第94回アカデミー賞2022ショートリスト発表*国際長編映画賞部門2021年12月25日 10:01

            ショートリスト15作中スペイン語映画3作が残る!

   

   

★ベロニカ・フォルケを悼む記事が続いていますが、気を取り直して来年のアカデミー賞の話題に切り替えます。第94回のガラは、2022327日、以前のドルビー・シアターに統一して開催されるということです。それに先立つ1221日に、国際長編映画賞部門のセミ・ファイナリスト(ショートリスト)15作が発表されました。92ヵ国から応募があり、スペイン代表フェルナンド・レオン・デ・アラノアEl buen patorón、メキシコ代表タティアナ・ウエソPrayer for the Stolen(原題Noche de fuego)、パナマ代表アブナー・ベナイムPlaza Catedral3作が残りました。ノミネーションが正式に発表になるのは、来年28日がアナウンスされていますが予定です。パナマ作品は未紹介ですが、データを後述します。濱口竜介『ドライブ・マイ・カー』のような強敵も残りましたから、ファイナルリスト4作に残るのは容易じゃありません。ましてや受賞となると結構長い道程です。

        

      

 (スペイン代表作品「El buen patorón」のポスター)

     

         

                 (メキシコ代表作品Noche de fuego」のポスター

 

     

          (パナマ代表作品「Plaza Catedral」のポスター)

 

El buen patorón」の主な作品紹介記事は、コチラ20210810

Noche de fuego」の主な作品紹介記事は、コチラ20210819

 

★監督紹介:パナマ代表作品Plaza Catedral」は、アブナー・ベナイムの長編第2作め。1971年パナマ生れ、監督、製作者、脚本家、造形アーティスト。米国ペンシルバニア大学で国際関係学を専攻、映画はテルアビブのカメラ映画学校で学んだ。映画はドキュメンタリーでスタートを切り、ドキュメンタリー作家としての評価は高い。2004年パナマで制作会社Apertura Films を設立、2005年ドクメンタリー・シリーズEl otora lado11エピソード)で、ニューヨークTVフェスティバルの作品賞を受賞している。2009年長編映画デビュー作Chanceは興行的にも成功し、埼玉県で開催される「スキップ・シティD シネマフェスティバル2011」に『チャンス!男メイドの逆襲』)の邦題で上映され、脚本賞を受賞している。

 

   

           (新作撮影中のアブナー・ベナイム監督)

 

2014年のInvasionは、1989年のアメリカによるパナマ侵攻をめぐる捏造された集団記憶のドキュメンタリー。本作はパナマのIFF映画祭で観客賞ほか受賞歴多数、第87回アカデミー賞(ドキュメンタリー部門)に選ばれたがノミネートはされなかった。コロンビアのバランキージャFFドキュメンタリー賞、マラガ映画祭観客賞ほかを受賞している。2018年のRuben Blades is Not My Nameも第91回アカデミー賞代表作品に選ばれたが、ノミネートには至らなかった。

 

      

      (ドキュメンタリー「Ruben Blades is Not My Name」ポスター)

 

★オスカー賞3回目のパナマ代表作品となる新作「Plaza Catedral」は、パナマ=メキシコ=コロンビア合作、スリラー・ドラマ、94分、スペイン語・英語、撮影地パナマシティ、製作Apertura Films。既にパナマ映画祭2021の観客賞を受賞しているほか、グアダラハラ映画祭MEZCAL賞にノミネートされ、フェルナンド・ハビエル・デ・カスタが男優賞を受賞したが、その前にパナマで射殺されるという悲劇に見舞われていた。ダンサーでサッカー選手でもあった少年の死は、パナマでは珍しいことではない。他にキャストはメキシコのベテラン女優イルセ・サラス、コロンビアのマノロ・カルドナなど。イルセ・サラス(メキシコ・シティ1981)は、『グエロス』の監督アロンソ・ルイスパラシオスと結婚、2児の母親でもある。マラガ映画祭2019金のビスナガ賞を受賞したアレハンドラ・マルケス・アベジャLas niñas bien(邦題『グッド・ワイフ』公開)で主役を演じている。カルドナはハビエル・フエンテス=レオンの話題作『波に流されて』09)で日本に紹介されている(東京国際レズビアン&ゲイ映画祭、レインボー・リール東京FFに改名)。本作でマコンド賞2010助演男優賞を受賞している。

      

       

        (彼の才能を惜しんだイルセ・サラスとフェルナンド)

 

    

  (イルセ・サラスとフェルナンド・ハビエル・デ・カスタ)

     

   

                      (サラスとマノロ・カルドナ、フレームから)

 

イルセ・サラスのキャリア&フィルモグラフィーは、コチラ20190414


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