セクション・オフィシアルの発表始まる*マラガ映画祭2021 ⑤2021年05月09日 17:32

          スペイン映画3作、ラテンアメリカ映画2作がアナウンスされました

 

        

63日に開幕する第24回マラガ映画祭のセクション・オフィシアルの5作品が発表になりました。スペイン映画3作、ラテンアメリカ映画2作(ペルー=コロンビア合作、メキシコ)、合計5作品と僅かで全体像は見えませんが、とにかくアナウンスされました。いずれ詳細は個別に紹介するとしてタイトル名、監督名ほかを紹介しておきます。今回はスペイン映画2作の紹介。

 

     セクション・オフィシアル

①「El vientre del mar」スペイン 

製作:Testamento / La Periferica Produccions / Filmin / Turkana Films /

   Link-up Barcelona / Bastera Films

協賛:TV3 / IB3 / ICAA / ICEC / Fundació Mallorca Turisme / Mallorca Film Commission /

   Ramón Llull

監督・脚本:アグスティ・ビリャロンガ(パルマ・デ・マジョルカ1953)、代表作『ブラック・ブレッド』10)、『ザ・キング・オブ・ハバナ』15)など。

キャスト:ロジェル・カサマジョール、オスカル・カポジャ、ムミヌ・ディアリョ(ディアヨ)

 

解説:ビリャロンガの新作は、イタリアの作家アレッサンドロ・バリッコ(トリノ1958)が実話に基づいて書いた小説 Oceano Mare1993刊)に着想を得ており、タイトルはその1章から採られている。181675日フランス海軍のフリゲート艦メデューズ号がモーリタニア沖で座礁、生き残りを賭けた乗組員147名が急ごしらえの筏で漂流したが、13日後に救出されたのは僅か15名、一大スキャンダルとなった事件。当時の画家テオドール・ジェリコーが描いた、あの有名な「メデューズ号の筏」(181819)の油彩画は、ルーブル美術館が所蔵している。

『ザ・キング・オブ・ハバナ』の監督&作品紹介は、コチラ201509171024

        

   

 (ビリャロンガ監督とテオドール・ジェリコーの油彩画「メデューズ号の筏」から)

 

    

               (主演のロジェル・カサマジョールとオスカル・カポジャ)

 

    

    (主演の二人と監督)

 

 

②「La casa del caracol」スペイン、ペルー=メキシコ=米国合作

製作:Esto También Pasará / Casita Colora Producciones / Bowfinger Internacional

   Pictures / Basque Filmms / Producciones Tondero S.A.C.(ペルー)/

   Hippo Entertainment(メキシコ=米国)

協賛:ICAA / アンダルシア同盟 / アマゾンプライムビデオ

監督:マカレナ・アストルガ(マラガ生れ)

製作者:マリア・ルイサ・グティエレス(エグゼクティブ)、アルバロ・アリサ、カルロス・フアレス、ミゲル・バリャダルセ(ペルー)、他

キャストハビエル・レイ(アントニオ)、パス・ベガ(ベルタ)、カルロス・アルコンタラ、ノルマ・マルティネス、ルナ・フルヘンシオ(子役)、アバ・サラサール(子役)、フェルナンド・テヘロ、ビセンテ・ベルガラ、ペドロ・カサブランク、エルビラ・ミンゲス、ヘスス・カロサ、アンパロ・アルカラス、他

   


 

   

            (アントニオ役のハビエル・レイ)

 

解説:マカレナ・アストルガの長編映画デビュー作、サンドラ・ガルシア・ニエトの同名小説の映画化、脚本は作家自身が執筆した。小説家のアントニオ・プリエトは、マラガの山岳地方の村でこの夏を過ごそうと決めていた。次の小説の構想を練るために静けさが必要だったからだ。そこで一目で惹きつけられたベルタという女性と知り合った。アントニオは、この一風変わった雰囲気の女性を登場人物にしようと取材を始めると、この地方には多くの秘密が隠され、神秘的な伝説にとり囲まれていることに気付き始める。村で過ごしていると、時には現実が神話を乗り越えていく感覚を覚えていく。過去と現実の亡霊が浮遊しているサイコスリラー。配給Filmax、スペイン公開2021611日が決定している。

 

 

トレビア2人の子役のうちルナ・フルヘンシオはサンティアゴ・セグラの最新作コメディがヒットして今や有名子役、もう一人アバ・サラサールパス・ベガの実の娘、母親似だが演技はどうか。本作でデビューした。

   

   

                        (ベルタ役のパス・ベガ)

 

   

        (左から、ルナ・フルヘンシオ、アバ・サラサール)

   


  (撮影中のパス・ベガ母娘)

 

監督紹介:マラガ生れ、監督、脚本家、プロデューサー。マラガ大学で視聴覚コミュニケーションと教育科学を専攻。2004年よりマルベリャのグアダルピン教育センターで映像と音響学の教授。2019年、アンダルシアの優秀な監督に授与されるASFAAN賞を受賞している。フアン・ルイス・モレノの「Last memory」(15)、マチュ・ラトレの「La pérdida」(18)の助監督も務めている。今回の「La casa del caracol」が長編デビュー作となる。

     


              (本作クランクイン当時のマカレナ・アストルガ監督)

       


  (撮影中のハビエル・レイとアストルガ監督)

  

1990年代のスペイン女性監督についてのドキュメンタリー「Mujeres que dicen acción」「La memoria dormida」「Voces contra el silencio」などを発表する。2011年の短編ビデオ・ドキュメンタリーLos ojos de Brahim29分)が第15回マラガ映画祭短編ドキュメンタリー部門の銀のビスナガ賞RTVA賞を受賞した。旧スペイン領サハラ出身の先天性全盲のブラヒム・モハマドの人生を追ったドキュメンタリー。2013年、初となる短編ドラマTránsito13分)もマラガFF銀のビスナガ賞RTVA賞、アンダルシア最優秀短編賞を受賞、ゴヤ賞2014の短編映画部門にノミネートされた。短編Marta no viene a senarはナタリア・デ・モリーナとセリア・デ・モリーナを起用、同じくマラガFF2017に出品された。

   

       

             (短編ドラマTránsito」のポスター

 

★当ブログ初登場のシネアスト、長編第1作とはいえかなりのキャリアがある。マラガ映画祭の常連ということもあって若干長い監督紹介になりました。何かの賞に絡むと予想します。

  

リカルド・フランコ賞にフリア・フアニス*マラガ映画祭2021 ④2021年05月07日 17:29

           フィルム編集者フリア・フアニスがリカルド・フランコ賞を受賞

    

     

                 (フリア・フアニス)

 

★去る54日、リカルド・フランコ賞にフィルム編集者フリア・フアニスの発表がありました。昨年の衣装デザイナーのタチアナ・エルナンデスに続いて女性シネアストが選ばれました。リカルド・フランコ賞の正式名はマラガ・フェスティバル・リカルド・フランコ賞といい、スペイン映画アカデミーとのコラボレーションです。カメラの背後で活躍するシネアストに贈られる賞です。2019年はグティエレス・ロドリゲス映画の脚本家として有名なラファエル・コボスが受賞しています。

リカルド・フランコ賞の紹介記事は、コチラ20200905

 

★フリア・フアニスJulia Juanizは、1956年ナバラ州アレリャーノ生れ、フィルム編集者、写真家、監督として短編を撮っている。アラゴン州のサラゴサ大学で医学を、同市のスペクトラム・ギャラリーの写真コースを学んでいる。1986年以来プロフェッショナルに映画に携わっている。1991年にビルバオのシネビ映画祭で短編Train Timeバスク映画グランプリを受賞するなどした。1990年からフィルム編集者として国内外の監督のもとでキャリアを積み始める。例えば、バシリオ・マルティン・パティノ、カルロス・サウラ、ビクトル・エリセ、ラファエル・ゴルドン、アルベルト・モライス、ラモン・バレア、ダニエル・カルパルソロ、パウラ・コンス、ボビー・モレスコ、ブライアン・グッドマン、マーク・スティーヴン・ジョンソンなど、ドキュメンタリーや短編を含めると60作以上になる。若いバスクの監督では、アルベルト・ゴリティベレア、ハビ・エロルテギ、ペドロ・アギレラ、アランツァ・イバラなどが挙げられる。

 

★特にアラゴン出身のカルロス・サウラとは『タクシー』(96)以来、多くの作品を単独で任されており信頼は厚い。監督と編集者は共にサンセバスチャン映画祭との関りが多く、『タクシー』(コンペティション)、『ブニュエル~ソロモン王の秘宝』(2001オープニング作品)、『ファド』(2007サバルテギ)などがある。サウラ映画では『ゴヤ』(99)と『イベリア 魂のフラメンコ』(05)の2作で、それぞれゴヤ賞の編集賞に2回ノミネートされている。2017年にはサンセバスチャン映画祭の特別栄誉賞の一つシネミラ賞を受賞している。

   

       

        (ゴヤ賞2000編集賞にノミネートされた『ゴヤ』のポスター)

 

★フィルム編集のほか、写真家、ビデオアーティストとしてのキャリアも築いており、セル画やコラージュ、ビデオ作品は、パンプローナ、セゴビアなど国内のアートセンターや美術館で展示され、韓国、メキシコ、ロシア、エチオピアのような海外での展示会にも選ばれている。現在は大学や映画学校で編集と脚本分析を教えている。スペイン映画アカデミーのほか、米国映画アカデミー、欧州映画アカデミーのメンバーである。以下に映画賞と短編を除く主なフィルモグラフィーを列挙しておきます。

  

 受賞&ノミネート歴

1991Train Time」(短編)ビルバオ・シネビ映画祭でバスク映画グランプリを受賞

1999Tango」(98、『タンゴ』カルロス・サウラ)アルゼンチンの銀のコンドル賞にノミネート

2000Goya en Burdeos」(99、『ゴヤ』カルロス・サウラ)ゴヤ賞編集賞ノミネート

2006El cielo gira」(04、ドキュメンタリー、共同編集、メルセデス・アルバレス監督)

   シネマ・ライターズ・サークル編集賞4名で受賞

2006Iberia」(05、『イベリア 魂のフラメンコ』カルロス・サウラ)ゴヤ賞編集賞ノミネート

2017 サンセバスチャン映画祭特別栄誉賞シネミラ賞を受賞

2021La isla de las mentiras」(20、パウラ・コンス)メストレ・マテオ賞ノミネート

2021 マラガ映画祭にてリカルド・フランコ賞を受賞

  

        

    (シネミラ受賞スピーチをするフリア・フアニス、サンセバスチャンFF2017)

 

 

 主なフィルモグラフィー

1996Taxi」(邦題『タクシー』)カルロス・サウラ

1997Pajarico」(スペイン映画祭1998仮題『パハリーコ~小鳥~』)カルロス・サウラ

1998Tango」(邦題『タンゴ』)カルロス・サウラ

1998Pecata minuta」ラモン・バレア

1999Goya en Burdeos」(『ゴヤ』)カルロス・サウラ

2000Asfalto」ダニエル・カルパルソロ

2001Buñuel y la mesa del rey Salomón」(ブニュエル~ソロモン王の秘宝』)

     カルロス・サウラ

2002Salomé」(『サロメ』)カルロス・サウラ

2002Guerreros」ダニエル・カルパルソロル

2002Alumbramiento」(英題「Lifeline」『ライフライン』)ビクトル・エリセ

10ミニッツ・オーダー人生のメビウス」の1

2004El coche de pedales」ラモン・バレア

2004El séptimo día」カルロス・サウラ

2004El cielo gira」(ドキュメンタリー)メルセデス・アルバレス

2005Iberia」(『イベリア 魂のフラメンコ』)カルロス・サウラ

2007Miguel William」イネス・パリス

2007Fados」(ドキュメンタリー『ファド』)カルロス・サウラ

2009IO, Don Giovanni」(『ドン・ジョヴァンニ 天才劇作家とモーツアルトの出会い』)同上

2010Naufragio」ペドロ・アギレラ

2015Todo mujer」ラファエル・ゴルドン

2016La madre」アルベルト・モライス

2017Black Butterfly」(『ブラック・バタフライ』西米伊、英語)ブライアン・グッドマン

2018Bent」(米西、英語、共同編集)ボビー・モレスコ

2019Finding Steve Macqueen」(米、英語、共同編集)マーク・スティーヴン・ジョンソン

2019Trading Paint」(『ワイルド・レース』西米、英語、共同編集)Karzan Kader

2020La isla de las mentiras」パウラ・コンス

2020Retrato de mujer blanca con pelo cano y arrugas」イバン・フロレス・ルイス

2020Cartas mojadas」(ドキュメンタリー、共同編集)パウラ・パラシオス

2021Las cartas perdidas」(進行中)アンパロ・クリメント

  

La isla de las mentiras」の紹介記事は、コチラ20200916

Las cartas perdidas」の紹介記事は、コチラ20210411

  

マラガ才能賞にオリベル・ラシェ*マラガ映画祭2021 ③2021年05月01日 17:41

            『ファイアー・ウィル・カム』のオリベル・ラシェにマラガ才能賞

 

       

                (オリベル・ラシェ監督)

 

429日、マラガ映画祭の特別賞の一つマラガ才能賞―マラガ・オピニオンオリベル・ラシェ受賞の発表がありました。本賞は日刊紙La Opinión de Málagaマラガ・オピニオンとのコラボレーション、既に受賞歴がある若いシネアストのキャリアをさらに後押しすることを目的とした賞、2019年は初監督作品『物静かな男の復讐』のラウル・アレバロ、昨年はマラガFFの作品賞受賞作「10,000km」でデビューしたカルロス・マルケス=マルセが受賞しています。

ラウル・アレバロのキャリア&フィルモグラフィー紹介は、コチラ20190322

カルロス・マルケス=マルセのキャリア&フィルモグラフィー紹介は、

 コチラ20200829

 

オリベル・ラシェOliver Laxe は、1982年パリ生れ、監督、脚本家。授賞理由は「世界についてのユニークな視点と芸術的表現としての映画への強いコミットメント」が際立っていることが評価された。6歳で母親の故郷ガリシアに移住、フランス、スペイン、モロッコで暮らすガジェゴgallego2010年のカンヌ映画祭併催の「監督週間」に出品したデビュー作Todos vós sodes capitánsTodos vosotros sois capitanesカラー&モノクロ、78分、スペイン語/アラビア語/フランス語)が、国際映画批評家連盟賞 FIPRESCIを受賞している。スペイン映画アカデミーが翌年のゴヤ賞新人監督賞にノミネーションしなかったことで一部から批判された6年ぶりに撮った第2Mimosas2016「批評家週間」アラビア語、93)が見事グランプリを受賞、セビーリャ映画際でも審査員特別賞を受賞している。

   

    

 

2019年、ガリシア語で撮った3O que arde邦題『ファイアー・ウィル・カム』がカンヌ映画祭2019「ある視点」で審査員賞とセクションの音響賞を受賞した。カンヌ映画祭に出品した作品全てが受賞したのは、ビクトル・エリセも果たせなかったことでした( エリセは1992年の第3作『マルメロの陽光』で審査員賞と国際映画批評家連盟賞を受賞している)。ゴヤ賞2020の4部門ノミネート、作品・監督撮影マウロ・エルセ受賞)・新人女優賞ベネディクタ・サンチェス受賞)、2部門受賞した。ガウディ賞ヨーロッパ映画賞、サン・ジョルディ賞他を受賞している。彼の作品はカンヌ以外でも権威のある国際映画祭、モスクワ、カイロ、サンセバスチャン、トロント、カルロヴィ・ヴァリ、マル・デ・プラタ、ニューヨーク、東京などで上映されている。16回ラテンビート映画祭2019で上映された折り来日、寡黙ながらQAでは会場からの質問に真摯に応じていた。

    

Mimosas」の作品&監督紹介は、コチラ⇒20160522

『ファイアー・ウィル・カム』の作品紹介、カンヌ映画祭の記事は、

  コチラ20190428同年0529

ラテンビート2019QAの記事は、コチラ20191121

   

      

                (ガリシア語のポスター)

 

★最近、地元のア・カルケイサ協同組合(ホセ・アントニオ・ディアス組合長)とタッグを組んで、ガリシア牛肉の普及に務めている。オンライン視聴者向けの宣伝ビデオを製作、オンラインストアで注文すると配送されるようです。ガリシア牛のハモンセラーノは超高級品、その美味しさはつとに有名です。カンヌで「映画から少し距離をおきたいここガリシアに腰を落ち着けてここのコミュニティのためにしたいことがある語っていましたが、じゃあ第4作目はどうなるのでしょうか。


マリアノ・バロッソに特別賞「レトロスペクティブ賞」*マラガ映画祭2021 ②2021年04月22日 14:27

      マラガ特別賞<レトロスペクティブ賞―マラガ・オイ>にマリアノ・バロッソ

 

    

 

マリアノ・バロッソの名前はゴヤ賞の度に登場させているのですが、スペイン映画アカデミーAACCE副会長に就任した折に簡単なキャリア&フィルモグラフィーを紹介しただけでした(第15代会長はイボンヌ・ブレイク)。ブレイク会長が2018年新春3日にゴヤ賞ガラの準備中体調不良で緊急入院、回復することなく鬼籍入りして、ゴヤ賞2018のガラから実質的に会長職を担ってきました。AACCE会長の正式就任は201879日、現在にいたっています(任期は3年)。

マリアノ・バロッソのキャリア&フィルモグラフィーは、コチラ20161029

 

★更に映画祭では、バロッソ映画の多くの脚本を共同執筆したアレハンドロ・エルナンデスとの広範なインタビュー記事を集めた本がパリド・フエゴによって上梓される予定ということです。その中にはバロッソ監督のキャリア&フィルモグラフィーも含まれる。アレハンドロ・エルナンデスはキューバ出身だが、今世紀初めからスペインに軸足をおいている。2005年の「Hormigas en la boca」以来、「El mejor de Eva」、TVミニシリーズ「Todas las mujeres」や「La línea invisible」などが挙げられる。彼はアメナバルの『戦争のさなかで』や、マヌエル・マルティン・クエンカの『カニバル』など、他監督ともタッグを組んでいる脚本家です。

アレハンドロ・エルナンデスの紹介記事は、コチラ2018年06月01日

 

     

   (ゴヤ賞2014脚色賞を受賞したバロッソ監督と脚本家のアレハンドロ・エルナンデス)

  

 

          バルセロナ派を牽引する監督、脚本家、プロデューサー

 

マリアノ・バロッソ1959年バルセロナ生れ、監督、脚本家、製作者、第16代スペイン映画アカデミー会長を2018年より務めている。ロスアンゼルスのアメリカン・フィルム・インスティテュート、インスティテュート・サンダンスで映画を学び、マドリードのスペイン・シアターやウィリアム・レイトン・ラボラトリーで演劇を学びました。キューバのサンアントニオ・デ・ロス・バニョスの映画TV学校(199799)、アリカンテのシウダッド・デ・ラ・ルスの映画学校、メネンデス・ペラヨ国際大学、プラハ・フィルム・スクール、コロンビア国立大学、ナッシュビルのワトキンス・カレッジで教鞭をとり、またマドリード映画視聴覚学校ECAMの監督コーディネーターも務めています。TVシリーズや広告も手掛けながら映画と舞台、かたわら後進の指導に当たっています。

 

       

           (ゴヤ賞2021ガラで挨拶するマリアノ・バロッソ)

 

フェルナンド・コロモに見出され、Mi hermano del alma93)で長編第2作がベルリン映画祭に出品された。翌年のゴヤ賞新人監督賞を受賞、他カルロヴィ・ヴァリ映画祭1994で監督賞クリスタル・グローブサン・ジョルディ賞を受賞した。1990年代のカタルーニャを舞台に全く性格の異なる兄弟を描く、いわゆるカインとアベルの物語、脚本はコロモとホアキン・オリストレルが共同執筆、キャストのフアン・エチャノベ(ゴヤ賞助演男優賞)、フアンホ・プイグコルベ(サン・ジョルディ男優賞)、カルロス・イポリット(ムルシアFFフランシスコ・ラバル男優賞)などがそれぞれ評価され、その演技力は後の活躍で証明されている。代表作は以下の通り(製作順)

    

         

       (兄弟役を演じた左からプイグコルベとイポリットを配したポスター)

 

1990Es que Inclan está loco (メキシコ映画)コメディ、長編デビュー作

1993Mi hermano del alma 

1996Lucrecia TVムービー)

1996Extasis

1999Los lobos de Washington

2000Kasbah (アルゼンチンとの合作)

2001In the time of the butterfliesEn el tiempo de las mariposas、米=メキシコ合作)

2005Hormigas en la boca (キューバとの合作、英題Ants in the Mouth

2007Invisibles(ドキュメンタリー)セグメント「Los sueños de Bianca

2012El mejor de Eva

2013Todas las mujeres

 

*以下、TVシリーズ

199192Las chicas de hoy en dia5話)TVデビュー作

2010Todas las mujeres6話)2013年映画化された。

2018El día de mañana6

  イグナシオ・マルティネス・デ・ピソンの小説をベースにオリオル・プラが脚色

2019年Criminal3Netflix オリジナル作品、2019年9月20日より配信

2020年La línea invisible6

 

1996年アンテナ3 のためテレビ・ムービーLucreciaをカルメ・エリアス、フアン・ディエゴ・ボトーを起用して撮る。同年国際映画祭巡りをしたExtasisを撮る。ハビエル・バルデム、アルゼンチン出身のベテラン、フェデリコ・ルッピ、シルビア・ムントが出演、カルロヴィ・ヴァリ以下、ベルリン、ロンドン、ワシントン、マル・デ・プラタなどの映画祭で上映され、ニューヨーク批評家協会賞、ACE作品賞などを受賞した。脚本はホアキン・オリストレルと共同執筆、父と息子の関係がテーマ。

    

      

          (ハビエル・バルデムを配したExtasis」のポスター)

 

1999Los lobos de Washingtonは、脚本をフアン・カベスタニーが執筆したアクション・スリラー、バルを経営するハビエル・バルデムとエドゥアルド・フェルナンデスが金策に困り、裕福な古い友人ホセ・サンチョのマネーを横取りする。他にエルネスト・アルテリオ、アルベルト・サン・フアンなど芸達者が出演、スペイン公開後にトロント映画祭に出品された他、トゥールーズ映画祭でバロッソが監督賞を受賞した。バルデムはエグゼクティブ・プロデューサーも兼ねている。

     

     

           (バルデムを中央に5人の主演者を配したポスター)

 

2001In the time of the butterfliesは、米国のTVムービーとしてMGMShowTimeが製作、言語は英語、メキシコ・シティやベラクルスで撮影された。サルマ・ハエックやプエルトリコ出身の歌手マルク・アンソニーが出演している。2005Hormigas en la bocaは、ジャーナリストで作家の実兄ミゲル・バロッソ(サラゴサ1955)の暗黒小説Amanecer con hormigas en la boca1999年刊)の映画化、脚本をキューバ出身のアレハンドロ・エルナンデスと共同執筆したクラシックなフィルム・ノワール。革命前の1950年代のハバナが舞台、エドゥアルド・フェルナンデス、アリアドナ・ヒル、キューバのホルヘ・ぺルゴリアが主演、ハバナで撮影された。マラガ映画祭で審査員特別賞を受賞した他、主役のエドゥアルド・フェルナンデス男優賞を受賞した。

    

       

         (主演3人を配したHormigas en la bocaのポスター)

 

★ドキュメンタリーInvisiblesは、バロッソを含む5人の監督、イサベル・コイシェ、ハビエル・コルクエラ、フェルナンド・レオン・デ・アラノア、ヴィム・ヴェンダースがそれぞれセグメントを担当した。アフリカで活躍する国境なき医師団の姿を追ったドキュメンタリー。ハビエル・バルデムが製作、ゴヤ賞2008長編ドキュメンタリー賞フォルケ賞ドキュメンタリー賞を受賞した。

 

Todas las mujeresは、2010年のTVミニシリーズの映画化、ゴヤ賞2014脚色賞アレハンドロ・エルナンデスと受賞、3個目のゴヤ胸像となる。他サン・ジョルディ賞、トゥリア賞、ディアス・デ・シネ賞などを受賞。キャストはバロッソ映画の常連エドゥアルド・フェルナンデス、ナタリエ・ポサ、マリア・モラレス、ペトラ・マルティネス、ミシェル・ジェンナーなど。

    

         

        (ゴヤ賞2014脚色賞のTodas las mujeres」のポスター)

 

TVミニシリーズでは、CriminalNetflix20199月から配信されている。脚本は第1話と第3話がアレハンドロ・エルナンデス、第2話がマヌエル・マルティン・クエンカ、キャストは、エンマ・スアレスを主役に、エドゥアルド・フェルナンデス、カルメン・マチ、ホルヘ・ボッシュ、インマ・クエスタ、アルバロ・セルバンテスと当ブログ常連の演技派を揃えている。このシリーズはイギリス編、ドイツ編、フランス編と4ヵ国対決となっている。

    

        

          (エンマ・スアレスとカルメン・マチを配したポスター)

   

★演劇では、「El hombreelefante」(B・ポメランセ、出演アナ・ドゥアルト、ペレ・ポンセ)、「Closer」(パトリック・マルベル、出演ベレン・ルエダ、ホセ・ルイス・ガルシア・ぺレス)、「Recortes」(出演アルベルト・サン・フアン、ヌリア・ガリャルド)が代表作。他にさまざまな市民団体のために「Medicos del mundo」や「Greenpeace」のようなドキュメンタリーも手掛けている。

 

第24回マラガ映画祭2021のポスター*マラガ映画祭2021 ①2021年04月19日 14:22

            24回マラガ映画祭2021のメイン・ポスターが決定しました 

 

       

    (ベネズエラのデザイナー、ラミロ・ゲバラの作品「マラガの光」に決定)

   

2021年のポスターがラミロ・ゲバラの作品Luz de Málaga「マラガの光」に決り、去る329日お披露目され、いよいよマラガ映画祭も始動しました。マラガ市長フランシスコ・デ・ラ・トーレが発表しました。今回オンラインで公募したところ135人が応募、ベネズエラのグラフィック・デザイナー、ラミロ・ゲバラの作品が選ばれ、副賞3000ユーロが与えられます。審査委員は、マラガ市議会文化部総ディレクターのスサナ・マルティン、ピカソの生家の管理所長ホセ・マリア・ルナ、ピカソ美術館芸術監督ホセ・レブレロ、マラガのティッセン美術館芸術監督ルルド・モレノ、他にマラガ大学美術学部長ヘスス・マリン・クラビホ、マラガ映画祭総ディレクターのフアン・アントニオ・ビガルなどで構成され、全会一致でラミロ・ゲバラの<マラガの光>を選びました。

     

★当日のプレス会見には、マラガ市長や映画祭総ディレクターのほか、マラガ政府副代表、マラガ市議会文化評議員、映画&視聴覚芸術研究所やアンダルシア同盟の面々、メリリャのラ・カイシャ財団、スール紙のディレクターなどなど大勢が参加しましたが、受賞者ラミロ・ゲバラはマイアミ滞在でオンライン会見でした。

 

     

  (受賞者を発表するマラだ市長デ・ラ・トーレとオンライン参加の受賞者ラミロ・ゲバラ)

 

ラミロ・ゲバラは、1969年カラカス生れ、現在米国とカラカスを往復して活躍。ベネズエラのプロデザイン協会でビジュアル・コミュニケーションを専攻(199195)する。エル・ナシオナル紙、ソニー・エンターテインメントTV、科学博物館、アレハンドロ・オテロ美術館、アンドレス・ベジョ・カトリック大学、ベネズエラ中央大学など、種々様々な企業や研究機関のデザイン・プロジェクトに参加している。1998年にデザイン会社Metaplug2006年にIdeografを設立、出身校やヤラクイの国立実験大学に講座をもち後進にデザインを教えている。国際レベルのビジュアル・コミュニケーションのプロジェクト、デザイン・コンサルタント、ブランド開発を手掛けている。

 

★受賞者によるビジュアルのコンセプトは、マラガの起源から継続的に拡がっていく光のビームから始まります。画像は中心の球体を部分的に描く同心の白いラインで輪郭が描かれ中央で結合している。最初のフラッシュは、色、形、コントラストの連続する輪が領域を超える出発点であり、空間と時間を超える光の効果を感じることができる。<マラガの光>は、ユニークで、継続的であり無限です。生き生きした多様なカラー、動きがあり、音とリズム、境界を超えて拡がる空間を再創造している。難しいことはさておき、イベロアメリカの多様性を重んじ、祝祭と出会いのフェスティバルにふさわしいことが評価されたのでしょう。

   


  

★昨年は恒例の3月開催から8月に延期されるなど波乱含みでしたが、それでも開催に漕ぎつけました。ロックダウンなどがあれば別ですが、今年の63日~13は予定通り開催されると思います。特別賞やセクション・オフィシアル部門以下各カテゴリーの発表はこれからです。

 

★マラガ特別賞の一つ「レトロスペクティブ賞―マラガ・オイ」にスペイン映画アカデミー現会長のマリアノ・バロッソが選ばれました。昨年はメキシコのアルトゥーロ・リプスタイン監督でしたが、コロナ禍で来マラガが叶いませんでしたが、今年はその心配はありません。当ブログには度々登場してもらっていますが、フィルモグラフィーについては未紹介、次回に予定しています。

   

          

           (スペイン映画アカデミー会長マリアノ・バロッソ)