オリソンテス・ラティノス部門 ②*サンセバスチャン映画祭2023 ⑩2023年08月23日 14:51

         タティアナ・ウエソが2作目「El eco / The Echo」で戻ってきた!

 

★サンセバスチャン映画祭 SSIFF も開幕1ヵ月をきり、連日のごとくニュースが配信されています。例えばセクション・オフィシアルのオープニング作品は宮崎駿の『君たちはどう生きるか』、クロージング作品はイギリスの監督ジェームズ・マーシュの「Dance First」、マーシュ監督は英国史上、最高額、最高齢の金庫破りだったオールドボーイ窃盗団の実話に基づいて描いた『キング・オブ・シーヴズ』(18)が2021年に公開されている。両作ともアウト・オブ・コンペティション部門ノミネート作品であるため金貝賞には絡みません。さらに「ペルラク」部門18作品、「ネスト」部門12作品も相次いで発表されました。更に822日にはドノスティア栄誉賞の二人目の受賞者にビクトル・エリセがアナウンスされるなど急に慌ただしくなってきました。エリセはともかくとして、今年は時間的余裕がなく、アップはスペイン語、ポルトガル語映画に限らざるを得ません。今回はオリソンテス・ラティノ部門の続き、ドラマ2作、ドキュメンタリー2作の合計4作をアップします。

 

          オリソンテス・ラティノス部門

 

5)Clara se pierde en el bosque / Clara Gets Lost in the Woods

  アルゼンチン

監督カミラ・ファブリ(ブエノスアイレス1989)、監督、脚本家、戯曲家、女優として多方面で活躍しているアルゼンチン同世代の期待の星。女優としてミゲル・コーハン、ベロニカ・チェン、フアン・ビジェガスの「Las Vegas」(18)、アレハンドロ・ホビックやルシア・フェレイラの短編に主演している。

 

     

                       

                           

                                            (カミラ・ファブリ監督)

 

データ:脚本はカミラ・ファブリとマルティン・クラウトが共同執筆、2023年、スペイン語、ドラマ、86分、長編デビュー作。

キャスト:カミラ・ペラルタ(クララ)、アグスティン・ガリアルディ(ミゲル)、フリアン・ラルキエル・テラリーニ(イバン)、フロレンシア・ゴメス・ガルシア(エロイサ)、ソフィア・パロミノ(フアナ)、マイティナ・デ・マルコ(パウリナ)、ペドロ・ガルシア・ナルバイツ(フアン)、マルティア・チャモロ(マルティナ)、カミラ・ファブリ(イネス)、フリアン・インファンティノ(マルティン)、ほか

 

ストーリー:クララは都会を離れて郊外に家族と小旅行中に、幼馴染の友人マルティナからの母性のアイディアを前面に押し出したメッセージを受けとった。マルティナとはレプブリカ・クロマニョン・クラブで起きた悲劇の一夜を共にしていた。一連のWhatsApp Messengerのテキスト、ホームビデオ、家族とランチする現在と現実のショット、危機と悲劇によって荒廃した都会での彼女自身や友人たちの思春期がつぶさに語られる。レプブリカ・クロマニョン・クラブの悲劇というのは、20041230日の夜にブエノスアイレスのオンセ地区で開催されていたロック・イベント中に193人の命が奪われた大火災をさす。

          

   

                   (撮影中の監督とクララ役のカミラ・ペラルタ)

 

 

6)El castillo / The Castle」アルゼンチン=フランス=スペイン

  ドキュメンタリー

監督マルティン・ベンチモル(ブエノスアイレス1985)、作品紹介、監督のキャリア&フィルモグラフィーは、以下にアップ済みです。

作品紹介は、コチラ20230721

   

      

   

 

7)「El Eco / The Echo」メキシコ=ドイツ

監督タティアナ・ウエソ(サンサルバドル1972)監督、脚本家。監督のキャリア&フィルモグラフィーは、SSIFF 2021の同部門のオリソンテス賞以下3冠に輝いた「Noche de fuego」にアップしています。新作は、架空の要素が多く含まれているが、メキシコ高地にある村エルエコの子供たちを描いている。監督はメキシコ北部のある村に逗留して、ほぼ1年間掛けて撮影している。監督の子供時代の体験が投影されている。ウエソはエルサルバドル出身だが、4歳のとき両親に連れられてメキシコに移住している。2011年の「El lugar más pequeño」、2016年の「Tempestad」、新作「El Eco」をもって「痛みとトラウマ」三部作を完結したことになる。

Noche de fuego」の紹介記事は、コチラ20210819

     

         

データ:脚本タティアナ・ウエソ、2023年、スペイン語、ドキュメンタリー、102分。本作は既にベルリン映画祭2023でプレミアされ、エンカウンターズ部門の監督賞とドキュメンタリー賞を受賞している他、香港映画祭ドキュメンタリー賞ノミネート、シアトル映画祭ノミネート、カルロヴィ・ヴァリ映画祭、リマ映画祭ドキュメンタリー賞、エルサレム映画祭シャンテル・アケルマン賞を受賞している。

     

    

   (タティアナ・ウエソ、ベルリン映画祭2023ドキュメンタリー作品賞のガラから)

  

キャスト:モンセラ・エルナンデス(モンセ)、マリア・デ・ロス・アンヘレス・パチェコ・タピア(祖母アンヘレス)、ルス・マリア・バスケス・ゴンサレス(ルス)、サライ・ロハス・エルナンデス(サライ)、ウィリアム・アントニオ・バスケス・ゴンサレス(トーニョ)、他多数

 

ストーリー:メキシコ北部の人里離れた村エル・エコは、子沢山の家族が多く、生活は貧しく、子供たちは羊と年長者たちの世話をしています。孫娘は祖母が死ぬまで世話をしなければなりません。霜と旱魃が村を苦しめます。子供たちは両親の話す言葉と沈黙から、死、病気、愛を理解することを学びます。エコは魂のなかにあるもの、周りの人々からうける確実な暖かさ、人生で直面する反逆と眩暈について、成長についての物語です。

   

       

 

8)Estranho caminho / A Strange PathExtraño camino)」ブラジル

  WIP Latam 2022 作品

監督グト・パレンテ(セアラ州都フォルタレザ1983)は、監督、脚本家、撮影監督、俳優。長編10作目になる。WIP Latem 2022の最優秀賞作品賞受賞作。

脚本グト・パレンテ、撮影リンガ・アカシオ、美術タイス・アウグスト、録音ルカス・コエーリョ、編集ビクトル・コスタ・ロペス、ティシアナ・アウグスト・リマ、タイス・アウグスト、グト・パレンテ。トライベッカ映画祭2023では、父親ジェラルド役のカルロス・フランシスコが説得ある演技で主演男優賞を受賞している。

    

     

 

   

 (デビッド役のルカス・リメイラ)

 

データ:製作国ブラジル、2023年、ポルトガル語、ミステリー、85分、トライベッカ映画祭2023で国際コンペティション部門の作品賞、脚本賞、監督賞、カルロス・フランシスコ主演男優賞を受賞するなど4冠を制した。撮影地フォルタレザ。セアラ州文化省からの資金提供を受けている。

   

     

            (父親役のカルロス・フランシスコ)

 

キャスト:ルカス・リメイラ(デビッド)、カルロス・フランシスコ(父ジェラルド)、リタ・カバソ(テレサ)、タルツィア・フィルミノ(ドナ・モサ)、レナン・カピバラ(レナン)、アナ・マルレネ(マリアナ先生)、他多数

 

ストーリー:若い映画背作者デビッドは、映画祭で自作を発表するため生れ故郷のブラジルに向かっています。到着すると新型コロナのパンデミックが急速に全国に広がり始めていた。映画祭は中止され、空港が封鎖されたため帰国便もキャンセルされてしまう。デビッドは滞在先を必要としており、十年以上話していない風変わりな男である父親ジェラルドを訪ねることにする。彼が父親のアパートに到着すると、奇妙なことが起こり始めます。デビッドの軌跡を辿るドラマ。和解の痛み、不条理の喜びの表現などが描かれる。

 

 

    

 (カミラ・ファブリ、マルティン・ベンチモル、タティアナ・ウエソ、グト・パレンテ)


コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://aribaba39.asablo.jp/blog/2023/08/23/9611962/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。