フェルナンド・レオンの新作「El buen patrón」*サンセバスチャン映画祭2021 ⑩ ― 2021年08月10日 15:31
フェルナンド・レオンの新作コメディ「El buen patrón」

★フェルナンド・レオン・デ・アラノアのサンセバスチャン映画祭セクション・オフィシアルのノミネートは3回目になる。1998年の「Barrio」は銀貝監督賞とFIPRESCI(国際映画批評家連盟)賞ほかを受賞、続く2002年の『月曜日にひなたぼっこ』が金貝賞とカトリックメディア協議会SIGNIS賞ほかを受賞した。そして今年、長編10作目の「El buen patrón」が3回目のノミネーションとなる。新作の主役は『月曜日にひなたぼっこ』主演のハビエル・バルデム、18年ぶりの再会などと言われるが、2017年にコロンビアのメデジン・カルテルの麻薬王パブロ・エスコバルに扮した「ラビング・パブロ Loving Pablo」でタッグを組み、本祭のペルラス部門のクロージング作品に選ばれている。共演の愛人役ペネロペ・クルスと監督の3人でベロドロモの大会場に現れ、3000人の観衆を沸かせた。ということで二人がタッグを組むのも3回目になる。

(製作者ジャウマ・ロウレス、フェルナンド・レオン監督、ハビエル・バルデム)

(「ラビング・パブロ」撮影中の監督とバルデム)
「El buen patrón / The Good Boss」
製作:Reposado P.C. / The MediaPro Studio 協賛RTVE / TV3
監督・脚本:フェルナンド・レオン・デ・アラノア
音楽:セルティア・モンテス
撮影:パウ・エステベ・ビルバ
メイク&ヘアー:(メイク)アルムデナ・フォンセカ、(ヘアー)パブロ・モリリャス
プロダクション・マネージメント:ルイス・グティエレス、チュス・サン・パスクアル
美術:ダニエル・エルナンデス、ハビエル・ロペス・アンティア、パブロ・トラサンコス
音響:アナ・カパロス、エドゥアルド・カストロ、ダニエル・フング・マッチ、他
特殊効果:ダビ・カンポス、スサナ・コンテラ、ホアキン・ドラド、他
視覚効果:ミラグロス・ガルシア、他
製作者:ジャウマ・ロウレス、フェルナンド・レオン・デ・アラノア、(エグゼクティブ)ピラール・エラス、マリサ・フェルナンデス・アルメンテロス、エバ・ガリード、カルレス・モンティエル、パトリシア・デ・ムンス、ハビエル・メンデス
データ:製作国スペイン、スペイン語、2021年、ブラックコメディ、120分、撮影地マドリード、モストレス、期間2020年10月20日~12月終了。スペイン公開2021年10月15日、配給Tripictures、海外販売MK2 Films
映画祭・受賞歴:第69回サンセバスチャン映画祭2021セクション・オフィシアルに正式出品
キャスト:ハビエル・バルデム(バスクラス・ブランコ)、マノロ・ソロ、アルムデナ・アモール、オスカル・デ・ラ・フエンテス、ソニア・アルマルチャ、マリア・デ・ナティ(アンヘラ)、ダニエル・チャモロ(新聞記者)、セルソ・ブガーリョ、フェルナンド・アルビス、ヤエル・ベリチャ、マラ・ギル(アウロラ)、ラファ・カステジョン、タリク・ルミリ、マルティン・パエス、ダリト・ストリット・テハダ、他
ストーリー:スペインの地方都市で工業用秤を製造する会社のカリスマ的な経営者ブランコは、ある委員会の決定を心待ちにしている。それは優秀な企業家に贈られる地元のビジネス・エクセレンス賞、それにはすべてに完璧でなければならないし、委員会の訪問は彼の運命を決定することになるだろう。しかしながら状況は反対方向を指しているようだ。ブランコは大至急で対策を立てはじめる、従業員の問題を解決しようとするあまり考えられる全ての境界線を越えてしまう。予期せぬことが原因で、不測の結果をもたらすとんでもない出来事が立て続けに起きてしまう。個人と労働の関係についての厳しい視点が語られる監督得意のブラックコメディ。

(ブランコ社のオーナー役のハビエル・バルデム、映画から)
★フェルナンド・レオン・デ・アラノア(マドリード1968)は、監督、脚本家、製作者、作家、コンプルテンセ大学情報科学部卒。デビュー作「Familia」(96)がスペイン映画祭’98にエントリーされ、『ファミリア』の邦題で字幕入りで見ることができた。今は亡き名優フアン・ルイス・ガリアルドを主役に、往年の大スターのアンパロ・ムニョス、そしてエレナ・アナヤが銀幕デビューした作品でした。上述した「Barrio」も『月曜日にひなたぼっこ』も当ブログがなかった頃の作品で、最初に登場させたのが2015年の戦争コメディ「A Perfect Day」、大分経ってから『ロープ 戦場の生命線』の邦題で公開された。多分これが最初の劇場公開映画だったのではないか。ベニチオ・デル・トロとティム・ロビンスの大物俳優が共演した、基本が英語映画だったからかもしれない。
*「A Perfect Day」の紹介記事は、コチラ⇒2015年05月17日

(名優フアン・ルイス・ガリアルド主演の「Familia」のポスター)
★受賞歴のない作品は一つもないほど数が多すぎるので、ゴヤ賞に限ってアップします。
1996「Familia」(ファミリア)ゴヤ賞1998の新人監督賞受賞、脚本賞ノミネート
1998「Barrio」ゴヤ賞1999の監督賞・オリジナル脚本賞受賞
2002「Los lunes al sol」(月曜日にひなたぼっこ)ゴヤ賞2003監督賞受賞、
脚本賞ノミネート
2005「Prinsesas」ゴヤ賞2006脚本賞ノミネート
2007「Invisibles」ゴヤ賞2008ドキュメンタリー映画賞(イサベル・コイシェ他5人合作)
2015「A Perfect Day」(ロープ 戦場の生命線)ゴヤ賞2016脚色賞受賞、監督賞ノミネート

(ルイス・トサールとバルデムを配した『月曜日にひなたぼっこ』のポスター)
★以上が監督の受賞歴ですが、「Los lunes al sol」のように、作品賞(エリアス・ケレヘタ、ジャウマ・ロウレス)、主演男優賞(ハビエル・バルデム)、助演男優賞(ルイス・トサール)、新人男優賞(ホセ・アンヘル・エヒド)を含めると5冠を制したことになる。MediaProのジャウマ・ロウレスは、新作でのメイン製作者です。バルデムについては何回か中途半端だがキャリア紹介をしておりますが、いずれ賞に絡んだらアップします。アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥの『ビューティフル』(10)の受賞以来、ゴヤ賞から遠ざかっている。
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