3人の失業仲間が奮闘する笑えないコメディ 「El plan」」2020年02月22日 09:32

      同名戯曲の映画化、お先真っ暗なパコ、ラモン、アンドラデの人生設計

 

 

ポロ・メナルゲスEl planは、アントニオ・デ・ラ・トーレチェマ・デル・バルコラウル・アレバロのベテラン3人が登場する。働いていた警備会社が閉鎖、お決まりの失業者の仲間入り、日がな一日、今後を議論しているが光は射してこない。イグナシ・ビダルの戯曲をベースにして映画化された。昨年のバジャドリード映画祭2019 SEMINCIに正式出品(1022日)、続くセビーリャ・ヨーロッパ映画祭でも上映された(1112日)。主演3人は人気の高い中堅演技派を揃えていますが、監督のポロ・メナルゲスは当ブログ初登場です。

   

   

        (ポロ・メナルゲス監督、第64回バジャドリード映画祭SEMINCIにて

   

    

 (左から、ラウル・アレバロ、監督、アントニオ・デ・ラ・トーレ、チェマ・デル・バルコ)

 

ポロ・メナルゲス Carlos Polo Menárguezは、監督、脚本家、製作者、編集者ほか撮影も手掛けるマルチ人間、マドリードのカルロス3世大学で情報メディア、視聴覚コミュニケーションを専攻(200610)、スペイン国営テレビRTVEオフィシャル研究所で養成を受けた(201011)。2009年短編La culona16分)を撮る。母親を殺された事件を機に故郷を離れていた若い娼婦ルシアが、数年後リベンジのため帰郷する。独り暮らしの伯母カルメンを手助けする必要もあったのだが、伯母の助言は役に立つだろう。カルメン役にベテランのマリア・アルフォンソ・ロッソが扮した。長編映画としてはDos amigos1396分)があり、これはフィクションとドキュメンタリーをミックスしたような作品。トゥールーズ映画祭2013初監督部門とセビーリャ・ヨーロッパ映画祭に正式出品された。音楽を担当したルイス・エルナイスがテネリフェ映画音楽フェスでオリジナル・スコア賞を受賞した。本作El planを長編デビュー作と紹介する記事もあるが2作目になります。

  

     

                      (長編デビュー作Dos amigos」のポスター

 

★セルビアを舞台にしたドキュメンタリーInvierno en Europa70分)は、バジャドリード映画祭2017に正式出品され、翌年のゴヤ賞の作品・監督・脚本・編集など8部門に候補として選ばれていたが、最終ノミネーションには残れなかった。新作El plan」もSEMINCIの愛称でより親しまれているバジャドリード映画祭でプレミアされている。

  

    

                 (ドキュメンタリーInvierno en Europa」のポスター

 

 

 El plan2019

製作:Capitán Araña / Elamedia Estudios

監督:ポロ・メナルゲス

脚本:ポロ・メナルゲス、原作イグナシ・ビダル

音楽:パブロ・マルティン・カミネロ

撮影:アレハンドロ・エスオアデロ

編集:バネッサ・Marimbert

プロダクション・マネージメント:ビルヘニア・エルナンド

衣装デザイン:イラチェ・サンス

メイク&ヘアー:クルス・プエンテ

製作者:ナチョ・ラ・カサ、ララ・テヘラ(エグゼクティブ)

 

データ:製作国スペイン、スペイン語、2019年、コメディ・ドラマ、79分、スペイン公開2020221

映画祭・受賞歴バジャドリード映画祭2019 SEMINCI、セビーリャ・ヨーロッパ映画祭2019に正式出品される。

キャスト:アントニオ・デ・ラ・トーレ(パコ)、チェマ・デル・バルコ(ラモン)、ラウル・アレバロ(アンドラーデ)

 

ストーリー:パコ、ラモン、アンドラーデの3人は、働いていた警備会社が閉鎖して失業、負け犬の不運を日がな一日かこつことになる。しかしある日のこと、朝の9時に3人は、新しい<プラン>を実行することに決心する。プランはすべてを一新するはずだったが、何やかや不慮の出来事が起きて、家から出発できず、またもや堂々巡りの議論が始まって・・・それぞれの個人的な生活やマドリード郊外の下町の隣人たちによるフラストレーションから、3人の友情と憎しみが炸裂するだろう。

 

★監督によると「トーンはコメディと辛口ドラマの中間、ホームドラマというのは諍いは日常的で、どんな時でも一触即発の危機にある」ということです。進行につれて悪くなる予感がしてくるが「それは見方によるだけ」で、作品はいかなる解釈も正当化もきっぱりと拒絶している。

 

★舞台劇の映画化では登場人物の選考は難しい。アントニオ・デ・ラ・トーレラウル・アレバロは、ラテンビート2009で上映された、ダニエル・サンチェス・アレバロの『漆黒のような深い青』、『デブたち』、『マルティナの住む街』、短期間だが公開されたアルベルト・ロドリゲスの『マーシュランド』、そしてアレバロ初監督の『物静かな男の復讐』の主役はデ・ラ・トーレでした。二人ともゴヤ賞ノミネートの常連、紹介俳優ベストテンにはいる。ラモン役のチェマ・デル・バルコは、ダニエル・モンソンの『エル・ニーニョ』(14)の工場長役や Netfix 配信のTVシリーズ『ペーパーハウス』などに出演している。

アントニオ・デ・ラ・トーレのフィルモグラフィー紹介は、コチラ20180827

ラウル・アレバロのフィルモグラフィー紹介は、コチラ20170109

 

    

         (日がな一日、議論ばかりしている敗残兵、アンドラーデ、パコ、ラモン