第13回ガウディ賞2021受賞結果*新人監督が大賞を制す ― 2021年03月24日 16:52
女性シネアストが半分以上の受賞者となったガウディ賞2021

★去る3月21日、第13回ガウディ賞2021の授賞式がありました。コロナ禍をうけてゴヤ賞は観客ゼロの開催でしたが、こちらは30%に絞って開催されました。マスク着用などは今や常識、赤絨毯でのフォトコールはマスクなしが許可されました。ガウディ賞はカタルーニャ語映画に特化した映画祭ですが、スペイン語枠もあり作品賞はそれぞれ選ばれます。今年はリュイス・ダネスの「La vampira de Barcelona」とピラール・パロメロの「Las niñas」と監督第1作が大賞を攫いました。21カテゴリーのうち前者がカタルーニャ語作品・美術・衣装・視覚効果・メイクアップ&ヘアー賞の5部門、後者がカタルーニャ語以外の作品・監督・撮影・音響の4部門を受賞、短編・ヨーロッパ映画・ドキュメンタリー・TVムービー賞はダブることはできませんから、2作品で大半を制したことになります。
*「Las niñas」の作品&監督キャリア紹介は、コチラ⇒2020年03月16日

(リュイス・ダネスの「La vampira de Barcelona」のポスター)

(コールに飛びあがって喜ぶ「La vampira de Barcelona」のスタッフたち)
★「Las niñas」はゴヤ賞も受賞しておりますが、「La vampira de Barcelona」はガウディ賞以外のスペイン映画賞ではノミネーションさえありませんでした。どうもカタルーニャ独立運動が溝を深めている印象です。主演女優賞にイシアル・ボリャインの「La boda de Rosa」主演のカンデラ・ペーニャが受賞、フォルケ賞、ゴヤ賞に一矢を報いました。主演男優賞にはゴヤ賞と同じ「No matarás」主演のマリオ・カサスが受賞しましたがガラには欠席、監督のダビ・ビクトリが代わりにトロフィーを受け取りました。
★またヌリア・ヒメネスが「My Mexican Bretzel」(邦題『メキシカン・プレッツェル』)でドキュメンタリー・脚本・編集の3賞を受賞、本作も長編デビュー作でした。栄誉賞は女優のカルメ・エリアスが受賞、女性と新人が輝いた夕べでした。カタルーニャ映画アカデミー会長は、2013年から製作者、監督のイソナ・パソラ・イ・ビダルが続投しています。

(挨拶スピーチをする、カタルーニャ映画アカデミー会長イソナ・パソラ)

(ガラを盛り上げたリゴベルタ・バンディニ)
*「La boda de Rosa」の作品紹介は、コチラ⇒2020年03月21日
*「No matarás」の作品&監督キャリア、マリオ・カサス紹介は、
*「My Mexican Bretzel」の作品&監督キャリア紹介は、コチラ⇒2020年09月14日
*ガウディ賞2021の受賞結果*
◎作品賞(カタルーニャ語)
La vampira de Barcelona 製作Brutal Media / Filmax / TV3
監督リュイス・ダネス

(左からカルロス・フェルナンデス、オリオル・サラ=パタウ、ライモン・マスリョレンス)
★「受賞できたのは嬉しいが、カタルーニャ以外の映画祭ではノミネートさえなかったことが残念です」と語った製作者ライモン・マスリョレンス。シッチェス映画祭2020観客賞受賞作品。ダネス監督のデビュー作だが、TVシリーズを多数手掛けているベテランです。
★対抗馬は、「L'ofrena」ベントゥーラ・ドゥエル、「La dona il-legal」ラモン・テルメンス、「Les dues nits d'uhir」(スペイン語題「Las dos noches de ayer」)Pau Cruanyes、ヘラルド・ビダル(本作は観客賞を受賞)

(ノミネート4作のポスター)
◎作品賞(カタルーニャ語以外)
Las niñas 製作Inicia Films / Bteam Pictures / Las Niñas Mujeres A.I.E
監督ピラール・パロメロ

(左から、アレックス・ラフエンテ、ピラール・パロメロ、バレリー・デルピエール)
★対抗馬は、「La boda de Rosa」のイシアル・ボリャイン、「Sentimental」のセスク・ゲイ、「Adú」のサルバドール・カルボでした。
◎監督賞
ピラール・パロメロ 「Las niñas」

(13個のノミネーションに先ず感謝したピラール・パロメロ)
★対抗馬は、「Sentimental」のセスク・ゲイ、「La boda de Rosa」のイシアル・ボリャイン、「La vampira de Barcelona」のリュイス・ダネスでした。
◎脚本賞
ヌリア・ヒメネス・ロラング 「My Mexican Bretzel」
(邦題『メキシカン・プレッツェル』)

(脚本・ドキュメンタリー・編集賞のトロフィーを手にしたヌリア・ヒメネス)
★対抗馬は、「La boda de Rosa」「La vampira de Barcelona」「Sentimental」と金太郎の飴でした。ヒメネスはゴヤ賞ではノミネートに終わりましたが、最後のガウディ賞で3個ゲットできました。
◎主演女優賞
カンデラ・ペーニャ 「La boda de Rosa」 監督イシアル・ボリャイン

(感極まるカンデラ・ペーニャ)
★対抗馬は、「L'ofrena」のアンナ・アラルコン、「La vampira de Barcelona」のノラ・ナバス、「Las niñas」のアンドレア・ファンドスでした。ゴヤ賞を受賞した「Ane」のパトリシア・ロペス・アルナイスはノミネートされませんでした。
◎主演男優賞
マリオ・カサス 「No matarás」 監督ダビ・ビクトリ


(ビデオ出演のマリオ・カサス、代理で登壇したダビ・ビクトリ監督)
★対抗馬は、「L'ofrena」のアレックス・ブレンデミュール、「Sentimental」のハビエル・カマラ、「Uno para todos」のダビ・ベルダゲルでした。カマラはフォルケ賞を受賞したガラは欠席、落選したガウディ賞は出席でした。
◎助演女優賞
ベロニカ・エチェギ 「L'ofrena」(カタルーニャ語題、スペイン語題「La ofrenda」)
監督ベントゥーラ・ドゥエル

(ポスター)
★ベントゥーラ・ドゥエルのスリラー、主役のアレックス・ブレンデミュールとアンナ・アラルコンが各々ノミネートされた。マラガ映画祭2020出品作品、公開バルセロナ9月、他。
★対抗馬は、「Las niñas」のナタリア・デ・モリーナ、「La vampira de Barcelona」のヌリア・プリムスとブルナ・クシが揃ってノミネートされた。
◎助演男優賞
アルベルト・サン・フアン 「Sentimental」 監督セスク・ゲイ

(ポスター)
★ゴヤ賞に続いての受賞。対抗馬は、「La dona il-legal」のAbdel Aziz El Mountassir、「La vampira de Barcelona」のフランセスク・オレリャ、「Te quiero, imbécil」のエルネスト・アルテリオ、本作は邦題『愛してるよバカ』で Netflix 配信されているラブコメです。
◎プロダクション賞
ルイス・フェルナンデス、アナ・パラ 「Adú」 監督サルバドール・カルボ

(ポスター)
◎ドキュメンタリー賞
My Mexican Bretzel 監督ヌリア・ヒメネス・ロラング

(ポスター)
◎短編映画賞
Ni oblit ni perdó 監督ジョルディ・ボケ・クララムント

(受賞スピーチをするジョルディ・ボケ・クララムント)

(ポスター)
◎TVムービー賞
La mort de Guillem 監督カルロス・マルケス=マルセ

(中央が受賞スピーチをするマルク・ロマ)

★1993年にバレンシアで起きた極右勢力による反ファシストのギリェム・アグリョ暗殺事件の実話に基づく。製作者マルク・ロマがトロフィーを受け取り、故人の思い出を語った由。当ブログではマラガ映画祭2020でカルロス・マルケス=マルセがマラガ才能賞を受賞した折りに作品紹介をしております。
*「La mort de Guillem」(The death of Guillem)の記事は、コチラ⇒2020年08月29日
◎美術賞
リュイス・ダネス 「La vampira de Barcelona」

(リュイス・ダネス)
◎編集賞
ヌリア・ヒメネス・ロラング、クリストバル・フェルナンデス
「My Mexican Bretzel」(ドキュメンタリー)
◎オリジナル作曲賞
Niño de Elche 「Niños somos todos」(2019年、ドキュメンタリー)
監督セルジ・カメロン

ポスター
★カンタオールのニーニョ・デ・エルチェが音楽のルーツを求めてボリビアへの旅に出るドキュメンタリー。
◎撮影賞
ダニエラ・カヒアス 「Las niñas」
(ボリビアから馳せつけたダニエラ・カヒアス)
◎衣装賞
メルセ・パロマ 「La vampira de Barcelona」
◎音響賞
アマンダ・ビリャビエハ、フェルナンド・ノビリョ、アレハンドラ・モリーナ
「Las niñas」

(4部門をゲットした「Las niñas」の受賞者全員)
◎視覚効果賞
リュイス・リベラ、アンナ・アラゴネス、アレックス・トレシリャス
「La vampira de Barcelona」
◎メイクアップ&ヘアー賞
ラウラ・ぺレス、ハビ・バルベルデ 「La vampira de Barcelona」
◎ヨーロッパ映画賞
Sorry We Missed You (イギリス) 監督ケン・ローチ

(ポスター)
◎観客賞
Les dues nits d'ahir(スペイン語題「Las dos noches de ayer」
監督Pau Cruanyes、ヘラルド・ビダル

(座席で受賞を喜ぶ監督やスタッフたち)

★作品賞(カタルーニャ語)にノミネートされています。マラガ映画祭2020 Zonacine 部門の銀のビスナガ監督賞受賞作品。
◎ガウディ栄誉賞
カルメ・エリアス(女優)
★キャリア&フィルモグラフィー紹介は次回にします。

(受賞スピーチをするカルメ・エリアス)

(レッド・カーペットのフォトコール)
*レッド・カーペットに現れたシネアスト*
★ノミネートされた人、プレゼンターのうちベストドレッサーに選ばれた人、話題を呼んだ人を選びました。デザイナーが明記されているケースは付け加えました。沈滞気味の映画産業を盛り立てるため俳優たちも散財して頑張りました。


(グレタ・フェルナンデス、イタリアのフィロソフィ・ディ・ロレンツォ・セラフィニの
デザイン、特にメイクが話題を巻きました)

(マリア・ロドリゲス、メンチェン・トマスのデザイン、
スパンコールをほどこした網目状の金色のスカートが話題になりました)

(助演女優賞ノミネートのナタリア・デ・モリーナ、クロスされたドレスとブーツの
組み合せが好感された。日本でも人気のアミ・アレクサンドル・マテュッシ)

(主演女優賞受賞のカンデラ・ペーニャ、ペドロ・デル・イエロのデザイン、
80年代に流行した肩パット入りのミニが話題になりました)

(プレゼンターのレティシア・ドレラ、イタリアのエリザベッタ・フランキの
デザイン、意表をついた白でまとめたスケスケのブラウスにショートパンツ)

(助演女優賞ノミネートのブルナ・クシ、ゴージャスな刺繍のあるディオール)

(初めて主演女優賞にノミネートされたアンドレア・ファンドス、
シルビア・フェルナンデスのデザイン)

(助演女優賞ノミネートのヌリア・プリムス、スパンコールを施した濃紺のドレス)

(映画、TV、舞台女優で歌手でもあるエレナ・タラトスTarrats、
パールドレスが人気のブライダル会社オタディーのエレガントなドレス)

(ベリャ・アゴッソウ、ジョルディ・ダルマウの裾長のドレス、「Adú」出演)

(ガウディ栄誉賞プレゼンターのビッキー・ペーニャ、カタルーニャ俳優演出家協会
副会長及びスペイン映画アカデミー理事を務めている)

(バルセロナ派のベテラン、舞台にTV に活躍するマリア・モリンス)

(Netflixのラブコメで認知度あるパウラ・マリア、珍しかったパンツルック)

(主演男優賞ノミネートのハビエル・カマラ)

(重鎮カラ・エレハルデ)

(昨年までゴヤ賞ガラのメイン司会をしていたアンドレウ・ブエナフエンテ)

(左派の論客でもあるギジェルモ<ウィリー>・トレド)
*入手できた写真のみアップしました。
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