フォト集 ②*サンセバスチャン映画祭2022 ㉓ ― 2022年10月02日 14:20
ラテンアメリカ諸国から現地入りしたシネアストたち
★フォト集②はラテンアメリカからやってきたシネアストたちの特集。多分新型コロナウイルス以前より多かったのではないでしょうか。セクション・オフィシアルのセバスティアン・レリオ(チリ)、ペルラス部門のサンティアゴ・ミトレ(アルゼンチン)やアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ(メキシコ)、ホライズンズ・ラティノ部門のアンドレス・ラミレス・プリド(コロンビア)、キューバのパベル・ジルーとカルロス・レチュガ、マリアノ・ビアシン(アルゼンチン)、ナタリア・ベリスタイン(メキシコ)、ほか多くが現地入りしました。
◎サイコスリラー「The Wonder」(英語)がセクション・オフィシアルにノミネートされたセバスティアン・レリオは、主役の少女アンナ・オドネルを演じたキラ・ロード・キャシディほかと現地入り、少女はすっかり背丈が伸びてしいました。

(監督とキラ・ロード・キャシディ、フォトコール)

(セバスティアン・レリオ監督とキラ・ロード・キャシディ、9月22日フォトコール)
◎ペルラス部門上映のサンティアゴ・ミトレの「Argentina、1986」の一行は、監督以下主演のリカルドダリン、ピーター・ランサニ、製作者の一人チノ・ダリン、ほか大勢で現地入りしました。ベネチア映画祭では金獅子賞は逃したが、FIPRESCI賞、カトリックメディア協議会(SIGNIS)賞オナラブル・メンションを受賞していた。SSIFFではサンセバスティアン市観客賞を受賞、Gala RTVE部門のセスク・ゲイのアクション・コメディ「Histirias para no contar」に出演、EUSKO LABEL賞を受賞して未だ滞在していたチノ・ダリンが受け取った。

(サンティアゴ・ミトレ監督)

(リカルドダリンとピーター・ランサニ)

(やはり人気の高いチノ・ダリン)
◎メキシコのアレハンドロ・G・イニャリトゥの「Bardo, Falsa cronica de una cuantas verdades」(『バルド、偽りの記録と一握りの真実』で東京国際映画祭上映)の一行は、監督以下主演のダニエル・ヒメネス=カチョ、グリセルダ・シチリアーニ、アンドレス・アルメイダが参加しました。
*『バルド、偽りの記録と一握りの真実』の作品紹介は、コチラ⇒2022年09月08日


(左から、グリセルダ・シチリアーニ、監督、ダニエル・ヒメネス=カチョ
アンドレス・アルメイダ)
◎ホライズンズ・ラティノHL部門にノミネートされた「Un Varón」のファビアン・エルナンデス(コロンビア)は、製作者のマヌエル・ルイス・モンテアレグレほかと現地入りしました。

(ファビアン・エルナンデス監督)

(マヌエル・ルイス・モンテアレグレと監督、9月23日プレス会見)
◎HL部門のマリアノ・ビアシンの「Sublime」(アルゼンチン)のクルーも、監督ほか主役のマルティン・ミラー、エグゼクティブプロデューサーのフアン・パブロ・ミラーが参加しました。マルティン・ミラーは製作者の息子のようです。開催前から第10回セバスティアン・ラティノ賞の受賞が決まっていました。

(マリアノ・ビアシン監督)

(左から、製作者フアン・パブロ・ミラー、監督、マルティン・ミラー、9月21日)

(マルティン・ミラー 、9月22日のプレス会見)
◎HL部門のアナ・クリスティナ・バラガンの「La piel pulpo」(エクアドル)のクルーは、監督と女性スタッフの参加でした。

(アナ・クリスティナ・バラガン監督)

(アナ・クリスティナ・バラガン監督、9月23日プレス会見)
◎HL部門のアンドレス・ラミネス・プリドの「La jauria」(『ラ・ハウリア』で東京国際映画祭上映)には、監督と主役のジョジャン・エスティベン・ヒメネスの二人が現地入りした。何らかの賞に絡むと予想しましたが外れました。今年は勝率15%?です。
*『ラ・ハウリア』の作品紹介は、コチラ⇒2022年08月25日

(アンドレス・ラミレス・プリドとジョジャン・エスティベン・ヒメネス、9月23日)
◎HL部門ノミネートの「El caso Padilla」(キューバ)は、パベル・ジルー監督が9月18日に現地入り、翌日上映後プレス会見に臨んだ。

(パベル・ジルー監督)

(パベル・ジルー、9月19日)
◎HL部門ノミネートの:「Vicenta B.」(キューバ)は、カルロス・レチュガ監督、ビセンタ・ブラボ役のリネット・エルナンデス・バルデスが参加、レチュガ監督は在住しているバルセロナからの参加。

(カルロス・レチュガ監督、リネット・エルナンデス・バルデス)

(9月18日、満員の会場で)
◎HL部門ノミネート、スペイン協同賞受賞の「Ruido / Noise」(メキシコ)は、ナタリア・ベリスタイン監督、本作の主役を演じた実母フリエタ・エグロラ、製作者のカルラ・モレノ、マリア・ホセ・コルドバが現地入り、ガラでは製作者の二人が登壇した。

(宿泊ホテルのマリア・クリスティナで寛ぐ監督と女優フリエタ・エグロラ、9月19日)
◎HL部門ノミネート、期待していたマヌエラ・マルテッリの「1976」は、監督ほかが参加、本作は第35回東京国際映画祭コンペティション部門に正式出品されます。
*作品紹介は、コチラ⇒2022年09月13日

(マヌエラ・マルテッリ監督、9月22日)
◎HL部門にノミネートされたコスタリカ映画がオリソンテス賞を受賞した。監督バレンティナ・モーレルの「Tengo sueños eléctricos」はデビュー作。

(バレンティナ・モーレル監督、9月20日)
◎ニューディレクターズ部門ニカラグア映画の「La hija de todas las rabias」には、ラウラ・バウマイスター監督が参加。

(ラウラ・バウマイスター監督、9月18日)
ニューディレクターズ部門13作*サンセバスチャン映画祭2022 ⑩ ― 2022年08月29日 15:59
日本の若手監督も含めて一挙に発表になった13作

★去る7月28日、ニューディレクターズ部門13作が出揃いました。昨年ノミネートされなかった日本からは2作が選ばれました。古川原壮志の『なぎさ』(21)、第34回東京国際映画祭ワールド・プレミア作品です。もう1作の『宮松と山下』は、佐藤雅彦、関友太郎、平瀬謙太郎の監督集団〈5月ごがつ〉のデビュー作、現在窮地に陥っている香川照之が主演しており、11月18日の公開に先駆けて、本祭でワールドプレミアとなった。
★昨年のWIP Latam 2021と WIP Europa 2021 の受賞作が揃ってノミネートされています。このセクションはデビュー作か2作までが対象、後援者のクチャバンクによるクチャバンク・ニューディレクター賞(作品賞)には副賞として50,000ユーロとスペイン国内での公開が約束されています。他にユースTCM賞があり、18歳から25歳までの学生150人が審査員です。スペイン語映画は、オール女性監督のスペイン2作と当ブログ初登場のニカラグア1作、他はフランス、モルドバ共、デンマーク、スイス、クロアチア、ロシア、韓国、インド、日本の2作です。スペイン語映画3作だけアップしておきます。
*ニューディレクターズ部門13作*
1)「La hija de todas las rabias / Daughter of Rage」ニカラグア
VIII Foro de Coproduccion Europa-America Latina 2019
WIP Latam 2021 WIP Latam Industria 2021
データ:製作国ニカラグア=メキシコ=オランダ=独=仏=ノルウェー=西、2022年、スペイン語、ドラマ、87分、脚本ラウラ・バうマイスター、撮影テレサ・クンKuhn、編集ラウル・バレラス、フリアン・サルミエント、プロダクション・マネージメント、ハビエル・ベラスケス・ドランテス、録音ガリレオ・ガラス、美術ノエミ・ゴンサレス、製作Felipa Films、製作者ロッサナ・バウマイスター、ブルナ・Haddad、マルタ・オロスコ。サンセバスチャン映画祭の援助を受けて製作され、上記のWIP Latam 2021以下を受賞している。

監督:ラウラ・バウマイスター(Baumeisterニカラグアの首都マナグア1983)、監督、脚本家。デビュー作、本作はゴミ捨て場で一人で生き延びようとする11歳の少女の物語。

(受賞スピーチをする監督、サンセバスチャン映画祭2021の授賞式)
キャスト:アラ・アレハンドラ・メダル(マリア)、ビルヒニア・セビーリャ・ガルシア(母親リリベス)、カルロス・グティエレス(タデオ)、ノエ・エルナンデス(ラウル)、ディアナ・セダノ(ロサ)
ストーリー:現在のニカラグア、11歳のマリアは母親リリベスと一緒にマナグアの大きなゴミ捨て場で暮らしている。マリアにとってここは、見つけたものは自分のものになるアミューズメントパークのようなものでした。彼女の将来は、母親が販売するために育てている血統書付きの子犬にかかっていた。子犬に毒を盛るというアクシデントが起こり、リサイクル工場で見習いで働いていたマリアをおいて、母親は町を出ることになる。数日すぎても母親は戻ってこなかった。マリアは捨てられたと思いたくないが、混乱して腹を立てていた。ある夜のこと彼女はタデオと知り合った。上品で夢見がちな少年は、母親と共にマリアを助けようと決心する。「多くのラテンアメリカの人々が自身の国の厳しい現実のなかでも前進しようとする回復力についての映画」と監督。


(マリア役アラ・アレハンドラ・メダル)
2)「Secaderos / Tobacco Barns」スペイン
データ:製作国スペイン=米国、2022年、スペイン語、ドラマ、98分、脚本アナ・アリステギ、美術ロレナ・フェルナンデス、ヌリア・ディアス・イバニェス、メラニア・バン、造形マリア・ルイサ、キャスティングはマリチュ・サンス、録音ホアキン・パチョン、メイク&ヘアーはネレア・エレーロ、製作 & 製作者Fourminds Films / La Claqueta PC(オルモ・フィゲレド・ゴンサレス=ケベド)/ La Cruda Realidad/ Un Capricho de Producciones /(米)Amplitud INC / DDT Efectos Especiales、、パオラ・サインス・デ・バランダ、撮影2021年8~9月の6週間、撮影地グラナダ県のベガ、ラス・ガビアス、フエンテ・バケロス、ラ・パスほか十数ヵ所。

監督:ロシオ・メサ(グラナダ県ラス・ガビアス1983)、監督、製作者、長編第2作目。セビーリャ大学コミュニケーション学部ジャーナリズム科卒、その後2010年アンダルシア政府から奨学金を授与され、ニューヨーク・フィルム・アカデミーのドキュメンタリー監督の修士号を取得、デビュー作「Orensanz」(13)は、現代アーティストのアンヘル・オレンサンスのビオピック、セビーリャ・ヨーロッパ映画祭プレミアされた。製作者としてはドキュメンタリーを専門とする制作会社 My Deer Films を設立、アルバロ・ゲレアの「Alma anciana」(21)はベルリン映画祭フォーラム部門で上映された。2014年ロサンゼルスに拠点を置く LA OLA を仲間と設立し代表を務めている。ロス以外のニューヨーク、メキシコシティなどの都市でスペインの前衛映画の普及に推進している。カリフォルニア在住、第2作を撮るため帰郷した。

(「Secaderos」撮影中のロシオ・メサ、2021年9月)
★第2作は、製作チームの90パーセントがアンダルシア人、スタッフは勿論のこと、約2000人がオーディションに集まり、150人に絞り込むまで1ヵ月を要したという。根気よくキャスティングに臨んでくれたマリチェ・サンスに感謝している。地元のアマチュアを起用したことで、物語がよりリアルになっている。スタッフ以外にもフリーランスのマリエタ・バウティスタ、アルバ・サビオなどの協力を得た。また映画を作る別の方法があることを教えてくれた映像作家として、『顔たち、ところどころ』を89歳で撮り、カンヌ以降、映画祭の受賞行脚をしたアニエス・ヴァルダ、ルクレシア・マルテル(『サマ』)、イタリアのアリーチェ・ロルヴァケル(『夏をゆく人々』『幸福なラザロ』)、メルセデス・アルバレスなどのドキュメンタリー作家、フィクションとノンフィクションの垣根を越えて製作している女性監督をあげている。

(主役の2人と中央が監督)
キャスト:ベラ・センテネラ(少女)、アダ・マル・ルピアニェス(思春期の娘)、タマラ・アリアス、クリスティナ・エウヘニア・セグラ・モリーナ、ホセ・サエス・コネヘロ、ジェニファー・イバニェス、ほか地元住民のエキストラ多数
ストーリー:田園の小さな村は、都会に住んでいる少女には天国であり、農村で暮らす思春期にある娘には鳥籠である。二人の視点を通して、農村の内部に入り込む。魔術的リアリズムのニュアンスを帯びた夏のタバコの乾燥工場を舞台に、二つのストーリーがパラレルに描かれる。ベガ・デ・グラナダの人々への個人的な敬意と風景に捧げられた人間関係についての群像劇。最初はドキュメンタリーとして構想されたが最終的にはドラマになった。ただし監督は、フィクションとノンフィクションを区別していない。すべては創造であるからです。



(フレームから)
「A los libros y a las mujeres canto / To Books And Women I Sing」スペイン
データ:製作国スペイン、2022年、スペイン語・イタリア語、ドキュメンタリー、72分、脚本・撮影・編集・録音マリア・エロルサ & サンティ・サルバドール、製作 & 製作者 Txintxua Films コルド・アルマンドス、マリアン・フェルナンデス、撮影地ギプスコア県、ユースTCM 賞対象作品、マラガ映画祭、ビルバオ・ドキュメンタリー & 短編FFに出品、Zinebi 63 の産業セクションのネットワーキング賞を受賞。

監督:マリア・エロルサ(ビトリア-ガステイス1988)監督、脚本家。長編デビュー作。短編デビュー作はイマノル・ウリベ以下、バスクの監督オール参加15人からなる短編集「Kalebegiak」(16)、エロルサはマイデル・フェルナンデス・イリアルテと共同で「Las chicas de Pasaik」を撮った。他に短編ドキュメンタリー「Our Walls」(16)をマイデル・フェルナンデス・イリアルテと「Ancora Lucciole」(19)、コルド・アルマンドスと共同でドラマ「Breaches」(20)などを監督している。
★長編デビュー作は失われた珍しい、または忘れられた本を守っている年配の女性たちの物語。監督によると、この風変わりなタイトル〈私が謳う本と女性たち〉は紀元前1世紀のローマの詩人ウェルギリウス最後の未完の叙事詩『アエネーイス』の冒頭の1節「私が謳う武器と人間」から採られたそうです。ドキュメンタリーとしては珍しく愛らしいユーモラスな視点で描き、アーカイブ資料と女性たちの証言を組み合わせたユニークな構成。文学、映画、またイメージが私たちの生活にどのように役立つか、私たちをより自由にするかを語り、日常生活における想像力の重要性をエリート主義でない方法で伝えるには、どうしたらよいかを自問している。
*監督キャリア&フィルモグラフィー紹介記事は、コチラ⇒2016年08月19日


(タバコを吸っているタバコ労働者の壁画の前のエロルサ)
キャスト:アントニア・デイアス(トニーナ)、ロレト・カサド(ロレト)、ヴィキ・クララムント(ヴィキ)、ヴァルトラウト・キルステ(ヴァル)、アン(ネ)・エロルサ(アンネ/アン)
ストーリー:ある女性はほとんど小型飛行機という名で知られています。別の女性は車の後部座席を書庫にしています。更に別の女性は書店の手に負えない書棚で指を骨折してしまいます。ハマキ工場で働く女性たちは物語を聞きながら作業しています。アイロン職人はアイロンをかけながら詩を思い出しています。彼女たち全員に、私は謳います。火、水、蛾、埃り、無知、熱狂に立ち向かい、匿名の女性軍団が本の保存を守っています。それは叙事詩も革命も武器もない、内に秘めたレジスタンスです。書籍保存に尽力する平凡で非暴力の女性たちへのオマージュ。アーカイブ資料と女性たちの証言で構成されている。


(指を骨折したと小指を見せる女性、フレームから)
★セクション・オフィシアルとは反対に奇しくもオール女性監督になったが、昨今のイベロアメリカ諸国の女性の台頭は目ざましい。発想の斬新さ、女性同士の団結力は見倣うべきものがある。ドノスティア栄誉賞受賞者、ジュリエット・ビノシュ、ダヴィッド・クローネンバーグの紹介、ペルラス部門ノミネートのサンティアゴ・ミトレの「Argentina、1985」、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥの「Bardo, Falsa, crónica de unas cuantas verdades」、その他ロドリゴ・ソロゴジェン、イサキ・ラクエスタ、今回が監督デビューのフアン・ディエゴ・ボット(ペネロペ・クルス主演)、オリオル・パウロなどの新作紹介が残っています。
ホライズンズ・ラティノ部門10作が発表*サンセバスチャン映画祭2021 ⑨ ― 2021年08月08日 15:04
ラテンアメリカ諸国からデビュー作3作を含む10作が一挙に発表

★8月4日、ホライズンズ・ラティノ部門のノミネーション10作が発表になりました。このセクションはブラジルを含むラテンアメリカ諸国のスペイン語・ポルトガル語映画に特化しています。翌日にはペルラス(パールズ)部門15作、日本からは先ほど閉幕したカンヌ映画祭の脚本賞を受賞した濱口竜介の『ドライブ・マイ・カー』が特別上映されるほか、コンペ部分にもベルリン映画祭で銀熊審査員グランプリを受賞した『偶然と想像』がノミネートされています。それはさておき、今回はホライズンズ・ラティノ部門のご紹介、ラテンアメリカに初めて金獅子をもたらしたベネズエラのロレンソ・ビガスやベルリン映画祭パノラマ部門でデビュー作が初監督作品賞を受賞したアロンソ・ルイスパラシオスなどの名前が目にとまりました。取りあえずタイトル、製作国、監督、キャスト、などのトレビアをアップします。



*ホライズンズ・ラティノ部門*
① Jesús Lopéz (アルゼンチン=フランス)2021年、90分、WIP Latam 2020
オープニング作品
監督:マキシミリアノ・シェーンフェルド Schonfeld(アルゼンチン、クレスポ1982)の本作はワールドプレミア、事故死したレーシングドライバーのヘスス・ロペスの従弟アベルのその後が語られる。
別途作品紹介予定
キャスト:ルカス・シェル、ホアキン・スパン、ソフィア・パロミノ、イア・アルテタ、アルフレッド・セノビ、パウラ・ランセンベルク、ロミナ・ピント、ベニグノ・レル
*作品紹介記事は、コチラ⇒2021年08月30日

② El empleado y el Patrón / The Employer and the Employee クロージング作品
(ウルグアイ=アルゼンチン=ブラジル=仏)2021年、106分、WIP Latam 2020
監督:マヌエル・ニエト・サス(ウルグアイ)の第3作目は、WIP Latam 2020のEGEDAプラチナ賞受賞作品、カンヌ映画祭と併催の「監督週間」にノミネートされている。『BPMビー・パー・ミニット』のナウエル・ぺレス・ビスカヤートが主演。
キャスト:ナウエル・ぺレス・ビスカヤート、クリスティアン・ボルヘス、フスティナ・ブストス、ファティマ・キンタニージャ

③ Amparo (コロンビア=スウェーデン=カタール)2021年、95分
監督:シモン・メサ・ソト(コロンビア、メデジン1986)の長編デビュー作、カンヌ映画祭併催の「批評家週間」にノミネートされている。短編「Leidi」(14)はカンヌで短編部門のパルムドールを受賞、2016年にも「Madre」がノミネートされている。両作とも当ブログでアップしています。長編デビュー作ということで別途作品紹介予定。
キャスト:サンドラ・メリッサ・トレス、ディエゴ・アレハンドロ・トボン、ルチアナ・ガジェゴ、ジョン・ハイロ・モントーヤ
*作品紹介記事は、コチラ⇒2021年08月23日

④ Aurora(コスタリカ=メキシコ=パナマ)2021年、92分、Cine en Construcción 37
監督:パス・ファブレガ(コスタリカ)の長編2作目、ロッテルダム映画祭に正式出品された。デビュー作「Agua fria de mar」(10)は同ホライズンズ・ラティノ部門にノミネートされた。
キャスト:レベッカ・ウッドブリッジ、ラケル・ビリャロボス

⑤ Azor (スイス=アルゼンチン=フランス)2021年、100分、
V Foro de Coproducon Europa=America Latina ヨーロッパ・ラテンアメリカ共同製作
監督:アンドレアス・フォンタナ(スイス)のデビュー作、アルゼンチン独裁政権とデサパレシードスを背景にした2人の銀行家が語られる。
キャスト:スティファニー・Cleau、ファブリツィオ・Rongione

⑥ La caja / The Box (メキシコ=米国)2021年、92分
監督:ロレンソ・ビガス(ベネズエラ、メリダ1967)は、デビュー作「Desde Allá」がベネチア映画祭2015で金獅子賞を受賞してシネマニアを驚かせた。ラテンビートでは『彼方から』の邦題で上映された。別途作品紹介予定。
キャスト:エルナン・メンドサ、Hatzin Navarrete
*作品紹介記事は、コチラ⇒2021年09月07日

⑦ Madalena (ブラジル)2021年、85分、Cine en Construcción 36
監督:マディアノ・マルチェティMadiano Marcheti(ブラジル)のデビュー作は、ロッテルダム映画祭のコンペティション部門にノミネートされている。マダレナの失踪に関係した3人の人物の物語が語られる。
キャスト:ナタリア・マザリン、ラファエル・デ・ボナ、パメリャ・ユーリ、Chloe Milan、マリアネ・カセレス

⑧ Noche de fuego / Players for The Stolen(メキシコ=独=ブラジル=カタール)
2021年、110分
監督:タティアナ・ウエソ(エルサルバドル1972、メキシコの二重国籍)の長編デビュー作、カンヌ映画祭「ある視点」でスペシャル・メンションを受賞している。ドキュメンタリー作家として高い評価を得ているウエソが初めて劇映画を撮りました。2016年のドキュメンタリー「Tempestad」は、アリエル賞2017監督賞、ベルリン映画祭カリガリ賞(特別審査員賞)、ゴヤ賞2018イベロアメリカ映画賞ノミネート、ハバナFF、リマFF他受賞歴多数。代表作にノンフィクション「El lugar más pequeña」(11)がある。別途作品紹介予定。
キャスト:アナ・クリスティナ・オルドニェス・ゴンサレス、マルヤ・メンブレニョ、マイラ・バタリャ
*作品紹介記事は、コチラ⇒2021年08月19日

⑨ Piedra noche / Dusk Stone (アルゼンチン=チリ=スペイン)2021年、87分、
WIP Latam 2020
監督:イバン・フンド(アルゼンチン)は、監督、脚本家、撮影監督、製作者。本作は一人息子を失った或る夫婦の苦悩が語られる。WIP Latam 2020の産業賞受賞作品。9月1日開催のベネチア映画祭と併催の「ヴェニス・デイ」がワールドプレミアになります。イバン・フンドは既に「Los labios」がカンヌの「ある視点」にノミネート、マル・デル・プラタFFやBAFICIブエノスアイレス国際インディペンデントFFなど国内の映画祭で受賞歴があります。
キャスト:マリセル・アルバレス、マラ・ベステリィ、アルフレッド・カストロ、マルセロ・スビオット、へレミアス・クアロ

⑩ Una pelícla de policías / A Cop Movie (メキシコ)2021年、107分
監督:アロンソ・ルイスパラシオス(メキシコシティ1978)は、モノクロで撮ったデビュー作「Güeros」(14)がSSIFF ホライズンズ・ラティノ部門で作品賞とユース賞を受賞、同年ラテンビートで『グエロス』の邦題で上映された。今回はベルリナーレ2021でイブラン・アスアドが銀熊フィルム編集賞を受賞している。別途作品紹介予定
キャスト:モニカ・デル・カルメン、ラウル・ブリオネス・カルモナ
*作品紹介記事は、コチラ⇒2021年08月28日

★今年は女性監督が2人とバランス的には偏りがありますが、タティアナ・ウエソの名前を久しぶりに目にしました。政情不安のエルサルバドル生れですがメキシコに渡って国籍を取得しています。今年はメキシコからアロンソ・ルイスパラシオスと2人がノミネートされた。どちらも話題作のようですから、秋の映画祭を視野に入れて作品紹介を予定しています。
第6回イベロアメリカ・プラチナ賞2019*結果発表 ― 2019年05月17日 15:59
予想通りアルフォンソ・キュアロンの『ROMA/ローマ』が大賞5冠を独占!

★開催したばかりのカンヌ映画祭はしばらくお休みして、去る5月12日に結果発表があった第6回イベロアメリカ・プラチナ賞授賞式のご報告。今回は偶数回なのでスペイン開催のはずですが、今回も昨年に引き続いてメキシコのカンクン近郊のリゾート地シカレ・リビエラ・マヤで行われました。気温が高く赤絨毯を踏んだシネアスト、セレブたちは汗ダクダクだったとか。総合司会は今回で2回目となるスペインのサンティアゴ・セグラとTVシリーズ女優賞を受賞したメキシコのセシリア・スアレスでした。

(総合司会者のセシリア・スアレスとサンティアゴ・セグラ)
★もう受賞作品はやる前から決まっていたようなもので、予想通りアルフォンソ・キュアロンの『ROMA/ローマ』が大賞5冠を独占し、サプライズ零%のガラ、作品賞・監督賞・脚本賞・撮影賞・録音賞の5カテゴリーです。メキシコ開催の授賞式でしたが、受賞が100%分かっていたにもかかわらず御大は姿を現しませんでした。どんな理由があったにせよ白けます。外野から「メキシコには住んでないよ」の声あり。2月にあった米アカデミー賞で外国語映画賞・監督賞・撮影賞の3冠を受賞していましたが、格が違うということでしょう。因みに外国語映画賞は来年から国際映画賞と名称が変わりますが、ルール変更はないそうです。

(第6回イベロアメリカ・プラチナ賞の受賞者一同)
*17カテゴリーの受賞作品・受賞者名は以下の通りです。
◎作品賞(フィクション)
「Roma」(『ROMA/ローマ』2018年12月14日よりNetflix配信)メキシコ

(製作者ガブリエラ・ロドリゲスと共同製作者ニコラス・セリス)
◎監督賞
アルフォンソ・キュアロン(『ROMA/ローマ』)
◎オペラ・プリマ初監督作品賞
「Las herederas」(『相続人』)パラグアイ、監督マルセロ・マルティネシ

(右端がマルセロ・マルティネシ監督)
◎女優賞
アナ・ブルン(『相続人』)

(喜びが爆発したアナ・ブルン)
◎男優賞
アントニオ・デ・ラ・トーレ (「El Reino」)スペイン、監督ロドリゴ・ソロゴジェン

◎脚本賞
アルフォンソ・キュアロン (『ROMA/ローマ』)

◎撮影賞
アルフォンソ・キュアロン (『ROMA/ローマ』)
◎編集賞
アルベルト・デ・カンポ (「El Reino」)

◎美術賞
アンヘリカ・ぺレア (「Pájaros de verano」『夏の鳥』)コロンビア、
監督クリスティナ・ガジェゴ&チロ・ゲーラ

◎オリジナル音楽賞
アルベルト・イグレシアス (「Yuli」)スペイン、監督イシアル・ボリャイン

◎録音賞
セルヒオ・ディアス、スキップ・リーヴセイ、ホセ・アントニオ・ガルシア、
クレイグ・ヘニガン(『ROMA/ローマ』)

(『ROMA/ローマ』のキャスト&スタッフ一同)
◎作品賞(アニメーション)
「Un día más con vida」(『アナザー・デイ・オブ・ライフ』)スペイン、
監督ラウル・デ・ラ・フエンテ&ダミアン・ネノウ

◎作品賞(ドキュメンタリー)
「El silencio de otros」スペイン、監督ロバート・バハル&アルムデナ・カラセド

◎価値あるシネマ教育プラチナ賞
「Campeones」スペイン、監督ハビエル・フェセル

◎TVミニシリーズ賞
「Arde Madrid」スペイン

(インマ・クエスタ、パコ・レオン、製作者アンナ・R・コスタ、アンナ・カスティーリョ)
◎TVシリーズ女優賞
セシリア・スアレス (「La casa de las flores」『ハウス・オブ・フラワーズ』
2018年8月10日よりNetflix 配信)メキシコ、ブラックコメディ、制作マノロ・カーロ

◎TVシリーズ男優賞
ディエゴ・ルナ (「Narcos: México」『ナルコス:メキシコ編』
2018年11月16日よりNetflix 配信)米国の犯罪ドラマ、製作総指揮カルロ・ベルナルド他

◎プラチナ栄誉賞
ラファエル(スペインのシンガーソングライター、俳優)

(喉もご披露したラファエル)


(左から、プラチナ賞ディレクターのエンリケ・セレソ、栄誉賞受賞者ラファエル、
総ディレクターのミゲル・アンヘル・ベンサル、アドリアン・ソラル)
★ざっと以上のようでした。第1回2014年(『グロリアの青春』)と2018年(『ナチュラルウーマン』)の受賞国チリ、2015年(『人生スイッチ』)と2017年(『笑う故郷』)の受賞国アルゼンチンは、ゼロ個と沈黙を強いられました。2016年はコロンビアの『彷徨う大河』、今回コロンビアは『夏の鳥』が美術賞を受賞して面目を施しました。昨年はメキシコ開催でしたがメキシコはゼロ個、今年はTVシリーズを含めると7個でした。録音賞のみがグループ受賞で、他はアルフォンソ・キュアロンの一人勝ちでした。
★スペインは作品賞を受賞したことはありませんが、今回は男優賞・オリジナル音楽賞・編集賞・ドキュメンタリー賞・アニメーション賞・価値あるシネマ教育プラチナ賞・TVシリーズ作品賞の7カテゴリー、さらにプラチナ栄誉賞をイベリア半島に運んできましたから、もう言うことなしです。
★『ROMA/ローマ』に限ったことではありませんが、Netflixや米国の制作会社の存在感はTVシリーズの受賞作品にみられるように顕著になってきました。映画祭のコンペティション部門にノミネートされたばかりなのに、映画祭が終わると1ヵ月もしないでお茶の間で見られる。その速さには実際驚きます。最初からNetflixオリジナル作品なら分かりますが。
イベロアメリカ・フェニックス賞財政難で一旦休止のニュース ― 2019年04月07日 15:29
ない袖は振れない苦しい台所事情も政治がらみか?

(黒いフェニックスの卵)
★毎年初冬の11月に開催されていた「イベロアメリカ・フェニックス賞」が、メキシコ当局による財政援助が難しくなり、やむなく休止に追い込まれてしまいました。第1回が2014年でしたから、たったの5回しか開催されなかったことになります。イベロアメリカと銘打たれておりましたが、選考母体は2012年創設されたばかりの「Cinema 23」でメキシコ主導の映画賞、授賞式開催国は持ち回りでなくメキシコと決まっていました。元宗主国のスペインとポルトガルも参加してノミネーションはされましたが、グランプリに輝くことはついぞありませんでした。

(第1回グランプリ作品ディエゴ・ケマダ=ディエスの「金の鳥籠」、授賞式から)
★2017年には、TVシリーズ部門にNetflixオリジナル作品の参加を開始、Netflixに門戸を開いた。麻薬王エスコバルの誕生から死までを描いた『ナルコス』がドラマ部門で、コメディ部門でも『クラブ・デ・クエルボス』が受賞した。第5回の2018年には『ペーパー・ハウス』が受賞、さらに「ネットフリックス・プリマ・オペラ賞」を設けて盛上げに協力し始めていたのですが、所詮焼け石に水だったようです。

(TVシリーズ部門、2018年受賞作『ペーパー・ハウス』Netflix)
★本映画賞の二大資金援助はメキシコの連邦政府と地方政府だったようで、主催者によると両者の折合いが難航、回答が貰えなかったことが休止の主たる理由だという。メキシコ新大統領アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドルは、一部の反汚職運動のような市民団体への助成金カットを数週間前に発表していた。政権批判をして論争のタネを振りまくNGOや文化団体には援助したくないのでしょう。そういう意味では本映画賞は、受賞作品を一瞥すれば一目瞭然、かなり政治的な色合いが濃く、援助カットの標的になってもおかしくない。第1回授賞式は、メキシコの麻薬密売組織に関係している政治家や警察関係者による学生43名の失踪殺害事件を厳しく批判、第5回はフェミニズム運動、特にアルゼンチンでの妊娠中絶合法化のシンボル緑のハンカチ運動など、毎年ラテンアメリカ諸国政府への「No」を鮮明にしている。
第1回作品賞2014『金の鳥籠』(メキシコ)ディエゴ・ケマダ=ディエス監督
第2回作品賞2015『ザ・クラブ』(チリ)パブロ・ラライン監督
第3回作品賞2016『ネルーダ 大いなる愛の逃亡者』(チリ)パブロ・ラライン監督
第4回作品賞2017『ナチュラルウーマン』(チリ)セバスティアン・レリオ監督
第5回作品賞2018『夏の鳥』(コロンビア)クリスティナ・ガジェゴ&チロ・ゲーラ共同監督

(第3回作品賞『ネルーダ 大いなる愛の逃亡者』の製作者フアン・デ・ディオス・ラライン、
トロフィーを手にしたネルーダ役のルイス・ニェッコ、刑事役のG.G.ベルナル)
(第4回作品賞『ナチュラルウーマン』で女優賞に輝いたダニエラ・ベガ)

(第5回作品賞『夏の鳥』ガラ、緑のハンカチを巻いたクリスティナ・ガジェゴ監督とスタッフ)
★残念なニュースですが、再開を願って2020年を待ちましょうか。
第5回イベロアメリカ・フェニックス賞2018*結果発表 ― 2018年11月20日 15:18
コロンビアの『夏の鳥』が作品賞と女優賞にカルミニャ・マルティネス

★去る11月7日、メキシコシティのエスペランサ・アイリス・シティシアターで授賞式が行われました。今年は結果発表とラテンビートが重なり大分遅れのアップになりました。作品賞がラテンビート上映の『夏の鳥』だったので、部分的にはラテンビートに絡めて触れております。フェニックス賞はメキシコの「シネマ23」主導の映画賞で、過去4回ともラテンアメリカ諸国の作品が受賞しています。元の宗主国スペインとポルトガルから選ばれたことはなく、今年はそもそも作品賞・監督賞にノミネーションさえありませんでした。映画部門とTVシリーズ部門に分かれています。ノミネーションは以下にアップしています。
*イベロアメリカ・フェニックス賞2018ノミネーション発表の記事は、コチラ⇒2018年09月30日
*映画部門*
◎作品賞(長編7作品)
「Alanis」監督アナイ・ベルネリ(アルゼンチン)
「As boas maneiras」同フリアナ・ロハス&マルコ・ドゥトラ(ブラジル)
「Cocote」同ネルソン・カルロ・デ・ロス・サントス・アリアス(ドミニカ共和国)
「Las herederas」同マルセロ・マルティネシ(パラグアイ) 邦題『相続人』
「Museo」同アロンソ・ルイスパラシオス(メキシコ)
〇「Pájaros de verano」チロ・ゲーラ&クリスティナ・ガジェゴ(コロンビア)邦題『夏の鳥』
「Zama」同ルクレシア・マルテル(アルゼンチン) 邦題『サマ』

(クリスティナ・ガジェゴを囲んで喜びの関係者一同)
◎監督賞(7人)
アナイ・ベルネリ「Alanis」
フリオ・エルナンデス・コルドン「Cómparame un Revólver」(メキシコ)
〇マルセロ・マルティネシ「Las herederas」
ラウラ・モラ「Matar a Jesús」(コロンビア)
アロンソ・ルイスパラシオス「Museo」
チロ・ゲーラ&クリスティナ・ガジェゴ「Pájaros de verano」
ルクレシア・マルテル「Zama」

(『相続人』のマルセロ・マルティネシ監督)
◎女優賞
カルミニャ・マルティネス 『夏の鳥』

◎男優賞
ロレンソ・フェロ 「El Angel」監督ルイス・オルテガ(アルゼンチン、西)

(トランプ大統領とアルゼンチン大統領マクリを批判したロレンソ・フェロ)
◎脚本賞
ラウラ・モラ&アロンソ・トレス「Matar a Jesús」(コロンビア)

◎撮影賞
ルイ・ポサス 「Zama」

(ミゲル・アンヘル・シルベストルからトロフィーを受け取るルイ・ポサス)
◎美術デザイン賞
レナータ・ピネイロ 「Zama」

◎衣装賞
メルセ・パロマ 「La librería」 監督イサベル・コイシェ(スペイン、イギリス)
◎録音賞
グイド・ベレンブラム&エマニュエル・クロセット「Zama」

◎編集賞
ミゲル・シュアードフィンガー&カレン・ハーレー 「Zama」

◎オリジナル音楽賞
レオナルド・Heiblum 『夏の鳥』
◎長編ドキュメンタリー賞
「Muchos hijos, un mono y un castillo」 監督グスタボ・サルメロン(スペイン)

(左から2人目の監督とヒロインの母親)
◎ドキュメンタリー撮影賞
フアン・サルミエント G. 「Central Airport THF」監督カリム・アイノズ(ブラジル、独、仏)

◎ネットフリックス・オペラ・プリマ賞
『相続人』マルセロ・マルティネシ(パラグアイ、独、ブラジル、ウルグアイ、ノルウェー、仏)

◎批評家賞
ルシアノ・モンテアグド(アルゼンチンの映画批評家)

◎シネアスト賞
ルイス・カルロス・バヘット(ブラジルの映画プロデューサー)

◎Exhibidores賞
「Perfectos desconocidos」監督アレックス・デ・ラ・イグレシア(スペイン)
*テレビ部門*
◎TVシリーズ
「La casa de Papel」シーズン2 (スペイン) 邦題『ペーパー・ハウス』

◎俳優アンサンブル賞
「Aquí en la tierra」シーズン1(メキシコ)




★写真は入手できたもの。
第5回イベロアメリカ・フェニックス賞2018*ノミネーション発表 ― 2018年09月30日 17:30
ネットフリックスの存在が大きくなってきたフェニックス賞2018
★去る9月24日、第5回イベロアメリカ・フェニックス賞2018のノミネーション発表がメキシコシティでありました。カテゴリーと解説に齟齬があったりカテゴリーの数が違ったりと、サイトでノミネーション個数にばらつきがありますが、当たらずとも遠からずでいくと、最多ノミネーションは、コロンビアのチロ・ゲーラ&クリスティナ・ガジェゴの「Pájaros de verano」の9個、アルゼンチンのルクレシア・マルテルの『サマ』の8個でした。作品・監督・脚本・男優女優・撮影・・・と両作とも主要カテゴリーに選ばれています。
★イベロアメリカとはいえ、旧宗主国のスペインとポルトガルは影が薄く、第4回までの作品賞はすべてラテンアメリカ映画が制しています(第1回メキシコの『金の鳥籠』、第2回から4回までの『ザ・クラブ』、『ネルーダ 大いなる愛の逃亡者』、『ナチュラルウーマン』と連続でチリが受賞しています)。今年スペインとポルトガルは主要カテゴリーのノミネーションがゼロでした。

(イベロアメリカ・フェニックス賞ノミネーション発表に集まったシネアストたち)
★チロ・ゲーラ&クリスティナ・ガジェゴの「Pájaros de verano」は、カンヌ映画祭2018併催の「監督週間」のオープニング作品です。チロ・ゲーラ映画の製作者クリスティナ・ガジェゴの初監督作品です。2016年には夫婦二人三脚で『彷徨える河』などの力作を撮っています。9カテゴリーの内訳は、作品・監督・脚本・撮影・編集・美術・衣装・オリジナル音楽、ゴッドマザーを演じたカルミナ・マルティネスが女優賞にノミネートされた(美術がないサイトあり)。
*「Pájaros de verano」の作品紹介は、コチラ⇒2018年05月18日

(女優賞ノミネートのカルミナ・マルティネスとラウラ・モラの「Matar a Jesús」から)
★ルクレシア・マルテルの『サマ』は、ベネチア映画祭2017のコンペティション外上映、国際映画祭に数多く出品され、ラテンビートでも昨年上映されました。しかし批評家の高い評価にもかかわらず今もって作品賞は受賞しておりません。イベロアメリカ諸国の公開が殆ど2018年だったことで、今年のノミネーションになりました。8カテゴリーの内訳は、作品・監督・脚本・撮影・編集・美術・録音とダニエル・ヒメネス・カチョが男優賞にノミネートされました。
*『サマ』の主な紹介記事は、コチラ⇒2017年10月13日

(サマを演じ男優賞ノミネートのダニエル・ヒメネス・カチョ、映画から)
★2作に続いて、メキシコのアロンソ・ルイスパラシオスの第2作「Museo」の6個です。その内訳は、作品・監督・撮影・オリジナル音楽・録音、ガエル・ガルシア・ベルナルの男優賞です。ベルリン映画祭2018脚本賞受賞作品。
*「Museo」の作品紹介は、コチラ⇒2018年02月19日

(男優賞ノミネートのガエル・ガルシア・ベルナル、映画から)
★同じくパラグアイのマルセロ・マルティネシの「Las herederas」の6個です。その内訳は、作品・監督・脚本・撮影・美術・録音、ベルリン映画祭で女優賞を受賞したアナ・ブルンはノミネートされませんでした。ベルリン映画祭2018のアルフレッド・バウアー賞と国際映画批評家連盟賞受賞作品、サンセバスチャン映画祭「ホライズンズ・ラティノ」部門オープニング作品、ラテンビート2018上映作品です。
*「Las herederas」の作品紹介は、コチラ⇒2018年02月16日

(監督とアナ・ブルン)
★作品賞・監督賞のノミネーションだけアップしておきます。
◎作品賞(7作品)
「Alanis」監督アナイ・ベルネリ、アルゼンチン
「As boas maneiras」同フリアナ・ロハス&マルコ・ドゥトラ、ブラジル
「Cocote」同ネルソン・カルロ・デ・ロス・サントス・アリアス、ドミニカ共和国
「Las herederas」同マルセロ・マルティネシ、パラグアイ
「Museo」同アロンソ・ルイスパラシオス、メキシコ
「Pájaros de verano」同チロ・ゲーラ&クリスティナ・ガジェゴ、コロンビア
「Zama」同ルクレシア・マルテル、アルゼンチン
◎監督賞(7人)
アナイ・ベルネリ「Alanis」
フリオ・エルナンデス・コルドン「Cómparame un Revólver」メキシコ
マルセロ・マルティネシ「Las herederas」
ラウラ・モラ「Matar a Jesús」コロンビア
アロンソ・ルイスパラシオス「Museo」
チロ・ゲーラ&クリスティナ・ガジェゴ「Pájaros de verano」
ルクレシア・マルテル「Zama」
★という具合でスペイン映画は作品賞にも監督賞にも見当たりませんでした。ドキュメンタリー部門にゴヤ賞2018受賞の「Muchos hijos, un mono un castillo」、男優賞に「El autor」のハビエル・グティエレス、脚本賞に「Petra」のハイメ・ロサレス、美術賞に「Handia」と「La libreria」他がありました。
★TVシリーズ部門ではネットフリックスの存在の大きさが際立っています。昨年も『ナルコス』などが受賞しましたが、今年もノミネーション5作品のうち3作がネットフリックスがらみです。スペインの「La casa de papel」(『ペーパー・ハウス』シーズン2)、メキシコ=米の「Narcos」(『ナルコス』シーズン3)、アメリカ製作の「Luis Miguel:La serie」(シーズン1)の3作です。ルイス・ミゲルというのは一名メキシコの「太陽El Sol」と言われるほどのプエルトリコ生れのメキシコの歌手、現在活躍中の歌手のビオピック、グラミー賞5回受賞でハリウッドのウォーク・オブ・フェームに星が刻まれています。しばらく活動を休むなど謎の多い歌手ですが昨年復活しました。ルイス・ミゲルをディエゴ・ボネタ、歌手だった父親をオスカル・ハエナダが演じています。シーズン1(13話)が2018年4月からメキシコ、米国、スペイン、生れ故郷プエルトリコでNetflix同時配信されました(日本は未配信のようです)。

(『ペーパー・ハウス』から)

(『ナルコス』シーズン3)

(ディエゴ・ボネタ、「Luis Miguel:La serie」から)
★この映画賞の作品選考はメキシコの「シネマ23」が中心になって行なわれ、イベロアメリカ映画アカデミー連盟、メキシコ映画アカデミーが参画、第16回モレリア映画祭(10月20~28日)で受賞結果発表があり、ガラは11月7日、メキシコシティのエスペランサ・アイリス・シティシアターで開催される予定。
第60回アリエル賞2018*結果発表 ― 2018年06月15日 18:34
「私たち(の国)は病んでいます。どうか早く健康になりますように」とアマ・エスカランテ

★第60回を迎えたアリエル賞2018(メキシコ映画アカデミーAMACC)の標語は「No somxs tres, somos todxs」(我々は3人ではない、みんな一緒です)、これは去る3月19日に行方不明になったメディオス・オーディオビジュアルス大学の3人の学生の追悼というか連帯を込めたスローガンです。マフィアと警察と政治家が三位一体のようなメキシコでは、一般人が日常的に暴力や生命の危険に晒されている現状がうかがい知れます。3人だけでなく過去に起きた全ての誘拐拉致被害者を追悼しているようです。2018年の監督賞を受賞したアマ・エスカランテは「私たち(の国)は病んでいます。どうか早く健康になりますように」とスピーチしました。
(結果発表、メキシコ6月5日)

(「No somxs tres, somos todxs」のスローガンが掲げられた授賞式会場)
★授賞式のハイライト最高賞の作品賞は、エルネスト・コントレラス(1969、ベラクルス)の「Sueños en otro idioma」が受賞、他オリジナル脚本賞、オリジナル音楽賞、撮影賞などトータル6冠に輝きました。彼はアリエル賞を主催するAMACC会長に2017年11月就任したばかりです(任期は2年、2019年10月まで)。

(AMACC会長エルネスト・コントレラス、授賞式にて)
★監督賞以下、編集賞、助演女優賞、特殊効果賞など5冠がアマ・エスカランテの「La región salvaje」、『触手』の邦題で、短期間(2018年3月)ながら公開された作品。本邦では『サングレ』『よそ者』『エリ』と、カンヌやベネチアで評価されたこともあって比較的認知度のある監督でしょうか。当ブログ紹介作品は、イベロアメリカ映画賞を受賞したセバスティアン・レリオの『ナチュラルウーマン』、アナ・バレリアが新人女優賞を受賞したミシェル・フランコの『母という名の女』、ドキュメンタリー賞を受賞したエベラルド・ゴンサレスの「La libertad del diablo」の4作品です。
*『よそ者』の紹介記事は、コチラ⇒2013年10月10日
*『エリ』の紹介記事は、コチラ⇒2013年10月08日
*「La región salvaje」(『触手』)の紹介記事は、コチラ⇒2016年08月04日
*『ナチュラルウーマン』の紹介記事は、コチラ⇒2018年03月16日
*『母という名の女』の紹介記事は、コチラ⇒2017年05月08日
*主な受賞結果*
◎作品賞
「Sueños en otro idioma」 エルネスト・コントレラス

◎監督賞
アマ・エスカランテ (「La región salvaje」『触手』)

◎男優賞
エリヒオ・メレンデス(「Sueños en otro idioma」)

◎女優賞
カリナ・ヒディGidi (「Los adioses」)

◎長編ドキュメンタリー賞
「La libertad del diablo」 (監督エベラルド・ゴンサレス)

◎新人男優賞
フアン・ラモン・ロペス (「Vuelven」)

◎新人女優賞
アナ・バレリア・べセリル (「Las hijas de Abril」 邦題『母という名の女』)

◎イベロアメリカ映画賞
『ナチュラルウーマン』 (監督セバスティアン・レリオ)
(製作者フアン・デ・ディオス・ララインと主演のダニエラ・ベガ)
◎撮影賞
トナティウ・マルティネス (「Sueños en otro idioma」)

◎オペラ・プリマ(初監督作品)賞
「El vigilante」 (監督ディエゴ・ロス)

◎編集賞
フェルナンダ・デ・ラ・ペサ、Jacob Secher Schulsingaer (「La región salvaje」)

フェルナンダ・デ・ラ・ペサ
◎特殊効果賞
ホセ・マヌエル・マルティネス (「La región salvaje」)

◎視覚効果賞
Peter Hjorth (「La región salvaje」)
◎オリジナル脚本賞
カルロス・コントレラス (「Sueños en otro idioma」)

◎美術デザイン賞
アントニオ・モニョイエロ (「El elegido」)
カルロス・ハケス (「La habitación」)
◎メイクアップ賞
アダム・ソリェル (「Vuelven」)

◎衣装賞
マリエステラ・フェルナンデス、ガブリエラ・ディアケ (「La habitación」)

マリエステラ・フェルナンデス
◎助演男優賞
アンドレス・アルメイダ (「Tiempo compartido」)

◎助演女優賞
ベルナルダ・トゥルエバ (「La región salvaje」)

◎短編アニメーション賞
「Cerulia」 (監督ソフィア・カリージョ)

◎短編映画賞
「Oasis」 (監督アレハンドロ・スノ)

◎短編ドキュメンタリー賞
「La muñeca tetona」 (監督ディエゴ・エンリケ・オソルノ、アレハンドロ・アルドレテ)

◎録音賞
エンリケ・グレイネル、パブロ・タメス、ライムンド・バジェステロス
(「Sueños en otro idioma」)

◎オリジナル音楽賞
アンドレス・サンチェス・マエル (「Sueños en otro idioma」)

◎脇役男優賞(coactuación)
ミゲル・ロダルテ (「Sueños en otro idioma」)

◎脇役女優賞(coactuación)
ベロニカ・トゥサンToussaint (「Oso Polar」)

◎「金のアリエル」(栄誉賞)
Queta Lavat (メキシコの女優)

Toni Khun (スウェーデン出身メキシコの撮影監督)

★フォトは入手できたものです。
第5回イベロアメリカ・プラチナ賞2018*結果発表 ― 2018年05月03日 09:33
大賞はセバスティアン・レリオの『ナチュラルウーマン』が独占しました!

★4月29日メキシコのカンクン近郊のリゾート地シカレ・リビエラ・マヤで、イベロアメリカ・プラチナ賞の結果発表がありました。本賞は奇数回がラテンアメリカ諸国、偶数回がスペイン各都市と持ち回りで開催されています。スペインが指導的役割を担っておりますが、ラテンアメリカ諸国の映画振興が目的の一つということもあって、受賞作品はそちらに流れる傾向があります。今回はメキシコがホスト国で、エウヘニオ・デルベスが総合進行役を務めました。栄誉賞はメキシコの大女優アドリアナ・バラサの手に渡りましたが、メキシコ映画は残念ながら振るいませんでした。大賞はチリの『ナチュラルウーマン』が独占、技術部門はアルゼンチンの『サマ』と、ほとんどをこの2国が制しました。主なカテゴリーの受賞者は以下の通り。
(TVシリーズは割愛、*当ブログ紹介作品)
*ノミネーション発表は、コチラ⇒2018年03月20日

(メキシコのマルチ・アーティスト、エウヘニオ・デルベス)
◎作品賞(フィクション部門)
La cordillera(「サミット」アルゼンチン、スペイン)*
La librería(スペイン)*
Ultimos días en La Habana(キューバ、スペイン)*
Una mujer fantástica(「ナチュラルウーマン」チリ、スペイン)*
Zama(「サマ」アルゼンチン、ブラジル、スペイン、メキシコ、ポルトガル)*


(中央トロフィーを手にしているのが製作者フアン・デ・ディオス・ラライン)
◎監督賞
アレックス・デ・ラ・イグレシア Perfectos desconocidos(スペイン)*
フェルナンド・ぺレス Ultimos días en La Habana(キューバ、スペイン)*
イサベル・コイシェ La librería(スペイン)*
ルクレシア・マルテル「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、スペイン、メキシコ、ポルトガル)*
セバスティアン・レリオ 「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)*


◎脚本賞
カルラ・シモン Verano 1993 「夏、1993」(スペイン)*
フェルナンド・ぺレス&アベル・ロドリゲス Ultimos días en La Habana(キューバ、西)*
イサベル・コイシェ La librería(スペイン)*
ルクレシア・マルテル 「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、西、メキシコ、ポルトガル)*
セバスティアン・レリオ&ゴンサロ・マサ 「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)*

◎オリジナル作曲賞
アルベルト・イグレシアス 「サミット」(監督サンティアゴ・ミトレ、アルゼンチン、西)*
アルフォンソ・ビラリョンガ La librería(スペイン)*
デルリスA. ゴンサレス Los buscadores(パラグアイ)
フアン・アントニオ・レイバ&マグダ・ロサ・ガルバン El techo(ニカラグア、キューバ)
プリニオ・プロフェタ O filme da minha vida(ブラジル)

◎男優賞
アルフレッド・カストロ Los perros(マルセラ・サイド、チリ、アルゼンチン、ポルトガル)*
ダニエル・ヒメネス・カチョ「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、西、メキシコ、ポルトガル)*
ハビエル・バルデム Loving Pablo(スペイン)*
ハビエル・グティエレス El autor(スペイン、メキシコ)*
ホルヘ・マルティネス Ultimos días en La Habana(キューバ、スペイン)*

◎女優賞
アントニア・セヘルス Los perros(チリ、アルゼンチン、ポルトガル)*
ダニエラ・ベガ 「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)*
エンマ・スアレス Las hijas de Abril(メキシコ)*
マリベル・ベルドゥ Abracadabra(スペイン)*
ソフィア・ガラ Alanis(アルゼンチン)


◎作品賞(アニメーション部門)
Deep(スペイン)
El libro de lila(コロンビア、ウルグアイ)
Historia antes de uma historia(ブラジル)
Lino-Uma aventura de sete vidas(ブラジル)
Tadeo Jones 2. El secretodel Rey Midas(監督エンリケ・ガト&ダビ・アロンソ、スペイン)

◎作品賞(ドキュメンタリー部門)
Dancing Beethoven(スペイン)
Ejercicios de memoria(パラグアイ、アルゼンチン)
El pacto de Adriana(チリ)
Los niños(チリ)
Muchos hijos, un mono y un castillo(監督グスタボ・サルメロン、スペイン)*

◎オペラ・プリマ初監督作品賞
El techo(ニカラグア、キューバ)
La defensa del dragón(コロンビア)*
La llamada(スペイン)*
La novia del desierto(アルゼンチン、チリ)*
Mala junta(チリ)
Verano 1993(監督カルラ・シモン、スペイン)*

◎編集賞
アナ・プファフ&ディダク・パロウ 「夏、1993」(スペイン)*
エティエンヌ・ボーザック La mujer del animal(コロンビア)*
ミゲル・シュアードフィンガー&カレン・ハーレー
「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、スペイン、メキシコ、ポルトガル)*
ロドルフォ・バロス Ultimos días en La Habana(キューバ、スペイン)*
ソレダード・サルファテ 「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)*

◎美術賞
エステファニア・ラライン「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)*
ミケル・セラーノ Handia*
モニカ・ベルヌイ 「夏、1993」(スペイン)*
レナタ・ピネイロ 「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、スペイン、メキシコ、ポルトガル)*
セバスティアン・オルガンビデ&ミカエラSaiegh 「サミット」(アルゼンチン、スペイン)*

◎撮影賞
ベンハミン・エチャサレッタ 「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)*
ハビエル・フリア 「サミット」(アルゼンチン、スペイン)*
ラウル・ペレス・ウレタ Ultimos días en La Habana(キューバ、スペイン)*
ルイ・ポサス 「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、スペイン、メキシコ、ポルトガル)*
サンティアゴ・ラカ 「夏、1993」(スペイン)*
*ルイ・ポサス欠席のためブラジル側の製作者バニア・カタニが受け取った(下の写真参照)。

◎録音賞
アイトル・ベレングエラ、ガブリエル・グティエレス、ニコラス・デ・ポウルピケ
Verónica(「エクリプス」スペイン)
グイド・ベレンブルム 「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、西、メキシコ、ポルトガル)*
セルヒオ・ブルマン、ダビ・ロドリゲス、ニコラス・デ・ポウルピケ
El bar(「クローズド・バル~街角の狙撃手と8人の標的」スペイン、アルゼンチン)*
Sheyla Pool Ultimos días en La Habana(キューバ、スペイン)*
ティナ・Laschke 「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)*


(左から、各自トロフィーを手にしたソレダード・サルファテ、グイド・ベレンブルム、
バニア・カタニ、レナータ・ピネイロ)
◎価値ある教育シネマ賞
Como nossos pais ブラジル
Handia (監督アイトル・アレギ&ジョン・ガラーニョ)スペイン*
La mujer del animal コロンビア*
Mala junta チリ
Una mujer fantástica「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)*

◎イベロアメリカ・プラチナ栄誉賞
★アドリアナ・バラサ(日本ではバラッザと表記)Adriana Barrza、1956年メキシコ州トルーカ生れ62歳、女優、監督、製作者。イベロアメリカ映画の若い世代にとっては師であり道しるべ的存在である。サム・ライミのスリラー・ホラー『スペル』(09)の霊能者役から、アレハンドロ・ゴンサロ・イニャリトゥの『アモーレス・ぺロス』(99)、続いて『バベル』(06)に出演、本作でアカデミー賞とゴールデン・グローブ賞助演女優賞にノミネートされたほか、ゴッサム賞「アンサンブル・パフォーマンス賞」に共演のブラッド・ピットやケイト・ブランシェット、G.G.ベルナルなどと受賞した。142分という長い疲れる映画でしたが大ヒットした。他の公開作品ではケネス・ブラナーが実写映画化した『マイティ・ソー』(11)、パトリシア・リヘンの『チリ33人、希望の軌跡』(15)に脇役で出演している。

(『バベル』の第2部アメリカ・メキシコ編で家政婦アメリアを演じた)
★監督としてはTVシリーズのテレノベラを多く手掛けている。他に演劇では、『マクベス』のような古典劇の編集も手掛け、2011年には夫君であるブエノスアイレス出身の俳優、監督、プロデューサーArnaldo Pipkeと「アドリアナ・バラサ・アクティング・スタジオ」という俳優養成学校を米国で設立したほか、「アドリアナ・バラサ・ブラック・ボックス」というヒスパニック演劇フェスティバルが開催できる演劇空間をマイアミに設立している。夫君はメキシコ、マイアミ、ブエノスアイレスで幅広く活躍している。

(栄誉賞のトロフィーを手にしたアドリアナ・バラサ、4月29日)
第5回イベロアメリカ・プラチナ賞2018*ノミネーション発表 ― 2018年03月20日 14:23
『ナチュラルウーマン』最多の9部門ノミネーション
★第5回イベロアメリカ・プラチナ賞のガラが、昨年の7月から4月に前倒しになったせいか、ノミネーション発表も2月下旬と早まりました。目下、ガラはラテンアメリカ諸国とスペインとで交互に開催されています。パナマ、スペインのマルベージャ、ウルグアイのプンタ・デル・エステ、マドリード、今回はメキシコのカンクン近郊のリゾート地シカレ・リビエラ・マヤ(グラン・ティラッコ劇場Teatro Gran Tlachco de Xcaret 1800人収容)で4月29日です。総合進行役はメキシコの俳優・監督・製作者・脚本家と多才なエウヘニオ・デルベス、彼は第1回プラチナ賞男優賞の受賞者です。
*第1回イベロアメリカ・プラチナ賞授賞式の記事は、コチラ⇒2014年4月17日
★映画賞は過去の作品に贈られる賞だから受賞結果だけでもと思いつつ、まだ5回目という歴史の浅い映画賞、イベロアメリカ諸国以外では話題にならないことも考慮して、やはりアップしておくことにしました。開催時期が3月から4月になった第21回マラガ映画祭(4月13日~22日)の各賞発表が五月雨式にアップされています。ギレルモ・デル・トロのマラガ賞受賞を手始めに、そろそろ紹介していく予定です。第71回カンヌ映画祭(5月8日~19日)も未だ発表になっておりません。今回の審査委員長は女性と予想しておりましたが、ケイト・ブランシェットに決定したようです。スペイン語映画がノミネートされるようでしたら記事にしたい。
★主なカテゴリー
(製作国はイベロアメリカ諸国限定。「」は公開または映画祭上映時の邦題 *当ブログ紹介)
◎作品賞(フィクション部門)
La cordillera(「サミット」アルゼンチン、スペイン)*
La librería(スペイン)*
Ultimos días en La Habana(キューバ、スペイン)*
Una mujer fantástica(「ナチュラルウーマン」チリ、スペイン)*
Zama(「サマ」アルゼンチン、ブラジル、スペイン、メキシコ、ポルトガル)*

◎監督賞
アレックス・デ・ラ・イグレシア Perfectos desconocidos(スペイン)*
フェルナンド・ぺレス Ultimos días en La Habana(キューバ、スペイン)*
イサベル・コイシェ La librería(スペイン)*
ルクレシア・マルテル 「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、西、メキシコ、ポルトガル)*
セバスティアン・レリオ 「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)*

◎脚本賞
カルラ・シモン Verano 1993 「夏、1993」(スペイン)*
フェルナンド・ぺレス&アベル・ロドリゲス Ultimos días en La Habana(キューバ、西)*
イサベル・コイシェ La librería(スペイン)*
ルクレシア・マルテル 「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、西、メキシコ、ポルトガル)*
セバスティアン・レリオ&ゴンサロ・マサ 「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)*

◎オリジナル作曲賞
アルベルト・イグレシアス 「サミット」(アルゼンチン、スペイン)*
アルフォンソ・ビラリョンガ La librería(スペイン)*
デルリスA. ゴンサレス Los buscadores(パラグアイ)
フアン・アントニオ・レイバ&マグダ・ロサ・ガルバン El techo(ニカラグア、キューバ)
プリニオ・プロフェタ O filme da minha vida(ブラジル)

◎男優賞
アルフレッド・カストロ Los perros(チリ、アルゼンチン、ポルトガル)*
ダニエル・ヒメネス・カチョ「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、西、メキシコ、ポルトガル)*
ハビエル・バルデム Loving Pablo(スペイン)*
ハビエル・グティエレス El autor(スペイン、メキシコ)*
ホルヘ・マルティネス Ultimos días en La Habana(キューバ、スペイン)*

◎女優賞
アントニア・セヘルス Los perros(チリ、アルゼンチン、ポルトガル)*
ダニエラ・ベガ 「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)*
エンマ・スアレス Las hijas de Abril(メキシコ)*
マリベル・ベルドゥ Abracadabra(スペイン)*
ソフィア・ガラ Alanis(アルゼンチン)

◎作品賞(アニメーション部門)
Deep(スペイン)
El libro de lila(コロンビア、ウルグアイ)
Historia antes de uma historia(ブラジル)
Lino-Uma aventura de sete vidas(ブラジル)
Tadeo Jones 2. El secretodel Rey Midas(スペイン)

「Lino-Uma aventura de sete vidas」
◎作品賞(ドキュメンタリー部門)
Dancing Beethoven(スペイン)
Ejercicios de memoria(パラグアイ、アルゼンチン)
El pacto de Adriana(チリ)
Los niños(チリ)
Muchos hijos, un mono y un castillo(スペイン)*

「Muchos hijos, un mono y un castillo」
◎オペラ・プリマ初監督作品賞
El techo(ニカラグア、キューバ)
La defensa del dragón(コロンビア)*
La llamada(スペイン)*
La novia del desierto(アルゼンチン、チリ)*
Mala junta(チリ)
Verano 1993(スペイン)*

◎編集賞
アナ・プファフ&ディダク・パロウ 「夏、1993」(スペイン)*
エティエンヌ・ボーザック La mujer del animal(コロンビア)*
ミゲル・シュアードフィンガー&カレン・ハーレー
「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、スペイン、メキシコ、ポルトガル)*
ロドルフォ・バロス Ultimos días en La Habana(キューバ、スペイン)*
ソレダード・サルファテ 「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)*

◎美術賞
エステファニア・ラライン「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)*
ミケル・セラーノ Handia*
モニカ・ベルヌイ 「夏、1993」(スペイン)*
レナタ・ピネイロ 「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、スペイン、メキシコ、ポルトガル)*
セバスティアン・オルガンビデ&ミカエラ Saiegh 「サミット」(アルゼンチン、スペイン)*

◎撮影賞
ベンハミン・エチャサレッタ 「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)*
ハビエル・フリア 「サミット」(アルゼンチン、スペイン)*
ラウル・ペレス・ウレタ Ultimos días en La Habana(キューバ、スペイン)*
ルイ・ポサス 「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、スペイン、メキシコ、ポルトガル)*
サンティアゴ・ラカ 「夏、1993」(スペイン)*

◎録音賞
アイトル・ベレングエラ、ガブリエル・グティエレス、ニコラス・デ・ポウルピケ
Verónica(「エクリプス」スペイン)
グイド・ベレンブルム 「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、西、メキシコ、ポルトガル)*
セルヒオ・ブルマン、ダビ・ロドリゲス、ニコラス・デ・ポウルピケ
El bar(「クローズド・バル~街角の狙撃手と8人の標的」スペイン、アルゼンチン)*
Sheyla Pool Ultimos días en La Habana(キューバ、スペイン)*
ティナ・Laschke 「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)*

◎価値ある教育シネマ賞
Como nossos pais ブラジル
Handia スペイン*
La mujer del animal コロンビア*
Mala junta チリ
Una mujer fantástica 「ナチュラルウーマン」チリ、スペイン*

*テレビ・シリーズのノミネーションは割愛、受賞作品はアップします。
*掲載写真は各国から適当に選んだものです。
★ざっと眺めただけで単独合作含めてスペインのノミネーションが多い。作品・監督・脚本賞のいずれにも顔を出している。ドキュメンタリーやアニメーションを合計すると20作ぐらいになるか。メキシコが開催国だがいささか寂しい印象です。メキシコ、ブラジル、チリなど除くと、ラテンアメリカ諸国は1国だけで製作するのは難しいことが分かります。少しはマシなスペインの資金提供となる。
★今回の参加国は23ヵ国だそうですが(ノミネーションを受けた国は11ヵ国)、ゴヤ賞2018イベロアメリカ映画賞にノミネートさえされなかったフェルナンド・ぺレスの「Ultimos días en La Habana」が、7カテゴリーでノミネートされている。悪くはなかったが、個人的には少し奇異な印象をもちました。
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