第25回ホセ・マリア・フォルケ賞2020*結果発表 ― 2020年01月13日 14:37
最優秀作品賞はバスクの監督トリオの「La trinchera infinita」に!

(グレタ・フェルナンデス、アントニオ・レシネス、イツィアル・カストロ、第25回ガラ)
★1月11日、マドリード市庁舎IFEMAのイベント会場(1800人収容)で第25回ホセ・マリア・フォルケ賞の授賞式がありました。総合司会は今回3回目となるエレナ・サンチェスとサンティアゴ・セグラ。ホセ・マリア・フォルケの生れ故郷サラゴサ市で、2年連続開催されていたガラもマドリードに戻ってきました。ノミネーションを受けた人々、トロフィーのプレゼンターたちは勿論ですが、マドリードとあって多くのシネアストたちが赤絨毯を踏みました。ゴヤ賞の前哨戦といわれていた本賞も、フォルケ賞が始まってからはその役目は終わったと判断したのか、独自の視点で授賞者を選んでいるようです。監督のようには光の射さない縁の下の力持ち、製作者集団を讃える賞がその始り、従って監督賞はなく、現在ある俳優賞も後に追加されたものでした。

(息の合った総合司会者、エレナ・サンチェスとサンティアゴ・セグラ)
★フォルケ賞の選考母体はEGEDA(オーディオビジュアル著作権管理協会)で、会長はエンリケ・セレソです。会長がEGEDA金のメダルという栄誉賞のプレゼンターを務めます。今年は比類ないシネアストであるゴンサロ・スアレス(オビエド1934、85歳)が受賞しました。
*フォルケ賞2020のノミネーション記事は、コチラ⇒2019年11月27日

(EGEDA金のメダルを手にしたゴンサロ・スアレス)
第25回ホセ・マリア・フォルケ賞結果発表(*ゴチック体が受賞)
◎作品賞(長編ドラマ&アニメーション)
Dolor y gloria 監督ペドロ・アルモドバル
*La trinchera infinita 監督ジョン・ガラーニョ、アイトル・アレギ、ホセ・マリ・ゴエナガ
Mientras dure la guerra (『戦争のさなかで』)監督アレハンドロ・アメナバル
O que arde (『ファイアー・ウィル・カム』)監督オリベル・ラシェ

(プレゼンターのグラシア・ケレヘタ監督と女優のパス・ベガ)

(ジョン・ガラーニョ、アイトル・アレギ、ホセ・マリ・ゴエナガ)
◎女優賞
ベレン・クエスタ(La trinchera infinita)
*マルタ・ニエト(Madre)監督ロドリゴ・ソロゴイェン
グレタ・フェルナンデス(La hija de un ladlón)監督ベレン・フネス
ピラール・カストロ(Ventajas de viajar en tren)『列車旅行のすすめ』 同アリッツ・モレノ


(赤絨毯に現れたマルタ・ニエトとロドリゴ・ソロゴジェンのカップル)
◎男優賞
*アントニオ・バンデラス(Dolor y gloria)
アントニオ・デ・ラ・トーレ(La trinchera infinita)
カラ・エレハルデ(Mientras dure la guerra)『戦争のさなかで』
Enric Auquer(Quien a hierro mata) 監督パコ・プラサ
〇アントニオ・バンデラスは欠席。代理として製作者のアグスティン・アルモドバルが受け取りました。プレゼンターはナタリア・デ・モリーナとマルタ・アサス。
◎ラテンアメリカ映画賞
*La odisea de los giles(アルゼンチン) 監督セバスティアン・ボレンステインBorensztein
Monos(コロンビア)『猿』 監督アレハンドロ・ランデス
Araña(チリ)『蜘蛛』 監督アンドレス・ウッド
La camarista(メキシコ) 監督リラ・アビレス
〇受賞作は、ゴヤ賞イベロアメリカ映画賞にもノミネートされています。 リカルド・ダリンとチノ・ダリンが共演している。監督は長年リカルドを主役にした映画を撮っていることで有名)

(右側が製作者のフェルナンド・ボバイラ、『戦争のさなかで』もプロデュースしている)
◎ Cine en Educación y Valores 賞
Abuelos 監督サンティアゴ・レケホ
Vivir dos veces 監督マリア・リポル
Elisa y Marcela 『エリサ&マルセラ』 監督イサベル・コイシェ (Netflix邦題)
*Diecisiete 『SEVENTEENセブンティーン』監督ダニエル・サンチェス=アレバロ(Netflix邦題)
〇アスペルガー障害のある弟(ビエル・モントロ)と、彼に振り回される兄との再生を語るロードムービー『SEVENTEENセブンティーン』が受賞、前回の受賞作品であるハビエル・フェセルの『だれもが愛しいチャンピオン』(劇場公開中)に出演した視覚障害者のヘスス・ビダルがプレゼンターでした。
*『SEVENTEENセブンティーン』の紹介記事は、コチラ⇒2019年10月29日

(サンチェス=アレバロ監督、主役のビエル・モントロ、プレゼンターはヘスス・ビダル)

(マドリード市長ホセ・ルイス・マルティネス=アルメイダ、ヘスス・ビダル、
マドリード共同体委員長イサベル・ディアス・アジュソ)
◎長編ドキュメンタリー賞
Ara malikian: una vida entre las cuerdas 監督ナタ・モレノ
〇マドリード在住のレバノン人バイオリニストのアラ・マリキアンを主軸に国境を越えてきた移民たちの人生が語られる。
〇ゴヤ賞にもノミネートされています。

(トロフィーを手にしたナタ・モレノ監督とアラ・マリキアン)
◎短編映画賞
El nadador 監督パブロ・バルセ
〇ゴヤ賞にもノミネートされています。

(トロフィーを手にした中央がパブロ・バルセ監督)
◎ EGEDA金のメダル
〇ゴンサロ・スアレス(オビエド1934年)は、作家、脚本家、製作者、ジャーナリスト。スペインの監督としては特異な地位をしめているスアレス監督ですが、御年85歳になっても現役です。長編デビューは1969年のコメディ・スリラー「Ditirambo」で決して笑わない風変わりな英雄ディティランボを演じた。代表作は、1974年のレオポルド・アラス筆名クラリンの同名小説「La Regenta」の映画化、1985年TVシリーズ「Los pazos de Ulloa」、「Remando al viento」(邦題『幻の城 バイロンとシェリー』英語)がサンセバスチャン映画祭1988で監督賞を受賞(撮影監督の弟カルロスも撮影賞を受賞)、第3回ゴヤ賞1989でも監督賞を受賞した。「Don Juan en los infiernos」(91)、ハビエル・バルデム、スアレス映画の常連カルメロ・ゴメスやチャロ・ロペスが出演した話題作「El detective y la muerute」(94)、2000年のマリベル・ベルドゥ、カルメロ・ゴメス、アントニオ・レシネスなどを起用した「El portero」などがある。
〇2007年の「Oviedo Express」は、クラリンの小説 "La Regenta" を舞台化した演劇集団の巡業を描いたロマンス・コメディ。カルメロ・ゴメス、アイタナ・サンチェス=ヒホン、バルバラ・ゴエナガ、ナイワ・ニムリ、マリベル・ベルドゥ、ホルヘ・サンスなど豪華キャストだった。ゴヤ賞2008にノミネートされたが無冠だった。これを最後に引退したのかと思っていたら、昨年中編アニメーション「El sueño de Malinche」を発表、周囲を驚かせた。アステカ帝国崩壊を舞台にしたアニメ、マリンチェにマリアン・アルバレス、コルテス総督にサンティアゴ・メレンデス、モクテスマ王には数年前引退宣言をしたはずのカルメロ・ゴメスがボイスを担当していたのでした。
〇撮影監督のカルロス・スアレス(オビエド1946)は実弟、二人三脚で映画を製作していた。しかし兄より一足先に昨年10月に旅立ちました。スペインで最も愛されている監督ガルシア・ベルランガの撮影監督でもありました。弟のことを思い出しながら製作者について「一番いいのは私のことなど思い出さなくてもいいと考えているが、私は製作者のことを常に思い出している」~「製作は非常に困難な仕事で、とても尊敬している」とも。製作者に光を当てる EGEDA金のメダルを受賞できたことは嬉しいに違いない。会長エンリケ・セレソがスペイン映画の保護に果たしている努力を感謝したようです。

(エンリケ・セレソとゴンサロ・スアレス、フォルケ賞2020授賞式で)
★以前は地味だった授賞式も年々華やかになってきました。以下、こんな衣装のシネアストが赤絨毯を踏みました。お楽しみください。

(アンドレス・ウッド『蜘蛛』の主役マリア・バルベルデ)

(女優賞ノミネートのベレン・クエスタ)

(女優賞ノミネートのグレタ・フェルナンデス)

(ベストドレッサーのミシェル・ジェンナー、ディオールのデザイン)

(白いドレスが評判だったバネッサ・ロメロ)

(男優賞プレゼンターだったナタリア・デ・モリーナ、パンツルックは珍しい)

(いつも出席する律義なアレハンドロ・アメナバル)

(男優賞初ノミネートのEnric Auquer)
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