第29回ホセ・マリア・フォルケ賞2024・結果発表 ― 2023年12月22日 10:44
作品賞は『ミツバチと私』と「La mesías」が受賞

★12月16日(現地22:00、rtve play2)ホセ・マリア・フォルケ賞の授賞式が2年ぶりにマドリード(Palacio Municipal de IFEMA)に戻ってきました。総合司会はマカレナ・ゴメス & パブロ・チアペリャが務めました。音楽アーティストには、アナ・ゲーラ、アナ・メナ、フラン・ペレア、Taburete タブレテ、Viccoビッコなどが登場、会場を感動で盛り上げました。マカレナはダンスも披露、TVシリーズの長寿コメディ「La que se avecina」(2007~23)で共演しているパブロと乗り切りました。20:00からレッドカーペットに候補者や招待客が続々登場、ガラは22:00開始され2時間近い長丁場になり、宵っ張りのスペイン人も疲れたことでしょう。


(総合司会者マカレナ・ゴメス、パブロ・チアペリャ)
★映画部門の製作者に与えられる作品賞は、エスティバリス・ウレソラ・ソラグレンのデビュー作「20.000 especies de abejas」がビクトル・エリセの「Cerrar los ojos」とフアン・アントニオ・バヨナの「La sociedad de la nieve」を抑えて勝利しました。ダビ・トゥルエバの「Saben aquell」で主演のコメディアンを演じたダビ・ベルダゲルが男優賞、20年前からアメリカで仕事をしているアントニオ・メンデス・エスパルサが、初めてスペインを舞台にして撮った「Que nadie duerma」の主役マレナ・アルテリオが女優賞、結局のところ大先輩二人は手ぶらで帰ることになりました。もっともエリセ監督は欠席のようでした。作品賞受賞作は「Premio al Cine y a la Educación en Valores」の分野も制し、このトランスジェンダーの子供時代を繊細に描いたデビュー作が、来年のゴヤ賞の本命となる可能性が出てきました。
*フォルケ賞の解説とノミネーションの記事は、コチラ⇒2023年11月18日

(受賞スピーチをするエスティバリス・ウレソラ・ソラグレン)

(TVシリーズ作品賞を受賞したロス・ハビスと仲間たち)
★TV部門の作品賞は下馬評通りハビエル・アンブロッシ & ハビエル・カルボの「La mesías」が受賞、狂信的な両親によって世間から孤立した家族の痛みとトラウマを描いた作品が3賞を独占、つまりこの狂信的な母親を演じたロラ・ドゥエニャスが女優賞、人生の意味を模索する長男に扮したロジェール・カザマジョールが男優賞を受賞ということで、TV部門のすべての賞を攫ってしまいました。

(コンチャ・ベラスコにオマージュを捧げたクリスティナ・カスターニョ)
★ガラ後半に主催者EGEDA会長エンリケ・セレソが登場、金のメダル受賞者プロデューサーのエドゥアルド・カンポイにトロフィーを手渡しました。またセレソ会長は去る12月2日に鬼籍入りしたコンチャ・ベラスコと12月8日明け方心停止のため46歳の若さで旅立ったイツィアル・カストロを偲びました。司会者をフォローしたクリスティナ・カスターニョは子供のときから母親に「歌えて演技も司会も何でもできるコンチャのような女優になりなさい」と言われていたと名女優を讃えた。観客賞を受賞したハビエル・フェセルの「Campeonex」が最後の出演となったイツィアル・カストロも、多分今回のガラにも出席してファンを楽しませてくれるはずだったと思います。受賞者は以下の通りです。

(EGEDA会長エンリケ・セレソ)

(金のメダルを受賞したエドゥアルド・カンポイ)
*第29回ホセ・マリア・フォルケ賞2024受賞結果*
◎作品賞(フィクション)副賞30,000ユーロ
「Cerrar los ojos」(邦題『瞳をとじて』で2024年2月9日公開)
「La sociedad de la nieve」(邦題『雪山の絆』でNetflix 2024年1月5日配信開始)
「Upon entry (La llegada)」
「20.000 especies de abejas」(邦題『ミツバチと私』で2024年1月5日公開)
*製作:Especies de abejas, AIE / Gariza Films / Inicia Films, SL. 製作者:バレリー・デルピエール、ララ・イサギーレ・ガリスリエタ
*プレゼンターは、ナタリア・デ・モリーナとエドゥアルド・ノリエガ

(受賞スピーチをするバレリー・デルピエールと監督、
出演者パトリシア・ロペス・アルナイス、 アネ・ガバラインなど)

(監督が手にしているのが教育と価値観分野のトロフィー、フォトコール)

◎長編アニメーション賞
「Dispararon al pianista」(公開済み)
「El sueño de la sultana」(11月17日公開)
「Momias」(Movistar+)
「Robot dreams」(『ロボット・ドリームズ』)監督:パブロ・ベルヘル
*製作:Lokis Films, AIE / Lea Films du Worso, Noodies Production / Arcadia Motion Pictures, SL.
製作者:アンヘル・ドゥランデス、イボン・コルメンサナ、イグナシ・エスタペ、
パブロ・ベルヘル、サンドラ・タピア


(パブロ・ベルヘル監督、音楽担当ハヤミ・ユウコ、製作者サンドラ・タピアなど)

◎長編ドキュメンタリー賞 副賞6,000ユーロ
「El caso Padilla」(プライムビデオ)
「Iberia Naturaleza Infinita」(未)
「Samsara」(12月20日公開)
「Juan Mariné. Un siglo de cine」(未)監督:マリア・ルイサ・プジョール
*102歳でゴヤ賞2024栄誉賞を受賞するフアン・マリネの人物像を描いている。


(監督と映画講義財団のホルヘS. ボネ会長、フォトコール)

(フアン・マリネ)
◎男優賞 副賞3,000ユーロ
アルベルト・アンマン 「Upon entry (La llegada)」(Filmin)
ホヴィク・ケウチケリアン 「Un amor」(11月10日公開)
マノロ・ソロ 「Cerrar los ojos」(公開済み)
ダビ・ベルダゲル 「Saben aquell」(公開済み)監督:ダビ・トゥルエバ


◎女優賞 副賞3,000ユーロ
ブランカ・ポルティリョ 「Teresa」(11月24日公開)
ライア・コスタ 「Un amor」(11月10日公開)
マリア・バスケス 「Matria」(Movistar+)
マレナ・アルテリオ 「Que nadie duerma」(11月17日公開)
*監督:アントニオ・メンデス・エスパルサ

(ガザ爆撃をやめて休戦を願わざるをえないとスピーチした受賞者)

◎TVシリーズ賞(フィクション)副賞6,000ユーロ
「30 monedas」(シーズン2)(HOB Max)ホラー・ミステリー
脚本:アレックス・デ・ラ・イグレシア、ホルヘ・ゲリカエチェバリア
「El cuerpo en llamas」(シーズン1)(Netflix『燃えさかる炎』)犯罪ドラマ
発案:ラウラ・サルミエント・パラレス、監督:ホルヘ・トレグロサ & ラウラ・マニャ
「Poquita fe」(シーズン1)(Movistar+)コメディ
発案:フアン・マイダガン & ペポン・モンテロ
「La mesías」(シーズン1)(Movistar+)
発案:ロス・ハビス(ハビエル・アンブロッシ & ハビエル・カルボ)
*作品紹介は、コチラ⇒2023年07月19日

(ママとパパにも感謝を捧げたロス・ハビス)

◎TVシリーズ男優賞 副賞3,000ユーロ
アルベルト・プラ 「La mesías」(Movistar+)
ハビエル・カマラ 「Rapa」(Movistar+)
ラウル・シマス 「Poquita fe」(Movistar+)
ロジェール・カザマジョール 「La mesías」(Movistar+)

(今は亡きアグスティ・ビリャロンガ監督にトロフィーを捧げた受賞者)

◎TVシリーズ女優賞 副賞3,000ユーロ
アナ・ルハス 「La mesías」(Movistar+)
エスペランサ・ペドレーニョ 「Poquita fe」(Movistar+)
ウルスラ・コルベロ 「El cuerpo en llamas」(Netflix)
ロラ・ドゥエニャス 「La mesías」(Movistar+)

(両監督から祝福を受けるロラ・ドゥエニャス)

(両監督に「幸せにしてくれてありがとう」とスピーチしたロラ・ドゥエニャス)

◎短編賞 副賞3,000ユーロ
「Actos por partes」
「París 70」
「Aunque es de noche」(16分)
*監督:ギジェルモ・ガルシア・ロペス
製作者:Damien Megherbi、ダビ・カサス・リエスコ、マリナ・ガルシア・ロペス、他
*マドリードにあるヨーロッパ最大のスラム「ラ・カニャーダ・レアル」では、電力の供給がない4度目の冬を迎えている。住宅問題が何であれ、ここに住んでいる人々は生きることを拒否されている。13歳のトニはナセルと友達になるが・・・。監督ほかトニを演じたアントニオ・フェルナンデスとナセル・ロクニも登壇した。

(ラ・カニャーダ・レアルにトロフィーを捧げた)

◎ラテンアメリカ映画賞 副賞6,000ユーロ
「La pecera」(12月1日Filmin)
「Los colonos」チリ(未)監督;フェリペ・ガルベス
「Puan」アルゼンチン(公開済み)
「La memoria infinita」チリ(2024年1月12日公開)
*監督:マイテ・アルベルディ、製作:Micromundo Producciones / Fabula Producciones, LTDA.



◎Premio al Cine y a la Educación en Valores(映画と価値観教育賞)
「Campeonex」(公開済み)
「Chinas」(公開済み)
「Te estoy amando locamente」(Movistar+)
「20.000 especies de abejas」(Movistar+)
*監督エスティバリス・ウレソラ・ソラグレンと製作者バレリー・デルピエール、ララ・イサギーレ・ガリスリエタが登壇した。
◎観客賞
「Campeonex』監督:ハビエル・フェセル

(フェセル監督は脚本家で夫人のアテネア・マタ左端と一緒に登壇した)

★会場を楽しませてくれたミュージシャンやコメディアンは、こんな歌手、タレントでした。どこの映画賞も年々華やかになってきて、今年はこちらのほうが長かったのではないでしょうか。

(アナ・ゲーラ、”Chica,yeyé” )

(アナ・メナ、”Limosna de Amores” と ”A Tu Vera” の2曲)

(Tabureteのウィリー・バルセナス)

(Vicco)

(コメディアン、司会者のパス・パディリャ)

(サンティアゴ・セグラ監督)
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