A.J. バヨナ監督がパルムドールの審査員に*カンヌ映画祭20242024年05月07日 16:25

       審査委員長は『バービー』のグレタ・ガーウィグ監督に!

   

       

 

★間もなく開催される第77回カンヌ映画祭2024514日~25日)のコンペティション部門の審査団が発表になっています。日本からも是枝裕和監督が選出されたことがニュースになっていました。審査団の委員長に『バービー』や『レディ・バード』のグレタ・ガーウィグ監督(1983)が選ばれ、女性監督が委員長を統べるのはジェーン・カンピオン以来とか。女優、脚本家としての豊富なキャリアの持ち主だが長編映画としては『バービー』が3作目になり、40歳の委員長は最年少ではないがいかにも若い。以下9名がパルムドールを選ぶ重責を担うことになりました。

 

★審査委員長グレタ・ガーウィグ(米の監督・脚本家・女優)、オマール・シー(仏の俳優・製作者)、エブル・ジェイラン(トルコの脚本家・写真家)、リリー・グラッドストーン(米の女優)、エヴァ・グリーン(仏の女優)、ナディーン・ラバキー(レバノンの監督・脚本家・女優)、A.J. バヨナ(西の監督・脚本家・製作者)、ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ(伊の俳優)、是枝裕和(監督・脚本家)

   

   

          (審査委員長グレタ・ガーウィグ監督)

   

 

   

★バヨナ監督は、長編デビュー作『永遠のこどもたち』(07)がカンヌ映画祭と併催の「批評家週間」にノミネートされた以外、本祭との関りは薄く、最近イベロアメリカ・プラチナ賞6冠の『雪山の絆』もベネチア映画祭でした。オマール・シーは、東京国際映画祭2011のさくらグランプリ受賞作『最強のふたり』で刑務所から出たばかりで裕福な貴族の介護者を演じた俳優、ナディーン・ラバキーは、2018年の審査員賞を受賞した『存在のない子供たち』の監督、2018年は是枝監督が『万引き家族』でパルムドールを受賞した年でした。

     

       

         (A.J. バヨナ監督、ベネチア映画祭2023年9月10

 

★興味深いのがトルコのエブル・ジェイランで、カンヌの常連監督である夫ヌリ・ビルゲ・ジェイランの共同脚本家として活躍している。2003年のグランプリ『冬の街』、2008年の監督賞『スリー・モンキーズ』、2011年のグランプリ『昔々、アナトリアで』、そして劇場初公開となった2014年のパルムドール『雪の轍/ウィンター・スリープ』などの脚本を共同で執筆している。2014年の審査委員長がジェーン・カンピオン監督でした。

 

★また異色の審査員がリリー・グラッドストーン、先住民の血をひく女優で、2016年のケリー・ライヒャルトの群像劇『ライフ・ゴーズ・オン 彼女たちの選択』で、複数の助演女優賞を受賞している。またスコセッシ監督の『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』で、先住民出身の女優として初めてゴールデングローブ賞2024主演女優賞を受賞したばかり、今年の審査団はコンペティションの作品以上に興味が尽きない。

 

 

★スペインからは、カンヌ本体とは別組織が運営する「批評家週間」(515日~24日)の審査員に、『ザ・ビースト』(公開タイトル『理想郷』)のロドリゴ・ソロゴジェンが選ばれています。本作は2022年カンヌ・プレミェール部門で上映されました。彼にしろバヨナにしろ、比較的若手ながらバランス感覚の優れたシネアストが審査員に選ばれるようになりました。

   

     

  (本作でセザール外国映画賞を受賞したロドリゴ・ソロゴジェン、2023224日)