政権批判はゴヤ賞ガラの伝統、ベストドレッサーは誰?*ゴヤ賞2023 ⑬2023年02月20日 17:16

        イラク侵攻「ノー・モア・ウォー」から20

 

★第37回ゴヤ賞は政治色の強いガラの印象でしたが、もともとゴヤ賞授賞式は現政権への抗議という伝統があります。一番記憶に残るのは、ブッシュ大統領のイラク侵攻に対して当時の政権党であったPP国民党アスナール首相が支援を表明した2003年でした。映画アカデミー会長は女優のマリサ・パレデスでしたが、アカデミー理事会は2派に分裂して激論のすえ、「ノー・モア・ウォー」のリボンを胸に付けるかどうかは自由裁量になった。個人的には見ていて、「少しやりすぎかな」と思いましたが、やはりしこりとなって大衆の映画館離れに拍車をかける一因になった。その後も文化軽視のシブチン政党PPが映画チケット代の消費税21%増額に対する抗議(その後撤回された)、2013年の助演女優賞受賞のカンデラ・ペーニャの公立病院の機能不全に対する批判、2018年の#Me too 運動などが記憶に残っています。

 

    

        (映画アカデミー会長フェルナンド・メンデス≂レイテ)

 

★今回はカルロス・サウラ栄誉賞のスピーチを代読した夫人のエウラリア・ラモンが、公衆衛生に携わる医療関係者の医師や看護師への感謝を繰り返したことでした。これは医療者のコロナ感染対応への単なる社交辞令ではなく、本意を読み解くならば、政府が財政逼迫のためプライマリ・ケアを担っている医療関係者の財政を大幅削減をしたことへの抗議だったということです。マドリードで大規模なデモ行進が予定されていたようです。招待席にいたサンチェス首相以下56人の閣僚への抗議と分かると、サウラらしいと思いました。意味不明の邦題になった『カラスの飼育』は、少女アナの目を通して、スペインの家父長制社会やフランコ独裁政権を巧みに批判した映画でした。

   

     

                     (スピーチするエウラリア・ラモンと家族)

 

2週間前にサラゴサで開催された第10回フェロス賞の栄誉賞受賞者ペドロ・アルモドバルも公衆衛生施設の充実と医療関係者への緊急支援を訴えていました。「私たち(映画関係者)も、自分の意見が言える権利をもつ市民です」と、我々は映画製作だけしているわけにはいかないということです。さて、日本はどうでしょうか。

       

★生誕100周年を迎えた20世紀の女優で大歌手のローラ・フローレスを讃えて、娘ロリータ・フローレスが登壇して母親の持ち歌を絶唱した。ローラはカルロス・サウラのドキュメンタリー「Sevillanas」(92)にも出演している。またシンガーソングライターのベリー・バサルテが、過去1年間に鬼籍入りしたシネアストたちを歌で見送った。ほかにイスラエル・エルナンデスとパブロ・ロペスがデュエットしました。

 

         


        (ロリータ・フローレス、母親ローラへのオマージュ)

     

      

           (点鬼簿のシーンで歌うベリー・バサルテ)

 

 

★ベストドレッサー、最近ゴヤ賞ガラにご無沙汰だった方、ノミネートだけで涙をのんだ方など、レッドカーペットに登場したときのセレブたちのファッションです。一番難しい色と言われる黒装束?が、老若にかかわらずやはり流行のようでした。

    

   

           (栄誉賞プレゼンターのカルメン・マウラ)

   

   

         (ガラの総合プレゼンターのクララ・ラゴとアントニオ・デ・ラ・トーレ)

   

  

  (クララ・ラゴ、ディオールの202223秋冬コレクション、薄絹のドレス、

   宝石はブルガリ、最もエレガントなベストドレッサーの一人に選ばれた)

   

    

(助演女優賞ノミネート、毎回ベストドレッサーに選ばれるペネロペ・クルス、シャネル) 

   

    

  (ドキュメンタリー賞ノミネート、国際ゴヤ賞プレゼンターのイサベル・コイシェ) 

   

  

(作品賞プレゼンターのマリベル・ベルドゥ、アルベルタ・フェレッティのデザイン)

    

   

        (作品賞プレゼンターのアリアドナ・ヒル、コルタナのデザイン)

   

     

          (無冠に終わったカルラ・シモン監督)

   

   

         (監督賞ノミネートのピラール・パロメロ)

     


(監督賞ノミネートのカルロス・ベルムト、主演男優賞のナチョ・サンチェス、

   新人女優賞ノミネートのゾーイ・スタインのドレスはジバンシー)

   

   

(新人監督賞ノミネートのカルロタ・ペレダ、黒ずくめのファッションが好評)

   

  

(新人監督賞ノミネートのエレナ・ロペス・リエラと主役のルナ・パミエス)

   

  

 (新人監督賞ノミネートのフアン・ディエゴ・ボット、ペネロペ・クルス、

   オリジナル歌曲賞にノミネートされていた弟エドゥアルド・クルス)

   

  

      (主演女優賞ノミネートのフランス女優マリナ・フォイス)

    

     

  (主演女優賞ノミネートのアンナ・カスティーリョ、グッチのモノトーン)

    

           

        (主演女優賞ノミネートのヴィッキー・ルエンゴ)

     

  

  (助演女優賞ノミネートのカルメン・マチ、ヴィッキー・マルティン・ベロカル)

    

      

       (助演女優賞ノミネートのアンヘラ・セルバンテス)

   

  

     (助演男優賞プレゼンターのアイタナ・サンチェス≂ヒホン、

   カロリナ・エレーラのデザイン、宝石はカルティエ、靴はロディ)

   

      

         (新人女優賞ノミネートのバレリア・ソローリャ、ディオール)

    

   

(ブランカ・ポルテーリョ、黒一色の中で目立ったカロリナ・エレーラのデザイン)

    

   

      (プレゼンターのベレン・ルエダ、金色のスパンコールのスカート、

  羽飾りのケープに、さすがの観客も仰天していた。バレンスエラ・アテリル)

   


   (マリア・ペドロサ、アレクサンドル・ボーティエのオートクチュール、

    宝石はブルガリ)

   

      

 (衣装デザイン賞プレゼンター、タキシードに身を包んだミレナ・スミット)

    

      

 (ベテラン女優カエタナ・ギジェン・クエルボ、ルベン・エルナンデスのデザイン)

   

     

   (マリア・レオン、フアン・ビダルのデザイン、真冬に寒くないか?)

   

     

(アマイア・サラマンカ、レバノン出身のズハイル・ムラドのオートクチュール、

  2022~23の秋冬コレクション、ここはハリウッドですか?)

       

        

       (監督で女優のレティシア・ドレラ、ビクトリア・クルマデビリャ)

    

   

(助演女優賞のプレゼンターのベレン・クエスタ、ペドロ・デル・イエロのデザイン)