ゴヤ賞2023栄誉賞はカルロス・サウラ*ゴヤ賞2023 ⑨ ― 2023年01月07日 20:34
現役最年長監督カルロス・サウラにゴヤ賞2023栄誉賞
★昨年の〈スペイン映画の日〉*である10月6日、スペイン映画アカデミー新会長フェルナンド・メンデス=レイテが「1950年代後半から今日に至るまで、スペイン映画の歴史に対する彼の広範かつ個人的な創造的貢献にたいして、第37回ゴヤ賞2023の栄誉賞はカルロス・サウラ」と発表した。映画監督、作家、脚本家、写真家、デザイナー、舞台演出家、ミュージカル愛好家、危険を恐れず冒険を愛し、常に前進し続けるカルロス・サウラに遅ればせながらゴヤ栄誉賞を授与することにしたようです。
(栄誉賞の発表をするメンデス・レイテ会長、2022年10月6日)
★スペインを代表する製作者エリアス・ケレヘタ、エミリアノ・ピエドラ、アンドレス・ビセンテ・ゴメスとタッグを組み、一時期チャールズ・チャップリンの義理の息子だったサウラ、ルイス・ブニュエルの友人で共同製作者、映画界だけでなくオペラでもダニエル・バレンボイムやズービン・メータと協同したほか、フラメンコのパコ・デ・ルシアやカマロン、撮影監督のヴィットリオ・ストラーロとも仕事をした国際人でもあった。スペイン民主主義移行期の1977年、ブニュエルの遺作となった『欲望のあいまいな対象』がサンセバスチャン映画祭に正式出品された折り、二人の監督は現地入りして握手を交わしている。
(ルイス・ブニュエルとカルロス・サウラ、サンセバスチャン映画祭1977)
★1950年代後半から現在まで途切れることなく作品を発表、短編、TVシリーズを含めると51作という驚異的な本数になりますが、ゴヤ胸像は『歌姫カルメーラ』(90)での監督賞、ラファエル・アスコナと共同執筆した脚色賞の2賞だけでした。サウラの代表作は、1965年の長編デビュー作『狩り』以下、『ペパーミント・フラッペ』、「悦楽の園」、成熟期に入ったと称された『従姉アンヘリカ』、自身の人生観を語り始めたという『カラスの飼育』、自分の道を選ぶという可能性を問うた『愛しのエリサ』、オスカー賞ノミネートの『ママは百歳』、1981年の金熊賞受賞の『急げ、急げ』まで、そのほとんどがゴヤ賞創設以前の製作でした。今年のガラ開催は2月11日、会場はセビーリャFIBESです。
★「私を虜にしているものに携わりながら人生を送れるのは幸運です。映画を撮り、舞台やオペラを演出し、絵を描いたり、写真を撮ったりしてきましたが、これからも同じようにしたいと思っています。アカデミーから受賞の報せをいただき、大きな喜びと感謝の気持ちでいっぱいです。私たちの映画と文化を守ることは最も重要なことの一つです」というメッセージを、末娘の女優アンナ・サウラ(1994生)が代読した。かたわらにはプロデューサーのアントニオ・サウラ(1980生)が同席していた。スペイン映画の日のTV番組のようですね。
(代読するアンナ・サウラ、アントニオ・サウラ、2022年10月6日)
*〈スペイン映画の日〉というのは、2021年、スペイン文化・スポーツ大臣ロドリゲス・ウリベの肝煎りで新設されたもので、スペイン映画産業の促進を目的とし、その影響力と重要性を認識するために設けられた。10月6日が選ばれたのは、20世紀のスペインを代表する二人のシネアスト、ルイス・ガルシア・ベルランガとフアン・アントニオ・バルデムが共同監督したシリアスコメディ「Esa pareja feliz」(「あの幸せなカップル」)の撮影が1951年10月6日に終了したからだそうです。主役を名優フェルナンド・フェルナン・ゴメスが演じたこともあるようです。2021年はベルランガ生誕100周年、2022年はバルデム生誕100周年でした。
★1932年1月4日ウエスカ生れ、御年91歳の現役監督がまだ受賞していなかったとは驚きです。第70回サンセバスチャン映画祭2022にも芸術の起源についてのドキュメンタリー「Las paredes hablan」(75分)がエントリーされており、愛用のカメラを携えて現地入りするはずでしたが、犬の散歩中に転んで骨折したとかで見送られました。同年の第25回マラガ映画祭でビスナガ栄誉賞を受賞しており、世代的には孫娘にあたるカルラ・シモンからトロフィーを受け取り、「朝目が覚めると、なんてこった、まだ生きてるぞ」と、ユーモアたっぷりの受賞スピーチをしたのでした。
(カルラ・シモンからトロフィーを受け取る巨匠、マラガFF2022)
★オーディオビジュアル著作権管理協会(EGEDA)が選考母体のホセ・マリア・フォルケ賞は、縁の下の力持ちである製作者を讃える賞として始まったこともあり監督賞はありません。代わりにEGEDA金のメダルが栄誉賞に当たり、サウラは2018年に受賞しています。他に2015年の第2回フェロス栄誉賞、スペイン文化省が与える国民賞のうち映画部門は1980年から始まったのですが、その最初の映画国民賞を受賞したのがサウラでした。
(EGEDA金のメダルを受賞したサウラ、フォルケ賞2018)
★子供時代にスペイン内戦を体験したサウラは、「スペイン内戦は映画ではまだ充分に扱われていない。私が今怖れているのは、再びあの対立が起きることです。それが私を怖がらせます。その可能性は遠くない、なぜなら私たちは何も学んでいないからです」と。彼の映画では死が常に語られており、表層的には内戦がテーマでなくても内戦と深く結びついています。サウラは「家でも映画を見ており、良いものも悪いものも見ます。嫌いなものを見るのは、それが私の学ぶ方法だからです。50本の映画を撮れたのは奇跡でした」と語っている。2月11にはカメラを首から下げて元気な姿を見せてくれるでしょう。
◎カルロス・サウラ関連記事◎
*フェリックス・ビスカレットの『サウラ家の人々』(Saura (s))とフィルモグラフィーは、コチラ⇒2017年11月11日
*ベルリンFF 金熊賞受賞の『急げ、急げ』の作品紹介は、コチラ⇒2022年01月14日
*ドキュメンタリー「Zonda: folclore argentino」(15、ソンダ:アルゼンチンのフォルクローレ)の記事は、コチラ⇒2015年08月11日
*フォルケ賞EGEDA金のメダル受賞の記事は、コチラ⇒2018年01月15日
第10回フェロス賞2023はサラゴサ開催*ノミネーション発表 ― 2023年01月12日 11:28
フェロス賞2023の栄誉賞は、ペドロ・アルモドバル監督
★2022年11月24日、サラゴサの彫刻家パブロ・ガルガーリョ(1881~1934)の作品を収蔵しているガルガーリョ・ミュージアムで、第10回フェロス賞2023のノミネーション発表がありました。ゴヤ賞の前哨戦として2014年に始まったフェロス賞も節目の10回を迎えました。ゴヤ賞とは大分カテゴリーも異なりますが、一応そういうことになっています。選考母体はAICEスペイン映画ジャーナリスト協会、カテゴリーは映画部門11、TVシリーズ7の合計18カテゴリーです。
(カルロス・クエバスとミナ・エル・ハマニ)
★2021年に新設されたドキュメンタリー賞は、今回ノミネーション発表がありませんでしたが、昨年から始まったフェロス感動賞(フィクションとノンフィクションの2部門)のノミネートがありました。作品紹介は割愛しますが受賞結果はアップします。またオリジナル音楽賞はオリジナル・サウンドトラック賞と変更され、カテゴリーも流動的です。マリア・ゲーラAICE会長、サラ・フェルナンデス・エスクエルサラゴサ副市長出席のもと、人気俳優のカルロス・クエバスとミナ・エル・ハマニが進行役を務めました。授賞式は1月28日(土曜日)、昨年に続いてサラゴサ開催です。
(左から、カルロス・クエバス、AICE会長、サラゴサ副市長、ミナ・エル・ハマニ)
★映画部門最多ノミネートは、ロドリゴ・ソロゴジェンの「As bestas」の10とゴヤ賞と同じ流れです。TVシリーズのあるフォルケ賞とは違う流れになっています。アトレスメディアが手掛けた「La ruta」の6カテゴリーが最多、フォルケ賞受賞作の「Apagón」は4カテゴリーです。TVシリーズは作品賞と脚本賞をアップしておきます。ネットフリックスの2作品は目下配信中です。
(TVシリーズ最多ノミネートの「La ruta」のポスター)
★正式なノミネート発表の数週間前から秘密裏に決定されていたのがフェロス栄誉賞、今回は監督のペドロ・アルモドバルが受賞者です。フェロス賞関連では、2014年『アイム・ソー・エキサイテッド!』の予告編賞、2020年『ペイン・アンド・グローリー』の監督・脚本賞の2賞、『ジュリエッタ』も『パラレル・マザーズ』もノミネートに終わっています。海外での華々しい受賞歴に比して国内での受賞はそれほど多くありません。ただ出演キャストやスタッフに数々のトロフィーをもたらしている監督であることは間違いありません。
(第7回フェロス監督賞、脚本賞2冠だったアルモドバル、2020年ガラ)
*第10回フェロス賞2023ノミネーション*
◎作品賞(ドラマ)
「Alcarras」 カルラ・シモン監督 ノミネート3カテゴリー
「As bestas」(邦題『ザ・ビ-スト』) ロドリゴ・ソロゴジェン 同10カテゴリー
「Cinco lobitos」 アラウダ・ルイス・デ・アスア 同7カテゴリー
「Modelo 77」 アルベルト・ロドリゲス 同5カテゴリー
「Un año, una noche」 イサキ・ラクエスタ 同4カテゴリー
◎作品賞(コメディ)
「Competencia oficial」 監督マリアノ・コーン、ガストン・ドゥプラット
「El Cuarto Pasajero」 同アレックス・デ・ラ・イグレシア
「Tenéis que venir a verla」 同ホナス・トゥルエバ
「Vacil」 同アベリナ・プラト ノミネート2カテゴリー
「Voy a pasármelo bien」 同ダビ・セラーノ
◎脚本賞
ロドリゴ・ソロゴジェン、イサベル・ペーニャ 「As bestas」
カルラ・シモン、アルナウ・ピラロ 「Alcarras」
アラウダ・ルイス・デ・アスア 「Cinco lobitos」
カルロタ・ペレダ 「Cerdita」監督カルロタ・ペレダ ノミネート6カテゴリー
フラン・アラウホ、イサ・カンポ、イサキ・ラクエスタ 「Un año, una noche」
◎監督賞
ピラール・パロメロ 「La Maternal」 ノミネート3カテゴリー
カルロタ・ペレダ 「Cerdita」
アラウダ・ルイス・デ・アスア 「Cinco lobitos」
カルラ・シモン、アルナウ・ピラロ 「Alcarras」
ロドリゴ・ソロゴジェン 「As bestas」
◎女優賞
アンナ・カスティーリョ 「Girasoles silvestres」 監督ハイメ・ロサーレス
同3カテゴリー
ライア・コスタ 「Cinco lobitos」
ラウラ・ガラン 「Cerdita」
マリナ・フォイス 「As bestas」
カルラ・キレス 「La Maternal」
◎男優賞
カラ・エレハルデ 「Vasil」
ミゲル・エラン 「Modelo 77」
ドゥニ・メノーシェ 「As bestas」
ナウエル・ぺレス・ビスカヤール 「Un año, una noche」
ナチョ・サンチェス 「Mantícora」(『マンティコア』)監督カルロス・ベルムト
3カテゴリー
ルイス・トサール 「En los márgenes」同フアン・ディエゴ・ボット 2カテゴリー
◎助演女優賞
アデルファ・カルボ 「En los márgenes」
アンヘラ・セルバンテス 「La Maternal」
カルメン・マチ 「Cerdita」
スシ・サンチェス 「Cinco lobitos」
エンマ・スアレス 「La consagración de la primavera」監督フェルナンド・フランコ
2カテゴリー
◎助演男優賞
ディエゴ・アニド 「As bestas」
ラモン・バレア 「Cinco lobitos」
ヘスス・カロサ 「Modelo 77」
オリオル・プラ 「Girasoles silvestres」
ルイス・サエラ 「As bestas」
◎オリジナルサウンドトラック賞
オリヴィエ・アーソン 「As bestas」
アランサス・カジェハ 「Cinco lobitos」
フェルナンド・ベラスケス 「Los renglones torcidos de Dios」監督オリオル・パウロ
2カテゴリー
フリオ・デ・ラ・ロサ 「Modelo 77」
ラウル・Refree 「Un año, una noche」
◎ポスター賞
ジョルディ・リンス、ルシア・ファライグFaraig 「As bestas」
エドゥアルド・ガルシア、ホルヘ・フエンブエナ 「Cerdita」
ゴンサロ・ルテ、キム・ビベス 「Girasoles silvestres」
ミカ・ムルフィーMurfhy 「La consagración de la primavera」
カルロス・ベルムト 「Mantícora」
◎予告編賞
ミゲル・アンヘル・トルドゥ 「As bestas」
マルタ・ロンガス 「Cerdita」
ミゲル・アンヘル・トルドゥ 「Mantícora」
アイトル・タピア 「Modelo 77」
「Los renglones torcidos de Dios」
◎TVシリーズ作品賞(ドラマ)
「¡García!」(HBO Max) ノミネート2カテゴリー
「Apagón」(Movister Plus) 4カテゴリー
「Intimidad」(Netfix)邦題『インティミダ』2022年6月10日配信開始 4カテゴリー
「La ruta」(Atresmedia Player) 6カテゴリー
「Rapa」(Movister Plus) 2カテゴリー
◎TVシリーズ作品賞(コメディ)
「Autodefensa」(Filmin) ノミネート2カテゴリー
「Fácil」(Movister Plus) 2カテゴリー
「Las de la última fila」(Netflix)邦題『最後列ガールズ』2022年9月23日配信開始
「No me gusta conducir」(TNT) 4カテゴリー
◎TVシリーズ脚本賞
イサベル・ペーニャ、アルベルト・マリニ、フラン・アラウホ、ラファエル・コボス、
イサ・カンポ 「Apagón」
ベルタ・プリエト、ベレン・バーニーズ、ミゲル・アンヘル・ブランカ 「Autodefensa」
アンナ・R・コスタ、クリスティアナ・ポンス 「Fácil」
ベロニカ・フェルナンデス、ラウラ・サルミエント、ホセ・ルイス・マルティン 「Intimidad」
ボルハ・ソレル、ロベルト・マルティン・マイステギ、シルビア・エレロス・デ・テハダ、
クララ・ボタス、「La ruta」
◎TVシリーズ女優賞
◎TVシリーズ男優賞
◎TVシリーズ助演女優賞
◎TVシリーズ助演男優賞
ユーモアは控えめだが視聴者参加の授賞式*ゴヤ賞2023 ⑩ ― 2023年01月18日 15:37
総合司会者にアントニオ・デ・ラ・トーレとクララ・ラゴ
★ガラまで1ヵ月前になる1月11日、総合司会者アントニオ・デ・ラ・トーレとクララ・ラゴ、スペイン映画アカデミー会長フェルナンド・メンデス=レイテ出席のもと、第37回ゴヤ賞2023の詳細の一部が明らかになりました。4年ぶりとなるセビーリャ開催の今回は、メンデス=レイテ会長が初めて指揮するゴヤ賞授賞式になります。前回は総合司会者なしで催行されましたが、今年はマラゲーニョとマドリレーニャの俳優が担います。ここ何年かはコメディアンが抜擢されていましたが、司会者に人を笑わせる才能は必要ないということで、今回は俳優が選ばれました。ということでユーモアは控えめになります。アカデミー会長からは「ガラの司会は大きな挑戦です。忘れられない夕べを過ごすために二人が最善を尽くすことは分かっています」というコメントがありました。
(メンデス=レイテ会長、アントニオ・デ・ラ・トーレ、クララ・ラゴ、1月11日)
★アントニオ・デ・ラ・トーレ(マラガ1968)は、「私たち二人はコメディアンではないので、おどけるつもりはありません。しかし節度をもって司会を務めます」と、二人がガラを進行する同僚であることを強調した。アカデミーから電話で要請を受けたおり、彼らは「私たちに『あなた方を信頼しています』と言いました」と、続けて「過去の事例に拘りたくないし、そうする必要があるなら他の人に電話をかけたでしょう」と語った。14回というノミネートの山を積みあげつづけたベテランは、ロドリゴ・ソロゴジェンの「El reino」(18)でやっと主演男優賞のトロフィーを抱きしめた。「ゴヤに一番嫌われた男」とも言われたが宿願を果たした。実に長い道程でした。コンビを組むクララ・ラゴとは、ダニエル・サンチェス・アレバロの『マルティナの住む街』(11)で父娘を演じ、アル中のダメ親父に扮した。今回はその埋め合わせができるでしょうか。
(マリサ・パレデスから主演男優賞のトロフィーを受け取るデ・ラ・トーレ、ゴヤ賞2019ガラ)
★長時間が毎年問題になり、受賞者スピーチの持ち時間を制限したりしましたが、今回は2時間30分は超えないと大幅な短縮がアナウンスされました。ほかに今年は新しい試みが導入されます。視聴者が「La porra de los Goya」(ゴヤ賞の鉄槌?)を通して、28カテゴリーの受賞者が誰になるかを言い当てる大衆参加型のガラになるようです。蓋を開けてみないことにはよく分かりませんが、視聴者を繋ぎとめるインタラクティブなゲームになるようです。クララ・ラゴによるとゴヤ賞ガラは「スペイン映画の祭典というだけでなく大衆のフィエスタでもある」からです。「映画は、それを観てくれる観客がいなければ意味がありません」と、観客との交わりを強調しました。
★クララ・ラゴ(マドリード1990)は、エレガントなベストドレッサーとして毎回レッドカーペットの人気者ですが、ゴヤ賞はまだ受賞がありません。イマノル・ウリベの『キャロルの初恋』でゴヤ賞2003新人女優賞にノミネートされましたが、この年は混戦の年であどけない12歳の少女は弾き飛ばされました。2004年に第1回ラテンビート映画祭のゲストとして来日したときには、すらりと背が伸びて別人のようで、「撮影後は学業に専念している」ということでした。演技だけで子役出身が生き残るのは難しい。エミリオ・マルティネス=ラサロの大ヒット作「Ocho apellidos vascos」を含めて主演作は20作ぐらいあると思いますがノミネートさえありません。字幕入りで観られる映画は玉石混交ですが、公開を含めてDVDやNetflix 配信を加えると10作くらいあるでしょうか。司会を機に飛躍の年にして欲しい。
(ベストドレッサーに選ばれたクララ・ラゴ、ゴヤ賞2020ガラ)
★ガラの制作プロダクションは、スペインの主要なテレビ・コンテンツの一つである Gestmusic(バニジェイ・イベリア)が引き受け、ティネット・ルビラとアンヘル・クストディオの演出、フェルナンド・ぺレスの脚本グループがコーディネートします。彼はパコ・レオンの『KIKI 愛のトライ&エラー』(16)の脚本を手掛けています。他に祭典にはメキシコのシンガーソングライターのナタリア・ラフォルカデ(!)、マラガ出身のミュージシャンパブロ・ロペス、フラメンコ歌手イスラエル・フェルナンデスなどの出演が明らかになりました。
*アントニオ・デ・ラ・トーレのキャリア&フィルモグラフィーは、コチラ⇒2018年08月27日
*クララ・ラゴのキャリア&フィルモグラフィーは、コチラ⇒2014年03月27日
メキシコ映画『ざわめき』鑑賞記*ネットフリックス配信 ― 2023年01月28日 16:25
「暴力の恐怖や痛みに直面しても、私たちは独りではない」
★第70回サンセバスチャン映画祭SSIFF 2022ホライズンズ・ラティノ部門でワールドプレミアされた、ナタリア・ベリスタインの「Ruido」が、邦題『ざわめき』としてネットフリックスで配信が開始されました。万人受けする映画ではなく重たい内容ですが、毎日平均11人の女性が女性であるという理由だけで殺害される国メキシコの事実に基づいた今日が語られています。当ブログでは同じテーマの作品を少なからず紹介しておりますが、それは女性に限らず「誰にでも起りえること」だからです。
★ドラマと劇的描写で賭けをする映画、エレガントで詩的な作品ではありません。しかしこの映画を観ることで、海の向こうで社会的暴力と闘うメキシコの女性グループとの連帯を表明したい。また難しくてタフな映画でありますが、演技は常にこの作品の核心であり、現実的で残酷なキャラクターを定義するフリエタ・エグロラの素晴らしい演技のお蔭で成功しています。アリエル賞2022作品賞を受賞したタティアナ・ウエソの「Noche de Fuego」も類似作品です。
*ナタリア・ベリスタイン監督のキャリア&作品紹介は、コチラ⇒2022年08月18日
*タティアナ・ウエソの「Noche de Fuego」作品紹介は、コチラ⇒2021年08月19日
(フリエタ・エグロラ、ベリスタイン監督、共演のテレサ・ルイス、SSIFF 2022 フォトコール)
★ナタリア・ベリスタイン・エグロラ監督紹介:1981年メキシコシティ生れ、監督、脚本家、キャスティングディレクター、製作者。父親は俳優のアルトゥーロ・ベリスタイン、母親は女優のフリエタ・エグロラ・ベリスタイン、俳優で作曲家のペドロ・デ・タビラ・エグロラは義兄、3人とも本作に出演している。メキシコの映画養成センターCCC(1975設立)卒業、2009年制作会社「Chamaca Films」を設立した。2006年、CCC製作の「Peces plátano」(18分)で短編デビュー、モレリア映画祭でメキシコ短編賞を受賞している。
★長編デビュー作「No quiero dormir sola」(83分)は、ベネチア映画祭2012「批評家週間」に正式出品、同年モレリア映画祭でメキシコ作品賞、主演のアドリアナ・ロエルがアリエル女優賞を受賞、2013年のロッテルダム映画祭でイエロー・ロビンを受賞している。父アルトゥーロ・ベリスタインが出演、ペドロ・デ・タビラが音楽監督を務めている。
★2017年、長編第2作「Los adioses / The Eternal Feminine」は、メキシコ20世紀で最も重要な作家の一人、詩人でジャーナリストのロサリオ・カステリャノス(1925~74)のオートフィクション。外交官でもあったカステリャノスは、1971年イスラエル大使として赴任していたテルアビブで49歳の若さで客死している。現代はカステリャノスの詩編から採られた。モレリア映画祭2017でプレミアされ、観客・女優(カリナ・ギディ)・フューチャー・フィルム賞を受賞、第12回ローマ映画祭2017に正式出品、マラガ映画祭2018イベロアメリカ部門ノミネート、アリエル賞2018では、ヒロインを演じたカリナ・ギディが女優賞を受賞、ほか監督・美術・撮影・男優賞などがノミネートされた。ドゥランゴ・ニュー・メキシコ映画祭でも観客賞を受賞。第3作目が『ざわめき』(「Ruido」)になる。
(主演者4人を配した「Los adioses / The Eternal Feminine」のポスター)
★他に短編、ドキュメンタリー、TVシリーズを手掛けている。うち1994年ティフアナ市、メキシコ大統領候補ルイス・ドナルド・コロシオが演説後に銃撃された前代未聞の暗殺事件を描いた『犯罪アンソロジー:大統領候補の暗殺』(19、Netflix 配信)4話を手掛けている。
(ナタリア・ベリスタイン、モレリアFF2022にて)
『ざわめき』(原題「Ruido」英題IMDb「Noise」)メキシコ=アルゼンチン
製作:Woo Films / Agencia Bengala / Chamaca Films / Pasto / Pucara Cine 協賛INCAA
監督:ナタリア・ベリスタイン
脚本:ナタリア・ベリスタイン、ディエゴ・エンリケ・オソルノ、アロ・バレンスエラ
音楽:パブロ・チェモル
撮影:ダリエラ・ラドロー
編集:ミゲル・シュアードフィンガー
キャスティング:ベルナルド・ベラスコ
美術:アリエル・マルゴリス
セット・デコレーション:アレハンドラ・ドゥリソッティ
衣装デザイン:アナイ・ラモス
プロダクション・デザイン:ルイサ・グアラ
音響:チェマ・ラモス・ロア、ギド・ベレンブェム ASA
製作者:カルラ・モレノ・バディリョ、マリア・ホセ・コルドバ、ガブリエラ・マルドナド、ナタリア・ベリスタイン、ラファエル・レイ、(共同)バルバラ・フランシスコ、フェデリコ・Eibuszyo
データ:製作国アルゼンチン=メキシコ、スペイン語、2022年、ドラマ、105分、配給Netflix、公開アルゼンチン2022年10月18日、メキシコ限定2023年1月5日、Netflix配信2023年1月11日
映画祭・受賞歴:第70回サンセバスチャン映画祭2022ホライズンズ・ラティノ部門正式出品、スペイン協同賞受賞(ナタリア・ベリスタイン)、シカゴ映画祭2022ゴールド・ヒューゴ賞ノミネート、第20回モレリア映画祭2022コンペティション部門出品
キャスト:フリエタ・エグロラ(フリア・ベラスケス・ノリエガ)、テレサ・ルイス(ジャーナリストのアブリル・エスコベド)、ケニア・クエバス(アメリカ)、ヒメナ・ゴンサレス(リズ)、アドリアン・バスケス(検察官サムディオ・ロドリゲス)、マリアナ・ヒメネス(署長)、ニコラサ・オルティス・モナステリオ(愛称ヘル、ヘルトルディス・ブラボー・ベラスケス)、アルトゥーロ・ベリスタイン(ヘルの父親アルトゥーロ・ブラボー)、ペドロ・デ・タビラ(フリアの息子ペドロ)、エリック・イスラエル・コンスエロ(検事アシスタント)、モニカ・デル・カルメン(キャス、拉致専門弁護士カサンドラ)、ガブリエラ・ヌニェス(失踪したミッツィーの母アドリアナ)、アルフォンソ・エスコベド(ホテルの男性)、プリセラ・イスキエルド(抗議者ボイス)、マウリシオ・カルデロン・モラ(秘書カサンドラ)、ソフィア・コレア(エミリア)、ブレンダ・ジャニェス(母親を探しているパオラ)、マリアナ・ビジェガス(オクパの代表者)、セイラ・トーレス・シエラ、ほか支援グループ、警察官、予備隊員など多数
ストーリー:フリアは9ヵ月前、突然行方不明になった娘ヘルを探し続けている母親である。より正確には、この国では珍しくもない、暴力によって人生をずたずたに引き裂かれた多くの母親たち、姉妹たち、娘たち、女友達の一人と言ったほうがいい。ジャーナリストのアブリル・エスコベドの助けを借りて、娘を見つけるための独自の道を歩み始める。フリアの恐怖の旅は私たちを秘密墓地の地下に案内するが、女性たちの団結に勇気づけられ、暴力の恐怖と痛みに直面しても、自分独りの闘いでないことを実感するだろう。
(娘ヘルを探し続けるフリアと協力者のアブリル・エスコベド、フレームから)
事実から構想された『ざわめき』は政治的問題についての物語
A: 本作はフリアの顔のクローズアップで始まる。そこへ製作国、制作会社とスタッフ、主なキャストの名前が被さってくる。舞台背景はメキシコの現代だが、1970年代後半の軍事独裁時代には約30,000人の行方不明者を出したアルゼンチンとの合作であることを視聴者に印象づけている。
B: 出演者はメキシコ人、スタッフもメキシコ側ですから、アルゼンチンは資金的な連帯でしょうか。アルゼンチンの行方不明者もまだ未解決、人権問題に終りはないと実感します。
A: 娘の突然の失踪によって心が砕けた女性の物語ですが、社会的暴力についての、政治的問題についての、基本的人権についての物語です。監督によると「フィクションですが、すべて事実です」と語っています。メキシコの行方不明者の問題は、1990年代後半から麻薬カルテルの勢力拡大が激しくなった2006年ごろ顕著になってきますが、約10万人と言われています。
B: エンディングでも9万人とありましたから尋常ではない数字です。しかし届けない人もいるので氷山の一角という指摘もあります。実際の行方不明者20数人の実名を写真入りでエンディングでクレジットしている。
A: 女性だけでなく男性も多いというのが分かります。本作の成功は主人公フリアを演じた監督の実母でもあるフリエタ・エグロラの圧倒的な演技によるものです。ドラマと劇的描写で賭けをする映画、フリエタ・エグロラがこの賭けに乗りだした。彼女は人権問題に敏感で長年支援グループとも関係をもち、そのことが娘である監督に影響を与えていた。監督によると本作の構想は当時のカルデロン大統領が麻薬カルテル戦争に軍隊を動員した2006年ということです。
(検察で捜索状況を聞くアルトゥーロとフリア、フレームから)
B: ヘルの父親アルトゥーロになったアルトゥーロ・ベリスタインは監督の実父、劇中でも夫婦役を演じているが、フリアのフルネームから察して別居ではなく離婚している設定になっている。しかしニコラサ・オルティス・モナステリオ扮するヘルの父親であることに変わりない。目覚めると体に激痛が走るとフリアに訴え、ヘルの遺体が見つかって捜索が終了することを願っている。
(失踪9ヵ月めに支援グループの会合で娘の失踪した経緯を話すフリア)
A: フリアの息子ペドロに扮したミュージシャンでもあるペドロ・デ・タビラは、ペドロ・デ・タビラ・エグロラの別称も使用しているように、母親はフリエタ・エグロラだが父親は舞台演出家のルイス・デ・タビラ、監督とは異父兄妹になる。監督の長編デビュー作「No quiero dormir sola」には音楽監督として参加、第2作目の「Los adiosos」では主人公ロサリオ・カステリャノスが結婚した哲学教授リカルド・ゲーラ・テハダの若い頃を演じた。
B: ローマ映画祭では監督をエスコートしてレッドカーペットを歩いた。特に3作目となる『ざわめき』では、監督一家が一丸となって勝負に出ている印象です。
(ペドロ・デ・タビラ、監督、カステリャノス役のカリナ・ギディ、ローマFF2017)
A: フリエタ・エグロラは演劇大学センター出身の女優で、TVシリーズを含めると出演本数は70本と多いが、どちらかというと舞台に軸足を置いている。アルトゥーロ・リプスタインの犯罪スリラー『深紅の愛』(96)に出演、アリエル助演女優賞を受賞、マリア・デル・カルメン・ララのコメディ「En el páis de no pasa nada」(00)でグアダラハラ映画祭の女優賞を受賞している。他に1995年から始まった芸術貢献賞であるMedalla Bellas Aetes(芸術勲章)を2018年に授与されている。
(息子ペドロと娘ナタリアに囲まれてMedalla Bellas Aetesを手にしたエグロラ)
女性シネアストが協力して製作、負の連鎖が断ち切れないメキシコの現実
B: 『ざわめき』でキャスと呼ばれていた拉致専門弁護士を演じたモニカ・デル・カルメンは、アリエル賞2022女優賞は受賞している実力派。一ヵ所に止まっていると危険なので常に移動していると語らせていた。弁護するのも命がけがメキシコの現実です。
A: 人権弁護士殺害も大袈裟でなく事実、本作はフィクションですが事実がベースになっている。もう少し出番があるかと思いましたが存在感のある女優です。受賞作はアロンソ・ルイスパラシオスの「Una película de policías」で監督自身も監督賞を受賞した。以下でデル・カルメンのキャリア&フィルモグラフィーを紹介しています。
*A・ルイスパラシオスの「Una película de policías」の作品紹介は、コチラ⇒2021年08月28日
(アリエル賞2022女優賞受賞のモニカ・デル・カルメン)
B: テレサ・ルイスが演じたジャーナリスト、アブリル・エスコベドが、突然バスに乗り込んできた〈彼ら〉に拉致される。同乗していたフリアは恐怖で声も出ない。関わりたくない運転手も乗客も沈黙する。〈連中〉は自分たちの周りをブンブン飛び回るうるさい蠅を早々に取り除きたい。
A: 批判記事を書く記者は早い段階で芽を摘みとる必要があり、アブリルのような無防備な若いジャーナリストが狙われる。結局彼女も「ミイラ取りがミイラにな」り、行方不明者としてファイル化されてしまう。独自の捜索を始めたフリアも夜道で不信な車に付け狙われ脅されるシーンがあった。アブリルの正義感は報われないが、そもそも連中と一般市民の思考回路には接点がない。
B: テレサ・ルイスはネットフリックスのオリジナル・シリーズ『ナルコス:メキシコ編』(18~20、13話)でカルテルの女王と言われたイザベラ・バウティスタを演じており、本作では一番知名度があるのではないでしょうか。
A: 1988年オアハカ生れ、ロスアンゼルス育ちの女優で製作者、メキシコと米国の国籍をもっていて、両国で活躍している。アクターズ・スタジオのメソッド演技を学んでいる本格派です。まだ34歳と若いが受賞歴や公開作品も多いので別途紹介したい。
(支援グループの会合で家族の証言に聞き入るアブリル・エスコベド)
B: アブリルと対極にあるのが、ガセネタをちらつかせ賄賂を臆せず要求するマリアナ・ヒメネス扮する地方の警察署長、女性というキャスティングが意外でした。すべて事実ということですから時代の流れを感じさせます。
A: 女に指示されるのが嫌いな土地柄なのに逞しいの一言です。被害者だけでなく国民全体が政府と警察を信用しないのは、腐敗が国全体に蔓延しているからです。無能で無関心なのは、資金不足が人材不足に拍車をかけている。暴力はお金が大好きなのです。賄賂を払えない被害者は泣き寝入りするか、支援グループに入って先鋭化するしかない。仮にフリアのように払える人もどぶにお金を捨てることになる。
B: エンディングで捜索支援グループの名前がクレジットされていましたが、劇中で「9年間で4人の子供」が揃って行方不明になった母親のグループは〈ブスカドーラスGrupo Buscadoras〉というグループ、捜索者という意味です。
A: 180団体以上結成されているという記事も目にしましたから、大変な数です。フリアに「連中は調理してドラム缶で焼却する」と語っていた。調理するとは遺体をばらばらに切り刻むことです。殺害され、切り刻まれ、焼却され、投棄される。投棄されたとおぼしい野原から衣服の切れ端や黒焦げの残骸が発見される。
B: 最後のデモ行進のシーンで、暗紫色の洋服を着ていた若い女性たちのグループは〈モラドーレスMoradores〉という団体、デモは違法ではないから警官はメディアがいるあいだは手出しをしないが、引き揚げるのを待って警棒を振り上げる。
A: アポジャ・オクパ Apoyo Okupa というフェミニスト・グループも参画している。女性の権利を否定して何万人もの行方不明者を出しているにもかかわらず国家が対策を取らないことに抗議している。ラストのデモ・シーンでバルコニーから演説していた女性が代表者、マリアナ・ビジェガスが扮していた。
B: デモはメキシコでは驚くほど一般的だということです。体系的な汚職、道徳的腐敗、無力者の苦悩が語られますが、本作では孤立して悲しむだけではなく、コミュニティ内で団結して何かをする必要性も語られているわけです。それがラストシーンに繋がります。
A: 本作には出番こそ少ないがトランスジェンダーの人権活動家ケニア・クエバス(1973)も友情出演している。マッチョが支配する世界では、クエバスのような LGBTQ は抹殺対象になる。
B: 実際にクエバスのパートナーは2016年に殺害されており、メキシコはトランスの死亡率が世界で2番目に高い国ということです。
(トロフィーを手にしたケニア・クエバス、2021年11月)
A: クエバスは、トランスジェンダーの犠牲者を保護するテイレシアスの家、La Civil Casa de las muñecas Tiresias(2019設立)の代表者、麻薬密売という虚偽の密告で10年以上も収監されていた活動家です。2021年に人権擁護者としてのキャリアが評価され文化鍛造財団からForjadores de México賞を貰っています。また詩人のヒメナ・ゴンサレス(2000)が、支援グループの一人リズ役で出演していました。フリアは彼女たちが走り回って正義を叫び、広場に抗議アートを描いているのを見て或る決心をするわけです。
(ヒメナ・ゴンサレス)
魅惑的なラストシーン、フリアの幻想
B: アドリアン・バスケス(1980)扮するフリアの3人目となる担当検事サムディオ・ロドリゲスは、まだ良心的なほうですね。個人では埒のあかない法の壁に苦悩している。
A: ベラクルサナ大学卒、演出、演技、ドラマトゥルギーを学ぶ。1998年デビュー、TVシリーズ出演が多いが、代表作はホセ・マリア・ヤズピックの話題作「Polvo」(19)でアリエル賞2020助演男優賞にノミネートされた。アベ・ローゼンバーグのアクション・コメディ「Placa de Acero」(19)では、警察官に扮した。
B: 担当検事が9ヵ月で3人めというのも珍しくないのでしょうか。とにかくヘル誘拐の実行犯までたどり着いた。犯人が分かっても逮捕はできないのが現実、ヘルの行方は依然として不明のままです。
A: 誘拐した理由の陳腐さにフリアも唖然としていた。大統領が右にしろ左にしろ、口約束だけで実行した例がない。希望はないのか。
B: 本作は一貫してリアリズムで進行するが、フリアは痛みに麻痺するのか幻想の世界に入る。娘が消えた場所のようだが、一人ぽつんと平原に立っている。
A: 一貫したリズミカルな雰囲気を作り出すために、長い沈黙とスローショットのゆっくりしたリズムを守り、視覚的にはハッとする瞬間です。4~5回繰り返されますが、最後のシーンの受け取り方は視聴者それぞれに委ねられますが、評価も分かれると思います。
(連帯して闘うフリア)
(幻想の世界に入り込むフリア)
★テレサ・ルイス紹介:1988年オアハカ生れ、メキシコ系アメリカ人の女優、製作者。ロバート・ローレンツの『マークスマン』(21、米)でリーアム・ニーソンと共演している。他にロザリンド・ロスの『ファーザー・スチュー/闘い続けた男』(22、米)に主演、TVシリーズ『Mo/モー』(22、米Netflix配信8話)にも出演している。本邦でも公開されたグレゴリー・ナヴァの『ボーダータウン 報道されない殺人者』(07)にマキラドーラの工場で働く労働者役で出演している。メキシコ映画ではヘラルド・トルトの「Viaja redondo」でアメリカとの国境地帯に暮らす貧困家庭の女性を好演し、カルタヘナ映画祭2009とグアダラハラ映画祭の女優賞を受賞、翌年アリエル女優賞にノミネートされた。ガエル・ガルシア・ベルナルが創作者の一人であるTVシリーズ犯罪スリラー「Aqui en la Tierra」(18~20、9話)に脇役出演、マノロ・カロの『ハウス・オブ・フラワーズ』(18~20、Netflix配信5話)にも出演している。
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