第11回イベロアメリカ・プラチナ賞2024*結果発表 ― 2024年05月03日 17:56
作品賞を含めて6カテゴリーを制したバヨナの『雪山の絆』
★4月20日、メキシコのリビエラ・マヤのシカレ公園内にあるエルグラン・トラチコ劇場で第11回イベロアメリカ・プラチナ賞の授賞式がありました。本賞については2019年の第6回以降ノミネーションも結果発表も、金太郎飴の結果にうんざりして記事にしませんでした。今回アップするのは、一つにはフアン・アントニオ・バヨナの『雪山の絆』がフィクション部門の作品賞以下6カテゴリーを独占したこと、23カテゴリーのうち16部門をスペイン作品が制するというラテンアメリカ諸国の不振、これではイベロアメリカ映画賞の名が泣くばかりです。さらに昨年12月23日アルゼンチン大統領となったハビエル・ミレイの映画産業を脅かす言動が話題にのぼったこともあってアップすることにしました。
★『雪山の絆』で6冠(作品・監督・撮影・編集・録音・男優賞)を制したフアン・アントニオ・バヨナは、昨今のアルゼンチンにおけるミレイ大統領の文化軽視に警鐘を鳴らした。監督賞受賞の舞台で映画は「表現の道具」として守る必要性があるとスピーチした。私が「本日この舞台に立っているのは両親のお蔭です。両親は学んだり仕事を選んだりする自由を持ちませんでした。父親は15歳から、母親は9歳から働き始めました。しかし彼らにとって子供たちの教育や教養は最も重要な課題だったのです」と語った。バルセロナのトリニダード・ビエハの貧しい家庭で育ったことは、スペイン版ウイキペディアにも載っていますが、このようなハレ舞台で話すのは初めてではないでしょうか。彼の謙虚さ常識にとらわれない斬新な発想の源は、この両親のお蔭と思わずにはいられない素晴らしいスピーチでした。
(勢揃いしたトロフィー6個の『雪山の絆』クルー、
左からアンドレス・ジル、オリオル・タラゴ、監督、エンツォ・ヴォグリンチッチ、
アルゼンチンの俳優フェリペ・ゴンサレスとフアン・カルソ)
*第11回イベロアメリカ・プラチナ賞2024受賞結果*
*映画部門*
◎作品賞(フィクション)
「La sociedad de la nieve」(『雪山の絆』)スペイン&アルゼンチン、
監督フアン・アントニオ・バヨナ
(出演者に囲まれた監督、左フアン・カルソ、右フェリペ・ゴンサレス)
◎コメディ賞(フィクション)
「Bajo terapia」スペイン、監督ヘラルド・エレーロ
*「映画の質は俳優たちと無関係ではない、彼らと一緒に仕事ができて満足している」と出演者を称賛した。
◎オペラ・プリマ賞
「20,000 especies de abejas」(『ミツバチと私』)スペイン、
監督エスティバリス・ウレソラ・ソラグレン
*『雪山の絆』に次ぐ4冠で、監督は「多様性」が認められたことを称揚した。製作者のバレリー・デルピエールは「デビュー作として撮るのは冒険だったが、この映画をご覧になれば私たちの現実を見つけることができます。結局、映画は現実の扉なのです」とスピーチした。
*このカテゴリーは、アルゼンチンの「Blondi」、プエルトリコの「La pecera」、チリの「Los colonos」(『開拓者たち』)、ベネズエラの「Simón」、コスタリカの「Tengo sueños eléctricos」と、まんべんなくノミネートされたがスペイン映画が受賞した。当ブログではすべての作品を紹介しています。
(スピーチする製作者のバレリー・デルピエール)
◎ドキュメンタリー賞
「La memoria infinita」 チリ、監督マイテ・アルベルディ
◎アニメーション賞(フィクション)
「Robot Dreams」(『ロボット・ドリームズ』)スペイン&フランス、
監督パブロ・ベルヘル
◎監督賞
フアン・アントニオ・バヨナ 『雪山の絆』
*原作なしに本作は存在しなかったこと、アンデスの事故で生還した人々、生還できなかった人々やその家族に感謝の言葉を述べた。壇上に上がるまえに出演者たちと抱き合って共に喜び合っていた姿が印象的でした。
◎脚本賞
エスティバリス・ウレソラ 『ミツバチと私』
◎撮影賞
ペドロ・ルケ 『雪山の絆』
*受賞者欠席のため代理でフアン・アントニオ・バヨナ監督が登壇して、受賞者のメッセージを読み上げた。
◎オリジナル音楽賞
アルフォンソ・デ・ビラリョンガ 『ロボット・ドリームズ』
◎編集賞
アンドレス・ジル&ジャウマ・マルティ 『雪山の絆』
(アンドレス・ジルが登壇した)
◎美術賞
ロドリゴ・バサエス 「El conde」(『伯爵』) 監督パブロ・ラライン
◎録音賞
オリオル・タラゴ、ホルヘ・アドラドス、マルク・オルツ 『雪山の絆』
(オリオル・タラゴが登壇した)
◎女優賞
ライア・コスタ 「Un amor」(『ひとつの愛』)スペイン、監督イサベル・コイシェ
*受賞を予期していなかったのか欠席、本作での受賞は初かもしてない。友人のカロリナ・ジュステが代理で受けとった。彼女はダビ・トゥルエバの新作「Saben aquell」でノミネートされていた。
(代理のカロリナ・ジュステ)
◎男優賞
エンツォ・ヴォグリンチッチ 『雪山の絆』
*「チャンスに恵まれないウルグアイから来て、この幸運に感謝したい。誰でも人生を変えるチャンスが与えられる」と。ずっと受賞を取り逃がしていたから喜びも一入身にしみた受賞者でした。何しろ体重を半分くらいに落としたのでした。
◎助演女優賞
アネ・ガバライン 『ミツバチと私』
*受賞者欠席で、製作者と監督が登壇した。
(アネ・ガバラインのスマホのメッセージを読み上げるウレソラ監督)
◎助演男優賞
ホセ・コロナド 『瞳をとじて』スペイン、監督ビクトル・エリセ
*マドリードで撮影中の受賞者は欠席で、製作者の一人が代理で受けとった。
(ホセ・コロナド、フレームから)
◎価値ある映画と教育賞
『ミツバチと私』
*TVシリーズ*
◎作品賞
「Barrabrava」(8話『バーラブラバ~ギャングたちの熱狂』)アルゼンチン、ウルグアイ
創案者ヘスス・ブラセラス
*エグゼクティブプロデューサーのサンティアゴ・ロペスが登壇した。「受賞するとは思わなかったのでスピーチを用意していなかった。キャスト陣、スタッフたち感謝したい」とスピーチした。プライムビデオ配信が2023年6月23日に開始されている。
(サンティアゴ・ロペス)
◎創案者賞
ダニエル・ブルマン 「Iosi, el espía arrepentido」
(『悔い改めたスパイ』シーズン2、8話)アルゼンチン
*二重スパイのイオシ・ぺレスの物語、プライムビデオ配信2023年10月27日。受賞者は『僕と未来とブエノスアイレス』の監督、脚本家、製作者。1994年のアルゼンチン・イスラエル相互協会ビル爆破事件を背景にしている。『安らかに眠れ』のセバスティアン・ボレンステインも監督の一人として参加している。
◎女優賞
ロラ・ドゥエニャス 「La Mesías」スペイン 創案者ロス・ハビス
*連戦連勝の受賞者です。
◎男優賞
アルフレッド・カストロ 「Los mil días de Allende」(全4話)
チリ、スペイン、アルゼンチン、監督ニコラス・アクーニャ
*チリ70年代、サルバドール・アジェンデ大統領(1970~73)を体現した演技で受賞した。残念ながら欠席、トロフィーは代理が受けとり、受賞者のスピーチ「20世紀のもっとも重要な政治家にして思想家アジェンデを演じることができたのは望外の喜びでした」をスマホで読み上げた。
(受賞者のメッセージを読み上げる)
◎助演女優賞
カルメン・マチ 「La Mesías」
◎助演男優賞
アンディ・チャンゴ 「El amor después del amor」(全8話)アルゼンチン、米国
創案者フアン・パブロ・コロジエ
*アルゼンチンのシンボリックなロックスター、フィト・パエスの人生を辿るドラマ、受賞者はチャーリー・ガルシアを演じた。Netflix配信の可能性あり。
(アルゼンチンでは「文化が抹殺されている」とスピーチした)
◎栄誉賞
セシリア・ロス
★プレゼンターのエンリケ・セレソからトロフィーを受けとり「私たちの映画に注意を払わねばなりません。何故なら常に危険にさらされていますから。イベロアメリカ共同体は一つになり、ある国に問題が生じれば助け合わなければなりません」とスピーチした。1956年ブエノスアイレス生れ、アルモドバルのミューズの一人、アルゼンチンとスペインの国籍を持つ女優。
*キャリア&フィルモグラフィーの主な紹介記事は、
(エンリケ・セレソからトフィーを受け取る受賞者)
第6回イベロアメリカ・プラチナ賞2019*結果発表 ― 2019年05月17日 15:59
予想通りアルフォンソ・キュアロンの『ROMA/ローマ』が大賞5冠を独占!
★開催したばかりのカンヌ映画祭はしばらくお休みして、去る5月12日に結果発表があった第6回イベロアメリカ・プラチナ賞授賞式のご報告。今回は偶数回なのでスペイン開催のはずですが、今回も昨年に引き続いてメキシコのカンクン近郊のリゾート地シカレ・リビエラ・マヤで行われました。気温が高く赤絨毯を踏んだシネアスト、セレブたちは汗ダクダクだったとか。総合司会は今回で2回目となるスペインのサンティアゴ・セグラとTVシリーズ女優賞を受賞したメキシコのセシリア・スアレスでした。
(総合司会者のセシリア・スアレスとサンティアゴ・セグラ)
★もう受賞作品はやる前から決まっていたようなもので、予想通りアルフォンソ・キュアロンの『ROMA/ローマ』が大賞5冠を独占し、サプライズ零%のガラ、作品賞・監督賞・脚本賞・撮影賞・録音賞の5カテゴリーです。メキシコ開催の授賞式でしたが、受賞が100%分かっていたにもかかわらず御大は姿を現しませんでした。どんな理由があったにせよ白けます。外野から「メキシコには住んでないよ」の声あり。2月にあった米アカデミー賞で外国語映画賞・監督賞・撮影賞の3冠を受賞していましたが、格が違うということでしょう。因みに外国語映画賞は来年から国際映画賞と名称が変わりますが、ルール変更はないそうです。
(第6回イベロアメリカ・プラチナ賞の受賞者一同)
*17カテゴリーの受賞作品・受賞者名は以下の通りです。
◎作品賞(フィクション)
「Roma」(『ROMA/ローマ』2018年12月14日よりNetflix配信)メキシコ
(製作者ガブリエラ・ロドリゲスと共同製作者ニコラス・セリス)
◎監督賞
アルフォンソ・キュアロン(『ROMA/ローマ』)
◎オペラ・プリマ初監督作品賞
「Las herederas」(『相続人』)パラグアイ、監督マルセロ・マルティネシ
(右端がマルセロ・マルティネシ監督)
◎女優賞
アナ・ブルン(『相続人』)
(喜びが爆発したアナ・ブルン)
◎男優賞
アントニオ・デ・ラ・トーレ (「El Reino」)スペイン、監督ロドリゴ・ソロゴジェン
◎脚本賞
アルフォンソ・キュアロン (『ROMA/ローマ』)
◎撮影賞
アルフォンソ・キュアロン (『ROMA/ローマ』)
◎編集賞
アルベルト・デ・カンポ (「El Reino」)
◎美術賞
アンヘリカ・ぺレア (「Pájaros de verano」『夏の鳥』)コロンビア、
監督クリスティナ・ガジェゴ&チロ・ゲーラ
◎オリジナル音楽賞
アルベルト・イグレシアス (「Yuli」)スペイン、監督イシアル・ボリャイン
◎録音賞
セルヒオ・ディアス、スキップ・リーヴセイ、ホセ・アントニオ・ガルシア、
クレイグ・ヘニガン(『ROMA/ローマ』)
(『ROMA/ローマ』のキャスト&スタッフ一同)
◎作品賞(アニメーション)
「Un día más con vida」(『アナザー・デイ・オブ・ライフ』)スペイン、
監督ラウル・デ・ラ・フエンテ&ダミアン・ネノウ
◎作品賞(ドキュメンタリー)
「El silencio de otros」スペイン、監督ロバート・バハル&アルムデナ・カラセド
◎価値あるシネマ教育プラチナ賞
「Campeones」スペイン、監督ハビエル・フェセル
◎TVミニシリーズ賞
「Arde Madrid」スペイン
(インマ・クエスタ、パコ・レオン、製作者アンナ・R・コスタ、アンナ・カスティーリョ)
◎TVシリーズ女優賞
セシリア・スアレス (「La casa de las flores」『ハウス・オブ・フラワーズ』
2018年8月10日よりNetflix 配信)メキシコ、ブラックコメディ、制作マノロ・カーロ
◎TVシリーズ男優賞
ディエゴ・ルナ (「Narcos: México」『ナルコス:メキシコ編』
2018年11月16日よりNetflix 配信)米国の犯罪ドラマ、製作総指揮カルロ・ベルナルド他
◎プラチナ栄誉賞
ラファエル(スペインのシンガーソングライター、俳優)
(喉もご披露したラファエル)
(左から、プラチナ賞ディレクターのエンリケ・セレソ、栄誉賞受賞者ラファエル、
総ディレクターのミゲル・アンヘル・ベンサル、アドリアン・ソラル)
★ざっと以上のようでした。第1回2014年(『グロリアの青春』)と2018年(『ナチュラルウーマン』)の受賞国チリ、2015年(『人生スイッチ』)と2017年(『笑う故郷』)の受賞国アルゼンチンは、ゼロ個と沈黙を強いられました。2016年はコロンビアの『彷徨う大河』、今回コロンビアは『夏の鳥』が美術賞を受賞して面目を施しました。昨年はメキシコ開催でしたがメキシコはゼロ個、今年はTVシリーズを含めると7個でした。録音賞のみがグループ受賞で、他はアルフォンソ・キュアロンの一人勝ちでした。
★スペインは作品賞を受賞したことはありませんが、今回は男優賞・オリジナル音楽賞・編集賞・ドキュメンタリー賞・アニメーション賞・価値あるシネマ教育プラチナ賞・TVシリーズ作品賞の7カテゴリー、さらにプラチナ栄誉賞をイベリア半島に運んできましたから、もう言うことなしです。
★『ROMA/ローマ』に限ったことではありませんが、Netflixや米国の制作会社の存在感はTVシリーズの受賞作品にみられるように顕著になってきました。映画祭のコンペティション部門にノミネートされたばかりなのに、映画祭が終わると1ヵ月もしないでお茶の間で見られる。その速さには実際驚きます。最初からNetflixオリジナル作品なら分かりますが。
第5回イベロアメリカ・プラチナ賞2018*結果発表 ― 2018年05月03日 09:33
大賞はセバスティアン・レリオの『ナチュラルウーマン』が独占しました!
★4月29日メキシコのカンクン近郊のリゾート地シカレ・リビエラ・マヤで、イベロアメリカ・プラチナ賞の結果発表がありました。本賞は奇数回がラテンアメリカ諸国、偶数回がスペイン各都市と持ち回りで開催されています。スペインが指導的役割を担っておりますが、ラテンアメリカ諸国の映画振興が目的の一つということもあって、受賞作品はそちらに流れる傾向があります。今回はメキシコがホスト国で、エウヘニオ・デルベスが総合進行役を務めました。栄誉賞はメキシコの大女優アドリアナ・バラサの手に渡りましたが、メキシコ映画は残念ながら振るいませんでした。大賞はチリの『ナチュラルウーマン』が独占、技術部門はアルゼンチンの『サマ』と、ほとんどをこの2国が制しました。主なカテゴリーの受賞者は以下の通り。
(TVシリーズは割愛、*当ブログ紹介作品)
*ノミネーション発表は、コチラ⇒2018年03月20日
(メキシコのマルチ・アーティスト、エウヘニオ・デルベス)
◎作品賞(フィクション部門)
La cordillera(「サミット」アルゼンチン、スペイン)*
La librería(スペイン)*
Ultimos días en La Habana(キューバ、スペイン)*
Una mujer fantástica(「ナチュラルウーマン」チリ、スペイン)*
Zama(「サマ」アルゼンチン、ブラジル、スペイン、メキシコ、ポルトガル)*
(中央トロフィーを手にしているのが製作者フアン・デ・ディオス・ラライン)
◎監督賞
アレックス・デ・ラ・イグレシア Perfectos desconocidos(スペイン)*
フェルナンド・ぺレス Ultimos días en La Habana(キューバ、スペイン)*
イサベル・コイシェ La librería(スペイン)*
ルクレシア・マルテル「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、スペイン、メキシコ、ポルトガル)*
セバスティアン・レリオ 「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)*
◎脚本賞
カルラ・シモン Verano 1993 「夏、1993」(スペイン)*
フェルナンド・ぺレス&アベル・ロドリゲス Ultimos días en La Habana(キューバ、西)*
イサベル・コイシェ La librería(スペイン)*
ルクレシア・マルテル 「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、西、メキシコ、ポルトガル)*
セバスティアン・レリオ&ゴンサロ・マサ 「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)*
◎オリジナル作曲賞
アルベルト・イグレシアス 「サミット」(監督サンティアゴ・ミトレ、アルゼンチン、西)*
アルフォンソ・ビラリョンガ La librería(スペイン)*
デルリスA. ゴンサレス Los buscadores(パラグアイ)
フアン・アントニオ・レイバ&マグダ・ロサ・ガルバン El techo(ニカラグア、キューバ)
プリニオ・プロフェタ O filme da minha vida(ブラジル)
◎男優賞
アルフレッド・カストロ Los perros(マルセラ・サイド、チリ、アルゼンチン、ポルトガル)*
ダニエル・ヒメネス・カチョ「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、西、メキシコ、ポルトガル)*
ハビエル・バルデム Loving Pablo(スペイン)*
ハビエル・グティエレス El autor(スペイン、メキシコ)*
ホルヘ・マルティネス Ultimos días en La Habana(キューバ、スペイン)*
◎女優賞
アントニア・セヘルス Los perros(チリ、アルゼンチン、ポルトガル)*
ダニエラ・ベガ 「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)*
エンマ・スアレス Las hijas de Abril(メキシコ)*
マリベル・ベルドゥ Abracadabra(スペイン)*
ソフィア・ガラ Alanis(アルゼンチン)
◎作品賞(アニメーション部門)
Deep(スペイン)
El libro de lila(コロンビア、ウルグアイ)
Historia antes de uma historia(ブラジル)
Lino-Uma aventura de sete vidas(ブラジル)
Tadeo Jones 2. El secretodel Rey Midas(監督エンリケ・ガト&ダビ・アロンソ、スペイン)
◎作品賞(ドキュメンタリー部門)
Dancing Beethoven(スペイン)
Ejercicios de memoria(パラグアイ、アルゼンチン)
El pacto de Adriana(チリ)
Los niños(チリ)
Muchos hijos, un mono y un castillo(監督グスタボ・サルメロン、スペイン)*
◎オペラ・プリマ初監督作品賞
El techo(ニカラグア、キューバ)
La defensa del dragón(コロンビア)*
La llamada(スペイン)*
La novia del desierto(アルゼンチン、チリ)*
Mala junta(チリ)
Verano 1993(監督カルラ・シモン、スペイン)*
◎編集賞
アナ・プファフ&ディダク・パロウ 「夏、1993」(スペイン)*
エティエンヌ・ボーザック La mujer del animal(コロンビア)*
ミゲル・シュアードフィンガー&カレン・ハーレー
「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、スペイン、メキシコ、ポルトガル)*
ロドルフォ・バロス Ultimos días en La Habana(キューバ、スペイン)*
ソレダード・サルファテ 「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)*
◎美術賞
エステファニア・ラライン「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)*
ミケル・セラーノ Handia*
モニカ・ベルヌイ 「夏、1993」(スペイン)*
レナタ・ピネイロ 「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、スペイン、メキシコ、ポルトガル)*
セバスティアン・オルガンビデ&ミカエラSaiegh 「サミット」(アルゼンチン、スペイン)*
◎撮影賞
ベンハミン・エチャサレッタ 「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)*
ハビエル・フリア 「サミット」(アルゼンチン、スペイン)*
ラウル・ペレス・ウレタ Ultimos días en La Habana(キューバ、スペイン)*
ルイ・ポサス 「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、スペイン、メキシコ、ポルトガル)*
サンティアゴ・ラカ 「夏、1993」(スペイン)*
*ルイ・ポサス欠席のためブラジル側の製作者バニア・カタニが受け取った(下の写真参照)。
◎録音賞
アイトル・ベレングエラ、ガブリエル・グティエレス、ニコラス・デ・ポウルピケ
Verónica(「エクリプス」スペイン)
グイド・ベレンブルム 「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、西、メキシコ、ポルトガル)*
セルヒオ・ブルマン、ダビ・ロドリゲス、ニコラス・デ・ポウルピケ
El bar(「クローズド・バル~街角の狙撃手と8人の標的」スペイン、アルゼンチン)*
Sheyla Pool Ultimos días en La Habana(キューバ、スペイン)*
ティナ・Laschke 「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)*
(左から、各自トロフィーを手にしたソレダード・サルファテ、グイド・ベレンブルム、
バニア・カタニ、レナータ・ピネイロ)
◎価値ある教育シネマ賞
Como nossos pais ブラジル
Handia (監督アイトル・アレギ&ジョン・ガラーニョ)スペイン*
La mujer del animal コロンビア*
Mala junta チリ
Una mujer fantástica「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)*
◎イベロアメリカ・プラチナ栄誉賞
★アドリアナ・バラサ(日本ではバラッザと表記)Adriana Barrza、1956年メキシコ州トルーカ生れ62歳、女優、監督、製作者。イベロアメリカ映画の若い世代にとっては師であり道しるべ的存在である。サム・ライミのスリラー・ホラー『スペル』(09)の霊能者役から、アレハンドロ・ゴンサロ・イニャリトゥの『アモーレス・ぺロス』(99)、続いて『バベル』(06)に出演、本作でアカデミー賞とゴールデン・グローブ賞助演女優賞にノミネートされたほか、ゴッサム賞「アンサンブル・パフォーマンス賞」に共演のブラッド・ピットやケイト・ブランシェット、G.G.ベルナルなどと受賞した。142分という長い疲れる映画でしたが大ヒットした。他の公開作品ではケネス・ブラナーが実写映画化した『マイティ・ソー』(11)、パトリシア・リヘンの『チリ33人、希望の軌跡』(15)に脇役で出演している。
(『バベル』の第2部アメリカ・メキシコ編で家政婦アメリアを演じた)
★監督としてはTVシリーズのテレノベラを多く手掛けている。他に演劇では、『マクベス』のような古典劇の編集も手掛け、2011年には夫君であるブエノスアイレス出身の俳優、監督、プロデューサーArnaldo Pipkeと「アドリアナ・バラサ・アクティング・スタジオ」という俳優養成学校を米国で設立したほか、「アドリアナ・バラサ・ブラック・ボックス」というヒスパニック演劇フェスティバルが開催できる演劇空間をマイアミに設立している。夫君はメキシコ、マイアミ、ブエノスアイレスで幅広く活躍している。
(栄誉賞のトロフィーを手にしたアドリアナ・バラサ、4月29日)
第5回イベロアメリカ・プラチナ賞2018*ノミネーション発表 ― 2018年03月20日 14:23
『ナチュラルウーマン』最多の9部門ノミネーション
★第5回イベロアメリカ・プラチナ賞のガラが、昨年の7月から4月に前倒しになったせいか、ノミネーション発表も2月下旬と早まりました。目下、ガラはラテンアメリカ諸国とスペインとで交互に開催されています。パナマ、スペインのマルベージャ、ウルグアイのプンタ・デル・エステ、マドリード、今回はメキシコのカンクン近郊のリゾート地シカレ・リビエラ・マヤ(グラン・ティラッコ劇場Teatro Gran Tlachco de Xcaret 1800人収容)で4月29日です。総合進行役はメキシコの俳優・監督・製作者・脚本家と多才なエウヘニオ・デルベス、彼は第1回プラチナ賞男優賞の受賞者です。
*第1回イベロアメリカ・プラチナ賞授賞式の記事は、コチラ⇒2014年4月17日
★映画賞は過去の作品に贈られる賞だから受賞結果だけでもと思いつつ、まだ5回目という歴史の浅い映画賞、イベロアメリカ諸国以外では話題にならないことも考慮して、やはりアップしておくことにしました。開催時期が3月から4月になった第21回マラガ映画祭(4月13日~22日)の各賞発表が五月雨式にアップされています。ギレルモ・デル・トロのマラガ賞受賞を手始めに、そろそろ紹介していく予定です。第71回カンヌ映画祭(5月8日~19日)も未だ発表になっておりません。今回の審査委員長は女性と予想しておりましたが、ケイト・ブランシェットに決定したようです。スペイン語映画がノミネートされるようでしたら記事にしたい。
★主なカテゴリー
(製作国はイベロアメリカ諸国限定。「」は公開または映画祭上映時の邦題 *当ブログ紹介)
◎作品賞(フィクション部門)
La cordillera(「サミット」アルゼンチン、スペイン)*
La librería(スペイン)*
Ultimos días en La Habana(キューバ、スペイン)*
Una mujer fantástica(「ナチュラルウーマン」チリ、スペイン)*
Zama(「サマ」アルゼンチン、ブラジル、スペイン、メキシコ、ポルトガル)*
◎監督賞
アレックス・デ・ラ・イグレシア Perfectos desconocidos(スペイン)*
フェルナンド・ぺレス Ultimos días en La Habana(キューバ、スペイン)*
イサベル・コイシェ La librería(スペイン)*
ルクレシア・マルテル 「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、西、メキシコ、ポルトガル)*
セバスティアン・レリオ 「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)*
◎脚本賞
カルラ・シモン Verano 1993 「夏、1993」(スペイン)*
フェルナンド・ぺレス&アベル・ロドリゲス Ultimos días en La Habana(キューバ、西)*
イサベル・コイシェ La librería(スペイン)*
ルクレシア・マルテル 「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、西、メキシコ、ポルトガル)*
セバスティアン・レリオ&ゴンサロ・マサ 「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)*
◎オリジナル作曲賞
アルベルト・イグレシアス 「サミット」(アルゼンチン、スペイン)*
アルフォンソ・ビラリョンガ La librería(スペイン)*
デルリスA. ゴンサレス Los buscadores(パラグアイ)
フアン・アントニオ・レイバ&マグダ・ロサ・ガルバン El techo(ニカラグア、キューバ)
プリニオ・プロフェタ O filme da minha vida(ブラジル)
◎男優賞
アルフレッド・カストロ Los perros(チリ、アルゼンチン、ポルトガル)*
ダニエル・ヒメネス・カチョ「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、西、メキシコ、ポルトガル)*
ハビエル・バルデム Loving Pablo(スペイン)*
ハビエル・グティエレス El autor(スペイン、メキシコ)*
ホルヘ・マルティネス Ultimos días en La Habana(キューバ、スペイン)*
◎女優賞
アントニア・セヘルス Los perros(チリ、アルゼンチン、ポルトガル)*
ダニエラ・ベガ 「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)*
エンマ・スアレス Las hijas de Abril(メキシコ)*
マリベル・ベルドゥ Abracadabra(スペイン)*
ソフィア・ガラ Alanis(アルゼンチン)
◎作品賞(アニメーション部門)
Deep(スペイン)
El libro de lila(コロンビア、ウルグアイ)
Historia antes de uma historia(ブラジル)
Lino-Uma aventura de sete vidas(ブラジル)
Tadeo Jones 2. El secretodel Rey Midas(スペイン)
「Lino-Uma aventura de sete vidas」
◎作品賞(ドキュメンタリー部門)
Dancing Beethoven(スペイン)
Ejercicios de memoria(パラグアイ、アルゼンチン)
El pacto de Adriana(チリ)
Los niños(チリ)
Muchos hijos, un mono y un castillo(スペイン)*
「Muchos hijos, un mono y un castillo」
◎オペラ・プリマ初監督作品賞
El techo(ニカラグア、キューバ)
La defensa del dragón(コロンビア)*
La llamada(スペイン)*
La novia del desierto(アルゼンチン、チリ)*
Mala junta(チリ)
Verano 1993(スペイン)*
◎編集賞
アナ・プファフ&ディダク・パロウ 「夏、1993」(スペイン)*
エティエンヌ・ボーザック La mujer del animal(コロンビア)*
ミゲル・シュアードフィンガー&カレン・ハーレー
「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、スペイン、メキシコ、ポルトガル)*
ロドルフォ・バロス Ultimos días en La Habana(キューバ、スペイン)*
ソレダード・サルファテ 「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)*
◎美術賞
エステファニア・ラライン「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)*
ミケル・セラーノ Handia*
モニカ・ベルヌイ 「夏、1993」(スペイン)*
レナタ・ピネイロ 「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、スペイン、メキシコ、ポルトガル)*
セバスティアン・オルガンビデ&ミカエラ Saiegh 「サミット」(アルゼンチン、スペイン)*
◎撮影賞
ベンハミン・エチャサレッタ 「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)*
ハビエル・フリア 「サミット」(アルゼンチン、スペイン)*
ラウル・ペレス・ウレタ Ultimos días en La Habana(キューバ、スペイン)*
ルイ・ポサス 「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、スペイン、メキシコ、ポルトガル)*
サンティアゴ・ラカ 「夏、1993」(スペイン)*
◎録音賞
アイトル・ベレングエラ、ガブリエル・グティエレス、ニコラス・デ・ポウルピケ
Verónica(「エクリプス」スペイン)
グイド・ベレンブルム 「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、西、メキシコ、ポルトガル)*
セルヒオ・ブルマン、ダビ・ロドリゲス、ニコラス・デ・ポウルピケ
El bar(「クローズド・バル~街角の狙撃手と8人の標的」スペイン、アルゼンチン)*
Sheyla Pool Ultimos días en La Habana(キューバ、スペイン)*
ティナ・Laschke 「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)*
◎価値ある教育シネマ賞
Como nossos pais ブラジル
Handia スペイン*
La mujer del animal コロンビア*
Mala junta チリ
Una mujer fantástica 「ナチュラルウーマン」チリ、スペイン*
*テレビ・シリーズのノミネーションは割愛、受賞作品はアップします。
*掲載写真は各国から適当に選んだものです。
★ざっと眺めただけで単独合作含めてスペインのノミネーションが多い。作品・監督・脚本賞のいずれにも顔を出している。ドキュメンタリーやアニメーションを合計すると20作ぐらいになるか。メキシコが開催国だがいささか寂しい印象です。メキシコ、ブラジル、チリなど除くと、ラテンアメリカ諸国は1国だけで製作するのは難しいことが分かります。少しはマシなスペインの資金提供となる。
★今回の参加国は23ヵ国だそうですが(ノミネーションを受けた国は11ヵ国)、ゴヤ賞2018イベロアメリカ映画賞にノミネートさえされなかったフェルナンド・ぺレスの「Ultimos días en La Habana」が、7カテゴリーでノミネートされている。悪くはなかったが、個人的には少し奇異な印象をもちました。
アルモドバルとスペイン市民戦争*プラチナ賞2017授賞式 ― 2017年07月28日 10:05
スペイン内戦の失踪者家族に捧げられたアルモドバルの受賞スピーチ
★プラチナ賞2017監督賞を受賞したペドロ・アルモドバルの受賞スピーチの続きです。監督はトロフィーを「戦争中に失踪した人を今もって探し続けている何千何万という家族へ」捧げたという献辞の真意について簡単に説明したい。スペインは第二次世界大戦には参戦していませんから、戦争と言えばスペイン内戦(1936~39)を指します。ざっと80年前の戦争です。プレス会見でアルモドバルは、「受賞作『ジュリエッタ』は、失踪した娘アンティアが母親に残した痛みについての物語」と語った。18歳になった娘の失踪の理由が理解できず、ずっと苦しみ続ける母親の話です。かつては夫の過去が許せず家を出た自分と娘をダブらせる話。失踪には死の臭いがただよう。「内戦の失踪者とタイプは異なるが、スペインでは失踪者を探し続ける家族は多い。自分の受賞スピーチは政治的な意味合いはなく、あくまでも人間的な要請から発せられたもの」と強調したようです。
(受賞スピーチをするアルモドバル、マドリードのカハ・マヒカにて、7月22日)
★「ついこの間も、80年間閉められていた墓を掘り出したら、傷痕が幾つもある遺体が発見されたというニュースに接した」ことをあげ、内戦が終わっていない家族の存在を語った。「失踪者に関するテーマで映画を撮りたいと考えているが、相応しい脚本がまだ完成していない。それで生死が分からないとか、失踪者のいる家族に接触して取材している。スペインではこのテーマはとても重要だと考えている」とも。スペインにとどまらず、隣国ポルトガルは言うに及ばず、アルゼンチン、チリ、ドミニカ共和国、キューバ、パラグアイ、ペルーなど中南米諸国で軍事独裁を経験しなかった国はないのではないでしょうか。コロンビアやメキシコのように麻薬がらみの失踪者が現在も進行中のイベロアメリカ諸国が一堂に会したフェスティバルであってみれば、あながち唐突なスピーチでもなかったかもしれない。
コミュニスト詩人マルコス・アナの回想録の映画化が実現する?
★アルモドバルは、詩人マルコス・アナの回想録 ”Decidme cómo es un árbol. Memoria de la prisión y la vida” (バルセロナUmbriel 2007刊)の映画化権を2008年に取得している。当時スペインのランサローテ島で暮らしていたジョゼ・サラマーゴの序文が付いている。ポルトガルに初のノーベル文学賞をもたらした作家。どうやらこれと関係しているようです。まずマルコス・アナ(サラマンカ1920~マドリード2016)の紹介から。フェルナンド・マカロ・カスティーリョが本名だが、父親からとったペンネームのマルコス・アナで知られている詩人で作家。内戦終結後の1939年に19歳で逮捕された。容疑は内戦初期の1936年に司祭以下3人殺害の罪。本人は無実を主張したが、第一級殺人罪で死刑宣告、その後禁固30年に減刑され政治犯が収容される刑務所に収監されていた。1961年、設立されたばかりのNGOアムネスティ・インターナショナル、ラファエル・アルベルティやパブロ・ネルーダなどの海外の著名人の尽力によって自由の身になった。この獄中23年間を含む回想録が上記の本である。サラマーゴ、アルベルティ、ネルーダの3人は共にコミュニストでした。
(回想録とマルコス・アナ)
★アルモドバルは、『抱擁のかけら』完成後に、計画中の映画4本ほどを挙げていた。その中にマルコス・アナの回想録の映画化も入っていた。しかし2年おきに新作を発表しているのに一向に具体化せず、もう中止したのかと思っていました。というのも詩人も鬼籍入りしたことだし、冤罪ではないというフランコ支持者も多くいるなかで、映画化は難しいのではないかと考えていたからです。当時アルモドバルは「1939年に出所してからの詩人を描くことから始めたい」とインタビューに答えていた。詩人がアルモドバルに、「自由の身になってマドリードに放り出されたとき、私は42歳の幼児だった。痛みは肉体的なものより精神的なほうが辛かった。長いあいだ暗くて狭い空間に閉じ込められていたので広場恐怖症になり、灯りが怖く、車に乗ると酔って嘔吐した。同じように若い女性たちの存在にも慣れることができず、子供のようなリアクションをした」と告白していたそうです。
(アルモドバルとマルコス・アナ、2014年3月28日)
★映画化が決まったわけではありませんが、詩人のプロフィールを簡単に補足すると、父親は貧しい日雇い労働者、4人姉弟の末っ子としてサラマンカで生まれた。家計を助けるため12歳か13歳で店員として働き始めたから、日本でいう義務教育を最後まで受けられなかった。16歳で共産党に入党、1936年4月に結成された統一社会主義青年JSU(1936~61)というスペインの共産主義青年同盟に加入している。内戦が始まると前線で戦い、内戦終結後の1939年に19歳で逮捕されたのは、上記の通りです。
(フェルナンド・マカロ・カスティーリョ青年)
(ラファエル・アルベルティとマルコス・アナ)
★刑務所内の巡回図書でスペインの古典、ケベド、ロペ・デ・ベガ、カルデロンなどに触れ、1950年代には禁書だったラファエル・アルベルティ(当時亡命)やミゲル・エルナンデス(1942年肺結核で獄死)、ガルシア・ロルカ(1939年射殺)などを、反フランコの地下組織を通じて入手して読んでいた。獄中で書き始めた詩は海外で出版され、スペイン国内より外国での知名度が高かった。それが釈放に繋がったようです。1961年釈放後はパリに脱出、スペインに戻ったのはフランコ死後の1976年である。2009年12月、社会労働党のサパテロ政府からゴールド・メダルを授与されたが、勿論フランコ支持者からは非難の矢が飛んだ。翌2010年、フランスの法学者ルネ・カサン(1968年ノーベル平和賞)の功績を讃える「ルネ・カサン人権賞」を受賞した。2016年11月24日、合併症のため96歳で死去、谷あり山ありの波瀾万丈な一生でした。
(バスク自治政府パチ・ロペス首相からルネ・カサン人権賞を受け取るマルコス・アナ)
★映画化がされるなら、元スパイのフランシスコ・パエサのビオピックを描いたアルベルト・ロドリゲスの『スモーク・アンド・ミラーズ』のように面白くなりそうですが、どんな切り口にしろ物議をかもすのは目に見えています。今は取りあえずお蔵入りしたわけでないことを喜びたい。
*ガルシア・ロルカの死に関する記事は、コチラ⇒2015年9月11日
第4回イベロアメリカ・プラチナ賞2017*結果発表 ― 2017年07月25日 18:36
作品賞は『笑う故郷』、アルモドバルが『ジュリエッタ』で監督賞!
★ノミネーション発表(5月31日)から大分時間が空いて気が抜けてしまっていた授賞式が、去る7月22日にマドリードのカハ・マヒカで開催されました。作品賞は予想通り、本作はラテンビート上映時の邦題『名誉市民』が『笑う故郷』と笑えないタイトルになって公開されます。監督賞はJ.A.バヨナかアルモドバルか迷いましたが、後者に軍配が上がりました。当夜いちばん光が当たった人がアルモドバルでした。彼の授賞式参加は初めて、つまりガラでの発言は皆無でした。「この受賞を市民戦争中に行方不明になった家族を探し続けている人々に」捧げるとスピーチした。えっ『ジュリエッタ』ってそんな映画でした? これにはかなり説明が必要なので別にアップいたします。というのもフランコ時代に無実の罪で23年間服役していた詩人マルコス・アナ(1920~2016)の回想録の映画化と関係があるからです(アルモドバルはこの回想録の映画化権を持っている)。いずれアップします。
★ドラマ部門の女優賞はブラジルのソニア・ブラガ、本作で第3回イベロアメリカ・フェニックス賞でも女優賞を受賞している。なお彼女は第1回プラチナ賞の栄誉賞受賞者でもありました。観客賞部門の女優賞ナタリア・オレイロは、ウルグアイ出身であるが主にアルゼンチンで活躍している。前回ウルグアイで開催された第3回ではサンティアゴ・セグラと総合司会者を務めました。ということで今回はベテラン女優が気を吐きました。男優賞のオスカル・マルティネスについてはもう書きすぎました。
作品賞(ドラマ部門)
「Aquarius アクエリアス」(ブラジル)監督:クレベール・メンドンサ・フィリオ
◎『笑う故郷』(アルゼンチン、スペイン)監督:ガストン・ドゥプラット&マリアノ・コーン
『スモーク・アンド・ミラーズ』(スペイン)監督:アルベルト・ロドリゲス
『ジュリエッタ』(スペイン)監督:ペドロ・アルモドバル
「ネルーダ」(チリ・アルゼンチン・スペイン)監督:パブロ・ラライン
(左から、アンドレス・ドゥプラット、ガストン・ドゥプラット、オスカル・マルティネス、
マリアノ・コーン、受賞者一同)
監督賞
フアン・アントニオ・バヨナ『怪物はささやく』(スペイン)
クレベール・メンドンサ・フィリオ「Aquarius」(ブラジル)
ガストン・ドゥプラット&マリアノ・コーン『名誉市民』(アルゼンチン・スペイン)
パブロ・ラライン「ネルーダ」(チリ・アルゼンチン・スペイン)
◎ペドロ・アルモドバル『ジュリエッタ』(スペイン)
脚本賞
アルベルト・ロドリゲス&ラファエル・コボス『スモーク・アンド・ミラーズ』(スペイン)
◎アンドレス・ドゥプラット『笑う故郷』(アルゼンチン、スペイン)
セルソ・ガルシア「La delgada línea amarilla」(メキシコ)
ギジェルモ・カルデロン「ネルーダ」(チリ・アルゼンチン・スペイン)
パベル・ヒロウド&アレハンドロ・ブルゲス他「El acompañante」
(キューバ、ベネズエラ、コロンビア)
女優賞
アンジー・セペダ「La semilla del silencio」(コロンビア)
エンマ・スアレス『ジュリエッタ』(スペイン)
フアナ・アコスタ「Anna」(コロンビア・フランス)ジャックToulemondeビダル監督
ナタリア・オレイロ「Gilda, no me arrepiento de este amor」(アルゼンチン)
ロレナ・ムニョス監督
◎ソニア・ブラガ「Aquarius」(ブラジル)
男優賞
アルフレッド・カストロ『彼方から』(ベネズエラ、チリ)
ダミアン・カサレス「La delgada línea amarilla」(メキシコ)
エドゥアルド・フェルナンデス『スモーク・アンド・ミラーズ』(スペイン)
ルイス・ニェッコ「ネルーダ」(チリ・アルゼンチン・スペイン)
◎オスカル・マルティネス『笑う故郷』(アルゼンチン、スペイン)
オペラ・プリマ(第1回監督作品、ドラマ部門)
◎『彼方から』(ベネズエラ、チリ)ロレンソ・ビガス
「La delgada línea amarilla」(メキシコ)セルソ・ガルシア
「Rara」(アルゼンチン、チリ)ペパ・サン・マルティン
「Viejo calavera」(ボリビア)キロ・ルッソ
『物静かな男の復讐』(スペイン)ラウル・アレバロ
音楽賞
◎アルベルト・イグレシアス『ジュリエッタ』
ゴヤ賞の胸像を10個、オスカー賞ノミネーション3回、今回プラチナ賞をゲットして、トロフィーのコレクター。アルモドバル作品を一手に引き受けている。
美術賞
◎エウヘニオ・カバジェロ『怪物はささやく』
撮影賞
◎オスカル・ファウラ『怪物はささやく』
編集賞
◎Bernat Vinapiana / Jaune Marti『怪物はささやく』
録音賞
◎Peter Glossop / Marc Orts / オリオル・タラゴ『怪物はささやく』
『怪物はささやく』は言語が英語のため、作品賞から外されました。興行的にはナンバーワンの功労者でしたが残念でした。バヨナ自身は監督賞を逃しましたが、技術部門4個を制しました。
ミニシリーズ&テレビシリーズ賞
◎“Cuatro estaciones en La Habana”(西、キューバ)監督:フェリックス・ビスカレット
キューバの推理作家レオナルド・パドゥラのマリオ・コンデ警部補が活躍する「四季シリーズ」がベースになっている。
ドキュメンタリー賞
◎“2016, Nacido en Siria”(スペイン)監督:エルナン・シン
現在ヨーロッパで起きている、各政府が目を背けている証言で綴られている。よりよい生活を求めて旅を続けるシリアの子供たち20人と14か月間、監督は行を共にして作ったドキュメンタリー。
アニメーション賞
◎“Psiconautas, los niños olvidados ”(スペイン)監督:アルベルト・バスケス&ペドロ・リベロ
意義のある教育賞
◎“Esteban”(キューバ、スペイン)
作品賞(観客賞部門)
◎『笑う故郷』(アルゼンチン、スペイン)
女優賞(観客賞部門)
◎ナタリア・オレイロ ”Gilda, no me arrepiento de esta amor”
男優賞(観客賞部門)
◎オスカル・マルティネス(『笑う故郷』)
ポスター賞(観客賞部門)
◎『ジュリエッタ』アルモドバル
◎プラチナ栄誉賞
エドワード・ジェームズ・オルモス
EGEDA会長エンリケ・セレソがプレゼンターでした。1947年ロサンゼルス生れのメキシコ系アメリカ人俳優。スペインUSA合作『ロルカ、暗殺の丘』(1997、監督マルコス・スリナガ)、代表作は『ブレードランナー』、TVドラマ『特捜刑事マイアミ・バイス』(1984~89)のマーティン・キャステロ主任警部役がもっとも有名でしょうか。本作で1985年にゴールデングローブ賞、エミー賞を受賞している。5月31日にロスで開催されたノミネーション発表会のプレゼンターを務めていた。
★記者会見では「時差ボケで睡眠がとれずくたくたです。・・・国ではラテン芸術の理解に奮闘しています。彼らは私たちラテン系に恐怖をもっているのです」と、今や国民の20パーセントを占めるに至ったヒスパニック系アメリカ人に対する差別が増加していると語っていた。トランプが演出する反オバマ政策を支持する一部の人々が存在していること、そういう米国人はアフロ系大統領には我慢できなかった。「しかし私はオプティミストです」と希望も語っていた。
★第5回イベロアメリカ・プラチナ賞2018はラテンアメリカに戻って、メキシコのリビエラ・マヤで、4月開催がアナウンスされました。有名なリゾート地カンクンより南へ車で90分ほどにある、外国人セレブに人気のあるリゾート地です。
*第4回イベロアメリカ・プラチナ賞ノミネーション発表の記事は、コチラ⇒2017年6月5日
第4回イベロアメリカ・プラチナ賞2017*ノミネーション発表 ― 2017年06月05日 14:31
「オスカーに匹敵する」賞とケイト・デル・カスティージョがノミネーション発表
★先月31日(水)、ハリウッド映画の中心地ロスアンゼルス(ビバリーヒルトン・ホテル)でイベロアメリカ・プラチナ賞2017のノミネーション発表がありました。ビバリーヒルトンは、例年オスカー賞候補者の昼食会やゴールデン・グローブ賞のガラが開催されるホテル、それでケイト・デル・カスティージョの開会の辞が「オスカーに匹敵する」云々になったようです。デル・カスティージョ(女優1969メキシコ・シティ、現ロス在住)、その他、エドワード・ジェームズ・オルモス(俳優1947ロス)、アンジー・セペダ(女優1974カルタヘナ、現マドリード在住)、ミゲル・アンヘル・シルベストレ(俳優1982カステジョン)の4人(写真中央はCNNの司会者フアン・カルロス・アルシニエガス)が各カテゴリーのノミネーション発表を行った。今年の授賞式会場は、7月22日(土)、マドリードの屋内競技場カハ・マヒカCaja Mágicaで開催される。ここは2020年のオリンピック誘致ではテニス会場になるはずだった。スポーツだけでなく音楽祭なども開催されている。
(左から、エドワード・ジェームズ・オルモス、ケイト・デル・カスティージョ、一人置いて
アンジー・セペダ、ミゲル・アンヘル・シルベストレ)
★最多ノミネーションは、フアン・アントニオ・バヨナの『怪物はささやく』の7個(監督・美術・録音・撮影・編集・オリジナル音楽・価値ある映画と教育)、ただしメインの作品賞には、オリジナル版が英語作品だったため、「言語はスペイン語・ポルトガル語」という条件を満たせず該当外となった。続くパブロ・ララインの「ネルーダ」が5個(2017秋公開が予定されているが、邦題は未定)、ロレンソ・ビガスの『彼方から』、ガストン・ドゥプラット&マリアノ・コーンの『名誉市民』、アルモドバルの『ジュリエッタ』、アルベルト・ロドリゲスの『スモーク・アンド・ミラーズ』、セルソ・ガルシアの「La delgada línea amarilla」の4個でした。当ブログではセルソ・ガルシア作品以外は既にアップ済み。なお写真掲載は1カテゴリー1個に絞った。
(最多ノミネーション7個の『怪物はささやく』)
主要カテゴリーのノミネーション
◎作品賞(ドラマ部門)
「Aquarius」(ブラジル)クレベール・メンドンサ・フィリオ監督
『名誉市民』(アルゼンチン・スペイン)ガストン・ドゥプラット&マリアノ・コーン監督
『スモーク・アンド・ミラーズ』(スペイン)アルベルト・ロドリゲス監督
『ジュリエッタ』(スペイン)ペドロ・アルモドバル監督
「ネルーダ」(チリ・アルゼンチン・スペイン)パブロ・ラライン監督
◎監督賞
フアン・アントニオ・バヨナ『怪物はささやく』(スペイン)
クレベール・メンドンサ・フィリオ「Aquarius」(ブラジル)
ガストン・ドゥプラット&マリアノ・コーン『名誉市民』(アルゼンチン・スペイン)
パブロ・ラライン「ネルーダ」(チリ・アルゼンチン・スペイン)
ペドロ・アルモドバル『ジュリエッタ』(スペイン)
◎脚本賞
アルベルト・ロドリゲス&ラファエル・コボス『スモーク・アンド・ミラーズ』(スペイン)
アンドレス・ドゥプラット『名誉市民』(アルゼンチン、スペイン)
セルソ・ガルシア「La delgada línea amarilla」(メキシコ)
ギジェルモ・カルデロン「ネルーダ」(チリ・アルゼンチン・スペイン)
パベル・ヒロウド&アレハンドロ・ブルゲス他「El acompañante」(キューバ、ベネズエラ、
コロンビア)
◎女優賞
アンジー・セペダ「La semilla del silencio」(コロンビア)
エンマ・スアレス『ジュリエッタ』(スペイン)
フアナ・アコスタ「Anna」(コロンビア・フランス)ジャック・トゥールモンド・ビダル監督
ナタリア・オレイロ「Gilda, no me arrepiento de este amor」(アルゼンチン)
ロレナ・ムニョス監督
ソニア・ブラガ「Aquarius」(ブラジル)
◎男優賞
アルフレッド・カストロ『彼方から』(ベネズエラ、チリ)
ダミアン・カサレス「La delgada línea amarilla」(メキシコ)
エドゥアルド・フェルナンデス『スモーク・アンド・ミラーズ』(スペイン)
ルイス・ニェッコ「ネルーダ」(チリ・アルゼンチン・スペイン)
オスカル・マルティネス『名誉市民』(アルゼンチン、スペイン)
◎オペラ・プリマ(第1回監督作品、ドラマ部門)
『彼方から』(ベネズエラ、チリ)ロレンソ・ビガス
「La delgada línea amarilla」(メキシコ)セルソ・ガルシア
「Rara」(アルゼンチン、チリ)ペパ・サン・マルティン
「Viejo calavera」(ボリビア)キロ・ルッソ
『物静かな男の復讐』(スペイン)ラウル・アレバロ
(ペパ・サン・マルティンの「Rara」)
★女優賞ノミネートのナタリア・オレイロは、ウルグアイで開催された第3回目の総合司会者、ウルグアイ出身ですが主にアルゼンチンで活躍している(『ワコルダ』)。「Gilda, no me arrepiento de este amor」は1996年交通事故死したアルゼンチンの歌姫ヒルダのビオピック。ソニア・ブラガは第1回プラチナ賞2014の栄誉賞受賞者、「Aquarius」はカンヌ映画祭2016正式出品を皮切りに世界各地の映画祭巡りをした。アンジー・セペダは、今回ノミネーション発表をしたコロンビア出身の女優だが、本拠地をマドリードに移している。ノミネーション発表をした先輩ケイト・デル・カスティージョとは親友同士だそうです。フアナ・アコスタが出演した「Anna」(西語・仏語)は、ゴヤ賞2017のイベロアメリカ映画部門にノミネートされた。2015年製作とやや古い。フアナ・アコスタはエルネスト・アルテリオと結婚、スペイン映画出演も多く、当ブログ登場も多いほうか。エンマ・スアレス他、男優賞ノミネートの紹介は不要ですね。
★その他のカテゴリーとして、オリジナル音楽、撮影、美術、録音、ドキュメンタリー、アニメーション、シリーズのテレビドラマその他がありますが割愛、受賞結果はアップいたします。
◎EGEDA (Entidad de Gestión de Derechos de los Productores Audiovisuales) とFIPCA(Federación Iberoamericana de Productores Cinematográficos y Audiovisuales) が主催します。いわゆる視聴覚製作に携わる人々の権利を守るための管理交渉団体です。EGEDAは1990年創設、活動は1993年から。スペイン、チリ、コロンビア、US、ペルー、ウルグアイ他などが参加しております。
第3回イベロアメリカ・プラチナ賞2016*結果発表 ― 2016年07月31日 17:03
『大河の抱擁』のモノクロ映像美の前にひれ伏した授賞式でした
★ベロアメリカ・プラチナ賞授賞式がウルグアイのプンタ・デル・エステで開催されました(7月24日)。「梅雨が明けたらプラチナ賞の結果発表」と思っていたのに忘れていました。梅雨明けが遅かったせいです(笑)。コロンビアのチロ・ゲーラの『大河の抱擁』が7賞とほぼ独占状態でした。もう少しバラけるかと予想しておりましたが、今回も前回同様1作品に集中する結果になりました(前回は『人生スイッチ』の8賞)。スペインはもともとノミネーションが少ないこともあってアニメーション賞だけでした。
★総合司会はサンティアゴ・セグラとアルゼンチンで活躍しているウルグアイのナタリア・オレイロ、ガラの総指揮ガラはアダル・ラモネス、ケーブルテレビを介して生中継の責任者を担いました。スペインからは候補者以外、プレゼンター役に選ばれているナタリア・デ・モリーナ、ゴヤ・トレド、エドゥアルド・ノリエガ、ウーゴ・シルバ、ペポン・ニエトなど若手も応援に馳せつけました。グアテマラからは、ハイロ・ブスタマンテの『火の山のマリア』がノミネートされていたせいか、ノーベル平和賞受賞者リゴベルタ・メンチュウが小柄な体に美しい民族衣装を纏って登壇、基本的人権の闘いを力強く呼びかけました。今ではスペイン語話者は23カ国で6億人に上るという。英語で撮る監督が増えたとはいえ、スペイン語映画の今後の躍進を祈りたい。
(左から、ナタリア・オレイロ、サンティアゴ・セグラ、アダル・ラモネス)
★各カテゴリーのノミネーションと結果(邦題『』は公開・映画祭上映作品、「」は仮題)
作品賞
◎"El Abrazo de la Serpiente" 『大河の抱擁』コロンビア、ベネズエラ、アルゼンチン
"El Clan" 「ザ・クラン」 アルゼンチン、スペイン
"El club" 『ザ・クラブ』 チリ
"Ixcanul" 『火の山のマリア』 グアテマラ
"Truman" 「トルーマン」 スペイン、アルゼンチン
(ガラに勢揃いした『大河の抱擁』のスタッフとキャストたち)
*アマゾン河沿いの村に暮らすコロンビア先住民たちが自然と対峙する姿が美しいモノクロ映像で語られた(ダビ・ガジェゴが撮影賞を受賞した)。その生き生きした、現代とは異なった哲学が受賞の決め手になったのではないでしょうか。
*作品紹介記事は、コチラ⇒2015年5月24日
監督賞
アロンソ・ルイスパラシオス Alonso Ruizpalacios "Güeros"『グエロス』(メキシコ)
セスク・ゲイ Cesc Gay 「トルーマン」
◎チロ・ゲーラ Ciro Guerra 『大河の抱擁』
パブロ・ララインPablo Larraín 『ザ・クラブ』
パブロ・トラペロ Pablo Trapero 「ザ・クラン」
(チロ・ゲーラ)
男優賞
アルフレッド・カストロAlfredo Castro 『ザ・クラブ』
ダミアン・アルカサルDamián Alcázar "Magallanes"(ペルー、アルゼンチン・コロンビア・西)監督:サルバドル・デル・ソラル
◎ギジェルモ・フランセージャGuillermo Francella 「ザ・クラン」
ハビエル・カマラJavier Cámara 「トルーマン」
リカルド・ダリンRicardo Darín 「トルーマン」
(ギジェルモ・フランセージャ)
*ギジェルモ・フランセージャは、『瞳の奥の秘密』でリカルド・ダリンの相棒役を演じたアルゼンチン人なら知らない人がいないという有名なコメディアン、ドロレス・フォンシが女優賞を受賞、リカルド・ダリンも「栄誉賞」を受賞しましたから、アルゼンチンは大喜びでしょう。「ザ・クラン」はベネチア映画祭2015銀獅子監督賞受賞作品、今秋の映画祭上映を期待したい作品。
*「ザ・クラン」の主な紹介記事は、コチラ⇒2015年8月7日
女優賞
アントニア・セヘルスAntonia Zegers 『ザ・クラブ』
◎ドロレス・フォンシDolores Fonzi『パウリーナ』(アルゼンチン、ブラジル、フランス)
監督:サンティアゴ・ミトレ
エレナ・アナヤ Elena Anaya "La memoria del agua"(チリ、アルゼンチン、西・独)
監督:マティアス・ビゼ
インマ・クエスタInma Cuesta
"La novia"(西・トルコ・独)監督:パウラ・オルティス
ペネロペ・クルスPenélope Cruz "Ma Ma"(スペイン) 監督:フリオ・メデム
(ドロレス・フォンシ)
*スペインの大女優たちを振り切って受賞、本作を機に結婚したサンティアゴ・ミトレ監督とハグして喜びをかみしめていた。
*ドロレス・フォンシと『パウリーナ』の主な紹介記事は、コチラ⇒2015年5月21日
オリジナル音楽賞
アルベルト・イグレシアス Alberto
Iglesias "Ma Ma"
フェデリコ・フシド Federico Jusid
"Magallanes"
ルカス・ビダル Lucas Vidal "Nadie
quiere la noche" 監督:イサベル・コイシェ
◎ナスクイ・リナレス Nascuy Linares 『大河の抱擁』
パスクアル・レイジェス Pascual
Reyes『火の山のマリア』監督:ハイロ・ブスタマンテ
ドキュメンタリー
"Allende mi abuelo Allende"(チリ、メキシコ)『アジェンデ』
監督:マルシア・タンブッティ・アジェンデ
"Chicas nuevas 24 horas"(西、アルゼンチン、パラグアイ、コロンビア、ペルー)
監督:マベル・ロサノ
◎"El botón de nácar" 『真珠のボタン』(チリ・仏・西) 監督:パトリシオ・グスマン
"La Once"(チリ)監督:マイテ・アルベルディ
"The Propaganda Game" (スペイン)監督:アルバロ・ロンゴリア
(パトリシオ・グスマンの 『真珠のボタン』)
脚本賞
セスク・ゲイ、トマス・アラガイ Tomás
Aragay 「トルーマン」
チロ・ゲーラ、ジャック・トゥーレモンド Jacques Toulemonde 『大河の抱擁』
ハイロ・ブスタマンテ Jayro Bustamante 『火の山のマリア』"
◎パブロ・ラライン、ギジェルモ・カルデロンGuillermo Calderón他 『ザ・クラブ』
サルバドル・デル・ソラルSalvador
Del Solar
"Magallanes"
撮影賞
アルナルド・ロドリゲス Arnaldo Rodríguez "La memoria
del agua"
◎ダビ・ガジェゴ David Gallego 『大河の抱擁』
ルイス・アルマンド・アルテアガ Luis Armando Arteaga 『火の山のマリア』
ミゲル・アンヘル・アモエド Miguel Ángel Amoedo "La novia"
セルヒオ・アームストロング Sergio Armstrong 『ザ・クラブ』
初監督作品賞
"600 millas"(メキシコ) 監督:ガブリエル・リプスティン
"El desconocido"(スペイン)『暴走車 ランナウェイ・カー』 監督:ダニ・デ・ラ・トーレ
"El patrón: Radiografía de un crimen"(アルゼンチン、ベネズエラ)
監督:セバスティアン・シンデルSchindel
◎『火の山のマリア』 監督:ハイロ・ブスタマンテ
"Magallanes" 監督:サルバドル・デル・ソラル
(スタッフとキャスト、トロフィーを掲げているのがブスタマンテ監督)
*『火の山のマリア』とハイロ・ブスタマンテ紹介記事は、コチラ⇒2015年8月28日/10月25日
★その他、ノミネーションをアップしなかったカテゴリーの受賞者
美術賞:アンへリカ・ペレア 『大河の抱擁』
編集賞:エティエンヌ・Boussac & クリスティナ・ガジェゴ 『大河の抱擁』
録音賞:カルロス・ガルシア&マルコ・サラベリア 『大河の抱擁』
アニメーション賞:“Atrapa la bandera” エンリケ・ガト(スペイン)
◎Cine en valores価値ある映画:“Una segunda madre”Anna Muylaert(ブラジル、ポルトガル語)
*アナ・ムイラエルト(またはミュイラート?)は、1964年サンパウロ生れの女優、脚本家、監督。サンダンス映画祭2015でワールド・プレミア、英題“The second Mather”、つづくベルリン映画祭「パノラマ」部門出品、Männer Magazine Readers審査員賞を受賞している(男性雑誌でしょうか)。プレゼンターはリゴベルタ・メンチュウでした。
(左側の横向きが監督、リゴベルタ・メンチュウ)
栄誉賞
リカルド・ダリン(1957年ブエノスアイレス、俳優・監督)、ここ30年間のスペイン語映画でもっとも活躍している俳優の一人、人徳、才能、カリスマ性の三拍子が揃っている。特にセスク・ゲイの「トルーマン」(2015)でサンセバスチャン映画祭男優金貝賞、ゴヤ賞主演男優賞を受賞して、タイミング的によかった。プラチナ賞は友人のギジェルモ・フランセージャが受賞したが、ダリン的には満足だったのではないでしょうか。受賞の弁は「映画のお陰でより良い人生が送れています」、俳優だった両親と11歳で舞台デビューした少年も、来年は還暦を迎えます。大資本を駆使するハリウッド支配に対抗してイベロアメリカ映画に貢献していることが評価された。私生活では1988年フロレンシア・バスと結婚、今もってラブラブはこのギョウカイでは珍しい。1男1女があり、長男リカルド・(チノ)・ダリンも俳優、共演している。
(リカルド・ダリン)
★第4回イベロアメリカ・プラチナ賞2017のマドリード開催がアナウンスされました。開催日は6月か7月になる模様。マドリード市が100万ユーロを拠出する。現在のマドリード市長は反フランコ体制の闘士と言われたマヌエラ・カルメナ(アオラ・マドリードAhora Madrid党)氏、2015年6月に就任した。市長の右腕と言われるルイス・クエト氏がウルグアイ入りして映画祭のノウハウを見て回ったとか。「いい体験ができた」とプレスのインタビューに答えていました。未だスペインは2回の総選挙にもかかわらず組閣ができておりませんので、社労党からも国民党からも資金提供は望めません。というわけでマドリード市が一肌脱ぐことになったようです。
第3回イベロアメリカ・プラチナ賞2016*ノミネーション発表 ― 2016年06月03日 13:11
授賞式はウルグアイのプンタ・デル・エステ、7月24日開催
★「イベロアメリカ・プラチナ賞」は23カ国が参加するシネ・フェスティバルですが、ノミネーションから見えてくるのはスペイン、アルゼンチン、チリ、メキシコの作品がズラリ。申しわけ程度にペルー、コロンビア、グアテマラ、ブラジル、ポルトガル、肝心のウルグアイは何かノミネーションされていたかしら、いいえゼロです。メキシコでもアリエル賞と重なったのはガブリエル・リプスティンの"600 millas"だけのようです。映画祭の審査員も映画賞も「批評家」が選ぶわけではないので当然といえば当然かもしれない。作品賞にノミネートされた5作品のうち、グアテマラの8個はすべて『火の山のマリア』です。映画後進国グアテマラを応援する意味があるのでしょう。これは『大河の抱擁』についても言えること、アリエル賞の「イベロアメリカ映画賞」受賞作品です。
★1986年、いわゆる「ウルグアイ・ラウンド」という通商交渉が行われたプンタ・デル・エステが開催地に選ばれた。ウルグアイは人口328万人(2011年)という南米でも2番めに小さい国、比較的治安の良い国と言われておりますが、昨今ではそうでもないということです。プンタ・デル・エステは大西洋に面したマルドナル県にある南米でも有数のリゾート地、富裕層がバカンスに訪れる。会場となる‘Centro de Convenciones de Punta del Este’は、まだ完成していないのか模型しか写真が入手できなかった。
(お金持ちが集まる南米有数のリゾート地、プンタ・デル・エステ)
(会場となるプンタ・デル・エステ会議センターCentro del Convenciones の完成模型)
★主なカテゴリーのノミネーション(邦題『』は公開・映画祭上映作品、「」は仮題)
作品賞
"El Abrazo de la Serpiente" 『大河の抱擁』 コロンビア、ベネズエラ、アルゼンチン 最多8個
"El Clan" 「ザ・クラン」 アルゼンチン、スペイン 6個
"El club" 『ザ・クラブ』 チリ 6個
"Ixcanul" 『火の山のマリア』 グアテマラ 最多8個
"Truman" 「トルーマン」 スペイン、アルゼンチン 5個
『大河の抱擁』
"El Clan"
『ザ・クラブ』
『火の山のマリア』
監督賞
アロンソ・ルイスパラシオス Alonso Ruizpalacios "Güeros"『グエロス』(メキシコ)
セスク・ゲイ Cesc Gay 「トルーマン」
チロ・ゲーラ Ciro Guerra 『大河の抱擁』
パブロ・ララインPablo Larraín 『ザ・クラブ』
パブロ・トラペロ Pablo Trapero 「ザ・クラン」
『グエロス』のアロンソ・ルイスパラシオス
男優賞
アルフレッド・カストロAlfredo Castro 『ザ・クラブ』
ダミアン・アルカサルDamián Alcázar "Magallanes"(ペルー、アルゼンチン・
コロンビア・西) 監督:サルバドル・デル・ソラル
ギジェルモ・フランセージャGuillermo
Francella 「ザ・クラン」
ハビエル・カマラJavier Cámara 「トルーマン」
リカルド・ダリンRicardo Darín 「トルーマン」
"Magallanes"のダミアン・アルカサル
女優賞
アントニア・セヘルスAntonia Zegers 『ザ・クラブ』
ドロレス・フォンシDolores Fonzi『パウリーナ』(アルゼンチン、ブラジル、フランス)
監督:サンティアゴ・ミトレ
エレナ・アナヤ Elena Anaya "La memoria del agua"(チリ、アルゼンチン、西・独)
監督:マティアス・ビゼ
インマ・クエスタInma Cuesta
"La novia"(西・トルコ・独)監督:パウラ・オルティス
ペネロペ・クルスPenélope Cruz "Ma Ma"(スペイン) 監督:フリオ・メデム
『ザ・クラブ』のアントニア・セヘルス
『パウリーナ』のドロレス・フォンシ
"La memoria del agua" のエレナ・アナヤ
"La novia" のインマ・クエスタ
"Ma Ma" のペネロペ・クルス
オリジナル音楽賞
アルベルト・イグレシアス Alberto
Iglesias "Ma Ma"
フェデリコ・フシド Federico Jusid
"Magallanes"
ルカス・ビダル Lucas Vidal "Nadie
quiere la noche" 監督:イサベル・コイシェ
ナスクイ・リナレス Nascuy Linares 『大河の抱擁』
パスクアル・レイジェス Pascual
Reyes『火の山のマリア』監督:ハイロ・ブスタマンテ
"Nadie quiere la noche" ルカス・ビダル
ドキュメンタリー
"Allende mi abuelo Allende"(チリ、メキシコ)『アジェンデ』
監督:マルシア・タンブッティ・アジェンデ
"Chicas nuevas 24 horas"(西、アルゼンチン、パラグアイ、コロンビア、ペルー)
監督:マベル・ロサノ
"El botón de nácar" 『真珠のボタン』(チリ・仏・西) 監督:パトリシオ・グスマン
"La Once"(チリ)監督:マイテ・アルベルディ
"The Propaganda Game" (スペイン)監督:アルバロ・ロンゴリア
マルシア・タンブッティ・アジェンデの "Allende mi abuelo Allende"
マベル・ロサノの "Chicas nuevas 24 horas"
パトリシオ・グスマンの 『真珠のボタン』
マイテ・アルベルディの "La Once"
アルバロ・ロンゴリアの "The Propaganda Game"
脚本賞
セスク・ゲイ、トマス・アラガイ Tomás
Aragay 「トルーマン」
チロ・ゲーラ、ジャック・トゥーレモンド Jacques Toulemonde 『大河の抱擁』
ハイロ・ブスタマンテ Jayro Bustamante 『火の山のマリア』"
パブロ・ラライン、ギジェルモ・カルデロンGuillermo Calderón他 『ザ・クラブ』"
サルバドル・デル・ソラルSalvador
Del Solar
"Magallanes"
撮影賞
アルナルド・ロドリゲス Arnaldo Rodríguez "La memoria
del agua"
ダビ・ガジェゴ David Gallego 『大河の抱擁』
ルイス・アルマンド・アルテアガ Luis Armando Arteaga 『火の山のマリア』
ミゲル・アンヘル・アモエド Miguel Ángel Amoedo "La novia"
セルヒオ・アームストロング Sergio Armstrong 『ザ・クラブ』
初監督作品賞
"600 millas"(メキシコ) 監督:ガブリエル・リプスティン
"El desconocido"(スペイン)『暴走車 ランナウェイ・カー』 監督:ダニ・デ・ラ・トーレ
"El patrón: Radiografía de un crimen"(アルゼンチン、ベネズエラ)
監督:セバスティアン・シンデルSchindel
『火の山のマリア』 監督:ハイロ・ブスタマンテ
"Magallanes" 監督:サルバドル・デル・ソラル
セバスティアン・シンデルの"El patrón: Radiografía de un crimen"
ガブリエル・リプステインの "600 millas"
◎初出に国名を入れ、写真は多数につき1作品1枚を原則に適宜選びました。録音賞・編集賞・美術賞などは割愛。
★昨年の作品賞は、ダミアン・ジフロンの『人生スイッチ』が10個ノミネーション、8個受賞とあんまりの結果にしらけました。今年はイベロアメリカ映画の将来を見据えての結果を期待したい。今回の総合司会者は、ウルグアイの女優・歌手・デザイナーのナタリア・オレイロ、お馴染みのサンティアゴ・セグラの二人。オレイロはルシア・プエンソの『ワコルダ』で少女の母親になった。
◎EGEDA (Entidad de Gestión de Derechos de los Productores Audiovisuales) とFIPCA(Federación Iberoamericana de Productores Cinematográficos y Audiovisuales) が主催します。いわゆる視聴覚製作に携わる人々の権利を守るための管理交渉団体です。EGEDAは1990年創設、活動は1993年から。スペイン、チリ、コロンビア、US、ペルー、ウルグアイ他などが参加しており、現会長はスペインのエンリケ・セレソ、副会長は同アグスティン・アルモドバル。
第2回イベロアメリカ・プラチナ賞結果発表 ― 2015年07月21日 15:34
『人生スイッチ』が作品賞他8賞を独占
★不安が的中、『人生スイッチ』が4個ぐらいは貰うと予想しておりましたが、なんと8個とは! ということで個人的にはいささか不機嫌です。ノミネーション作品をちゃんと見ていたら、もう少しばらつくと思いませんか。カテゴリーはたったの「13」しかなく、いやしくもラテンアメリカ諸国を含め23カ国が参加する国際的な賞とは思えない。これでは「イベロアメリカ映画の<オスカー賞>」という名前が泣くし、イベロアメリカ映画の将来にもよい結果をもたらさない。
★『人生スイッチ』のコメントは、7月25日に封切られますので、鑑賞後改めてアップすることにし、今回は触れないことに致します。ジフロン監督は合計3回登壇して「素晴らしい1日でした」と挨拶。そりゃそうでしょ、彼のために開催された授賞式でした。
(トロフィーを手にした『人生スイッチ』一同)
主なカテゴリー候補と受賞作品・受賞者(ゴチック体が受賞)
*作品賞
Conducta (キューバ)『ビヘイビア』(SKIPシティ映画祭上映)ノミネーション8個
La isla mínima (スペイン)同9個
MR. Kaplan (スペイン、ウルグアイ)同9個
Pelo malo (ベネズエラ、ペルー、アルゼンチン)同8個
Relatos salvajes (アルゼンチン、スペイン)同10個、『人生スイッチ』公開
*監督賞
アルベルト・ロドリーゲス La isla mínima (スペイン)
アルバロ・ブレチネル MR. Kaplan (スペイン、ウルグアイ)
ダミアン・ジフロン 『人生スイッチ』(アルゼンチン、スペイン)(写真下)
エルネスト・ダラナス 『ビヘイビア』(キューバ)
マリアナ・ロンドン Pelo malo (ベネズエラ、ペルー、アルゼンチン)
*脚本賞
アルバロ・ブレチネル MR. Kaplan
ダミアン・ジフロン 『人生スイッチ』
エルネスト・ダラナス 『ビヘイビア』
マリアナ・ロンドン Pelo malo
ラファエル・コボス&アルベルト・ロドリーゲス La isla mínima
*男優賞
ベニチオ・デル・トロ Escobar: Paraiso perdido(スペイン、パナマ)
ハビエル・グティエレス La isla mínima (スペイン)
ホルヘ・ペルゴリア La pared de las palabras(キューバ)
レオナルド・スパラグリア 『人生スイッチ』(アルゼンチン、スペイン)
オスカル・ハエナダ Cantinflas(メキシコ)(写真下)
*女優賞(6名)
エリカ・リバス 『人生スイッチ』(アルゼンチン、スペイン)(写真下)
ジュラルディン・チャップリン Dólares de arena (ドミニカ共和国、アルゼンチン、他)
ラウラ・デ・ラ・ウス Vestido de novia (キューバ)
レアンドラ・レアル O lobo atrás da porta (ブラジル)
パウリナ・ガルシア Las analfabestas (チリ)
サマンサ・カスティージョ Pelo malo(ベネズエラ、ペルー、アルゼンチン)
*撮影賞:“La isla mínima”のアレックス・カタラン
*オリジナル音楽賞:グスタボ・サンタオラジャ『人生スイッチ』
*編集賞:パブロ・バルビエリ、ダミアン・ジフロン『人生スイッチ』
*美術賞:クララ・ノタリ他『人生スイッチ』
*録音賞:ホセ・ルイス・ディアス『人生スイッチ』
*ドキュメンタリー賞: “O sal da terra”(“The Salt of the Earth”)ヴィム・ヴェンダース、ジュリアーノ・リベイロ・サルガドの共同監督(2014ブラジル、仏、伊)
*アニメーション賞:“O Menino e o Mundo”アレ・アブレウ(2014ブラジル)
*初監督作品賞:クラウディア・ピント“La distancia mas larga”(2013ベネズエラ)
(ピント監督の“La distancia mas larga”から)
★第1回は前年(2013)の1月から12月の作品から選ばれ、ガラは4月に開催されました。製作年ではなく公開年が選定の基本。それで初監督作品賞のようにノミネーションが若干ずれてしまうことがあります。第2回は2014年1月から2015年3月に変更され7月開催となりました。第3回からは前年4月から翌年3月までになるのではないでしょうか。
★“La distancia mas larga”が選ばれたベネズエラではグッド・ニュースと報じられました。カルメ・エリアスがガラに出席していたのは、本作のヒロインだったからでしょう。ハビエル・フェセルの『カミーノ』で頑迷な母親を演じた女優です。
★授賞式に出席した俳優・監督・製作者の顔ぶれ
俳優:マリベル・ベルドゥ、エドワード・ジェムス・オルモス、ピラール・ロペス・デ・アヤラ、ダリオ・グランディネティ、ギジェルモ・フランセジャ、ハビエル・グティエレス、アルベルト・アンマン、カルロス・バルデム、ゴヤ・トレド、インマ・クエスタ、カルメ・エリアス、ジョルディ・モリャ、他
監督:フアン・アントニオ・バヨナ、サンティアゴ・セグラ、フリオ・メデム、他
製作者:アウグスティン・アルモドバル、ホセ・アントニオ・フェレス、他
★授賞式は、スペイン国営テレビで中継された。プレゼンターは俳優イマノル・アリアス、女優アレサンドラ・ロサルド、ジャーナリストのフアン・カルロス・アルシニエガス二。米国在住のスペイン語話者を含めると4億人が見られたはずです(笑)。
★栄誉賞受賞のアントニオ・バンデラスは、プエルトリコ出身ののリタ・モレノからトロフィーを受け取りました。『ウエスト・サイド物語』(1961)でアカデミー賞とゴールデングローブ助演女優賞、他にトニー賞、グラミー賞、エミー賞の受賞者。1931年生れの83歳、伝説的な女優、ダンサー、舞台女優ですから名誉なことでしょう。写真で見る限り83歳には見えない。
関連記事*管理人覚え
◎第1回イベロアメリカ・プラチナ賞の記事は⇒2014年02月20日/03月18日/04月17日
◎第2回イベロアメリカ・プラチナ賞のプレセレクションの記事は⇒2015年03月28日
◎第2回イベロアメリカ・プラチナ賞ノミネーションの記事は⇒2015年06月11日
◎クラウディア・ピント“La distancia más larga”の記事は⇒2013年09月05日
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