パコ・ロカのコミックのアニメーション*マラガ映画祭2018 ⑪ ― 2018年04月15日 15:44
ビデオゲーム作家カルロス・フェルフェルが映画に戻ってきた!

★カンヌ映画祭2018のコンペティション部門と「ある視点」のノミネーションが発表になりました。まだ全部ではないようですがよく見る顔と初めての顔とが入り混じっています。この時期は、例年ならマラガは終了していたのですが、今年はオープニングしたばかりです。オープニング作品マテオ・ヒルの新作「Las leyes de la termodinamica」の批評も出ました。これから紹介するカルロス・フェルナンデス・デ・ビゴ(カルロス・フェルフェル)のアニメーション「Memorias de un hombre en pijama」も既に上映されました。実際はアニメ部分80%、実写部分20%、ということでキャスト紹介はヴォイスになっておりません。

(カルロス・フェルナンデス・デ・ビゴ、マラガ映画祭にて)
「Memorias de un hombre en pijama」 2018年
製作:Dream Team Concept / Ezaro Films / Hampa Studio / Movistar+/ TVE 他多数
監督:カルロス・フェルナンデス・デ・ビゴ
脚本:パコ・ロカ、アンヘル・デ・ラ・クルス、ディアナ・ロペス・バレラ
撮影:マルコス・ガルシア・カベサ
音楽:Love of Lesbian
編集:エレナ・ルイス
視覚効果:マルコス・ガルシア・カベサ、モイセス・レハノ・アルホナ
アニメーション監督:ロレナ・アレス
製作者:マリア・アロチェ(エグゼクティブ)、アンヘル・デ・ラ・クルス、マヌエル・クリストバル、ジョルディ・メンディエタ、アレックス・セルバンテス
データ:製作国スペイン、スペイン語、2018年、アニメーション+ 実写、74分、コメディ・コミック、マラガ映画祭2018正式出品(上映4月14日)
キャスト:ラウル・アレバロ(パコ)、マリア・カストロ(ヒルゲロ)、マヌエル・マンキーニャ(メッセンジャー)、サンティ・バルメス(エスコルピオ)、フリアン・サルダリアガ(タウロ)、ジョルディ・ブルネト、タチョ・ゴンサレス、エレナ・S・サンチェス
プロット:40代の独身男性パコの物語。子供のときからの夢を手に入れ充実した人生を送っている。つまりパジャマを着たまま家でずっと仕事をして、まさに幸福感を満喫していた。ところがまったく予期せぬことが出来してしまった。ヒルゲロに出会い恋してしまったのだ。カップルが直面せざるを得ない日々の困難が語られる。パコは相変わらずパジャマを手放そうとはせず、家の中に留まることの正当性を主張する。二人の友人たちの忠告や彼らの人生を織り交ぜながら、物語はコミカルな色合いのなかで進んでいくことになる。

(パコ役、アニメと実写のラウル・アレバロ)
★本作はパコ・ロカ(フランシスコ・ホセ・マルティネス・ロカ、1969年バレンシア生れのコミック作家)原作のコミックの映画化です。20年以上のキャリアをもつ、スペインを代表する漫画家。パコ・ロカは2007年の「Arrugas」が国際的にも大成功をおさめ、日本でも『皺』の邦題で翻訳刊行(ShoPro Book、2011年7月刊)された。2012年2月に来日、セルバンテス文化センターで講演会が持たれました。映画化の邦題は『しわ』となり、イグナシオ・フェレーラス監督も翌年6月の劇場公開時に来日していたはずです。今回映画化された「Memorias de un hombre en pijama」のコミック版は2011年刊、既に映画化が決定していたから完成の道のりは長かった。

(パコ・ロカと原作コミック)
★脚本の共同執筆者アンヘル・デ・ラ・クルスは『しわ』でもタッグを組んでいる。ウェンセスラオ・フェルナンデス・フローレスの同名小説「El bosque animado」をアニメ化(2001)した監督、脚本家、アニメの脚本を多数手掛けている実力者です。この小説は1987年ホセ・ルイス・クエルダがアルフレッド・ランダを主役にして既に映画化しており、『にぎやかな森』の邦題で第2回スペイン映画祭上映後公開されています。ディアナ・ロペス・バレラはクレジットされておりませんが、同じように参加していたようです。製作者マヌエル・クリストバルも『しわ』「El bosque animado」参加組の一人です。

(日本版『しわ』のDVDポスター)
*監督キャリア&フィルモグラフィー*
★カルロス・フェルナンデス・デ・ビゴ(カルロス・フェルナンデス・フェルナンデス)は、ビデオゲーム作家、監督、脚本家、製作者。ニックネーム、カルロス・フェルフェル(IMDb)、カルロス・F・ビダルなど、幾つもの名前がある。ビゴ大学卒。ガリシアのビゴ出身から本作ではカルロス・フェルナンデス・デ・ビゴでクレジットされている。アニメーション2D/3Dのキャリアは20数年になり、2012年ビデオゲーム「Fireplacing」(ニンテンドーWii)や2014年「Zombeer」(ソニー・プレイステーション3)などがある。監督は主演者ラウル・アレバロともどもマラガ入りしており、上映後のプレス会見も済んだようです。

(上映後のプレス会見、中央が監督、右端がラウル・アレバロ)
★2013年短編アニメーション3D「Morti」を撮る。長編アニメは「Memorias de un hombre en pijama」が初となる。これからの予定としてSFアクション「Tesla 3327」やSFホラー「Skizo」がアナウンスされています。毎年6月にフランスで開催される「アヌシー国際アニメーション映画祭2018」に出品されます。それに先立ってカンヌ映画祭のフィルム・マーケットのなかの「Goes to Cannes」で5月19日に一部分の上映が決定したようで、宣伝効果が期待されます。この映画祭では宮崎駿の『紅の豚』や、ついこのあいだ鬼籍入りした高畑勲の『平成狸合戦ぽんぽこ』、昨年は湯浅正明の『夜明け告げるルーのうた』がグランプリを受賞している世界最大のアニメーション映画祭です。

(短編アニメーション「Morti」のポスター)
第21回マラガ映画祭2018*最新フォト ① ― 2018年04月15日 17:49

*4月13日、マラガ市のセルバンテス劇場で開幕されました。入手できた写真をお届けします。

(赤絨毯が敷きつめられたセルバンテス劇場前)

(オープニング上映となったマテオ・ヒルの「Las leyes de la termodinámica」面々)

(マラガ-スール賞のトロフィーを手にしたギレルモ・デル・トロ、左はキューバ映画
「Sergio & Serguéi」出演のロン・パールマン、ゴヤ賞2018栄誉賞受賞者のマリサ・パレデス)

(海沿いのアントニオ・マチャード遊歩道に建てられた記念碑前のギレルモ・デル・トロ、
大賞マラガ-スール賞受賞者が建てて貰える)

(アルゼンチンから到着した「La reina del miedo」の監督ヴァレリア・ベルトゥチェッリ)
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