第72回ベネチア映画祭*カルロス・サウラ ④ ― 2015年08月11日 22:29
サウラのドキュメンタリー“Zonda:folclore
argentino”
★映画祭と並行して開催される「ベニス・デイ」で上映されるのがカルロス・サウラの音楽ドキュメンタリー“Zonda:folclore
argentino”です。『タンゴ』(98)、『イベリア、魂のフラメンコ』(05)、『ファド』(07)、『フラメンコ・フラメンコ』(10)などの音楽路線を踏襲しています。『ファド』ではポルトガル人からは「これはファドじゃない」と腐され、『フラメンコ・フラメンコ』は、日本では間際に行ったのでは満席で入れなかったのですが、マドリードの映画館はガラガラ、「スペインの映画は危機に瀕している」という記事では、このガラ空きの写真が採用されたほど評判が悪かった。危機に陥ったのはサウラ独りのせいじゃないと気の毒に思いましたが、サウラのフラメンコものは食傷気味でした。初期の『狩り』、『カラスの飼育』、『歌姫カルメーラ』の感動が忘れられないコラムニストが多かったのです。果たして本作は如何でしょうか。予告編、メーキングを見る限りでは『フラメンコ・フラメンコ』よりは面白そうです。既にアルゼンチンでは公開され、100点満点で52点、IMDb、ロッテントマトなども同じようです。
(製作者アレハンドロ・イスラエル、サウラ監督)
“Zonda:folclore
argentino” アルゼンチン、スペイン、フランス
製作:Barakacine
Producciones / INCAA / Mondex & cie
監督・脚本:カルロス・サウラ
音楽:リト・ビタレ
撮影:フェリックス“チャンゴ”モンティ
編集:セサル・クストディオ、ララ・ロドリゲス・ビラルデボ
美術:パブロ・マエストレ・ガジィ
録音:フェルナンド・ソルデビラ、アンドレス・ペルジニ
衣装:ラウラ・フォルティニ
メイクアップ:マルセラ・ビラルデボ
舞踊振付:コキ&パハリン・サアベドラ兄弟
プロデューサー:マリアナ・エリヒモビッチ(『ファド』)、アレハンドロ・イスラエル(『Juan y Eva』)、マルセロ・チャプセス、アントニオ・サウラ、他
(音楽監督のリト・ビタレ)
(歌手ソレダ・パストルッティ)
データ:アルゼンチン≂西≂仏、スペイン語、2015、音楽ドキュメンタリー、88分、撮影地ブエノスアイレス、配給元プリメル・プラノ、公開アルゼンチン2015年5月8日
出演:ペドロ・アスナール、フアン・ファルー、ソレダ・パストルッティ、ペテコ・カラバハル、チャケニョ・パラベシノス、マリアン・ファリアス・ゴメス、、リリアナ・エレーロ、ハイロ、オラシオ・ラバンデラ、ルシアナ・ジュリー、ガボ・フェロ、ベロニカ・コンドミ、トマス・リパン、メラニア・ペレス、マリアナ・カリソ、ハイメ・トーレス、ビクトル・マヌエル・アバロス、ポロ・ロマン、ルイス・サリナス、ワルター・ソリア、グルーポ・ロス・テキス、グルーポ・ロス・ノチェロス、他
(チャランゴ奏者ハイメ・トーレス)
(ガボ・フェロとルシアナ・ジュリー)
★“Zonda”は、アルゼンチンの大草原に吹く熱風のことで、直訳すると「パンパの熱風:アルゼンチン・フォルクローレ」くらいでしょうか。既に故人となっているアルゼンチン・フォルクローレの象徴的な存在であるアタワルパ・ユパンキ(“Preguntitas sobre Dios”「神についてのささやかな問い」モノクロ映像)とメルセデス・ソーサ(“Todo cambia”「すべては変わる」のライブ・バージョン)の歌も流れます。ブエノスアイレスのボカ地区に大きな掛け小屋を設えてジャンルの異なるアーチストごとに撮影したらしく、大変な作業だったことがうかがえます。
(アタワルパ・ユパンキとメルセデス・ソーサ)
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