第4回イベロアメリカ・プラチナ賞2017*結果発表 ― 2017年07月25日 18:36
作品賞は『笑う故郷』、アルモドバルが『ジュリエッタ』で監督賞!
★ノミネーション発表(5月31日)から大分時間が空いて気が抜けてしまっていた授賞式が、去る7月22日にマドリードのカハ・マヒカで開催されました。作品賞は予想通り、本作はラテンビート上映時の邦題『名誉市民』が『笑う故郷』と笑えないタイトルになって公開されます。監督賞はJ.A.バヨナかアルモドバルか迷いましたが、後者に軍配が上がりました。当夜いちばん光が当たった人がアルモドバルでした。彼の授賞式参加は初めて、つまりガラでの発言は皆無でした。「この受賞を市民戦争中に行方不明になった家族を探し続けている人々に」捧げるとスピーチした。えっ『ジュリエッタ』ってそんな映画でした? これにはかなり説明が必要なので別にアップいたします。というのもフランコ時代に無実の罪で23年間服役していた詩人マルコス・アナ(1920~2016)の回想録の映画化と関係があるからです(アルモドバルはこの回想録の映画化権を持っている)。いずれアップします。
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★ドラマ部門の女優賞はブラジルのソニア・ブラガ、本作で第3回イベロアメリカ・フェニックス賞でも女優賞を受賞している。なお彼女は第1回プラチナ賞の栄誉賞受賞者でもありました。観客賞部門の女優賞ナタリア・オレイロは、ウルグアイ出身であるが主にアルゼンチンで活躍している。前回ウルグアイで開催された第3回ではサンティアゴ・セグラと総合司会者を務めました。ということで今回はベテラン女優が気を吐きました。男優賞のオスカル・マルティネスについてはもう書きすぎました。
作品賞(ドラマ部門)
「Aquarius アクエリアス」(ブラジル)監督:クレベール・メンドンサ・フィリオ
◎『笑う故郷』(アルゼンチン、スペイン)監督:ガストン・ドゥプラット&マリアノ・コーン
『スモーク・アンド・ミラーズ』(スペイン)監督:アルベルト・ロドリゲス
『ジュリエッタ』(スペイン)監督:ペドロ・アルモドバル
「ネルーダ」(チリ・アルゼンチン・スペイン)監督:パブロ・ラライン
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(左から、アンドレス・ドゥプラット、ガストン・ドゥプラット、オスカル・マルティネス、
マリアノ・コーン、受賞者一同)
監督賞
フアン・アントニオ・バヨナ『怪物はささやく』(スペイン)
クレベール・メンドンサ・フィリオ「Aquarius」(ブラジル)
ガストン・ドゥプラット&マリアノ・コーン『名誉市民』(アルゼンチン・スペイン)
パブロ・ラライン「ネルーダ」(チリ・アルゼンチン・スペイン)
◎ペドロ・アルモドバル『ジュリエッタ』(スペイン)
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脚本賞
アルベルト・ロドリゲス&ラファエル・コボス『スモーク・アンド・ミラーズ』(スペイン)
◎アンドレス・ドゥプラット『笑う故郷』(アルゼンチン、スペイン)
セルソ・ガルシア「La delgada línea amarilla」(メキシコ)
ギジェルモ・カルデロン「ネルーダ」(チリ・アルゼンチン・スペイン)
パベル・ヒロウド&アレハンドロ・ブルゲス他「El acompañante」
(キューバ、ベネズエラ、コロンビア)
女優賞
アンジー・セペダ「La semilla del silencio」(コロンビア)
エンマ・スアレス『ジュリエッタ』(スペイン)
フアナ・アコスタ「Anna」(コロンビア・フランス)ジャックToulemondeビダル監督
ナタリア・オレイロ「Gilda, no me arrepiento de este amor」(アルゼンチン)
ロレナ・ムニョス監督
◎ソニア・ブラガ「Aquarius」(ブラジル)
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男優賞
アルフレッド・カストロ『彼方から』(ベネズエラ、チリ)
ダミアン・カサレス「La delgada línea amarilla」(メキシコ)
エドゥアルド・フェルナンデス『スモーク・アンド・ミラーズ』(スペイン)
ルイス・ニェッコ「ネルーダ」(チリ・アルゼンチン・スペイン)
◎オスカル・マルティネス『笑う故郷』(アルゼンチン、スペイン)
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オペラ・プリマ(第1回監督作品、ドラマ部門)
◎『彼方から』(ベネズエラ、チリ)ロレンソ・ビガス
「La delgada línea amarilla」(メキシコ)セルソ・ガルシア
「Rara」(アルゼンチン、チリ)ペパ・サン・マルティン
「Viejo calavera」(ボリビア)キロ・ルッソ
『物静かな男の復讐』(スペイン)ラウル・アレバロ
音楽賞
◎アルベルト・イグレシアス『ジュリエッタ』
ゴヤ賞の胸像を10個、オスカー賞ノミネーション3回、今回プラチナ賞をゲットして、トロフィーのコレクター。アルモドバル作品を一手に引き受けている。
美術賞
◎エウヘニオ・カバジェロ『怪物はささやく』
撮影賞
◎オスカル・ファウラ『怪物はささやく』
編集賞
◎Bernat Vinapiana / Jaune Marti『怪物はささやく』
録音賞
◎Peter Glossop / Marc Orts / オリオル・タラゴ『怪物はささやく』
『怪物はささやく』は言語が英語のため、作品賞から外されました。興行的にはナンバーワンの功労者でしたが残念でした。バヨナ自身は監督賞を逃しましたが、技術部門4個を制しました。
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ミニシリーズ&テレビシリーズ賞
◎“Cuatro estaciones en La Habana”(西、キューバ)監督:フェリックス・ビスカレット
キューバの推理作家レオナルド・パドゥラのマリオ・コンデ警部補が活躍する「四季シリーズ」がベースになっている。
ドキュメンタリー賞
◎“2016, Nacido en Siria”(スペイン)監督:エルナン・シン
現在ヨーロッパで起きている、各政府が目を背けている証言で綴られている。よりよい生活を求めて旅を続けるシリアの子供たち20人と14か月間、監督は行を共にして作ったドキュメンタリー。
アニメーション賞
◎“Psiconautas, los niños olvidados ”(スペイン)監督:アルベルト・バスケス&ペドロ・リベロ
意義のある教育賞
◎“Esteban”(キューバ、スペイン)
作品賞(観客賞部門)
◎『笑う故郷』(アルゼンチン、スペイン)
女優賞(観客賞部門)
◎ナタリア・オレイロ ”Gilda, no me arrepiento de esta amor”
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男優賞(観客賞部門)
◎オスカル・マルティネス(『笑う故郷』)
ポスター賞(観客賞部門)
◎『ジュリエッタ』アルモドバル
◎プラチナ栄誉賞
エドワード・ジェームズ・オルモス
EGEDA会長エンリケ・セレソがプレゼンターでした。1947年ロサンゼルス生れのメキシコ系アメリカ人俳優。スペインUSA合作『ロルカ、暗殺の丘』(1997、監督マルコス・スリナガ)、代表作は『ブレードランナー』、TVドラマ『特捜刑事マイアミ・バイス』(1984~89)のマーティン・キャステロ主任警部役がもっとも有名でしょうか。本作で1985年にゴールデングローブ賞、エミー賞を受賞している。5月31日にロスで開催されたノミネーション発表会のプレゼンターを務めていた。
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★記者会見では「時差ボケで睡眠がとれずくたくたです。・・・国ではラテン芸術の理解に奮闘しています。彼らは私たちラテン系に恐怖をもっているのです」と、今や国民の20パーセントを占めるに至ったヒスパニック系アメリカ人に対する差別が増加していると語っていた。トランプが演出する反オバマ政策を支持する一部の人々が存在していること、そういう米国人はアフロ系大統領には我慢できなかった。「しかし私はオプティミストです」と希望も語っていた。
★第5回イベロアメリカ・プラチナ賞2018はラテンアメリカに戻って、メキシコのリビエラ・マヤで、4月開催がアナウンスされました。有名なリゾート地カンクンより南へ車で90分ほどにある、外国人セレブに人気のあるリゾート地です。
*第4回イベロアメリカ・プラチナ賞ノミネーション発表の記事は、コチラ⇒2017年6月5日
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