審査委員長ケイト・ブランシェット)
追加情報:2022年『ヒューマン・ボイス』の邦題で公開されました。
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