第28回マラガ映画祭2025特別賞*マラガ映画祭2025 ①2025年03月14日 19:10

        マラガ映画祭の〈特別賞〉マラガ―スール賞にカルメン・マチ

 

         

 

★第28回マラガ映画祭は314日に開催(23日まで)、6つの特別賞(大賞マラガ―スール賞、レトロスペクティブ賞―マラガ・オイ、マラガ才能賞―マラガ・オピニオン、リカルド・フランコ賞、ビスナガ・シウダ・デル・パライソ賞、クラシック映画から選ばれる金の映画)が発表になっています。コンペティション部門にあたるセクション・オフィシアル作品(今回22作)、アウト・オブ・コンペティション作品も全て出揃っていますが、取りあえず特別賞をアップいたします。アルゼンチンの俳優、コメディアンでもあるギレルモ・フランチェラが黒一点です。当ブログではスペイン語読みのギジェルモ・フランセージャでご紹介していますが、アルゼンチンではイタリア語で呼ばれている由。各賞ともキャリア&フィルモグラフィー紹介を予定しています。ビスナガ栄誉賞にはアルゼンチンのアレハンドロ・アグスティ監督受賞が発表になっています。

 

             マラガ映画祭2025特別賞

 

マラガ―スール賞(スール紙とのコラボ)

カルメン・マチ(女優)、1963年マドリード生れ、17歳で舞台女優としてデビューして以来、TVシリーズ、映画にと走り続けている。当ブログでもキャリア紹介を含めて何回も登場させていますが、マラガ―スールが未だだったとは意外です。舞台女優が長かったこと、長寿TVシリーズの「7 vidas」(101話出演、0006)や「Aida」(101話出演、0514)出演もあり、映画で主役を演じるのは、2009年のハビエル・レボーリョの「La mujer sin piano」まで待たねばなりませんでした。そして翌年、エミリオ・アラゴンのデビュー作「Paper Birdes」主演でラテンビート映画祭2010に監督と来日した。本作は『ペーパー・バード~幸せは翼にのって』で公開された。キャリア&フィルモグラフィーを後日アップ予定。

 

   

 

 

レトロスペクティブ賞―マラガ・オイ(マラガ・オイ紙とのコラボ)

ギレルモ・フランチェラ(ギジェルモ・フランセージャ、俳優、映画・舞台・TV)、1955年ブエノスアイレス生れ、祖父がイタリアからの移民。メキシコ映画の『ルド&クルシ』(08、カルロス・キュアロン)、スール賞・クラリン賞・銀のコンドル賞(助演男優)を受賞した『瞳の奥の秘密』09、フアン・ホセ・カンパネラ)、イベロアメリカ・プラチナ賞(主演男優)を受賞した『エル・クラン』15、パブロ・トラペロ)が公開されている。実在した営利誘拐犯を演じるのは、ストレスのたまる楽しくない役柄だったと語っている。後日アップ予定。

『瞳の奥の秘密』作品紹介は、コチラ20140809

『エル・クラン』の主な作品紹介記事は、コチラ20161113

 

    

 

 

マラガ才能賞―マラガ・オピニオン(マラガ・オピニオン紙とのコラボ)

エレナ・マルティン・ヒメノ(女優、脚本家、監督)、1992年バルセロナ生れ、最新作「Creatura」(23、カタルーニャ語)では、主演、脚本、監督と三面六臂の活躍、才媛ぶりを発揮している。カンヌ映画祭と併催される「監督週間」でプレミアされ、翌年のガウディ賞2024では作品賞と監督賞を受賞、ほかに助演男優・助演女優・新人俳優・編集賞を受賞している。ほかにサンセバスチャン映画祭2023ドゥニア・アヤソ賞を受賞している。既にキャリア&フィルモグラフィーをアップしておりますが、マラガ映画祭関連では、監督デビュー作「Júlia ist」(17)が ZonaZine 部門の銀のビスナガ作品賞、同右監督賞、Movister+賞を受賞している。

Creatura」の作品・キャリア紹介は、コチラ20230522

 ガウディ賞2024授賞式の記事は、コチラ20240211

Júlia ist」の作品紹介は、コチラ20170710

 

   

★女優としてのキャリアは、ベルリン映画祭でプレミアされた後、第22回マラガ映画祭2019短編部門に出品された、イレネ・モライの「Suc de Síndria」(英題「Watermelon Juice」)に主演、銀のビスナガ女優賞、イベロアメリカ短編映画祭で主演女優賞、メディナ映画祭2019主演女優賞など受賞した。ゴヤ賞2020では監督と製作者ミリアム・ポルテが短編映画賞を受賞している。メリチェル・コレルの「Con el viento」は、マラガFF 2018 ZonaZine 部門で作品賞を受賞している。老いた母親と3姉妹という4人の女性の生き方をめぐる作品で、エレナは末娘に扮した。マラガFF でプレミアされたマリア・リポルの「No nos mataremos con pistolas」(22)は、何年も会っていなかった5人の友人の再会劇、昔の愛と傷の記憶が彼らを過去への旅に駆り立てる。アレックス・ロラ・セルコスの「Unicornios」(23、仮題「ユニコーン」)もマラガFF 出品作品、主役はグレタ・フェルナンデスですが、エレナも共演している。1979年生れの若手監督として個人的に注目しているので、以下に作品紹介をしておきます。

アレックス・ロラ・セルコスのUnicornios」の作品紹介は、コチラ20230314

 

        

★演劇活動も活発で、バルセロナのベケット・ホールで実験演劇ラボラトリー Els malnascutsの共同設立者の一人。若者(16歳から30歳)が対象の脚本や演技のワークショップを行っている。

 

 

リカルド・フランコ賞(スペイン映画アカデミーとのコラボ)

ロラ・サルバドール・マルドナド(作家、脚本家、監督、製作者)、1938年バルセロナの共和派の家庭に生れる。スペイン内戦後マドリードに移り、英国学校で学んだ。1962年から70年までラジオ、新聞社、劇場、映画、TV界などで働いている。作家、脚本家、映画監督、製作者という多才なキャリアは、スペインの現代文化に不可欠な存在であり、その芸術性、社会的な影響力は際立っている。スペイン映画アカデミー AACCE、脚本家労働組合 ALMA、オーディオビジュアルメディア著作権 DAMAの創設者の一人。1980年代後半まではサルバドール・マルドナドを使用している。

 

    

★記憶に残る仕事として、1997年のピラール・ミロの問題作「El crimen de Cuenca」を上げたい。これはロラ・サルバドール自身の同名小説の映画化で、脚本も監督と共同執筆している。本作はスペイン内戦前の1910年にクエンカ村で実際に起きた冤罪事件をベースにしている。フランコ没後、既に検閲制度も廃止されていたにもかかわらず、治安警備隊による凄惨な拷問シーンが描かれていることから、彼らによる上映禁止が画策され、監督を軍法会議にかけようとさえした。本作はスペインの見せかけの民主主義が露呈した問題作、「第1回スペイン映画祭1984」で『クエンカ事件』の邦題で上映された。

  


              (小説「クエンカ事件」の表紙)

 

★ハイメ・チャバリの代表作「Bearn o La sala las muñecas」(83、「ベアルン」)と「Las bicicletas son para el verano」(84、「自転車は夏のために」)の脚本を執筆している。2作ともスペイン映画史に残る名作、前者はリョレンソ・ビリャロンガの同名小説の映画化、後者は俳優、監督、戯曲家でもあったフェルナンド・フェルナン=ゴメスの戯曲の映画化である。カルロス・モリネロとタッグを組んだ「Salvajes」(01)はホセ・ルイス・アロンソ・デ・サントスの同名戯曲の映画化、ゴヤ賞2002脚色賞を監督などと受賞している。同監督とはドキュメンタリー「La niebla en las palmeras」がトライベッカ映画祭2006審査員賞にノミネートされている。ほかにキューバの女優ミルタ・イバラの監督デビュー作「Titón, de La Habana a Guantanamera」(08、ドキュメンタリー)の脚本を執筆している。ティトンとはイバラの亡夫トマス・グティエレス・アレア監督の愛称、サンセバスチャン映画祭のオリソンテス・ラティノス部門に正式出品された。

 

★上記以外の受賞歴では、2011芸術功労賞金のメダル2014映画国民賞2021シモーヌ・ド・ボーヴォワール賞などを受賞、2023年カタルーニャ映画アカデミー名誉会員、2024DAMA名誉会員になっている。

 

 

ビスナガ・シウダ・デル・パライソ賞

マリア・ルイサ・サン・ホセ(女優)、1946年マドリード生れ、非常に若いときからマドリード・フィルム現像所でモノクロの現像やフィルム編集などの分野で働き始める。その後、国際ラジオ放送局のアナウンサーの研修生になる。続いてスタジオ・モロの宣伝モデルになり、1965年、マルセル・オフュルスの「Hagan juego, señoras」(仏西合作)で映画デビューする。主にフランコ没後の民主主義移行期、Tercera Vía(第三の道)運動と称されたグループの作品に出演している。人気はあるが質的に劣る、あるいは良質だが観客がそっぽを向いて不人気、そのどちらでもない良質で興行的に成功する「第三路線」を目指した運動。

   

      

★ペドロ・ラサガのコメディ「Hasta que el matrimonio nos separe」(77、ホセ・サクリスタンと共演)、未公開だが『欲望 BESTIA HUMANS』の邦題でTV放映されている。エロイ・デ・ラ・イグレシアの「El diputado」(78、ホセ・サクリスタン、ホセ・ルイス・アロンソと共演)は、およそ20年後の東京国際レズ&ゲイ映画祭1999『国会議員』の邦題で上映された。そのほか主役ではないが、名脚本家と言われたラファエル・アスコナが執筆したアントニオ・ヒメネス・リコの「Soldadito español」(88)、カルロス・サウラが自身の少年時代を投影させた「Pajarico」(97)では、少年の叔母役で出演した。本作は「スペイン映画祭1998」で『パハリーコ―小鳥―』の仮題で上映されている。ホセ・ルイス・ガルシア・サンチェスの「Adiós con el corazón」は良質のコメディで、フアン・ルイス・ガリアルドがゴヤ賞2001主演男優賞を受賞している。その他、アナ・マリスカル、ハビエル・アギーレ、マリアノ・オソレス、ゴンサレス・シンデ、ロベルト・ボデガス、ペドロ・オレアなど多くの監督に起用されている。

    

    

       (ホセ・サクリスタンと夫婦役を演じた『国会議員』のフレームから)

 

TVシリーズ出演も多く、ナルシソ・イバニェス・セラドールの「Mañana puede ser verdad」(64)、70年代からは、「Animales racionales」(72734話)、フェルナンド・フェルナン=ゴメスと共演した「El pícaro」(74)、ヘスス・プエンテと共演した「Diálogos de un matrionio」(8213話)、テレノベラ「Nada es para siempre」(00)、歌手ロシオ・ドゥルカルと共演した「Los negocios de mamá」(9713話)、ホルヘ・サンスが主演した「El inquilino」(0413話)などが上げられる。

 

★舞台女優としては、1964年、ホセ・オスナ演出の「Golfus de Roma」で初舞台を踏む。イギリスの劇作家エムリン・ウィリアムズ、スペインではガルシア・ロルカ、ホセ・ルイス・アロンソ、アドルフォ・マルシリャチ、ミゲル・ナロス、フランシスコ・ニエバ、ギリシャ悲劇を代表するソフォクレス、シェイクスピア、ロペ・デ・ベガ、カルデロン、オニールなど、現代劇からギリシャ古典劇まで守備範囲は広い。1974ルイス・ブニュエル新人賞1975年ア・コルーニャ映画祭トーレ・デ・ヘラクルス賞2009ムラ・セグンド・デ・チョモン栄誉賞2022年ビジネス・プロフェッショナル・ウーマン BPW 組織化に寄与したことで平等発言賞などを受賞している。

 

金の映画

Fultivos」(1975)、監督ホセ・ルイス・ボラウ1929~)、日本のスペイン映画元年と言われた「スペイン映画の史的展望〈19511977〉」(198410月開催)に『密漁者たち』の邦題で上映されている。後日紹介予定。

 

     

                                (ポスター)

 

ビスナガ栄誉賞

アレハンドロ・アグスティ(監督、脚本家、製作者)、1961年ブエノスアイレス生れ、後日紹介記事を予定しています。

 

     

                        (アレハンドロ・アグスティ)

 

続ゴヤ賞ガラ落穂ひろい*ゴヤ賞2025 ⑭2025年03月05日 10:50

             レッドカーペットでフォトコールに応じるセレブたち

 

★今年のレッドカーペットは、やはり黒と赤、それに白も結構多かった印象でした。受賞は叶わなかったがノミネートされた人、プレゼンター、ベストドレッサーに選ばれた方などに絞って笑顔をお届けします。(カップル以外男性陣は割愛、順不同)

 

       

                  (ゴヤ栄誉賞受賞者アイタナ・サンチェス=ヒホン、

      デザインはカロリナ・エレーラ・ニューヨーク、宝石ブルガリ)

   

    

                          (総合司会者マリベル・ベルドゥ、

  デザインはイタリアのアルベルタ・フェレッティ、銀メッキのドレス、宝石ダミアニ)

   

      

          (総合司会者レオノール・ワトリング、デザインはレドンド・ブランド)

 

     

           (マカレナ・ガルシア、「Casa en flames」で助演女優賞ノミネート

          デザインはディオール2025コレクション、宝石ラバト)

    

     

      (アレハンドラ・シルバ、国際ゴヤ賞受賞者リチャード・ギア夫人で人道活動家、

                デザインはアルマーニ・プリヴェ、宝石はブルガリ)

  

   

        (パス・ベガ、「Rita」で新人監督賞にノミネート、メガネ姿は珍しい。

                デザインはチェルビナ、宝石は人気の高いメシカ)

 

    

          (エンマ・ビララサウ、「Casa en flames」で主演女優賞ノミネート、

              エレガントなドレス、ブローチはメンチェン・トマス)

 

      

  (エステル・エクスポシト、『叫び』主演、マルティン=カレロが新人監督賞ノミネート、

    デザインはイギリスのヴィヴィアン・ウエストウッド、宝石ブルガリ)

 

      

    (アウラ・ガリード、スパンコールのドレス、デザインはレドンド・ブランド)

 

     

         (エレナ・アナヤ、助演女優賞のプレゼンターの一人、

     デザインはアルマーニ・プリヴェのオートクチュール、宝石カルティエ)

   

    

           (マルタ・ニエト、短編ドキュメンタリーのプレゼンター

 デザインはカロリナ・エレーラ・ニューヨーク、2024コレクション、宝石スアレス)

   

   

        (グレタ・フェルナンデス、主演男優賞プレゼンター、

父 E・エドゥアルド・フェルナンデス受賞。デザインはアルマーニ、宝石カルティエ)

     

         

       (カエタナ・ギジェルモ・クエルボ、ゴヤ賞レッドカーペットの皆勤者

    豪華なドレスのデザインはルベン・エルナンデス・コストゥラ、宝石メシカ)

   

  

         (ナタリア・デ・モリーナ、ベストドレッサー

    メタリックなスカートのデザインはレドンド・ブランド、宝石メシカ)

   

  

                  (ニエベス・アルバレス、ベストドレッサー

   デザインはフランスのステファン・ロランのオートクチュール、宝石ブルガリ)

 

 

   (ベレン・ルエダ、作品賞のプレゼンターの一人、奇抜なドレスが楽しめる。

  グラナダのアルハンブラに着想を得たというドレスはバレンスエラ・アテリエル)

 

   

                    (マリア・レオン、助演女優賞ノミネートの一人

  デザインはヴィヴィアン・ウエストウッドのぴったりの〈ビュスチェ〉のドレス)

 

  

         (イチャソ・アラナ、「Volveréis」に主演、

         デザインはテレサ・エルビグ、宝石ダミアニ)

 

  

            (ルシア・ヒメネス、「El trono」が短編映画賞にノミネート

   デザインはアンドレウ・ポクリド、宝石モリーナ・クエバス、靴アクアズーラ)

 

      

               (ソエ・ボナフォンテ、「El 47」で新人女優賞ノミネート

      デザインはカロリナ・エレーラ・ニューヨーク、宝石カレーラ・イ・カレーラ)

   

  

       (ラウラ・ヴァイスマール、「Salve María」で新人女優賞受賞

        デザインはハーベイ・クラブ、靴クリスチャン・ルブタン)

 

  

    (カロリナ・ジュステ、「La infiltrada」で主演女優賞受賞、

   デザインはアレクサンダー・マックイーン、登山靴のようなスニーカー)

 

    

             (マレナ・アルテリオ、昨年の主演女優賞者、プレゼンター

           デザインはNYのデザイナー、ザック・ポーゼン、宝石はムミット)

  

  

    (歌手リゴベルタ・バンディニ、2024年のオリジナル歌曲賞受賞者、

   デザインはマンズ・コンセプト、靴はマグリッド、宝石スオット・スタジオ)

   

      

                 (エバ・リョラチ、助演女優賞プレゼンターの一人、

         デザインはカール・ラガーフェルド、宝石ホセ・ルイス・ホジェリアス

   

  

       (ロラ・ドゥエニャス、助演女優賞プレゼンターの一人、

             デザインはテレサ・エルビグ)

   

   

        (アルバ・プラナス、「La virgen roja」に出演、

      デザインはアリシア・ルエダ、宝石カレーラ・イ・カレーラ)

 

  

                 (ラケル・サンチェス・シルバ、ベストドレッサー、

      デザインはハエン・レアンドロ・カノ、宝石アルバロ・ラロサ・フレスト、

            手袋グアンテ・バラデ、靴ルイス・オノフレ)

   


          (歌手ラ・タニア、オリジナル歌曲賞受賞、

         「La guitarra flamenca de Yerai Cortés」)

 

  

        (ミナ・エル・ハンマニ、新人女優賞プレゼンター、ベストドレッサー

                  デザインはトニー・ワード、宝石カルティエ)

   

   

        (クララ・セグラ、「El 47」で助演女優賞受賞、

      袖なしの胴着のデザインはレン、靴マグリット、宝石ラバト)

 

   

      (ナウシカ・ボニン、「La infiltrada」で助演女優賞ノミネート、

      デザインはマルタ・マルティ、宝石はバルセロナが拠点のレベンス)

   

  

   (マリア・ロドリゲス・ソト、「Casa en flames」で助演女優賞ノミネート、

             デザインはリディア・デルガド)

   

  

    (アイシャ・ビリャグラン、「La virgen roja」で助演女優賞ノミネート、

 デザインはアルトゥーロ・オベヘロ、宝石メシカ、靴はフランスのロジェ・ヴィヴィエ)

   

        

       (歌手ロラ・インディゴ、ガラ出演、ベストドレッサー

   デザインはシビラ、靴クリスチャン・ルブタン、宝石スオット・スタジオ)

    

  

      (歌手バレリア・カストロ、「El 47」のテーマ曲を歌っている。

           デザインはメゾン・レン、宝石ダミアニ)

    

  

        (イシアル・ボリャイン、『私はネベンカ』が脚色賞にノミネート、

                 ジャケット右襟にパレスチナ国旗のブローチ)

   

  

        (ルシア・ベイガ、『私はネベンカ』)で新人女優賞ノミネート)

 

   

      (パウラ・オルティス、「La virgen roja」が監督賞にノミネート、

          デザインはアリシア・ルエダ、宝石マリナ・ガルシア)

   


(マベル・ロサノ、「Lola, Lolita, Lolaza」が短編アニメーションにノミネート

 デザインはミルト、靴ペドロ・ガルシア、ブレスレット&イヤリングはラティド)

  

  

 (パウラ・パラシオス、「Mi hermano Ali」がドキュメンタリー賞にノミネート、

   デザインはスペインのトットハムTot-Hom、宝石イシドロ・エルナンデス)

      

   

   (サルバ・レイナ、「El 47」で助演男優賞を受賞、パートナーの女優キラ・ミロー、

                   プロノビアスのドレスと靴、宝石はラバト)

   

     

 (ルイス・トサール、「La infiltrada」で助演男優賞ノミネート、デザインはアルマーニ

 チリの女優マリア・ルイサ・マジョール、デザインはマイケル・コステロ、宝石カルティエ)

   

     

        (ロス・ハビスことハビエル・カルボ&アンブロッシ、昨年の総合司会者、

  スーツはヴィヴィアン・ウエストウッド、靴クリスチャン・ルブタン、宝石スアレス)

 

   

(マカレナ・ゴメス&アルド・コマス、毎回レッドカーペットを楽しませてくれるカップル、

         テレサ・エルビグのドレス、アベジャネダのスーツ)

     

    

     (無冠に終わったピラール・パロメロの「Los destellos」のチーム、

 マリナ・ゲロラ、監督、パトリシア・ロペス・アルナイス、アントニオ・デ・ラ・トーレ

 

         会場を盛りたてたミュージシャンたち

 

  

         (アレハンドロ・サンス、Abre la puerta

 

  

 (グラナダのモレンテ3姉弟、エストレージャ、ソレア、キキ、Anda jaleo

        グラナダの詩人ガルシア・ロルカへのオマージュ)

   

  

 (デリャフエンテ ロラ・インディゴ、Verde que te quiero verde

 

  

   (昨年のオリジナル歌曲賞受賞者リゴベルタ・バンディニ、El amor

   

  

    (サハラ &ドラ、Si tú no estás 点鬼簿のバックミュージック)

 

★マラガ映画祭が314日に開幕、特別賞も既に発表されています。大賞マラガ・スール賞はカルメン・マチです。


ゴヤ賞落穂ひろい*ゴヤ賞2025 ⑬2025年03月02日 17:33

        イベロアメリカ映画賞授与式―ウォルター・サレス

     

       

 

★去る218日、マドリードのスペイン映画アカデミー本部で、ウォルター・サレスの「Ainda estou aqui / Aun estoy aqui」(邦題『アイム・スティル・ヒア』)にイベロアメリカ映画賞の授与式がありました。28日のガラ当日出席できなかったためアカデミー預りになっていました。ブラジル映画が受賞するのは初めてだそうです。そういえば『セントラル・ステーション』(98)もノミネート事態もありませんでした。フェルナンド・メンデス=レイテ会長がプレゼンターを務めました。本作主演のフェルナンダ・トーレスがゴールデングローブ賞の主演女優賞を受賞、間もなくガラが始まるアカデミー賞2025にもノミネートされています。

   

      

     (メンデス=レイテ会長、受賞者ウォルター・サレス監督、218

 

★受賞者は、「本当に感謝に堪えません、ブラジル映画がゴヤ賞を受賞する意味は重要です」と強調しました。さらにスペインとブラジル両国の映画芸術について、「私たちの映画の記憶はこちらに根を下ろしています。というのもブラジル映画史で最も重要な映画運動シネマ・ノーヴォは、かつて私たちのマエストロであるカルロス・ディエゲスが申しましたように、ルイス・ブニュエルの『忘れられた人々』やロベルト・ロッセリーニの『無防備都市』との出遭い、またはセルゲイ・エイゼンシュテインのモンタージュ理論の確立にあるからです。イベロアメリカ映画の記憶はとても近しいものであり、この賞は近接と所属の賞でもあるのです」と言及しました。

カルロス・ディエゲス(ヂエギス、ディエギスの表記も)は1週間ほど前の225日、84歳で鬼籍入りしてしまいました。代表作品は『バイバイ・ブラジル』(79DVD)、ビニシウス・デ・モライスの戯曲をベースに映画化され、カエタノ・ヴェローゾが音楽を担当した話題作『オルフェ』(99)は翌年公開された。

作品紹介記事は、コチラ20240906

ゴールデングローブ賞主演女優賞受賞の記事は、コチラ20250128


マリサ・パレデス逝く*ゴヤ賞2025 ⑫2025年02月25日 15:57

      前触れもなく旅立った〈映画界のレジェンダ〉マリサ・パレデス追悼

 

         

 

★今年のゴヤ賞ガラで多くの人が深い喪失感を味わったのが、昨年師走に前触れもなく旅立ったマリシータことマリサ・パレデス1946)の追悼でした。毎年ガラにはノミネートがなくてもプレゼンターとして姿を見せ、偉ぶることもなく各メディアのインタビューに応じ、常に女性の地位向上に言及していた。もうあの青い瞳の優雅な佇まいに接することは叶わなくなってしまった。ガラ後半、スペイン映画アカデミー会長フェルナンド・メンデス=レイテもスピーチの締めくくりはパレデス追悼でした。母親と同じ女優の道を歩む一人娘マリア・イサシが会長に伴われて壇上に登場、亡き母への想いを語った。会場には40年以上も共に人生を歩んだホセ・マリア・プラド(愛称チェマ、ルゴ1952、元国立フィルムライブラリー館長)の未だ事実を受け入れられないのか、悪い夢を見ているような、打ちのめされたような姿が印象的でした。隣席の男性はマリサの兄弟ということです。

   

       

             (感謝の辞を述べるマリア・イサシ)

 

★マリア・イサシは、「私たちと心を分かち合って下さっている全ての方々に御礼を申し上げたい、皆さまから寄せられた親愛や素晴らしい言葉、そして私たちの空虚感を共有して下さる全ての方々です。彼女は親愛、熱愛、敬意を重んじることを知っておりました。その凄さは決して想像できないほどでした」とスピーチした。マリア・イサシ(マドリード1975)は、パレデスが17歳の年齢差で結婚した監督アントニオ・イサシ・イサスメンディ19292017)の娘、母親が「私の最高作品」と称した一人娘です。共演作として、アンパロ・クリメントが同名戯曲を映画化したドキュメンタリー・ドラマ「Las cartas perdidas」(21)、カルロス・モリネロのデビュー作「Salvajes」(01)ではゴヤ賞新人女優賞にノミネートされている。母親が2018ゴヤ栄誉賞を受賞したときのプレゼンターを務めている。

 

       

          (マリサ・パレデス、第32回ゴヤ栄誉賞2018ガラ)

   

       

        (マリア・イサシ、マリサ・パレデス母娘、同フォトコール)

 

20241217日の明け方、心不全のため帰らぬ人となった。生来の優雅さをたたえた、貴婦人のお手本のようなマリサ・パレデスは、少し体調が良くないとマドリードのヒメネス・ディアス財団病院に緊急入院していた。互いに支えあった40年来のパートナーであるチェマ・プラドも、当日の朝には別れの言葉を交わすことが叶わなかったということです。元気そうに見えていたが心臓に栄養を運ぶ血管の冠状疾患を抱えていたようです。

   

      

       (チェマ・プラドとマリサ・パレデス、ベルリン映画祭2018にて)

 

★マリサの旅は、マドリードの中心街サンタ・アナ広場近くの労働者階級が多く暮らす守衛室から幕を開けた。ビール工場で働く保守的な父ルシオと建物の守衛をしていた自立心に富んだ母ペトラの末娘、家は貧しかったという。当時のスペインは階級の違いがはっきりしていて、マリサは労働者階級意識を胸に刻み付けて成長した。そして国際的な女優になった後も決してそのことを忘れることはなかった。

 

★「ママ、どうして家は貧乏なの?」と尋ねる娘に「金持ちは遺産を相続するからなの。同じように貧乏人は貧乏を受け継ぐんだよ」と、指で頭をさして「ここによーく叩き込んでおきなさい」と諭したそうです。個人の努力が足りないとか、日本の為政者や権力者が大好きな言葉〈自己責任〉ではないということです。社会がどのように変わろうともブレない彼女の強い責任感、民主主義への政治的コミットメント、義務を果たすフェミニストぶりが筋金入りなのは、この幼少期の母親の教えにあると語っている。彼女が母親を〈共犯者〉と呼ぶ所以です。

     

     

   (「品位ある民主主義のために」の会合で「今日世界は少し悲しい」と。20244月)

   

     

     (「性暴力は終わりにしよう」の団扇を手にしたゴヤ賞ガラ、20242月)

 

★家計を助けるため、小学校は11歳まで、婦人服の仕立で屋で働き始める。隣人が持っていたコミック雑誌を借りて独学した。痩せていたのでパハリート、小鳥ちゃんの綽名で呼ばれていた。母親の「いいかいマリシータ、自分のやりたいことを諦めずに闘いなさい」という言葉を終生忘れなかった。守衛室の建物の屋上からエスパニョール劇場を見下ろして「女優になる」と決めたのは5歳だった。

   

  

      (アルモドバル監督と。フォトグラマス・デ・プラタ栄誉賞2015ガラ

 


  (パレデス、チュス・ランプレアベ、ロッシ・デ・パルマ、『私の秘密の花』から

    

   

 (母娘の最後の共演作となった「Las cartas perdidas」から)

 

主な受賞歴:映画国民賞1996、芸術功労賞金のメダル2007CinEuphoria栄誉賞2011、フォトグラマス・デ・プラタ栄誉賞2015、バジャドリード映画祭栄誉賞2017、ゴヤ栄誉賞2018、ナント映画祭栄誉賞2021、ほか演技賞受賞はキャリア紹介に譲ります。2018年以降の主な出演は上記の「Las cartas perdidas」、2024年のアルバ・ソテロのドキュメンタリー「Mucha mierda」、TVミニシリーズでは、ロス・ハビスがプロデュースした「Vestidas de azul」(2324)の2話に出演している。キャリア&フィルモグラフィーは以下にアップしております。

ゴヤ栄誉賞2018とキャリア&フィルモグラフィーは、コチラ20180118

ナント映画祭2021栄誉賞と「Las cartas perdidas」作品紹介は、コチラ20210411

     

       

           (カンヌ映画祭2024のレッドカーペットにて)

 

★訃報が伝えられると、や SNS には、急逝に驚いたペドロ・サンチェス首相以下、労働大臣で副首相ヨランダ・ディアス、スペイン映画アカデミー会長フェルナンド・メンデス=レイテ、『私の秘密の花』や『ハイヒール』の監督アルモドバル、製作者のアグスティン・アルモドバル、『オール・アバウト・マイ・マザー』の共演者ペネロペ・クルス、「あまりにも早すぎます」とアントニオ・バンデラス、カンヌ映画祭の元会長ジル・ジャコブ、『ペトラは静かに対峙する』の監督ハイメ・ロサーレス、『私の秘密の花』の共演者ロッシ・デ・パルマ、フアン・ディエゴ・ボットーなど多くの仲間や友人からの感謝の言葉が投稿されている。日本では考えられないことですが、12月18日の通夜がエスパニョール劇場で行われると発表したのはサンチェス首相でした。

   

      

        (最後のアディオス、エスパニョール劇場、20241218日)


アイタナ・サンチェス=ヒホンのゴヤ栄誉賞授与式*ゴヤ賞2025 ⑪2025年02月20日 19:29

           プレゼンターはマリベル・ベルドゥ、感動的なキャリア紹介

 

        

 

★ゴヤ栄誉賞授与式が比較的早い時間帯にありました。プレゼンターが誰になるかも楽しみの一つ、2023年の受賞者は、授賞式の前日に旅立ってしまった巨匠カルロス・サウラで、『歌姫カルメーラ』で主演したカルメン・マウラが務めました。会場は激動の時代を死の直前まで走り続けたマエストロを偲ぶ感動の渦が巻き起こりました。今回のプレゼンターは、総合司会者でもあるマリベル・ベルドゥでサウラのときと負けず劣らず会場を泣かせました。

 

★受賞者アイタナ・サンチェス=ヒホンのキャリア紹介の途中、感動で言葉を詰まらせて中断する一幕があったのでした。会場からは「マリベル、頑張れ」の温かい応援の拍手が沸き起こり、カメラは会場の涙にくれるクララ・セグラ、2014年、最年少で受賞したアントニオ・バンデラスの姿などを追いました。師匠ともいえるアルモドバルより先に受賞することに拘って固辞した末の受賞が頭をよぎったのか、やはり目は潤んでいました。アイタナは「マリベル、このゴヤをあなたの手から受け取ることが私の夢だったのを知らなかったの?」と。二人は2歳違い、まだゴヤ賞など存在しなかった少女時代から女優を天職と考え、大女優になることを夢見る仲良しだったそうです。

     

      

             (ハグしあう、アイタナとマリベル)

 

★プレゼンターは、「光り輝く類いまれな才能の持ち主、素晴らしい信頼のできる共犯者、これは皆が納得のゴヤです。私たちが自分の姿を映す鏡、何故ならあなたは私たちの国や文化が向上するよう努力したからです。40年間ものあいだ闘ったなんて、それは奇跡です」と、受賞者の卓越性に敬意を払った。

    

      

         (エモーショナルなキャリア紹介をしたマリベル・ベルドゥ)

   

★受賞者のキャリア&フィルモグラフィーは、既にアップしておりますが、映画とTV出演を中心にした紹介記事で、舞台女優としてのキャリアは割愛しています。スペイン語版ウィキペディアに載っていない事柄なども含めて、今回受賞スピーチから明らかになった事柄をかいつまんで補足します。自分の師として、演劇の師アリシア・エルミダ(マドリード19322022)、受賞者にサンセバスチャン映画祭1999銀貝女優賞をもたらした『裸のマハ』の監督ビガス・ルナ(バルセロナ1946~2013)、2023年師走旅立ってしまった女性監督のパイオニアの一人であるパトリシア・フェレイラ(マドリード19582023)の3人にオマージュを捧げました。

     

★アリシア・エルミダについては、12歳での初舞台がここフェデリコ・ガルシア・ロルカの生れ故郷グラナダの劇団《バラッカ》だったことに触れた。ロルカが1930年初めに設立した劇団です。「彼女と一緒にロルカの生地フエンテバケーロスでロルカの作品を上演したのです。だから私の人生は文字通りここグラナダから始まったわけです」と語った。この瞬間から彼女の学校は仕事場となり、職業として生活できるわずかな数の俳優の一部分になることができた。「だからこのゴヤを逆風に向かって進む仲間たちと分かち合いたい、皆さんとともに!」と。演技の師は舞台にあり、若い人たちに舞台で演技を学んで欲しいとも語った。

 

★さらに自分にとって学びは尽きない泉のようなものだと語り、今宵この場にいない人々のなかで、どうしても感謝したい師としてビガス・ルナに言及した。また40人以上の監督と仕事をする幸運に恵まれたこと、4人の女性監督に起用されたこと、その一人として脚本家でもあったパトリシア・フェレイラに触れた。まだ女性が足を踏み入れることができなかった時代からのパイオニアの一人でしたが、現在では多くの監督、製作者、脚本家、撮影監督、撮影技師、音響家が活躍している。それは彼女のような先輩たちの努力の成果だと語った。アイタナはフェレイラの『ティ・マイ~希望のベトナム』にカルメン・マチやアドリアナ・オソレスと出演している。(Netflix で配信しています)

    

       

       

 

★当然の流れとしてマリサ・パレデスを追悼しました。「彼女はゴヤ賞のガラではっきり述べていました。〈文化を怖れる必要はない。怖れるべきは無知であり、無関心であり、偽物や狂信的行為、暴力です。重要なのは戦争を怖れることです〉」と。「マリサにも納得して貰えると思いますが、怖れるべきことに新たな帝国主義、民族浄化の台頭を付け足したい」と述べた。

 

★最後に家族、生きる喜びである二人の子供レオとブルナ、ずっと以前に亡くなった父アンヘル、

会場で娘の晴れ姿を見守っていた母フィオレラに感謝を述べた。特に彼女の共犯者で仕事の原動力だった母親に「ママ、あなたの支えや信頼なしには、何事も成し遂げられなかった」と語りかけた。「愛を込めて皆さま有難うございました。映画館でお目にかかりましょう」と締めくくった。(父親は2007年に鬼籍入りしている)

 

主な受賞歴2022年にスペイン映画アカデミー名誉会員、アルハンブラ友好財団の名誉会員。1993年シネマ・ライターズ・サークル賞(「Havanera 1820」)、1995年フォトグラマス・デ・プラタ女優賞(TVシリーズ「Regenta」)、1996年フォトグラマス・デ・プラタ女優賞(演劇『熱いトタン屋根の猫』)、1999年サンセバスチャン映画祭銀貝女優賞(『裸のマハ』)、2004年バルセロナ女優賞、2015年「金のメダル」、同年Max賞主演女優賞(演劇「Medea」)、2022年フェロス賞助演女優賞(『パラレル・マザーズ』)、202412月に文化省が付与する芸術功労金のメダル、2025年ゴヤ栄誉賞。

受賞者の主なキャリア&フィルモグラフィー紹介は、コチラ20241217

スペイン映画アカデミー「金のメダル」受賞記事は、コチラ201508011120

      

アリシア・エルミダは、舞台女優、映画、TV女優。1950年代半ばに舞台女優としてスタートを切り、シェイクスピア、ロペ・デ・ベガ、あるいは米国のソーントン・ワイルダー、チェーホフの『桜の園』、フェデリコ・ガルシア・ロルカの『ベルナルダ・アルバの家』などに出演した。1981年、ロルカの《バラッカ》劇団の巡業に参加する。その後《アリシア・エルミダ学校》と呼ばれたクラスで後輩に発声法や演技の指導にあたった。古典詩の造詣が深く、ロルカの『ドン・クリストバルの祭壇装飾絵図』、『老嬢ドーニャ・ロシータ』ほか、バリェ=インクランの『聖なる言葉』(Max1999受賞)、ミゲル・デ・ウナムノの「El otro」、後にアイタナも演じたテネシー・ウィリアムズの『熱いトタン屋根の猫』などに出演した。2014年スペイン映画アカデミー「金のメダル」受賞。政治的発言も多く、もの言う女優として女性の地位向上に貢献した一人でした。

 

       ラブストーリーが語られた『海を飛ぶ夢』公開20周年を祝う

 

★第19回ゴヤ賞2005のガラはアレハンドロ・アメナバルの『海を飛ぶ夢』のための授賞式でした。1作品がノミネートできる最大カテゴリー数は18個、うちオリジナル歌曲・編集・衣装デザイン賞を除いた15カテゴリーにノミネートされ、受賞できなかったのは録音賞だけでした。少しばかり白けたのを思い出しました。今回登壇したのは、作品・監督・オリジナル脚本・オリジナル作曲賞のアメナバル、主演男優賞のハビエル・バルデム、主演女優賞のロラ・ドゥエニャス、新人女優賞のベレン・ルエダ、新人男優賞のタマル・ノバス5名、今回「El 47」で助演女優賞を受賞したクララ・セグラも共演者でしたが登壇しなかった。

   

       

           (登壇した『海を飛ぶ夢』の監督、主要キャスト)

 

★この『海を飛ぶ夢』クルーが今回の作品賞のプレゼンターを務めた。昨年はペドロ・アルモドバルの『オール・アバウト・マイ・マザー』の公開25周年で、監督以下まだ元気だったマリサ・パレデス、主演のセシリア・ロス、ペネロペ・クルス、アントニア・サンフアンの豪華版でした。最近のゴヤ賞ガラはプレゼンターも視聴率アップに一役買っているようです。

 

       

     

   (左端が受賞者ダニ・デ・ラ・オルデン、読み上げたのはベレン・ルエダでした)


国際ゴヤ賞にリチャード・ギア*ゴヤ賞2025 ⑩2025年02月16日 10:43

          第二の青春を満喫している受賞者リチャード・ギア

    

          

       (「いじめっ子が米国大統領になっている」とスピーチした受賞者)

 

★第4回目となる国際ゴヤ賞は、サンセバスチャン映画祭2007ドノスティア栄誉賞受賞者である米国の俳優兼プロデューサーのリチャード・ギアの手に渡りました。プレゼンターはハリウッドでも活躍しているアントニオ・バンデラスでした。1975年ミルトン・カトセラスの犯罪ドラマ「Report to the Commissioner」(未公開)で映画デビューしているので、今年はキャリア50周年記念の節目の年に当たります。会場から温かい数分のスタンディングオベーションを受け、「(この賞を頂くのは)少し時期尚早でした。というのも私は新しい家族のいるスペインで製作する企画をもっているからです。実はガリシアの素晴らしい女性と結婚しているのです」と、会場で見守る実業家で人道活動家の妻アレハンドラ・シルバを紹介しました。因みに第1回の受賞者はケイト・ブランシェット(オーストラリア)、第2回はジュリエット・ビノシュ(フランス)、昨年がシガニー・ウィーバー(米国)と3連発で女優さんが受賞していました。

    

       

    (プレゼンターのアントニオ・バンデラスとジョルジオ・アルマーニを着た受賞者)

 

★リチャード・ギアは、1949年フィラデルフィア生れの、俳優、製作者、人権活動家、ダライ・ラマを支援するチベット仏教の熱心な信者である。中国政府によるチベット人民迫害を非難して入国拒否になっている。30年以上前に「ギア財団」を設立して、チベット自治区のための活動を整備するほか、ダライ・ラマ14世が提唱するチベット文化の保護、先住民の権利保護などに賛同、受賞スピーチでも訴えていた。なかでも拍手を受けたのは「難民や我が家を持てない人々に、この賞を捧げたい」とスピーチしたときでした。また、権威主義の新たな台頭を危惧し、米国は「いじめっ子が大統領になって、権力と金が支配する恐ろしい場所になっている」と、警鐘を鳴らした。同じチベット仏教徒の信者であるアレハンドラ・シルバ(ア・コルーニャ1983)は、立ち上がって賛同の拍手を送っていました。

 

         

       

         (見つめあう幸せなカップル、レッドカーペットにて)

 

★私生活に触れると、二人の出遭いは2014年頃で、チベット仏教徒の権利保護の活動が縁ということです。アレハンドラの前夫との離婚が正式に成立した2018年に、ギアにとっては3度目となる結婚をした。33歳の年齢差をはねのけての結婚、「父親と娘みたい」という陰口を聞き流し、翌年第1子、2020年第2子が誕生、アレハンドラの前夫とのあいだの男児合わせて3人兄弟、ギアは再婚相手キャリー・ローウェル(200216)との間に既に成人している息子(ホーマー・ジェームズ・ジグメ・ギア、歌手、2000生)がおり、4人の父親になっている。ベネチア映画祭2024に妻、長男と連れだって参加していた。昨年コネチカット州の自宅を売却、シルバの両親が暮らしているガリシアに移住している。ロスにあるもう1軒の家には長男が住んでおり、当分行ったり来たりになる由。

      

キャリア&フィルモグラフィー:スクリーン以外のことに字数を取りすぎましたが、ほとんどの映画が公開され、TVでも放映されているので詳細は不要でしょうか。日本語ウィキペディアも充実しています。親日家で何回も訪日しているうえ、『HACHI 約束の犬』の製作を手掛け出演もしているのでファンは多い。しかしこれだけ主役を演じているのにオスカー像には縁遠く、ノミネートさえ一度もありません。犯罪コメディ・ミュージカル『シカゴ』02)で受賞していると思っていたが勘違いで、受賞したのは第60ゴールデングローブ賞(コメディ/ミュージカル部門)の主演男優賞でした。共演のレネー・ゼルウィガーと受賞した。キャサリン・ゼタ=ジョーンズは、アカデミー賞で助演女優賞を受賞した。

     

       

           (タップダンスを披露した『シカゴ』のポスター


他に1982年テイラー・ハックフォードの『愛と青春の旅だち』(ドラマ部門)、1990年ゲイリー・マーシャルの『プリティ・ウーマン』(コメディ/ミュージカル部門)、2012年ニコラス・ジャレッキーの『キング・オブ・マンハッタン』(ドラマ部門)の3作にノミネートされているだけでした。ポール・シュレーダーのサスペンス『アメリカン・ジゴロ』(80)やフランシス・フォード・コッポラの『コットン・クラブ』(84)など80年代の良作にオファーされているが、賞には結びつかなかった。ヨセフ・シダーの『嘘はフィクサーのはじまり』(16)のノーマン役で新境地を開いたと称賛されている。

 

       

    (ゴヤ栄誉賞を受賞したアイタナ・サンチェス=ヒホンと、レッドカーペットにて


★次回は、アイタナ・サンチェス=ヒホンのゴヤ栄誉賞を予定しています。


作品賞に「El47」と「La infiltrada」のサプライズ*ゴヤ賞2025の結果発表 ⑨2025年02月12日 18:23

        作品賞は「El 47」と「La infiltrada」の2作受賞というサプライズに騒然!   

    

    

      

     

               (前座から盛り上がった会場)

 

18日(現地時間)、予定通り第39回ゴヤ賞2025の授賞式がグラナダ会議展示センターで開催されました。作品賞マルセル・バレナの「El 47」とアランチャ・エチェバリアの「La infiltradaが受賞するというゴヤ賞始まって以来の2作品受賞となりました。投票数が同じで引き分けだったということでした。ということでフィナーレは2チームのキャスト&スタッフにプレゼンターの『海を飛ぶ夢』チーム5名が登壇していたので、写真のように舞台は大賑わいになりました。「El 47」の製作者ラウラ・フェルナンデス・エスペソは「私たちの最初のプロジェクトを応援してくれて有難う」と、一方「La infiltrada」のメルセデス・ガメロは、「"El 47" の仲間たちと分け合えるなんて何て素敵なの。私たちの映画を観てくれた100万人以上の観客にこの賞を捧げたい」と挨拶、マリア・ルイス・グティエレスは、「映画館に足を運んでくれた大勢の若い観客」に感謝しました。

     

   

     (5名のプレゼンター、受賞した2チームが入り混じって壇上は混雑模様


★総合司会を務めたベテラン女優の魅力もあってか、視聴率24.4%(前年19%)と最近では稀にみる好記録でした。作品賞が発表されたゴールデンタイムは24.9%、約280万人が観たことになりました。早くからグラナダ入りして宣伝に努めた苦労が報われました。

    

      

       (総合司会を務めたマリベル・ベルドゥとレオノール・ワトリング)

 

監督賞イサキ・ラクエスタ&ポル・ロドリゲスの「Segundo premio」でした。監督欠席でしたがペドロ・アルモドバルの「La habitación de al lado」は、脚色オリジナル作曲撮影賞ダニ・デ・ラ・オルデンの「Casa en flames」はオリジナル脚本賞新人監督賞は「La estrella azul」のハビエル・マシぺアイトル・アレギ&ジョン・ガラーニョの「Marco」は主演男優賞メイクアップ&ヘアー賞パウラ・オルティスの「La virgen roja」は美術・衣装デザイン賞、と各作品とも満遍なく受賞して一人勝ちは避けられました。 

   


       (スペイン映画アカデミー会長フェルナンド・メンデス=レイテ

   

★ミュージカル「Segundo premio」のイサキ・ラクエスタ&ポル・ロドリゲスの監督賞受賞は若干サプライズだったのではないでしょうか。金のビスナガ受賞作品ですが、マラガ映画祭は3月開催と大分月日が経っていたので不利でした。個人的には「La infiltrada」のアランチャ・エチェバリアか、『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』のアルモドバルを予想していましたが外れました。共同監督のイサキ・ラクエスタは欠席で登壇したのはポル・ロドリゲス一人、彼はラクエスタや出演したミュージシャンたちに感謝を述べた。ラクエスタはメッセージで欠席を詫びた後「イサ、愛しています、ルナ、ありがとう」と、製作者の一人である妻イサ・カンポと、撮影中に白血病で天に召された幼い愛娘ルナに感謝を捧げました。

      

      

     (左から、ペドロ・サンチェス首相、アンダルシア評議会会長フアンマ・モレノ、

       行政府副長官ヨランダ・ディアス)

 

★ゴヤ栄誉賞アイタナ・サンチェス=ヒホン(プレゼンターはマリベル・ベルドゥ)、国際ゴヤ賞リチャード・ギア(プレゼンターはアントニオ・バンデラス)、昨年1217日に突然旅立ったマリシータことマリサ・パレデス追悼、ゴヤ賞14カテゴリー制覇というゴヤ賞最多受賞を記録したアメナバルの『海を飛ぶ夢』公開20周年記念については別途アップします。監督以下主演のハビエル・バルデム、ロラ・ドゥエニャス、ベレン・ルエダ、タマル・ノバスが登壇しました。

 

 

         39回ゴヤ賞2025の受賞者一覧(太字受賞者)

 

作品賞

Casa en flames」監督ダニ・デ・ラ・オルデン 

 製作:アルベルト・アランダ、アナ・エイラス、アリエンス・ダムシ、ダニ・デ・ラ・オルデン、ハイメ・オルティス・デ・アルティニャノ、キケ・マイジョ、ト二・カリソナ、他

La estrella azul」監督ハビエル・マシぺ 

 製作:アメリア・エルナンデス、エルナン・ムサルッピ、シモン・デ・サンティアゴ

Segundo premio」監督イサキ・ラクエスタ&ポル・ロドリゲス 

 製作:クリストバル・ガルシア

El 47」監督マルセル・バレナ 

 製作:ハビエル・メンデスラウラ・フェルナンデス・エスペソ

作品賞の他、助演男優・助演女優・プロダクション・特殊効果賞の5冠。プレゼンターは、公開20周年記念の『海を飛ぶ夢』の監督アメナバル以下主演キャストたち。

  

    

     

       (マルセル・バレナ、ラウラ・フェルナンデス・エスペソ)

  

  

   (受賞者たち)

  

 La infiltrada」監督アランチャ・エチェバリア 

 製作:アルバロ・アリサマリア・ルイス・グティエレスメルセデス・ガメロ、

    パブロ・ノゲロレス

   

   

                      (アランチャ・エチェバリア)

   

   

          (サプライズに喜び全開のエチェバリア監督)

  

   

  

   (興奮がおさまらない製作者、長いスピーチに会場もお疲れ気味でした)

 

 

監督賞

ペドロ・アルモドバル「La habitación de al lado」(邦題『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』)

アランチャ・エチェバリア「La infiltrada

パウラ・オルティス「La virgen roja

アイトル・アレギ&ジョン・ガラーニョ「Marco」 

イサキ・ラクエスタポル・ロドリゲスSegundo premio

 

   

    (プレゼンターのアレハンドロ・アメナバル、受賞者ポル・ロドリゲス)

   


              

新人監督賞

ミゲル・ファウス「Calladita

ペドロ・マルティン=カレロ「El llanto」(邦題『叫び』) 

サンドラ・ロメロ「Por donde pasa el silencio

パス・ベガ「Rita

ハビエル・マシぺLa estrella azul

プレゼンターは、昨年『雪山の絆』で監督賞を受賞したホセ・アントニオ・バヨナ、同じく『ミツバチと私』で新人監督賞を受賞したエスティバリス・ウレソラ監督でした。

     

 

        

オリジナル脚本賞

アルベルト・マリニ&マルセル・バレナ「El 47

ハビエル・マシぺ「La estrella azul

アメリア・モラ&アランチャ・エチェバリア「La infiltrada

アイトル・アレギ、ジョン・ガラーニョ、ホルヘ・ヒル・ムナリス、ホセ・マリ・ゴエナガ「Marco

エドゥアルド・ソラCasa en flames」監督ダニ・デ・ラ・オルデン

ガウディ賞、フェロス賞、ゴヤ賞とすべてを手にした。名前を呼ばれた途端にもう涙で顔がくしゃくしゃでした。

   

             

                 

                           (涙が抑えられない受賞者)

 

脚色賞

アレックス・モントーヤ、ジョアナ M. オルトゥエタ「La casa

ピラール・パロメロ「Los destellos」監督ピラール・パロメロ 

マル・コル、バレンティナ・ビソ「Salve María」監督マル・コル

イシアル・ボリャイン、イサ・カンポ「Soy Nevenka」監督イシアル・ボリャイン 

ペドロ・アルモドバルLa habitación de al lado」(The Room Next Door

受賞者欠席で製作者のアグスティン・アルモドバルが「音楽と映画を守っていくのは奇跡です」というメッセージを代読した。6個目のゴヤ胸像は、今は亡きマリサ・パレデスに捧げられた。プレゼンターは昨年の総合司会者ロス・ハビスのコンビ、「受賞者は私たちのマエストロ、ペドロ・アルモドバル!」と。

    

      

         (亡き「マリサ・パレデスに捧げたい」とアグスティン)

   

        

(どのポケットに入れたんだっけと老眼鏡を探すアグスティン)

   

オリジナル作曲賞

アルナウ・バタリェル「El 47

アルトゥロ・カルデルス「Guardiana de Dragones-Dragonkeeper」アニメーション

 監督Li Jianping(李建平)&サルバドール・シモ

フェルナンド・ベラスケス「La infiltrada

セルヒオ・デ・ラプエンテ「Verano en diciembre

アルベルト・イグレシアスLa habitación de al lado」監督ペドロ・アルモドバル

ゴヤ胸像のコレクター、これで何個目になるのでしょうか? 数えたら最多受賞の12個でした。トロフィーをマリサ・パレデスに捧げました。最初のアルモドバル作品がパレデス主演の『私の秘密の花』だったからでした。プレゼンターはグラナダのフラメンコ歌手エストレージャ&ソレア・モレンテ姉妹、今回アルハンブラ宮殿でのライブ配信もありました。

     

     

   

                (プレゼンターのエストレージャ&ソレア・モレンテ姉妹

 

オリジナル歌曲賞

Show me - 作曲家:フェルナンド・ベラスケスBuffalo Kids」アニメーション

 監督フアン・ヘスス・ガルシア・ガローチャガロ、ペドロ・ソリス  

El borde del mundo - 作曲家:バレリア・カストロ「El 47

La Virgen Roja - 作曲家:マリア・アルナル「La virgen roja

Love is the worst - 作曲家:アロンドラ・ベントレー、イサキ・ラクエスタ「Segundo premio

Los Almendros - 作曲家:アントン・アルバレスイェライ・コルテス

 La guitarra flamenca de Yerai Cortés」ドキュメンタリー、監督アントン・アルバレス

 

                     

            

       (イェライ・コルテス、歌手ラ・タニア、アントン・アルバレス監督)

 

主演男優賞

アルベルト・サン・フアン「Casa en flames」(欠席)

アルフレッド・カストロ「Polvo serán」監督カルロス・マルケス=マルセ

ウルコ・オラサバルSoy Nevenka

ビト・サンス「Volveréis」監督ホナス・トゥルエバ 

エドゥアルド・フェルナンデスMarco」監督アイトル・アレギ&ジョン・ガラーニョ

実在した詐欺師エンリク・マルコを演じた受賞者は、「今まで演じたことのない複雑な人物」とコメント、トランプ政権の不法移民のキューバ・グアンタナモ刑務所収容、ガザ問題、やはり政治的発言は止められない。プレゼンターはジョセップ・マリア・ポウとグレタ・フェルナンデス、4個目となるゴヤ胸像を愛娘から手渡された(主演・助演2個ずつ)。

    

      

            (プレゼンターは娘グレタ・フェルナンデス)

   

              

 

主演女優賞

エンマ・ビララサウVilarasauCasa en flames

ジュリアン・ムーア「La habitación de al lado」(欠席)

ティルダ・スウィントン「La habitación de al lado」(欠席)

パトリシア・ロペス・アルナイス「Los destellos

カロリナ・ジュステLa infiltrada」監督アランチャ・エチェバリア

プレゼンターはアネ・ガバラインと昨年の受賞者マレナ・アルテリオ、ハリウッドの大女優は共に欠席、大きなスキー靴のようなスニーカーを履いた受賞者は、エチェバリア監督や共演者のルイス・トサールに感謝の言葉を述べ「複雑で難しい役柄だった」と語った。主演女優賞は初めて。

       

       

         (スピーチを見守る先輩ガバラインとアルテリオ、受賞者)

   

      

            (毎回、ファッションはイマイチの受賞者)

 

助演男優賞

エンリク・アウケル「Casa en flames

オスカル・デ・ラ・フエンテ「La casa

ルイス・トサール「La infiltrada

アントニオ・デ・ラ・トーレ「Los destellos

サルバ・レイナEl 47」監督マルセル・バレナ

毎回最初の受賞者は助演男優賞に決まっていますが、予期しない受賞だったのか座席で小躍り、かたわらの奥さんキラ・ミローと熱烈キス、登壇してからも興奮はおさまらずトロフィーを振り回すので落とさないかとハラハラでした。

    

       

        (「不法な市民は存在しない」とスピーチしたサルバ・レイナ)

     

      

                         (人目もはばからず熱烈キス)

 

助演女優賞

マカレナ・ガルシア「Casa en flames

マリア・ロドリゲス・ソト「Casa en flames

ナウシカア・ボニン「La infiltrada

アイシャ・ビリャグラン「La virgen roja

クララ・セグラEl 47」監督マルセル・バレナ

ガウディ賞、フェロス賞には欠席だった受賞者も今回は姿を見せた。プレゼンターが過去の受賞経験者5名、左からエレナ・アナヤ、マリア・レオン、エバ・リョラチ、ナタリア・デ・モリーナ、スシ・サンチェスという豪華版でした。

  

   

         

   

          (クララ・セグラ、プレゼンターのエレナ・アナヤ)

 

  

     

新人男優賞

オスカル・ラサルテ「¿Es el enemigo? La pelicula de Gila」監督アレクシス・モランテ

クティ・カラバハル「La estrella azul

クリスタリノ「Segundo premio

ダニエル・イバニェス「Segundo premio

ペペ・ロレンテLa estrella azul」監督ハビエル・マシぺ

 

         

   

           

新人女優賞

ソエ・ボナフォンテ「El 47

マリエラ・カラバハル「La estrella azul

マリナ・ゲロラ「Los destellos

ルシア・ベイガSoy Nevenka

ラウラ・ヴァイスマールSalve María」監督マル・コル

ガウディ賞に続いての受賞、「熟考を駆り立てる勇敢さ」を語った映画に起用してくれたマル・コル監督に感謝を捧げた。

   

        

     

                 

プロダクション賞

ライア・ゴメス「Casa en flames

アシエル・ペレス・セラノ「La infiltrada

カティ・マルティ・ドノグエDonoghueLa virgen roja

カリオス・アモエド「Segundo premio

カルロス・アポリナリオEl 47」監督マルセル・バレナ

     

     

 

           

撮影監督賞

アイザック・ビラ「El 47

ハビエル・サルモネス「La infiltrada

タクロ・タケウチ「Segundo premio

グリス・ホルダナSoy Nevenka

エドゥ・グラウLa habitación de al lado」監督ペドロ・アルモドバル

*「ペドロ・ペドロ・・・」と監督の名前を連呼して感謝。

 

        

        

  (アルモドバル監督に感謝の受賞者)

    

 

編集賞

ナチョ・ルイス・カピリャス「El 47

ハビエル・マシぺ、ナチョ・ブラスコ「Los destellos

ビクトリア・ラマーズ「La infiltrada

フェルナンド・フランコ「Los pequeños amores」監督セリア・リコ・クラベリーノ 

ハビ・フルトスSegundo premio」監督イサキ・ラクエスタ&ポル・ロドリゲス

   

     

   

 

美術賞

マルタ・バサコ「El 47

インバル・ワインバーグ「La habitación de al lado

ペペ・ドミンゲス・デル・オルモ「Segundo premio

ミゲル・アンヘル・レボーリョ「Volveréis

ハビエル・アルバリニョLa virgen roja」監督パウラ・オルティス

    

   

      

 

衣装デザイン賞

エステル・パラウダリエス、ビンジェト・エスコバルVinyetDisco, Ibiza, Locomía」監督キケ・マイジョ

イランツェ・オルテス、オルガ・ロダル「El 47

ビナ・ダイヘレル「La habitación de al lado

ルルデス・フエンテス「Segundo premio

アランチャ・エスケロLa virgen roja」監督パウラ・オルティス

    

          

     

 

メイクアップ&ヘアー賞

カロル・トルナリア「El 47

モラグ・ロス、マノロ・ガルシア「La habitación de al lado

パトリシア・ロドリゲス、トノ・ガルソン「La infiltrada

エリ・アダネス、パコ・ロドリゲス・フリアス「La virgen roja

カルメレ・ソレルセルヒオ・ペレス・ベルベルナチョ・ディアスMarco

監督アイトル・アレギ&ジョン・ガラーニョ

   

  

  

 

録音賞

アマンダ・ビリャビエハ、ホアキン・ラハデル、他「La estrella azul

セルヒオ・ビュルマン、アンナ・ハリントン、マルク・オルツ「La habitación de al lado

ファブロ・ウエテ、ホルヘ・カスティーリョ・バリェステロス、他「La infiltrada

コケ・F.ラエラ、アレックス・F.カピリャ、他「La virgen roja

ディアナ・サグリスタエバ・ベリニョアレハンドロ・カスティーリョアントニン・ダルマッソ Segundo premio」監督イサキ・ラクエスタ&ポル・ロドリゲス

*ガウディ賞に続く受賞。

     

      


    

特殊効果賞

Li Xinリー・シン「Guardiana de Dragones-Dragonkeeper

マリアノ・ガルシア・マーティ、ジョン・セラノ、他「La infiltrada

ラウル・ロマニリョス、フアンマ・ノガレス「La virgen roja

ジョン・セラノ、マリアノ・ガルシア・マーティ、他「Marco

ラウラ・カナルスイバン・ロペス・エルナンデスEl 47」監督マルセル・バレナ

   

      

      

       

アニメーション賞

Buffalo Kids

Guardiana de Dragones-Dragonkeeper

Rock Bottom」監督マリア・トレノル 

SuperKlaus」監督アンドレア・セバスティア、スティーブ・マジョーリー

Mariposas Negras」監督・製作ダビ・バウテ           

            製作者セサル・セラダエドモン・ロチマルク・サベ

フォルケ賞、ガウディ賞に続いての受賞。

       

      

      

          

ドキュメンタリー賞

Domingo Domingo」監督ラウラ・ガルシア・アンドレウ

Marisol, llámame Pepa」監督ブランカ・トレス

 Mi hermano Ali」監督パウラ・パラシオス

No estás sola」監督アルムデナ・カラセド、ロベルト・バハル

La guitarra flamenca de Yerai Cortés」監督アントン・アルバレス(芸名 C.タンガナ)

クリスティナ・テレナスサントス・バカナ

   

   

     (アントン・アルバレス監督)

 

   

 

イベロアメリカ映画賞

Agarrarme fuerte」ウルグアイ、監督アナ・ゲバラ・ポセ、レティシア・ホルヘ・ロメロ

El jockey」『ジョッキー』アルゼンチン、監督ルイス・オルテガ 

El lugar de la otra」『イン・ハー・プレイス』チリ、マイテ・アルベルディ 

Memorias de un cuerpo que arde」コスタリカ=スペイン、

  監督アントネリャ・スダサシ・フルニス

Ainda estou aqui / Aún estoy aquí」ブラジル、監督ウォルター・サレス 

監督、製作者欠席につき、代理がスマホに送られてきたメッセージを読んだ。

 

       

ヨーロッパ映画賞

El Conde de Montecristo」フランス、

  監督アレクサンドル・ド・ラ・パトリエール、マチュー・デラポルテ

Flow」『Flow』ラトビア=フランス=ベルギー、監督ギンツ・ジルバロディス

La Quimera」『墓泥棒と失われた女神』イタリア、監督アリーチェ・ロルヴァケル

La zona de interés」『関心領域』イギリス、監督ジョナサン・グレイザー 

Emilia Pérez」『エミリア・ぺレス』フランス、監督ジャック・オーディアール 

プレゼンターはアナ・トレントとオスカル・マルティネス。監督、カルラ・ソフィア・ガスコンとも欠席、配給元のエンリケ・コスタとミゲル・モラレスが代理が受け取った。

   

       

         (左エンリケ・コスタ、ミゲル・モラレスがスピーチした)   

     

短編映画賞

Betiko gaua / La noche eterna」(18分)監督エネコ・サガルドイ

Cuarentena」(6分)監督セリア・デ・モリナ

El Trono」(13分)監督ルシア・ヒメネス

Mamántula」(48分)監督イオン・デ・ソサ

La gran obra」(20分)監督アレックス・ロラ、製作リュイス・キレス・サラ

フォルケ賞に続いての受賞。

  

   

 

短編ドキュメンタリー賞

Ciao Bambina」(18分)監督アフィオコ・グネッコ、カロリナ・ジュステ

Els Buits」(19分)監督イサ・ルエンゴ、マリナ・フレイシャ・ロカ、ソフィア・エステべ

Las novias del sur」(40分)監督エレナ・ロペス・リエラ

Los 30noson los nuevos 20」(20分)監督フアン・ビセンテ・カスティリェホ・ナバロ

Semillas de Kivu」(29分)監督カルロス・バリェネストル・ロペス

    

    

    

     

短編アニメーション賞

El cambio de rueda」(9分)監督ベゴーニャ・アロステギ

La mujer ilustrada」(8分)監督イサベル・エルゲラ

Lola, Lolita, Lolaza」(9分)監督マベル・ロサノ

Wan」(13分)監督ビクトル・モニゴテ

 Cafune」(7分)監督カルロス・フェルナンデス・デ・ビゴロレナ・アレス

    

   

 

★次回、国際ゴヤ賞のリチャード・ギア、ゴヤ栄誉賞のアイタナ・サンチェス=ヒホン、マリサ・パレデス追悼、『海を飛ぶ夢』公開20周年記念などを予定しています。


第12回フェロス賞2025授賞式*結果発表2025年02月02日 14:06

       映画ドラマ部門は「Salve María」、コメディ部門は「Casa en flames

   

       

125日、第12回フェロス賞2025の授賞式がポンテベドラの文化会館 Pazo da Culturaで開催され、全カテゴリー21の結果発表がありました。選考母体はスペイン映画ジャーナリスト協会AICAです。映画部門11TVシリーズ部門7、フェロス感動賞2、今年の受賞者がハイメ・チャバリだったフェロス栄誉賞の合計21カテゴリーです。総合司会者は、昨年アレハンドロ・マリンの「Te estoy amando locamente」出演で助演男優賞を受賞したラ・ダニが務めました。登壇して降壇するまで涙の止まらない受賞スピーチをしたのでした。

    

       

                         (左から3人め、AICA会長マリア・ゲーラ)

     

      

    

               (総合司会者ラ・ダニ)

 

★ゴヤ賞の前哨戦という位置づけが少し怪しくなってきた印象です。マル・コルの作品賞受賞作「Salve María」など、ゴヤ賞では脚色賞と新人女優賞(ラウラ・ヴァイスマール)の2個、カテゴリーの数を勘案すると少なすぎ、イサキ・ラクエスタ&ポル・ロドリゲスの「Segundo premio」においてはゼロ、ゴヤ賞は3番目に多い11個です。重なるのはダニ・デ・ラ・オルデンのコメディ「Casa en llamas」(原題「Casa en flames」)、監督賞はペドロ・アルモドバルの手に渡りましたが、受賞は5回(予告編・脚本・監督)、フェロス栄誉賞2023につづいて2回めの監督賞を受賞しました。

       

          

   

マル・コル(バルセロナ1981)は、バルセロナのカタルーニャ映画視聴覚上級学校で映画を学ぶ。イサベル・コイシェにつづく世代を代表する監督。デビュー作「Tres dias con la familia」がマラガ映画祭2009でプレミアされ、翌年のガウディ賞を総なめにして、ゴヤ賞では新人監督賞を受賞している。第23回東京国際女性映画祭2010のオープニング作品に選ばれ、『家族との3日間』の邦題で上映された。新作「Salve María」は、母性をテーマにしたサイコスリラー仕立て、カティシャ・アギーレの小説 Las madres no の映画化です。ロカルノ映画祭でプレミアされ、国際映画部門のスペシャルメンション他を受賞、ガウディ賞2025脚色賞を受賞している。

 

TVシリーズ部門作品賞の「Querer」(4話)は、ホセ・マリア・フォルケ賞2024でも作品・主演男優(ペドロ・カサブランク)・主演女優(ナゴレ・アランブル)を受賞していて、予想通りの受賞でした。サンセバスチャン映画祭2024のアウト・オブ・コンペティション作品として特別上映されている。

 

      

 

 

           12回フェロス賞2025結果発表印は紹介作品)

 

★映画部門

作品賞(ドラマ)

Salve María」監督マル・コル、脚本マル・コル、バレンティナ・ビソ、

 原作カティシャ・アギーレ、製作マリア・サモラSergi Casamitjana

ノミネート

La estrellas azul(ハビエル・マシぺ) 

La habitación de al lado」『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』(ペドロ・アルモドバル) 

La virgen roja」『レッド・バージン』(パウラ・オルティス)

Los destellos」(ピラール・パロメロ) 

 

       

              (右から2人め、マル・コル監督)

   


 (受賞スピーチをする製作者マリア・サモラ)

   

   

            (興奮がおさまらないキャスト&スタッフ)

   

作品賞(コメディ)

Casa en llamas」監督ダニ・デ・ラ・オルデン

         製作アルベルト・アランダキケ・マイジョ他 

ノミネート作品:

Bodegón con fantasmas」(監督エンリケ・ブレオ)

Buscando a Coque」(同テレサ・ベリョン&セサル・F・カルビーリョ)

Escape」(同ロドリゴ・コルテス) 

Volveréis」(同ホナス・トゥルエバ) 

   

     

             (スピーチするダニ・デ・ラ・オルデン)

 

    

 

監督賞

ペドロ・アルモドバル(『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』)

ノミネート:アランチャ・エチェバリア、ダニ・デ・ラ・オルデン、パウラ・オルティス、

      ピラール・パロメロ

    

       

    

    

     

主演女優賞

エンマ・ビララサウ(「Casa en llamas」)

ノミネート:パトリシア・ロペス・アルナイス、ナイワ・ニムリ、ラウラ・ヴァイスマール、

      カロリナ・ジュステ

 

      

   

 

主演男優賞

エドゥアルド・フェルナンデス(「Marco」監督アイトル・アレギ&ジョン・ガラーニョ) 

ノミネート:ペペ・ロレンテ、ウルコ・オラサバル、アントニオ・デ・ラ・トーレ、

      ダビ・ベルダゲル

   

         


       

助演女優賞

クララ・セグラ(「El 47」監督マルセル・バレナ) 

ノミネート:アンナ・カステーリョ、マリナ・ゲロラ、マリア・ロドリゲス・ソト、

      アイシャ・ビリャグラン

 

       

         (受賞者欠席で、バレナ監督がスピーチを代読した)


 

助演男優賞

オスカル・デ・ラ・フエンテ(「La casa」監督アレックス・モントーヤ)  

ノミネート:エンリク・アウケル、フリアン・ロペス、ホセ・サクリスタン、

      アルベルト・サン・フアン

 

   

 

 

脚本賞 DAMA

エドゥアルド・ソラ(「Casa en llamas」)

ノミネート

マルセル・バレナ&ベト・マリニ(「El 47」)

ハビエル・マシぺ(La estrellas azul

ペドロ・アルモドバル(『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』)

エドゥアルド・ソラ&クララ・ロケ(『レッド・バージン』)

  

      


           (TVシリーズ部門でも受賞して2個ゲットした)

 

 

オリジナル音楽賞

アルベルト・イグレシアス(『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』)

ノミネート

アルナウ・バタリェル(「El 47」)

フェルナンド・ベラスケス(La casa」)

マリア・アルナル(「Polvo serán」監督カルロス・マルケス=マルセ)

セルティア・モンテス(「Salve María」)

   


      

予告編賞

ミゲル・アンヘル・トゥルド(「Polvo serán」カルロス・マルケス=マルセ)

ノミネート

アルベルト・レアル(『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』)

ハビエル・モラレス(「La infiltrada」アランチャ・エチェバリア) 

オマール・ベルムデス&カルロス・ベロト(「Marco」)

マルタ・ロンガス&ヘスス・フェルナンデス・ガルシア(『レッド・バージン』)

     


    

ポスター賞

オクタビオ・テロルリュイス・トゥデラ(「Salve María」)

ノミネート:「Casa en llamas」、「La estrellas azul」、『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』、「「Polvo serán

    

           

      

       (ラウラ・ヴァイスマールの乳首露出がSNSで問題になったポスター)

 

 

TVシリーズ部門

作品賞(ドラマ)

Querer4話(製作:フアン・モレノ、コルド・スアスア、スサナ・エレラス、フラン・アラウホ、監督アラウダ・ルイス・デ・アスア、脚本:アラウダ・ルイス・デ・アスア、フリア・デ・パス、エドゥアルド・ソラ、キャスト:ナゴレ・アランブル、ペドロ・カサブランク、ロレト・マウレオン、ミゲル・ベルナルドー、イバン・ペリセル、他) 

  


             (アラウダ・ルイス・デ・アスア監督)

 

     
            

      

作品賞(コメディ)

Celeste6話(製作:ディエゴ・サン・ホセ、フラン・アラウホ、ラウラ・フェルナンデス・エスペソ他、監督エレナ・トラぺ、脚本:ディエゴ・サン・ホセ、ダニエル・カストロ、オリオル・プイグ・プラヤ、キャスト:カルメン・マチ、アンドレア・バヤルド、アントニオ・ドゥラン、クララ・サンス、マノロ・ソロ、他多数)

  

      

  

       

     

 

主演女優賞

ナゴレ・アランブル(「Querer」)

ノミネート:モニカ・ロペス、カルメン・マチ、カンデラ・ペーニャ、イリア・デル・リオ

   

 

    

      

主演男優賞

オリオル・プラ(「Yo, adicto」)

ノミネート:フランセスコ・カリル、ペドロ・カサブランク、トリスタン・ウジョア、

      アルベルト・サン・フアン

 

    

 (受賞者はマドリードでの舞台出演で欠席、共演者ハビエル・ヒネルが代理で受け取った)

   

     

      

   

助演女優賞

ノラ・ナバス(「Yo, adicto」)

ノミネート:タマラ・カセリャス、マリア・レオン、ロレト・マウレオン、クララ。サンス

    

  

     

 

助演男優賞

ポル・ロペス(「Nos vemos en otra vida」)

ノミネート:ミゲル・ベルナルドー、ハビエル・グティエレス、イバン・ペリセル、マノロ・ソロ

    

      

      

脚本賞 DAMA

アラウダ・ルイス・デ・アスアフリア・デ・パスエドゥアルド・ソラQuerer

    

    

     (エドゥアルド・ソラ、アラウダ・ルイス・デ・アスア、フリア・デ・パス) 

 

 

フェロス感動賞(フィクション)

Polvo serán」(監督カルロス・マルケス=マルセ) 

製作国スペイン=スイス=イタリア合作、スペイン語、英語、ミュージカル・ドラマ、106分、ガウディ賞2025作品賞を含む4冠、アンヘラ・モリーナ、アルフレッド・カストロ主演。

 

   

             (カルロス・マルケス=マルセ監督

   

   

 

フェロス感動賞(ノンフィクション)

The Human Hibernation」(監督アンナ・コルヌデリャ・カストロ)

製作国スペイン、英語、SF90分。第74回ベルリン映画祭2024「フォーラム」部門、FIPRESCI賞受賞、マル・デル・プラタFF、トゥールーズ・シネエスパーニャ、他ノミネート多数。スペイン公開2025110

 

   

             (左から2人め、アンナ・コルヌデリャ)

 

      

    

 

フェロス栄誉賞

ハイメ・チャバリ1943年マドリード生れ、監督、脚本家、演出家、また俳優でもあった。プレゼンターは、「Besos para todos」に出演したエンマ・スアレスでした。

 

  

                     (左端がプレゼンターのエンマ・スアレス)

  

          

       

 

キャリア&フィルモグラフィー

★マドリードの公立映画学校で学ぶ。1970年「Ginebra en los infiernos」で長編映画デビューする。1976年、「Los viajes escolares」(仮題「修学旅行」)、個人的な複雑な問題を抱えた家族をテーマにしている。製作者エリアス・ケレヘタとのコラボレーションで注目されるようになる。最高のドキュメンタリーと称される「El desencanto」(76、仮題「失望」)を撮っている。有名な詩人レオポルド・パネロ一家のフランコ独裁時代における家族制度を分析している。シネマ・ライターズ・サークル賞1977作品賞、フォトグラマス・デ・プラタのスペイン映画出演者賞を受賞した。40年間という長きにわたって窒息させられてきたドキュメンタリーというジャンルに生命力を吹き込んでいる。

 

1977年「A un Dios desconocido」(仮題「見知らぬ神に」)でエクトル・アルテリオとハビエル・エロリアガを起用して同性愛をテーマに取り入れている。サンセバスチャン映画祭サンセバスティアン賞(アルテリオ)、スペイン語映画賞などを受賞した。1980年、ケレヘタと脚本を共同執筆した「Dedicatoria」(「献身」)は、カンヌ映画祭コンペティション部門にノミネートされた。

 

80年代には「Bearn o la sala de las munecas」(83,同「ベアルン、または人形の間」)では、フェルナンド・レイ、アンヘラ・モリーナ、アンパロ・ソレル・レアル、イマノル・アリアスなどが共演している。つづく「Las bicicletas son para el verano」(84、『自転車は夏のために』)は、スペイン映画史をひもとけば必ず紹介される秀作、スペイン内戦を背景にした或る家族の感受性豊かな物語が語られ商業的にも成功した作品で、2作とも製作者はアルフレッド・マタス。アンヘラ・モリーナ起用は5作品、その一つが1986年の「El río de oro」、ミュージカル「Las cosas del querer」(89、『歌と踊りと恋のいざこざ』)、その続編(95)などです。

 

2000年、コメディ「Besos para todos」にエンマ・スアレスやピラール・ロペス・デ・アヤラ、エロイ・アソリンを起用して、ゴヤ賞監督賞にノミネートされた他、トゥリア賞を受賞した。2005年「Camarón」は、フラメンコ歌手カマロン・デ・ラ・イスラ1992年没)のビオピック、カマロンを演じたオスカル・ハエナダにゴヤ賞主演男優賞をもたらし、他にも衣装デザイン賞、メイクアップ&ヘアー賞を受賞した。

 

★もう監督は引退したのかと思っていたコロナ禍の2022年、約17年振りにマルタ・ニエト、セルジ・ロペスなどのベテラン演技派、若手アドリアン・ラストラを起用したコメディ「La manzana de oro」を撮った。ほかビッキー・ペーニャ、ロベルト・エンリケス、ガルシア・ミラン、アルバロ・スビエスなど豪華キャストを揃えての群像劇、本人も神父役で出演している。フェルナンド・アランブルの小説の映画化、撮影監督キコ・デ・ラ・リカ(『ブランカニエベス』『ルシアとSEX』)、フィルム編集はアルモドバルの『ペイン・アンド・グローリー』や『パラレル・マザーズ』を手掛けているテレサ・フォントと文句なしの布陣でした。次回作もあるかもしれない。


カルラ・ソフィア・ガスコンとフェルナンダ・トーレス*アカデミー賞20252025年01月28日 17:11

 主演女優賞にカルラ・ソフィア・ガスコンとフェルナンダ・トーレスがノミネート

         

  

 (ゴールデングローブ賞作品賞のトロフィーを手にしたカルラ・ソフィア・ガスコン)  

 

123日、第97回アカデミー賞2025のノミネート発表がありました(授賞式は32日、日本は翌日午前中)。山火事がロス全体に広がったため発表が遅れていましたが、ガラは予定通り開催の予定です。作品賞だけ10作、他のカテゴリーは5作品です。作品賞に当ブログ紹介のジャック・オーディアールの「Emilia Pérez」(フランス、スペイン語、『エミリア・ぺレス』328日公開)と、ウォルター・サレスAinda estou aqui / Aún estoy aquí」(ブラジル、ポルトガル語、『アイム・スティル・ヒア』2025年公開予定)の2作が踏みとどまりました。2作とも国際映画賞部門にもノミネートされています。なかでも前者は12部門(13個)と最多ノミネートになりました。ノミネート数で決まるわけではありませんが1つか2つ取りたいところです。

『エミリア・ぺレス』の作品&キャスト紹介は、コチラ20240604

   

  

      (監督とキャスト陣、ゴールデングローブ賞2025ガラ)

  

★予想では、作品賞はショーン・ベイカーの『アノーラ』が頭一つ抜けでているようですが、本命不在の年だそうです。テレビ視聴率は期待できないかもしれない。『エミリア・ぺレス』は、先だって15日開催されたゴールデングローブ賞の映画部門(コメディ&ミュージカル)で作品賞・非英語作品賞・助演女優賞・歌曲賞を受賞しています。カルラ・ソフィア・ガスコンも主演女優賞にノミネートされていましたが、『サブスタンス』のデミ・ムーアが受賞、カルラと共演したゾーイ・サルダナ助演女優賞を受賞して涙のスピーチをしました。満場一致の高評価で彼女のアカデミー賞受賞は期待できそうです。

   

       

   (オスカー像も夢ではないゾーイ・サルダナ、ゴールデングローブ賞2025ガラ)

  

★主演女優賞は、『アノーラ』のマイキー・マディソンが有力で、カルラも『アイム・スティル・ヒア』のフェルナンダ・トーレスも涙を飲む確立が高そうです。仮にカルラが受賞すると、スペイン人ではウディ・アレンの『それでも恋するバルセロナ』(08)で受賞したペネロペ・クルス以来となります。1972年マドリード生れ、国籍はスペインですが2009年メキシコに転居、2018年に女性への性別転換手術を受けたトランスジェンダー、仏教徒の由、ゴールデングローブ賞にも黄色の袈裟風のドレスで登壇しました。『エミリア・ぺレス』は、国際映画賞助演女優賞歌曲賞(「エル・マル」歌手ゾーイ・サルダナ、カルラ・ソフィア・ガスコン、「ミ・カミーノ」歌手セレナ・ゴメス)などが有力視されています。異色ミュージカルとして話題になっていますが、評価は賛否両論、舞台となったメキシコでは麻薬マフィアやトランスジェンダーの描き方にブーイングと評判は良くない。しかし投票権があるのはアカデミー会員(現在9905人、うち20%以上が海外の有権者)でメキシコの視聴者ではないから分かりません。

 

             

       二人のフェルナンダ、母モンテネグロ、娘トーレス

   

        

★ウォルター・サレスの1970年代の軍事独裁政権時代を舞台にした政治ドラマ『アイム・スティル・ヒア』は、作品賞国際映画賞主演女優賞3カテゴリーにノミネートされています。カルラ・ソフィア・ガスコンと同じく受賞は厳しいと思います。フェルナンダ・トーレス(リオデジャネイロ1965)は、ゴールデングローブ賞の映画部門(ドラマ)で主演女優賞を受賞しました。ニコール・キッドマン、アンジェリーナ・ジョリー、ティルダ・スウィントンなどをおさえての受賞でした。ゴールデングローブ賞受賞が火付け役になってノミネートされたようですが、今後のプロモーション次第で混戦模様になりそうです。ジーナ・ローランズ級の演技力と絶賛されています。

『アイム・スティル・ヒア』の紹介記事は、コチラ20240906

   

     

 (トロフィーを手にしたフェルナンダ・トーレス、ゴールデングローブ賞2025ガラ)

 

★受賞スピーチで「このトロフィーを母に捧げたいと思います。皆さまご存じないでしょうが、私の母は25年前、この同じ場所にいたのです」と。母親とはフェルナンダ・モンテネグロのこと、本作でも二人は共演しています。1999年、ウォルター・サレスの『セントラル・ステーション』98)でブラジル人初の主演女優賞ノミネートでした。アカデミー賞にもノミネートされたほか、ベルリン映画祭、バフタ賞、ハバナ映画祭など国内外の国際映画祭での受賞歴多数。サレス監督にとっても国際舞台へ躍りでるきっかけになった映画でした。

   

100年近いアカデミー賞の歴史でも、母娘揃って主演女優賞にノミネートされたのは2組だけ、ジュディ・ガーランド(『スタア誕生』)とライザ・ミネリ(『キャバレー』受賞)親子、2組めがこの「二人のフェルナンダ」です。母娘揃ってガラに姿を現すでしょうか。モンテネグロは1929年生れだから95歳になる。

   

     

  (二人のフェルナンダ、モンテネグロが女優賞を受賞したベルリン1998ガラ)


アランチャ・エチェバリア監督紹介*ゴヤ賞2025 ⑧2025年01月25日 15:43

     La infiltrada」で初の監督賞ノミネート――アランチャ・エチェバリア

   

        

             (アランチャ・エチェバリア監督)

 

アランチャ・エチェバリア(ビルバオ1968)、監督、脚本家、製作者。マドリードのコンプルテンセ大学で映像科学を専攻、同大学のCMAでオーディオビジュアル制作を学んだ。その後オーストラリアのシドニー・コミュニティ・カレッジで映画製作を学んでいる。1991年、映画と広告宣伝を両立させ、オーディオビジュアル業界でのキャリアを築いてきた。2010年、アマチュアだけを起用して撮った「Panchito」でテレマドリード賞を受賞、つづく「Cuestión de pelotas」は、スポーツの才能がありながら清掃員として雇用される女子サッカー選手に関するドキュメンタリー、これにより王立サッカー連盟は女性たちの雇用の正規化を余儀なくされた。

      

    

            (主演の二人、『カルメン&ロラ』から)

 

2013年、サイコスリラー「De noche y de pronto」(20分、主演ハビエル・ゴディノ)が翌年のゴヤ賞短編映画部門にノミネート、モリンズ映画祭審査員賞、ロスのイーテリア・フィルム・ナイト・フェスティバルで短編賞を受賞した。コメディ「Yo, presidenta」には、プロの俳優(チュス・ランプレアベ、ビト・サンス、サブリナ・プラガ、タバタ・セレソなど)を起用した。「El último bus」では、タバタ・セレソやハビエル・ゴディノを再び起用したホラーを撮った。エチェバリアの短編作家としてのキャリアは長く、専門家の評価は高い。そして2018年、カンヌ映画祭併催の「監督週間」に正式出品された『カルメン&ロラ』50歳にしてゴヤ賞2019新人監督賞を受賞した。その他、例年3月に開催される「メディナ・デル・カンポ映画週間」は21世紀の監督Roelを授与、グアダラハラFF、トゥールーズFF、パームスプリングスFF、バジャドリードFFで授与式がある女性監督に贈られるドゥニア・アヤソ賞など受賞歴多数。

『カルメン&ロラ』の作品紹介は、コチラ20180513

   

      

      (ゴヤ胸像を手にしたアランチャ・エチェバリア、ゴヤ賞2019ガラ)

   

     

 (21世紀の監督Roel賞のトロフィーを手に、メディア・デル・カンポ映画週間2019ガラ)

 

★長編2作目「La familia perfecta」(脚本オラッツ・アロヨ)は、裕福な家族(ベレン・ルエダとゴンサロ・デ・カストロ夫婦)と労働者階級(ホセ・コロナドとペパ・アニオルテの夫婦)の子供たちが結婚したことで衝突するコメディ。カロリナ・ジュステがコロナドの娘役で出演している。階級格差の設定がいささかステレオタイプ的、不要と思われる登場人物の多さが損をしている。コメディの110分は長すぎて疲れます。Netflixで配信されていますが日本語字幕はなく、西語、英語、独語他で鑑賞できます。コロナド・ファンならお奨めかもしれない。

 

    

 

3作目「Chinas」は、マドリードの中国人コミュニティのウセラ地区が舞台、中国の他ラテンアメリカやアジア、アフリカからの移民が多いバリオである。今回監督は脚本も手掛けている。ここで二つの家族、一つは中国移民の4人家族、9歳のルシアとティーンエージャーのクラウディアと両親、もう一つがレオノール・ワトリングとパブロ・モリネロの夫婦が養女にした中国生れの9歳のシャンの家族。9歳の二人の少女が学校で出合うことでドラマが始まる。監督は中国出身の3人の少女のアイデンティティを探求している。ゴヤ賞2024、新人男優賞(フリオ・フー・チェンJulio Hu Chen)、新人女優賞(Xinyi YeYeju Ji)、オリジナル歌曲賞(マリナ・エルロップ)がノミネートされた。俳優賞ノミネートの3人は、スペイン俳優組合賞をそれぞれ受賞している。その他ディアス・デ・シネ賞の観客賞受賞作品。

 

  

 

4作目「Polítecamente incorrectos」は、再びオラッツ・アロヨの脚本による政治風刺コメディ、次の総選挙で左派と保守派の2大政党が対決する。出演者アドリアナ・トレベハノは左派政党を応援、フアンル・ゴンサレスは保守派を応援している。二人は政治信条は異なるが惹かれあっているという設定。エレナ・イルレタ、ゴンサロ・デ・カストロが脇を固めて概ね演技は評価されたものの全体としては評価は低かった。それぞれ政治家にはモデルがいるようです。

    

  

 

★長編5作目La infiltrada」でゴヤ賞2025の作品賞、監督賞、脚本賞を含む13カテゴリーにノミネートされた。『カルメン&ロラ』で新人監督賞を受賞しているが、監督賞ノミネートは初めてです。体重オーバーで健康が心配ですが、ダイエットは難しそうです。以下に主なフィルモグラフィーをアップしておきます。

La infiltrada」の作品紹介は、コチラ20250115

 

主なフィルモグラフィー(アンソロジー、TVシリーズは除く)

2010Panchito」短編、テレマドリード賞受賞

2010Cuestión de pelotas」ドキュメンタリー

2012Don Enrique de Guzmán」短編

2013De noche y de pronto」短編、ゴヤ賞2014短編映画賞ノミネート

2015Yo, presidenta」短編(19分)、メディナ・デル・カンポ映画週間でプロジェクト賞受賞

2015El solista se la orquesta」短編ドキュメンタリー

2016El último bus」短編(17分)短編ホラー

20177 from Etheria」(女性監督7人のアンソロジー)

2018#SHE

2018Carmen y Lola」『カルメン&ロラ』長編デビュー、ゴヤ賞2019新人監督賞受賞

2021La familia perfecta」『The Perfect Family』コメディ、長編2作目、

   Netflix(日本語字幕なし)

2023Chinas」長編3作目

2024Polítecamente incorrectos」長編4作目

2024La infiltrada」長編5作目