モントリオール映画祭2014*ノミネーション③ ― 2014年08月21日 17:13
★今年はメキシコが元気で2本ノミネート、「ワールド・コンペティション部門」にもルイス・ウルキサ・モンドラゴン、短編部門には3本もノミネートされています。
ファースト・フィルム部門(続)
★“Los bañistas”(Open
Cage)メキシコ、マックス・スニノ(監督・脚本・製作)
2014、コメディ
*共同脚本:ソフィア・エスピノサ、撮影:ダリエラ・ルドロウ、音楽:セバスチャン・スニノ
音響:アシエル・ゴンサレス、編集:ヨアメ・エスカミラ、製作:Casas Productoras他
プロデューサー:グロリア・カラスコ他
キャスト:フアン・カルロス・コロンボ(マルティン)、ソフィア・エスピノサ(フラビア)、ハロルド・トーレス(セバスチャン)、スサナ・サラサール(エルバ)、アルマンド・エスピティア(ペドロ)他

ストーリー:経済が麻痺状態に陥り、そのせいで周囲の状況は道徳的貧困さえきたしている。甘やかされて育ったティーンエイジャーのフラビアは、アーティスト希望だが大学受験に失敗、挫折感を味わっている。そんなとき彼女は、自分とは正反対の堅物、大人の隣人マルティンと知り合いになる。初めはぶつかり合って上手くいきそうには思われなかったが・・・

(フラビア役のソフィア・エスピノサ、映画のシーン)
*監督紹介:マックス・スニノ Max Zuninoはウルグアイ生れ、子供のときにメキシコに移住してきた。監督、脚本家、プロデューサー。情報科学技術科を卒業後、キューバのサン・アントニオ・デ・ロス・バニョスの映画&テレビのコースで学ぶ。短編“Recuerdo del mar”(2005)、本作が第29回グアダラハラ国際映画祭(FICG29)「イベロアメリカ・コンペティション部門」に正式出品、長編フィクションGuerrero de la Prensa(Press Warrior) 賞を受賞する。

(左から、カラスコ、コロンボ、監督、ソフィア、FICG29にて)
*ソフィア・エスピノサはマリサ・Sistachの“La niña en la piedra”(2006)で翌年のアリエル賞女優賞にノミネートされている。フアン・カルロス・コロンボは、ギジェルモ・デル・トロの『クロノス』(1993)やルイス・エストラーダの“La ley de Herodes”(1999)に出演、多くの国際映画祭で数々の賞に輝いた作品、本作でアリエル賞にもノミネートされたベテラン俳優。ペドロ役のアルマンド・エスピティアはアマ・エスカランテの『エリ』で主役エリを演じた俳優です。
★“Gonález”メキシコ、クリスチャン・ディアス・パルド(監督・脚本)
2013、スリラー、102分、メキシコ公開6月
*共同脚本:フェルナンド・デル・ラソ、撮影:フアン・パブロ・ラミレス、
音楽:ガロ・ドゥラン、編集:レオン・フェリペ・ゴンサレス、
プロデューサー:ラウラ・ピノ、ハロルド・トーレス、製作:FOPROCINE、Chacal
Filmes他
キャスト:ハロルド・トーレス(ゴンサレス)、カルロス・バルデム(エリアス牧師)、オルガ・セグラ(ベトサベ)、ガストン・ピーターソン(パブロ)他

ストーリー:平凡な若者ゴンサレスは長らく失業中であり、借金に苦しんでいる。大都会の片隅にある賃貸アパートに住んでおり、母親を養わねばならないが、心配をかけたくないので失業を隠している。ゴンサレス同様ここで暮らす多くの人が借金を抱えており、解雇されれば返済は滞り借金は増え続けるだけである。ゴンサレスはある教会付属のコール・センターで交換手の職を得る。仕事は主イエス・キリストの名において、彼より貧しい<隣人>からカネを毟るとることであった。このインチキ宗教のトップはブラジル人のエリアス牧師でかき集めたお布施を洗浄している。現代のペテン師は本当の<神性>とは程遠い典型的な社会の害虫だった。お金を生みだす簡単な方法を発見した無神論者のゴンサレスは、この汚いシステムに急降下していく。
*監督紹介:クリスティアン・ディアス・パルドChristian Diaz Pardoは、監督・脚本家・製作者。第11回モレリア国際映画祭FICM(2013、10月下旬開催)正式出品、第6回メキシコ映画祭FCM(2013)で批評家賞を受賞した。短編“Los esquimales y el cometa”(2005、モノクロ、
8分)、“Antes del desierto”(2010、カラー、16分)。

(クリスチャン・ディアス・パルド、メキシコ映画祭にて)
★貧者の信仰を利用して大金を溜めこみ権力をほしいままにしている宗教活動家の問題についての映画である。ディアス・パルド監督によると、最初は同僚の女性から、ある宗派の教会をテーマにしたドキュメンタリーが提案された。調査を始めてみると、どうもドキュメンタリーは制約が多く難しいことが分かり、つまり撮影を断られたのでフィクションに変更したようです。暗部を描くわけだから当たり前ですよね。トーレスによって演じられたゴンサレスの人物造形はとても複雑で難しかった。孤立無援の社会に幻滅したただのワルにはしたくなかった。同時に大衆を魅了し、彼と接することで人々が一体感を持てるような人格にしたかった。またカフカの『変身』を自由に翻案して、心理的な色調の強いスリラーになっているということです。キャスティングはトーレスと一緒に選んだ。

★ハロルド・トーレスは、“Los bañistas”にも出演していますが、カルロス・キュアロン(クアロン)の『ルドとクルシ』(2008)、キャリー・フクナガの『闇の列車、光の旅』(09)に脇役で出演、リゴベルト・ペレスカノの話題作“Norteado”(2009)で主役アンドレスを射止めた。翌年のアリエル賞主演男優賞にノミネートされている。豊かな北を目指すという『闇の列車、光の旅』と同じテーマながら、より現実に近い印象を受ける。かねてから知り合いであったバルデムにエリアス牧師役を打診したのがトーレスだった。
★カルロス・バルデムは、メキシコ映画出演は3本目だそうで、トーレスからのオファーを即座にOKした由。ブラジルに4年間過ごした経験のあるバルデムはポルトガル語に堪能、ポルトニョル(ポルトガル風スペイン語)で教区民にミサを説教する。バルデムは「メキシコは良きにつけ悪しきにつけダイナミックな社会、伝統をもち端正な美しさも凄まじさも兼ね揃えている。自分にとっては魅力的、撮影中はごきげんだった。この手の教会の裏側を炙りだす物語は、資金の集め方、マネーロンダリングの枠組みなど興味は尽きない。メキシコだけでなくスペインもその他のヨーロッパ諸国もやってること」と語っています。
★オルガ・セグラは製作者・女優とやり手の才媛、メキシコ・シティ生れだがパナマで育った。Jesse Bagetの“Cellmates”で映画デビュー、Omar
Ynigoのコメディ“Malcelo”(2012)など。ガストン・ピーターソンは、メキシコ版“Marcelino Pan y Vino”(2010)のパピージャ神父役で出演している。
コメント
_ アリババ39 ― 2014年09月03日 09:52
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ワールド・コンペティション部門のグランプリ受賞を含めると、スペイン語映画ではメキシコがすべての賞をさらってしまった印象です。