オリソンテス賞にドキュメンタリー「El castillo」*サンセバスチャン映画祭2023 ㉓ ― 2023年10月05日 10:08
バヨナ監督の「La sociedad de la nieve」が観客賞
(J.A.バヨナ監督の「La sociedad de la nieve」から)
★数ある賞のうち受賞者が壇上に呼ばれる代表的なものに、クチャバンク賞(ニューディレクターズ部門)、オリソンテス賞(オリソンテス・ラティノス部門)、イリサル賞(バスク映画部門)などがあります。既に授賞式が終わっている部門は、ガラの冒頭にまとめて紹介される。賞の数は回を追うごとに増えるから、限られた時間内におさめるのは難しい。授賞式後に上映されるクロージング作品が押している事情もある。今年のクロージングは、ジェームズ・マーシュの「Dance First」(英=ハンガリー=ベルギー合作、アウト・オブ・コンペティション)がワールド・プレミアされた。アイルランドの劇作家サミュエル・ベケットのピオピックというわけで、午前中から一行はカメラの放列に晒されていた。監督以下ガブリエル・バーン(ベケット)、サンドリーヌ・ボネール(ベケットの妻)、エイダン・ギレン(ジェームズ・ジョイス)など大勢が金貝賞発表後に登壇した。
(中央が監督、閉幕作品「Dance First」の舞台挨拶)
★ヨーロッパ映画観客賞を受賞した「Io cpitano / Yo, Capitano」のマッテオ・ガローネは、レッドカーペットには現れましたがガラには欠席のようで、二人の主演者セイドウ・サールとムタファ・フォールが登壇しました。先だってのベネチア映画祭で銀獅子監督賞を受賞したばかりです。生き残りをかけてセネガルのダカールを捨て、ヨーロッパへ向けて砂漠を越え海をわたる二人の若者の物語。スピーチはセネガルの公用語の一つウォロフ語なのか分かりませんが通訳がついていた。10点満点で第2位の9,13点でした。
★ドノスティア市観客賞を受賞したJ. A. バヨナの「La sociedad de la nieve」は、10点満点で9.23点というレコードを叩き出し、文句なしの受賞でした。クリナリー映画賞のトラン・アン・ユンは、日本ではファンが多く、『夏至』や『青いパパイヤの香り』『エタニティ永遠の花たち』などが公開されている。
★Fipresci 賞を受賞したギリシャのクリストス・ニクのサイエンス・フィクション「Fingernails」が、『フィンガーネイルズ』の邦題で11月3日からApple TV+での配信が決まっています。製作国は米国とイギリス、言語はギリシャ語でなく英語です。前作「Mila」が『アップル』として東京国際映画祭2020で上映され、2022年には『林檎とポラロイド』として公開されている、気になる監督です。
★クチャバンク賞(新人監督賞)受賞のディワ・シャーDiwa Shah のデビュー作。インド史上初の受賞ということです。ヒマラヤ山脈の麓の出身という監督は、「この栄誉を謙虚に受けとり、この映画を受け入れてくれた素晴らしい観客に感謝する」とスピーチした。インドでの新型コロナ感染のパンデミックの封鎖を背景に、ネパールの移民労働者の闘いを魅力的に描いたことが受賞に繋がった。プレゼンターの審査委員長エミリー・モーガンは、「社会政治的なビジョンをもち、感動的な友情を軸にして、普遍的でエキサイティングにテーマを掘り下げた」と絶賛した。
★以下にセクション・オフィシアル以外の受賞者をアップします。(*印は紹介作品)
◎クチャバンク賞(ニューディレクターズ部門、新人監督賞)
「Bahadur The Brave」製作国インド、ヒンズー語・ネパール語、50,000ユーロの副賞
監督ディワ・シャーDiwa Shah のデビュー作
(中央が監督)
(仮訳「勇気あるバハドゥール」のポスター)
◎オリソンテス賞(オリソンテス・ラティノス部門)
「El castillo」ドキュメンタリー、副賞35,000ユーロ アルゼンチン=仏=西 *
監督マルティン・ベンチモル
(マルティン・ベンチモル、ジェマ・フアレス)
(今回のガラで一番長いスピーチをしたベンチモルとフアレス)
◎サバルテギ-タバカレア賞
「El auge del humano 3 / The Human Surge 3」
アルゼンチン=ポルトガル=オランダ=ブラジル=ペルー=香港=スリランカ
監督エドゥアルド・ウィリアムズ
制作会社「Un Puma」のビクトリア・マロッタ、ジェロニモ・ケベド
(製作者のビクトリア・マロッタとジェロニモ・ケベド)
(監督のエドゥアルド・ウィリアムズ)
◎ドノスティア(サンセバスティアン)市観客賞
「La sociedad de la nieve」(ペルラク部門)スペイン
監督フアン・アントニオ・バヨナ
(フアン・アントニオ・バヨナ監督、製作者テレサ・モネオ)
◎ヨーロッパ映画観客賞
「Io cpitano / Yo, Capitano」(ペルラク部門)イタリア
監督マッテオ・ガローネ(ガラは欠席)
(登壇したセイドウ・サールとムタファ・フォール)
(マッテオ・ガローネ監督とセイドウ・サールとムタファ・フォール、26日)
(授賞式前のフォトコール)
◎イリサル賞(バスク映画部門)
「El sueño de la sultana」アニメーション、スペイン=ドイツ *
監督イサベル・エルゲラ
(イサベル・エルゲラ監督)
(左からプレゼンターのクリスティナ・ソリタ、テルモ・イルレタ、ミケレ・ランダ)
◎クリナリー映画賞(映画とガストロノミー部門)
「La pasion de Dodin Bouffant / The Pot au Feu(A fuego lento)」 フランス
監督トラン・アン・ユン(ベトナム出身のフランスの監督)
(プレゼンターのホセ・マリ・ゴエナガ、トラン・アン・ユン)
◎ Eusko Label 賞( Eusko Label 部門)
「Latxa」 監督ミケル・ウレタビスカイアUrretabizkaia
◎ RTVE「ある視点」賞
「The Royal Hotel」(セクション・オフィシアル)オーストラリア=イギリス
監督キティ・グリーン
◎スペイン・ラテンアメリカ協同賞
「La estrella azul / The Blue Star」(ニューディレクターズ部門)
副賞10,000ユーロ スペイン=アルゼンチン *
監督ハビエル・マシぺ
(協同賞を受賞したハビエル・マシぺ)
(ユースTCM 審査員賞を受賞した監督)
◎ Fipresci 賞
「Fingernails(Esto va a doler)」(セクション・オフィシアル)米国=イギリス
監督クリストス・ニク
(クリストス・ニク、フォトコール9月23日)
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