第40回ゴヤ賞2026結果発表*ゴヤ賞2026 ⑧ ― 2026年03月05日 10:26

(ゴヤ賞2026の受賞者全員)
★2月28日、第40回ゴヤ賞2026の授賞式がバルセロナの国際会議センターで盛大に開催されました。ホスト役の総合司会者は、カタルーニャ出身のシンガーソングライターのリゴベルタ・バンデーニと顎髭を白髪染めしたルイス・トサールが務め、予告通り歌って踊って軽快に登場しました。カタルーニャ語、スペイン語、バスク語、英語、手話と言語も多様性に富んでいました。40周年ということで懐かしい過去の名画、受賞作、総合司会者の紹介が挟みこまれ、結果3時間を超す長丁場でした。招待客にはペドロ・サンチェス首相の姿もあり、ゴヤ栄誉賞のゴンサロ・スアレス監督、国際ゴヤ賞受賞者スーザン・サランドン(ニューヨーク1946)の登壇にはスタンディング・オベーションで敬意を表していました。米イスラエルのイラン攻撃には「イラン政府を援助することはない」が、両国の事態を悪化させるだけの迷走に警告を発していた。スペインに2ヵ所ある米軍基地の使用を認めないようです。


(歌って踊って登場したホスト役のリゴベルタ・バンデーニとルイス・トサール)

(AACCE会長フェルナンド・メンデス=レイテ、サンチェス首相、レッドカーペットにて)

(拍手を送るサンチェス首相、隣席にベゴーニャ・ゴメスも・・・)
★結果は以下の通りですが、アラウダ・ルイス・デ・アスアの「Los domingos」が主要部門(作品・脚本・監督・主演女優・助演女優賞の5冠)を制覇、米アカデミー賞の国際長編映画賞と音響賞にノミネートされているオリベル・ラシェの 「Sirāt」は、オリジナル作曲・プロダクション・撮影・編集・美術・録音賞の最多受賞でしたが、監督自身の登壇はありませんでした。会場ではサランドンと隣り合って座っており、インタビューの受け答えも場慣れしたのか実に友好的でした。

(国際ゴヤ賞受賞者スーザン・サランドンと6冠のオリベル・ラシェ)
*第40回ゴヤ賞2026の受賞者一覧(太字受賞者)*
作品賞
「La cena / The Dinner」 製作:クリストバル・ガルシア、リナ・バデネス、
ロベルト・ブトラゲーニョ
「Maspalomas」製作:アンデル・バリナガ=レメンテリア・アラノ、ハビエル・ベルソサ
アンデル・サガルドイ・ムヒカ、フェルナンド・ラロンド、
「Sirāt」 製作:アグスティン・アルモドバル、エステル・ガルシア、オリオル・マイモー、
ハビ・フォント
「Sorda」 製作:アドルフォ・ブランコ、ミリアム・ポルテ、ヌリア・ムニョス・オルティン
◎「Los domingos」(フォルケ賞・フェロス賞受賞作品)
製作:マリサ・フェルナンデス・アルメンテロス、サンドラ・エルミダ・ムニョス、
マヌ・カルボ、ナヒカリ・イピニャ
*プレゼンターは、クララ・セグラを含めて5名

(製作者4名がそれぞれスピーチ、キャスト&スタッフが大勢登壇しました)

(作品賞、監督賞、オリジナル脚本賞の3冠)

監督賞
アイトル・アレギ、ホセ・マリ・ゴエナガ 「Maspalomas」
カルラ・シモン 「Romería」
オリベル・ラシェ 「Sirat」
アルベルト・セラ 「Tardes de soledad」『孤独の午後』
◎アラウダ・ルイス・デ・アスア 「Los domingos」バッチ右襟
*プレゼンターは、J. A. バヨナ監督、他

新人監督賞
イオン・デ・ソサ 「Balearic」
ジャウマ・クラレト・ムサルト 「Estrany riu / Extraño río」
ジェンマ・ブラスコ 「La furia」
ヘラルド・オムス 「Muy lejos」
◎エバ・リベルタード 「Sorda」
*プレゼンターは、昨年の作品賞受賞者マルセル・バレナ(El 47)とアランチャ・エチェバリア(La infiltrada)の2人の監督でした。


(エバ・リベルタード、背後にバレナ監督とエチェバリア監督)
オリジナル脚本賞
◎アラウダ・ルイス・デ・アスア 「Los domingos」(フェロス賞受賞者)
*プレゼンターは、昨年の受賞者エドゥアルド・ソラ、他

脚色賞
◎ホアキン・オリストレル、マヌエル・ゴメス・ペレイラ、ヨランダ・ガルシア・セラノ
「La cena」
*プレゼンターは、スペイン映画アカデミー会長の経験者である、元文部大臣で監督兼脚本家のアンヘレス・ゴンサレス=シンデ(2006~09)と監督・脚本家のマリアノ・バロッソ(2018~22)の大物シネアストでした。




オリジナル歌曲賞
◎「Flores para Antonio」作曲:アルバ・フローレス、シルビア・ペレス・クルス
「Flores para Antonio」監督エレナ・モリナ、イサキ・ラクエスタ
*プレゼンターは、かつてのゴヤ賞新人女優賞受賞者の2人、アンナ・カステーリョは2017年、ラウラ・ワイスマーは昨年貰ったばかりです。受賞者アルバ・フローレスは、亡き父親アントニオについて語り、少しだけ歌も披露しました。


(アルバ・フローレスとシルビア・ぺレス)
主演男優賞
アルベルト・サン・フアン 「La cena」
ミゲル・ガルセス 「Los domingos」
マリオ・カサス 「Muy lejos」
マノロ・ソロ 「Una quita portuguesa」
◎ホセ・ラモス・ソロイス 「Maspalomas」(フォルケ賞・フェロス賞受賞者)
*プレゼンターは、『クリアチューラ Creatura』でゴヤ賞2024助演男優賞ノミネートのアレックス・ブレンデミュール

(アイトル・アレギ&ホセ・マリ・ゴエナガ両監督に感謝のスピーチ)

(ホセ・マリ・ゴエナガ & アイトル・アレギ、レッドカーペットにて)
主演女優賞
アンヘラ・セルバンテス 「La furia」
アントニア・セヘルス 「Los Tortuga」 監督ベレン・フネス *
ノラ・ナバス 「Mi amiga Eva」
スサナ・アバイトゥア 「Un fantasma en la batalla」
◎パトリシア・ロペス・アルナイス 「Los domingos」(フォルケ賞・フェロス賞受賞者)
*プレゼンターは、『死んでしまったら私のことなんか誰も話さない』でゴヤ賞1996主演女優賞を受賞したビクトリア・アブリル、他ノミネートのコレクター。

(大先輩ビクトリア・アブリルからトロフィを受け取る受賞者)

(どうしても涙が止まらない受賞者)

(子供時代の暴力に光を与えた監督に感謝のスピーチをした)
助演男優賞
ミゲル・レリャン 「El cautivo」 監督アレハンドロ・アメナバル
フアン・ミヌヒン 「Los domingos」
カンディド・ウランガ 「Maspalomas」
タマル・ノバス 「Rondallas」 監督ダニエル・サンチェス・アルバロ
◎アルバロ・セルバンテス「Sorda」
*プレゼンターは、エンリク・アウケル、ミキ・エスパルベ、カルロス・クエバスなど5名、受賞者をもみくちゃにしていました。



助演女優賞
エルビラ・ミンゲス 「La cena」
ミルヤム・ガジェゴ 「Romería」
エレナ・イルレタ 「Sorda」
マリア・デ・メデイロス 「Una quinta portuguesa」
◎ナゴレ・アランブル 「Los domingos」(フェロス賞受賞者)

新人男優賞
フリオ・ペーニャ 「El cautivo」
ウーゴ・ウェセルWelzel 「Enemigos」 監督ダビ・バレロ
ジャン・モンテル・パラウ 「Leo & Lou」
ミッチ・ロブレス 「Romería」
◎アントニオ〈トニ〉・フェルナンデス・ガバレ 「Ciudad sin sueño」監督ギジェルモ・ガロ
*プレゼンターは、ナタリエ・ポサ、ミシェル・ジェンナー、ルイス・トサール


(今宵最も短いスピーチ・ナンバーワンのトニ、25.05秒)
新人女優賞
ノラ・エルナンデス 「La cena」
ブランカ・ソロア 「Los domingos」
エルビラ・ララ 「Los Tortuga」
リュシア・ガルシア 「Romería」
◎ミリアム・ガルロ 「Sorda」
*プレゼンターは、『パンズ・ラビリンス』でゴヤ賞2007新人女優賞を受賞したイバナ・バケロ、他。受賞者が言葉に詰まると、会場から「ガンバッテ」と手話で応じる波がおきました。







衣装デザイン賞
◎エレナ・サンチス 「La cena」
*プレゼンターは、アルトゥーロ・バルス、他


(最速スピーチ、ナンバー3のエレナ・サンチス、34.30秒)
メイクアップ&ヘアー賞
◎アナ・ロペス=プイグセルベル、ベレン・ロペス=プイグセルベル、ナチョ・ディアス
「El cautivo」(『囚われ人』)監督アレハンドロ・アメナバル
*プレゼンターは、「A cambio de nada」のダニエル・グスマン監督と主役を演じたミゲル・エランのコンビでした。



特殊効果賞
◎パウラ・ガリファ・ルビア、アナ・ルビオ 「Los Tigres」


アニメーション賞
◎「Decorado」(フォルケ賞アニメーション賞受賞作品)
アルベルト・バスケス、ホセ・マリア・フェルナンデス・デ・ベガ、他
*全員バッチをつけて登壇した受賞者たち


ドキュメンタリー賞
◎「Tardes de soledad」 アルベルト・セラ、ルイス・フェロン、モンセ・トリオラ、
ペドロ・パラシオス
*プレゼンターは、フアナ・アコスタとカルメ・エリアス

(サングラスが「うん、ちょとね」のアルベルト・セラ)

(反トランプの受賞者、赤絨毯でも噛みついていました)
イベロアメリカ映画賞
◎「Belén」(アルゼンチン、2025、フォルケ賞ラテンアメリカ映画賞受賞作品)
製作:レティシア・クリスティ、マティアス・モスティリン、ウーゴ・シグマン
監督ドロレス・フォンシ
*プレゼンターは、カルラ・ソフィア・ガスコンとパコ・レオン

(受賞スピーチをするドロレス・フォンシ、右にカルラ・ソフィア・ガスコン)

(レッドカーペットにて)
ヨーロッパ映画賞
◎「Valor sentimental / Sentimental Value」『センチメンタル・バリュー』
(ノルウェー他、2025) 監督ヨアキム・トリアー
*プレゼンターは、ビクトリア・ルエンゴ、他。監督は欠席、配給元のエンリケ・コスタが代理でトロフィを受け取った。

(エンリケ・コスタのスピーチは、27.19秒で最速ナンバー2でした)
短編映画賞
◎「Angulo muerto」(フォルケ賞短編賞受賞作品) 監督クリスティアン・ベテタ
製作:ホセ・ルイス・ランカーニョ、パブロ・ロペス・トーレス
*プレゼンターは、アントニア・サン・フアンとレオノール・ワトリング


(右端は主演のエバ・リョラチ)
短編ドキュメンタリー賞
◎「El Santo」 監督カルロ・ドゥルシ
製作:アダン・アリアガ、カルロ・ドゥルシ、ミゲル・モリナ・カルモナ
*プレゼンターは、白いドレスのシルビア・アブリル、他

(カルロ・ドゥルシ監督)

短編アニメーション賞
◎「Gilbert」 監督アレックス・サル、アルトゥーロ・ラカル、ジョルディ・ヒメネス
*プレゼンターは、アントニア・サン・フアン、レオノール・ワトリング、カジェタナ・ギジェン=クエルボ、シルビア・アブリルなどと豪華版


◎ゴヤ賞2026栄誉賞 ゴンサロ・スアレス
*プレゼンターは、ポルトガルの女優マリア・デ・メデイロス、自身も「Una quinta portuguesa」出演で助演女優賞にノミネートされていました。
*受賞者紹介記事は、コチラ⇒2025年12月25日



(マリア・デ・メデイロスと受賞者)
◎第5回国際ゴヤ賞 スーザン・サランドン(ニューヨーク1946)
*プレゼンターは、スペイン映画アカデミー会長AACCEフェルナンド・メンデス=レイテで、臨席のサンチェス首相に出席の御礼の挨拶を述べていた。第4回はリチャード・ギア、今年もハリウッドスターでした。もの言う異色の女優、強い女性のイメージとはかけ離れた、内気でエレガントな、しかし強固で説得力のある感動的なスピーチをした。ドレスはアルマーニの由。
*「歴史を語る人々と一緒にいられることを光栄に思います。私はスペイン、なかでもバルセロナが大好きです。あなた方の芸術、魅力的な美術館、建造物、料理、人々が大好きです」と、戦争に反対するスペイン首相と国民、それに引きかえ自分の周囲で起きている暴力や残虐行為を比較していました。『テルマ & ルイーズ』の主人公は健在でした。写真のように「パレスティナに自由」のバッチを付けていました。また、カメラが過去のAACCE副会長スシ・サンチェスやノラ・ナバスを追っていたのが、やはり40年の歴史を感じさせ印象的でした。


(AACCE会長からトロフィを受け取る受賞者)


★以上のように、フォルケ賞、フェロス賞、ゴヤ賞と似たり寄ったりの予想通りの結果になりました。ホセ・ラモン・ソロイス、パトリシア・ロペス・アルナイスのように3個のトロフィーを手にした人もいました。今回は直前に米国とイスラエルのイラン攻撃を受けて、「STOP ストップジェノサイド」または「FREE パレスティナに自由」のバッチを思い思いの場所に付けている出席者が大勢目につきました。ガザ爆撃が始まった2024年の授賞式とは比較にならないほどの参加者でした。
★ゴヤ賞ガラの総合司会を一人で3回もこなしたバルセロナ生れのロサ・マリア・サルダの紹介で始まった点鬼簿コーナーでは、この1年間で多くの映画人が鬼籍入りしました。ベレン・アギレラの ”Si te vas” をバックに、エクトル・アルテリオ、セルソ・ブガチョ、ベロニカ・エチェギなどが映しだされ、個人的にも或る感慨にふけりました。女優だけでなくコメディアンの実力を遺憾なく発揮したスペイン映画史に残るサルダの懐かしい映像に見入ってしまいました。
★視聴率26パーセント、最近5年間では最高、ホストの二人も面目を施した。疲れも吹き飛んだことでしょう。参加者の多くが戦争反対を表明した授賞式となりました。

(衣装を変えてフィナーレに登場したリゴベルタとトサール)
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