スペイン映画 『ザ・ドーター』*東京国際映画祭20212021年10月16日 15:03

     マヌエル・マルティン=クエンカの新作「La hija」はスリラー

     

 

    

★東京国際映画祭TIFF 20211030日~118日)のコンペティション部門でアジアン・プレミアされる、マヌエル・マルティン=クエンカの新作La hija『ザ・ドーター』)は、トロント映画祭でワールド・プレミアされ、サンセバスチャン映画祭SSIFF ではアウト・オブ・コンペティションで上映されたスリラー。SSIFFの上映後に、多くの人からセクション・オフィシアルにノミネートされなかったことに疑問の声が上がったようです。選ばれていたら何らかの賞に絡んだはずだというわけです。SSIFFでのマルティン=クエンカ作品は、2005年のMalas temporadas2013年の『カニバル』2017年のEl autor3回ノミネートされており3作とも紹介しております。新作スリラーはEl autorで主人公を演じたハビエル・グティエレスと、Aneでゴヤ賞2021主演女優賞を受賞したばかりのパトリシア・ロペス・アルナイス、新人イレネ・ビルゲスを起用して、撮影に6ヵ月という昨今では珍しいロングロケを敢行しています。

 

        

 (ロケ地アンダルシア州ハエン県のカソルラ山脈にて、左端が監督、201911月)

  

『不遇』(Malas temporadas)の作品紹介は、コチラ201406110702

『カニバル』の作品紹介は、コチラ20130908

El autor」の作品紹介は、コチラ20170831

 

 

  『ザ・ドーター』(原題 La hija

製作:Mod Producciones / La Loma Blanca / 参画Movister+ / RTVE / ICCA / Canal Sur TV

      協賛Diputación de Jaén

監督:マヌエル・マルティン=クエンカ

脚本:アレハンドロ・エルナンデス、マヌエル・マルティン=クエンカ、フェリックス・ビダル

撮影:マルク・ゴメス・デル・モラル

音楽:Vetusta Moria

編集:アンヘル・エルナンデス・ソイド

美術:モンセ・サンス

プロダクション・マネージメント:ロロ・ディアス、フラン・カストロビエホ

製作者:(Mod Producciones)フェルナンド・ボバイラ、シモン・デ・サンティアゴ、(La Loma Blanca)マヌエル・マルティン=クエンカ、(エグゼクティブ)アラスネ・ゴンサレス、アレハンドロ・エルナンデス、他

 

データ:製作国スペイン、スペイン語、2021年、スリラー・ドラマ、122分、撮影地アンダルシア州ハエン県、カソルラ山脈、期間201911月~20204月、約6ヵ月。配給Caramel Films、販売Film Factory Entertainment、公開スペイン1126

映画祭・受賞歴:トロント映画祭2021、サンセバスチャン映画祭2021アウト・オブ・コンペティション(9/22)、東京国際映画祭2021コンペティション(10/30

 

キャスト:ハビエル・グティエレス(ハビエル)、パトリシア・ロペス・アルナイス(ハビエルの妻アデラ)、イレネ・ビルゲス(イレネ)、ソフィアン・エル・ベン(イレネのボーイフレンド、オスマン)、フアン・カルロス・ビリャヌエバ(ミゲル)、マリア・モラレス(シルビア)、ダリエン・アシアン、他

 

ストーリー15歳になるイレネは少年院の更生センターに住んでいる。彼女は妊娠していることに気づくが、センターの教官ハビエルの救けをかりて人生を変える決心をする。ハビエルと妻のアデラは、人里離れた山中にある彼らの山小屋でイレネと共同生活をすることにする。唯一の条件は、多額の金銭と引き換えに生まれた赤ん坊を夫婦に渡すことだった。しかしイレネが、胎内で成長していく命は自分自身のものであると感じ始めたとき、同意は揺らぎ始める。雪の山小屋で展開する衝撃的なドラマ。

 

     

                   (イレネ役イレネ・ビルゲス、フレームから)

 

     

          (ハビエルとアデラの夫婦、フレームから)

  

 

 サンセバスチャン映画祭ではコンペティション外だった『ザ・ドーター』

 

★サンセバスチャン映画祭ではセクション・オフィシアルではあったが、賞に絡まないアウト・オブ・コンペティションだったのでご紹介しなかった作品。SSIFFには、上記の3作がノミネートされ、2005年に新人監督に贈られるセバスティアン賞を受賞しているだけで運がない。というわけで今回の東京国際映画祭に期待をかけているかもしれない。今年の審査委員長はイザベル・ユペールがアナウンスされているが、どうでしょうか。

 

     

 (マヌエル・マルティン=クエンカとハビエル・グティエレス、SSIFFフォトコール)

 

3人の主演者、ハビエル・グティエレスについては、「El autor」のほか、アルベルト・ロドリゲスの『マーシュランド』14)、イシアル・ボリャインの『オリーブの樹は呼んでいる』(16)、ハビエル・フェセルの『だれもが愛しいチャンピオン』(18)、ダビ&アレックス・パストールの『その住人たちは』(20)などで紹介しております。バスク州の州都ビトリア生れのパトリシア・ロペス・アルナイスは、ダビ・ペレス・サニュドのバスク語映画「Ane」で、ゴヤ賞2021主演女優賞のほか、フォルケ賞、フェロス賞などの女優賞を独占している。アメナバルの『戦争のさなかで』では、哲学者ウナムノの娘マリアを好演している。難航していたイレネ役にはオーディションでイレネ・ビルゲスを発掘できたことで難関を突破できたという。監督は女優発掘に定評があり、当時ただの美少女としか思われていなかった14歳のマリア・ベルベルデを起用、ルイス・トサールと対決させて、見事女優に変身させている。

   

     

 (主役の3人、グティエレス、ビルゲス、ロペス・アルナイス、SSIFFフォトコール)

 

★共同脚本家のアレハンドロ・エルナンデスは、「Malas temporadas」以来、長年タッグを組んでいる。彼はアメナバルの『戦争のさなかで』やTVシリーズ初挑戦のLa fortunaも手掛けている。他にマリアノ・バロッソやサルバドル・カルボなどの作品も執筆している。キューバ出身だが20年以上前にスペインに移住した、いわゆる才能流出組の一人です。撮影監督のマルク・ゴメス・デル・モラルは、ストーリーの残酷さとは対照的な美しいフレームで監督の期待に応えている。既に長編映画7作目の監督がコンペティション部門にノミネートされたことに若干違和感がありますが、結果を待ちたい。

 

                       

    

              

 

ハビエル・グティエレスのキャリア紹介は、コチラ20190325

パトリシア・ロペス・アルナイスのキャリア紹介は、コチラ20210127


クララ・ロケの『リベルタード』*ラテンビート20212021年10月12日 17:36

             『リベルタード』――東京国際映画祭との共催上映

 

          

 

★前回触れましたように今年18回を迎えるラテンビート2021は、バルト9での単独開催及びデジタル配信もなく、東京国際映画祭との共催上映3作のみになりました。しかし、日本未公開のスペイン語圏の名作を中心に紹介する通年の配信チャンネル《ラテンビート・クラシック》(仮題)を準備中ということです。いずれ公式のサイトが発表になるようです。3作のうち当ブログ未紹介のクララ・ロケのデビュー作『リベルタード』のご紹介。カンヌ映画祭と併催の第60回「批評家週間」でワールドプレミアされています。1988年バルセロナ出身のロケ監督は、既に脚本家として実績を残しており、自身も「監督より脚本を構想するほうが好き」と、インタビューで語っています。

  

『リベルタード』(原題 Libertad

製作:Bulletproof Cupid / Avalon / Lastor Medíaº

監督・脚本:クララ・ロケ

音楽:Paul Tyan ポール・タイアン

撮影:グリス・ジョルダナ

編集:アナ・プファフPfaff

キャスティング:イレネ・ロケ

プロダクション・デザイン:マルタ・バザコ

衣装デザイン:Vinyet Escobar ビンジェ・エスコバル

メイクアップ&ヘアー:(メイクアップ)バルバラ・ブロック Broucke、(ヘアー)アリシア・マチン

プロダクション・マネージメント:ジョルディ・エレロス、ゴレッティ・パヘス

製作者:セルジ・モレノ、ステファン・シュミッツ、マリア・サモラ、トノ・フォルゲラ、

 

データ:製作国スペイン=ベルギー、スペイン語、2021年、ドラマ、104分、撮影地バルセロナ、公開スペイン20211119日予定

映画祭・受賞歴:カンヌ映画祭併催の第60回「批評家週間」2021作品賞・ゴールデンカメラ賞ノミネーション、アテネ映画祭、ヘント映画祭、エルサレム映画祭国際シネマ賞、第66回バジャドリード映画祭2021Seminci)オープニング作品、各ノミネート

 

キャスト:マリア・モレラ・コロメル(ノラ)、ニコル・ガルシア(リベルタ―ド)、ノラ・ナバス(ノラの母テレサ)、ビッキー・ペーニャ(ノラの祖母アンヘラ)、カルロス・アルカイデ(マヌエル)、カロル・ウルタド(ロサナ)、マチルデ・レグランド、オスカル・ムニョス、マリア・ロドリゲス・ソト、ダビ・セルバス、セルジ・トレシーリャス、他

 

ストーリー:ビダル一家は、進行したアルツハイマー病に苦しむ祖母アンヘラの最後の休暇を夏の家で過ごしている。14歳のノラは、生まれて初めて自分の居場所が見つからないように感じている。子供騙しのゲームは卒業、しかし大人の会話には難しくて割り込めない。しかし祖母の介護者でコロンビア人のロサナと、ノラより少し年長の娘リベルタードが到着して、事情は一変する。反抗的で魅力的なリベルタードは、ノラにとって別の玄関のドアを開きます。二人の女の子はたちまち強烈で不均衡な友情を結んでいく。家族の家がもっている保護と快適さから二人揃って抜け出し、ノラはこれまで決して得たことのない自由な新しい世界を発見する。カタルーニャの裕福な家族出身のノラ、コロンビアで祖母に育てられたリベルタード、異なった世界に暮らしていた二人の少女の友情と愛は、不平等な階級の壁を超えられるでしょうか。

 

       

           (ノラとリベルタード、フレームから)

 

 

    先達の存在に勇気づけられる――私は脚本家だと思っています

 

★監督紹介:クララ・ロケは、1988年バルセロナ生れ、バルセロナ派の脚本家、監督。ポンペウ・ファブラ大学で視聴覚コミュニケーションを専攻、奨学金を得てコロンビア大学で脚本を学んだ。自身は脚本家としての部分が多いと分析、脚本家デビューはカルロス・マルケス=マルセ10.000 Km14)、またハイメ・ロサーレス『ペトラは静かに対峙する』(原題Petra18)を監督と共同執筆している。監督としては、長編デビュー作とも関連する終末ケアをする女性介護者をテーマにした、短編El adiós(バジャドリード映画祭2015金の麦の穂受賞)やLes bones nenes16)、TVミニシリーズ「Tijuana」(193話)、「Escenario 0」(201話)を手掛けている。『リベルタード』が長編デビュー作。

   

10.000 Km」の作品紹介は、コチラ20140411

『ペトラは静かに対峙する』の作品紹介は、コチラ20180808

      

        

     

 (短編El adiós」で金の麦の穂を受賞したクララ・ロケ、バジャドリードFF授賞式

 

★カンヌにもってこられたのは「本当に夢のようです。上映を待っていたのですが、パンデミアの最中だったので難しかった。カンヌが2021年の映画祭で上映することを提案してくれた」と監督。スペイン映画としてノミネートは本作だけでした。「カタルーニャでは、女性シネアストが多く、イサベル・コイシェのような存在が大きかった。映画の世界は男性だけのものではないという希望を私に与えてくれたからです」と。他にイシアル・ボリャイン、アルゼンチンのルクレシア・マルテルフリア・ソロモノフ、オーストラリアのジェーン・カンピオン、バルセロナ出身の先輩ベレン・フネスなどを挙げている。男性では、上記のロサーレスとマルケス=マルセの他に、『ライフ・アンド・ナッシング・モア』のアントニオ・メンデス・エスパルサを挙げている。マリア・ソロモノフ監督はコロンビア大学の彼女の指導教官、現在は映画製作と並行して、ブルックリン大学シネマ大学院で後進の指導に当たっている。

 

 

  少女から大人の女性へ――揺れ動くアイデンティティ形成段階の少女たち

 

★カンヌ映画祭には運悪くコロナに感染していて自身でプレゼンができなかった。シネヨーロッパのインタビューも電話でした。タイトルの Libertad は、主人公の名前から採られていますが、それを超えています。「この映画の中心テーマです。自由とは何かということです。本当に自由を選ぶ手段をもっている人だけのものか、自由はもっと精神的な何かなのか。劇中にはいろいろなやり方で自由を模索する登場人物が出てきます」と監督。

 

    

         (マリア・モレラに演技指導をするクララ・ロケ監督)

 

★ノラの祖母を介護しているロサナはコロンビアからの移民、幼い娘リベルタードを母に預けてスペインに働きに来ていた。そこへ10年ぶりに15歳になった娘がやってくる。裕福なノラの家族、貧困で一緒に暮らせなかった家族という階級格差、移民によって提供されるケアの問題が浮き彫りになる。両親から受け継いだアイデンティティ、特に母から娘に受け継がれたパターンから逃れるのはそう簡単ではない。子供から大人の女性への入口は、アイデンティティが形成される段階にあり、多くの女性監督を魅了し続けている。「自分を信頼することが一番難しい。自身を信頼することが重要」と監督。

 

    

        (ノラの母親役ノラ・ナバス、リベルタードの母親役カロル・ウルタド)

 

★「キャスティングの段階で、介護者となるプロでない女優を探していた。そのとき出身国に自分の子供たちを残して他人のケアをしている人には大きなトラウマがあることに気づきました。10年間も母親に会っていない娘が突然現れたらというアイデアが浮かびました」と、本作誕生の経緯をシネヨーロッパのインタビューで語っている。インタビュアーからブラジルのアナ・ミュイラート『セカンドマザー』15)との類似性を指摘されている。サンダンス映画祭でプレミアされ、ベルリン映画祭2015パノラマ部門の観客賞を受賞、本邦でも20171月に公開されている。監督は「既に脚本を書き始めていて、(コロンビア大学の指導教官の)フリア・ソロモノフから観るように連絡を受けた。異なるプロフィールをもっていますが、どちらも進歩的と考えられる中産階級やブルジョア社会に奉仕することで生じてくる不快感が語られています。これを語るのは興味深いです」とコメントしている。

 

★最初は別の2本のスクリプトを書いていた。一つは母と娘が再会する移民の話、もう一つは祖母、母、娘が最後の夏休暇を過ごす話でした。「アンディ・ビーネンから単独では映画として機能しないから、一つにまとめる必要があると指摘された」とアンディ・ビーネンはコロンビア大学の指導教官で、キンバリー・ピアーズが実話をベースにして撮った『ボーイズ・ドント・クライ』(99)を監督と共同執筆した。観るのがしんどい映画でしたね。こうして2つのスクリプトが合流して、バックグランドに流れる牧歌的な平和を乱す『リベルタード』は完成した。

  

     

           (子役出身のマリア・モレラ)

 

★リベルタ―ド役のニコル・ガルシアは本作でデビュー、ノラ役のマリア・モレラは長編2作目、生まれも育ちも異なる対照的な性格の女の子を好演した。脇を固めるのがベテランのノラ・ナバスビッキー・ペーニャ、最近TVミニシリーズの出演が多いマリア・ロドリゲス・ソトは、2019年にカルロス・マルケス=マルセの「Els dies que vindran」で主演、マラガFF銀のビスナガ女優賞を受賞しているほか、ベレン・フネスの「La hija de un ladrón」、カルレス・トラスの『パラメディック-闇の救急救命士』(Netflix 配信)にも出演している。3作とも当ブログにアップしておりますが、今回は脇役なので割愛します。

  

   

          (本作デビューのニコル・ガルシア)


第18回ラテンビート2021*東京国際映画祭共催上映2021年10月08日 15:41

      今年のラテンビートは東京国際映画祭共催上映の3作品のみ

 

   


★残念ながら、ラテンビート2021は危惧していた通りになってしまいました。東京国際映画祭TIFF1030日~118日)共催上映の3作品のみとなりました。せめてオンライン上映だけでもと思っていましたが叶いませんでした。3作のうちロレンソ・ビガス『箱』(原題 La caja)と、アレックス・デ・ラ・イグレシア『ベネシアフレニア』(原題 Veneciafrenia)は、既に原題でご紹介しています。クララ・ロケ『リベルタード』(原題 Libertad)は次回アップします。

 

            TIFF 共催上映の3作品

 

『箱』(原題 La caja2021、製作国メキシコ=米国、スペイン語、スリラー・ドラマ、92

監督:ロレンソ・ビガス(ベネズエラ)

トレビア:『彼方から』がベネチア映画祭2015金獅子賞を受賞している。ベネチア映画祭2021コンペティション部門、トロント映画祭、サンセバスチャン映画祭2021ホライズンズ・ラティノ部門ノミネート作品。

紹介記事は、コチラ20210907

    

 

  

 

『ベネシアフレニア』(原題 Veneciafrenia2021、製作国スペイン、スペイン語、スラッシャー・ホラー、100

監督:アレックス・デ・ラ・イグレシア(スペイン)

トレビア:デビュー作『ハイル・ミュタンテ 電撃XX作戦』以来タッグを組んでいる脚本家ホルヘ・ゲリカエチェバリアと共同執筆、痛みのジェットコースター、エモーションと凍りついた笑い満載、現地ベネチアにて撮影。

作品紹介は、コチラ20211006

 

     

 

 

『リベルタード』(原題 Libertad2021、製作国スペイン=ベルギー、スペイン語、ドラマ、104

監督:クララ・ロケ(スペイン)

トレビア:カンヌ映画祭「批評家週間」にノミネートされた監督デビュー作。

 監督キャリア&作品紹介予定

作品紹介は、コチラ⇒2021年10月12日

    

  

  

 

★以上3作です。その他、コンペティション部門にベテラン監督と称してもいいマヌエル・マルティン=クエンカ『ザ・ドーター』(原題 La hija)が選ばれていました。トロント映画祭でワールドプレミアされた関係で、サンセバスチャン映画祭ではアウト・オブ・コンペティション枠でした。TIFFのコンペティション部門はデビュー作から23作目までと聞いておりましたが、コロナ禍の昨年から幅が広がっています。また、共にウルグアイ出身でメキシコで製作しているロドリゴ・プララウラ・サントゥリョ夫妻が手掛けた『もうひとりのトム』(原題 The Other Tom)の言語は英語です。反対に言語はスペイン語、メキシコでオールロケしたというルーマニアの監督テオドラ・アナ・ミハイ『市民』(原題 La civil)も選ばれており、今年の国際映画祭の話題作がノミネートされています。ロドリゴ・プラはTIFF 2015『モンスター・ウィズ・サウザン・ヘッズ』で来日しています。次回からアップしていく予定です。

東京国際映画祭のチケット発売は、1023です。

     

  

         (マヌエル・マルティン=クエンカの『ザ・ドーター』から)

 

デ・ラ・イグレシアの新作ホラー「Veneciafrenia」*シッチェス映画祭2021年10月06日 17:35

    恐怖コレクション第1作目はベネチアを舞台におきる連続失踪事件の謎

 

      

 

★暫く静観気味だったアレックス・デ・ラ・イグレシアの新作Veneciafreniaが、第54回シッチェス映画祭2021107日~17日)でワールドプレミアされます。The Fear Collection(恐怖コレクション)全5作の第1作目、デ・ラ・イグレシアとカロリナ・バング夫妻が設立した制作会社 <Pokeepsie Films> とソニー・ピクチャーズ、アマゾン・スタジオが共同で製作します。既に2作目以降も準備中ということです。第1作の舞台は観光都市ベネチアを訪れた仲良しグループが次々に失踪するというホラー・サスペンスのようです。脚本はデビュー作『ハイル・ミュタンテ!電撃XX作戦』からタッグを組んでいるホルヘ・ゲリカエチェバリアとの共同執筆です。シッチェス映画祭上映は109日、スペイン公開は1126日に決定しています。いずれプライム・ビデオで見られるのでしょうか。

 

      

         (デ・ラ・イグレシア監督と製作者カロリナ・バング)

 

 Veneciafrenia2021

製作:Pokeepsie Films / Sony Picuures España / Amazon Studios / Eliofilm /

   TLM The Last Monkey

監督:アレックス・デ・ラ・イグレシア

脚本:ホルヘ・ゲリカエチェバリア、アレックス・デ・ラ・イグレシア

音楽:ロケ・バニョス

撮影:パブロ・ロッソ

編集:ドミンゴ・ゴンサレス

美術:ホセ・ルイス・アリサバラガ、ビアフラ Biaffra

衣装デザイン:ラウラ・ミラン

メイクアップ:クリスティナ・アセンホ、アントニオ・ナランホ

製作者:カロリナ・バング、アレックス・デ・ラ・イグレシア、(エグゼクティブ)リカルド・マルコ・ブデ、イグナシオ・サラサール=シンプソン、アリエンス・ダムシ、他

 

データ:製作国スペイン、スペイン語、2021年、ホラー・サスペンス、100分、撮影地マドリード、ベネチア、期間202010月クランクイン、約7週間。The Fear Collection1作目。スペイン公開20211126

映画祭・受賞歴:第54回シッチェス映画祭2021正式出品(ワールドプレミア109日)

 

キャスト:イングリッド・ガルシア=ヨンソン、シルビア・アロンソ、ゴイセ・ブランコ、ニコラス・イロロ(ブランコのパートナー)、アルベルト・バング(ガルシア=ヨンソンの弟)、コジモ・ファスコ(暗殺者)、カテリーナ・ムリノ、エンリコ・ロ・ヴェルソ(タクシー運転手)、アルマンド・デ・ラッサ、ニコ・ロメロ、アレッサンドロ・ブレサネッロ(Colonna)、ディエゴ・パゴット(セールスマン)、ジュリア・パニャッコ(ジーナ)、ジャンカルロ・ユディカ・コルディーリア(ベネチア大使)、他

 

ストーリー:自然界には美と死のあいだに不可解な繋がりがあります。明るい灯台に引き寄せられる蛾のように、観光客が美しい都市ベネチアに押しよせ、灯りを少しずつ消していきます。ベネチアの人々は、過去数十年にわたる苦しみに怒りを爆発させ、侵略者を撃退するため生存本能を解き放ち、一部の人々がエスカレートさせていきます。そんなこととは露知らず、私たちの主人公、スペインの無邪気な観光客一行は、ベネチアを愉しむためにやってきました。しかしグループの一人が姿を消します。固い友情に結ばれていた友人たちが捜索を始めますが、やがて亀裂がおこり仲間割れが生じるようになる。彼らは自身の生き残りをかけて闘うことを余儀なくされることになるでしょう。

 

      

          (ベネチアでのクランクイン、2020109日)

 

 

      観光客にうんざりしている友好的でないベネチアの住民たち

 

アレックス・デ・ラ・イグレシアは「本作は、30人のスペイン観光客がベネチアに到着し、姿を消し始める、古典的なスラッシャー映画です」とコメント。スラッシャー映画というのは、にわか勉強ですが、殺人を含むホラー映画の非公式な総称、スプラッター映画や心理的ホラーなど他のホラーサブジャンルと区別するためできた用語で、イタリアの60年代のジャッロ映画に影響を受けているということです。

 

        

           (監督とVeneciafrenia」のポスター)

 

★脚本を共同執筆したホルヘ・ゲリカエチェバリアも「70年代から80年代にかけて流行したイタリアのジャッロ映画を再解釈したものです」と説明している。ジャッロ・スリラーはエロティシズムと心理的恐怖を織り交ぜた殺人ミステリー、正体不明の殺人者が登場し、壮大なやり方で殺害していくのが特徴ということです。3期に分かれていて古典期は197493年までの作品、例えば『悪魔のいけにえ』(74)、『暗闇にベルが鳴る』(74)、『エルム街の悪夢』(84)などが挙げられる。「コロナウイリスの前に、ラグーンで毎日下船する大きな船やクルーズ船に対する地元住民の大きな抗議がありました。それはベネチアの都市崩壊やディズニーランド化に繋がり、持続可能性を危険に晒すからというものでした」と、動機を語っている。上述したように監督のデビュー作からPerfectos desconocidos17)まで、TVシリーズ30 monedas30 Coins 2021)も含めて、殆どの作品でタッグを組んでおり、ブランカ・スアレスを起用した次回作El cuarto pasajeroも言うまでもない。

 

     

       (デ・ラ・イグレシア監督とホルヘ・ゲリカエチェバリア)

 

キャスト紹介:スペインサイドは、イングリッド・ガルシア=ヨンソンシルビア・アロンソゴイセ・ブランコTVシリーズ『ミダスの手先』)の30代の仲良し3人組を軸にしている。主役のガルシア=ヨンソンによると「回りくどいことは嫌いだが、不安定で脆いところがある。結婚しているが、夫が同行しない友人たちとのベネチア旅行に参加する」役柄と説明している。シルビア・アロンソは1992年サラマンカ生れ、TVシリーズ出演後、クララ・マルティネス=ラサロの「Hacerrse mayor y otros Problemas」(18)で主役に起用された新人、ゴイセ・ブランコはマテオ・ヒル他の『ミダスの手先』(206話)がNetflixで配信されている。

イングリッド・ガルシア=ヨンソンのキャリア紹介は、コチラ20190329

 

 

  

      

   (別人のようにスマートになった監督の指示を受ける出演者たち、ベネチアにて)

 

TVシリーズ「30 Coins」出演のガルシア=ヨンソンの弟役アルベルト・バング、ゴイセ・ブランコのパートナー役ニコラス・イロロが加わる。1983年カセレス生れのニコ・ロメロTVシリーズ「La fortuna」『ケーブル・ガールズ』)、アルマンド・デ・ラッサ(『ビースト 獣の日』)など。

 

★イタリアサイドは、1977年サルディーニャ生れ、96年のミスイタリア4位のボンド・ガールの一人カテリーナ・ムリノ(『007/カジノ・ロワイヤル』、ネットフリックス配信の新作『マイ・ブラザー、マイ・シスター』)、コジモ・ファスコ(「30 Coins」)、エンリコ・ロ・ヴェルソ(『アラトリステ』)、1948年ベネチア生れのベテラン、アレッサンドロ・ブレサネッロ(『007スペクター』の神父役)、ジュリア・パニャッコなど出演者が多い。

 

★観光都市ですから多くの住民が観光で生計を立てているわけですが、全部の住民が観光客に頼っているわけではない。いずれ温暖化の影響で地盤沈下で住めなくなるとしても、それは今ではない。観光客を歓迎しない住民もいるということです。Veneciafrenia」が恐怖コレクションの第1作、既に「ジャウマ・バラゲロによるものと、ボルハ・コベアガが脚本を手掛けるエウヘニオ・ミラの作品が始動している」とデ・ラ・イグレシア監督、ベネチアはこのジャンルとうまく調和しているとも語っている。エウヘニオ・ミラは『グランドピアノ 狙われた黒鍵』(13)が公開されている。シッチェス映画祭も間もなく開幕しますが、ホラー大好き人間の評価は得られるでしょうか。痛みのジェットコースター、エモーションと凍りついた笑い満載ということです。


*追加情報:第34回東京国際映画祭2021「ワールド・フォーカス」部門で『ベネシアフレニア』の邦題で上映決定。第18回ラテンビート2021共催上映

  

サンセバスチャン映画祭落穂ひろい*サンセバスチャン映画祭2021 ㉗2021年10月01日 09:12

        アメナバルのTVミニシリーズ「La fortuna」一挙上映

 

      

 

★観客も全員マスクが義務付けられた第69回サンセバスチャン映画祭も閉幕しました。海外からの参加者も昨年よりは増え、心なしか国際映画祭の雰囲気があったように感じました。ベネチア映画祭と1週間ほどしか空きがなく、両方にノミネートされていた人は一度帰国したケースもあり、隔離期間をクリアーできずにビデオ参加となった受賞者もありました。セクション・オフィシアルの審査員の一人、デビュー作が金獅子賞を受賞したオドレイ・ディワン監督には、頑張り賞を差し上げたい。

 

★ベネチア同様、ノミネートされた作品は男性監督が圧倒していましたが、逆に受賞作品は女性監督が圧倒し、時代の流れを実感しました。審査員に女性が多かったこともあるかと思いますが、それだけではないでしょう。セクション・オフィシアルだけでなく、各部門の審査員も女性の登用が顕著、年齢も若返りさせ世代交代を印象づけました。

 

★一時もカメラを手放さないカルロス・サウラ、オープニング・セレモニーの舞台から会場の参加者をパチリ。好奇心が元気の素です。

 

     

 

★映画祭といえば映画に限られ、数年前までTVシリーズが上映されることはありませんでしたが、現在では当たり前のようになり、アウト・オブ・コンペティションでしたが、アレハンドロ・アメナバルが初めて手掛けたTVミニシリーズLa fortuna295分)の全6話が一挙上映されました。クルサールに参集したお客さんはさぞかしお尻や首が痛くなったことでしょう。エル・パイスの批評家は「退屈ではなかったが・・・」と、お疲れ気味。本作は930日に2話、翌週から毎週金曜日に1話ずつ放映されるようです。ギジェルモ・コラル原作、パコ・ロカ描くコミック El Tesoro del Cisne Negro をベースにして映画化されました。

   

   

     (アメナバル監督以下出演者たち、SSIFF2021924日フォトコール)

 

   

                    (主役のアルバロ・メルと監督、プレス会見)


   

     (監督、スタンリー・トゥッチ、アナ・ポルボロサ、マノロ・ソロ)

 

★映画では同じ俳優を起用しない方針のアメナバルですが、今回は前作『戦争のさなかで』(19)でミゲル・デ・ウナムノを演じた、カラ・エレハルデを起用しています。脚本にアレハンドロ・エルナンデス、撮影にアレックス・カタランと変わらず、音楽は自身はタッチせずロケ・バニョスが手掛けました。製作はMovistar+のドミンゴ・コラル Mod Produccionesフェルナンド・ボバイラ。 

   

  

           (カラ・エレハルデ、フォトコール)

 

★残念ながら無冠に終わりましたが、フェルナンド・レオン・デ・アラノアEl buen patrónのチームも揃って現地入り、ファンの歓声に応えました。本作のようなシリアス・コメディ、パコ・プラサのホラーLa abuelaなどが賞に絡むのは厳しい。それにしても両作に出演した期待の新人アルムデナ・アモールの上背には驚きました。今後の活躍が楽しみです。この2作はいずれ日本に上陸するでしょう。

 

      

     (フェルナンド・レオン監督と主役ブランコのハビエル・バルデム)

 

    

(赤絨毯に勢揃いした出演者たち、ハビエル・バルデム、セルソ・ブガーリョ、

 ソニア・アルマルチャ、マノロ・ソロ、アルムデナ・アモール、ほか)

 

  

      (メイン会場歩道に設置されたポスターも泣き濡れて・・・)

 

『ドライブ・マイ・カー』が特別上映された濱口竜介監督、隔離期間2週間のハードルは高く、単独で現地入りしたのでしょうか。

 

   

 

★アルゼンチンのデュオ監督、ガストン・ドゥプラットマリアノ・コーンCompetencia oficialのチーム、両監督はベネチア映画祭には出席しておりましたが、こちらは現地入りできず、プレス会見はオンライン参加となりました。毎年現れるカタルーニャの大物プロデューサーのジャウマ・ロウレスは、フェルナンド・レオンの「El buen patrón」も製作しています。

    

     

     (ガストン・ドゥプラットとマリアノ・コーン、プレス会見、9月17日)

   

    

(左から、ピラール・カストロ、製作者ジャウマ・ロウレス、アントニオ・バンデラス、

 ペネロペ・クルス、オスカル・マルティネス、イレネ・エスコラル、フォトコール)

 


    (ペネロペ・クルス)

 

    

                   (オスカル・マルティネス)

 

  

         (愛娘と出席したアントニオ・バンデラス)

 

   

                   (ジャウマ・ロウレス、プレス会見)

 

★オープニングで会場を沸かせたバスクのバンドMastodonte アシエル・エチェアンディアエンリコ・バルバロ、アシエルはアルモドバルの『ペイン・アンド・グローリー』でバンデラスと共演している。ダンスはKukai Dantza、クロージングにも出演していました。来年はマスク無しを祈りたい。  

     

   

              (太鼓を叩きながら歌うアシエルとギターのエンリコ)

 

   

          (ダンスグループ Kukai Dantza

  

クロージング・セレモニー&受賞結果*サンセバスチャン映画祭2021 ㉖2021年09月27日 20:33

             女性シネアストたちが大賞を独占した授賞式

 

     

     (金貝賞を手にした製作者ガブリエラ・スーチウとアリナ・グリゴレ監督)

 

★金貝賞はルーマニアの二人の若い女性シネアスト、製作者ガブリエラ・スーチウ(セベシュ1987)とアリナ・グリゴレ監督(ブカレスト1984)のCrai nou / Blue Moonが受賞、審査委員長のデア・クルムベガシヴィリ監督(ジョージアの監督)から金貝賞のトロフィーを受け取りました。彼女は昨年の金貝賞、銀貝監督・脚本賞3冠の受賞者(「Beginning」)です。審査員特別賞はルシール・アザリロヴィックEarwig(英・仏・ベルギー)、銀貝監督賞はテア・リンデブルクDu som er i himlen / As in Heaven(デンマーク)、銀貝撮影審査員賞はクレア・マトンティエリー・ド・ペレッティのEnquete sur un scandale D'etat / Undercover」(仏)を手掛けました。黒一点が脚本審査員賞のテレンス・デイビスの「Benediction」(英)でしたが欠席、代理の人が受け取りました。

 

★総合司会は俳優のアルベルト・サン・フアンがスペイン語で、タバカレラ理事会総ディレクターのエドゥルネ・オルマサバルが例年のようにバスク語で、その他の言語(英語、仏語、露語、デンマーク語など)の受賞者のスピーチは同時通訳された。

 

      

       (アルベルト・サン・フアン、エドゥルネ・オルマサバル)

 

★セクション・オフィシアルの審査員は、委員長デア・クルムベガシヴィリ(ジョージア、監督・脚本家)、マイテ・アルベルディ(チリ、監督・脚本家)、オドレイ・ディワン(レバノン=フランス、監督・脚本家)、スシ・サンチェス(スペイン、女優)、テッド・ホープ(アメリカ、製作者)の5名、若手の女性監督3名という偏りが否めない布陣でした。金貝賞に2作品が選ばれることはありません。また今回からベルリン映画祭と同じく俳優賞に男女の区別を撤廃しました。それもあってか主演俳優賞に2人、助演俳優賞がグループ受賞となりました。

    

   

             (審査員委員長デア・クルムベガシヴィリ)

   

  


 

         69回サンセバスチャン映画祭受賞結果

 

★セクション・オフィシアル

金貝賞(作品賞)

Crai nou / Blue Moon(ルーマニア)

製作者ガブリエラ(ガビ)・スーチウ、監督アリナ・グリゴレ

プレセンターは審査委員長のデア・クルムベガシヴィリ

 

 

                    (アリナ・グリゴルとガビ・スーチウ)

 

 

審査員特別賞(イギリス、フランス、ベルギー)

Earwig」 監督ルシール・アザリロヴィック

プレセンターは、審査員テッド・ホープ

 


 

 

銀貝監督賞監督

テア・リンデブルク 「Du som er i himlen / As in Heaven」(デンマーク)

プレセンターは、審査員オドレイ・ディワン

   


 

 

銀貝主演俳優賞(ex-aequo二人)

フローラ・オフェリア・ホフマン・リンダル

Du som er i himlen / As in Heaven」 監督テア・リンデブルク (デンマーク)

プレセンターは、審査員スシ・サンチェス

   


 

ジェシカ・チャステイン 

The Eyes of Tammy Faye / Los ojos de Tammy Faye」監督マイケル・ショウォルター(アメリカ)

プレセンターは、審査員スシ・サンチェス

   


 

銀貝助演俳優賞

Quién lo impide / Who/s Stopping Us」 監督ホナス・トゥルエバ(スペイン)

プレセンターは、審査員マイテ・アルベルディ

  

   

              (8人のグループが受賞、代表挨拶は女優のマルタ・カサド)

 

 

 

脚本審査員賞

テレンス・デイビス 

Benediction」 監督テレンス・デイビス(イギリス)

      


           (欠席のためビデオ・レター)

 

 

撮影審査員賞

クレア・マトン 

Enquete sur un scandale D'etat / Undercover」監督ティエリー・ド・ペレッティ(フランス)

プレゼンターは、審査員委員長デア・クルムべガシヴィリ

   

   

                  (マトン欠席のため代理が受け取った)


 

(トロフィーとクレア・マトン)

 

★ホライズンズ・ラティノ、ペルラス、サバルテギ-タバカレラなど各部門(スペシャル・メンションは割愛)

クチャバンク-ニューディレクターズ賞

NichYa / Unwanted 監督レナ・ランスキーLena Lanskih (ロシア)

   


 

  

ホライズンズ・ラティノ部門オリソンテス賞

Noche de fuego 監督タティアナ・ウエソ (メキシコ、独、ブラジル、カタール)

スペイン協同賞、RTVE「もう一つの視点」賞3

 

        

          (涙のスピーチをするウエソ監督)

  

      

                  (3 冠の証書を披露するウエソ)




 

サバルテギ-タバカレラ賞

Vortex 監督ガスパル・ノエ (フランス)

   

  

 


  

ネスト賞

U Sumi / In The Woods 監督Sara Grguric (短編、クロアチア)

  


  

 

観客賞ドノスティア/サンセバスティアン市

Petite maman 監督セリーヌ・シアマ (フランス)

    

 



観客賞ヨーロッパ映画、ドノスティア/サンセバスティアン市

Ouistreham / Between Two WorldsEn un muelle de Normandia

監督エマニュエル・カレール (フランス)

   

 

 

 

バスク映画イリサル賞

Maixabel 監督イシアル・ボリャイン、製作者コルド・スアスア(スペイン)

 

 

      (マイシャベルと娘マリアに感謝のスピーチをしたコルド・スアスア)

 

 

 

WIP Latam Industria

La hija de todas las rabias / Daughter of Rage

監督ラウラ・バウメイスターロッサナ・バウメイスター

(ニカラグア、メキシコ、オランダ、独、仏、ノルウェー)

   

     


 

 

WIP Latam EGEDA(視聴覚著作権管理協会)プラチナ賞

Vicenta B 監督カルロス・レチュガ (キューバ)

 

   

 


 

WIP ヨーロッパ賞&WIP ヨーロッパIndustria

Carbon  監督イオン・ボルス (モルドバ共和国、ルーマニア)

   

     

   

 

★音楽は、トランペットからサックス、オーボエ、フルート、ハーモニカと何でもこなす神話的なミュージシャンPirata ルイス・マリ・モレノ(エレンテリア1973)の演奏で、シンガーソングライターのオラツ・サルバドール(サンセバスティアン1990)が歌いました。ピラタはオープニング、ジョニー・デップのドノスティア栄誉賞の授賞式とセレモニーには出ずっぱりでした。

 

   

  (オラツ・サルバドール)

 

  

         (Pirata ルイス・マリ・モレノ) 


ジョニー・デップ栄誉賞授賞式*サンセバスチャン映画祭2021 ㉕2021年09月24日 17:57

     史上最も物議を醸したドノスティア栄誉賞受賞者ジョニー・デップ

 

     

 

922日、予定通りジョニー・デップのドノスティア栄誉賞の授賞式が行われました。というのも栄誉賞受賞が発表されると、スペイン女性映画製作者協会CIMAAsociación de Mujeres Cineastas de España)が元妻アンバー・ハード(2016年離婚)への家庭内暴力DV疑惑を理由に抗議の声を挙げたからでした。日本でも報道されているように、ジョニデを「DV夫」と報じたイギリスの大衆紙ザ・サンをめぐって起された訴訟で敗訴したからです。対して映画祭事務局が「我々が入手できたデータによると、彼は女性に対する暴力で逮捕、起訴、または有罪判決を受けておりません」と反論、無罪の推定の権利を擁護した。なんとももやもやした経緯でもたれた授賞式でした。

キャリア&フィルモグラフィーは、コチラ20210831

 

★授賞式の当日午前中に行われたフォトコールには、関係者にガードされ、最近では定番になった帽子と衣装で時間通り姿を見せ、報道陣の要求に気軽に応じていました。50分に及ぶプレス会見は、モデレーターがCIMAの件についての質問を許可しなかったからか概ね好意的な雰囲気で、ジョニー・デップは「私を追い出すつもりだと思っていた」などと冗談を言い、最後には「ありがとうございました」とスペイン語で締めくくったということです。

 

     

     (カメラにおさまったジョニー・デップ、922日のフォトコール)

 

★デップは敗訴後ワーナー・ブラザーズから映画シリーズ「ファンタスティック・ビースト」の大規模プロジェクトを解雇され、窮地に立たされ行き詰っています。ハリウッドから離れた仕事しかできないことから、今回の栄誉賞をとても感謝しているようでした。2010年代半ばから顕著になった<キャンセル・カルチャー>は、「Me Too」運動とも連動していますが、一歩間違うと社会における検閲機関となりかねません。沈黙は金とジャーナリストや作家が公に発言することを恐れるようになる可能性がある。日本では923日から公開が始まった、アンドリュー・レヴィタスの新作MINAMATA~ミナマタ』も米国での公開は決まっていない。

     

        

          (プレス会見でのジョニー・デップ、9月22日)

 

★プレス会見では「私が子供の頃、テレビで見た映画は無声が基本でした。チャールズ・チャップリン、バスター・キートンなどです。大きくなってモノクロのクラシック・ホラーを見ました。私はホラーの大ファンで、それがティム・バートンに繋がりました。このジャンルは仮面とかメイクの後ろに隠れて重力の負荷から逃れることができました。ロン・チャイニー**が姿を消してキャラクターになる能力について考えます。衣装や義肢は、私を自身から遠ざけ、キャラクターに集中させます」と。

 

  「あなたを沈めるには、たった一つのフレーズを言うだけで充分です」

 

★夜のステージでのキャンセル・カルチャーについての発言は、既に日本のメディアでも伝えられていると思いますが、ゆっくりとしたリズムで考え考えながらスピーチした。「今夜、まず第一に、ホセ・ルイス、映画祭関係者、市民の方に感謝します。私が選ばれたのは感動的です」と。このフェスティバルには34回来ていますが、これが本当の映画祭だと思って気に入っています。私はあえて自分をアーティストとは言いませんが、映画のクリエイティブな側面の一部であるよう感じています。「とても謙虚に感謝しています」、「この賞は皆さまのものです、観客がいなければ映画には意味がありません。観客は私の主人です」などとスピーチした。そしてハリウッドは大衆を過小評価し、物語の力が観客を魅了するのを忘れていますとも。「あなたを沈めるには、たった一つのフレーズを言うだけで充分です。防御できません」と、アンフェアな立場にいることを訴え、「愛する人や信じている人が被害者である場合には立ち上がってください」と述べた。スピーチは女性の聴衆によって何度も中断された。やれやれ・・・

     

    

 

キャンセル・カルチャー:主に著名人や権力をもつ人物団体の法的、社会的、倫理的違反を糾弾し、公の非難を通じて責任を問うやり方。デップのケースは映画テレビ出演を一方的に中止させることで、社会的排除の動きを加速させている。どちらに正義があるか今後の推移を待ちたい。彼がアンバー側を名誉棄損で訴えた裁判はパンデミックで遅れ、来年になる由。

**ロン・チャイニー(18831930)は、メイクと演技力で<千の顔を持つ男>と言われたサイレント時代の米国の名優、『ノートルダムのせむし男』(23)の鐘つき男カジモト、『オペラ座の怪人』(25)の怪人が有名。1957年ジェームズ・ギャグニー主演の『千の顔を持つ男』で、その生涯が映画化された。


イシアル・ボリャイン新作の反響*サンセバスチャン映画祭2021 ㉔2021年09月21日 11:41

       「次世代の共存の基礎をつくるために議論を起すこと」とボリャイン

 

      

 

★セクション・オフィシアルのイシアル・ボリャインMaixabel(マイシャベル)は、初日17日から19日にかけて6回上映され既に終了している(このセクションの上映回数は6回から5回)。映画祭が開催されているバスク州が舞台の実話、モデルとなった二人の登場人物は健在という微妙な映画のせいか、人々の関心は高く大きな反響を呼んでいる。主人公のマイシャベル・ラサは、2000729日、ETAのテロリストの犠牲となった政治家フアン・マリア・ハウレギの未亡人、もう一人は暗殺者の一人イボン・エチェサレタ、それぞれブランカ・ポルティリョルイス・トサールが演じている。マイシャベルの娘マリアに新人マリア・セレスエラが起用された。

作品の解説及び内容紹介は、コチラ20210805

 

   

(マリア・セレスエラ、ポルティリョ、ボリャイン監督、トサール、フォトコール)

  

   

 (映画祭期間中毎日発行される新聞の一面を飾ったMaixabel」特集版

 

★映画は暗殺された11年後に、マイシャベルはETAテロリストの組織との関係を絶ち服役中のイボンから会いたいという奇妙な要求を受け取る。犠牲者の家族と暗殺者のあいだに和解と共存が果たして可能なのか、というのがテーマ。現在でも対立が続く半面、話題にすることがタブーであるため、ETA が何であるか分からない、何が起こったかを知らない若い世代が増えている。バスクでは事件の犠牲者と暗殺者が半世紀の長きにわたって一緒に暮らしている。ETAメンバーに敬意を表している人もいるなかで、犠牲者の家族は耐えていなければならない。まずETA の英雄視を止めること、監督は「何が起こったかを忘れると、犠牲者を忘れることに繋がる。重要なのは議論を起すことだ」とエル・ムンド紙のインタビューに応えている。

 

   

  (二人のマイシャベル、ブランカ・ポルティリョとマイシャベル・ラサ)

 

★本映画祭がワールドプレミアであるが、マドリードにあるスペイン映画アカデミー本部とバスク州の政治家や関係者を呼んで先行上映され、涙と拍手の大反響を引き起こしたという。エル・パイス紙による鑑賞者の出口インタビューでは、「マイシャベルとは個人的な付き合いはないが、これは必要な映画です」と60歳代の女性、または「自分の夫を殺した人の前に座りたくなどありません」と老婦人、「話し合わないと私たちはどうなるのでしょう、未来をどのように共有したらよいのですか」と若い女性、男性の声は聞こえてこない。見たい人も見たくない人もいるということです。「許しを求めることや、暴力と対決することが問題なのではなく、次世代の共存の基礎をつくる議論を起すことが問題なのです」とボリャイン監督。このテーマに取り組めたのは、マイシャベルという女性に魅了されたこと、自分がバスク出身者でなかったこともあるとコメントしている。

 

  

            (イシアル・ボリャイン、918日)

     

    

   (ゴヤ賞2022ノミネート確実のブランカ・ポルティリョとルイス・トサール)


マリオン・コティヤール栄誉賞授賞式*サンセバスチャン映画祭2021 ㉓2021年09月20日 15:14

          ペネロペ・クルスによって手渡されたドノスティア栄誉賞

   

     

        (69の数字が浮き上がったクルサール会場)

 

917日、第69回サンセバスチャン映画祭がメイン会場クルサールで開幕しました。本日プレミア上映のあるシネアストが朝から続々と宿泊するマリア・クリスティナ・ホテルに吸い込まれて行きました。カルロス・サウラ父娘をはじめ、本日ドノスティア栄誉賞を受賞するマリオン・コティヤール、セクション・オフィシアルの審査員テッド・ホープ以下女性陣4名、Maixabelチームのイシアル・ボリャイン、ブランカ・ポルティリョ、ルイス・トサール、ペルラス部門オープニング作品Competencia oficial出演のアントニオ・バンデラス、ペネロペ・クルス、オスカル・マルティネス、イレネ・エスコラルなど見慣れた顔がマスク姿で現れ、報道陣の要望でカメラにおさまるときだけ外していました。観客は50%に制限されており、悪賢いコロナウイルスの波状攻撃をうけ、今後もしばらく続くのではないでしょうか。

 

★昨年は新型コロナのパンデミックで許されなかったハグが解禁されたのか、あちこちでハグする姿が見られた。新作がオープニング作品に選ばれたチャン・イーモウは現地入りしてないのか見つかりませんでした。上映は早々と午前9時から開始されましたが、セレモニーは午後9時から、マリオン・コティヤールのドノスティア栄誉賞授与式、オープニング作品に追加ノミネートのチャン・イーモウYi Miao Zhong / One Second104分、広東語・北京語)、カルロス・サウラの短編Rosa Rosae. La Guerra Civil5分)の上映がありました。

 

     

      (壇上でハグするマリオン・コティヤールとペネロペ・クルス)

      

          

             (登壇したカルロス・サウラ)

 

★ドノスティア栄誉賞のプレゼンターは、恒例になっている映画祭総指揮のホセ・ルイス・レボルディノスではなく、第67回(2019)に史上最年少45歳で受賞したペネロペ・クルスの手からコティヤールに渡されました。クルスの場合もプレゼンターはU2のボノという意表をつく人選でした。「まあ、驚いたこと、この女性は私を魅了する、とっても愛しています」とコティヤール。主催者には「受賞は私の映画人生の新しい1ページを開いてくれました。ありがとうございます」とスピーチした。

 

     

 

   

              (マリオン・コティヤールとペネロペ・クルス、917日)

 

★マリオンコティヤールは19759月パリ生れの45歳、期せずして同い年の受賞者になり、さらにクルスがフランスのセザール栄誉賞を受賞したときのプレゼンターは、恩師アルモドバルとマリオン・コティヤールでした。両人とも2児の母親とは思えない若々しさで、近年、栄誉賞の年齢もすっかり若返るようになりました。翌18日にはカンヌ映画祭で特別上映されたフロール・ヴァスール監督のドキュメンタリーBigger Than Usが上映され、共同製作者として二人揃って赤絨毯を踏みました。

     

      

      (コティヤールとフロール・ヴァスール、918日フォトコール)

 

マリオン・コティヤールキャリア&フィルモグラフィーは、コチラ20210902

ペネロペ・クルスのドノスティア栄誉賞の記事は、コチラ20191004

 

もう一人の受賞者ジョニー・デップの授与式は、922日が予定されています。

 

「Hombre muerto no sabe vivir」*サンセバスチャン映画祭2021 ㉒2021年09月18日 17:16

    メイド・イン・スペイン部門にエゼキエル・モンテスのデビュー作

     

 

      

★メイド・イン・スペイン部門はスペインで既に公開されたヒット作が選ばれ、今年はフィクション4作、ドキュメンタリー4作が上映されます。エゼキエル・モンテスのデビュー作Hombre muerto no sabe vivirは、第24回マラガ映画祭2021でプレミアされた麻薬密売を絡ませたスリラー、カリスマ性に富んだ悪役が似合うアントニオ・デチェントルベン・オチャンディアノが主演、マフィア陰謀ドラマに飢えている観客に応えている。初監督作とはいえ、モンテスはプロデューサー、脚本家、撮影監督のキャリアが豊富、マラガ出身ということもあるのか、マラガFFには毎年のように参加している。2008年のGranit(中編、監督・脚本・撮影・製作)、2016年のAkemarropaF. J. アランスと共同で監督している。2008年の短編ホラー・スリラーThe Pazzle5分)は、ローマ国際映画賞2020でスリラー賞・撮影賞を受賞、ほか受賞歴多数。

 

     

   (エゼキエル・モンテス監督、第24回マラガ映画祭2021、フォトコールにて)

 

 

 Hombre muerto no sabe vivir / A Dead Man Cannot Live

製作:73140323 Producciones Cinematográficas

監督・脚本・撮影:エゼキエル・モンテス

音楽:ルイス・エルナイス

編集:ホセ・MG・モヤノ

キャスティング:モニカ・サンチェス

メイクアップ:ビクトル・アルカラ

プロダクション・マネージメント:アラセリ・カレロ

 

データ:製作国スペイン、スペイン語、2021年、105分、撮影地アンダルシアのマラガ、カディス、マルベーリャ、公開マドリード限定2021629日、スペイン同年72

映画祭・受賞歴:第24回マラガ映画祭2021セクション・オフィシアル、第69回サンセバスチャン映画祭2021メイド・イン・スペイン部門上映

 

キャスト:アントニオ・デチェント(タノ)、ルベン・オチャンディアノ(アンヘル)、エレナ・サンチェス(アイタナ)、ヘスス・カストロ(トルヒーリョ)、パコ・トウス(エドゥアルド)、ナチョ・ノボ(パウル)、マノロ・カロ(マイタ)、マヌエル・デ・ブラス(マヌエル)、フアンマ・ララ(マッコイ)、ロベルト・ガルシア(ロベルト)、フアン・フェルナンデス(フアン)、ホセ・ラウレ(ノラスコ)、パウル・ラピドゥス(ラピドゥス)、ヘスス・ロドリゲス(チュレ)、フスト・ロドリゲス(サビオ)、フェルナンド・フォンセカ(アントニオ)、チェロ・ソト(スシ)、他多数

 

ストーリー:スペイン南部地中海に面したコスタ・デル・ソル、タノは良き時代に町全体を支配していたマヌエルのために人生の全てを捧げてきた。マヌエルは90年代にナイトクラブの女衒、麻薬密売、そして不動産投機によって建設会社を起業、町では最も裕福な大物に成りあがった。しかし今では老人性痴呆による判断ミスに苦しんでおり、若い息子アンヘルの軽蔑をかったことから息子を無能で役立たずと考えて、組織の支配を成熟したタノに委ねることにした。タノは友人のパウル、ロベルト、マッコイ、エドゥアルドの助けを借りて、事業に自由に参加できるよう政治家や警察に賄賂を渡した。しかし事態は悪化して、資金不足や減益が生じるようになってくる。折も折、新しい命取りとなるドラッグがモロッコから到着するのだが・・・。世代交代、新しい人々とのビジネス方法を模索しなければならないが、誰も彼も安全でも健全でもない世界で、生き残るための唯一の答えは暴力しかないのだろうか。

 

   

(監督、ルベン・オチャンディアノ、エレナ・サンチェス、アントニオ・デチェント)

 

 

    観光客の目から隠された観光地の現に存在する腐敗を描く

 

★クエンティン・タランティーノのファンというモンテス監督は、「この映画は、忠誠心、社会が失っている価値観、もはや存在しない時代について語っています」とインタビューに応えている。アントニオ・デチェント扮するはタノは、自分たちの時代の終焉を見守っている。世代交代がおき若い人たちの考えは自分たちと同じでないことを知っている成熟した大人として登場している。エンリケ・ウルビスホセ・コロナドとタッグを組んだ『貸し金庫50702)や『悪人に平穏なし』(14)で切り開いてきた犯罪スリラーは、TVシリーズのGigantes12話、201819)や舞台をガリシアに設定したVivir sin permiso14話、201718、『麻薬王の後継者』Netflix配信)に繋がっている。両作ともかつての主人公はアルツハイマーに苦しむ過去の人になっている。

   

『貸し金庫507』の作品紹介は、コチラ⇒2014年03月25日

「Gigantes」の作品紹介は、コチラ⇒2018年07月29日

 

アントニオ・デチェントは、1960年セビーリャ生れ、映画、TV、舞台俳優、アンダルシアを舞台にした映画に脇役として出演、TVシリーズを含めると既に180作を数える。最初心理学を専攻したが、23歳のときセビーリャ演劇研究所で本格的に演技を学んだ。1987年、イシアル・ボリャインの叔父フアン・セバスティアン・ボリャインの「Las dos orillas」で映画デビュー、ビセンテ・アランダの「Libertarias」(96)、マリオ・カムスの「El color de las nubes」(97)など話題作に起用され、1999ベニト・サンブラノ『ローサのぬくもり』の医者役で、シネマ・ライターズ・サークル賞助演男優賞を受賞した。フアン・カルロス・フレスナディリョの10億分の1の男』で初めてゴヤ賞2002助演男優賞にノミネートされ、ASECAN2003ではアントニオ・コロメ賞を受賞した。

 

       

★マラガ映画祭2002にノミネートされたロジャー・グアルの群集劇Smoking Roomでは、共演したエドゥアルド・フェルナンデスやフアン・ディエゴなどとグループで銀のビスナガ男優賞を受賞、同じ映画祭では、2012年のハビ・プエブラA puerta friaに主演して同賞を手にしている。他にサンジョルディ男優賞、トゥルーズ・スペイン映画祭2013ASECAN2014アントニオ・コロメ賞などを受賞している。脇役が多いので映画祭上映、公開作品も多く、トニー・ガトリフの『ベンゴ』、ビセンテ・アランダの『カルメン』、アルベルト・ロドリゲスの『7人のバージン』、マヌエル・ウエルガの『サルバドールの明日』、アグスティン・ディアス・ヤネスの『アラトリステ』、ベニト・サンブラノの『スリーピング・ボイス~沈黙の叫び』、マル・タルガロナの『ボーイ・ミッシング』、最近ではアルフォンソ・コルテス=カバニリャスの『サイレント・ソルジャー』などがある。TVムービー『クリスマスのあの日私たちは』(4話)がNetflixでも配信されている。強面だがコメディもやれるカメレオン俳優です。

   

   

      (デチェントを配した「A puerta fria」のポスター)

 

★他のキャストでは、マヌエルの息子役ルベン・オチャンディアノはアルモドバルの『抱擁のかけら』でも大富豪の父親と対立する役どころ、ヘスス・カストロはダニエル・モンソンの『エル・ニーニョ』で遊ぶお金欲しさに麻薬の運び屋になる青年を演じていたが、すっかり大人の男になっている。エレナ・サンチェスは、モンテス監督が監督した「Granit」や「Akemarropa」に出演しており、彼のミューズかもしれない。口封じの殺人、ドバドバとアドレナリンが出るようだから、胃腸の弱い方にはお薦めできませんが、Netflixが一枚噛んでいるので、いずれ配信されることを期待したい。

     

     

     

     

  (ルベン・オチャンディアノ、ヘスス・カストロ)