スペイン映画 『ザ・ドーター』*東京国際映画祭20212021年10月16日 15:03

     マヌエル・マルティン=クエンカの新作「La hija」はスリラー

     

 

    

★東京国際映画祭TIFF 20211030日~118日)のコンペティション部門でアジアン・プレミアされる、マヌエル・マルティン=クエンカの新作La hija『ザ・ドーター』)は、トロント映画祭でワールド・プレミアされ、サンセバスチャン映画祭SSIFF ではアウト・オブ・コンペティションで上映されたスリラー。SSIFFの上映後に、多くの人からセクション・オフィシアルにノミネートされなかったことに疑問の声が上がったようです。選ばれていたら何らかの賞に絡んだはずだというわけです。SSIFFでのマルティン=クエンカ作品は、2005年のMalas temporadas2013年の『カニバル』2017年のEl autor3回ノミネートされており3作とも紹介しております。新作スリラーはEl autorで主人公を演じたハビエル・グティエレスと、Aneでゴヤ賞2021主演女優賞を受賞したばかりのパトリシア・ロペス・アルナイス、新人イレネ・ビルゲスを起用して、撮影に6ヵ月という昨今では珍しいロングロケを敢行しています。

 

        

 (ロケ地アンダルシア州ハエン県のカソルラ山脈にて、左端が監督、201911月)

  

『不遇』(Malas temporadas)の作品紹介は、コチラ201406110702

『カニバル』の作品紹介は、コチラ20130908

El autor」の作品紹介は、コチラ20170831

 

 

  『ザ・ドーター』(原題 La hija

製作:Mod Producciones / La Loma Blanca / 参画Movister+ / RTVE / ICCA / Canal Sur TV

      協賛Diputación de Jaén

監督:マヌエル・マルティン=クエンカ

脚本:アレハンドロ・エルナンデス、マヌエル・マルティン=クエンカ、フェリックス・ビダル

撮影:マルク・ゴメス・デル・モラル

音楽:Vetusta Moria

編集:アンヘル・エルナンデス・ソイド

美術:モンセ・サンス

プロダクション・マネージメント:ロロ・ディアス、フラン・カストロビエホ

製作者:(Mod Producciones)フェルナンド・ボバイラ、シモン・デ・サンティアゴ、(La Loma Blanca)マヌエル・マルティン=クエンカ、(エグゼクティブ)アラスネ・ゴンサレス、アレハンドロ・エルナンデス、他

 

データ:製作国スペイン、スペイン語、2021年、スリラー・ドラマ、122分、撮影地アンダルシア州ハエン県、カソルラ山脈、期間201911月~20204月、約6ヵ月。配給Caramel Films、販売Film Factory Entertainment、公開スペイン1126

映画祭・受賞歴:トロント映画祭2021、サンセバスチャン映画祭2021アウト・オブ・コンペティション(9/22)、東京国際映画祭2021コンペティション(10/30

 

キャスト:ハビエル・グティエレス(ハビエル)、パトリシア・ロペス・アルナイス(ハビエルの妻アデラ)、イレネ・ビルゲス(イレネ)、ソフィアン・エル・ベン(イレネのボーイフレンド、オスマン)、フアン・カルロス・ビリャヌエバ(ミゲル)、マリア・モラレス(シルビア)、ダリエン・アシアン、他

 

ストーリー15歳になるイレネは少年院の更生センターに住んでいる。彼女は妊娠していることに気づくが、センターの教官ハビエルの救けをかりて人生を変える決心をする。ハビエルと妻のアデラは、人里離れた山中にある彼らの山小屋でイレネと共同生活をすることにする。唯一の条件は、多額の金銭と引き換えに生まれた赤ん坊を夫婦に渡すことだった。しかしイレネが、胎内で成長していく命は自分自身のものであると感じ始めたとき、同意は揺らぎ始める。雪の山小屋で展開する衝撃的なドラマ。

 

     

                   (イレネ役イレネ・ビルゲス、フレームから)

 

     

          (ハビエルとアデラの夫婦、フレームから)

  

 

 サンセバスチャン映画祭ではコンペティション外だった『ザ・ドーター』

 

★サンセバスチャン映画祭ではセクション・オフィシアルではあったが、賞に絡まないアウト・オブ・コンペティションだったのでご紹介しなかった作品。SSIFFには、上記の3作がノミネートされ、2005年に新人監督に贈られるセバスティアン賞を受賞しているだけで運がない。というわけで今回の東京国際映画祭に期待をかけているかもしれない。今年の審査委員長はイザベル・ユペールがアナウンスされているが、どうでしょうか。

 

     

 (マヌエル・マルティン=クエンカとハビエル・グティエレス、SSIFFフォトコール)

 

3人の主演者、ハビエル・グティエレスについては、「El autor」のほか、アルベルト・ロドリゲスの『マーシュランド』14)、イシアル・ボリャインの『オリーブの樹は呼んでいる』(16)、ハビエル・フェセルの『だれもが愛しいチャンピオン』(18)、ダビ&アレックス・パストールの『その住人たちは』(20)などで紹介しております。バスク州の州都ビトリア生れのパトリシア・ロペス・アルナイスは、ダビ・ペレス・サニュドのバスク語映画「Ane」で、ゴヤ賞2021主演女優賞のほか、フォルケ賞、フェロス賞などの女優賞を独占している。アメナバルの『戦争のさなかで』では、哲学者ウナムノの娘マリアを好演している。難航していたイレネ役にはオーディションでイレネ・ビルゲスを発掘できたことで難関を突破できたという。監督は女優発掘に定評があり、当時ただの美少女としか思われていなかった14歳のマリア・ベルベルデを起用、ルイス・トサールと対決させて、見事女優に変身させている。

   

     

 (主役の3人、グティエレス、ビルゲス、ロペス・アルナイス、SSIFFフォトコール)

 

★共同脚本家のアレハンドロ・エルナンデスは、「Malas temporadas」以来、長年タッグを組んでいる。彼はアメナバルの『戦争のさなかで』やTVシリーズ初挑戦のLa fortunaも手掛けている。他にマリアノ・バロッソやサルバドル・カルボなどの作品も執筆している。キューバ出身だが20年以上前にスペインに移住した、いわゆる才能流出組の一人です。撮影監督のマルク・ゴメス・デル・モラルは、ストーリーの残酷さとは対照的な美しいフレームで監督の期待に応えている。既に長編映画7作目の監督がコンペティション部門にノミネートされたことに若干違和感がありますが、結果を待ちたい。

 

                       

    

              

 

ハビエル・グティエレスのキャリア紹介は、コチラ20190325

パトリシア・ロペス・アルナイスのキャリア紹介は、コチラ20210127


クララ・ロケの『リベルタード』*ラテンビート20212021年10月12日 17:36

             『リベルタード』――東京国際映画祭との共催上映

 

          

 

★前回触れましたように今年18回を迎えるラテンビート2021は、バルト9での単独開催及びデジタル配信もなく、東京国際映画祭との共催上映3作のみになりました。しかし、日本未公開のスペイン語圏の名作を中心に紹介する通年の配信チャンネル《ラテンビート・クラシック》(仮題)を準備中ということです。いずれ公式のサイトが発表になるようです。3作のうち当ブログ未紹介のクララ・ロケのデビュー作『リベルタード』のご紹介。カンヌ映画祭と併催の第60回「批評家週間」でワールドプレミアされています。1988年バルセロナ出身のロケ監督は、既に脚本家として実績を残しており、自身も「監督より脚本を構想するほうが好き」と、インタビューで語っています。

  

『リベルタード』(原題 Libertad

製作:Bulletproof Cupid / Avalon / Lastor Medíaº

監督・脚本:クララ・ロケ

音楽:Paul Tyan ポール・タイアン

撮影:グリス・ジョルダナ

編集:アナ・プファフPfaff

キャスティング:イレネ・ロケ

プロダクション・デザイン:マルタ・バザコ

衣装デザイン:Vinyet Escobar ビンジェ・エスコバル

メイクアップ&ヘアー:(メイクアップ)バルバラ・ブロック Broucke、(ヘアー)アリシア・マチン

プロダクション・マネージメント:ジョルディ・エレロス、ゴレッティ・パヘス

製作者:セルジ・モレノ、ステファン・シュミッツ、マリア・サモラ、トノ・フォルゲラ、

 

データ:製作国スペイン=ベルギー、スペイン語、2021年、ドラマ、104分、撮影地バルセロナ、公開スペイン20211119日予定

映画祭・受賞歴:カンヌ映画祭併催の第60回「批評家週間」2021作品賞・ゴールデンカメラ賞ノミネーション、アテネ映画祭、ヘント映画祭、エルサレム映画祭国際シネマ賞、第66回バジャドリード映画祭2021Seminci)オープニング作品、各ノミネート

 

キャスト:マリア・モレラ・コロメル(ノラ)、ニコル・ガルシア(リベルタ―ド)、ノラ・ナバス(ノラの母テレサ)、ビッキー・ペーニャ(ノラの祖母アンヘラ)、カルロス・アルカイデ(マヌエル)、カロル・ウルタド(ロサナ)、マチルデ・レグランド、オスカル・ムニョス、マリア・ロドリゲス・ソト、ダビ・セルバス、セルジ・トレシーリャス、他

 

ストーリー:ビダル一家は、進行したアルツハイマー病に苦しむ祖母アンヘラの最後の休暇を夏の家で過ごしている。14歳のノラは、生まれて初めて自分の居場所が見つからないように感じている。子供騙しのゲームは卒業、しかし大人の会話には難しくて割り込めない。しかし祖母の介護者でコロンビア人のロサナと、ノラより少し年長の娘リベルタードが到着して、事情は一変する。反抗的で魅力的なリベルタードは、ノラにとって別の玄関のドアを開きます。二人の女の子はたちまち強烈で不均衡な友情を結んでいく。家族の家がもっている保護と快適さから二人揃って抜け出し、ノラはこれまで決して得たことのない自由な新しい世界を発見する。カタルーニャの裕福な家族出身のノラ、コロンビアで祖母に育てられたリベルタード、異なった世界に暮らしていた二人の少女の友情と愛は、不平等な階級の壁を超えられるでしょうか。

 

       

           (ノラとリベルタード、フレームから)

 

 

    先達の存在に勇気づけられる――私は脚本家だと思っています

 

★監督紹介:クララ・ロケは、1988年バルセロナ生れ、バルセロナ派の脚本家、監督。ポンペウ・ファブラ大学で視聴覚コミュニケーションを専攻、奨学金を得てコロンビア大学で脚本を学んだ。自身は脚本家としての部分が多いと分析、脚本家デビューはカルロス・マルケス=マルセ10.000 Km14)、またハイメ・ロサーレス『ペトラは静かに対峙する』(原題Petra18)を監督と共同執筆している。監督としては、長編デビュー作とも関連する終末ケアをする女性介護者をテーマにした、短編El adiós(バジャドリード映画祭2015金の麦の穂受賞)やLes bones nenes16)、TVミニシリーズ「Tijuana」(193話)、「Escenario 0」(201話)を手掛けている。『リベルタード』が長編デビュー作。

   

10.000 Km」の作品紹介は、コチラ20140411

『ペトラは静かに対峙する』の作品紹介は、コチラ20180808

      

        

     

 (短編El adiós」で金の麦の穂を受賞したクララ・ロケ、バジャドリードFF授賞式

 

★カンヌにもってこられたのは「本当に夢のようです。上映を待っていたのですが、パンデミアの最中だったので難しかった。カンヌが2021年の映画祭で上映することを提案してくれた」と監督。スペイン映画としてノミネートは本作だけでした。「カタルーニャでは、女性シネアストが多く、イサベル・コイシェのような存在が大きかった。映画の世界は男性だけのものではないという希望を私に与えてくれたからです」と。他にイシアル・ボリャイン、アルゼンチンのルクレシア・マルテルフリア・ソロモノフ、オーストラリアのジェーン・カンピオン、バルセロナ出身の先輩ベレン・フネスなどを挙げている。男性では、上記のロサーレスとマルケス=マルセの他に、『ライフ・アンド・ナッシング・モア』のアントニオ・メンデス・エスパルサを挙げている。マリア・ソロモノフ監督はコロンビア大学の彼女の指導教官、現在は映画製作と並行して、ブルックリン大学シネマ大学院で後進の指導に当たっている。

 

 

  少女から大人の女性へ――揺れ動くアイデンティティ形成段階の少女たち

 

★カンヌ映画祭には運悪くコロナに感染していて自身でプレゼンができなかった。シネヨーロッパのインタビューも電話でした。タイトルの Libertad は、主人公の名前から採られていますが、それを超えています。「この映画の中心テーマです。自由とは何かということです。本当に自由を選ぶ手段をもっている人だけのものか、自由はもっと精神的な何かなのか。劇中にはいろいろなやり方で自由を模索する登場人物が出てきます」と監督。

 

    

         (マリア・モレラに演技指導をするクララ・ロケ監督)

 

★ノラの祖母を介護しているロサナはコロンビアからの移民、幼い娘リベルタードを母に預けてスペインに働きに来ていた。そこへ10年ぶりに15歳になった娘がやってくる。裕福なノラの家族、貧困で一緒に暮らせなかった家族という階級格差、移民によって提供されるケアの問題が浮き彫りになる。両親から受け継いだアイデンティティ、特に母から娘に受け継がれたパターンから逃れるのはそう簡単ではない。子供から大人の女性への入口は、アイデンティティが形成される段階にあり、多くの女性監督を魅了し続けている。「自分を信頼することが一番難しい。自身を信頼することが重要」と監督。

 

    

        (ノラの母親役ノラ・ナバス、リベルタードの母親役カロル・ウルタド)

 

★「キャスティングの段階で、介護者となるプロでない女優を探していた。そのとき出身国に自分の子供たちを残して他人のケアをしている人には大きなトラウマがあることに気づきました。10年間も母親に会っていない娘が突然現れたらというアイデアが浮かびました」と、本作誕生の経緯をシネヨーロッパのインタビューで語っている。インタビュアーからブラジルのアナ・ミュイラート『セカンドマザー』15)との類似性を指摘されている。サンダンス映画祭でプレミアされ、ベルリン映画祭2015パノラマ部門の観客賞を受賞、本邦でも20171月に公開されている。監督は「既に脚本を書き始めていて、(コロンビア大学の指導教官の)フリア・ソロモノフから観るように連絡を受けた。異なるプロフィールをもっていますが、どちらも進歩的と考えられる中産階級やブルジョア社会に奉仕することで生じてくる不快感が語られています。これを語るのは興味深いです」とコメントしている。

 

★最初は別の2本のスクリプトを書いていた。一つは母と娘が再会する移民の話、もう一つは祖母、母、娘が最後の夏休暇を過ごす話でした。「アンディ・ビーネンから単独では映画として機能しないから、一つにまとめる必要があると指摘された」とアンディ・ビーネンはコロンビア大学の指導教官で、キンバリー・ピアーズが実話をベースにして撮った『ボーイズ・ドント・クライ』(99)を監督と共同執筆した。観るのがしんどい映画でしたね。こうして2つのスクリプトが合流して、バックグランドに流れる牧歌的な平和を乱す『リベルタード』は完成した。

  

     

           (子役出身のマリア・モレラ)

 

★リベルタ―ド役のニコル・ガルシアは本作でデビュー、ノラ役のマリア・モレラは長編2作目、生まれも育ちも異なる対照的な性格の女の子を好演した。脇を固めるのがベテランのノラ・ナバスビッキー・ペーニャ、最近TVミニシリーズの出演が多いマリア・ロドリゲス・ソトは、2019年にカルロス・マルケス=マルセの「Els dies que vindran」で主演、マラガFF銀のビスナガ女優賞を受賞しているほか、ベレン・フネスの「La hija de un ladrón」、カルレス・トラスの『パラメディック-闇の救急救命士』(Netflix 配信)にも出演している。3作とも当ブログにアップしておりますが、今回は脇役なので割愛します。

  

   

          (本作デビューのニコル・ガルシア)


デ・ラ・イグレシアの新作ホラー「Veneciafrenia」*シッチェス映画祭2021年10月06日 17:35

    恐怖コレクション第1作目はベネチアを舞台におきる連続失踪事件の謎

 

      

 

★暫く静観気味だったアレックス・デ・ラ・イグレシアの新作Veneciafreniaが、第54回シッチェス映画祭2021107日~17日)でワールドプレミアされます。The Fear Collection(恐怖コレクション)全5作の第1作目、デ・ラ・イグレシアとカロリナ・バング夫妻が設立した制作会社 <Pokeepsie Films> とソニー・ピクチャーズ、アマゾン・スタジオが共同で製作します。既に2作目以降も準備中ということです。第1作の舞台は観光都市ベネチアを訪れた仲良しグループが次々に失踪するというホラー・サスペンスのようです。脚本はデビュー作『ハイル・ミュタンテ!電撃XX作戦』からタッグを組んでいるホルヘ・ゲリカエチェバリアとの共同執筆です。シッチェス映画祭上映は109日、スペイン公開は1126日に決定しています。いずれプライム・ビデオで見られるのでしょうか。

 

      

         (デ・ラ・イグレシア監督と製作者カロリナ・バング)

 

 Veneciafrenia2021

製作:Pokeepsie Films / Sony Picuures España / Amazon Studios / Eliofilm /

   TLM The Last Monkey

監督:アレックス・デ・ラ・イグレシア

脚本:ホルヘ・ゲリカエチェバリア、アレックス・デ・ラ・イグレシア

音楽:ロケ・バニョス

撮影:パブロ・ロッソ

編集:ドミンゴ・ゴンサレス

美術:ホセ・ルイス・アリサバラガ、ビアフラ Biaffra

衣装デザイン:ラウラ・ミラン

メイクアップ:クリスティナ・アセンホ、アントニオ・ナランホ

製作者:カロリナ・バング、アレックス・デ・ラ・イグレシア、(エグゼクティブ)リカルド・マルコ・ブデ、イグナシオ・サラサール=シンプソン、アリエンス・ダムシ、他

 

データ:製作国スペイン、スペイン語、2021年、ホラー・サスペンス、100分、撮影地マドリード、ベネチア、期間202010月クランクイン、約7週間。The Fear Collection1作目。スペイン公開20211126

映画祭・受賞歴:第54回シッチェス映画祭2021正式出品(ワールドプレミア109日)

 

キャスト:イングリッド・ガルシア=ヨンソン、シルビア・アロンソ、ゴイセ・ブランコ、ニコラス・イロロ(ブランコのパートナー)、アルベルト・バング(ガルシア=ヨンソンの弟)、コジモ・ファスコ(暗殺者)、カテリーナ・ムリノ、エンリコ・ロ・ヴェルソ(タクシー運転手)、アルマンド・デ・ラッサ、ニコ・ロメロ、アレッサンドロ・ブレサネッロ(Colonna)、ディエゴ・パゴット(セールスマン)、ジュリア・パニャッコ(ジーナ)、ジャンカルロ・ユディカ・コルディーリア(ベネチア大使)、他

 

ストーリー:自然界には美と死のあいだに不可解な繋がりがあります。明るい灯台に引き寄せられる蛾のように、観光客が美しい都市ベネチアに押しよせ、灯りを少しずつ消していきます。ベネチアの人々は、過去数十年にわたる苦しみに怒りを爆発させ、侵略者を撃退するため生存本能を解き放ち、一部の人々がエスカレートさせていきます。そんなこととは露知らず、私たちの主人公、スペインの無邪気な観光客一行は、ベネチアを愉しむためにやってきました。しかしグループの一人が姿を消します。固い友情に結ばれていた友人たちが捜索を始めますが、やがて亀裂がおこり仲間割れが生じるようになる。彼らは自身の生き残りをかけて闘うことを余儀なくされることになるでしょう。

 

      

          (ベネチアでのクランクイン、2020109日)

 

 

      観光客にうんざりしている友好的でないベネチアの住民たち

 

アレックス・デ・ラ・イグレシアは「本作は、30人のスペイン観光客がベネチアに到着し、姿を消し始める、古典的なスラッシャー映画です」とコメント。スラッシャー映画というのは、にわか勉強ですが、殺人を含むホラー映画の非公式な総称、スプラッター映画や心理的ホラーなど他のホラーサブジャンルと区別するためできた用語で、イタリアの60年代のジャッロ映画に影響を受けているということです。

 

        

           (監督とVeneciafrenia」のポスター)

 

★脚本を共同執筆したホルヘ・ゲリカエチェバリアも「70年代から80年代にかけて流行したイタリアのジャッロ映画を再解釈したものです」と説明している。ジャッロ・スリラーはエロティシズムと心理的恐怖を織り交ぜた殺人ミステリー、正体不明の殺人者が登場し、壮大なやり方で殺害していくのが特徴ということです。3期に分かれていて古典期は197493年までの作品、例えば『悪魔のいけにえ』(74)、『暗闇にベルが鳴る』(74)、『エルム街の悪夢』(84)などが挙げられる。「コロナウイリスの前に、ラグーンで毎日下船する大きな船やクルーズ船に対する地元住民の大きな抗議がありました。それはベネチアの都市崩壊やディズニーランド化に繋がり、持続可能性を危険に晒すからというものでした」と、動機を語っている。上述したように監督のデビュー作からPerfectos desconocidos17)まで、TVシリーズ30 monedas30 Coins 2021)も含めて、殆どの作品でタッグを組んでおり、ブランカ・スアレスを起用した次回作El cuarto pasajeroも言うまでもない。

 

     

       (デ・ラ・イグレシア監督とホルヘ・ゲリカエチェバリア)

 

キャスト紹介:スペインサイドは、イングリッド・ガルシア=ヨンソンシルビア・アロンソゴイセ・ブランコTVシリーズ『ミダスの手先』)の30代の仲良し3人組を軸にしている。主役のガルシア=ヨンソンによると「回りくどいことは嫌いだが、不安定で脆いところがある。結婚しているが、夫が同行しない友人たちとのベネチア旅行に参加する」役柄と説明している。シルビア・アロンソは1992年サラマンカ生れ、TVシリーズ出演後、クララ・マルティネス=ラサロの「Hacerrse mayor y otros Problemas」(18)で主役に起用された新人、ゴイセ・ブランコはマテオ・ヒル他の『ミダスの手先』(206話)がNetflixで配信されている。

イングリッド・ガルシア=ヨンソンのキャリア紹介は、コチラ20190329

 

 

  

      

   (別人のようにスマートになった監督の指示を受ける出演者たち、ベネチアにて)

 

TVシリーズ「30 Coins」出演のガルシア=ヨンソンの弟役アルベルト・バング、ゴイセ・ブランコのパートナー役ニコラス・イロロが加わる。1983年カセレス生れのニコ・ロメロTVシリーズ「La fortuna」『ケーブル・ガールズ』)、アルマンド・デ・ラッサ(『ビースト 獣の日』)など。

 

★イタリアサイドは、1977年サルディーニャ生れ、96年のミスイタリア4位のボンド・ガールの一人カテリーナ・ムリノ(『007/カジノ・ロワイヤル』、ネットフリックス配信の新作『マイ・ブラザー、マイ・シスター』)、コジモ・ファスコ(「30 Coins」)、エンリコ・ロ・ヴェルソ(『アラトリステ』)、1948年ベネチア生れのベテラン、アレッサンドロ・ブレサネッロ(『007スペクター』の神父役)、ジュリア・パニャッコなど出演者が多い。

 

★観光都市ですから多くの住民が観光で生計を立てているわけですが、全部の住民が観光客に頼っているわけではない。いずれ温暖化の影響で地盤沈下で住めなくなるとしても、それは今ではない。観光客を歓迎しない住民もいるということです。Veneciafrenia」が恐怖コレクションの第1作、既に「ジャウマ・バラゲロによるものと、ボルハ・コベアガが脚本を手掛けるエウヘニオ・ミラの作品が始動している」とデ・ラ・イグレシア監督、ベネチアはこのジャンルとうまく調和しているとも語っている。エウヘニオ・ミラは『グランドピアノ 狙われた黒鍵』(13)が公開されている。シッチェス映画祭も間もなく開幕しますが、ホラー大好き人間の評価は得られるでしょうか。痛みのジェットコースター、エモーションと凍りついた笑い満載ということです。


*追加情報:第34回東京国際映画祭2021「ワールド・フォーカス」部門で『ベネシアフレニア』の邦題で上映決定。第18回ラテンビート2021共催上映

  

「Hombre muerto no sabe vivir」*サンセバスチャン映画祭2021 ㉒2021年09月18日 17:16

    メイド・イン・スペイン部門にエゼキエル・モンテスのデビュー作

     

 

      

★メイド・イン・スペイン部門はスペインで既に公開されたヒット作が選ばれ、今年はフィクション4作、ドキュメンタリー4作が上映されます。エゼキエル・モンテスのデビュー作Hombre muerto no sabe vivirは、第24回マラガ映画祭2021でプレミアされた麻薬密売を絡ませたスリラー、カリスマ性に富んだ悪役が似合うアントニオ・デチェントルベン・オチャンディアノが主演、マフィア陰謀ドラマに飢えている観客に応えている。初監督作とはいえ、モンテスはプロデューサー、脚本家、撮影監督のキャリアが豊富、マラガ出身ということもあるのか、マラガFFには毎年のように参加している。2008年のGranit(中編、監督・脚本・撮影・製作)、2016年のAkemarropaF. J. アランスと共同で監督している。2008年の短編ホラー・スリラーThe Pazzle5分)は、ローマ国際映画賞2020でスリラー賞・撮影賞を受賞、ほか受賞歴多数。

 

     

   (エゼキエル・モンテス監督、第24回マラガ映画祭2021、フォトコールにて)

 

 

 Hombre muerto no sabe vivir / A Dead Man Cannot Live

製作:73140323 Producciones Cinematográficas

監督・脚本・撮影:エゼキエル・モンテス

音楽:ルイス・エルナイス

編集:ホセ・MG・モヤノ

キャスティング:モニカ・サンチェス

メイクアップ:ビクトル・アルカラ

プロダクション・マネージメント:アラセリ・カレロ

 

データ:製作国スペイン、スペイン語、2021年、105分、撮影地アンダルシアのマラガ、カディス、マルベーリャ、公開マドリード限定2021629日、スペイン同年72

映画祭・受賞歴:第24回マラガ映画祭2021セクション・オフィシアル、第69回サンセバスチャン映画祭2021メイド・イン・スペイン部門上映

 

キャスト:アントニオ・デチェント(タノ)、ルベン・オチャンディアノ(アンヘル)、エレナ・サンチェス(アイタナ)、ヘスス・カストロ(トルヒーリョ)、パコ・トウス(エドゥアルド)、ナチョ・ノボ(パウル)、マノロ・カロ(マイタ)、マヌエル・デ・ブラス(マヌエル)、フアンマ・ララ(マッコイ)、ロベルト・ガルシア(ロベルト)、フアン・フェルナンデス(フアン)、ホセ・ラウレ(ノラスコ)、パウル・ラピドゥス(ラピドゥス)、ヘスス・ロドリゲス(チュレ)、フスト・ロドリゲス(サビオ)、フェルナンド・フォンセカ(アントニオ)、チェロ・ソト(スシ)、他多数

 

ストーリー:スペイン南部地中海に面したコスタ・デル・ソル、タノは良き時代に町全体を支配していたマヌエルのために人生の全てを捧げてきた。マヌエルは90年代にナイトクラブの女衒、麻薬密売、そして不動産投機によって建設会社を起業、町では最も裕福な大物に成りあがった。しかし今では老人性痴呆による判断ミスに苦しんでおり、若い息子アンヘルの軽蔑をかったことから息子を無能で役立たずと考えて、組織の支配を成熟したタノに委ねることにした。タノは友人のパウル、ロベルト、マッコイ、エドゥアルドの助けを借りて、事業に自由に参加できるよう政治家や警察に賄賂を渡した。しかし事態は悪化して、資金不足や減益が生じるようになってくる。折も折、新しい命取りとなるドラッグがモロッコから到着するのだが・・・。世代交代、新しい人々とのビジネス方法を模索しなければならないが、誰も彼も安全でも健全でもない世界で、生き残るための唯一の答えは暴力しかないのだろうか。

 

   

(監督、ルベン・オチャンディアノ、エレナ・サンチェス、アントニオ・デチェント)

 

 

    観光客の目から隠された観光地の現に存在する腐敗を描く

 

★クエンティン・タランティーノのファンというモンテス監督は、「この映画は、忠誠心、社会が失っている価値観、もはや存在しない時代について語っています」とインタビューに応えている。アントニオ・デチェント扮するはタノは、自分たちの時代の終焉を見守っている。世代交代がおき若い人たちの考えは自分たちと同じでないことを知っている成熟した大人として登場している。エンリケ・ウルビスホセ・コロナドとタッグを組んだ『貸し金庫50702)や『悪人に平穏なし』(14)で切り開いてきた犯罪スリラーは、TVシリーズのGigantes12話、201819)や舞台をガリシアに設定したVivir sin permiso14話、201718、『麻薬王の後継者』Netflix配信)に繋がっている。両作ともかつての主人公はアルツハイマーに苦しむ過去の人になっている。

   

『貸し金庫507』の作品紹介は、コチラ⇒2014年03月25日

「Gigantes」の作品紹介は、コチラ⇒2018年07月29日

 

アントニオ・デチェントは、1960年セビーリャ生れ、映画、TV、舞台俳優、アンダルシアを舞台にした映画に脇役として出演、TVシリーズを含めると既に180作を数える。最初心理学を専攻したが、23歳のときセビーリャ演劇研究所で本格的に演技を学んだ。1987年、イシアル・ボリャインの叔父フアン・セバスティアン・ボリャインの「Las dos orillas」で映画デビュー、ビセンテ・アランダの「Libertarias」(96)、マリオ・カムスの「El color de las nubes」(97)など話題作に起用され、1999ベニト・サンブラノ『ローサのぬくもり』の医者役で、シネマ・ライターズ・サークル賞助演男優賞を受賞した。フアン・カルロス・フレスナディリョの10億分の1の男』で初めてゴヤ賞2002助演男優賞にノミネートされ、ASECAN2003ではアントニオ・コロメ賞を受賞した。

 

       

★マラガ映画祭2002にノミネートされたロジャー・グアルの群集劇Smoking Roomでは、共演したエドゥアルド・フェルナンデスやフアン・ディエゴなどとグループで銀のビスナガ男優賞を受賞、同じ映画祭では、2012年のハビ・プエブラA puerta friaに主演して同賞を手にしている。他にサンジョルディ男優賞、トゥルーズ・スペイン映画祭2013ASECAN2014アントニオ・コロメ賞などを受賞している。脇役が多いので映画祭上映、公開作品も多く、トニー・ガトリフの『ベンゴ』、ビセンテ・アランダの『カルメン』、アルベルト・ロドリゲスの『7人のバージン』、マヌエル・ウエルガの『サルバドールの明日』、アグスティン・ディアス・ヤネスの『アラトリステ』、ベニト・サンブラノの『スリーピング・ボイス~沈黙の叫び』、マル・タルガロナの『ボーイ・ミッシング』、最近ではアルフォンソ・コルテス=カバニリャスの『サイレント・ソルジャー』などがある。TVムービー『クリスマスのあの日私たちは』(4話)がNetflixでも配信されている。強面だがコメディもやれるカメレオン俳優です。

   

   

      (デチェントを配した「A puerta fria」のポスター)

 

★他のキャストでは、マヌエルの息子役ルベン・オチャンディアノはアルモドバルの『抱擁のかけら』でも大富豪の父親と対立する役どころ、ヘスス・カストロはダニエル・モンソンの『エル・ニーニョ』で遊ぶお金欲しさに麻薬の運び屋になる青年を演じていたが、すっかり大人の男になっている。エレナ・サンチェスは、モンテス監督が監督した「Granit」や「Akemarropa」に出演しており、彼のミューズかもしれない。口封じの殺人、ドバドバとアドレナリンが出るようだから、胃腸の弱い方にはお薦めできませんが、Netflixが一枚噛んでいるので、いずれ配信されることを期待したい。

     

     

     

     

  (ルベン・オチャンディアノ、ヘスス・カストロ)

メイド・イン・スペイン部門8作*サンセバスチャン映画祭2021 ㉑2021年09月14日 10:57

     メイド・イン・スペイン部門はドラマ、ドキュメンタリー合わせて8作品

 

  

 

★第69回サンセバスチャン映画祭2021の「メイド・イン・スペイン」には、カンヌ、ロッテルダム、マラガ、ヒホン、各映画祭で話題を呼んだスペイン公開作品8がアナウンスされました。既に作品紹介をしたものはデータだけに割愛します。このセクションは著作権管理団体であるSGAE財団Sociedad General de Autores y Editores 著者出版社協会)とタイアップしています。2年前からドゥニア・アヤソの授与式を行っております。この賞は7年前に鬼籍入りしたカナリア諸島出身の監督&脚本家へのオマージュとして設けられた賞。主人公が歴史上の女性、あるいは女性がおかれている社会状況を語った作品に授与されます。同じく財団は2019年から、バスク脚本家専門協会が推進するバスク制作脚本賞を新設して資金提供を行っています。

 

     

(監督:アグスティ・ビリャロンガ、アイノア・ロドリゲス、フリア・デ・パス、

    エゼキエル・モンテス)

  

   

(監督:アドリアン・シルベストレ、ハビエル・エスパダ、ハビエル・トレンティノ、

    ルイス・ロペス・カラスコ)

 

 

     *メイド・イン・スペイン部門

    

①「Ama2021

監督:フリア・デ・パス(スペイン)長編映画第2作目

データ:製作スペイン、スペイン語、ドラマ、90分、第24回マラガ映画祭2021銀のビスナガ女優賞(タマラ・カセリャス)受賞作品

作品&監督キャリア・キャスト紹介は、コチラ20210707

      

   

 

    

②「Buñuel, un cineasta surrealista / Buñuel, A Surrealist Filmmaker

監督・脚本:ハビエル・エスパダ(スペイン)

データ:製作国スペイン、スペイン語、2021年、ドキュメンタリー、83分、配給コントラコリエンテ・フィルム。

製作Tolocha Productions(ペドロ・ピニェイロ)/ Hemisphere Films(エミリオ・ルイス・バラチナ)、撮影(イグナシオ・フェランド)、編集(カルロス・ベリョンガ、ホルヘ・イエタノ)、音楽(ベニト・シエラ、アルバロ・マザラサ)、カンヌ映画祭2021カンヌ・クラシック部門上映

 

解説:デビュー作『アンダルシアの犬』(28)以来、最も純粋なシュルレアリスム映画のパイオニア的存在であるルイス・ブニュエルは、第2作目『黄金時代』の後にそれを捨てたかった。しかしメキシコ、フランス、スペインでのキャリアを積みながらシュルレアリスムの基本理念への言及に執着しつづけた。子供のときからあった原則、最も基本的な彼の創造の柱の一部となっている、または彼の映画の特異性の大きな部分を形成している夢のような要素を決して手放しませんでした。ブニュエル映画は、ゴヤ、ティツィアーノ、ダヴィンチなどの古典的な画家に触発され、シネアストに止まらず、作家、画家、劇作家の創造的な指針となっています。このドキュメンタリーは、新世代の若い観客がこの普遍的な映画人を発見する可能性を含んでいる。ブニュエルのビジョンは挑発しつづけ、更にアートや文学と繋がることで際立つでしょう。

   

     

    

 

③「Destello Bravío2021

監督:アイノア・ロドリゲス(スペイン、マドリード1982)長編デビュー作

データ:製作国スペイン、スペイン語、ミステリアス・ドラマ、98分、第24回マラガ映画祭2021銀のビスナガ審査員特別賞・編集賞受賞作品、ロッテルダム映画祭2021セクション・オフィシアル「タイガー部門」正式出品。家父長制の時代に育ったイサ、シタ、マリアの中年女性3人の人生が語られる。キャストにアマチュアを起用してドキュメンタリー手法で撮ったフィクション。

作品ストーリー紹介は、コチラ20210513

 

    

    

     

④「El año del descubrimiento / The Year of the Discovery」ドキュメンタリー

監督:ルイス・ロペス・カラスコ(スペイン)

データ:製作国スペイン=スイス、スペイン語、2020年、200分、第35回ゴヤ賞2021長編ドキュメンタリー賞、第26回フォルケ賞2021長編ドキュメンタリー賞、2021年に新設された第8回フェロス賞ドキュメンタリー賞の受賞作品。1992年のムルシア州カルタヘナ市、紫煙立ちこめる或る1軒のバルに集う隣人、若者、失業者の会話を記録する長尺のドキュメンタリー。

    

    

 

    

⑤「El ventre mar / The Belly of the Sea(El vientre del mar) 2021

監督アグスティ・ビリャロンガ(スペイン、バルセロナ)

データ:製作国スペイン、カタルーニャ語、歴史ドラマ、75分、イタリアの作家アレッサンドロ・バリッコの小説の映画化。第24回マラガ映画祭2021金のビスナガ作品賞(ハビエル・ぺレス・サンタナ他)、銀のビスナガ監督・脚本賞(A・ビリャロンガ)、同男優賞(ロジェール・カザマジョール)、同音楽賞、同撮影賞の受賞作品。ヨーロッパ映画アカデミー賞のプレセレクションされている。

キャスト:ロジェール・カザマジョール、オスカル・カポジャ、他

作品&監督キャリア紹介は、コチラ20210509

ロジェール・カザマジョールのフィルモグラフィーは、コチラ20210624

   

    

 

       

⑥「Hombre muerto no sabe vivir / A Dead Man Cannot Live2021

監督:エゼキエル・モンテス(スペイン、マラガ)デビュー作

データ:第24回マラガ映画祭2021セクション・オフィシアル正式出品、アントニオ・デチェント主演の犯罪スリラー。別途作品紹介予定

キャスト:アントニオ・デチェント、ルベン・オチャンディアノ、エレナ・マルティネス、ヘスス・カストロ、パコ・トウス、他

作品紹介記事は、コチラ⇒2021年09月18日 

   

  

 

 

 

⑦「Sedimentos / Sediments」ドキュメンタリー

監督・脚本:アドリアン・シルベストレ(スペイン、バレンシア1981)第2作目

データ:製作国スペイン、スペイン語、2021年、89分。第24回マラガ映画祭2021ドキュメンタリー部門正式出品、テッサロニキ映画祭審査員特別賞受賞作品。

解説:地球がそうであるように、私たちの内なる自分は異なった地層や階層で構成されており、私たちのアイデンティティをつくり、私たちの人生の物語を語っている。本作は年齢も職業も異なる6人の女性グループと一緒に、レオン地方への旅に寄り添っていく。

キャスト:マグダレナ・ブラサス、ティナ・レシオ、サヤ・ソラナ、クリスティアナ・ミリャン、ヨランダ・テロル、アリシア・デ・ベニト

    

    

 

     

⑧「Un blues per a Teheran / Tehran Blues(Un blues para Teherán) 

監督:ハビエル・トレンティノ(スペイン)デビュー作、ジャーナリスト、作家、映画評論家。

データ:製作国スペイン、スペイン語・ペルシャ語・クルド語、2020年、ドキュメンタリー・ミュージカル、79分、製作Quatre Films Audiovisuales(アレハンドラ・モラ)/ Eddie Saeta(ルイス・ミニャロ)、

脚本(ハビエル・トレンティノ、ドリアン・アロンソ)、撮影(フアン・ロペス)、編集(セルジ・ティエス)、配給Surtsey Films

映画祭・受賞歴:ヒホン映画祭202011月)クロージング作品、ラス・パルマス・デ・グラン・カナリア映画祭20214月)正式出品、モスクワ映画祭2021正式出品(4月)、サンセバスチャン映画祭2021メイド・イン・スペイン部門、ほかビスカヤ、ナバラ、マドリード、バレンシアなどのフィルモテカでのイベント上映多数。

    

キャスト:エルファン・シャフェイ、ゴルメール・アラミ、シーナ・デラクシャン、モハマド・ジャハン、他

ストーリー:イランは伝統と現代性が共存し、私たちに異なった顔を見せる国として認識されています。映画監督になりたい若いクルドの詩人エルファンは、音楽とその人々の目を通して、未知であるが洗練された国を発見するよう私たちを導いていく。両親とオウムと暮らしているエルファンは、歌い、詩を書き、しかし未だ愛については何も知らない・・・

      

  


★以上ドラマとドキュメンタリー各4作品です。

『笑う故郷』のデュオ監督のコメディ*サンセバスチャン映画祭2021 ⑳2021年09月10日 14:18

    ペルラス部門の開幕作品「Competencia oficial」はベネチアでプレミア

    

     

               (ペルラス部門のポスター)

 

★アルゼンチンのガストン・ドゥプラットマリアノ・コーンCompetencia oficialは、ベネチア映画祭コンペティション部門でワールドプレミアされ、サンセバスチャン映画祭では「ペルラス」部門のオープニング作品に選ばれたブラック・コメディ。キャストにスペインを代表するアントニオ・バンデラスペネロペ・クルス、両人ともドノスティア栄誉賞受賞者、アルゼンチンからはベネチアFF2016男優賞ヴォルピ杯の受賞者オスカル・マルティネスと豪華版、大ヒットした『笑う故郷』を超えられたでしょうか。ベネチアでは既に上映され、緊張と皮肉がミックスされた不愉快なコメディは、概ねポジティブな評価のようでした。かつて見たことのないバンデラスやクルスを目にすることができるか楽しみです。

『笑う故郷』(「名誉市民」)関連記事は、コチラ201610131023

   

          

      (カンヌ映画祭を揶揄した?「Competencia oficial」のポスター)

   

        

    (赤絨毯に現れたクルスをエスコートするバンデラス、ベネチアFF2021

   

    

    (勢揃いした左から、マリアノ・コーン監督、アントニオ・バンデラス、

   ペネロペ・クルス、オスカル・マルティネス、ガストン・ドゥプラット監督)

 

ペルラス部門はスペイン未公開に限定されますが、既に他の国際映画祭での受賞作品、評価の高かい作品が対象です。従って本作に見られるようにベネチア、カンヌ、ベルリン、トロント各映画祭の作品が散見されます。日本からはカンヌ映画祭で脚本賞を受賞した濱口竜介『ドライブ・マイ・カー』がアウト・オブ・コンペティションで特別上映、ベルリン映画祭で審査員大賞を受賞した『偶然と想像』がコンペティションに選ばれています。ドノスティア(サンセバスチャン)市観客賞に5万ユーロ、ヨーロッパ映画賞に2万ユーロの副賞が出る。

 

 Competencia oficial / Oficial Competition

製作:The MediaPro Studio

監督:ガストン・ドゥプラット、マリアノ・コーン

脚本:アンドレス・ドゥプラット、ガストン・ドゥプラット、マリアノ・コーン

撮影:アルナウ・バルス・コロメル

編集:アルベルト・デル・カンポ

プロダクション・デザイン:アライン・バイネ

美術:サラ・ナティビダ

セットデコレーション:クラウディア・ゴンサレス・カルボネル、ソル・サバン、パウラ・サントス・サントルム

衣装デザイン:ワンだ・モラレス

メイクアップ&ヘアー:マリロ・オスナ、エリ・アダネス、アルバ・コボス、パブロ・イグレシアス、(ヘアー)セルヒオ・ぺレス・ベルベル、他

プロダクション・マネージメント:ジョセップ・アモロス、アレックス・ミヤタ、他

録音:アイトル・ベレンゲル

製作者:ジャウマ・ロウレス、(エグゼクティブ)ハビエル・メンデス、エバ・ガリド、他

 

データ:製作国スペイン=アルゼンチン、スペイン語、2021年、ブラックコメディ、114分、撮影地スペイン、配給ブエナビスタ・インターナショナル・スペイン、公開スペイン2022114日、アルゼンチン120日、ロシア310

映画祭・受賞歴:ベネチア映画祭2021コンペティション94日、トロント映画祭914日、サンセバスチャン映画祭ペルラス部門オープニング作品917

 

キャスト:ペネロペ・クルス(映画監督ロラ・クエバス)、アントニオ・バンデラス(ハリウッド俳優フェリックス・リベロ)、オスカル・マルティネス(舞台俳優イバン・トレス)、ホセ・ルイス・ゴメス(製薬業界の大物)、イレネ・エスコラル(大物の娘)、ナゴレ・アランブル、マノロ・ソロ、ピラール・カストロ、コルド・オラバリ、カルロス・イポリト、フアン・グランディネッティ、ケン・アプルドーン、他

 

ストーリー:超越と社会的名声を求めて、大富豪の実業家は自分の足跡を残すため映画製作に乗り出します。それを実行するため最高のものを雇います。監督には有名なロラ・クエバス、俳優にはこれまた超有名で才能あふれる2人を選びます。しかしハリウッドスターのフェリックス・リベロと過激な舞台俳優イバン・トレスはエゴの塊り、二人ともレジェンドになっていますが、正直のところ友人同士とは言い難いのです。クエバス監督によって設定され、どんどんエキセントリックになっていく一連の試練を通して、フェリックスとイバンはお互いだけでなく、自分自身の過去とも直面することになる。誇大妄想狂の億万長者から傑作を依頼されるロラの冒険物語であり、映画産業の危険性についての妄想的な解説でもある。

 


    (数トンもあるダモクレスの剣ならぬ岩の下で危険に命をかけている3人)

 

 

     映画産業についての少し悪意のこもったコメディ

 

★今年のベネチアのペネロペ・クルスは、アルモドバルのオープニング作品に選ばれたMadres paralelasと本作の主役で大忙し、よく働くと感心する。彼女が扮するロラは、非凡な才能をもっているがノイローゼ気味の独裁者、アーティストでプリマドンナだが壊れやすい。そしてこれ以上のキャスティングはないと思われる2人の俳優を選ぶが、二人は共演したことがない。アントニオ・バンデラス扮するフェリックス・リベロはハリウッド映画界きっての大スター、軽薄なファンに囲まれたセレブ、インターナショナルな商業映画では水を得た魚のように泳げるが・・・。片やオスカル・マルティネス扮するイバン・トレスは、スタニスラフスキー演技法を学んだ演劇界の大御所、インテレクチュアルなマエストロである。ただし揃いもそろってエゴの塊だ。

 

  

      (打ち合せ中のバンデラス、クルス、マルティネスとデュオ監督)

 

★脚本家のアンドレス・ドゥプラットは、ガストン・ドゥプラットの実兄、『笑う故郷』の執筆者、彼は建築家でアート・キュレーター、その経験を活かして執筆したのが『ル・コルビュジエの家』(09)、2012年に公開されたとき来日している。アンドレスは「最良の意味で、詐欺がアートにとって優れており不可欠なもの。無駄で利己的であることは、普通の人が行かないところへアーティストを行かせる」とラ・ナシオン紙のインタビューに語っている。マルティネスは「自我がなければ映画や本、政治的なものさえ存在しない。勿論、それをマスターしなければならない」と主張する。エゴはロバと同じで飼いならさなければならない。クルスは「虚栄心は飼いならさなければただの野生動物です」と。バンデラスは慎重に「エゴは金庫に入れておかねばならない」と。ロラ・クエバスのモデルはアルゼンチンの「サルタ三部作」や『サマ』の監督ルクレシア・マルテルの分身と言うのだが・・・

   

     

     (フェリックスとライオン・ヘアーの鬘がトレードマークのロラ)

 

★大富豪だが映画産業には精通しているとは思えないプロデューサーの野望のまえで危険に晒される。80歳になる依頼主は、イレネ・エスコラル扮する娘を主役にする条件で歴史に残る傑作を要求する。ホセ・ルイス・ゴメスは、アルモドバルの『抱擁のかけら』で若い愛人P.P.を繋ぎとめるために映画出演させる実業家に扮した俳優、誇大妄想狂な実業家ということで目配せがありそうです。この映画のプロットはいただけませんでしたが、過去の映画やシネアストたちへのオマージュ満載で大いに楽しめた。デュオ監督の新作にも期待していいでしょうか。

    

      

(カンヌらしき映画祭の赤絨毯に現れたロラ、フェリックス、大富豪の娘、大富豪、

ロラの衣装はSSIFF2020開幕司会者カエタナ・ギジェン・クエルボの衣装と同じか?)

 

★ガストン・ドゥプラット監督によると、クランクインはスペインで2020年の2月、しかしパンデミックで7ヵ月間中断してしまった。しかしその期間に創造性を推敲する時間がもてたと述べている。アルゼンチンとイタリアを行き来するには10日間の隔離期間をクリアーしなければならないから、合間に仕事をするのは難しいとも語っている。アドリア海に浮かぶリド島には、『笑う故郷』(当ブログでは原題の『名誉市民』)で訪れている。主役のオスカル・マルティネスが男優賞ヴォルピ杯を受賞している。デュオ監督はヤング・ベネチア賞スペシャル・メンション他を受賞している。

 

     

       (男優賞受賞のオスカル・マルティネス、ベネチアFF2016

 

ジャウマ・ロウレス(バルセロナ1950)は、制作会社メディアプロのCEO、バルセロナ派を代表する製作者、昨年のSSIFF開幕作品、ウディ・アレンRifkins Festivalほか、『それでも恋するバルセロナ』、『ミッドナイト・イン・パリ』などを手掛けている。フェルナンド・レオン・デ・アラノアの『月曜日にひなたぼっこ』でスタート、ハビエル・バルデムを主役にセクション・オフィシアルにノミートされているEl buena patrón、最後のガローテ刑の犠牲者サルバドール・プッチ・アンティックを主人公にしたマヌエル・ウエルガの『サルバドールの明日』、ハビエル・フェセル『カミーノ』ゴヤ賞2009作品賞を受賞している。アレックス・デ・ラ・イグレシアのドキュメンタリー『メッシ』、ドゥプラット作品ではMi obra maestra18)をプロデュースしている。バルセロナに彼の名前を冠した通りがあるとかで、本作の大富豪と何やら共通点がありそうなのでアップしました。

   

      

         (ドゥプラットの「Mi obra maestra」のポスター)

 

★劇中ではいがみ合った3人も、撮影中は笑いが絶えなかったという主演者、「こんなに笑ったことはないし、笑いは体制をも転覆させる。演技中も楽しかった」とバンデラス、「ロラは解放者で滑稽、魅力的な精神病質者、素晴らしいアイディアのインテリ、ただしおバカで自己中心的」とクルス。サンセバスチャン映画祭出席のリストにクルスと、「El buena patrón」主演のハビエル・バルデムの出席はアナウンスされています。ペルラス部門はメインでないからアルゼンチン組の現地入りの可能性は少ない。いずれにしても本作は字幕入りで鑑賞できますね。

 

ホナス・トゥルエバの「Quién lo impide」*サンセバスチャン映画祭2021 ⑫2021年08月16日 11:25

   「ドキュメンタリーでもフィクションでも映画でもない」とホナス・トゥルエバ

 

   

 

ホナス・トゥルエバQuién lo impideで再びサンセバスチャン映画祭に戻ってきた。SSIFF 2016セクション・オフィシアルに初参加したLa Reconquistaは、後に『再会』の邦題でNetflixで配信された。そして主役のイチャソ・アラナを起用して撮ったのがLa virgen de agosto19)、『8月のエバ』の邦題でラテンビート2019上映された。新作Quién lo impideのタイトル名は、昨年3月、肺癌に倒れたシンガーソングライターのラファエル・ベリオの歌詞から採られたそうです。『再会』では「アルカディア・エン・フロール」を演奏していた。監督キャリア&フィルモグラフィーは、長編第3Los exiliados románticosがマラガ映画祭2015で審査員特別賞を受賞した折り紹介記事をアップしております。

 

     

              (ホナス・トゥルエバ監督)

 

Los exiliados románticos」フィルモグラフィーは、コチラ20150423

『再会』の紹介記事は、コチラ20160811

8月のエバ』の紹介記事は、コチラ20190603同年1113

 

      

         (イチャソ・アラナ主演の『8月のエバ』のポスター)

 

★新作Quién lo impideは、2018620日にマドリードのシネテカでプレゼンされたQuién lo impide」(4部作282分)がもとになっている。ドキュメンタリー風であったりフィクションの部分が主であったりまちまちのようだ。バルセロナで開催されるD'Aバルセロナ映画祭2019でも上映されているが、再編集されたもののプレゼンはSSIFFが初、どのように220分に編集しなおしたかは目下詳細を明らかにしていない。21世紀初頭生れの10代の若者たちに呼びかけて実施した教育プロジェクトから誕生した。彼らの現在への意見、未来への期待を反映させている。約5年間に及ぶ撮影と編賞を経て完成された。監督が設立した制作会社Los Ilusos Filmsが手がけた。

D'Aバルセロナ映画祭についての記事は、コチラ20210417

4部作のタイトルは、以下の通り:

Quién lo impide: Principiantes60

Quién lo impide: Sólo somos90

Quién lo impide: Tú también lo has vivido52

Quién lo impide: Si vamos 28, volvemos 2880

 

    

               (4部作の各ポスター)

 

製作・製作者:Los Ilusos Films(ホナス・トゥルエバ、ロレナ・ツデラ、ハビエル・ラフエンテ)/ Cineteca Madrid

監督:ホナス・トゥルエバ

撮影:ホナス・トゥルエバ、サンティアゴ・ラカ、ダニエル・オカント、ギジェルモ・ロドリゲス、マネル・アグアド・コル、フェルナンド・メレロ、ロレナ・ツデラ

編集:マルタ・ベラスコ

 

データ:製作国スペイン、スペイン語、2021年、ドクドラマ、220分、サンセバスチャン映画祭2021ワールドプレミア

キャスト:カンデラ・レシオ、パブロ・オヨス、シルビオ・アギラル、パブロ・ガビラ、クラウディア・ナバロ、ナタリア・ウアルテ、イチャソ・アラナ、フランセスコ・カリル、ペドロ・ロサノ、マルタ・カザド、リカルド・ガルシア、マリア・エラドール、ロニー=マイケル・ピンサル、ハビエル・サンチェス、ビクトル・ぺラレス、レナタ・ピコ、クラウディア・ロセット、ほか

 

解説:本作は、若者と青年期についての私たちの認識を変えるための呼びかけです。21世紀の初頭に生まれ、大人になったばかりの人々です。今では全ての罪を犯しているように思われると同時に、彼らは希望が薄れていくのを感じている。ドキュメンタリーとフィクション、そして純粋な証言の記録の狭間で、青年たちは自身の在りのままを見せますが、私たちが彼らを見たり、あるいは私たちに見させたりすることは多くはありません。自分自身をよく見せるために映画用カメラを利用して、将来の自信を取り戻します。弱さと感動から、ユーモア、知性、信念、意見までです。何故なら愛、友情、政治、教育について私たちに話しかける若者は、自分のことだけではなく、年齢に関係なく私たちが常に気にかけていることを話しているからです。「誰がそれを阻止するのか」は私たちについての映画、私たちが何であったか、何であるか、そしてこれから何であろうとするのかについての映画です。

 

 

       

  

           

    

      

                  (4部作の予告編に登場する画像のピックアップ)

 

YouTubeで見られる4部作の予告編では「これはドキュメンタリーでもフィクションでもない」、更には「映画でもない」と。ドキュメンタリーとフィクションのジャン分けをしない(・できない)という監督は沢山いるが、映画ではないと言うなら、じゃこれは何か。これは「人生のようなもの」で「映画(館)に入り込む」のだという。見るのではなく参加するものということか。とにかく現時点では推測するしかない。

パコ・プラサの新作ホラー「La abuela」*サンセバスチャン映画祭2021 ⑪2021年08月12日 18:26

      『エクリプス』のパコ・プラサの新作はホラーLa abuela

 

      

 

パコ・プラサのセクション・オフィシアルは初めて、金貝賞を競うことになった。新作La abuelaホラー、脚本を『マジカル・ガール』や『シークレット・ヴォイス』の監督カルロス・ベルムトが手掛けているのが話題を呼んでいる。祖母役にココ・シャネルのお気に入り、195060年代に世界で最も人気のあったモデルの一人、ヴェラ・バルデス(リオデジャネイロ1936)を起用、その孫娘に前回アップしたフェルナンド・レオンEl buen patrónで長編映画デビューしたアルムデナ・アモールが抜擢されている。新旧世代のコントラスト、老いの恐怖がテーマのようだ。

    

        

       (アルムデナ・アモール、プラサ監督、ヴェラ・バルデス)

 

La abuela(「Grandmother」)

製作:Apache Films / Apache AIE / Atresmedia Cine / Les Films Du Worso

監督:パコ・プラサ

脚本:カルロス・ベルムト、(アイデア)パコ・プラサ

撮影:ダニエル・フェルナンデス・アベリョ

キャスティング:フランソワ・リヴィエール

プロダクション・デザイン&美術:ライア・アテカ

衣装デザイン:ビニェト・エスコバルVinyet Escobar

メイクアップ:(特殊メイク)ナチョ・ディアス、フアン・オルモ、ルベン・セラ、他

プロダクション・マネージメント:ダビ・ラゴニグ

特殊効果:ラウル・ロマニリョス、他

録音:ガブリエル・グティエレス、他

製作者:エンリケ・ロペス・ラヴィーン(Apache Films)、ピラール・ロブラ

 

データ:製作国スペイン=フランス、スペイン語、2021年、ホラー、100分、撮影地マドリード、パリ、撮影期間2020年夏、配給ソニーSony Pictures、スペイン公開20211022日決定、公開後アマゾン・プライム・ビデオにて配信予定。

映画祭・受賞歴:第69回サンセバスチャン映画祭セクション・オフィシアル正式出品

 

キャスト:アルムデナ・アモール(スサナ)、ヴェラ・バルデス(祖母ピラール)、カリナ・コロコルチコワ(エバ)、チャチャ・ホアンHuang(ウェートレス)、Michael Collisマイケル・コリス(乗客)

 

ストーリー:スサナはモデルとして働いていたパリの生活を一旦止めて、マドリードに戻らねばならなくなった。両親の死後、我が子のように育ててくれた祖母ピラールが脳溢血で倒れ、介護者を必要としていたからだ。数日間の滞在と考えていたのだが、まもなく超常的な悪夢へと変貌していく。若い女性の人生をを変えてしまう悪夢、私たちが触れたくない老いの恐怖が語られる。

 

       

                (スサナと祖母ピラール)

 

    「ジャンルシネマは比類のない創造的な自由がある」とパコ・プラサ

 

★パコ・プラサ(バレンシア1973)は、監督、脚本家、製作者、編集者。CEU サンパブロ大学、バレンシア大学で情報科学の学士号、マドリード・コミュニティ映画視聴覚上級学校ECAMの映画監督の学位を取得している。英語、フランス語に堪能、1995年監督デビュー、短編「Abuelitos」(99)や「Rompecabezas / Puzzles」(01)でキャリアをスタートさせた。2001年、長編デビュー作Los hijos de Abrahamがシッチェス映画祭2001ファンタスティック映画ヨーロッピアンのグランプリを受賞、2004年ホラーサスペンスRomasanta. La caza de la bestiaでマラガ映画祭監督賞を受賞した。しかしなんといっても彼の存在を世に示したのは、ジャウマ・バラゲロと共同で監督したホラーRECレック』07)だったでしょう。

 

     

     (単独で監督した『RECレック3 ジェネシス』のスペイン版ポスター)

 

★シリーズ・レックは4作あり、第1作と2作が共同で監督、3作目がプラサ単独(レティシア・ドレラ主演)、4作目がバラゲロ単独です。国際映画祭で合計26賞したと言われる大ヒット作でした。プラサ監督は20147月インスティテュート・セルバンテス東京で開催された<スペインホラー映画上映会>のため来日、講演している。他にアメナバルの『テシス』やバヨナの『永遠のこどもたち』などが上映された。パートナーのレティシア・ドレラの映画をプロデュースしている。

 

2017年に撮ったホラーVerónica(邦題『エクリプス』)がゴヤ賞2018で作品賞を含む7カテゴリーにノミネートされた折り、少しだけ監督紹介をしています(受賞は録音賞のみ)。「私たちは男性優位で女嫌いの社会に暮らしている」と、警鐘を鳴らしていた。ルイス・トサールを起用して撮ったスリラーQuien a hierro mataは、共演のエンリク・アウケルにゴヤ賞2020の新人男優賞をもたらした。この度ホラーに戻ってきたのが本作「La abuela」です。

『エクリプス』の紹介記事は、コチラ20180201

    

      

            (『エクリプス』のスペイン版ポスター

 

★新作のインタビューで「ジャンルシネマは、私たちに関係する問題を話すのに最適です。比類のない創造的な自由を利用して現実について語ることができる」と監督。方や脚本を手掛けたカルロス・ベルムトは、「ホラーの脚本をずっと書きたいと思っていました。チャンスが与えられて幸運でした。ホラーは現在最も革新が行われている、X線撮影が可能なジャンルの一つです。本作は、私たちの社会が怖れているあまり隠し続けているもの、それは老いです」とコメント、どうやらテーマの一つはアンタッチャブルな老後のようです。

 

      

         (タッグを組んだカルロス・ベルムトとパコ・プラサ)

 

★主役の一人84歳になるヴェラ・バルデスは、モデル引退後ブラジルに戻り舞台女優として活躍していたそうですが、ここ最近映画に出演している。パラグアイの監督パブロ・ラマルのデビュー作La última tierraに出演、監督がロッテルダム映画祭2016のタイガー賞スペシャル・メンションを受賞している。上述したようにアルムデナ・アモールは未知数、共演者のチャチャ・ホアンは、ラウラ・アルベア&ホセ・オルトゥーニョのサイコ・ホラーÁnimas18)に主人公のガールフレンド役で出演している。『アニマ』の邦題でNetflixで配信されている。

 

       

       

          (ピラール役のヴェラ・バルデス、映画から)

 

   

(撮影中のアルムデナ・アモールとプラサ監督)

  

    

          (スサナ役のアルムデナ・アモール、映画から)


フェルナンド・レオンの新作「El buen patrón」*サンセバスチャン映画祭2021 ⑩2021年08月10日 15:31

       フェルナンド・レオンの新作コメディEl buen patrón

 

       

 

フェルナンド・レオン・デ・アラノアのサンセバスチャン映画祭セクション・オフィシアルのノミネートは3回目になる。1998年のBarrio銀貝監督賞FIPRESCI(国際映画批評家連盟)賞ほかを受賞、続く2002年の『月曜日にひなたぼっこ』金貝賞とカトリックメディア協議会SIGNISほかを受賞した。そして今年、長編10作目のEl buen patrón3回目のノミネーションとなる。新作の主役は『月曜日にひなたぼっこ』主演のハビエル・バルデム18年ぶりの再会などと言われるが、2017年にコロンビアのメデジン・カルテルの麻薬王パブロ・エスコバルに扮した「ラビング・パブロ Loving Pabloでタッグを組み、本祭のペルラス部門のクロージング作品に選ばれている。共演の愛人役ペネロペ・クルスと監督の3人でベロドロモの大会場に現れ、3000人の観衆を沸かせた。ということで二人がタッグを組むのも3回目になる。

 

       

   (製作者ジャウマ・ロウレス、フェルナンド・レオン監督、ハビエル・バルデム)

   

     

         (「ラビング・パブロ」撮影中の監督とバルデム)

 

El buen patrón / The Good Boss

製作:Reposado P.C. / The MediaPro Studio  協賛RTVE / TV3

監督・脚本:フェルナンド・レオン・デ・アラノア

音楽:セルティア・モンテス

撮影:パウ・エステベ・ビルバ

メイク&ヘアー:(メイク)アルムデナ・フォンセカ、(ヘアー)パブロ・モリリャス

プロダクション・マネージメント:ルイス・グティエレス、チュス・サン・パスクアル

美術:ダニエル・エルナンデス、ハビエル・ロペス・アンティア、パブロ・トラサンコス

音響:アナ・カパロス、エドゥアルド・カストロ、ダニエル・フング・マッチ、他

特殊効果:ダビ・カンポス、スサナ・コンテラ、ホアキン・ドラド、他

視覚効果:ミラグロス・ガルシア、他

製作者:ジャウマ・ロウレス、フェルナンド・レオン・デ・アラノア、(エグゼクティブ)ピラール・エラス、マリサ・フェルナンデス・アルメンテロス、エバ・ガリード、カルレス・モンティエル、パトリシア・デ・ムンス、ハビエル・メンデス

 

データ:製作国スペイン、スペイン語、2021年、ブラックコメディ、120分、撮影地マドリード、モストレス、期間20201020日~12月終了。スペイン公開20211015日、配給Tripictures、海外販売MK2 Films

映画祭・受賞歴:第69回サンセバスチャン映画祭2021セクション・オフィシアルに正式出品

 

キャスト:ハビエル・バルデム(バスクラス・ブランコ)、マノロ・ソロ、アルムデナ・アモール、オスカル・デ・ラ・フエンテス、ソニア・アルマルチャ、マリア・デ・ナティ(アンヘラ)、ダニエル・チャモロ(新聞記者)、セルソ・ブガーリョ、フェルナンド・アルビス、ヤエル・ベリチャ、マラ・ギル(アウロラ)、ラファ・カステジョン、タリク・ルミリ、マルティン・パエス、ダリト・ストリット・テハダ、他

 

ストーリー:スペインの地方都市で工業用秤を製造する会社のカリスマ的な経営者ブランコは、ある委員会の決定を心待ちにしている。それは優秀な企業家に贈られる地元のビジネス・エクセレンス賞、それにはすべてに完璧でなければならないし、委員会の訪問は彼の運命を決定することになるだろう。しかしながら状況は反対方向を指しているようだ。ブランコは大至急で対策を立てはじめる、従業員の問題を解決しようとするあまり考えられる全ての境界線を越えてしまう。予期せぬことが原因で、不測の結果をもたらすとんでもない出来事が立て続けに起きてしまう。個人と労働の関係についての厳しい視点が語られる監督得意のブラックコメディ。

 

      

       (ブランコ社のオーナー役のハビエル・バルデム、映画から)

 

フェルナンド・レオン・デ・アラノア(マドリード1968)は、監督、脚本家、製作者、作家、コンプルテンセ大学情報科学部卒。デビュー作Familia96)がスペイン映画祭98にエントリーされ、『ファミリア』の邦題で字幕入りで見ることができた。今は亡き名優フアン・ルイス・ガリアルドを主役に、往年の大スターのアンパロ・ムニョス、そしてエレナ・アナヤが銀幕デビューした作品でした。上述した「Barrio」も『月曜日にひなたぼっこ』も当ブログがなかった頃の作品で、最初に登場させたのが2015年の戦争コメディA Perfect Day、大分経ってから『ロープ 戦場の生命線』の邦題で公開された。多分これが最初の劇場公開映画だったのではないか。ベニチオ・デル・トロとティム・ロビンスの大物俳優が共演した、基本が英語映画だったからかもしれない。

A Perfect Day」の紹介記事は、コチラ20150517

 

       

      (名優フアン・ルイス・ガリアルド主演の「Familia」のポスター)

 

★受賞歴のない作品は一つもないほど数が多すぎるので、ゴヤ賞に限ってアップします。

1996Familia」(ファミリア)ゴヤ賞1998の新人監督賞受賞、脚本賞ノミネート

1998Barrio」ゴヤ賞1999の監督賞・オリジナル脚本賞受賞

2002Los lunes al sol」(月曜日にひなたぼっこ)ゴヤ賞2003監督賞受賞、

   脚本賞ノミネート

2005Prinsesas」ゴヤ賞2006脚本賞ノミネート

2007Invisibles」ゴヤ賞2008ドキュメンタリー映画賞(イサベル・コイシェ他5人合作)

2015A Perfect Day」(ロープ 戦場の生命線)ゴヤ賞2016脚色賞受賞、監督賞ノミネート

 

       

  (ルイス・トサールとバルデムを配した『月曜日にひなたぼっこ』のポスター)

 

★以上が監督の受賞歴ですが、「Los lunes al sol」のように、作品賞(エリアス・ケレヘタ、ジャウマ・ロウレス)、主演男優賞(ハビエル・バルデム)、助演男優賞(ルイス・トサール)、新人男優賞(ホセ・アンヘル・エヒド)を含めると5冠を制したことになる。MediaProジャウマ・ロウレスは、新作でのメイン製作者です。バルデムについては何回か中途半端だがキャリア紹介をしておりますが、いずれ賞に絡んだらアップします。アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥの『ビューティフル』(10)の受賞以来、ゴヤ賞から遠ざかっている。

イシアル・ボリャインの「Maixabel」*サンセバスチャン映画祭2021 ⑧2021年08月05日 18:35

          ボリャインの4回目の金貝賞を狙う映画はETAの犠牲者の実話

  

          

           (主役のブランカ・ポルティリョとルイス・トサールを配したポスター)

 

★セクション・オフィシアルの最初のスペイン映画の紹介は、イシアル・ボリャインが今回で4回目となる金貝賞に挑戦するMaixabelです。原題はブランカ・ポルティリョ扮する主人公マイシャベル・ラサからとられている。2000729日トロサのバルで、ETAのテロリストによって暗殺された社会主義政治家フアン・マリア・ハウレギの未亡人である。2019年にはジョン・システィアガアルフォンソ・コルテス=カバニリャスによってドキュメンタリーETA, el final de silencio: Zubiakも製作され、第67回サンセバスチャン映画祭で上映された。ETAの犠牲者は854人といわれるが、マイシャベルは他の犠牲者家族とどこが違うのか、物語はスリラーとして始り人間の物語として終わります。

 

   

 (左から、監督、マイシャベル・ラサ、ブランカ・ポルティリョ、20212月)

 

Maixabel

製作:Kowalski Films / FeelGood 参画RTVE / EiTB / Movistar+  

      協賛ICAA / バスク州政府 / ギプスコア州議会 / ギプスコア・フィルムコミッション

監督:イシアル・ボリャイン

脚本:イシアル・ボリャイン、イサ・カンポ

音楽:アルベルト・イグレシアス、EuskadikoOrkestra

撮影:ハビエル・アギーレ

編集:ナチョ・ルイス・カピリャス

美術:ミケル・セラーノ

音響:アラスネ・アメストイ

衣装デザイン:クララ・ビルバオ

メイクアップ:カルメレ・ソレル、セルヒオ・ぺレス

キャスティング:ミレイア・フアレス

プロダクション・マネージメント:イケル・G・ウレスティ、イツィアル・オチョア

製作者:コルド・スアスア(Kowalski Films)、フアン・モレノ、ギジェルモ・センペレ( FeelGood)、(ラインプロデューサー)グアダルペ・バラゲル・トレジェス

 

データ:製作国スペイン、スペイン語、2021年、115分、実話、撮影地主にバスク自治州ギプスコア県、アラバ、撮影期間20212月~3月、配給ブエナビスタ・インターナショナル、販売フィルムファクトリー。公開SSIFFの第1回上映後の924に決定。

映画祭・受賞歴:第69回サンセバスチャン映画祭2021セクション・オフィシアルノミネート、917日と25日に上映 

 

キャスト:ブランカ・ポルティリョ(マイシャベル・ラサ)、ルイス・トサール(イボン・エチェサレタ)、マリア・セレスエラ(マイシャベルの娘マリア)、ウルコ・オラサバル(ルイス)、ブルノ・セビリャ(ルイチ)、ミケル・ブスタマンテ(パチ・マカサガ)、パウレ・バルセニリャ(友人)、他

 

ストーリー:夫が暗殺された11年後、マイシャベルは暗殺者の一人、イボン・エチェサレタから奇妙な要求を受け取る。彼はETAのテロリスト集団と関係を絶ち刑に服していた。服役中のアラバ県はナンクラレス・デ・ラ・オカ刑務所内でのインタビューを受けたいという。マイシャベルは多くの疑念と辛い痛みにも拘わらず、16歳のときから仲間になった自分の人生を終わらせたいという人物の面談を受け入れる。夫を殺害した人間と面と向かって会うことの理由を質問された彼女は「誰でも二度目のチャンスに値する」と答えた。「主人公への敬意をこめて、私たちの最近の過去を伝えたい」とイシアル・ボリャイン。

 

   

     (2000729日に殺害されたフアン・マリア・ハウレギの葬儀)

 

 

  バスク自治政府テロ犠牲者事務局長だったマイシャベル・ラサの人生哲学

 

★バスクではなくマドリード生れの監督がETAのテロリズムをテーマに映画を撮り、サンセバスチャン映画祭4度目の金貝賞に挑戦する。第1回目の『テイク・マイ・アイズ』(Te doy mis ojos03)では、主演のルイス・トサールが銀貝男優賞、ライア・マルルが銀貝女優賞を受賞した。2回目が2007年のMataharis2018Juliで脚本審査員賞、そして今回作品賞をローラン・カンテテレンス・デイビスと金貝賞を競うことになる。監督のキャリア&フィルモグラフィーについては2016年の『オリーブの樹は呼んでいる』2020年のLa boda de Rosaで紹介しています。

『オリーブの樹は呼んでいる』の紹介記事は、コチラ20160719

La boda de Rosa」の紹介記事は、コチラ20200321

 

       

     (Juli」ノミネートでインタビューを受けるボリャイン監督、SSIFF 2018

 

★上述したように報道ジャーナリストのジョン・システィアガとアルフォンソ・コルテス=カバニリャス監督のドキュメンタリーETA, el final de silencio7編)が製作され、20191031日から1212日まで毎週放映された。第1編がこの「Zubiak」で<>という意味です。ルポルタージュとして放映されたのでIMDbには登録されていないようだが、マイシャベル・ラサとイボン・エチェサレタの和解を描いている。システィアガはバスク大学でジャーナリズムを専攻、国際関係学の博士号を取得している。ルワンダ、北アイルランド、コロンビア、コソボ、アフガニスタン他、世界各地の紛争地に赴いてルポルタージュを制作している。

 

       

       

   (マイシャベルの家で語り合うマイシャベルとエチェサレタ、ドキュメンタリー)

 

 

ブランカ・ポルティリョ(マドリード1963)が、グラシア・ケレヘタSiete mesas de billar francés07)で銀貝女優賞を受賞して以来、14年ぶりにSSIFF に戻ってきました。翌年のゴヤ賞主演女優賞はノミネートに終り、目下ゴヤ受賞歴はありません。もともと舞台女優として出発、ギリシャ悲劇、シェイクスピア劇、ロルカ劇に出演、演劇の最高賞といわれるMax5回受賞している。最近ではTVシリーズ出演や監督業に専念していた。「マイシャベルになるのは名誉なことです」とツイートしている。

 

      

         (マイシャベルに扮したポルティリョ、映画から)

 

★映画は上述以外では、主な代表作としてマルコス・カルネバル『エルサ&フレド』ミロス・フォアマン『宮廷画家ゴヤ』ペドロ・アルモドバル『ボルベール』(カンヌ映画祭グループで女優賞)や『抱擁のかけら』、アグスティン・ディアス・ヤネス『アラトリステ』では異端審問官役で男性に扮した。他にアレックス・デ・ラ・イグレシア『刺さった男』2020年にはグラシア・ケレヘタのInvisiblesにカメオ出演している。多彩な芸歴で紹介しきれないがアウトラインだけでお茶をにごしておきます。

 

       

         (二人の主役、ポルティリョとトサール、映画から)

 

ルイス・トサール(ルゴ1971)は、フェルナンド・レオン・デ・アラノア『月曜日にひなたぼっこ』で助演男優賞、ボリャインの『テイク・マイ・アイズ』とダニエル・モンソンの『プリズン211ゴヤ賞主演男優賞と3回受賞している。脇役時代が長かったので出演作は3桁に及ぶ。何回も登場させているので割愛したいが、本作のように実在しているモデルがいる役柄は多くないのではないか。舞台俳優としても活躍、最近Netflixで配信されたTVシリーズ『ミダスの手先』(6話)では主役のメディア会社の社長を演じていた。製作者デビューも果たしている。最近の当ブログ登場は、アリッツ・モレノのブラック・コメディ『列車旅行のすすめ』、パラノイア患者役の怪演ぶりで楽しませた。

簡単なキャリア&フィルモグラフィー紹介は、コチラ⇒2016年07月03日

『列車旅行のすすめ』の紹介記事は、コチラ20191014

 

    

            (撮影中の監督とルイス・トサール)


★サウンドトラックは、ゴヤ胸像のコレクター、11個を手にしたアルベルト・イグレシアス、オスカー賞にも3回ノミネートされている。キャスト陣では、マイシャベルの娘に新人マリア・セレスエラ、監督、脚本家のウルコ・オラサバルミケル・ブスタマンテと、バスクを代表するシネアストを俳優として起用している。ブルーノ・セビリャは、エレナ・トラぺ映画やTVシリーズ、ホラー映画『スウィート・ホーム』に出演している。