ホセ・コロナド、ルイス・マリアスの新作”Fuego”出演2014年03月20日 17:17

★ネストルF. デニスのデビュー作Crisisを撮影中と思っていたら、2015年公開予定のFuegoの撮影も開始されるようで、先日ビルバオでルイス・マリアス監督以下出演者一同揃ってのお披露目がありました。(写真:中央が挨拶をするコロナド、真後ろがマリアス監督、左から2人目がアイダのようです)

 

11年前にETAのテロリストに妻を殺害され、娘は両脚切断という悲劇に見舞われた警察官の復讐劇。この警察官カルロスにコロナド、娘アルバにアイダ・ホルチ、テロリストの妻オイアナOhianaにレイレ・ベロカル、その息子アリツァAritzGorka Zufiaurreという布陣です。

 

★脚本も手がけるマリアス監督によると、「テロの暴力で犠牲になった側とテロ行為をした側を交錯させて物語を進行させたい」。テロを受けた側の苦しみと心理的葛藤、テロで解決しようとした側の政治的理由の複雑さ、その両面を描きたいということです。「登場人物はそれぞれ社会観、政治信条、イデオロギーが異なっており、各々の過去とその傷を抱えている。物語のベースはそれに対峙する人々の未来を描きたい」とも語っています。「テロリストに法の裁きを受けさせたい」という主人公カルロスの考えはタテマエでしかない。自分の妻と娘が味わった苦しみを「テロリストの妻と息子にも同じように与えたい」がホンネである。ただの復讐劇ではないようです。

 

★ストーリーは、復讐仕立てのスリラーとして始まるが、だんだん悲しみの感情とパッションの物語に変わっていく。「プロジェクトは最初からよく考慮され合格点だ。ETAのテロを終わらせ平和と共生を目的に設置された事務局(Secretaria de Paz y Convivencia)も、将来の共生に役立つと喜んでくれている。幸いにテロは終息しつつあるように思える」と監督。

 

★コロナドのスピーチ:私たちは小さな宝石を手にしている。この映画は大胆で非情なストーリーだが、幸運なことに今日、語ることができるようになった。感受性を傷つけないようにしたいが、やはり現れてしまうだろう。しかしそれが重要なのだ。・・・私たちはこのプロジェクトを完成させたいと願っており、絶対できると信じている。多分上手くいくでしょうし、数ヵ月後にはその成果をお見せできると期待しています。

 

★ビルバオ観光局の市議会議員によると、Fuegoの撮影が順調に運ぶようバスクのプロフェッショナルな技術者&アーティストの提供を明確にしており、バスク自治州も本腰を入れての協力体制を組んだようです。来年のサンセバスチャン映画祭が楽しみです。

 

ルイス・マリアスLuis Marias Amando:脚本家・監督・俳優・プロデューサー。脚本家として出発、映画&テレビの脚本多数。なかでホセ・アンヘル・マニャスの同名小説を映画化したサルバドール・ガルシア・ルイスのMensaka1998)の脚色が評価された。監督デビュー作はX2002)とかなり前の作品、Fuegoが第2作になります。TVミニシリーズGernika bajo las bombas2エピソード2012)は、その年のサンセバスチャン映画祭で上映されました。1937426日のゲルニカ爆弾投下をテーマにしたドラマ。
(写真:ゲルニカの出演者、中央がマリアス監督)

 


1Xにはエンリケ・ウルビスの『貸し金庫507』(2002「バスク映画祭2003」で上映)でコロナドと共演したアントニオ・レシネスが主役を演じています。そんな繋がりで出演したのかもしれない。ウルビスは昨年『悪人に平穏なし』で登場、日本でも認知度の高い監督になりました。
(写真:『貸し金庫507』(La caja 507)のジャケ写、手前がレシネス、後方がコロナド)

 


ホセ・コロナドJose Coronadoは、1957年マドリード生れ。つまりフランコ時代の教育を受けて育ったマドリッ子ということです。父親がエンジニアで比較的裕福な家庭環境で育った。大学では最初法学を4年間学んだが卒業できず、次に医学を志すもこれまた2年で挫折した。本人によれば大学を諦めて旅行会社、レストラン、モデル、トランプのギャンブラーなどを転々、要するにプータローをしていたのでしょう。フランコ没後(1975)から約5年間の民主主義移行期というのは何でもアリの混乱期でもあったわけです。

 


賭博師と聞いてエンリケ・ウルビスのLa vida mancha2003)を思い浮かべた人は相当なコロナド・ファンです。半分は地で演っていたのね。映画の世界に入ったきっかけは、「ウィスキーのテレビ・コマーシャルのモデルに誘われ、マジョルカで撮影すると言うし、出演料が破格だったので引き受けた」そうです()。その後30歳になる直前に演技の勉強を始め、キム・デンサラットの第1作“Waka-Waka”(1987)で映画デビューを果たしました。今回どんな映画か検索したら、なんとナント『スパニッシュ・コネクション』という邦題でビデオが発売されているのでした(1989)。それもこれ1作しか撮っていない監督なのでした。

 

ゴヤ賞主演男優賞受賞の『悪人に平穏なし』、『ラスト・デイズ』、『ロスト・ボディ』**など、昨年は3作も公開されました。今回は助監督も務める由、既に50歳も半ばを過ぎて貫禄充分、新作に期待したい。

アレックス&ダビ・パストール兄弟の『ラスト・デイズ』は、「ガウディ賞ノミネーション発表」(2014・1・9)でご紹介済み、**オリオル・パウロの『ロスト・ボディ』は「シッチェス映画祭*ファンタスティック・セレクション2013」で上映されました。これは『悪人に平穏なし』も受賞した「銀のフィルム賞」受賞作品です。