ダビ・トゥルエバの新作「El hombre bueno」*マラガ映画祭2024 ⑦ ― 2024年03月08日 14:43
夫婦関係について、別離に至る苦悩についてを熟考するドラマ
★3月6日、ダビ・トゥルエバの新作「El hombre bueno」の第1回上映がアルベニス映画館でありました。監督は出演者ホルヘ・サンス、マカレナ・サンス、ビト・サンスとともにフォトコールにおさまりました。苗字が同じサンスでも血縁関係はないそうです。映画祭も折り返し点を過ぎ、セクション・オフィシアルの1回目の上映はほぼ終わり、各プレス会見も行われています。
★昨年ダビ・トゥルエバは、カタルーニャのコメディアン、エウジェニオ・ジョフラの悲しみと喜び、想像力を結集させた「Saben aquell」でファンを楽しませたばかりですが、ホルヘ・サンス久々の出演ということで作品紹介をいたします。低予算で製作された本作は、「作るのがとても楽しい映画でした。私は敬愛するホルヘ・サンスと再び仕事がしたかったのです」と、プレス会見で製作の動機を語った。ホルヘ・サンスは監督が宿願のゴヤ賞を初めて受賞した『「ぼくの戦争」を探して』に出演しています。サンスは監督が愛する実父の人格が投影されている役を演じたのでした。
*「Saben aquell」の作品紹介は、コチラ⇒2023年12月30日
*『「ぼくの戦争」を探して』の作品・監督キャリア紹介は、コチラ⇒2014年11月21日
(左からビト・サンス、監督、マカレナ・サンス、ホルヘ・サンス、3月6日フォトコール)
「El hombre bueno」
製作:Buenavida Producciones / Perdidos G.C.
監督・脚本:ダビ・トゥルエバ
撮影:イグナシオ・ガバサ
音楽:ライモン、”Veles e vents”
編集:マルタ・ベラスコ
録音:サロメ・リモン
データ:スペイン、2024年、ドラマ、79分、撮影地マジョルカ島(バレアレス諸島)、配給・販売Buenavida Producciones
キャスト:ホルヘ・サンス(アロンソ)、マカレナ・サンス(ベラ)、ビト・サンス(フアン)
ストーリー:ベラ、フアン、娘のマヌエラは、フアンの元同僚で上司でもあったアロンソが所有する海辺の快適な家で数日間過ごそうとマジョルカにやってきた。アロンソはパートナーを亡くしたことで引退を決意していた。一方フアンとベラは離婚を決意しており、「善き人」アロンソに彼らの仲介役を担ってもらいたいと考えていた。喧騒から遠く離れた海辺の家で、3人の秘密が明らかになるにつれ、それぞれの愛と喪失に向き合うことになる。
(フアン役のビト・サンス、アロンソ役のホルヘ・サンス、フレームから)
★情報が少なく、破綻寸前の夫婦の仲介者アロンソが善き人なのかどうか分からない。トゥルエバ監督はプレス会見で、「愛は最初に人を築き、次に人を破壊します。・・・ブーメランになる可能性もあります。いずれにせよ3人は完璧でも、正直でもなく、自分自身に満足していません。最も難しいのは、他人のアイディア、他人の欠点を尊重することなのです」と述べている。
(マカレナ・サンス、監督、ホルヘ・サンス、プレス会見にて)
★フアン役のビト・サンスは「登場人物たちは善人でも悪人でもなく、両方を少しずつ持っている」。またその演技を絶賛されたマカレナ・サンスは、「本作は劇場向きの脚本で、とても複雑でした。毎晩でも演じたい、そうすれば毎晩新たな気づきが得られる脚本だからです」と語っている。
★ホルヘ・サンス(マドリード1969)については『「ぼくの戦争」を探して』でフィルモグラフィーを紹介をしています。子役からの俳優で既に3桁の作品に出演しています。アンソニー・クイーンと共演した『バレンチナ物語』が、1985年公開され日本でも認知度が高いか。また監督の実兄フェルナンドがオスカー賞を受賞した『ベルエポック』に4人姉妹の恋人役で出演しており、トゥルエバ兄弟とは縁が深い。最近ダビ・トゥルエバとはTVミニシリーズ「¿ Qué fue de Jorge Sanz ?」(8話、2010~17)で主役を演じており、現在では助監督をしている息子メルリン・サンスも4話だが出演している。
(引退して画家を目指しているアロンソ)
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