カルロス・サウラの『急げ、急げ』*時代を反映したキンキ映画2022年01月14日 17:32

         民主主義移行期のキンキ映画の誕生と終焉

 

★以下は長らく休眠中のCabina さんブログにコメントしたものを、前回アップしたダニエル・モンソンの新作Las leyes de la fronteraの付録として、単独でも読めるように削除加筆して再構成したものです。特に後半部のキンキ映画の父とも称されるエロイ・デ・ラ・イグレシア紹介は今回大幅に加筆しています。カルロス・サウラのキンキ映画 Deprisa, deprisa81)の邦題『急げ、急げ』は、1986年に開催されたミニ映画祭カルロス・サウラ特集〉で上映された折りに付けられたものです。犯罪を犯すときのキンキたちの口癖「急げ、急げ!」からきています。

Cabinaブログ「急げ、急げ」には時代背景など詳しい、コチラ⇒20110219

   

     

            (アンヘラとパブロを配したポスター)

 

データ:製作国スペイン・フランス、スペイン語、1981年、犯罪ドラマ、99分、監督・脚本カルロス・サウラ、撮影テオ・エスカミーリャ、製作エリアス・ケレヘタ・プロダクション、モリエール・フィルム、撮影地アルメリア。受賞歴ベルリン映画祭1981金熊賞受賞。

   

キャスト ベルタ・ソクエジャモス(アンヘラ)、ホセ・アントニオ・バルデロマール・ゴンサレス(パブロ/エル・ミニ)、ヘスス・アリアス(メカ)、ホセ・マリア・エルバス・ロルダン(セバス)、マリア・デル・マル・セラーノ(マリア)、ほか多数

   

ストーリー:スペインが民主主義移行期の1970年代後半、マドリードの貧困地区にたむろするアウトローたち、アンヘラとパブロによって結成された4人の犯罪グループの物語。彼らは故郷を捨て家族を持たずマフィアのような組織にも属していない。手っ取り早い車上荒らしや銀行強盗を繰り返し、せしめたお金で自由を満喫している。軽い気持ちで始めた犯罪もやがて少しずつより危険で無謀なものに変貌していく。1970年代後半から80年代にスペイン社会を震撼させたヘロイン中毒を背景にしている。

 

 

            サウラといえばフラメンコ?

 

 カルロス・サウラのキンキ映画 Deprisa, deprisa急げ、急げ』)のストーリー、時代背景、特に類似作品についての紹介はCabinaさんブログに詳しい。198610月にスペイン映画講座カルロス・サウラ特集〉が開催され、サウラの問題作といわれる6が上映されました

 長編第1Los golfos59ならず者)から数えると既に40作近くなります

 *『ならず者』(59)、『狩り』(La caza 65)、『カラスの飼育』(Cria cuervos 75)、『愛しのエリサ』(Elisa, vida mía 77)、『ママは百歳』(Mamá cumple cien años 79)、『急げ、急げ』(81)以上の6作。

 

    

    (天使の丘で職務質問を受ける名場面を配した『急げ、急げ』のポスター

 

 Pajarico97パハリーコ・小鳥)がスペイン映画祭1998で上映された後、特に気に入ったものがありません。監督自身がフラメンコ、タンゴ、ファドなど音楽物にシフトしているせいか、ラテンビート映画祭でもドラマは上映されていません。

 *ラテンビート映画祭LBFFの上映作品。Fados07ファド2008上映)、Flamenco, Flamenco10フラメンコ、フラメンコ2010上映)の2作。後者がLBFFで上映された際のチケット完売でした

 

 Cabina ブログでもドラマは久々、製作順ではTaxi96、『タクシー』1997公開)以来です。

 『タクシー』は、日本スペイン協会創立40周年記念の一環として開催された<スペイン映画祭1997>で上映され、続いて一般公開されました。映画祭には監督来日がアナウンスされておりましたが、来日したのは本作でデビューを飾ったイングリッド・ルビオでした。直前に急にお腹が痛くなるのは、よくある話です。

 

 サウラは一般公開、映画祭、映画講座等々含めると、字幕入りで60%以上の作品が紹介されているようですが。

 DVDも発売されていてスペイン映画としては破格の扱いです。しかし、残念ながら『急げ、急げ』のような私の好きな作品は漏れてしまっています。1981年のベルリン映画祭金熊賞を受賞しながら、一般公開は見送られました

 

 今でこそ「巨匠」と紹介されますが、日本ではシネマニアは別として無名に近かったでしょう。

 スペイン自体が金熊賞受賞を例外と考え、これを快挙とポジティブにはとらなかった。民主主義移行期(197578)の混乱はスペイン全体を覆い、映画界も創造性と産業的なインフラを安定させるための国家的な援助体制が確立していなかったようです。

 

 サウラ映画が初めて劇場公開されたのが1983年には驚きますが『カルメン』が米アカデミー外国語映画賞部門にノミネートされたおかげです。

 フラメンコ三部作の2作目『カルメン』(83)、次が同じ三部作の1作目『血の婚礼』(8185公開)→『カラスの飼育』(7587公開)→三部作の最後『恋は魔術師』(86、同)→『エル・ドラド』(8789公開)という具合で、公開年は製作順ではありませんでした

  

 やはりフラメンコ強しの感があります。フランシスコ・ロビラ・ベレタのフラメンコ映画『バルセロナ物語』63Los Tarantos)が公開されたのは翌年の1964年でした。

 ロビラ・ベレタは1940年代から活躍しているベテラン監督で、フラメンコに拘ったわけではありません。本作は1984年秋開催のスペイン映画の史的展望195177でも上映されました。他にもスペイン映画祭1984が企画され、80年代は日本におけるスペイン映画の黎明期というだけでなく、本国スペインでも歴史に残る名画が量産された時代でもありました。

 上述した〈カルロス・サウラ特集〉のうち第3作目になる『狩り』は、スペイン映画の史的展望195177で既に紹介されていました。

 

       

             (『狩り』のスチール写真

 

    80年代の新しいアウトサイダー映画シネ・キンキCine quinqui

 

 前置きが長くなりましたが、1980年を前後して社会のはみ出し者を主人公にした犯罪映画シネ・キンキ cine quinqui に戻ります。大雑把にジャンル分けする警察・刑事の範疇に入り、こちらにはテロリズムをテーマにしたものも含まれます。

 いわゆるETAものと言われる映画こちらも70年代から80年にかけて記憶に残る作品が生みだされました。

 

 キンキ映画には例えばホセ・アントニオ・デ・ラ・ロマPerros callejeros77)、エロイ・デ・ラ・イグレシアNavajeros80)やColegas82)、マヌエル・グティエレス・アラゴンMaravillas80などが代表作として挙げられる

 デ・ラ・ロマ監督のは、少年犯罪三部作の第1作目です。

   

 グループのリーダーEl Toreteエル・トレテを主人公に、続編Perros callejerosⅡ”79)、Los ultimos golpes de El Torete80)を撮り、つづいて女性版Perras callejeras85)も撮ったのでした。

 *19875スペイン映画講座アラゴン監督特集〉でマラビーリャス』として上映された。

  

 だいたい未紹介作品ばかりです。ピークは80年代末に終りを告げたということですが。

 シネアストたちがこのテーマを忘れたわけではなく、アルフォンソ・ウングリアAfrica96)やフェルナンド・レオン・デ・アラノアBarrio98)のような映画も記憶に新しいところです。「バリオ」の主人公たちは急げ、急げの息子世代に当たります

 

 ウングリアの「アフリカ」にはエレナ・アナヤが出演しています。

 ポスト・ペネロペの呼び声が高いエレナのデビュー作。その後の活躍は御存じの通り、この秋公開のアルモドバルの新作に抜擢され、監督の新ミューズとなるかもしれません。

 

 サウラの『タクシー』やアチェロ・マニャスEl bola00)もこの延長線上ですね。

A 遡ればメキシコ時代ルイス・ブニュエルLos olvidados50、『忘れられた人々』53公開)は、少年犯罪映画の先駆け的作品といえます。フランコ体制下の60年代にも多くの監督が厳しい検閲をくぐり抜けて、落後者の挫折と失望を描いた作品を手掛けています。変動期の80年代とは時代背景が異なりますから自ずと主テーマは異なります。

 

 『忘れられた人々』はメキシコ映画ですが、ブニュエルはサウラ映画の原点の一つですね。

 ブニュエルは翌1951年のカンヌ映画祭で監督賞を受賞したのですが、スペインでは上映禁止になりました。ブニュエルに限らず当時の外国映画禁止リストを見ると、意味不明の映画のオンパレードです。

 処女作ならず者の英題はThe Delinquents不良少年たち)、このほうがイメージしやすい。これはブニュエルの影響を受けて作られたということですか。

   

     

             (『ならず者』のポスター)

   

 勿論ブニュエルの遺産だけではありません。当時はイタリアネオレアリズモが支配的でしたが、これは危機に瀕しているイタリアを象徴しており、一方フランスヌーベルバーグ台頭は流動的なフランスの転換期を象徴していました。スペインのキンキ映画は軍事独裁政権からの屈折した離脱を反映しています。ドキュメンタリー・タッチのならず者の登場は、新しいスペイン映画の到来を予感させたのではないでしょうか。

 

 1960年カンヌ映画祭では好意をもって迎えられた。

 しかしスペイン公開は62年夏と1年半も後、おまけに事後検閲の鋏がチョキチョキ入っていた。

 新人なので事前検閲はお目こぼしをもらえたが、カンヌが認めたからには事はそう簡単にはいかないと事後検閲が厳しくなった

 スペイン公開前にフランス、スイス、西ドイツ、イタリアなどで上映、外貨を稼いだはずなのに、それはそれ、これはこれとはっきり区別している。最初からヌードなしの国内外貨稼ぎのヌードあり海外を作ったもあそうですから不思議ではありません。

 

 死に急ぐ若者たち、ここにあるのは現在だけ

 

 数ある少年犯罪物のなかでも、この急げ、急げは突出した成功作。20年の時を経てならず者のテーマに回帰したといっていいですね。

 ならず者の主人公の子供たちが主人公です。前作との違いは、まずポスト・フランコ、女性のチンピラ quinqui の登場、ドラッグの拡大。<三猿>を決め込んでいた国民は、構造的な社会矛盾の深まりに直面するなかで大量消費時代にフルスピードで突入していきました。

 

 価値観が180度転換した時代、女性の自己主張も始まった。アンヘラ役のベルタ・ソクエジャモス発見は大きいです。

 主人公はアンヘラといっていい、その肉付けが如何にもサウラらしい。4人のなかで最も大胆不敵、射撃の名手だし、頭もよく用意周到、ヤク漬けのチンピラ青年とは違ってヘロインには手を出さない。まだ未来を信じているようです。

 

 パブロ(エル・ミニ、ホセ・アントニオ・バルデロマール・ゴンサレスとメカヘスス・アリアスが偶然アンヘラに出会ったことで映画は動き出す。

 エスカレートしていくのは二人が彼女の射撃の才能を知った時からでいっそアンヘラに会わなければよかった。やはり他作品よりプロットや伏線の張り方に感心します。

 

  

             (パブロとアンヘラ、フレームから)

 

 彼らはマドリード出身でなく、義務教育もそこそこにアンダルシア地方からこの界隈に住みついたという設定です。

 サウンドトラックにフラメンコを使用したのはそのため、カンテの歌詞がよく聞き取れないこともあって断定できませんが、直感的にいえば4人のセリフ代わりになっているのではありませんか。彼らは人生を安定させるための故郷や家族から切り離されているというか切り離してきた。

 

 家族といえるものがあったかどうか分かりませんが、過去を切り捨ててきた。かといって未来があるとも信じていない、あるのは現在だけ

 ユートピアの夢は見ない。だからサウラに特徴的なフラッシュバックや回想は禁欲的に排除されている。彼らの表情のクローズアップから、観客に類推させるだけで映像化しない。時間も一直線に進むだけです。

 

 パブロとアンヘラが盗んだお金で購入したマンションも何やら怪しげな建物ですね。

 すぐ傍を走る線路がマドリード中心部から彼らを分断している。大都市がもつ華やかさや喧噪とは無縁な場所です。

 マンション近辺の荒涼とした風景は、彼ら自身のメタファーでしょうか。

 緑のない空き地に建つ四角いコンクリートの塊り、迷わず殺人も犯すアンヘラがパブロの古アパートから持ってきた鉢植えの世話をする。何を語らせたいのだろう。

 

 例の線路を電車が通過するショット、あれも何かを意味するのかな。

 45回繰り返されたので何処へ向かうか気になりますね。汚水の垂れ流しで濁った川、貸し馬の厩舎は「テキサス・シティ」、繋いでいた綱を解いて走り去る1頭の馬、それらが暗示するものは何だろう。

 誰が乗っていた馬だったろうか。メカが逃走に用いた車を燃やすインパクトのあるシーン、特に最後の闇に炎が高く燃え上がるところは映像的にも印象深い。

 メカは放火狂という設定なんでしょうね。証拠隠滅だけでなく炎に魅せられている。ドキュメンタリーの報道番組を見てるようでした。撮影監督は狩りの撮影助手をしていたテオ・エスカミーリャ、『カラスの飼育』以来ずっとサウラ映画の専属カメラマン。夜の海、ディスコ、特に夜の灯りの扱いがいい。

 

 メカの恋人マリアも入れてCerro de los Angeles(天使の丘)に遊びに行く。突然パトカーが現れて二人の警官が現れるや服装検査をする。毎度のことなので素早くヤクは捨ててしまう。

 あそこは有名なシーンです。当時すでにマドリード近郊の観光地になっていたんですね。年配の女性観光客をからかったせいで「不埒者がいる」と忽ち通報されてしまう。フランコ時代の密告制度は健在と言いたいのでしょうか。ジャケ写はアンヘラとパブロのツーショットですが、当時の宣伝用スチール写真はここがよく使用された。映画でも分かるように内戦と深い関係があります。

  

 ここが地理学的にイベリア半島のヘソというだけではないのですね。

 映画にも出てきたキリスト像を真ん中に配置したMonumento al Sagrado Corazon de Jesus’というモニュメントが建っている。1919年、アルフォンソ13世によって建造され、530日に除幕式が行われた。内戦が始まって間もない19367月に共和派の若者5人がモニュメントの警備員によって殺害されるという事件が起こった。

 

 第二共和制(19314月)になってから、修道院の焼き打ち事件が多発していた事実が背景にあります。

 ですから関係者は襲撃に脅えていたようです。事件5日後、共和派の民兵がやってきて報復措置としてキリスト像を的に射撃のセレモニーをしたうえ、最終的には破壊、廃墟にしてしまった。内戦後の1944年、フランコ政府はレプリカをもとに再建計画のプロジェクトを組み、完成除幕は約20年後の19656月でした。

 

 内戦時代の或る意味で象徴的な場所なんです。

 内戦伝説なんでしょう。狩りの舞台となるウサギの狩猟場も、内戦時には激しい戦闘があった場所、もっともスペイン全土が戦場だったわけですが。

   

 サウラのスタイルについては、よく検閲回避のための「シンボリズムに富んだリアリズム」ということが言われますが。

 確かに検閲時代には顕著でしたが、これは検閲回避だけではないと思います。彼の好きな手法であって、検閲撤廃後の本作にあっても列挙したように浮遊している。

 

 それは先述したフラメンコ三部作にも当てはまります

 乾英一郎氏が『スペイン映画史』「一体どうしてしまったのかと思うほど精彩を欠いていく」と書かれた三部作ですが、彼の映画には価値観の異なる者同士の不自然な<>というテーマが通底音としてあります。死に方は猟銃の撃ち合い、腹上死、ナイフなどいろいろですが、階級社会的な矛盾の追及とか告発は主テーマではなかったと思う、結果的にそうなったとしても。作品はひとたび公表されれば作り手の意図を離れて独り歩きをしてしまう。

 

 本作でも若者たちのモラルを裁いたりしないかわりに結末は容赦がない。

 埋もれている現実を明るみに出すこと、それをどうするかは当然政治の仕事だと考えている。冒頭からパブロとメカの死は約束されているし、後から仲間に入るヤクの売人でもあるセバスホセ・マリア・エルバス・ロルダンも同じ。残された時間の多寡はあっても人間はおしなべて死ぬ運命にあり、重要なのは「今という時間、愛、友情」であり、誰でも自分の人生を選ぶ権利がある。個人的にはそういうメッセージ受け取りました。

 仕事が成功すれば浮かれ踊るが、突然黙りこむ。そういう若者特有の感情の起伏の激しい揺れが細かく描かれていました。

 

      

       (左から、パブロ、セバス、メカ、アンヘラ、主演のキンキ

 

 だいたいアウトサイダーとか底辺とかいっても、厳密な意味での定義があるわけでなく曖昧です。主人公たちはマフィアとかの組織には縛られていない。極端だけど自由だしスリルはあるし、おばあちゃんにだって大型テレビを買ってやれる。ドロボーされるほうがバカ、デカい仕事に成功すればヒーローです

 実際の二人も大監督の映画に出たことで刑務所内では一目置かれていたようです。

 バルデロマールのちょっと青みがかった眼には人を惹きつける力があり自分たちが社会の底辺にいるという意識はなかったと思います。         

 

         これは愛を描いたフィクション

 

 ベルリン映画祭コンペ出品というのは、デビュー23作目が対象と思っていましたが、サウラのように知名度の高い監督が金熊賞を受賞するのは意外です。

 既にベルリン映画祭1966出品の狩り』で監督賞を受賞、カンヌ映画祭では1974に「従姉アンヘリカ」が審査員賞、1976には『カラスの飼育』が審査員特別賞、ママは百歳79)が米アカデミー外国語映画賞にノミネートされてます。鈴木清順の『ツィゴイネルワイゼン』が審査員特別賞を貰った年、日本ではこちらが話題になりました。

 

 サウラは『ならず者同様ドキュメンタリー手法で撮っています。

 撮影に入る前、マドリードの周辺地域を入念に取材した。2月間の準備期間中ビデオを廻しつづけ、撮影は1980年の夏、9週間を費やしています。

 

      

            (カメラを手放さないサウラ監督)

 

 この準備期間中に主人公を演じた本物のヘロイン中毒の青年たちに出会ったのでしょうか。

 2月下旬のベルリン映画祭から帰国して間もない311日に、パブロ役のバルデロマールはマヌエル・ソラ・テレスと銀行強盗をして一緒に逮捕されている。このマヌエルがサウラに紹介したようです

 映画での経験を実地に移したんですかね。

 

 出演料をどの段階で受け取ったかによりますが、あっという間に使い果たしたと証言しています。ディスコなどの遊興費やドラッグ代、とにかくお金に困っていたということです。俳優たちの自然な演技が受賞に貢献したにちがいありませんが、演技じゃなかったわけです

 自然な「演技しない演技」を追求するあまり、サウラは落とし穴に落ちた

 

 この事件でサウラと大物プロデューサーエリアス・ケレヘタは窮地に立たされた。撮影中にヘロインを使用していたことも発覚して、「知らなかった」では済まされない。

 サウラは「マドリード周辺の若者の犯罪や社会差別をテーマに社会学的なドキュメンタリーを作る意図はなかった」と言ってます。

 多分その通りだと思います。しかし、いくら「大都会の片隅で太く短く死に急ぐ若者の愛についてのフィクション」だと説明されても、事件の重大性を鑑みれば世間は納得してくれない。フランコ心酔者が黙っていないフランコ再評価の波は引いたり寄せたりしていた時代でした

  

 長年サウラとコンビを組んできたケレヘタもショックを受けたようですね。

 インタビューに「バルデロマールは撮影中は魅力的だったし、ベルリンでの記者会見の受け応えも申し分なかった」と答えている。真相の穿鑿など全く無意味ですが、ベルリンからの凱旋早々の事件だっただけに堪えたでしょう。もしこの事件が映画祭前だったらすんなり出品されたでしょうか。

 

 ホンモノに近づきすぎるとギリシア神話のイカロスの二の舞になりかねない。

 夏には相棒だったアリアスも銀行強盗に失敗して逮捕され、二人とも同じカラバンチェル刑務所に収監されています。長年続いたサウラ=ケレヘタのコンビ解消には、路線の違いだけでなく一連の騒動が関係していたかもしれない。

 

 監督はいわば現場の指揮官ですが、俳優があたかも「地でやってる」ように演技指導するのも仕事です。

 「スタート!」「カット!」の決断はもっとも重要な仕事ですが危うさと壁一重の犯罪者起用の是非は慎重に検討されてもよかった。例が極端ですが、『冷血』執筆中のカポーティを連想します。スランプ中だった作家は、望みの薄い死刑減刑をちらつかせながら虚実を尽くして犯人に近づき、一家四人惨殺の真相を聞き出しました。本物だけがもつ魅力には抗しがたいものがあるのかもしれない

 

         そしてQuinqui俳優は旅立ってしまった

 

 映画出演の quinqui の多くが90年代初めに亡くなっています。

 ヘロインは一番危険なドラッグ、解毒も難しく、服用を止めると激しい禁断症状に苦しむ。現在では危険なので医療用も禁止されてるほどです。

 マリファナなんかとは比較にならない。ふつう大麻マリファナ、ハシシュ→コカイン→ヘロインの道を辿る。

 

 バルデロマールは撮影時は23歳ですから、すでに常習者だった可能性が高い19921111日、マドリードのカラバンチェル刑務所でヘロインの摂取過剰により死亡した

 アリアスはそれより早く、1992422日、バスク州ギプスコア県でエイズのため死去。

 1960年マドリード生れですから31歳の若さです。IMDb によると4人のうち唯一他作品に出演している。ホセ・ルイス・クエルダ監督の『にぎやかな森』(891990公開)の下男役です。

 

      キンキ映画の父エロイ・デ・ラ・イグレシアの軌跡

 

 サウラ映画から逸れますが、90年代初めには<失われた世代>といわれる若者が、薬物中毒やエイズが原因で命を落としています。

 冒頭で触れた、エロイ・デ・ラ・イグレシアのNavajerosエル・ハロEl Jaro映画の結末と同じ銃弾で、ホセ・アントニオ・デ・ラ・ロマのPerros callejerosエル・トレテはエイズでした

 エル・ハロを演じたホセ・ルイス・マンサノは当時15歳、映画のオーディションに応募してきてデ・ラ・イグレシアの目に止まったそうです。

 

     

          (ホセ・ルイス・マンサノ、Navajerosから

 

 監督は1944ギプスコア生れですが、幼いころからマドリードのこの界隈で育ち、若者の生態を熟知していた。監督自身も1983年からヘロインに手を染め、1987年に解毒治療のため戦線離脱、復帰まで16年間ものブランクがありました

 1983年にエル・ハロを主人公にEl pico、その翌年に続編2を撮ってます。

 興行的にヒットしましたが、10代の子供たちや友人たちとドラッグに夢中になっていたことが発覚すると問題が吹き出しました。ヤクやりながら仕事していたわけです。「未来が見えない」と語っていたが、努力して立ち直り今世紀に入ってから2作発表した。しかし2006腎臓癌摘出後に他界享年62歳でした。

  

      

       (治安警備隊の帽子を配したヒット作El picoのポスター

 

 デ・ラ・イグレシアは、批評家の無理解もあって正当に評価されていないと言われています。アンチフランコ、コミュニストでホモセクシュアルであることを隠さなかった。

 いくつもゴルディオスの結び目を抱えていた。フランコ時代の60年半ばから事前検閲と闘い問題作を発表しつづけた監督です。カルメン・セビーリャを起用して撮った3作目となる El techo de cristal71「ガラスの天井」)は、商業的にも成功をおさめた犯罪スリラーでした。

     

 検閲を避けるための道具としてスリラーとかホラーは有効です。

 次回作 La semana del asesino72)も連続殺人犯に陥ってしまうスリラー、こちらは検閲がなかなか通らず、65ヵ所カットされたということです。本作は『カンニバルマン精肉男の殺人記録』という目を剥く邦題でDVD化されました。

 

 彼がフランコ没後に向かう先は、性的なテーマと分かっていた。

 1976年に同性愛をテーマにした映画 La otra alcoba(「もう一つの寝室」)を発表した。1978年のホセ・サクリスタンを起用した El diputado が東京国際レズビアン&ゲイ映画祭1999で『国会議員』の邦題で上映されたほか、2004年には遺作となったコメディ Los novios lgaros03)が『ブルガリアの愛人』の邦題でエントリーされた。後者は前年開催された画期的な企画〈バスク・フィルム・フェスティバル2003〉で既に上映されていました。

   

     

                   (復帰後のエロイ・デ・ラ・イグレシア)

   

  

           (遺作『ブルガリアの愛人』英語版ポスター)

 

 マラガ映画祭の特別賞の一つにエロイ・デ・ラ・イグレシア賞があります。

 再評価の流れが出来てるのでしょう。ロドリゴ・ソロゴジェンラウル・アレバロなど若い作家性の強い監督が受賞しています。ただし2018年からマラガ才能賞-ラ・オピニオン・デ・マラガと改名され、名前が消えてしまいました。2021年はオリベル・ラシェでした。

             

ダニエル・モンソンの新作はキンキ映画*ゴヤ賞2022 ④2022年01月10日 17:01

  『プリズン211』の監督新作はキンキ映画「Las leyes de la frontera

 

      

 

★オミクロン感染拡大で予定通り開催できるかどうか予測不能ですが、ゴヤ賞20226部門にノミネートされたダニエル・モンソンの新作Las leyes de la frontera(仮題「境界の原則」)のご紹介。2021年のサンセバスチャン映画祭 SSIFFセクション・オフィシアル(アウト・オブ・コンペティション)で初登場、ゴヤ賞のほか、フェロス賞ではチェチュ・サルガドの助演男優賞とミゲル・アンヘル・サンアントニオの予告編の2部門にノミネートされています。昨年108日に公開され、コロナ禍にもかかわらず、興行成績は製作費の2倍と順調、1122日にはNetflixでの配信が始まっています。日本語版は準備中ということですが、スペイン語版のほか英語版などで視聴できます。準備中のまま何らかの事情で配信されないケースもありますが、1970年代のカタルーニャ州ジローナのバリオの時代考証の緻密さ、若者のスラングが頻出して興味深い。主演者たちの殆どが未だ此の世に存在しなかった時代の物語です。

   

    

(ベゴーニャ・バルガス、モンソン監督、チェチュ・サルガド、マルコス・ルイス

 サンセバスチャン映画祭2021925日フォトコール)

 

★前回ご紹介したように、本作はオリジナル脚本ではなくハビエル・セルカセの同名小説の映画化、好評を博し、2014年にMandarache 賞を受賞している。脚本は監督が長年二人三脚で映画製作をしているホルヘ・ゲリカエチェバリアとの共同執筆、共に脚色賞にノミネートされています。彼のように過去30年間にスペインで何が起きたかを熟知している脚本家はそう多くない。すでにゴヤ賞ノミネートはオリジナル脚本賞と脚色賞取りまぜて8回、2010『プリズン211で監督と共に脚色賞を受賞しています。原作 Las leyes de la frontera の翻訳はなく、翻訳書としては2001年上梓の Soldados de Salamina が『サラミスの兵士たち』として刊行されているだけです。2年後ダビ・トゥルエバが映画化した。

   

    

       (ハビエル・セルカセの小説の表紙、モンダドリ社、2012年刊

 

 

 Las leyes de la fronteraThe Laws of the Border

製作:Atresmedia Cine / Ikiru Films / Las Leyes De La Frontera / La Terraza Films

監督:ダニエル・モンソン

脚本:ダニエル・モンソンホルヘ・ゲリカエチェバリア、原作ハビエル・セルカセ

音楽:Derby Motoretas Burrito Kachimba

撮影:カルレス・グシ

編集:マパ・パストル

キャスティング:エバ・レイラ、ヨランダ・セラーノ

プロダクション・デザイン(美術):バルテル・ガリャル

セット:ヌリア・ムニ

衣装デザイン:ベニェ・エスコバルVenyet Escobar

メイクアップ&ヘアー:サライ・ロドリゲスベンハミン・ぺレスナチョ・ディアス(特殊メイク)

製作者:ハビエル・ウガルテ、メルセデス・ガメロ、(エグゼクティブ)マリア・コントレラス、(アトレスメディア)アンドレア・バリオヌエボ、ロサ・ぺレス、(モガンボ)クレベル・ベレッタ・クストディオ、フランシスコ・セルマ、ほか共同製作者多数 

 

データ:製作国スペイン、言語スペイン語・カタルーニャ語・フランス語、2021年、スリラードラマ、シネキンキ、129分、撮影地カタルーニャ州ジローナ、マンレナ、コスタ・デル・ガラフ、期間20209月~11月の約9週間、公開スペイン2021108日、配給ネットフリックス(1122日配信)、ワーナーブラザーズ

 

映画祭・受賞歴:第69回サンセバスチャン映画祭2021セクション・オフィシアル(アウト・オブ・コンペティション上映)、第36回ゴヤ賞2022脚色・助演男優・美術・衣装デザイン・メイクアップ&ヘアー・オリジナル歌曲賞(アレハンドロ・ガルシア・ロドリゲスアントニオ・モリネロ・レオンダニエル・エスコルテル・ブランディノホセ・マヌエル・カブレラ・エスコミゲル・ガルシア・カンテロ)の6部門ノミネート、フェロス賞2022助演男優・予告編賞の2部門ノミネート

 

キャスト:マルコス・ルイス(イグナシオ・カーニャ/ナチョ/ガフィタス)、チェチュ・サルガド(エル・サルコ)、ベゴーニャ・バルガス(テレ)、ハビエル・マルティン(ゴルド)、カルロス・オビエド(ギレ)、ホルヘ・アパレシオ(チノ)、ダニエル・イバニェス(ピエルナス)、シンティア・ガルシア(リナ)、ビクトル・マヌエル・パハレス(ドラクラ)、シャビ・サエス(イダルゴ)、カルロス・セラーノ(クエンカ)、ペップ・トサール(刑事ビベス)、サンティアゴ・モレロ(イグナシオ)、アイノア・サンタマリア(ロサ)、エリザベト・カサノバス(クリスティナ)、ペップ・クルス(セニョール・トマス)、エステファニア・デ・ロス・サントス(メルチェ)、カタリナ・ソペラナ(パキ)、カロリナ・モントーヤ(テレの姉)、ハビエル・ベルトラン(成人したナチョ)、ほか多数

G体がゴヤ賞でノミネートされた人)

   

  

             (サルコのキンキ・グループ)

 

ストーリー1978年夏ジローナ、中産階級出身の内向的な17歳の高校生ナチョは、上流階級の若者グループからいじめを受けている。ゲームセンターで犯罪が支配する貧しいチノ地区出身のサルコとテレに出会い、ナチョはこの新たな出会いで逃げ道を見つける。しかし知らず知らずのうちに自分が善と悪、正義と不正の境界を越えて、犯罪者になっていることに気づく。40年の長いフランコ体制が瓦解、民主主義への移行期に、ジローナで万引き、窃盗、強盗に専念した3人の非行青年に焦点を当てて物語は進行する。ナチョの視点を通してフィルターにかけ、思春期の脆さ、繊細さ、内面の葛藤、ラブストーリーが語られる。70年代のキンキ映画の特徴を復元し、一種の社会的リアリズムで描かれている。(文責:管理人)

 

      

(テレ役のベゴーニャ・バルガスとナチョ役のマルコス・ルイス、フレームから)

 

 

 いくつかある境界の解釈――フランコ体制と没後の民主主義移行期

 

キンキ映画Cine Quinquiというのは、1975年のフランコ没後から80年代後半の民主主義移行期に、犯罪が支配した貧しい労働者階級のアウトローの若者群像を描いたスペイン映画のジャンル。キンキは非行少年に由来するごろつき、チンピラの意。政治家が威厳を保とうと腐心しているあいだに、不満のはけ口を求めていた若者は、反対方向に振れていった。暴力、セックス、官憲の残虐行為、薬物特に70年代から80年代にかけてエスカレートしたヘロインが使用され、キンキ映画は吹き荒れる嵐の中で迷走するスペイン社会を掬い取っている。自由と快楽を手に入れた若者たちが辿りつく紆余曲折は予測通りになる。

 

★プロの俳優を見つけることが困難だったため、キンキ映画の監督たちは街中でスカウトしたアマチュアを起用、彼らは映画出演後には残念ながらドラッグの摂取過剰、あるいはエイズなどで若くしてこの世を去りました。彼らは犯罪者になりたかったわけではなく、社会の周辺にはじき出されて他の選択肢がなかったのである。殆どが低予算で製作され、アカデミー的には批評家の無理解もあってB級映画とされた。

 

★キンキ映画のジャンル分けが批評家によって異なるのは解釈の広狭によりますが、ホセ・アントニオ・デ・ラ・ロマエル・トレテを起用して撮ったPerros Callejeros77、ストリートファイター)、キンキシネマの父とも称されるエロイ・デ・ラ・イグレシアホセ・ルイス・マンサノを起用して1980年に製作したNavajerosColegas82El Pico83、またカルロス・サウラがベルリン映画祭1981金熊賞を受賞した「急げ、急げ」Deprisa, deprisa)などが代表作です。サウラは後に主演者たちが本物のキンキであったことを指摘され窮地に陥ったが、インタビューでは断固否定した。しかし実際は撮影中もドラッグが手放せなかったことが分かっています。ホセ・ルイス・マンサノもサウラの主演者もヘロイン過剰摂取やエイズで早世しています。

 

★エロイ・デ・ラ・イグレシアは、1983年から自身もヘロイン中毒となり解毒治療のため戦線離脱、復帰までに16年間かかった。キンキ映画の評価については再考が必要であると思っていたので、個人的にはモンソン監督の新作を歓迎したい。現代スペイン史を語るには、この民主主義移行期のスペイン社会の分析が重要と考えるからです。キンキには当時のスペイン社会の混沌が生の姿で描かれている。タイトルになった境界には、子供時代と成人期の境界、フランコ体制の残滓と没後の混乱、越えられない社会的階級の境界、善と悪、正義と不正の境界などいくつか考えられる。民主主義の社会と言えども出来ること・出来ないことがあり、その境界には原則あるいは基準が存在するはずです。

 

キャスト紹介

語り部イグナシオ・カーニャ役のマルコス・ルイスは子役出身、ダビ&トリスタン・ウジョア兄妹の「Pudor」(07)でデビュー、他に2013の「Zipi y Zape y el club de la canica」、2016の『スモーク・アンド・ミラーズ』に出演しているが、成人してからの出演は本作が初めてである。劇中ではイグナシオの愛称ナチョ、またキンキ・グループ間で使用された綽名ガフィタス(gafitasはメガネgafasの愛称)で呼ばれ、二つには微妙な使い分けがあるようです。

    


             (ナチョ、フレームから)

 

    

 (撮影中の3人、ベゴーニャ・バルガス、チェチュ・サルガド、マルコス・ルイス)

 

グループの首領エル・サルコ役のチェチュ・サルガドは、1991年ガリシアのビゴ生れ、ビゴの演劇学校で学び、舞台俳優としてシェイクスピア劇にも出演、ガリシアTVTVEのシリーズで活躍中。ガリシアのオーレンセ出身の監督イグナシオ・ピラールの「María Solinha」で映画デビュー、本作の言語はガリシア語である。成人して弁護士になったナチョは別の俳優ハビエル・ベルトランが演じたが、サルガドが特殊メイクをして一人でサルコを演じた。作家によると、サルコのキャラクターは当初、1980年代のスペインで有名だった犯罪者フアン・ホセ・モレノ・クエンカ、別名エル・バキーリャにインスパイアされたと語っているが、本作はモデル小説でもビオピックでもなくフィクションです。ゴヤ賞フェロス賞ノミネートは共に初めてです。

     


          (サルコ、ガフィタス、テレ、フレームから)

 

テレ役のベゴーニャ・バルガスは、1999年マドリード生れ、女優、モデル、バレエダンサー。アルベルト・ピントの「Malazaña 32」(20)に主演、本作はホラー・ミステリーが幸いして『スケアリー・アパートメント』としてDVDが発売されている。他に Netflix で人気のTVコメディ『パキータ・サラス』やミステリー・シリーズ「Alta mar」(1920)に出演、本作は邦題『アルタ・マール:公海の殺人』として配信され視聴できます。新作は犯罪映画ですが、サルコとガフィタスと愛の三角関係にあり、ラブストーリーでもある。今年公開が予告されているダニエル・カルパルソロのアクション「Centauro」にアレックス・モネールやカルロス・バルデムと共演している。新作は Netflix オリジナル作品、字幕入りで鑑賞可能か。

 

スタッフ紹介:ダニエル・モンソン監督、脚本家のホルヘ・ゲリカエチェバリアについては、2014『エル・ニーニョ』で簡単ですが紹介しております。ただし『エル・ニーニョ』以降には触れておりません。  

 コチラ20140920110320150115

 

★キンキ映画について、カルロス・サウラの「急げ、急げ」を、現在休眠中のカビナさんブログにコメントした記事をコンパクトに修正して次回アップします。

 

2022年スペイン語映画*新年のご挨拶2022年01月04日 17:11

           「松七日」のうちに新年のご挨拶

 

★スペイン保健省は、コロナウイリス感染の第6波が加速して、新たな感染者372.000人は住民10万人当たり2295人に相当すると発表した。患者数の増加に伴って入院患者も当然のごとく大幅に増加しており、ICU占有率も上がっている。これは215.000人が検出されたクリスマスイブとクリスマス時よりはるかに高い発生率になる。さらに薬局の検査で分かる陽性者の報告にズレがあり、実態はもっと多いのではないかと危惧しているようです。オミクロン株の死亡率はデータが揃っていないようです。家族が集まって会食するクリスマス休暇と新年が続いていたので、ある程度予想されたことですが、もうそろそろベルトを締める時期がきたと警告している。教育現場では児童のマスク着用が義務づけられている。日本とは桁違いの数字ですが、こちらも連日感染者が増加しているから用心するに越したことはない。

 

      

 (ワクチン接種をした子供にご褒美の飴を差し出す看護師、作年1230日、マドリード)


 

★第36回ゴヤ賞ガラがどうなるか予測できませんが、開催まで未紹介の作品を少しずつアップしたい。ダニエル・モンソンLas leyes de la fronteraは、ハビエル・セルカセの同名小説の映画化、ジャンルは1970年代のキンキ映画。モンソンは『プリズン211『エル・ニーニョ』でファンを獲得している。ノミネーションは、脚色賞(監督と共同執筆したホルヘ・ゲリカエチェバリア)、新人男優賞(チェチュ・サルガド)、オリジナル歌曲賞(ダニエル・エスコルテル・ブランディノほか)、美術賞(バルテル・ガリャル)、衣装デザイン賞(Vinyel Escobal)、メイクアップ&ヘアー賞(サライ・ロドリゲスベンハミン・ぺレスほか)と6部門にノミネートされている。

         

    

  (マルコス・ルイス、ベゴニャ・ロドリゲス、チェチュ・サルガドを配したポスター)

 

第36回ゴヤ賞2022前夜祭開催*ゴヤ賞2022 ③2021年12月28日 13:57

          ゴヤ賞にノミネートされた候補者が集う前夜祭

 

      

1217日、ゴヤ賞にノミネートされた候補者が集う前夜祭が、マドリードのフロリダ・デル・レティロのサロンで開催されました。新型コロナ以前は3週間前くらいにミニカクテル・パーティのかたちで開催されていましたから大分前倒しになりました。以前は出席者も多く、特に新人たちは自分を売り込むチャンスでもありましたのでプレ・ガラの様相でした。今回はウイリス感染を懸念してか、海外にいる候補者たちは出席したくても隔離期間がクリアーできないということもあり少なめでした。映画アカデミー会長マリアノ・バロッソはベロニカ・フォルケへの想い出からスピーチを始め、「彼女は登場人物やファンに光と喜びをプレゼントして楽しませてくれた稀有な女優でした。彼女のために痛みを共有したいと思います」と挨拶した。

   

       

     (夕べの集いの挨拶をするマリアノ・バロッソ映画アカデミー会長)

 

★昨年はパンデミアで開催されませんでした。アルモドバルのMadres paralelas出演のアイタナ・サンチェス=ヒホンミレナ・スミスMaixabelの監督イシアル・ボリャイン以下ルイス・トサールのキャストやスタッフ陣、既に2個のゴヤ胸像を持っているハビエル・グティエレス、などの常連さんが姿を見せておりました。昨年はスペイン映画アカデミーが主催する一大イベントでも無観客で行われましたが、今回はマスク着用、ソーシャルディスタンスなど衛生面の安全を確保して会場に観客を入れるようです。第36回ゴヤ賞のガラは2022212ガルシア・ベルランガ生誕100周年を記念して、出身地バレンシアのPalau de les Arts Reina Sofia レイナ・ソフィア芸術宮殿です。総合司会者はおかない方針のようです。

 

      *夕べの集いに参集した人々のフォトコール

アイタナ・サンチェス=ヒホンミレナ・スミス(助演女優賞ノミネート)、アルモドバルの「Madres paralelas」出演。本作のノミネートは、作品・監督賞以下8個。サンチェス=ヒホンは映画アカデミーのノミネーションに感謝し、「ペドロが私のためにこの魅力的な役柄を贈り物をしてくれたことを名誉なことだと思っている」と監督にも感謝の言葉を送った。長い女優歴にもかかわらず、アルモドバル映画は初参加、ゴヤ賞ノミネートも初めてにびっくりする。舞台に専念していた時期があるせいかもしれない。ミレナ・スミスは、昨年のダビ・ビクトリの「No matarás」(新人女優賞)に続いてのノミネート、アルモドバルに「永遠の感謝」を捧げた。

   

  

             (アイタナ・サンチェス=ヒホン)

 

       

                      (ミレナ・スミス)

 

イシアル・ボリャイン、「Maixabel」の監督賞ノミネート、本作のノミネートは作品賞以下14個。彼女の監督賞ノミネートは4回目、受賞は『テイク・マイ・アイズ』のオリジナル脚本賞1個のみ、ノミネーションの山を築いている。彼女は女性シネアストのあいだの信頼度が高く、特に受賞が期待されている。

  

      

ルイス・トサール、「Maixabel」で主演男優賞ノミネート。最多ノミネート20個の「El buen patorón」が米アカデミー国際長編映画賞ショートリストに残り、そのプロモーションにてんやわんやのフェルナンド・レオン・デ・アラノアやハビエル・バルデムが欠席しているため、トサールの出席は歓迎された。

 

      

ハビエル・グティエレス、マヌエル・マルティン・クエンカの『ザ・ドーター』で主演男優賞ノミネート。既に『マーシュランド』と「El autor」で2個ゲットしている。今回は本命ではなさそうです。

 

     

ベロニカ・エチェギ、今宵の招待客の一人、今回はノミネートがありませんがベスト・ドレッサーを自他ともに認めている。この装いは20209月に行われた、シャネルの2021春夏コレクションのショーで着用したもので、60年代のフランス映画のプリマドンナにインスピレーションを受けたドレスだそうです。多分プレゼンターに選ばれているのかもしれない。

 

        

ペトラ・マルティネス、ダビ・マルティン・デ・ロス・サントスの「La vida era eso」邦題『マリアの旅』で主演女優賞ノミネート。本作は2020年製作。

 

      

歌手アントニオ・オロスコ、セクン・デ・ラ・ロサの「El cover」でオリジナル歌曲賞に Que me busquen por dentro がノミネートされている。

   

     

★マリアノ・バロッソ会長は、開催を取りやめることなく、充分な衛生面のコロナ予防対策を講じて臨みたいと締めくくった。


第94回アカデミー賞2022ショートリスト発表*国際長編映画賞部門2021年12月25日 10:01

            ショートリスト15作中スペイン語映画3作が残る!

   

   

★ベロニカ・フォルケを悼む記事が続いていますが、気を取り直して来年のアカデミー賞の話題に切り替えます。第94回のガラは、2022327日、以前のドルビー・シアターに統一して開催されるということです。それに先立つ1221日に、国際長編映画賞部門のセミ・ファイナリスト(ショートリスト)15作が発表されました。92ヵ国から応募があり、スペイン代表フェルナンド・レオン・デ・アラノアEl buen patorón、メキシコ代表タティアナ・ウエソPrayer for the Stolen(原題Noche de fuego)、パナマ代表アブナー・ベナイムPlaza Catedral3作が残りました。ノミネーションが正式に発表になるのは、来年28日がアナウンスされていますが予定です。パナマ作品は未紹介ですが、データを後述します。濱口竜介『ドライブ・マイ・カー』のような強敵も残りましたから、ファイナルリスト4作に残るのは容易じゃありません。ましてや受賞となると結構長い道程です。

        

      

 (スペイン代表作品「El buen patorón」のポスター)

     

         

                 (メキシコ代表作品Noche de fuego」のポスター

 

     

          (パナマ代表作品「Plaza Catedral」のポスター)

 

El buen patorón」の主な作品紹介記事は、コチラ20210810

Noche de fuego」の主な作品紹介記事は、コチラ20210819

 

★監督紹介:パナマ代表作品Plaza Catedral」は、アブナー・ベナイムの長編第2作め。1971年パナマ生れ、監督、製作者、脚本家、造形アーティスト。米国ペンシルバニア大学で国際関係学を専攻、映画はテルアビブのカメラ映画学校で学んだ。映画はドキュメンタリーでスタートを切り、ドキュメンタリー作家としての評価は高い。2004年パナマで制作会社Apertura Films を設立、2005年ドクメンタリー・シリーズEl otora lado11エピソード)で、ニューヨークTVフェスティバルの作品賞を受賞している。2009年長編映画デビュー作Chanceは興行的にも成功し、埼玉県で開催される「スキップ・シティD シネマフェスティバル2011」に『チャンス!男メイドの逆襲』)の邦題で上映され、脚本賞を受賞している。

 

   

           (新作撮影中のアブナー・ベナイム監督)

 

2014年のInvasionは、1989年のアメリカによるパナマ侵攻をめぐる捏造された集団記憶のドキュメンタリー。本作はパナマのIFF映画祭で観客賞ほか受賞歴多数、第87回アカデミー賞(ドキュメンタリー部門)に選ばれたがノミネートはされなかった。コロンビアのバランキージャFFドキュメンタリー賞、マラガ映画祭観客賞ほかを受賞している。2018年のRuben Blades is Not My Nameも第91回アカデミー賞代表作品に選ばれたが、ノミネートには至らなかった。

 

      

      (ドキュメンタリー「Ruben Blades is Not My Name」ポスター)

 

★オスカー賞3回目のパナマ代表作品となる新作「Plaza Catedral」は、パナマ=メキシコ=コロンビア合作、スリラー・ドラマ、94分、スペイン語・英語、撮影地パナマシティ、製作Apertura Films。既にパナマ映画祭2021の観客賞を受賞しているほか、グアダラハラ映画祭MEZCAL賞にノミネートされ、フェルナンド・ハビエル・デ・カスタが男優賞を受賞したが、その前にパナマで射殺されるという悲劇に見舞われていた。ダンサーでサッカー選手でもあった少年の死は、パナマでは珍しいことではない。他にキャストはメキシコのベテラン女優イルセ・サラス、コロンビアのマノロ・カルドナなど。イルセ・サラス(メキシコ・シティ1981)は、『グエロス』の監督アロンソ・ルイスパラシオスと結婚、2児の母親でもある。マラガ映画祭2019金のビスナガ賞を受賞したアレハンドラ・マルケス・アベジャLas niñas bien(邦題『グッド・ワイフ』公開)で主役を演じている。カルドナはハビエル・フエンテス=レオンの話題作『波に流されて』09)で日本に紹介されている(東京国際レズビアン&ゲイ映画祭、レインボー・リール東京FFに改名)。本作でマコンド賞2010助演男優賞を受賞している。

      

       

        (彼の才能を惜しんだイルセ・サラスとフェルナンド)

 

    

  (イルセ・サラスとフェルナンド・ハビエル・デ・カスタ)

     

   

                      (サラスとマノロ・カルドナ、フレームから)

 

イルセ・サラスのキャリア&フィルモグラフィーは、コチラ20190414


ベロニカ・フォルケ逝く*自ら幕引きをした66年の生涯2021年12月21日 15:17

    安住を求めて自ら幕引きをした、長くもあり短くもあった66年の生涯

 

       

  (中央に柩が安置されたお別れの会、マドリードのスペイン劇場、1215日)

 

1213日、国家警察がマドリードの自宅で自死した女優ベロニカ・フォルケの遺体を発見したと報道した。1249分救急センターに或る女性から電話があり、救急隊Summa112が駆けつけたが既に手遅れであったという。当日は自死だけが報道され、正確な死因は検死結果を待つことになった。翌日、錠剤などの痕跡がないこと、首に外傷性の傷がありタオルでの首吊りによる窒息死であったと発表された。最近鬱状態がひどく、3時間前に一人娘マリア・クララ・イボラ・フォルケがお手伝いさんと交替して帰宅したばかりだった。オレンジジュースを飲み、シャワーを浴びると言ってバスルームに入ったまま帰らぬ人となった。ホセ・マリア・フォルケ賞の顔の一人でもあったベロニカ、カルメン・マウラと8090年代のスペイン映画を代表する女優の一人だったベロニカ、常に明るく機知にとんだ会話で周りを楽しませてくれたのは表の顔、2014年の離婚以来、鬱病に苦しむ闇を抱えた人生だったということです。

 

       

            (ありし日のベロニカと娘マリア)

 

★訃報の記事はしんどい、特に書くことはないだろうと思っていた若い人の予期せぬ旅立ちはしんどい。しかしここ最近の映像を見るかぎり60代の女性とは思えない険しい顔に唖然とする。最後となったTVシリーズMasterChef Celebrity21)を「もうこれ以上続けられない」と自ら降板した彼女は、痛々しく全くの別人のようだった。今思うと管理人が魅了された1980年代後半から90年代にかけてが全盛期だったのかもしれない。

 

  

 

キャリア&フィルモグラフィー195512月生れ、映画、舞台、TV女優。監督、製作者のホセ・マリア・フォルケ1995年没)を父親に、女優、作家、脚本家のカルメン・バスケス・ビゴ2018年没)を母親にマドリードで生まれた。2歳年上のアルバロ・フォルケ2014没)も監督、脚本家というシネアスト一家。1981マヌエル・イボラ監督と結婚(~2014)、マリア・フォルケを授かる。出演映画、TVシリーズを含めると3桁に近い。1972年ハイメ・デ・アルミリャンのMi querida señoritaで映画デビュー、70年代は父親の監督作品、ホセ・ルイス・ガルシア・サンチェス、カルロス・サウラなどの映画に出演している。

 

       

   (第9回ゴヤ栄誉賞受賞の父ホセ・マリア・フォルケと娘ベロニカ、1995年)

 

★突拍子もないオカマ監督と批評家から無視されていたペドロ・アルモドバルが、その存在感を内外に示した『グローリアの憂鬱』84¿Qué he hecho yo para merecer esto?)に出演したことが転機となる。その後、『マタドール』86)、『キカ』でゴヤ賞1994主演女優賞を受賞、4個目のゴヤ胸像を手にした。1987年から始まったゴヤ賞では、第1回目にフェルナンド・トゥルエバの『目覚めの年』助演女優賞、第2回目となる1988年は、フェルナンド・コロモのLa vida alegre主演、ルイス・ガルシア・ベルランガのMoros y cristianos助演のダブル受賞となった。ゴヤ胸像は4個獲得している。コロモには「Bajarse al moro」(89)でも起用されており、ゴヤ賞にノミネートされている。

   

  

         (カルメン・マウラと、『グローリアの憂鬱』から)

   

      

 (共演のロッシ・デ・パルマと、『キカ』のフレームから)

 

90年代はマヌエル・ゴメス・ペレイラのSalsa rosa91)で始まった。他にマリオ・カムスのAmor propio93)、フェルナンド・フェルナン=ゴメス、ジョアキン・オリストレル(95¿De qué se ríen las mujeres?)、ダビ・セラノ、クララ・マルティネス・ラサロ、フアン・ルイス・イボラの「Enloquecidas」(08)、1981年に結婚したマヌエル・イボラ作品には、El tiempo de la felicidad97)、カルメン・マウラと性格の異なった姉妹を演じたClara y Elena01、クララ役)、La dama boba06)などに多数出演している。最後の作品となったのが若手のマルク・クレウエトのEspejo, espejo21)で、スペイン公開は2022年になる。多くの監督が鬼籍入りしているが、例えばフェルナン=ゴメス(2007年)、マリオ・カムスは今年9月に旅立ったばかりである。他にマラガ映画祭2005の最高賞マラガ賞2014年バジャドリード映画祭エスピガ栄誉賞2018フェロス栄誉賞1986年『グローリアの憂鬱』でニューヨークACE賞、他フォトグラマス・デ・プラタ賞、サンジョルディ賞、ペニスコラ・コメディ映画祭など受賞歴多数。

 

     

       (2018年のフェロス栄誉賞のトロフィーを手にしたベロニカ)

 

TVシリーズでは、1990年のEva y Adan, agencia matrimonial20話、エバ役)と1995年のマヌエル・イボラのPepa y Pepe34話、ペパ役)でテレビ部門のTP de Oro 女優賞を受賞している。後者は2シーズンに渡って人気を博したコメディでした。TVミニシリーズDías de Navidad193話)の1話に出演している。Netflixが『クリスマスのあの日私たちは』の邦題で配信しています。最後のTV出演となった「MasterChef Celebrity」は、12歳の少女に戻れる」と語っていたが、自ら降板することになった

 

   

              (ペペ役のティト・バルベルデと、TVPepa y Pepe」から

 

   

    (共演者エドゥアルド・ナバレテと、TVMasterChef Celebrity」から)

 

★舞台女優としては、1975年のバリェ=インクランのDivinas palabras(『聖なる言葉』)、1978年のテネシー・ウィリアムズの『ガラスの動物園』1985年には後に映画化もされたBajarse al moro」、ホセ・サンチス・シニステラが1986年発表した¡ Ay, Carmela !1987年と2006年にカルメラ役で主演した。この戯曲はカルロス・サウラによって映画化され、日本では『歌姫カルメーラ』(90)の邦題で公開された。こちらはカルメン・マウラが演じている。2019年フリアン・フエンテス演出のLas cosas que sé que son de verdadで、演劇界の最高賞と言われるMax2020主演女優賞を受賞している。

 

     

Max賞を受賞したベロニカ・フォルケ、プレゼンターは盟友マリア・バランコ、

 マラガのセルバンテス劇場、202098日)

 

★ベロニカがファンや友人、そして同僚から如何に愛されていたかは、会葬者の顔ぶれを見れば分かります。ゴヤ賞のガラでもこんなに多くないでしょう。14日のサンイシドロ葬儀場でのお通夜には、MasterChef Celebrity」の共演者エドゥアルド・ナバレテ、ミキ・ナダル、タマラ、アナ・ベレンとビクトル・マヌエル夫妻、アイタナ・サンチェス=ヒホン、シルビア・アバスカル、ベレン・クエスタ、ヨランダ・ラモス、ペポン・ニエト、カエタナ・ギジョン・クエルボ、アントニオ・レシネス、エンリケ・セレソ、バネッサ・ロレンソ・・・。

 

15日のお別れの会(午前11時~午後4時)に馳せつけた友人や同僚たちは、泣き顔をサングラスとマスクで防御していた。コロナウイリスはセレブの匿名性に役立ちました。多くがマスコミのインタビューには言葉少なだったということです。11時に姿を見せたパコ・レオンは「ベロニカは陽気さと感性豊かな人でした。陽気さは皆がもつことのできる美しいものですが、彼女はそれをもっていました」と語り、午後3時に母親のカルミナ・バリオスを伴って再び姿を見せました。カルミナはテレビでの共演者、大きな赤い薔薇の花束を抱えていました。

 

★マリベル・ベルドゥとアイタナ・サンチェス=ヒホンが腕を組んで足早に立ち去った。先輩後輩の俳優たち、ベアトリス・リコ、スシ・サンチェス、マリア・バランコ、歌手マシエル、アントニオ・レシネス、フアン・ディエゴ、チャロ・ロペス、ホセ・ルイス・ゴメス、フアン・エチャノベ、ティト・バルベルデ、フェレ・マルティネス、フアン・リボ、カルロス・イポリト、ホルヘ・カルボ、ビッキー・ペーニャ、マルタ・ニエト、アントニア・サン・フアンなどの俳優たち、監督ではパウ・ドゥラ、マヌエル・ゴメス・ペレイラ、フアン・ルイス・イボラ、ハイメ・チャバリ、脚本家のヨランダ・ガルシア・セラノ、舞台演出家ダビ・セラノ、マリオ・ガスなど。通りには100人以上のジャーナリストやファンがつめかけ、彼女がスペイン魂に火をつけた80年代のコメディに感動を分かち合った。スペイン映画は80年代や90年代のコメディやドラマ抜きに理解することはできません。

 

★コメントを残した政治家たちには、文化スポーツ大臣ミケル・イセタ、マドリード市長マルティネス・アルメイダと副市長ベゴーニャ・ビジャシス、マドリード・コミュニティ会長ディアス・アヤソと文化大臣リベラ・デ・ラ・クルス、ICAA会長ベアトリス・ナバス・バルデス、他スペイン下院議員たち多数。

 

     

           (文化教育スポーツ大臣ミケル・イセタ氏)

 

★印象的なキャリアをもつアーティストのマリア・フォルケを通じてファンになった別の世代、マリアの冒険仲間のグループも駆けつけました。ベロニカに別れの手紙を捧げました。ガルシア・ロルカの最後の詩 Doña Rosita la soltera の断片が書かれたポスターが掲げられ、それは「夜の帳が降りるとき、しなやかな金属の角、そして星が流れる、風が消えるあいだに、暗闇の境めで、落葉しはじめる」(拙訳)で閉じられていた。

 

★スペイン映画アカデミー会長マリアノ・バロッソは「彼女は悲しい泣きピエロのように、自分が抱えていた痛みを隠し続けました。今私は映画界の愛と尊敬を伝えることしかできません」と。弟アグスティンと一緒に参列したペドロ・アルモドバルは「ベロニカはコメディに特別な才能を発揮しました。人々を笑わせる能力に秀でていて、幼い頃の無邪気さを失っていなかった。天使と一緒に、私は私の人生でもっとも面白い映画をつくることができました」。また最近のベロニカについては「彼女は私が知っているベロニカではありませんでした。私が覚えているのは、とても幸せで、信じられないほどコミカルな女優でした。とても世話好きで皆の力になりました。彼女は夫とうまくいかず、数年前にお兄さんを失くしました。時間は彼女の感情をうまく扱いませんでした。これらの問題と闘う武器を持っていると思っていましたが、現実は私たちにノーと言ったのです」と付け加えました。

           

            

         (インタビューに応じるペドロ・アルモドバル監督)

 

★マヌエル・イボラと離婚した同じ2014年の大晦日に、尊敬もし頼りにもしていた兄アルバロが鬼籍入りした。このことが彼女に精神的なダメージを与え、深刻な鬱状態になったことは周知の通りです。20183月の母親の旅立ちも痛手だったのではないでしょうか。午後4時からの出棺まで待っていた200人ほどの人々が数分間拍手喝采して柩を見送りしました。内輪だけで荼毘に付すため、エル・エスコリアルの遺体安置所に運ばれて行きました。嘆いてもきりがありません、「どうかよい旅でありますように、ベロニカ」

 

以下の写真は代表作としてメディアが作成したものです。上段左から、TVシリーズ「Eva y Adan, agencia matrimonial」、『キカ』、TVシリーズ「Pepa y Pepe」、舞台『歌姫カルメーラ』、下段左から、「Amor propio」、「Bajarse al moro」、「Enloquecidas」、Las cosas que sé que son de verdad」の順です。

   

     


フェルナンド・レオンの「El buen patoron」が受賞*フォルケ賞受賞結果2021年12月14日 16:39

         作品賞はフェルナンド・レオンの「El buen patorón」が受賞

 

     

         (作品賞受賞のEl buen patorón」のフレームから

 

1211日、ホセ・マリア・フォルケ賞のガラが開催され、受賞結果が発表になりました。監督賞がありませんのでフェルナンド・レオンもアルモドバルもイシアル・ボリャインの姿もなく、唯一「Mediterráneo」のマルセル・バレナが男優賞にノミネートされていたエドゥアルド・フェルナンデスと一緒に姿を見せていました。殆ど下馬評通りの受賞結果、サプライズといえば候補者やトロフィーのプレゼンター、招待客の奇抜な衣装だったかもしれません。昨年同様マスク着用が義務づけられ、メディアのインタビューも着用のまま、許されたのはフォトコールだけでした。

 

★そしてお祝いムードの余韻が残るなか、13日午前ベロニカ・フォルケの突然の訃報のニュースが駆けめぐりました。フォルケ賞は199572歳で癌に倒れたベロニカの父親ホセ・マリア・フォルケを讃えて、翌年設立された映画賞です。本賞の顔として毎年出席していたベロニカでしたが、今年は姿を見せませんでした。死因などはいずれアップするつもりですが、底抜けに明るい表の顔とは異なる、心に闇を抱えた66年の生涯でした。アルモドバル・ガールの1人として、『グロリアの憂鬱』『マタドール』『キカ』、フェルナンド・トゥルエバの『目覚めの年』、フェルナンド・コロモの「La vida alegre」など、心に残る映画が思い起こされます。

 

 

     *27回ホセ・マリア・フォルケ賞2021受賞結果

 

作品賞(フィクション&アニメーション)

Madres paralelas* 製作:EL DESEO / REMOTAMENTE FILMS

Maixabel* 製作:FEELGOOD MEDIA / KOWASLKI GILMS / MAIXABEL FILM

Mediterráneo 製作:ARCADIA MOTION PICTURES / CADOS PRODUCCIONES /
   FASTEN SEAT BELT / KARNAVAS-KONTROVRAKIS&SIA  CO/HERETIC / LASTOR MEDIA

El buen patorón* 製作:BASCULAS BLANCO / THE MEDIAPRO STUDIO /

    REPOSADO PRODUCCIONES CINEMATOGRAFICAS

   

  

 

長編ドキュメンタリー賞

Buñuel, Un cineasta surrealista」(2183分)* 監督ハビエル・エスパダ

Héroes, Silencio y rock & roll」(1994分) 監督アレシィス・モランテ

Quien lo pidee」(21220* 監督ホナス・トゥルエバ

100 Días con la Tata2182分) 監督ミゲル・アンヘル・ムニョス

 

 

   

        

短編賞

Mindanao」(2117) 監督ボルハ・ソレル

The Monkey」(2117分アニメーション

  監督ホセ・サパタ、ロレンソ・デグルイノセンティ

El monstruo invisible1929)監督ハビエル・フェセル、ギジェルモ・フェセル

  

  

  

 

シリーズ賞

Historias para no dormir」(21

 監督ロドリゴ・コルテス、ロドリゴ・ソロゴイェン、パコ・プラサ、パウラ・オルティス

La fortuna21) 監督アレハンドロ・アメナバル

Maricón perdido」(21) 監督アレハンドロ・マリン

Hierro19) 監督ホルヘ・コイラ、製作者ペペ・コイラ、アルフォンソ・ブランコ

 

      

   

                          

 男優賞

エドゥアルド・フェルナンデス「Mediterráneo」 監督マルセル・バレナ

ルイス・トサール「Maixabel」 監督イシアル・ボリャイン

ウルコ・オラサバル「Maixabel」同上

ハビエル・バルデムEl buen patorón」 監督フェルナンド・レオン・デ・アラノア

 

   

 

女優賞

マルタ・ニエト「Tres 監督フアンホ・ヒメネス

ペネロペ・クルス「Madres paralelas」 監督ペドロ・アルモドバル

ペトラ・マルティネス「La vida era eso」(20邦題『マリアの旅』)

  監督ダビ・マルティン・デ・ロス・サントス

ブランカ・ポルティリョMaixabel」 監督イシアル・ボリャイン

   

    

 

シリーズ男優賞

アルバロ・メル「La fortuna」 監督アレハンドロ・アメナバル

ダリオ・グランディネッティ「Hierro」 監督ホルヘ・コイラ

ハビエル・グティエレス「Reyes de la noche」(21

  監督カルロス・テロン、アドルフォ・バロール

ハビエル・カマラVenga Juan」(2122)創作者ディエゴ・サンホセ

  

    

 

シリーズ女優賞

アナ・ポルボロサ「La fortuna」 監督アレハンドロ・アメナバル

マリベル・ベルドゥ「Ana Tramel, El juego」(21)  

  監督サルバドール・ガルシア、グラシア・ケレヘタ

ナディア・デ・サンティアゴ「El tiempo que te doy」(21) 

  監督イネス・ピントル・シエラ、パブロ・サンティドリアン

カンデラ・ペーニャHierro」 監督ホルヘ・コイラ

  

   

   

ラテンアメリカ映画賞

98 segundos sin sombra」(ボリビアほか21) 監督フアン・パブロ・リヒター

Lavaperros」(アルゼンチンほか、18) 監督カルロス・モレノ

Los lobos」(メキシコほか、19) 監督サムエル・キシ・レオポ

Noche de fuego(メキシコほか、21) 監督タティアナ・ウエソ

    

  

      

Cine y Educacion en Valores価値ある映画と教育賞

100 Días con la tata

Madres paralela

Mediterráneo

Maixabel

   

   

 
★以上が10カテゴリーの受賞結果でした。他EGEDA金のメダルAtipica Filmsのプロデューサーであるホセ・アントニオ・フェレスが受賞しました。『漆黒のような深い青』、『マーシュランド』、『スモーク・アンド・ミラーズ』、『SEVENTEENセブンティーン』、TVシリーズ「La Peste」などのヒット作を手掛けている。SEVENTEENセブンティーン』でフォルケ賞2020の価値ある映画と教育賞をダニエル・サンチェス・アレバロ監督と受賞している。(EGEDAオーディオビジュアル著作権管理協会が選考母体、現会長エンリケ・セレソ)

        

     

                  (金のメダルを手にしたホセ・アントニオ・フェレス

     


 (フォルケ賞2020価値ある映画と教育賞を受賞

       

マルセル・バレナの「Mediterraneo」*フォルケ賞20212021年12月13日 20:27

           フォルケ賞&ゴヤ賞にノミネートされたMediterráneo

   

   

 

マルセル・バレナMediterráneoは実話に基づいている。フォルケ賞とゴヤ賞の両方の作品賞にノミネートされながら作品紹介が未だでした。本作は第94回オスカー賞のスペイン代表作品の最終候補3作の一つでした。結果はフェルナンド・レオン・デ・アラノアの「El buen patorónになりました。エドゥアルド・フェルナンデスが扮するオスカル・カンプス(バルセロナ1963)というライフガードがモデルです。地中海を横断する移民と難民を救助する人道支援組織NGO Proactiva Open Arms(プロアクティバ・オープン・アームズ)の設立者です。発端は2015年秋9月、トルコの海岸に打ち上げられたクルド出身のシリアの3歳児アイランの溺死体の画像でした。その映像が瞬く間に世界中を駆けめぐったのは、そんなに昔の話ではない。

 

★バルセロナのバダロナで人命救助の会社を所有していたカンプスは、ギリシャのレスボス島に辿りついたシリア難民支援を決意しました。資金は仲間と一緒に旅行するために節約して貯めた15,000ユーロでした。時間の経過とともに、ソーシャルネットやメディアの報道を通じて、オープン・アームズのインフラや支援能力を向上させていきました。映画はその活動の始りに焦点を当てています。

 

 MediterráneoThe Low of the Sea

製作:Arcadia Motion Pictures / Cados Producciones / Fasten Films /

   Lastor Media / Heretic  協賛RTVE / Movistar/ TVC / ICAA / ICEC

監督:マルセル・バレナ

脚本:ダニエル・シュライフ、マルセル・バレナ

撮影:アルナウ・バタリェル

音楽:キコ・デ・ラ・リカ

編集:ナチョ・ルイス・カピリャス

キャスティング:マキス・ガジス

美術:マルタ・バザコ、ピネロプ・イ・バルティ、エレナ・バルダバ

衣装デザイン:デスピナ・チモナ

メイクアップ&ヘアー:(メイク)エレクトラ・Katsimicha、ロウラ・リアノウ、(ヘアー)マリオナ・トリアス、アンジェリキ・バロディモウ、他

プロダクション・マネージメント:アルベルト・アスペル、他

製作者:アドリア・モネス、イボン・コルメンザナ、イグナシ・エスタペ、セルジ・モレノ、トノ・フォルゲラ、(エグゼクティブ)サンドラ・タピア、他

 

データ:製作国スペイン=ギリシャ、言語スペイン語・ギリシャ語・英語・カタルーニャ語・アラビア語、2021年、アクション・スリラー、実話、112分、撮影地レスボス島、アテネ、バルセロナ、期間202094日~1026日、スペイン公開2021101

 

映画祭・受賞歴:サンセバスチャン映画祭2021、オーレンセ映画祭観客賞受賞、ローマ映画祭観客賞受賞、パラブラ映画祭2021男優賞(エドゥアルド・フェルナンデス、ダニ・ロビラ)受賞、テッサロニキ映画祭、ノミネート:第27回フォルケ賞2021作品賞・男優賞(E.フェルナンデス)、ゴヤ賞2022(作品賞以下9カテゴリー)、フェロス賞主演男優賞(E.フェルナンデス)、他

 

キャスト:エドゥアルド・フェルナンデス(オスカル・カンプス)、ダニ・ロビラ(ジェラルド・カナルス)、アンナ・カスティーリョ(エステル)、セルジ・ロペス(ニコ)、メリカ・フォロタン(ラシャ)、パトリシア・ロペス・アルナイス(ラウラ・ラヌザ)、アレックス・モネル(サンティ・パラシオス)、コンスタンティン・シンシリス(バックパッカー)、バシリス・ビスビキス(マソウラス)、ヤニス・ニアロス(ロウカス)、ジオタ・フェスタ(ノラ)、スタティス・スタモウラカトス(ストラスト)、ロセル・ビリャ=アバダル(ジェラルドの妻)、他エキストラ多数

 

ストーリー2015年秋、ライフガードのオスカルとジェラルドは、ギリシャのレスボス島に旅行に出掛け、地中海で溺死した幼児の写真に衝撃を受ける。武力抗争から逃れるため、何千人もの難民が不安定なボートで海を渡ってくる冷酷な現実に圧倒される。しかし誰も救助活動を行いません。エステルとニコ、他のメンバーと一緒に、彼らは救助を必要としている人々をサポートしようと決意する。この旅は全員にとって自身の人生を刻むオデッセイになるだろう。

 

     

  (レスボス島に流れ着いた難民を救助するライフガードたち、フレームから)

 

 

       地中海は地球上で最大の集団墓地になっていた!

 

監督紹介マルセル・バレナ1981年バルセロナ生れ、監督、脚本家、俳優、製作者。2010TVムービーCuatro estacionesがガウディ賞を受賞、ドキュメンタリーMón petit12)がアムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭2013で受賞するなどした。またゴヤ賞2014ドキュメンタリー賞部門にノミネートされている。2016年に100 metrosで長編デビュー、本作は100メートル』の邦題でNetflixが配信した。多発性硬化症と診断されたラモン・アロヨ(ビルバオ1971)の実話がベースになっている。「Mediterráneo」が第2作目になり、本作について「ラブストーリーでもあるが、ロマンティックな愛ではなく、自分が人間であると感じることのできる人の物語」と語っている。現在オンライン上映の具体的な話はないそうだが、たとえばFilminが目下最有力候補ということです。ということは日本は無理かもしれない。

ドキュメンタリーMón petit」の紹介記事は、コチラ20140119

 

     

 (オープン・アームズの シャツを着た監督、サンセバスチャンFF2021フォトコール)

 

   

   (左から、セルジ・ロペス、エドゥアルド・フェルナンデス、バレナ監督、

    ダニ・ロビラ、アンナ・カスティーリョ、同上)

 

エドゥアルド・フェルナンデス1964年バルセロナ生れ、演劇、映画、TV俳優。バルセロナの演劇研究所(1913設立)でパントマイムを学ぶ。シェイクスピア劇(2006年「ハムレット」でフォトグラマス・デ・プラタ俳優賞)、ベケット、アーサー・ミラーのような現代劇にも出演、TVシリーズ出演は1985年、日本で公開された最初の映画はビガス・ルナ『マルティナの海』01)ではないかと思います。三つの分野を両立させながら今日に至っている。

 

★当ブログ登場も多く、ゴヤ賞にはFausto 5.0(監督アレックス・オリェ、イシドロ・オルティス、カルルス・パドリサ)で2002主演男優賞、セスク・ゲイのEn la ciudad03)とアメナバルの『戦争のさなかで』19)のミリャン・アストライ役で助演男優賞と3個のゴヤ胸像を手にしている。他にサンセバスチャン映画祭2016のアルベルト・ロドリゲスの『スモーク・アンド・ミラーズ』で元諜報員フランシスコ・パエサを演じて銀貝男優賞、ガウディ賞も3個、マラガ映画祭でもビスナガ男優賞3個と受賞歴が多く、ノミネートは数えきれない。これまでも歴史上の人物を具現化してきた。上述したミリャン・アストライやフランシスコ・パエサの他に、フェリペ2世、ヘスス・デ・ガリンデスなどだが、キャラクターが生きている場合は「演じる人物の動機を知り、なぜそうしたか、その理由を理解することです」と語っている。私事になるが共演作もある、活躍目覚ましい女優グレタ・フェルナンデスは一人娘である。

『戦争のさなかで』の作品紹介は、コチラ20191126

『スモーク・アンド・ミラーズ』の作品紹介は、コチラ20160924

 

       

   (オスカル・カンプス役のエドゥアルド・フェルナンデス、フレームから)

 

ダニ・ロビラ、もう一人の主人公ジェラルド・カナルスを演じた。「オーチョ・アペジードス」の大ヒットで上昇気流に乗っていたさなかの20203月にホジキンリンパ腫という癌で闘病生活を余儀なくされた。本作出演は復帰第2作目になる(第1作目は夏公開されたジャウム・コレット=セラの『ジャングル・クルーズ』)。彼はマルセル・バレナ監督のデビュー作100 metrosで主人公のラモン・アロヨを演じた。30代の若さで、100メートルさえ歩けないと言われたラモンが、トライアスロンの鉄人レースに挑戦した実話をベースにしたヒューマンドラマでした。既にキャリア&フィルモグラフィー紹介をしております。バレナ監督によると、新作の撮影は悪天候や新型コロナウイリス感染の影響で困難続きだったという。エキストラになってくれたシリア難民が収容キャンプ地に足止めされてしまった。しかしもっと大変だったのは、ダニのホジキンリンパ腫の罹患だったという。

ダニ・ロビラのホジキンリンパ腫闘病&キャリア紹介は、コチラ20210524

 

 

   (エドゥアルド・フェルナンデス、ダニ・ロビラ、アンナ・カスティーリョ)

 

オスカル・カンプスは、1963年バルセロナ生れ、人道支援組織NGO Proactiva Open Arms(プロアクティバ・オープン・アームズ)の設立者。23歳のときレンタカーの会社を立ち上げ成功させた。その後離婚したときに慰謝料として妻に渡した。赤十字に参加した経験をもとにライフガードの仕事に携わることになった。「ライフガードは、世界の他の地域では尊敬されていますが、ここではプールでごっこ遊びをしていると思われています」と語り、アイラン少年と同じ年齢の息子がいたこともNGOオープン・アームズ設立の動機の一つのようでした。「船員には漂流者を救助する義務があり、その後、彼らをどうするかは指導者の責任である」とも語っている。オープン・アームズは約10万人以上の難民を救助した。  

 

    

   (「私たちは子持ちの離婚経験者」と仲のいいフェルナンデスとカンプス)

  

第27回ホセ・マリア・フォルケ賞2021*ノミネーション発表2021年12月08日 11:07

       1ヵ月前倒しのフォルケ賞授賞式――20211211

   

 

  

★新春最初のスペインの映画賞として1月初旬に開催されていたホセ・マリア・フォルケ賞が、1ヵ月前倒しになり、間もなくの1211(土)に行われます。最終ノミネーション発表は11月に発表になっていました。従って2021年は第26回と第27回の2回という異例の開催です。10カテゴリーと変わりません。製作サイドに陽があたるよう始まった映画賞、特徴は監督賞がないことです。選考母体がオーディオビジュアル著作権管理協会(初代会長がホセ・マリア・フォルケ)ということもあって、前回アップしましたゴヤ賞とはカテゴリーの内容も視点も若干異なっています。初期には今日のような俳優賞やシリーズ部門はありませんでした。次々カテゴリーが増えていく傾向にあります。(印は紹介作品)

 

 

  *27回ホセ・マリア・フォルケ賞2021ノミネーション

 

作品賞(フィクション&アニメーション)

El buen patorón* 製作:BASCULAS BLANCO / THE MEDIAPRO STUDIO /

    REPOSADO PRODUCCIONES CINEMATOGRAFICAS

   

  

 

Madres paralelas* 製作:EL DESEO / REMOTAMENTE FILMS

    

  

 

Maixabel* 製作:FEELGOOD MEDIA / KOWASLKI GILMS / MAIXABEL FILM

    

  

 

Mediterráneo」 製作:ARCADIA MOTION PICTURES / CADOS PRODUCCIONES /
    FASTEN SEAT BELT / KARNAVAS-KONTROVRAKIS&SIA  CO/HERETIC / LASTOR MEDIA

   

     

 

長編ドキュメンタリー賞

100 Días con la Tata」(2182分) 監督ミゲル・アンヘル・ムニョス

   

 

     

Buñuel, Un cineasta surrealista」(2183分) 監督ハビエル・エスパダ

     

      

 

Héroes, Silencio y rock & roll」(1994分) 監督アレシス・モランテ

     

 

      

 Quien lo pidee」(21220* 監督ホナス・トゥルエバ

       

     

     

短編賞

El monstruo invisible」(1929)監督ハビエル・フェセル、ギジェルモ・フェセル

   

      

 

Mindanao」(2117) 監督ボルハ・ソレル

  

  

     

 The Monkey」(2117分アニメーション

  監督ホセ・サパタ、ロレンソ・デグルイノセンティ

   

    

 

シリーズ賞

Hierro」(19) 監督ホルヘ・コイラ

   

    

 

Historias para no dormir」(21

 監督ロドリゴ・コルテス、ロドリゴ・ソロゴイェン、パコ・プラサ、パウラ・オルティス

    

      

 

La fortuna21) 監督アレハンドロ・アメナバル

   

     

 

Maricón perdido」(21) 監督アレハンドロ・マリン

    

 

      

男優賞

エドゥアルド・フェルナンデス「Mediterráneo」 監督マルセル・バレナ

    

     

 

ハビエル・バルデム「El buen patorón」 監督フェルナンド・レオン・デ・アラノア

    

     

 

ルイス・トサール「Maixabel」 監督イシアル・ボリャイン

   

     

 

ウルコ・オラサバル「Maixabel」同上

    

     

 

女優賞

ブランカ・ポルティリョ「Maixabel」 監督イシアル・ボリャイン

   

     

 

マルタ・ニエト「Tres 監督フアンホ・ヒメネス

    

     

 

ペネロペ・クルス「Madres paralelas」 監督ペドロ・アルモドバル

    

     

 

ペトラ・マルティネス「La vida era eso」(20邦題『マリアの旅』)

  監督ダビ・マルティン・デ・ロス・サントス

    

     

 

シリーズ男優賞

アルバロ・メル「La fortuna」 監督アレハンドロ・アメナバル

   

   

 

ダリオ・グランディネッティ「Hierro」 監督ホルヘ・コイラ

    

 

  

ハビエル・カマラ「Venga Juan」(21~22) 創作者ディエゴ・サンホセ

   

   

 

ハビエル・グティエレス「Reyes de la noche」(21

  監督カルロス・テロン、アドルフォ・バロール

    

     

 

シリーズ女優賞

アナ・ポルボロサ「La fortuna」 監督アレハンドロ・アメナバル

    

     

 

カンデラ・ペーニャ「Hierro」 監督ホルヘ・コイラ

    

     

 

マリベル・ベルドゥ「Ana Tramel, El juego」(21)  

  監督サルバドール・ガルシア、グラシア・ケレヘタ

   

     

 

ナディア・デ・サンティアゴ「El tiempo que te doy」(21) 

  監督イネス・ピントル・シエラ、パブロ・サンティドリアン

   

    

 

ラテンアメリカ映画賞

 

98 segundos sin sombra」(ボリビアほか21) 監督フアン・パブロ・リヒター

    

     

 

Lavaperros」(アルゼンチンほか、18) 監督カルロス・モレノ

    

      

 

Los lobos」(メキシコほか、19) 監督サムエル・キシ・レオポ

     

 

          

 Noche de fuego(メキシコほか、21) 監督タティアナ・ウエソ

   

 

     

Cine y Educacion en Valores価値ある映画と教育賞

100 Días con la tata

Madres paralela

Maixabel

Mediterráneo

 

★以上が10カテゴリーのノミネーションです。

  

第36回ゴヤ賞2022ノミネーション発表*ゴヤ賞2022 ②2021年12月05日 17:09

      最多ノミネーションの「El buen patorón」は史上初の20

 

      

   

★去る1129日、マドリードの映画アカデミー本部にて第36回ゴヤ賞2022のノミネーションは発表がありました。司会者はナタリエ・ポサとホセ・コロナドでした。作品賞は以下の通りですが、米アカデミー国際長編映画賞のスペイン代表になったフェルナンド・レオン・デ・アラノアEl buen patorónゴヤ賞始まって以来のノミネート20になりました。これまではイマノル・ウリベの『時間切れの愛』(94)の19個でした。イシアル・ボリャインMaixabel14ペドロ・アルモドバルMadres paralelas8、続くはマルセル・バレナMediterráneo72021年のスペイン映画界に大きく貢献したというクララ・ロケ『リベルタード』と、キンキ映画のオマージュというダニエル・モンソンLas leyes de la frontera6です。

 

        

     (ノミネーション・プレゼンターのホセ・コロナドとナタリエ・ポサ)

 

★ノミネーションの数が受賞に正比例するわけではありませんが、一応流れはできたという印象です。うち助演男優賞にEl buen patorón」からセルソ・ブガージョフェルナンド・アルビスマノロ・ソロ3人(!?)、助演女優賞にMadres paralelas」からアイタナ・サンチェス=ヒホンミレナ・スミス2人が同作品から選ばれている。過去に2人はしばしば目にしましたが、3人となるとしらけます。初出には監督名を補いました。(印は作品紹介をしたもの)

   

        36回ゴヤ賞ノミネーション全28カテゴリー

 

作品賞5作品)

El buen patorón 監督フェルナンド・レオン・デ・アラノア

 

     

Maixabel 監督イシアル・ボリャイン

 

     

Madres paralelas 監督ペドロ・アルモドバル

 

     

Libertad 監督クララ・ロケ(邦題『リベルタード』)

 

    

Mediterráneo」 監督マルセル・バレナ

 

     

 

監督賞

フェルナンド・レオン・デ・アラノア El buen patorón

マヌエル・マルティン・クエンカ 「La hija(邦題『ザ・ドーター』)

 

      

ペドロ・アルモドバル Madres paralelas

イシアル・ボリャイン Maixabel

 

新人監督賞

カロル・ロドリゲス・コラス 「Chavalas

  


ハビエル・マルコ 「Josefina

  

  

ダビ・マルティン・デ・ロス・サントス 「La vida era eso(邦題『マリアの旅』

   

  

クララ・ロケ「Libertad」(邦題『リベルタード』)

 

オリジナル脚本賞

フェルナンド・レオン・デ・アラノア El buen patorón

クララ・ロケ 「Libertad

イシアル・ボリャイン Maixabel

フアンホ・ヒメネス・ペーニャ&ペレ・アルタミラ 「Tres」監督は脚本に同じ

   

   

脚色賞

フリア・デ・パス・ソルバス&ヌリア・ドゥンホ・ロペス 「Ama

 

     

アグスティ・ビリャロンガ 「El vientre del mar

   

 

ダニエル・モンソン&ホルヘ・ゲリカエチェバリア 「Las leyes de la frontera

 

    

ベニト・サンブラノ&クリスティナ・カンポス 「Pan de limon con semillas de amapola

  

   

主演男優賞

ハビエル・バルデム El buen patorón

ハビエル・グティエレス 「La hija」(邦題『ザ・ドーター』)

ルイス・トサール Maixabel

エドゥアルド・フェルナンデス Mediterráneo

 

主演女優賞

エンマ・スアレス 「Josefina

ペトラ・マルティネス 「La vida era eso」(邦題『マリアの旅』)

ペネロペ・クルス Madres paralelas

ブランカ・ポルティリョ Maixabel

 

助演男優賞

セルソ・ブガージョ El buen patorón

フェルナンド・アルビス El buen patorón

マノロ・ソロ El buen patorón

ウルコ・オラサバル Maixabel

 

助演女優賞

ソニア・アルマルチャ El buen patorón

ノラ・ナバス 「Libertad」(邦題『リベルタード』)

アイタナ・サンチェス=ヒホン Madres paralelas

ミレナ・スミス Madres paralelas

 

新人男優賞

オスカル・デ・ラ・フエンテ El buen patorón

タリク・ルミリ El buen patorón

チェチュ・サルガド 「Las leyes de la frontera

ホルヘ・モトス 「Lucas 監督アレックス・モントーヤ

   


新人女優賞

アンヘラ・セルバンテス 「Chavalas」 

アルムデナ・アモール El buen patorón

ニコル・ガルシア 「Libertad」(邦題『リベルタード』)

マリア・セレスエラ Maixabel

 

オリジナル作曲賞

Zeltia Montes El buen patorón

Fatima Al Qadiri 「La abuela 監督パコ・プラサ

  

  

アルベルト・イグレシアス Maixabel

アルナウ・バタジェール Mediterráneo

 

オリジナル歌曲賞

“Burst Out” 作曲家アンヘル・レイロ、ジャン=ポール・Dupeyron、ハビエル・カペリャスAlbum de posguerra」(ドキュメンタリー)監督アイリー・マラガル&アンヘル・レイロ

  

 

“Que me busquen por dentro” 同アントニオ・オロスコ、

ジョルディ・コレル・ピニリョス 「El cover 監督セクン・デ・ラ・ロサ

  

 

“Las leyes de la frontera” 同アレハンドロ・ガルシア・ロドリゲス、アントニオ・モリネロ・レオン他  Las leyes de la frontera

“Te espera el mar” 同マリア・ホセ・リェルゴ Mediterráneo

 

長編アニメーション賞

Gora automatikoa」 カルロス・ゲレーロ、ダビ・ガラン・ガリンド、ほか

  

      

Mironins」 アレックス・セルバンテス、アンヘル・コロナド、ほか

  

      

Salvar el árbol (Zutik!)」 カルメロ・ビバンコ、エゴイツ・ロドリゲス、ほか

  


Valentina」 ブランダン・デ・ブラノ、チェロ・ロウレイロ、ほか

  

    

ドキュメンタリー賞

El retorno: La vida después del ISIS」 アルバ・ソトラ、カルレス・トラス、

   ベスナ・クディク  監督アルバ・ソトラ

 

      

Héroes, silencio y rock and roll」 ホセ・パストル、ミゲル・アンヘル・ラマタ、ほか

 監督アレシス・モランテ

 

     

Quién lo impide ハビエル・ラフエンテ、ラウラ・レナウ、ロレナ・トゥデラ

 監督ホナス・トゥルエバ

  

       

Un blues para Teherán アレハンドラ・モラ・ペレス、ルイス・ミニャロ

 監督ハビエル・トレンティノ

  


   

短編映画賞

Farrucas」 イアン・デ・ラ・ロサ

  

  

Mindanao」 ボルハ・ソレル

  

     

Totem Loba」 ベロニカ・エチェギ

 

  

Votamos」サンティアゴ・レケホ

  

      

Yalla」 カルロ・ドゥルシ

  


   

短編ドキュメンタリー賞

Dajla: Cine y olvido」 アルトゥーロ・ドゥエニャス

 

     

Figurante」 ナチョ・フェルナンデス

  


Mama」 パブロ・デ・ラ・チカ

 

  

Ulises」 ジョアン・ボヴェル

   


  

短編アニメーション賞

Nacer」 ロベルト・バリェ

  

  

Proceso de selección」 カルラ・ペレイラ

   

      

The Monkey」 ロレンソ・デグルイノセンティ、ホセ・サパタ

  

    

Umbrellas」 アルバロ・ロブレス、ホセ・プラツ

  

    

 

撮影賞

パウ・エステベ・ビルバ 「El buen patorón

グリス・ジョルダナ 「Libertad

ホセ・ルイス・アルカイネ「 Madres paralelas

キコ・デ・ラ・リカ 「Mediterráneo

 

録音賞

イバン・マリン、ペラヨ・グティエレス、バレリア・アルシエリ 「El buen patorón

セルヒオ・ビュルマン、ライア・カサノバス、マルク・オルス 「Madres paralelas

アラスネ・アメスロイ、フアン・フェロ、カンデラ・パレンシア 「Maixabel

ダニエル・フォンロドナ、オリオル・タラゴ、マルク・ビー、マルク・オルス「Tres

 

編集賞

アントニオ・フルロス 「Bajocero」 監督リュイス・キレス(『薄氷』Netflix

   

  

バネッサ・L・マリンベル 「El buen patorón

ミゲル・ドブラド 「Josefina

ナチョ・ルイス・カピリャス 「Maixabel

 

特殊効果賞

ラウル・ロマニリョス、ミリアム・ピケル 「El buen patorón

ラウル・ロマニリョス、フェラン・ピケル La abuela

アレックス・ビリャグラサ 「Mediterráneo

パウ・コスタ、ラウラ・ペドロ 「Way Down」「The Vault」 監督ジャウマ・バラゲロ

   

   

美術賞

セサル・マカロン 「El buen patorón

バルテル・ガリャル 「Las leyes de la frontera

アンチョン・ゴメス 「Madres paralelas

ミケル・セラーノ「Maixabel

 

衣装デザイン賞

アルベルト・バルカルセル 「El amor en su lugar」 監督ロドリゴ・コルテス

  

  

フェルナンド・ガルシア 「El buen patorón

Vinyel Escobal Las leyes de la frontera

クララ・ビルバオ「Maixabel

 

メイクアップ&ヘアー賞

アルムデナ・フォンセカ、マノロ・ガルシア 「El buen patorón

サライ・ロドリゲス、ベンハミン・ぺレス、ナチョ・ディアス 「Las leyes de la frontera

エリ・アダネス、セルヒオ・ぺレス・ベルベル、ナチョ・ディアス 「Libertad

 監督エンリケ・ウルビス


     

カルメレ・ソレル、セルヒオ・ぺレス・ベルベル Maixabel

 

プロダクション賞

オスカル・ビヒオラ 「El amor en su lugar

ルイス・グティエレス 「El buen patorón

グアダルーペ・バラゲル・トレリス 「Maixabel

アルベルト・エスペル、コスラス・セアキアナキス 「Mediterráneo

  

イベロアメリカ映画賞

Canción sin nombre(邦題『名もなき歌』)(ペルー、19)監督メリナ・レオン

 

  

La cordillera de los sueños(邦題『夢のアンデス』)ドキュメンタリー(チリ、19

  監督パトリシア・グスマン

 

   

Las siamesas」 監督パウラ・エルナンデス(アルゼンチン、20

   

     

Los lobos」 監督サムエル・キシ(メキシコ、19

  

    

ヨーロッパ映画賞(原題、英題、西題、邦題の順)

Adieu les cons」「Bye Bye Morons」「Adiós, idiotas」(フランス、20) 

監督アルベール・デュポンテル、セザール賞2021作品賞・脚本賞ほか受賞

  

 

Ich bin dein Mensch」「Im Your Man」「El hombre perfecto」『私はあなたの男です』

 (ドイツ、21)監督マリア・シュラーダー、ベルリンFF俳優賞マレン・エッゲルト、

94回米アカデミー2022国際長編映画賞ドイツ代表作品

   

 

Dunk」「Another Round」「Otra ronda」『アナザーラウンド』(デンマーク、20

監督トマス・ヴィンターベア、SSIFF2020銀貝俳優賞(マッツ・ミケルセン以下4名)

オスカー賞2021国際長編映画賞受賞、デンマーク・アカデミー賞5冠、ほか受賞歴多数

   

  

  
Promising Young Woman」「Una joven prometedora」『プロミシング・ヤング・ウーマン』 (イギリス20)監督エメラルド・フェネル、オスカー賞2021オリジナル脚本賞(E・フェネル)

    

 

 

栄誉賞

ホセ・サクリスタン

 

★以上が全28カテゴリーのラインナップです。脚本賞にアルモドバルの「Madres paralelas」が選ばれなかったり、期待していたアイノア・ロドリゲスのデビュー作も、Mediterráneo」と『マリアの旅』に出演していたアンナ・カスティーリョの名前も見当たりませんでした。クララ・ロケとエンリケ・ウルビスのタイトルが同じ「Libertad」だったりと紛らわしかった。

  

★イベロアメリカ映画賞とヨーロッパ映画賞は、2021年中にスペインで公開された作品が対象なのでかなりのタイムラグが生じています。パウラ・エルナンデスの「Las siamesas」はノーチェックでしたが、いずれ作品紹介をしたい。サムエル・キシの「Los lobos」は、スペインの映画祭にはノミネートされませんでしたが、ベルリンFF(ゼネレーション部門)の作品賞受賞を初めとして、メキシコを含めた国際映画祭の受賞歴が多数あります。ゴヤ賞のほかホセ・マリア・フォルケ賞2022にもノミネートされています。

 

★ゴヤ賞2022の授賞式は、ガルシア・ベルランガ生誕100周年を記念して、出身地バレンシアのPalau de les Arts 2022212(土)に開催、これまでのように総合司会者はおかないガラになるようです。これをもって <ベルランガ年> が締めくくられます。