第72回ベネチア映画祭2015*オリゾンティ部門ノミネーション ③ ― 2015年08月10日 17:02
ロドリーゴ・プラの第4作“Un
monstruo de mil cabezas”はスリラー
★ロドリーゴ・プラはベネチア映画祭で世界に躍り出た監督、だからベネチアとは相性がいい。長編デビュー作“La zona”(2007)は、ベネチア映画祭2007で初監督作品に贈られる「ルイジ・デ・ラウレンティス賞*」、「平和のための映画賞」、「ローマ市賞」の3賞を手にした。更にトロント映画祭で審査員賞、翌年のマイアミ、サンフランシスコ両映画祭で観客賞を受賞した。
*1996年に新設された賞、イタリアのプロデューサー、ルイジ・デ・ラウレンティス(1917~92)の名をを冠した賞。ベネチア映画祭のコンペティション部門、オリゾンティ部門以下、上映された全長編作品が対象になる。
“Un
monstruo de mil cabezas”メキシコ、2015
製作:Buenaventura
監督・プロデューサー:ロドリーゴ・プラ
脚本:ラウラ・サントゥリョ
撮影:オデイ・サバレタ(初長編)
音楽:レオナルド・ヘイブルム(『マリアの選択』)、ハコボ・リエベルマン(“Desierto adentro”)
プロデューサー(共同):アナ・エルナンデス、サンディノ・サラビア・ビナイ
データ:メキシコ、スペイン語、2015、スリラー、75分、撮影地メキシコ・シティー
キャスト:ハナ・ラルイ、セバスティアン・アギーレ・ボエダ、エミリオ・エチェバリア、ダニエル・ヒメネス・カチョ、マルコ・アントニオ・アギーレ、ハロルド・トーレス、マリソル・センテノ、ウーゴ・アルボレス、他
プロット:癌でむしばまれた夫を看病する妻ソニアの物語。夫は公的医療のシステムの不備や怠慢、さらに汚職の蔓延で適切な治療を受けられない。絶望の淵にあるソニアは他の方法を取ることを決心する。息子を一緒に連れていくことにする。前作『マリアの選択』のテーマを追及する社会派スリラー。
(映画“Un
monstruo de mil cabazas”から)
トレビア:前作『マリアの選択』は、監督夫妻の故郷モンテビデオが舞台だったが、第4作はメキシコに戻ってきた。というわけでデビュー作“La zona”の主役ダニエル・ヒメネス・カチョと再びタッグを組んでいる。彼は日本で一番知られているメキシコの俳優ではないかと思う。マドリード生れのせいかアルモドバル(『バッド・エデュケーション』)、パブロ・ベルヘル(『ブランカニエベス』)などスペイン映画出演も多い。それこそ聖人から悪魔までオーケーのカメレオン俳優、アリエル賞のコレクター(5個)。他の俳優もメキシコのTVドラで活躍している人で占められている。簡単なストーリーしか発表されていないが、ウルグアイの老人医療、認知症になった親の介護問題に迫った前作『マリアの選択』に繋がる作品ではないかと思う。
★脚本を手掛けたラウラ・サントゥリョは作家でもあり、本作は2013年Estuario社から刊行された同名小説の映画化、デビュー作から監督と二人三脚で映画作りをしている(彼女は監督夫人である)。音楽監督のレオナルド・Heiblumは、『マリアの選択』以外に、マルシア・タンブッチ・アジェンデの「我が祖父、アジェンデ」やディエゴ・ケマダ≂ディエスの『金の鳥籠』などを手掛けたベテラン。
(小説“Un monstruo de mil cabazas”の表紙)
*監督キャリア
& フィルモグラフィー*
★ロドリーゴ・プラRodrigo Plá:1968年、ウルグアイのモンテビデオ生れ、監督、脚本家、プロデューサー。「エスクエラ・アクティバ・デ・フォトグラフィア・イ・ビデオ」、後「カパシタシオン・シナマトグラフィカ」センターで脚本と演出を学んだ。以下フィルモグラフィーを参照。
(『マリアの選択』のポスターをバックに監督夫妻)
1996“Novia mía”短編、第3回メキシコの映画学校の国際映画祭に出品、メキシコ部門の短編賞を受賞、フランスのビアリッツ映画祭ラテンアメリカ部門などにも出品された。
2001“El ojo en la nuca”短編、グアダラハラ映画祭メキシコ短編部門で特別メンションを受ける。ハバナ映画祭、チリのバルディビア映画祭で受賞の他、スペインのウエスカ映画祭、サンパウロ映画祭などにも出品された。
2007“La zona”長編デビュー作、監督、脚本、製作、受賞歴は上記参照
2008“Desierto adentro”監督、脚本、製作、グアダラハラ映画祭2008で観客賞ほか受賞、
アリエル賞2009で脚本賞受賞
2010“Revolución”(10名の監督による「メキシコ革命100周年記念」作品)『レボリューション』の邦題でラテンビート2010で上映
2012“La demora” 『マリアの選択』の邦題でラテンビート2012で上映、ベルリン映画祭2012「フォーラム」部門でエキュメニカル審査員賞受賞、アリエル監督賞、ハバナ映画祭監督賞、ウルグアイの映画批評家連盟の作品賞以下を独占した。
2015“Un monstruo de mil cabezas”割愛
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