ビクトル・エリセの長編4作目「Cerrar los ojos」*カンヌ映画祭20232023年04月29日 10:13

         カンヌに間に合ったエリセ監督30年ぶりの新作「Cerrar los ojos

 

★長編4作目となるビクトル・エリセの「Cerrar los ojos」については、昨年7月に大まかな作品紹介をしておりましたが、秘密裏に制作しているということで、まだIMDbもアップされておらず、キャスト陣も撮影中に謎の失踪をする俳優役のホセ・コロナド、映画監督役のヒネス・ガルシア・ミリャン、立ち位置が分からないマリア・レオンの3人しかアナウンスされておりませんでした(最終的には監督役はマノロ・ソロが演じる)。カンヌを視野に入れて進行中ということでしたが、凝り性の監督ゆえ完成できるかどうか明確でなかったので、映画祭の芸術監督であるティエリー・フレモーの気配りも大変だったようです。パルムドールを競うコンペティション部門でなく、2021年新設されたカンヌ・プルミェール部門になったのが残念と言えば残念です。以下に1992年の『マルメロの陽光』後のエリセ監督のフィルモグラフィー、共同執筆者は『悪人に平穏なし』でゴヤ賞を受賞しているミシェル・ガスタンビデ、主演のホセ・コロナド、ヒネス・ガルシア・ミリャンの紹介などしています。

Cerrar los ojos」の記事紹介は、コチラ20220715

ビクトル・エリセのフィルモグラフィー紹介は、コチラ20220725  

 

         

 

  「Cerrar los ojos」(映画祭タイトル「Fermer les yeux」「Close Your Eyes」)

製作:Tandem Films / Pecado Films / La mirada del adiós AIE / Pampa Films /   Nautilus Films  協賛 R TVE / Movistar/ Canal Sur / ICAA /  EiTB Euskal Irrati   Telebista /マドリード共同体 / アンダルシア評議会

監督:ビクトル・エリセ

脚本:ビクトル・エリセ、ミシェル・ガスタンビデ

撮影:バレンティン・アルバレス

音楽:フェデリコ・フシド

編集:アスセン・マルチェナ

美術:クル・ガラバル

音響:イバン・マリン、(ポストプロダクション)フアン・フェロ

キャスティング:ピラール・モヤ

衣装デザイン:エレナ・サンチス

製作者:クリスティナ・スマラガ、ホセ・アルバ、(エグゼクティブ)オディレ・アントニオ≂バエス

 

データ:製作国スペイン=アルゼンチン、スペイン語、2023年、ドラマ、撮影地グラナダのカステル・デ・フェロ、アルメリア、アストゥリアス、マドリード、クランクイン202210月。配給スペインはアバロン、国際はフィルム・ファクトリー独占配給

 

キャスト:ホセ・コロナド(失踪した俳優フリオ・アレナス)、マノロ・ソロ(ミゲル・ガライ監督)、ヒネス・ガルシア・ミリャン、アナ・トレント、マリア・レオン、ソレダード・ビジャミル、ジョセップ・マリア・ポウ、ペトラ・マルティネス、マリオ・パルド、フアン・マルガージョ、エレナ・ミケル、フェルナンド・ウスタロス(バニョス刑事)、他

     

  

    (上段左から、監督、ホセ・コロナド、ソレダード・ビジャミル、

     下段左から、マリア・レオン、アナ・トレント、マノロ・ソロ)

 

ストーリー90年代活躍していたスペインの俳優フリオ・アレナスは、映画の撮影中に忽然と姿を消します。彼の遺体は発見されませんでしたが、警察は彼が海沿いの崖で事故にあったと結論づけます。30年もの後、謎を掘り起こすテレビ番組の結果として彼は現代に戻ってきます。彼の親友でもあるミゲル・ガライ監督が撮影した最後のシーンがスクープされます。未完成の映画の始まりと終わり。

 

★製作はタンデム・フィルムズ(パブロ・E・ボッシ)を介してラ・ミラダ・デル・アディオスのクリスティナ・スマラガがメインになり、アンダルシアのペカド・フィルムズのホセ・アルバオディレ・アントニオ≂バエス、アルゼンチンのパンパ・フィルムズ、エリセ自身の制作会社ノーチラス・フィルムズが手掛けている。協賛は上記の通りですが数の多さに驚きました。

 

★主人公は、3年の年月をかけたプロジェクトが資金の関係で頓挫して、世界から引きこもった監督自身の分身とみなすこともできるわけです。ならば自分自身を克服するためのリベンジが必要ではないでしょうか。詳細は分かりませんが、マノロ・ソロがエリセの特殊なバージョンを演じるようなので、興味がそそられます。他に『海を飛ぶ夢』で神父役のジョセップ・マリア・ポウ、『だれもが愛しいチャンピオン』でソーシャルセンターの責任者を演じたフアン・マルガージョのベテラン演技派が脇を固めています。

 

★女性陣はオール立ち位置が目下分かりませんが、『スリーピング・ボイス~沈黙の叫び~』のマリア・レオン、アルゼンチンからは『瞳の奥の秘密』や『偽りの人生』のソレダード・ビジャミル、『マリアの旅』でフェロス主演女優賞を受賞したペトラ・マルティネス、彼女はマルガージョと結婚しており、別れていなければ夫婦で出演していることになる。そしてアナ・トレントのクレジットは、私たちを彼女の子供時代に引き戻し、『ミツバチのささやき』の美しいシーンを思い出させる。

   

            

            (撮影中のエリセ監督とアナ・トレント)


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