ジュリエット・ビノシュに国際ゴヤ賞*ゴヤ賞2023 ⑪ ― 2023年02月05日 18:12
「3冠」&オスカー女優のジュリエット・ビノシュに国際ゴヤ賞

(ドノスティア栄誉賞のトロフィーを手に、サンセバスチャン映画祭2022)
★去る2月1日、スペイン映画アカデミーから第2回目となる国際ゴヤ賞受賞者は、フランス女優のジュリエット・ビノシュ(パリ1964、59歳)と公式に発表されました。昨年新設された国際ゴヤ賞は、芸術としての映画に国際的に貢献した人物に贈られる重要なスペイン映画賞の一つ、「ビノシュの並外れたキャリアは、ヨーロッパのみならず国際的に賞賛され認められている。リスクのある作家への挑戦は数多くの忘れられないパフォーマンスを生んだ。40年にわたってヨーロッパ映画が目指す指標として不動の地位を築いてきた」ことが評価されました。あと1週間後に迫った2月11日、セビーリャのFIBESで開催される第37回ゴヤ賞ガラでトロフィーを受け取ることになります。
★キャリア&フィルモグラフィーについては第70回サンセバスチャン映画祭2022でドノスティア栄誉賞を受賞した折りにアップしております。タッグを組んだ監督はフランスに止まらず、ジャン=リュック・ゴダール、レオス・カラックス、ルイ・マル、デヴィッド・クローネンバーグ、アッバス・キアロスタミ、クシシュトフ・キェシロフスキ、ミヒャエル・ハネケ、オリヴィエ・アサイヤスなど枚挙に暇がない。しかし彼女の転機は1996年に訪れる。アンソニー・ミンゲラの『イングリッシュ・ペイシェント』でアングロサクソン映画にデビュー、ベルリン映画祭銀熊女優賞、アカデミー助演女優賞、BAFTA助演女優賞ほかを受賞して、ヨーロッパの「3冠」トリプルクラウンの一つを獲得した。
★ヨーロッパの「最優秀女優トリプルクラウン」というのは、カンヌ、ベネチア、ベルリン三大映画祭の受賞者を指し、3冠を達成した最初のヨーロッパ女優になりました。クシシュトフ・キェシロフスキの『トリコロール/青の愛』(94)でベネチア映画祭女優賞(ヴォルピ杯)、イランのアッバス・キアロスタミの『トスカーナの贋作』(10)でカンヌ映画祭女優賞である。
★女優のプロジェクトに参加する決め手は「新しい世界を私に覗かせる未知への旅」と語っています。また「監督の耳を傾ける能力、そして何よりも見る能力」が、「イエス」と言うように自分を駆り立てるとも語っている。イサベル・コイシェ監督が「ぶっ飛んだ女優」と評する所以である。
★片足でインディペンデント映画に、もう片足で『GODZILLA ゴジラ』や『ゴースト・イン・ザ・シェル』などの商業映画にも取り組んでいる。最新作はTVシリーズ「The New Look」(米10話)で、目下ココ・シャネルに命を吹き込んでいます。ベン・メンデルソン扮するクリスチャン・ディオールとわたり合うようです。
★第1回目の受賞者はオーストラリア出身の女優ケイト・ブランシェット、プレゼンターはアルモドバル監督とペネロペ・クルスでしたが、さて今回はどなたでしょうか。彼女が主演した「Nadie quiere la noche」(英題「Nobody Wants the Night」)のコイシェ監督あたりを個人的に予想します。本作でゴヤ賞2016の主演女優賞にノミネートされ、初めてゴヤ賞ガラに出席したフランス女優となりました。今回は国際ゴヤ賞受賞者の最初のフランス人となります。
*キャリア&フィルモグラフィー紹介は、コチラ⇒2022年09月17日
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