ロス・ハビスの新作「La bola negra」にペネロペ・クルスが出演 ― 2025年07月04日 11:04
フェデリコ・ガルシア・ロルカの未完の小説 ”La bola negra” をベースに

(ハビエル・アンブロッシ、ハビエル・カルボ、グラナダの詩人ガルシア・ロルカ)
★5月19日、カンヌのイベントでロス・ハビスの新作「La bola negra」(スペイン=フランス合作)にペネロペ・クルスとシンガーソングライターのギタリカデラフエンテの出演が発表になりました。ハビエル・カルボ&ハビエル・アンブロッシ(通称ロス・ハビス)が、監督、脚本、製作する映画です。ロス・ハビスの制作会社「Suma Contento」とフランスの「Le Pacte」が製作し、パートナーに Movistar Plus+ が参画、販売権はフランスのGoodfellas が取得しました。2026年公開予定で劇場公開後にモビスター・プラスが独占ストリーミング配信します。

(ペネロペ・クルス)

(スクリーン・デビューをするギタリカデラフエンテことアルバロ・ラフエンテ)
「La bola negra」
製作:Suma Contento Films / Le Pacte / Movistar Plus+
監督:ハビエル・アンブロッシ、ハビエル・カルボ
脚本:ハビエル・アンブロッシ、ハビエル・カルボ、アルベルト・コネヘロ
音楽:ラウル・フェルナンデス・ミロ(ニックネーム ’リフリー’)
撮影:グリス・ホルダナ
編集:アルベルト・グティエレス
美術:ロジャー・ベレス
衣装デザイン:アナ・ロペス・コボス
メイクアップ:アンヘラ・センテノ、マリロ・オスナ
製作者:ハビエル・アンブロッシ、ハビエル・カルボ
データ:製作国スペイン=フランス、スペイン語、ドラマ、撮影地スペイン、8月クランクイン、12週間の予定、公開予定2026年、公開後Movistar Plus+ にて独占ストリーミング配信
キャスト:ペネロペ・クルス、ミゲル・ベルナルドー、ロラ・ドゥエニャス、カルロス・ゴンサレス、アルバロ・ラフエンテ・カルボ(ギタリカデラフエンテ)
解説:ガルシア・ロルカの未完の小説「La bola negra」と、アルベルト・コネヘロの戯曲「La piedra oscura」に触発されて製作された映画。三つの異なる時代(1933、1937、2017)を舞台に、三人のゲイの人生を織り交ぜ、セクシュアリティ、社会階級、宗教、欲望、痛み、遺産をテーマにして、スペインにおけるゲイとは何か、何を意味しているかを探ります。「私たちは、最大限の敬意をはらって、内省的な探求と歴史的研究の旅に出ます。今までは女性やトランスジェンダーの人々についての物語を綴ることで、クィアであることはどういうことか検証してきました。ゲイの男性を主役に据えた作品は今回が初めてです」と、アンブロッシはモビスター・プラスのプレゼンテーションで語った。

(Movistar Plus+ のプレゼンテーション、テレフォニカビル、1月22日)
★フェデリコ・ガルシア・ロルカ(グラナダ1898~1936)の「La bola negra」は、1936年、劇作家で詩人、舞台演出家のシプリアノ・リバス・チェリフに宛てて送った4ページにわたる小説。その年の8月18日にグラナダのアルファカルの道端で暗殺集団〈黒部隊〉によって銃殺された詩人は、永久に完成させることが叶わなかった。今回〈戯曲〉と紹介されている記事も目にしましたが、ロルカの最初にして最後の小説が正しいようです。リバス・チェリフ(マドリード1891~メキシコシティ2067)は、数ある〈ロルカ伝〉のどれにも度々登場する舞台演出家で、1934年の『イエルマ』をマドリードのスペイン劇場で初演している。フランスでナチに捕らえられた後、フランコ政府に引き渡され1945年釈放、1947年に家族でメキシコに亡命、彼の地で亡くなった。小説の主人公は裕福な家庭の息子、父親は信望のある会員制社交クラブに加入させようとしているが、それには一種の踏み絵があった。賛成なら白いボール bola blanca、反対なら黒いボール bola negra を投票箱に入れる。息子は結局加入しなかった。ゲイが原因で受け入れられなかった。
*「ロルカの死をめぐる謎」については、コチラ⇒2015年09月11日

(現在発表になっているポスター)
★アルベルト・コネヘロは、1978年アンダルシア州ハエン県ビルチェス生れの劇作家、王立演劇芸術学校で舞台演出と劇作法を学び、マドリードのコンプルテンセ大学博士課程卒。戯曲 “La piedra oscura”(2013刊)は、2015年に初演(60分)され、翌年演劇界の最高賞マックス脚本賞を受賞している。舞台はサンタンデール近くの陸軍病院の病室、出演者は互いに面識のなかった2人の入院患者(30代の砲兵大佐ラファエル、若い兵士セバスティアン)。ラファエルは1937年8月18日、サンタンデールの陸軍病院で25歳で亡くなったロルカの恋人ラファエル・ロドリゲス・ラプン、その最後の日々が語られる。ラファエルは知る由もないが、奇しくも1年前のロルカの命日に旅立っている。

(アルベルト・コネヘロ)

(戯曲 “La piedra oscura” の表紙)
★スタッフ紹介:ロス・ハビスは、TVシリーズ「La Mesías」(23)のスタッフを全員呼び戻したようです。それぞれ手掛けた作品のうち当ブログで作品紹介をしているものを追加しました。
ラウル・フェルナンデス・ミロ(音楽、「Un año, una noche」ガウディ賞、『二筋の川』)
クリス・ホルナダ(撮影、「Soy Nevenka」ゴヤ賞ノミネート、『リベルタード』ガウディ賞)
アルベルト・グティエレス(編集、『ホーリー・キャンプ!』「Casa en llamas」)
ロジャー・ぺレス(美術、『ホーリー・キャンプ!』『記憶の行方』)
アナ・ロペス・コボス(衣装、『シークレット・ヴォイス』『Madre』)
アンヘラ・センテノ(メイク、「Saben aquell」『レインボー』「Libertad」)
マリロ・オスナ(メイク、『パラレル・マザーズ』『誰もがそれを知っている』『ボルベール 帰郷』など)
*以上いずれも受賞歴のあるベテランです。
★キャスト紹介:ペネロペ・クルスやロラ・ドゥエニャスの紹介は不要ですが、二人とも原作には登場しない登場人物、どのように絡ませるのか、もう少し情報が欲しいところです。ロス・ハビスはクルスとのタッグは初めて、数週間前の初会合では「子供のときから映画館でしか見たことのなかった人」を目の前にして、かなり感動したようです。ドゥエニャスの演技力については「La Mesías」で体験済み、シンガーソングライター、ギタリスト、俳優のギタリカデラフエンテ(バレンシア州カステリョン県ベニカシム1997)は、今作が映画デビューと宣伝していますが、検索かけたらホアキン・マソンの「El casoplón」というコメディに出演していました(2025年4月公開)。まだクランインしていない映画ですので、後日纏めて紹介したい。
★ロス・ハビスは、「Pedro x Javis」(25、3話)というドキュメンタリーをMovistar Plus+ で製作したばかりです。既に配信されているようです。ペドロとはペドロ・アルモドバルのこと、他の出演者は、ロス・ハビス自身、アントニオ・バンデラス、カルメン・マチ、レオノール・ワトリング、ロッシ・デ・パルマ、作曲家アルベルト・イグレシアス、撮影監督ホセ・ルイス・アルカイネ、新作「La bola negra」出演のペネロペ・クルスやロラ・ドゥエニャスは勿論のこと、アルバロ・ラフエンテ、ラウル・フェルナンデス・ミロなどもクレジットされています。とにかく二人は、好き嫌いは別として、スペインでは話題提供のシネアストです。


(撮影中のハビエル。アンブロッシ、ペドロ・アルモドバル、ハビエル・カルボ)

(アントニオ・バンデラス、ロス・ハビス、後ろ向きはホセ・ルイス・アルカイネ)

(ロス・ハビス、ペネロペ・クルス、歌手アマイア・ロメロ)

(ビビアナ・フェルナンデス、ローレス・レオン、ロッシ・デ・パルマ)
★ハビエル・アンブロッシ(マドリード1984)とハビエル・カルボ(マドリード1991)のデビュー作『ホーリー・キャンプ!』(17)の紹介記事は、コチラ⇒2017年10月07日
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