セクション・オフィシアル作品紹介*サンセバスチャン映画祭2024 ⑨ ― 2024年08月11日 15:48
◎第72回セクション・オフィシアル作品16作 ③◎
14)「El hombre que los platos voladores / The Man Who Laves UFOs」
アルゼンチン
監督:ディエゴ・レルマン(ブエノスアイレス1976)、監督、脚本家。セクション・オフィシアルに再び戻ってきました。7作目となる新作でノミネーション3回目となる。2017年の『家族のように』、2022年『代行教師』に続く3作目は、1986年のアルゼンチンのテレビ史上、最も記憶に残るエイリアン地球外生物の存在をテーマにしたコメディ・ドラマです。ドン・キホーテ役のジャーナリストにレオナルド・スバラリア、サンチョ・パンサ役のカメラマンにセルヒオ・プリナが扮します。
★別途紹介予定の作品、監督キャリア&フィルモグラフィーは、以下にアップしています。
*『代行教師』作品紹介は、コチラ⇒2022年08月09日
*『家族のように』紹介とキャリア&フィルモグラフィーは、コチラ⇒2017年09月03日
*「UFOを愛した男」の作品紹介は、コチラ⇒2024年08月17日

15)「The End」デンマーク=ドイツ=アイルランド=イタリア=スウェーデン
監督:ジョシュア・オッペンハイマー(テキサス州オースティン1974)は、監督、製作者、撮影監督。代表作は1965年、当時のインドネシア大統領が軍事クーデタで失脚、その後に起きた犠牲者100万人といわれるジェノサイドに材をとった初の長編ドキュメンタリー『アクト・オブ・キリング』(12)、ベルリン映画祭2013で観客賞、イギリスのBAFTA2014ドキュメンタリー賞などを受賞、その続編である『ルック・オブ・サイレンス』はベネチア映画祭2014の審査員グランプリとFIPRESCI賞を受賞、この2作でアカデミー賞ドキュメンタリー部門にノミネートされた他、国際映画祭で60賞している。SSIFFノミネートは初めてである。
データ:製作国デンマーク=ドイツ=アイルランド=イタリア=スウェーデン他、2024年、英語、ミュージカル、ファンタジーSF、148分、脚本オッペンハイマー監督とラスムス・ハイスタ―ベルクの共同執筆、撮影ミハイル・クリチマン、音楽ジョシュア・シュミット、マリウス・デ・フリース、編集ニルス・パー・アンデルセン、プロダクションデザインはジェッテ・レーマン、撮影地アイルランド
映画祭・受賞歴:トロント映画祭2024スペシャル・プレゼンテーション部門プレミア、テルライド(コロラド州)映画祭、SSIFFセクション・オフィシアルにノミネート
キャスト:ティルダ・スウィントン、ジョージ・マッケイ、モーゼス・イングラム、マイケル・シャノン、ブロナー・ギャラガー、ティム・マッキナニー、レニー・ジェームス、ほか
ストーリー:地球に最後に残された裕福な家族をブロードウェイ黄金時代のスタイルで描いた黙示録的なミュージカル。豪華な家に改装された塩鉱山に住む裕福な家族の周囲は、明らかに破壊されていましたが、息子は外の世界を知りません。ある日、見知らぬ少女がバンカーの入り口に突然現れると、両親が地下の奥深くでコントロールしていた家族のバランスが脅かされるようになります。息子はここでの生活が見せかけの完璧さにすぎないのではないかと疑い始めます。


16)「Quand vient l’automne / When Fall Is Coming」
(スペイン題「Quando cae el otoño」)フランス
監督:フランソワ・オゾン(パリ1967)は、セクション・オフィシアル6回目の参加、1996年のデビュー作以来、1年1作のペースで撮っているから驚くほかはない。うち2012年の『危険なプロット』で金貝賞と審査員脚本賞を受賞、2009年の『ムースの隠遁』で審査員特別賞を受賞した。他『まぼろし』(00)、『彼は秘密の女ともだち』(14、セバスティアン賞)、10代当時の自身を投影した『Summer of 85』(20)は、少年同士のひと夏のラブストーリーを描いて観客を魅了した。さらにペルラス部門に『8人の女たち』(02)、『17歳』(13)、『婚約者の友人』(16)、ペルラスのオープニング作品だった『苦い涙』などが挙げられ、すべて公開されている。
データ:製作国フランス、2024年、フランス語、ドラマ、102分、脚本・製作フランソワ・オゾン、音楽エフゲニー・ガルペリン、サーシャ・ガルペリン、編集アニタ・ロス、プロダクションデザインはクリステル・メゾンヌーヴ、製作FOZ。公開フランス9月2日、ベルギー10月9日、スペイン12月13日
映画祭・受賞歴:SSIFF2024 セクション・オフィシアルにノミネート
キャスト:エレーヌ・ヴァンサン(ミシェル)、ジョジアーヌ・バラスコ(マリー・クロード)、リュディヴィーヌ・サニエ、ピエール・ロタン、ヴァンサン・コロンブ、マリック・ジディ、ポール・ボールペール、マリー・ローレンス・タルタス、ソフィー・ギルマン、他
ストーリー:長年の親友であるマリー・クロードが住んでいるブルゴーニュの小村で静かに引退生活を送っているミシェルの物語です。諸聖人の祝日、パリに住んでいる娘ヴァレリーが孫ルーカスが学校の休暇を利用して祖母と一緒に過ごすアイディアをもって彼女に会いに来ます。娘にストレスを感じているミシェルは、昼食に毒キノコをふるまう。娘は直ぐ回復するが、一緒に過ごすことを心待ちにしていたルーカスとは会うことを禁じられてしまいます。孤独と罪悪感を感じていたが、出所したばかりのマリー・クロードの息子と出合ったことで人生が変わってしまいます。



(左から、ディエゴ・レルマン、ジョシュア・オッペンハイマー、フランソワ・オゾン、
オープニング作品の監督オドレイ・ディヴァン)
★以上16作の作品紹介です。うち別途紹介予定のマイテ・アルベルディ(チリ)の「El lugar de la otra」と、ディエゴ・レルマン(アルゼンチン)の「El hombre que los platos voladores / The Man Who Laves UFOs」は、映画祭事務局はアナウンスしておりませんが、Netflix 作品のようです。SSIFFはカンヌFFのようにオンラインシネマを除外していませんので問題ありません。前者はドキュメンタリー「La memoria infinita」が昨年のペルラス部門で上映されたばかりですが、新作は初フィクションです。後者は上述しましたように『代行教師』(22)がセクション・オフィシアルにノミネートされており、当時12歳だった娘のレナータ・レルマンが助演俳優賞を受賞しました。新作にもクレジットされています。本祭はフランソワ・オゾンを例に出すまでもなく、同じ監督を面倒見よくノミネートする傾向がありますが、それはそれで問題があるのではないかと個人的には危惧しています。
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