金のメダル2015発表*スペイン映画アカデミー ― 2015年08月01日 11:27
アイタナ・サンチェス≂ヒホンとフアン・ディエゴ
★先日、フェルナンド・トゥルエバが国民映画賞を受賞するニュースをお届けしたばかりですが、今回はスペイン映画アカデミー金のメダル*受賞者のお報せです。各年1名ですが、今年はアイタナ・サンチェス=ヒホンとフアン・ディエゴの二人がアナウンスされました。授賞式は10月、2回前の2013年から同日午前中にアカデミー本部でメダル授与が各メディアに公開され、夜にガラがあります。受賞対象者は国民映画賞と同じ、製作者、監督、脚本家、俳優、音楽家、撮影者などオール・シネアスト。

*メダルの正式名は:Medalla de Oro de la Academia de las Artes y las
Ciencias Cinematográficas de España と長たらしい。通称金のメダルです。1991年から始まり、第1回受賞者はフェルナンド・レイでした。内戦前のスペイン映画界に寄与した製作会社 CIFESA の設立者であったビセンテ・カサノバに敬意を表して、1986年に設けられた賞が前身。
★昨年は作曲家のアントン・ガルシア・アブリルと日本での知名度が低かったので記事に致しませんでした。最近の受賞者、アンヘラ・モリーナ(13、女優)、マヌエル・グティエレス・アラゴン(12、監督)、ホセ・ルイス・アルカイネ(11、撮影監督)、ロサ・マリア・サルダ(10、女優)、カルメン・マウラ(09、同)、マリベル・ベルドゥ(08、同)、ほかジェラルデン・チャップリン(06)、コンチャ・ベラスコ(03)など女優の受賞者が目立ちます。
★メダルのデザインには2回変更があり、現在のは1996年、スペインを代表する画家アントニオ・ロペスがデザインしたものが定着しています。エリセのドキュメンタリー『マルメロの陽光』(92)の主人公です。1996年はスペイン映画100周年の節目の年、『光と影 スペインシネマ100年』が製作された年でもありました。本作は1997年、日本スペイン協会創立40周年記念行事の一環として「スペイン映画祭」が開催された折りに上映されました。
★アイタナ・サンチェス=ヒホン:1968年ローマ生れ、映画・舞台女優。父は歴史学教授、スペイン語翻訳者(2007年没)、母はイタリアの数学教授という学者一家の生れ。アイタナという名前はスペイン文学「27年世代」を代表する詩人で戯曲家のラファエル・アルベルティの娘の名前から取られた。日本登場はアルフォンソ・アラウの『雲の中で散歩』(95、米)、イタリア映画のリメイク版、後のオスカー撮影監督エマニュエル・ルベッキの映像美やキアヌ・リーヴスが出演していたことで話題になった。アラウ監督は『赤い薔薇ソースの伝説』を撮った監督。マヌエル・ゴメス・ペレイラの『電話でアモーレ』(95、西)ではハビエル・バルデムとタッグを組んだ。しかしビガス・ルナの『裸のマハ』のアルバ公爵夫人役が忘れがたい。他に役に合わせて30キロ減量したというクリスチャン・ベールと共演したサイコ・スリラー『マシニスト』、ルイス・プエンソの『娼婦と鯨』(04)のように未公開だがDVD発売の作品もあり、比較的知られているほうか。最近は映画を離れて舞台に専念、7月下旬に開催された「メリダ演劇フェスティバル」でギリシャ悲劇『メデア』に出演した。それが金のメダル受賞の喜びの談話に現れている。

★受賞は、「もしかして間違いではないかと当惑しています。映画ではあまり知られていないから。でも映画界の方々が私を評価してくれたことに元気づけられました」と。加えて「大先輩のフアン・ディエゴと一緒に受賞できるなんて、彼は私の代父、16歳でデビューしたときいろいろ相談にのってくれ、スタニスラフスキー・システムの本を贈って支えてくれた」とも。スペイン映画アカデミーの女性初の会長を務めた(1999~2000)から、「当惑している」は謙遜です。
★フアン・ディエゴ:1942年セビーリャのボルムホス生れ。農作業がイヤで田舎を飛び出し、18歳でセビーリャの舞台に立ったのが病みつきとなる。それ以来役者が天職と俳優一筋の人生を歩む。まだゴールデン・メダルを貰っていなかったなんて、トゥルエバが国民映画賞を貰っていなかったと同様驚きです。好きな俳優ということもあって折々にご紹介してきましたが、マラガ映画祭2014でチェマ・ロドリーゲスの“Anochece en la India”で最優秀男優賞を受賞した記事に詳しい。なかで忘れられないのが、マリオ・カムスの『無垢なる聖者』(84)、故ガルシア・ベルランガの“París Tombuctú”(99)、サウラの“La
noche oscura”(89)、引退宣言してしまったオスカー監督ホセ・ルイス・ガルシの“You’re the one”(00)、故ビガス・ルナの『ハモン・ハモン』(92)、初のゴヤ賞主演に輝いた“Vete de mí”(06)などか。
◎マラガ映画祭2014の記事や輝かしい受賞歴&作品紹介は、コチラ⇒2014年04月21日

★受賞談話を要約すると、「とても嬉しい、アイタナにとっても私自身にとっても、どの賞よりも素晴らしい賞だからね。何が人の心を打つかは人さまざまだと思うけど、これは運命なんだ。星のめぐり合せが良かったとも言えるし、仲間たちからのプレゼントだとも言える・・・現在はとてもワクワクしている。ずっと前から待っていたからね。役者をつづけるには、いい脚本に出合うことだ」と語った。ホンが決め手ですね。
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