第2回フェロス賞2015ノミネーション*最多は”La isla minima”の10個 ― 2014年12月23日 21:05
第 2 回フェロス賞ノミネーション
★正式名は‘Premios Feroz’*、AICE**が米国のゴールデン・グローブ賞と同じ位置づけで2013年11月に設立した映画賞。合計13部門のノミネーション発表は12月、映画記者協会のメンバー約170人が選定する。前年度の各映画祭での受賞作、劇場公開された作品(全国展開でなくてもマドリードやバルセロナなど大都市で公開)、またはオンライン配信されたものも対象作品とするようです。国際映画祭で受賞しても配給元が見つからないケースも対象になる。第1回授賞式は2014年1月27日に行われ、作品賞(ドラマ部門)はロドリーゴ・ソロゴジェンの“Stockholm”でした。
*スペイン語の「feroz」は、一般には動物が「獰猛な」、人間が「残酷な」とマイナス・イメージに使用されているが、「スペイン現代語辞典」では、「とても素晴らしい、非凡な、並外れた、見事な」という意味も採用されている。“Diccionario del Español Actual”(Manuel
Seco 他、Aguilar社1999)
**Asociación de Informadores Cinematográficos de Españaスペイン映画記者協会 の頭文字。
(フェロス賞のトロフィー)
★カテゴリー(栄誉賞と特別賞を含む)13部門(右列:第1回受賞作品&受賞者)
1 作品賞(ドラマ) “Stockholm”
2 作品賞(コメディ) “3 bodas
de más”
3 監督賞 ダビ・トゥルエバ“Vivir es
facil con los ojos cerrados”
4 脚本賞 “Vivir es fácil con los ojos cerrados”
5 主演男優賞 アントニオ・デ・ラ・トーレ『カニバル』
6 主演女優賞 マリアン・アルバレス“La herida”
7 助演男優賞 マリオ・カサス『スガラムルディの魔女』
8 助演女優賞 テレレ・パベス『スガラムルディの魔女』
9 オリジナル音楽賞 ビクトル・レイジェス『グランドピアノ~狙われた黒鍵』
10 トレーラー賞 Teaserの『アイム・ソー・エキサイテッド』
11 映画ポスター賞 Serie 10 razones の“3 bodas
de más”
栄誉賞(すべてのシネアストが対象)
特別賞(興行成績が良かった観客賞のようなものか)
★栄誉賞と特別賞は、ゴヤ賞など他の映画賞にはないものです。ゴチック体はゴヤ賞2014と受賞が重なったもの。当ブログで全ての受賞作品を紹介しております。
第2回(授賞式2015年1月25日開催)主なノミネーション
★今年は123作品中13作品に絞られています。つまり1作品が複数のカテゴリーにノミネートされているということです。受賞は割れると思いますが、フォルケ賞やゴヤ賞のノミネートとほぼ重なるラインナップという印象です。例えば、アルベルト・ロドリゲスの“La
isla minima”の内訳は、コメディ賞(コメディではない)と主演女優賞(主演女優は出てこない)以外のすべてにノミネート、主演男優賞にラウル・アレバロとハビエル・グティエレスの二人ノミネートで合計10個となりました。グティエレスは既にサンセバスチャン映画祭で男優賞を受賞しています。
(“La isla minima”出演のラウル・アレバロ左とハビエル・グティエレス右)
★今年のスペイン映画界は、消費税増税にもかかわらず「黄金の年」であった。例えば、エミリオ・マルティネス≂ラサロの大ヒット“Ocho apellidos vascos”(5600万ユーロ)、ダニエル・モンソンの『エル・ニーニョ』(1620万)、サンチャゴ・セグラのトレンテ・シリーズ第5弾“Torrente V :Operacion Eurovegas”(1070万)、“La isla minima”(600万)などが挙げられる。一番貢献した“Ocho apellidos vascos”は、コメディ賞、助演女優賞(カルメン・マチ)、助演男優賞(カラ・エレハルデ)とトレーラー賞の4個、次の『エル・ニーニョ』は、助演男優賞にエドゥアルド・フェルナンデスとヘスス・カロサの二人、オリジナル音楽賞のロケ・バニョスの3個です。サンチャゴ・セグラの「トレンテ4」は、スペイン映画界の救世主と感謝されたのにゴヤ賞ノミネーションはゼロでした。今回の“Torrente V :Operacion Eurovegas”はフェロス賞にも嫌われ、多分ゴヤ賞にも嫌われると思います。
(左から、カルメン・マチとカラ・エレハルデ)
★興行的には貢献しているとは言えないが、映画記者に好かれたのが、サンセバスチャンで異例の金貝賞と監督銀貝賞のダブル受賞をしたカルロス・ベルムトの“Magical Girl”です(本来はダブル受賞なし)。ドラマ部門作品、監督、主演女優、主演男優、助演男優、脚本、トレーラー、ポスターの8個。また興行成績も200万ユーロと貢献度が高かったパコ・レオンのカルミナ第2弾“Carmina y amén”は、コメディ部門作品、監督、主演女優、助演女優以下7個と健闘しています(個人的に応援している)。
(“Magical Girl”のカルロス・ベルムト監督)
(“Carmina y amén”のカルミナ・バリオスとマリア・レオン母娘)
★ラテンビートと東京国際映画祭で共催上映されたバスク映画『フラワーズ』が期待以上の6個、ドラマ部門作品、監督・脚本(ジョン・ガラーニョ&ホセ・マリ・ゴエナガ)、助演女優(イジアル・アイツプル)、音楽(パスカル・ゲーニェ)、ポスター。マラガ映画祭のグランプリ、カルロス・マルケス≂マルセの“10,000 KM”も6個、ドラマ部門作品、監督、脚本、主演女優(ナタリア・テナ)、主演男優(ダビ・ベルダゲル)、トレーラー。
(『フラワーズ』のテレ役イジアル・アイツプル)
★ハイメ・ロサーレスの“Hermoso
juventud”がドラマ部門作品、脚本、主演女優(イングリッド・ガルシア・ヨンソン)の3個、同じくホルヘ・トレグロッサの“La vida inesperada”がコメディ作品、主演男優(ハビエル・カマラ)、音楽(ルシオ・ゴドイ他)の3個、ハビエル・フェセルの久々のモルタデロ&フィレモン・シリーズ“Mortadelo y Filemon contra Jimmy el cachondo”が、コメディ作品と音楽(ラファエル・アルナウ)の2個などです。
★もう間もなく発表になるはずですが、栄誉賞と特別賞はまだです。ゴチック体は当ブログで紹介した作品です。
コメント
トラックバック
このエントリのトラックバックURL: http://aribaba39.asablo.jp/blog/2014/12/23/7522745/tb
※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。
コメントをどうぞ
※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。
※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。