マヌエル・ゴメス・ペレイラのコメディ「La cena」*ゴヤ賞2026 ⑤ ― 2026年02月09日 18:41
ゴヤ賞作品賞を含む8カテゴリーにノミネートされた「La cena」

★フォルケ賞(アルベルト・サン・フアン男優賞ノミネート)に続いて、フェロス賞(コメディ部門の作品賞受賞)でも気を吐いたマヌエル・ゴメス・ペレイラの「La cena / The Dinner」は、スペイン内戦終結後をバックにフランコ派、反フランコ派入り乱れ、フランコ将軍やヒトラー総統も登場するブラックコメディ。本作はホセ・ルイス・アロンソ・デ・サントスの戯曲 “La cena de los generales”(2008年刊)が原作。キャスト陣はアルベルト・サン・フアン、マリオ・カサス、アシエル・エチェアンディア、エルビラ・ミンゲス、アントニオ・レシネスなど芸達者なベテラン勢がクレジットされている。ゴヤ賞ノミネートは作品賞、脚色賞を含む8カテゴリー、以下太字がゴヤ賞にノミネートされている。
★評価はおしなべて高く、映画データベースは10点満点の7点、エル・パイスのハビエル・オカーニャは「記憶の必要性、尊厳の価値、自由の理想の高貴さ、悲劇中の悲劇、ユーモアを巧みに結びつけている」とポジティブに評価しています。敵対する登場人物の常套句に注意をはらって、異なった視点で現代史を語るインテレクチュアルなブラック・コメディ。

(二人の主役、マリオ・カサスとアルベルト・サン・フアン)
「La cena / The Dinner」2025
製作: La Terraza / Turanga Films / Entre Medina y Genaro / Halley Production / Sideral Cinema / ICO / ICAA / Movistar Plus+ / Crea SGR / RTVE 他
監督:マヌエル・ゴメス・ペレイラの
脚本:ホアキン・オリストレル、ヨランダ・ガルシア・セラノ、
マヌエル・ゴメス・ペレイラ
原作:ホセ・ルイス・アロンソ・デ・サントスの戯曲 “La cena de los generales”
撮影:アイトル・マンチョラ
音楽:アンヌ・ソフィー・Versnaeyen
(オリジナル歌曲賞ビクトル・マヌエル「Y mientras tanto」)
編集:ヴァネッサ・マリムベルトMarimbert
美術:コルド・バジェス
プロダクションデザイン:マリア・ヘスス・タラソナ
衣装デザイン:エレナ・サンチス
メイク&ヘアー:アンパロ・サンチェス、アネ・マルティネス、他
製作者:クリストバル・ガルシア、リナ・バデネス、ロベルト・ブトラゲーニョ、
(エグゼクティブ)アナ・カマチョ、ラウラ・カストロ・オテロ、他
データ:製作国スペイン=フランス、2025年、スペイン語、ブラック・コメディ、106分、撮影地マドリードのホテル・プラサ、エル・エスコリアのホテル・ミランダ & スイス、バレンシア市、カナリア諸島ラス・パルマス、配給元ア・コントラコリエンテ・フィルムズ(スペイン)、フィルム・ファクトリー・エンターテインメント(ワールド)、公開スペイン、アンドラ公国10月17日、イタリア2026年04月09日、興行収入2025年末370万ユーロ、ワールド447万ユーロ
映画祭・映画賞:第73回サンセバスチャン映画祭2025 RTVE 部門上映(9月24日)、第40回バレンシア映画祭オープニング作品、第31回フォルケ賞2025主演男優賞ノミネート(アルベルト・サン・フアン)、第8回ロラ・ガオス賞助演女優賞(グロリア・マルチ)、プロダクションデザイン賞(マリア・ヘスス・タラソナ)受賞、第13回フェロス賞2026コメディ賞受賞、以下主演男優・助演女優・助演男優・予告編賞ノミネート、シネマ・ライターズ・サークル賞脚本・主演男優・助演女優賞にノミネート(結果発表2月23日)、ゴヤ賞は上記の通り。

(マドリード公開のイベントに参加したクルー、2025年10月13日)
ストーリー:スペイン内戦終結からわずか2週間後の1939年4月15日、負傷者の臨時病院として営業していたマドリードの高級ホテルであるパレスホテルに或るミッションを受けたメディナ中尉が到着する。フランコ将軍が武力勝利を祝う夕食会の開催を要請したからです。さっそく中尉はウェイター頭のヘナロに宴会の準備を命じます。当時マドリードにはフランコ派の料理人がいないという噂から、ヘナロは処刑寸前の反フランコ派の料理人たちの解放を求めます。将軍以下招待客は知りません、何を知らないかというと、夕食会の料理が国外逃亡の最後のチャンスを窺う反フランコ派の料理人によって準備されていることです。内戦の疵を抱えた人々が入り乱れての騙し合いが始まります。

(おしっこ入りスープにご満悦なフランコ将軍)
キャスト:
マリオ・カサス(サンティアゴ・メディナ中尉)
アルベルト・サン・フアン(ヘッド・ウェイターのヘナロ・パラソン)主演男優賞ノミネート
ノラ・エルナンデス(看護師マリア)新人女優賞ノミネート
アシエル・エチェアンディア(ファランヘ党のホセ・ルイス・アロンソ、サイコパス)
オスカル・ラサルテ(ソムリエのアンヘル、マリアのパートナー)
マルティン・パエス(ガリシアの将校チャペロ)
エルビラ・ミンゲス(労働組合リーダーの料理人フアナ、アンヘルの母)助演女優賞ノミネート
カルロス・セラノ(ファッシストのウェイター、エル・ルビオ)
カルメン・バラゲ(アルコール依存症のフローラ)
アントニオ・レシネス(反フランコの料理人アントン)
エバ・ウガルテ(メディナ中尉の妻ルチ)
ハビ・フランセス(フランシスコ・フランコ将軍)
グロリア・マルチ(フランコ将軍の妻カルメン・ポロ)
トニ・アグスティ(料理人エピ・ファニオ)
フェラン・ガデア(ブラス)、エレアサル・オルティス(ナンド)、ラファエル・バルス(アロンソの部下)、ダビ・ディアス(ヒットラー総統)他多数

(アルベルト・サン・フアン、マリア役のノラ・エルナンデス、マリオ・カサス)

(スペイン脱出を目論むソムリエ役のオスカル・ラサルテと料理人たち)

(マリア、料理人フアナ役のエルビラ・ミンゲス、オスカル・ラサルテ)

(ファランヘ党員アロンソ役のアシエル・エチェアンディア右)
★監督紹介:マヌエル・ゴメス・ペレイラ、1958年12月マドリード生れ、監督、脚本家、製作者。代表作として1995年の「Boca a boca」(監督・脚本)、ゴヤ賞1996作品・監督・脚本賞ノミネート、ハビエル・バルデムが主演男優賞受賞の他、シネマ・ライターズ・サークル賞、フォトグラマス・デ・プラタ、オンダス賞などを受賞して知名度を挙げた作品。共演者にアイタナ・サンチェス=ヒホン、マリア・ブランコなど。邦題『電話でアモーレ』で公開された。
★スター・キャスト出演のロマンティック・コメディ「El amor perjudica seriamente la salud / Love Can Seriously Damege Your Health」(『ペネロペ・クルスの抱きしめたい!』)は、60年代にスペインを訪問したジョン・レノンのイベントに偶然出会った二人の若者(ペネロペ・クルスとガビノ・ディエゴ)が恋に落ち、別れ、また出会う風変わりな30年間を描いている。歌手で女優のアナ・ベレン、フアンホ・プイグコルベ、当時の豪華キャストが出演、コメディで2時間は長すぎるが型破りのロマンティック・コメディだった。
★1999年、「Entre las piernas」がベルリン映画祭に正式出品、プチョン・ファンタスティック映画祭でシチズン・チョイス賞を受賞、カルメロ・ゴメスがトゥリア主演男優賞を受賞、翌年『スカートの奥で』の邦題で2000年ビデオが発売された。出演者はゴメスのほか、ビクトリア・アブリル、ハビエル・バルデム、フアン・ディエゴ、新作主役のアルベルト・サン・フアンも共演している。
★2005年の「Reinas / Queens」は、ゲイ・カップルの共同結婚式を題材にした娯楽作。息子たちの母親役に、アルモドバル学校のミューズを含むベテラン5人、マリサ・パレデス、カルメン・マウラ、ベロニカ・フォルケ、メルセデス・サンピエトロ、ベティアナ・ブルムを起用、そのゲイの息子たちに当時の売れっ子を集合させ、クレジット欄には度肝を抜く。直近10年はTVシリーズにシフトしており、Netflixなどで配信されているものもある。

(新作撮影中のゴメス・ペレイラ)
*主なフィルモグラフィー
1994「Todos los hombres sois iguales / All Men Are the Same」(コメディ、監督・脚本)
ゴヤ賞1995オリジナル脚本賞受賞、ペニスコラ・コメディFF1994作品・監督賞受賞
1995「Boca a boca」『電話でアモーレ』(コメディ、1997年11月公開)
1996「El amor perjudica seriamente la salud」『ペネロペ・クルスの抱きしめたい!』
(コメディ、監督・脚本・製作)
1999「Entre las piernas」『スカートの奥で』(ミステリー・ロマンス、監督・脚本・製作)
2005「Reinas / Queens」『クイーンズ』(コメディ、監督・脚本)
2008「El juego del ahorcado」『ザ・レイプ 秘密』(ドラマ、監督・脚本、DVD)
ゴヤ賞2009新人男優賞(アルバロ・セルバンテス)ノミネート
2014「La ignorancia de la sangre」(スリラー、監督)
スペイン俳優組合助演男優賞(アルベルト・サン・フアン)ノミネート
2017「Tiempos de guerra」(ドラマ、TVシリーズ13話中6話、監督)
2019~20「Alta mar / High Seas」『アルタ・マール:公海の殺人』
(犯罪ドラマ、TVシリーズ12話中4話、監督)、2019年、Netflixで配信
★キャスト紹介:メディナ中尉を演じたマリオ・カサス(ア・コルーニャ1986)とヘナロ・パラソン役のアルベルト・サン・フアン(マドリード1968)のキャリア&フィルモグラフィーは既に紹介しています。2人とも主演男優賞のゴヤ胸像を手にしています。
*マリオ・カサス紹介は、コチラ⇒2021年02月23日
*アルベルト・サン・フアン紹介は、コチラ⇒2025年01月08日/2021年02月01日
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