第12回イベロアメリカ・プラチナ賞2025*結果発表 ― 2025年06月11日 17:09
作品賞を制したのはウォルター・サレスの「Ainda estou aquí」

★4月27日(日)、第12回イベロアメリカ・プラチナ賞2025の授賞式がありました。偶数回はスペイン開催の年ということでマドリードのIFEMA Palacio Municipal *で開催されました。奇数回はラテンアメリカ諸国、昨年はメキシコのリビエラ・マヤのエルグラン・トラチコ劇場で開催されました。カテゴリーは第1回の8部門から23部門に増加しています。主宰するのは初回からEGEDA(視聴覚著作権管理協会、エンリケ・セレソ)とFIPCA(イベロアメリカ映画視聴覚製作者連盟、アイスリン・デルベス&アシエル・エチェアンディア)の2団体です。
*IFEMA(マドリード見本市協会Institución Ferial de Madrid)Palacio Municipalは、1993年完成したマドリードにあるコンベンションセンター、2019年より IFEMA が運営している。EU 首脳会議、IMF、世界銀行の会議、NATOや国連のサミットの会場としてスペインでの国際イベントが開催されている。
★総合司会者は、FIPCAのメキシコの女優アイスリン・デルベスとスペインの俳優アシエル・エチェアンディアでした。

(レッドカーペットにて)
★イベロアメリカ映画賞作品賞(フィクション部門)にウォルター・サレスの政治ドラマ「Ainda estou aquí / Aún estoy aquí / I’m Still Here」が選ばれました。アカデミー賞2025国際長編映画賞、ゴールデングローブ賞主演女優賞、ベネチア映画祭2024脚本賞、各受賞と他の追随を許さない実績から予想通りの結果でした。邦題は英語題のカタカナ『アイム・スティル・ヒア』、2025年8月8日劇場公開が決定しています。他に監督賞、主演女優賞(フェルナンダ・トーレス)の3冠でしたが二人とも欠席でした。昨年はラテンアメリカ諸国はノミネートも少なく淋しい限りでしたが、TVシリーズ部門もコロンビアの「Cien Años de Soledad」『百年の孤独』が作品賞、男優賞(クラウディオ・カターニョ)、助演男優賞(ハイロ・カマルゴ)の3冠を制し、今回は新大陸が気を吐きました。
*第12回イベロアメリカ・プラチナ賞2025受賞結果*
*映画部門*
◎作品賞(フィクション)
「El 47」スペイン、監督マルセル・バレナ
「Grand Tour」『グランド・ツアー』ポルトガル=伊=仏、監督ミゲル・ゴメス
「El Jockey」『キル・ザ・ジョッキー』アルゼンチン、監督ルイス・オルテガ
「La infiltrada / Undercover」スペイン、監督アランチャ・エチェバリア
「Ainda estou aquí / Aún estoy aquí / I’m Still Here」『アイム・スティル・ヒア』(ブラジル=フランス)製作者:マリア・カルロタ・ブルノ、ホドリゴ・テイシェイラ、マルティーヌ・ドゥ・クレルモン=トネール、監督ウォルター・サレス
*製作者ホドリゴ・テイシェイラと長女ヴェラを演じたヴァレンティナ・ハーサージュの2人が出席した。


(ホドリゴ・テイシェイラ)

◎コメディ賞(フィクション)
「Buscando a Coque」(スペイン)監督テレサ・ベリョン、セサル・F・カルビーリョ
製作ベアトリス・ボデガス

(ベアトリス・ボデガス)

(テレサ・ベリョン、セサル・F・カルビーリョ)
◎オペラ・プリマ賞
「El ladrón de perros」(ボリビア)監督ビンコ・トミシック・サリナス


(左から、製作者ガブリエラ・マイレ、監督、製作者エダー・カンポス)
◎監督賞
アランチャ・エチェバリア(La infiltrada)
ルイス・オルテガ(「El Jockey」『キル・ザ・ジョッキー』)
ペドロ・アルモドバル(「La habitación de al lado」『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』)
ウォルター・サレス(「Ainda estou aquí」『アイム・スティル・ヒア』)


(欠席、代理は製作者ホドリゴ・テイシェイラ)
◎ドキュメンタリー賞
「El eco」(メキシコ)監督タティアナ・ウエソ


◎アニメーション賞(フィクション)
「Mariposas negras」(スペイン=パナマ)監督ダビ・バウテ


(中央がダビ・バウテ監督)
◎脚本賞
アランチャ・エチェバリア、アメリア・モラ(「La infiltrada」)
*プレゼンターは、トランプ大統領からアメリカから追放(!)を受けた話題のカルラ・ソフィア・ガスコンでした。

◎撮影賞
エドゥ・グラウ(『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』)

◎オリジナル音楽賞
アルベルト・イグレシアス(『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』)

◎編集賞
ビクトリア・ラマーズ(「La infiltrada」)


◎美術賞
エウヘニオ・カバジェロ、カルロス・Y・ジャック(『ペドロ・パラモ』、メキシコ、
監督ロドリゴ・プリエト)


(左から、エウヘニオ・カバジェロとカルロス・Y・ジャック)
◎録音賞
ディアナ・サグリスタ、アレハンドロ・カスティーリョ、アントニン・ダルマッソ、
エバ・ベリニョ(「Segundo Premio」スペイン、監督イサキ・ラクエスタ&ポル・ロドリゲス)

(ディアナ・サグリスタ)
◎女優賞
フェルナンダ・トーレス(「Ainda estou aquí」ブラジル)監督ウォルター・サレス
*ノミネート:カロリナ・ジュステ(「La infiltrada」)、ウルスラ・コルベロ(「El Jockey」)、ソル・カルバリョ(「Memorias de un cuerpo que arde」)


(受賞者欠席、代理で女優のヴァレンティナ・ハーサージュが代読した)
◎男優賞
エドゥアルド・フェルナンデス(「Marco」スペイン)
監督アイトル・アレギ&ジョン・ガラーニョ
*ノミネート:ルイス・トサール(「La infiltrada」)、マヌエル・ガルシア=ルルフォ(『ペドロ・パラモ』)、ナウエル・ペレス・ビスカヤート(「El Jockey」)


(仲良し親子、愛娘グレタ・フェルナンデスと)
◎助演女優賞
クララ・セグラ(「El 47」)


◎助演男優賞
故ダニエル・ファネゴ(「El Jockey」)
*受賞者は2024年9月に亡くなり、息子マヌエルが代理で受け取った。




(大先輩を偲んでキャスト&スタッフ揃って参加しました)
◎価値ある映画と教育プラチナ賞
「Memorias de un cuerpo que arde」(コスタリカ=スペイン、監督アントネリャ・スダサシ・フルニス)


◎観客賞
「La infiltrada」製作マリア・ルイサ・グティエレス、メルセデス・ガメロ、俳優賞には男優賞ルイス・トサール、女優賞カロリナ・ジュステが受賞しました。

*TVシリーズ部門*
◎作品賞(フィクション & ドキュメンタリー)
「Cien Años de Soledad」(『百年の孤独』8話、コロンビア、
創案者ロドリゴ・ガルシア、アレックス・ガルシア・ロペス、ラウラ・モラ・オルテガ、
Netflix)



(受賞を確信して、はるばるコロンビアから大勢で参加しました)
◎創案者(クリエーター)賞
ビセンテ・アモリム、フェルナンド・コインブラ、ルイス・ボロニェージ、
パトリシア・アンドラーデ (「Senna」『セナ』6話、ブラジル、Netflix)

(クリエーターのルイス・ボロニェージ)

◎女優賞
カンデラ・ペーニャ(「El caso Asunta」『アスンタ・バステラ事件』6話、スペイン、
創案者ラモン・カンポス、ジョン・デ・ラ・クエスタ、ジェマ・R・ネイラ、Netflix)


◎男優賞
クラウディオ・カターニョ(『百年の孤独』コロンビア)

◎助演女優賞
カルメン・マウラ(「Tierra de mujeres / Land of Women」『ランド・オブ・ウーマン』6話、米国=スペイン、創案者ラモン・カンボス、パウラ・フェルナンデス、テレサ・フェルナンデス=バルデス、Apple TV+)


(栄誉賞受賞のエバ・ロンゴリアと共演、フレームから)
◎助演男優賞
ハイロ・カマルゴ(『百年の孤独』コロンビア)

(アポリナル・モスコス役のハイロ・カマルゴ)
◎観客賞
「Cien Años de Soledad」が受賞、俳優賞は同作出演のクラウディオ・カターニョ、女優賞は「El caso Asunta」のカンデラ・ペーニャの手に渡りました。
◎栄誉賞
エバ・ロンゴリア(エヴァ、俳優、監督、製作者)、1975年テキサス州生れのメキシコ系アメリカ人、牧場主エンリケ・ロンゴリア・ジュニアと教師エラ・エバ・ミレレスの四女、テキサスA&M大学キングスビル校で学び、運動学キネシオロジーで理学士号を取得した。その後タレントコンテストに応募、ロサンゼルスに移住してチャンスを掴んだ。TVシリーズ『ビバリーヒルズ青春白書』(00)でデビュー、代表作TVシリーズ『デスパレートな妻たち』(04)のチャーミングな主婦役でブレイクした。他に『ブルックリン・ナイン・ナイン』(14~15)、映画ではユージン・アッシュの『シルヴィ~恋のメロディ~』(20)など。


★カルメン・マウラがエバ・ロンゴリアの母親役で助演女優賞を受賞したTVコメディシリーズ「Tierra de mujeres / Land of Women」に娘役で主演している。カタルーニャ州ジローナで撮影され、言語はスペイン語、英語、カタルーニャ語、エグゼクティブプロデューサーも務めている。チャリティー活動にも熱心でエバ・ロンゴリア財団を設立して、ラテンアメリカ人の教育や起業にも力を注いでいる。教育をテーマにした論文を多数執筆しており、チカーノ研究の修士号を取得している。

(プレゼンターはエンリケ・セレソ会長とサプライズのソフィア・ベルガラ)

(ソフィア・ベルガラとのツーショット)
★マドリード開催にしてはスペイン・サイドの欠席者が多すぎました。
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