ジョディ・フォスターに栄誉パルムドール*プレゼンターはアルモドバル2021年07月09日 11:18

     2年ぶりのカンヌ映画祭、アルモドバルがジョデイ・フォスターにトロフィーを

 

     

  

2年ぶりの第74回カンヌ映画祭20212ヵ月遅れで開幕した。開幕宣言は、栄誉パルムドール受賞者ジョデイ・フォスター、栄誉パルムドールのプレゼンターのペドロ・アルモドバル、審査員委員長スパイク・リー(去年と同じ)、2019年のパルムドール受賞のポン・ジュノ4人でした。

 

          

         (アルモドバルとジョデイ・フォスター、202176日)

 

ジョディ・フォスター(ロスアンゼルス1962)は、「『タクシードライバー』がパルムドールを受賞したのは45年前、私のキャリアを変えてくれたカンヌにとても感謝しています」。だから彼女にとってここに戻ってくることはとても重要。「未来が私たちに期待していることを皆さんと一緒に見られるよう望んでいます」と完璧なフランス語でスピーチした。彼女はロスにあるフランス人学校のリセに在籍、バカロレアの国家試験に合格している。マーティン・スコセッシの『タクシードライバー』(76)に娼婦役で出演したのはなんと13歳でした。

   

           

           (トロフィーを披露するジョディ・フォスター)

 

★フォスターにとって、この1年で多くの映画館が閉鎖され、時には耐えがたい苦しみに直面している人々が増えているとしても、すべてが映画への愛に絞られる。「映画館が閉鎖されているけれども、映画は常に存続していきます。今年、映画は私の救命具でした」と語った。また52年間のキャリアを通して思うのは「映画は人を感動させ、人と繋がり、変化させる。だから映画に対する感謝をなくすことは決してない」と締めくくった。

 

★プレゼンターのペドロ・アルモドバルは、女優が2019年にロスアンゼルスで『ペイン・アンド・グローリー』をプレゼンスしたときのことを思い出したが、それよりずっと以前から彼女を身近に感じていた。それはBugsy Maloneの可愛い歌姫役で、『タクシードライバー』より数ヵ月前に制作された映画でした。アルモドバルは「女性の映画人が珍しかった時代に、彼女は役選びにも賢明だった。弱さを隠すことなく強さを見せる女性像の創造を知っていた」と、この類いまれな才能の受賞者を彼流に絶賛した。アラン・パーカーのデビュー作は、『ダウンタウン物語』の邦題で翌年公開された。禁酒法時代のニューヨークはダウンタウンを舞台に、抗争を繰りひろげる二大ギャング団を描いたミュージカル。全員子役が大人に扮して出演、マシンガンから飛びだすのは弾丸ではなくパイ、最後はみんなパイだらけになって終わる。フォスターはボスの情婦でキャバレーの妖艶な歌姫になった。

 

★コロナが収束したわけではないので、メイン会場には、ワクチン2回接種の証明書のある人、あるいは48時間ごとのPCR検査(無料)合格者とガードは厳しい。結果が分かるには最低でも6時間ほど必要だからどうなるのか。レッドカーペットに登場したシャネルやプラダのドレスに身を包んだマスク無しのセレブたちは、合格してるということですね。因みにフォスターのドレスはジバンシィだそうです。パートナーの写真家で監督のアレクサンドラ・ヘディソンも出席、アツアツぶりの映像が配信されています。

 

★オープニング作品はレオス・カラックスのミュージカルAnnette アネット2021、英語、140分)は、5分間のスタンディングオベーションだった由、監督よりスタンダップ・コメディアンを演じたアダム・ドライバーに注目が集まったとか。本作はアマゾン・オリジナル作品、ネットフリックスとの話合いは平行線でノミネーションはNO、一方でアマゾン・プライム・ビデオ、アップルTVYES、観客の一人としては違和感を覚えるが、将来的に問題を残すのではないか。ピンクのダブルの背広上下にサングラス、スニーカーで現れた審査委員長のスパイク・リーは「ストリーミングのプラットホームは共存する」とインタビューに応えて、新型コロナが世界を、映画産業をも変えてしまったことを印象づけた。

アルモドバルの初短編がベネチア映画祭で上映*ベネチア映画祭20202020年08月16日 15:42

       アルモドバル初となる英語映画「The Human Voice」上映が決定

 

     

       

★去る728日(現地)、第77回ベネチア映画祭202092日~12日)のコンペティション上映作品の発表がありましたが、スペイン語映画は、メキシコのミシェル・フランコNuevo orden20、「New Order」フランスとの合作)の1作だけでした。カンヌ映画祭受賞者常連のフランコ監督、ベネチアは今回が初登場となります。そのほかでは、アンドレイ・コンチャロフスキー(ロシア)、アモス・ギタイ(イスラエル)、クロエ・ジャオ(米)、ジャンフランコ・ロッシ(伊)などの名前がありました。

 

★当ブログで製作発表当時から紹介してきた、ペドロ・アルモドバルの初短編The Human Voice(「La Voz Humana30分)がコンペティション外で上映されることになりました。アルモドバル初短編、初英語映画として話題になっていましたが、新型コロナウイルス感染者拡大で完成が遅れていました。ジャン・コクトーの一人芝居 La Voix humaine1930 の映画化。去ったばかりの恋人からの電話をひたすら待っている絶望を抱えた女性の物語だそうです。英国女優ティルダ・スウィントンを起用しており、彼女はすでに今回のベネチア映画祭で栄誉金獅子賞を受賞することが決定しています。もう一人の受賞者が香港のアン・ホイ監督、女性が受賞するのは今回が初めてというからびっくりする。

La Voz Humana」の紹介記事は、コチラ20200217

  

        

  

   (撮影中の監督と主役ティルダ・スウィントン)

 

★前回栄誉金獅子賞を受賞したばかりのアルモドバルによると「このコロナ感染の特別な年に、ティルダとベネチアに戻ることができて非常に嬉しい。本作は女優としてティルダが残した数多くの実績の一つです」と。それも自分が昨年受賞した栄誉賞をティルダが受賞するので喜びもひとしおのようです。映画祭ディレクターのアルベルト・バルバラも「今年も再びアルモドバル監督を迎えることができるのはとても光栄なことです」と呼応している。

 

★コロナの時代の映画祭は、すべてにおいて例年とは異なる。オンライン上映もあり、リド島以外のベネチアの映画館上映、レッド・カーペットは敷く予定だが、審査委員長のケイト・ブランシェット以外の大物シネアストの登場は予定にない由。コロナが世界の映画祭に及ぼす影響は計り知れない。ともあれクラスターを警戒しながら終了して欲しい。

 

        

              (審査委員長ケイト・ブランシェット)


トライベッカ映画祭でニュー・ナラティブ監督賞にチリの新人2020年05月11日 15:13

       ガスパル・アンティーリョのデビュー作「Nadie sabe que estoy aquí

 

         

★新型コロナウイリスCovid-19が全世界を席捲していることで、主要な映画祭は軒並み延期か中止に追い込まれています。トライベッカ映画祭は、911後のニューヨークを元気づけようと翌2002年に始まりました。第19回トライベッカ映画祭2020のオンライン上映の経緯は、前回触れましたように初めての試みとして観客なしだが賞ありで開催されました。全作が上映されたわけではないがネットやYouTubeで見ることができたようです。当然のことながらガラは開催されず、429日受賞結果が発表になった。審査員と受賞者はオンラインを通じてやりとりした。

   

★本映画祭は、US ナラティブ・コンペティションとインターナショナル・ナラティブ・コンペティションの2部門に大きく分かれています。チリのガスパル・アンティーリョのデビュー作Nadie sabe que estoy aquíが、後者のニュー・ナラティブ監督賞を受賞しました。チリのクール世代を代表するパブロ・ララインフアン・デ・ディオス・ラライン兄弟が設立した制作会社「ファブラ Fabula」がプロデュースしました。主人公メモ・ガリードにチリ出身だがアメリカで活躍するホルヘ・ガルシアが起用されました。ちょっとウルウルする物語です。

 

Nadie sabe que estoy aquí(映画祭タイトル「Nobody Knows I'm Here」)2020

製作:Fabula 協賛NetflixUSA

監督:ガスパル・アンティーリョ

脚本:エンリケ・ビデラ、ホセフィナ・フェルナンデス、ガスパル・アンティーリョ

撮影:セルヒオ・アームストロング

編集:ソレダード・サルファテ

音楽:カルロス・カベサス

美術:エステファニア・ラライン

キャスティング:エドゥアルド・パシェコ

衣装デザイン:フェリペ・クリアド

助監督:イグナシオ・イラバカ、フアン・フランシスコ・ロサス

プロダクション・マネージメント:エンリケ・レルマン

製作者:アンドレア・ウンドゥラガ(エグゼクティブ)、フアン・デ・ディオス・ラライン、パブロ・ラライン、エドゥアルド・カストロ、クリスティアン・エチェベリア

 

データ:製作国チリ、スペイン語、2020年、ドラマ、100分、撮影地チリのバル・パライソ、フエルト・オクタイ、サンティアゴ、2018年クランクイン。

映画祭・受賞歴:第19回トライベッカ映画祭2020「インターナショナル・ナラティブ・コンペティション」部門、ワールドプレミア、ニュー・ナラティブ監督賞受賞

 

キャスト:ホルヘ・ガルシア(メモ・ガリード)、ルイス・ニエッコ(叔父)、ミリャライ・ロボス(マルタ)、ソランヘ・ラキントン、アレハンドロ・ゴイク、ネルソン・ブロト、フリオ・フエンテす、マリア・パス・グランドジェーン、ガストン・パウルズ、エドゥアルド・パシェコ、ロベルト・バンデル

   

ストーリー:メモは15年間のあいだ、チリ南部の人里離れた牧羊舎に閉じ込められている。ポップスターになるというかつての夢を諦め、大衆の目から遠ざかっていた。マルタはメモの歌声を聴いて、彼の才能が世間に知られる時が来たと思っている。彼女が彼の歌声を記録しビデオを投稿すると、口コミで広がっていき、それはメモを世界から切り離していた遠い過去の暗部を炙り出すことになる。なぜならメモの声が伝説上の花形歌手であったウイル・ウイリーズの声とそっくりだったからである。                             (文責:管理人)

    

         

           (メモ・ガリードに扮したホルヘ・ガルシア) 

      

     

       「姿は人生を決定づけ、人々の認識をゆがめて混乱させる」と監督

 

ガスパル・アンティーリョGaspar Antilloのキャリアについては、2015年に監督、脚本、プロデュースした短編Mala CaraBad Face8分)がマイアミ・ショート映画祭に出品されたこと以外、詳細が入手できていません。トライベッカ映画祭の監督インタビューでは「この映画はチリ南部に隠され忘れ去られた人物の肖像画です。若い女性の到着が彼の壊れやすい人生をどのように変えるかを描いています。今日の世界では、姿は人生を決定づけ、人々の認識をゆがめて混乱させます」と語っています。またNetflixにリリースされるにあたって、「映画のコンセプトは、疎外されたキャラクターの内面世界を探検するというアイデアから生まれた。偏見をもたずに彼の明るい部分だけでなく暗い部分も描いている」と語っている。

 

          

   

                (マイアミ・ショート映画祭でのガスパル・アンティーリョ)

 

★少年メモは、美しい声の持ち主だったが太っちょでかっこいいとは言えななかった。ハンサムな少年の影武者として舞台裏で歌っていた。そのことは少年の心に深い傷跡を残すことになったというのがメモの暗い過去であった。成人したメモはチリ南部の人里離れた牧羊舎で叔父と一緒に暮らしている。人目を避けながらも豊かな内面世界を育んでいた。この太っちょのメモ・ガリードに扮したのがホルヘ・ガルシアだった。 

                (叔父役のルイス・ニエッコとメモ役のホルヘ・ガルシア)

 

   (マルタ役のミリャライ・ロボスとメモ

 

ホルヘ・ガルシア Jorge Garcia1973年ネブラスカ州オマハ生れの俳優、コメディアン。父親がチリ出身の医師、母親がキューバ出身の大学教師ということで、アメリカ人だがスペイン語が堪能。1995UCLAでコミュニケーション学を専攻、演技はビバリー・ヒルズ・プレイハウスで学んだ。彼のキャリア情報は監督とは反対に豊富である。というのもアメリカABC製作のTVシリーズ、ミステリー・アドベンチャーLost200410「ロスト」)のヒューゴハーリーレイェス役でブレークしたからです。

 

     

        (ヒューゴ・レイェス役のホルヘ・ガルシア、Lostから)

 

★スペイン語映画出演は、2011年のパコ・アランゴのコメディMaktubに特別出演した。アランゴ監督はメキシコ生れ(1962年)だがスペインに移住、スペインで映画を撮っている。本作でゴヤ賞2012の新人監督賞にノミネートされている。出演者のゴヤ・トレドも助演女優賞にノミネートされている。続く2作目が同監督のThe Healer17)では神父に扮した。「Nadie sabe que estoy aquí」が3作目になる。クランクイン前に「このプロジェクトに参加できることを喜んでいます。私は何十年もチリに行っていないので、あちらの親戚との再会を楽しみにしています」と語っていましたが、果たして再会できたのでしょうか。

 

      

 (J・ガルシア、アンドニ・エルナンデス、ゴヤ・トレド、ディエゴ・ペレッティ「Maktub」)

 

ルイス・ニエッコ Luis Gnecco(サンティアゴ1662)は、パブロ・ララインの『ネルーダ 大いなる愛の逃亡者』16)でネルーダに扮している。他にグスタボ・G・マリノ『ひとりぼっちのジョニー』1993)、フェルナンド・トゥルエバ『泥棒と踊り子』09)、ララインNoなどでチリの俳優としては知名度があるほうかもしれない。

 

          

     (ネルーダになったルイス・ニエッコ、『ネルーダ 大いなる愛の逃亡者』から)

 

いずれNetflixで世界配信されるということなので(アジアが除外されないことを切に願っています)視聴できたら再アップするつもりです。

 

オンライン映画祭 「We Are One :A Global Film Festival」 開催2020年05月09日 10:48

      YouTubeとトライベッカ・エンタープライズ共同のオンライン映画祭

 

      

★全世界に蔓延している新型コロナウイリスのため、世界の主要な映画祭が軒並み延期か中止に追い込まれているさなか、427日に、YouTubeトライベッカ・エンタープライズが共同でオンライン映画祭We Are OneA Global Film Festivalの開催を発表しました。世界の20映画祭が参加する。サンセバスチャンを含めて、ベネチア、カンヌ、ベルリナーレ、サンダンス、グアダラハラ、アヌーシー(アニメ)、トロント、ロカルノ、エルサレム、カルロヴィ・ヴァリ、ロンドン、マカオ、マラケシュ、ムンバイ、ニューヨーク、サラエボ、シドニー、東京も参加する。期間は529日から67日までの10日間、無料で見ることができるが寄付は歓迎、新型コロナウイリス対策のために尽力している世界保健機構WHOに送られる。

 

★トライベッカ・エンタープライズとトライベッカ映画祭の代表ディレクターのジェーン・ローゼンタールは「私たちは映画の持つ力についてしばしば語ってきた。今こそ国境や意見の相違を超えて助け合い団結しなければならない。全ての人が治療を必要としている」と、WHOに寄付する理由を語っています。「各映画祭が果たしている芸術の価値や映画の力は比類のないものだ」とも。

 

          

       (トライベッカ・エンタープライズの設立者のロバート・デ・ニーロと

           最高責任者プロデューサーのジェーン・ローゼンタール)

 

9月下旬開催のサンセバスチャン映画祭のホセ・ルイス・レボルディノス代表責任者は、まだ当映画祭開催の可能性がゼロになったわけではないが、このプログラム参加に合意したのは「多くのイベントが行える状態にない」ことを上げている。しかし具体的にどの作品を選ぶかは決まっていないが「当映画祭の場合は、比較的直近のスペイン映画になるだろう。つまり未公開作品からは選べない。次の映画祭がどうなるか分からないからです」と。秋開催を依然として諦められないカンヌ映画祭も同じ路線になるのでしょうか。特に映画館上映を前提にしてNetflix オリジナル作品を排除しているカンヌとしては、法的な制約をクリアーしなければならず、困難が予想されます。コロナが世界を変えようとしていることだけは確かです。

 

★テキサス州オースティンで開催される一大イヴェントSXSW、サウス・バイ・サウス・ウエスト映画祭が含まれていない。今年予定されていた313日~22日のリアルな映画祭は中止になったが、短編、ドキュメンタリー、ホラーを含む70作品をYouTubeでのオンラインによる限定公開をしていた。今回のWe Are OneA Global Film Festival」には不参加だが、同じ週にアマゾンを介して何作かを放映する予定だそうです。

 

             

              (第19回トライベッカ映画祭2020

 

★トライベッカ・エンタープライズが主催するトライベッカ映画祭は、同時多発テロ911後の復興を願って2002年に始まりました。今年は19回目を415日~26日に開催する予定でした。設立者のロバート・デ・ニーロや製作者のジェーン・ローゼンタールは、312日にニューヨーク州知事クオモ氏のロックダウンを受けて中止を発表した。しかし410日に観客なし賞ありのオンライン上映を発表、429日に結果発表がありました。当然ガラは開催されず、審査員と受賞者のやり取りはオンラインで配信されたようです。インターナショナル・ナラティブ部門のニュー・ナラティブ監督賞を受賞したチリの新人ガスパル・アンティーリョNadie sabe que estoy aquíが興味深かったので次回にアップします。ラライン兄弟の制作会社「ファブラFabula」が手掛けています。We Are OneA Global Film Festival」に含まれているかどうか分かりませんが、Netflix が資金を提供しており、いずれ世界配信される予定です。


ホナス・トゥルエバ新作カルロヴィ・ヴァリ映画祭でFIPRESCI賞受賞2019年07月22日 18:18

           ホナス・トゥルエバの「La virgen de agosto」が国際批評家連盟賞を受賞

 

      

★大分古いニュースになりましたが、第54回カルロヴィ・ヴァリ映画祭201976日ガラ)でホナス・トゥルエバLa virgen de agostoが国際批評家連盟賞 FIPRESCI審査員スペシャル・メンションを受賞しました。父親フェルナンド・トゥルエバ監督と製作者の母親クリスティナ・ウエテ、叔父ダビ・トゥルエバ監督と恵まれた環境でありながら、現在は親に頼らず映画作りをしている。「この賞は謙虚で慎ましい映画に贈られる。世界のポジティブな見方をたもって、色調豊かな感情表現に取り組んだ一連のテーマも、それに相応しいものでした」というのが審査員の授賞作に選んだ理由でした。

 

     

 (カルロヴィ・ヴァリ映画祭に勢揃いしたスタッフ&キャスト、左から4人目が監督)

 

         

          (ホナス・トゥルエバとイチャソ・アラナ、授賞式にて)

 

★既に本作の作品紹介&監督フィルモグラフィー、主演女優イチャソ・アラナを含むキャスト紹介をしております。スペイン公開予定815日がアナウンスされています。

La virgen de agosto」の作品紹介は、コチラ20190603

 

          

            (ヒロインのイチャソ・アラナ、映画から)

 

 

★スペイン語映画では、他にチリのフェリペ・リオス・フエンテスのデビュー作El hombre del futuro(チリ=アルゼンチン合作)も審査員スペシャル・メンションを受賞しました。チリのパタゴニアを舞台にした、父(ホセ・ソーサ)と娘(アントニア・ギーセンGiessen)の一種のロード・ムービーのようですが、かなり興味を惹かれました。いずれご紹介するとして目下は受賞報告だけにとどめます。キャストは他にパブロ・ララインの『ザ・クラブ』や『ネルーダ』の出演者ロベルト・ファリアスセバスティアン・レリオの『ナチュラルウーマン』のアンパロ・ノゲラ他、アルゼンチンからはルクレシア・マルテルの『ラ・ニーニャ・サンタ』のマリア・アルチェなどがクレジットされています。

 

        

 

          

 (アントニア、プロデューサーのジャンカルロ・Nasi、監督、映画祭にて)

 

       

                    (ホセ・ソーサとアントニア・ギーセン、映画から)

 

第70回ロカルノ映画祭2017*ノミネーション発表2017年07月30日 17:26

    

         古稀を迎えた小規模ながら世界有数の国際映画祭ロカルノ

 

   

             (82日水曜日、いよいよ開幕されます)

 

70回目で思い出すのは、戦後間もない1946年に始まったカンヌ映画祭です。ロカルノ映画祭もカンヌと同じ年に生まれました。カンヌやベネチア、ベルリンやトロントのような大規模な映画祭ではありませんが、芸術と商業のバランスを上手く取りながら、今では夏本番8月に開催される世界有数の国際映画祭としてレベルAに成長しました。ベネチアやトロント、サンセバスチャンなど秋開催の先陣を切って開催され、特に新人監督に広く門戸を開いています。スイス南部イタリア語圏のロカルノ市という立地条件の良さ、世界最大の野外スクリーン「ピアッツア・グランデ」(7500席)の上映などで人気を集めています。しかしどの映画祭も直面しているのが資金難と若い人の映画に対する考え方の変化です。今年のカンヌでも感じたことですが、未来に向けての新しい戦略が待たれるところです。

 

   

    (1968年よりグランプリ作品には、トロフィー金豹が授与されるようになった)

 

★第1回のオープニング作品は、ロベルト・ロッセリーニの『無防備都市』(Roma, Citta Aperta 1945)だったそうです。既にカンヌ映画祭でワールド・プレミアされていたが、特別賞を受賞しました。グランプリはルネ・クレールの『そして誰もいなくなった』で、ロッセリーニ自身も1948年に戦争三部作の第3作目『ドイツ零年』で受賞しています。彼のネオレアリズモと言われる映画手法は、スペインの若手シネアスト、ガルシア・ベルランガやアントニオ・バルデムにも大きな影響を与えました。日本も1954年に衣笠貞之助の『地獄門』が受賞しています。スペインは非常に遅くアルベルト・セラのHistoria de la meva mort2013、カタルーニャ語)が初めて受賞しました。

アルベルト・セラの金豹賞受賞の記事は、コチラ2013825

 

    

          (金豹賞のトロフィーを手にしたアルベルト・セラ)

 

★さて2017年のコンペティション部門には、ブラジル映画、フリアナ・ロハスマルコ・ドゥトラ As boas maneirasGood Manners 仏合作)と、チリのラウル・ルイスバレリア・サルミエント La telenovela erranteThe Wandering Soap Opera1990)の2作がノミネーションされています。後者の監督ラウル・ルイスは2011年に亡くなっており、サルミエントはルイス監督夫人で編集者だった。1973年のピノチェトの軍事クーデタ以降フランスに亡命しており、ピノチェト失脚後に帰国した。その帰国後の第1作が本作である。199011月にたったの6日間で撮影したままの未完成作品をこの度サルミエントが完成させた。米国やチリなどにばらばらに保管されていたネガを編集したようです。多作家だったラウル・ルイスの第121番目の作品になるはずです。彼はロカルノでは、長編第2作となる1968年の Tres tristes tigres が、翌年金豹賞を受賞している。そんな経緯もあって今回ノミネーションされたのかもしれない。

 

   

  (ラウル・ルイスとバレリア・サルミエント)

 

 (本作撮影中のルイス監督)

      

                         

 

(出演のパトリシア・リバデネイラ、フランシスコ・レイェス、ルイス・アラルコン、映画から)

 

BAFICI第19回作品賞はアドリアン・オルの「Ninato」*ドキュメンタリー2017年05月23日 15:44

           受賞作のテーマは多様化する家族像と古典的?

 

  

★インターナショナル・コンペティションの最優秀作品賞は、アドリアン・オルOrrのデビュー作Niñato2017)、どうやら想定外の受賞のようでした。本映画祭はデビュー作から3作目ぐらいまでの監督作品が対象で、4月下旬開催ということもあって情報が限られています。今年は20本、日本からもイトウ・タケヒロ伊藤丈紘の長編第2作「Out There」(日本=台湾、日本語142分)がノミネートされ話題になっていたようです。昨年のマルセーユ映画祭やトリノ映画祭、今年のロッテルダムに続く上映でした。審査員も若手が占めるからお互いライバル同士になります。スペインが幾つも大賞を取ったので審査員を調べてみましたら、以下のような陣容でした。

 

エイミー・ニコルソン(米国監督)、アンドレア・テスタ(亜監督)、ドゥニ・コテ(カナダ監督)、ニコラスWackerbarth(独俳優・監督)、フリオ・エルナンデス・コルドン(メキシコ監督)の5人、最近話題になった若手シネアストたちでした。アルゼンチンのアンドレア・テスタは、カンヌ映画祭2016「ある視点」に夫フランシスコ・マルケスと共同監督したデビュー作「La larga noche de Francisco Sanctis」がノミネートされた監督、ニコラスWackerbarthは、間もなく劇場公開されるマーレン・アデのコメディ『ありがとう、トニ・エルドマン』に脇役として出演しています。フリオ・エルナンデス・コルドンは、米国生れですが両親はメキシコ人、彼自身もスペイン語で映画を撮っています。2015年の「Te prometo anarquía」がモレリア映画祭でゲレロ賞、審査員スペシャル・メンション、ハバナ映画祭脚本賞、他を受賞している監督です。ということでスペインの審査員はゼロでした。

A・テスタ& F・マルケス「La larga noche de Francisco Sanctis」紹介は、コチラ2016511

 

Niñatoドキュメンタリー、スペイン、2017 

製作:New Folder Studio / Adrián Orr PC

監督・脚本・撮影:アドリアン・オル

編集:アナ・パーフ(プファップ)Ana Pfaff

視覚効果:ゴンサロ・コルト

録音:エドゥアルド・カストロ

カラーグレーディングetalonaje:カジェタノ・マルティン

製作者:ウーゴ・エレーラ(エグゼクティブ)

 

データ:製作国スペイン、スペイン語、2017年、ドキュメンタリー、72分、撮影地マドリード

映画祭・受賞歴:スイスで開催されるニヨン国際ドキュメンタリー映画祭Visions du Réel2017でワールド・プレミア、「第1回監督作品」部門のイノベーション賞受賞、ブエノスアイレス国際インディペンデント映画祭Bafici2017「インターナショナル・コンペティション」で作品賞受賞

 

キャスト:ダビ・ランサンス(父親、綽名ニニャト)、オロ・ランサンス(末子)、ミア・ランサンス(次女)、ルナ・ランサンス(長女)

 

プロット・解説:ダビは3人の子供たちとマドリードの両親の家で暮らしている。定職はないが子育てをぬってラップ・シンガーとして収入を得ている。彼の夢は自分の音楽ができること、3人の子供たちを養育できること、自分の時間がもてて、それぞれあくびやおならも自由にできれば満足だ。重要なのは経済的な危機にあっても家族が一体化すること、粘り強さも必要だ。しかし時は待ってくれない、ダビも34歳、子供たちもどんどん大きくなり難しい年齢になってきた。特に末っ子のオロには然るべき躾と教育が必要だ。何時までも友達親子をし続けることはできない、ランサンス一家も曲がり角に来ていた。およそ伝統的な家族像とはかけ離れている、風変わりな日常が淡々と語られる。3年から4年ものあいだインターバルをとって家族に密着撮影できたのは、ダビと監督が年来の友人同士だったからだ。

 

           短編第3作「Buenos dias resistencia」の続編?

 

アドリアン・オルAdrián Orrは、マドリード生れ、監督。助監督時代が長い。ハビエル・フェセルの成功作『カミーノ』2008)、ハビエル・レボージョの話題作La mujer sin piano09、カルメン・マチ主演)、父親の娘への小児性愛という微妙なテーマを含むモンチョ・アルメンダリスのNo tengas miedo11)、劇場公開されたアルベルト・ロドリゲスの『ユニット7/麻薬取締第七班』12)と『マーシュランド』14)、フェデリコ・ベイロフのコメディEl apóstata15)などで経験を積んでいる。

 

    

★今回の受賞作は2013年に撮った同じ家族を被写体にしたドキュメンタリーBuenos dias resistencia20分)の続きともいえます。つまり何年かにわたってランサンス一家を追い続けているわけです。同作は2013年開催のロッテルダム映画祭、テネリフェ映画祭、Bafici短編部門などで上映、トルコのアダナ映画祭(Adana Film Festivali)の金賞、イタリア中部のポーポリ映画祭(Festival dei Popoli)、ポルトガルのヴィラ・ド・コンデ短編映画祭(Vila do Conde)ほかで受賞している。Bafici 2013の短編部門に出品されたことも今回の作品賞につながったのではないでしょうか。下の子供3人の写真は、短編のものです。他に短編「Las hormigas07)とDe caballeros11)の2作がある。 

 

      

(ランサンス家の3人の子供たち、中央がルナ)

 

     

                (ポーポリ映画祭でインタビューを受ける監督、201312月)

 

★タイトルになったniñatoは、若造、青二才の意味、普通は蔑視語として使われる。親がかりだから一人前とは評価されない。2013年ごろはスペインは経済危機の真っ最中、「EUの重病人」と陰口され、若者の失業率50パーセント以上、失業者など掃いて捨てるほどというご時世でした。しかし3人子持ちの父子家庭は珍しかったでしょう。少しは改善されたでしょうが、スペイン経済は道半ばです。別段エモーショナルというわけでなく、ダビが子供たちを起こし、着替えや食事をさせ、一緒に遊び、ベッドに入れるまでの日常を淡々と映しだしていく。オロがシャワーを浴びながら父親譲りのラッパーぶりを披露するのがYouTubeで見ることができます。現在予告編は多分まだのようです。 

      

               (niñatoダビ・ランサンス)

 

★純粋なドキュメンタリー映画というよりフィクション・ドキュメンタリーficdocまたはドキュメンタリー・フィクションficdocと呼ばれるジャンルに入るのではないかと思います。ドキュメンタリーもフィクションの一部と考える管理人は、ジャンルには拘らない。今カンヌで議論されているネットフリックスが拾ってくれないかと期待しています。


ブエノスアイレス国際インディペンデント映画祭2017*結果発表2017年05月20日 15:51

               スペイン映画が作品賞と監督賞を受賞しました!

 

     

        (映画祭ポスターを背にした作品賞受賞者アドリアン・オル)

 

★カンヌ映画祭も開幕、オープニング作品、アルノー・デプレシャンの「Ismael's Ghost」が評判を呼んでいるようです。出演者はマチュー・アマルリック以下キラキラ星だから話題性に事欠かない。翌日には「ある視点」のオープニング作品「Barbara」も上映され、今年のアマルリックは何かの賞に絡みそうですね。カンヌに比べればブエノスアイレス・インディペンデント映画祭BAFICIなど吹けば飛ぶような存在ですが、今年は当ブログに登場させたスペイン映画が作品賞や監督賞を受賞したのでアップいたします。

 

BAFICIBuenos Aires Festival Internacional de Cine Independiente)ブエノスアイレス国際インディペンデント映画祭、長いのでBAFICIで表記されることが多い。ブエノスアイレス市で1999年から始まった国際映画祭。今年19回を迎え、年々内容を充実させておりますが、国際映画製作者連盟FIAPF公認ではなく、現在に近い陣容になったのは2008年の第10回からです。最初はインターナショナル部門の作品賞・監督賞・男優賞・女優賞・観客賞の5個だけでした。現在のオフィシャル・セレクションインターナショナル部門とアルゼンチン部門に大別され、ほかにコンペティションは、ラテンアメリカアバンギャルド&ジャンル人権アルゼンチン短編6部門、回によってカテゴリーの名称変更が目まぐるしい。そのほか賞には絡まない特別上映があります。今年は昨年死去したイランのアッバス・キアロスタミ、生誕100&没後50年のビオレタ・パラ(チリ、191767)、没後25年のアストル・ピアソラ(アルゼンチン、1992)についてのドキュメンタリー映画が上映されたようです。2016年の入場者は約38万人、今年は大台の40万台に達しました。

 

★主な受賞作品、インターナショナル・コンペティション部門の作品賞は、アドリアン・オルOrrの長編ドキュメンタリーNiñato(西)の驚きの受賞、本作は当ブログ初登場です。マラガ映画祭2017の「金のビスナガ」受賞を果たしたカルラ・シモンのデビュー作Verano 1993(西)が監督賞とワールド・カトリックメディア協議会によるSIGNIS賞、さらに観客賞も受賞しました。オリジナル・タイトルはカタルーニャ語の「Estiu 1993です。キロ・ルッソViejo calavera(ボリビア=カタール)は審査員特別賞、撮影監督パブロ・パニアグアの撮影賞ADF受賞、これは納得です。本作はサンセバスチャン映画祭2016「ホライズンズ・ラティノ」部門のスペシャル・メンション受賞作、カルタヘナ映画祭2017の作品賞も受賞している。アルゼンチン・コンペティション部門の作品賞は、BAFICIの常連受賞者アレホ・モギジャンスキーLa vendedora de fósforosでした。またアバンギャルド&ジャンルでは、ガリシアのオリべル・ラシェ(またはオリヴェル・ラセ)のMimosas(モロッコ=西==カタール)がスペシャル・メンションを受賞、カンヌ映画祭2016「批評家週間」でのグランプリ受賞を皮切りに国際映画祭巡りをした異色作でした。 

   

カルラ・シモンの「Verano 1993」の紹介記事は、コチラ2017222

 

 

(今では本当の家族のようになったというシモン監督を囲む出演者たち、マラガ映画祭にて)

 

キロ・ルッソの「Viejo calavera」の紹介記事は、コチラ201695

 

 

                      (撮影賞を受賞した美しい映像、映画から)

 

オリベル・ラシェの「Mimosas」の紹介記事は、コチラ2016522

 

  

 

★次回に未紹介の主な受賞作、作品賞受賞のアナウンスに会場は驚きに包まれたというアドリアン・オルOrrの長編ドキュメンタリーNiñato」やアレホ・モギジャンスキーLa vendedora de fósforos」などのプロットや監督キャリア紹介をいたします。

  

第32回グアダラハラ映画祭2017*結果発表2017年04月01日 17:30

      エベラルド・ゴンサレス、作品賞とドキュメンタリー賞のダブル受賞

 

    

★グアダラハラ映画祭 FICG については、作品賞を受賞しても公開されるチャンスがないこともあり、目についた受賞作品をピックアップするだけです。昨年は作品賞を受賞したコロンビアのフェリペ・ゲレーロOscuro animalをご紹介しました。コロンビアにはびこる暴力について、コロンビア内戦の犠牲者3人の女性に語らせました。今年のメキシコ映画部門は、エベラルド・ゴンサレスLa libertad del DiabloDevils Freedom)が最優秀作品賞とドキュメンタリー賞の2冠に輝き、マリア・セッコが撮影賞を受賞しました。フィクション部門とドキュメンタリー部門の両方にノミネーションされていたなど気づきませんでした。プレゼンターは今回栄誉賞受賞のメキシコの大女優オフェリア・メディナ、これは最高のプレゼンターだったでしょう。

 

  

     (オフェリア・メディナからトロフィーを手渡されるエベラルド・ゴンサレス)

 

 

★ベルリン映画祭2017「ベルリナーレ・スペシャル」部門で、アムネスティ・インターナショナル映画賞を受賞した折に少しご紹介いたしました。こちらはメキシコのいとも簡単に振るわれる「メキシコの暴力の現在」について、犠牲者、殺し屋、警察官、軍人などに語らせています。各自報復を避けるため覆面を被って登場しています。衝撃を受けたベルリンの観客は固まって身動きできなかったと報じられたドキュメンタリーです。おそらく公開は期待できないでしょう。

 

    

     (覆面を着用した証言者、映画から)

 

Oscuro animal」の紹介記事は、コチラ2016319

La libertad del Diablo」の紹介記事は、コチラ2017222

 

     イベロアメリカ作品賞はカルロス・レチュガの「Santa y Andrés」が受賞

 

カルロス・レチュガSanta y Andrésは、サンセバスチャン映画祭2016「ホライズンズ・ラティノ」部門に正式出品されたキューバ、コロンビア、フランスの合作。他に脚本賞とサンタ役のローラ・アモーレスが女優賞を受賞。1983年のキューバが舞台、体制に疑問をもち、山間に隠棲しているゲイ作家のアンドレス、彼を見張るために体制側から送り込まれた農婦のサンタ、いつしか二人の間に微妙な変化が起きてくる。本作の物語並びに監督紹介、当時のキューバについての記事をアップしています。このカテゴリーには、同じキューバのフェルナンド・ぺレスの「Ultimos días en La Habana」やアルゼンチンの『名誉市民』、スペインからはアレックス・デ・ラ・イグレシアの『クローズド・バル』もノミネートされておりました。

 

 

★女優賞のローラ・アモーレスはシンデレラ・ガール、本作のため監督が街中でスカウトした。必要な時にはいつも留守の神様も、時として運命的な出会いを用意しています。人生は捨てたものではありません。本作のような体制批判の映画は、ラウル・カストロ体制下のキューバ映画芸術産業庁ICAICでは歓迎されないが、サンセバスチャンやグアダラハラ映画祭は評価した。この落差をどう受け取るかがキューバ映画の今後を占うと思います。

 

 

            (サンタとアンドレス、映画から)

 

Santa y Andrés」の作品紹介記事は、コチラ2016827

 

★早くもカンヌの季節が巡ってきました。第70回カンヌ映画祭2017の正式ポスターが発表され、今年のカンヌの顔はイタリアの往年の大スターCCことクラウディア・カルディナーレ、コンペティション審査委員長はペドロ・アルモドバル、期間は517日~26日です。

 

    

   (踊って笑って生き生きしたフェリーニのミューズ、クラウディア・カルディナーレ)


セビーリャ・ヨーロッパ映画祭*”Mimosas”が審査員特別賞2016年11月25日 10:41

          「金のヒラルダ」賞はフランス映画“Ma Loute

 

★第13回セビーリャ・ヨーロッパ映画祭(114日~12日)は、「金のヒラルダGiraldillo de Oro」賞にブリュノ・デュモンBruno DumontMa Louteを、審査員特別賞にオリヴェル・ラセMimosasを選んで閉幕しました。前者はカンヌ映画祭2016のコンペティション正式出品、後者は同映画祭のパラレル・セクション「批評家週間」のグランプリ受賞作品、大賞は二つともカンヌ絡みでした。年後半の11月に開催される映画祭はどうしても金太郎飴になりがちですが、どの製作会社も春と秋に照準を合わせるから致し方ありません。Ma Loute”は社会階級についての辛辣な寓話、いずれ公開されるのではないか。昨年はホセ・ルイス・ゲリンの『ミューズ・アカデミー』がまさかの「金のヒラルダ」を受賞して驚いたのでした。セビーリャ上映がスペイン・プレミア、東京国際映画祭で上映されたばかりだったから、私たちのほうが先だったのです。

 

 

  

★“Mimosas”の作品紹介はカンヌ映画祭で既にアップしております。オリヴェル・ラセOliver Laxe1982年パリ生れ、ガリシアへ移民してきたガジェゴ(gallego)。カタカナ表記はフランス語読みにしましたが、ガリシア語ならオリベル・ラシェかと思います。カンヌ映画祭2010のパラレル・セクション「監督週間」に出品したデビュー作Todos vós sodes capitáns(“Todos vosotros sois capitanes/You All Are Captains2010,カラー&モノクロ、78分、スペイン語・アラビア語・フランス語)が、国際映画批評家連盟賞FIPRESCIを受賞しています。スペイン映画アカデミーが翌年のゴヤ賞新人監督賞にノミネートしなかったことで一部から批判されるということがありました。

Mimosas”の作品紹介記事は、コチラ⇒2016年522

 

   

 

   

      (撮影中のオリヴェル・ラセ)

 

6年ぶりに撮った第2作“Mimosas”(モロッコ=スペイン=フランス、アラビア語)がカンヌ映画祭「批評家週間」でグランプリを受賞したうえ、今回の審査員特別賞とスペシャル・メンション音響デザイン&編集賞を受賞したことで、来年のゴヤ賞ノミネーションの行方が気になってきました。デビュー作ではないが初ノミネーションとして「新人監督賞」のカテゴリーの可能性があるかもしれません。過去にそういう事例があります。

 

★他にも何作か受賞作品がありますが、なかでパブロ・リョルカ(ジョルカ)Pablo Llorca CasanuevaDías color naranjaが「新しい波」部門のデラックス賞を受賞しました。1963年マドリード生れ、監督、脚本家、製作者。大学では芸術史を専攻、その後映画を学んで80年代後半から短編を発表、代表作品は“La espalda de Dios”(2001、西語)、ドイツで撮影した冷戦時代のスパイ物“La cicatriz”(2005、英語・独語)は、マラガ映画祭ZONA-CINEセクションの作品賞・脚本賞を受賞しています。

 

★こんなお話です。自由を満喫できる夏、手軽な手荷物一つの気ままな列車の旅、新しい体験、列車で知り合った仲間との冒険、芽生えたつかの間の恋、これこそ〈オレンジ色の日々〉というにふさわしい。2010年の夏、アイスランドの火山が爆発したせいで、韓国旅行からの帰途にあったアルバロは、アテネに足留めになってしまう。こうして列車の旅が始まったのだ。スウェーデンのベルタとは、ディケンズの『ピケウィック・クラブ』が縁で親しくなった。

 

     

           (アルバロとベルタ、“Días color naranja”から)