フアン・アントニオ・バヨナの『雪山の絆』*キャスト紹介2023年11月14日 15:20

      死者にも声をあたえた La sociedad de la nieve がバヨナを動かした

    

   

(ウルグアイ空軍機571便フェアチャイルドFH-227D、『生きてこそ』で使用された)

 

★『雪山の絆』は、ベネチア映画祭2023のクロージングでワールドプレミアされ、その後サンセバスチャン映画祭にやってきた。ベネチアにはJ. A. バヨナ監督やプロデューサー、出演者の他、遭難事故の生存者16名のうち、愛称カルリートスのカルロス・パエス・ロドリゲス、愛称ナンドのフェルナンド・パラッド、19歳だった医学生ロベルト・カネッサなど大勢で参加した。サンセバスチャン映画祭の上映はオープニングの922日、現地入りした数は減ったが、エンツォ・ヴォグリンチッチ(マヌ・トゥルカッティ役)、シモン・ヘンぺ(ホセ・ルイス〈コチェ〉・インシアルテ役)、エステバン・ビリャルディ(ハビエル・メトル役)、生存者のグスタボ・セルビノ、製作者ベレン・アティエンサ、サンドラ・エルミダなどが参加した。以下に製作スタッフとキャストのトレビアをアップしておきます。

    

   

 (サンセバスチャン映画祭の参加者、ビクトリア・エウヘニア劇場、922日)

   

   

          (エンツォ・ヴォグリンチッチと監督、同上)

 

   

『雪山の絆』(原題「La sociedad de la nieve / Society of the Snow」)

製作:Misión de Audaces Films / Apaches Entertainment / Benegas Brothers Productions

    / Cimarrón Cine Telecinco / Netflix  

監督:フアン・アントニオ・バヨナ

脚本:ベルナト・ビラプラナ、ハイメ・マルケス、ニコラス・カサリエゴ、J. A. バヨナ

原作:パブロ・ヴィエルチ(原作「La sociedad de la nieve2009年刊

撮影:ペドロ・ルケ

編集:ジャウメ・マルティ

音楽:マイケル・ジアッキーノ

録音:オリオル・タラゴ

キャスティング:マリア・ラウラ・ベルチ、イアイル・サイド、ハビエル・ブライアー

セット・デコレーション:アンヘラ・ナウム

製作者:ベレン・アティエンサ、サンドラ・エルミダ、J. A. バヨナ、(エグゼクティブ)サンティアゴ・ロペス・ロドリゲス、ハスミナ・トルバティ(Netflix)、他

 

データ:製作国スペイン=ウルグアイ=チリ=米国、2023年、スペイン語、ドラマ(実話)、144分、撮影地はスペインのシエラネバダ山脈、ウルグアイのモンテビデオ市、実際の墜落現場を含むアンデス山脈のアルゼンチンとチリ、撮影日数は138日間、製作費は6500万ユーロ以上。 配給Netflix(スペイン、米国)、Pimienta Films(メキシコ)、公開20231215日、Netflix 配信202414

 

映画祭・受賞歴:ベネチア映画祭2023アウト・オブ・コンペティション閉幕作品、サンセバスチャン映画祭(ペルラス部門)観客賞受賞、ミルバレー映画祭観客賞受賞、ミドルバーグ映画祭観客賞受賞、Camerimage カメリマージュ映画祭(ポーランドのトルン)監督賞・撮影賞(ペドロ・ルケ)ノミネート、ハリウッド・ミュージック・イン・メディア賞2023オリジナル・スコア(マイケル・ジアッキーノ)、ホセ・マリア・フォルケ賞2023ノミネート、他

 

   

★主なキャスト紹介(順不同、ゴチック体は生存者、年齢は遭難時):

エンツォ・ヴォグリンチッチ(ヌマ・トゥルカッティ、法学部24歳、1211日没)

アグスティン・パルデッラフェルナンド〈ナンド〉・パラッド、機械工学部学生23歳)

マティアス・レカルトロベルト・カネッサ、医学部学生19歳)

トマス・ウルフ(グスタボ・セルビノ、医学部学生19歳)

ディエゴ・ベゲッツィ(マルセロ・ペレス・デル・カスティリョ、ラグビーチーム主将、

    25歳、10月29日雪崩で没)

エステバン・ククリチカ(アドルフォ〈フィト〉・ストラウチ、農業技術者24歳)

フランシスコ・ロメロ(ダニエル・フェルナンデス・ストラウチ、農業技師26歳)

ラファエル・フェダーマンエドゥアルド・ストラウチ、農業技術者23歳)

フェリペ・ゴンサレス・オターニョカルロス〈カルリートス〉・パエス

    畜産技術学部学生18歳)

アグスティン・デッラ・コルテアントニオ〈ティンティン〉・ビシンティン

    法学部19歳)

バレンティノ・アロンソ(アルフレッド・パンチョ・デルガド、法学部卒業生25歳)

シモン・ヘンペホセ・ルイス〈コチェ〉・インシアルテ、農業技術学部学生24歳)

フェルナンド・コンティジャーニ・ガルシア(アルトゥロ・ノゲイラ、経済学部学生

    25歳、1115日没)

ベンハミン・セグラ(ラファエル・エチャバレン、畜産学部学生26歳、1118日没)

ルチアノ・チャットン(ホセ・ペドロ・アルゴルタ、経済学部21歳)

アグスティン・ベルティ(ボビー・フランソワ、農業技術学部学生20歳)

フアン・カルーソアルバロ・マンジノ、畜産技術学部学生19歳)

ロッコ・ポスカ(モンチョ・サベリャ、農業技術学部学生21歳)

アンディ・プルスロイ・ハーレイ、工学部学生20歳)

エステバン・ビリャルディハビエル・メトル、事業者37歳)

パウラ・バルディニ(リリアナ・メトル、ハビエル・メトルの妻34歳、1029日雪崩で没)

サンティアゴ・バカ・ナルバハ(ダニエル・マスポンス、20歳、1029日雪崩で没)

アルフォンシナ・カロシオ(スサナ・パラッド、ナンドの妹20歳、1021日没)

イアイル・サイド(フリオ・セサル・フェラダス大佐、機長39歳、1013日没)

マキシミリアノ・デ・ラ・クルス

カルロス〈カルリートス〉・パエス(カルリートスの父親カルロス・パエス・ビラロ)

 

★原作と映画は同じ必要はないが、本作はエンツォ・ヴォグリンチッチ扮するヌマ・トゥルカッティが重要な役を担っている。ベネチアでもサンセバスチャンでも脚光を浴びていた。彼は遭難後60日目に足の怪我が原因で敗血症により生還できなかった人物で最後の死者になった。カニバリズムの嫌悪感から体力が急激に衰え、体重も25キロに落ちていた。トゥルカッティのように証言が叶わなかった犠牲者を軸にしていることが『生きてこそ』との大きな違いかもしれない。彼の死去は、ただ救助を待つのではなく危険を冒してでもアクションを起こすべきという結論を導き出す切っ掛けになった。


ヴォグリンチッチは1993年ウルグアイのモンテビデオ生れ、ヴォグリンチッチはイタリアの隣国スロベニアに多い苗字。当ブログ紹介のウルグアイ大統領ホセ・ムヒカのビオピック『12年の長い夜』(18)の警官役で映画デビュー、代表作は名プロサッカー選手の孤独を描いた「9」でグラマド映画祭2022とバリ映画祭で主演男優賞を受賞している。TVシリーズにも出演して目下売り出し中。

   

        

             (ヌマ・トゥルカッティを演じたエンツォ・ヴォグリンチッチ)

  

アグスティン・パルデッラは、フェルナンド〈ナンド〉・パラッドに扮した。1994年アルゼンチン生れ、Pinamar」でグラマド映画祭2017男優賞受賞、アルゼンチン映画批評家協会賞にノミネートされた。ホラー『ブラッド・インフェルノ』(17、「Los olvidados」)が公開されている。遭難後61日目にロベルト・カネッサとティンティンと共に救援隊を組織してチリに向かった立役者の一人、『生きてこそ』ではイーサン・ホークが扮した。遭難時に22歳だったナンド・パラッドはプロデューサー、テレビ司会者、作家と活躍しており、ベネチア映画祭にも出席している。

 

マティアス・レカルト(医学生ロベルト・カネッサ役)は、アルゼンチンの俳優、2019TVシリーズ「Apache: La vida de Carios Tevez」(8話)でデビュー、「Ciegos」(19)が長編デビュー作、本作が2作目。人肉を食しても生きるべきと説得したロベルト・カネッサは、「命を救うのが私の使命だったし、遭難で得た教訓が医者になるというモチベーションを高めた」と語っている。現在ウルグアイの小児心臓外科医で、ナンドとともにベネチアFFに姿を見せている。

 

★アルゼンチンのラファエル・フェダーマン(エドゥアルド・ストラウチ役)は俳優のほか、短編「Luis」(1618分)をパウラ・ブニと共同で監督している。2014年「Dos disparos」でデビュー、アルゼンチン映画批評家協会賞2015シルバーコンドル新人賞にノミネート、2016年フランシスコ・マルケス&アンドレア・テスタのデビュー作「La larga noche de Francisco Sanctis」に出演、本作はカンヌ映画祭「ある視点」に正式出品され、SSIFF オリソンテス・ラティノス部門にもノミネートされた。軍事独裁政権時代をバックにしたスリラー、「Los sonámbulos」でアルゼンチン映画アカデミー賞2019新人俳優賞にノミネート、本作はパウラ・エルナンデス監督の4作目、各国の映画祭で受賞歴を重ねた映画で、こちらもSSIFFにノミネートされた。話題作の出演本数は多いがフェダーマン(フェデルマンで紹介)は賞に恵まれていない。

La larga noche de Francisco Sanctis」の作品紹介は、コチラ20160511

    

       

               (Dos disparosから)

 

シモン・ヘンぺホセ・ルイス〈コチェ〉・インシアルテ)は、1998年ブエノスアイレス生れ、TVシリーズ「Go! Vive a Tu Manera」(1930話)でスタート、『2人のローマ教皇』(19)にドラッグ・ディーラー役で長編デビュー、本作が2作目。〈コチェ〉インシアルテは完成前に鬼籍入りしてしまい、生前に「最初のバージョンを見せた」とバヨナ監督。シモン・ヘンぺはSSIFF に参加している。

     

         

       (左から、エンツォ・ヴォグリンチッチ、グスタボ・セルビノ、

  エステバン・ビリャルディ、シモン・ヘンぺ、SSIFF 2023922日フォトコール)

 

フェルナンド・コンティジャーニ・ガルシアアルトゥロ・ノゲイラ役)は、ラファエル・フェダーマンと同じ「Dos disparos」で長編デビューしている。サンティアゴ・ミトレの『アルゼンチン1985~歴史を変えた裁判』22)で証言者パブロ・ディアスを演じた他、『サミット』17)にも出演、他に実話を映画化したルイス・オルテガの『永遠に僕のもの』18)にも出演している。アルトゥロ・ノゲイラは34日目の1115日、足の怪我の炎症が原因で壊疽になり生還できなかった。当ブログではミトレやオルテガの作品紹介をしているが、彼については触れていない。         

『アルゼンチン1985』の主な作品紹介は、コチラ20221123

    

  

           (『アルゼンチン1985』から)

    

アンディ・プルスロイ・ハーレイ役)は、イネス・マリア・バリオヌエボの「Camila saldra esta noche」(21)の小さな役でデビュー、2023マリア・サネッティの長編デビュー作「Alemania」に出演、両作ともSSIFFオリソンテス・ラティノス部門にノミネートされた折、作品紹介をしているが、プルスについては触れていない。今後が期待される新人の一人。

  

エステバン・ビリャルディハビエル・メトル役)は、1973年ブエノスアイレス生れ、ベテラン俳優、ロドリゴ・モレノの「Un mundo misterioso」(11)に主演、「Reimon」(14)、最近では『犯罪者たち』23)のロマン役で東京国際映画祭2023ワールド・フォーカス部門に登場した。モレノ監督のお気に入りです。他にサンティアゴ・ミトレの『エストゥディアンテ』(11)、リサンドロ・アロンソの『約束の地』(14)などに出演しているベテラン。SSIFF にも現地入りしている。

『犯罪者たち』の作品紹介は、コチラ20230511

      

   

           (『犯罪者たち』でロマン役に扮した)

 

アルフォンシナ・カロシオスサナ・パラッド役)は、ウルグアイの監督ギジェルモ・カサノバの「Otra historia del mundo」(17)でデビュー、ホラー・スリラー『ヴァーダラック呪われた血族』(20)、メルセデス・コスコの監督第1作「Nina & Emma」(23)で主演するなど作品に恵まれている。本作では20歳で亡くなったナンド・パラッドの妹スサナ・パラッドを演じている。兄妹の母親も乗っていたが墜落時に即死している。

 

パウラ・バルディニリリアナ・メトル役)は、ディエゴ・カプランのロマンス・コメディ「22」(12)、『愛と情事のあいだ』としてDVDで発売された。TVシリーズ出演が多いが、セバスティアン・デ・カロのコメディ「Claudia」(19)でドロレス・フォンシと共演している。リリアナ・メトルは、夫ハビエルとは異なって人肉を拒否していたが、1029日の雪崩で死去している。

 

イアイル・サイドフリオ・セサル・フェラダス大佐役)は、アルゼンチンの俳優、キャスティング・ディレクター。本作では機長役とキャスティングも手掛けている。『犯罪者たち』やアリエル・ウィノグラードの「Sin hijos」(15)に出演、「Dos disparos」のキャスティングを担当している。フェラダス機長はアンデス越え29回のベテランだったが、悪天候にもかかわらず副操縦士の操縦訓練をしていたことも事故の原因のひとつだった。

 

アグスティン・デッラ・コルテアントニオ〈ティンティン〉・ビシンティン役)は本作がデビュー作、ティンティンは、救援隊の一人としてナンドとカネッサとチリに向かうが、足りなくなりそうな食料を二人に託して途中で引き返している。

 

カルロス〈カルリートス〉・パエス(カルリートスの父親カルロス・パエス・ビラロ役)は、生存者の中で唯一人、息子の生還を待ちわびる父親役でほんの少しだけ出演している。1953年生れのカルリートスは遭難時には18歳だったが山中で誕生日を迎えている。現在ライターの仕事をしている。カルリートス役はフェリペ・ゴンサレス・オターニョが演じている。2020年に映画デビュー、TVシリーズに出演している。

 

★リストではっきりするのは生存者が一人を除いて体力のある若いラグビー選手たちだったことが分かる。ラグビーのクラブチームの仲間同士で絆はすでに固く結ばれていた。同じ言語を話し、少年時代からの友達だった。二人の医学生(カネッサとSSIFF に現地入りしたグスタボ・セルビノ)が治療に当たったことやカニバリズムが関係していたのは事実ですが、それだけでは生き残れなかったことは想像に難くありません。「私が死んだら、生きのびるために私の体を使ってかまわない」ということが関係していると思います。

            

       

    (医学生だったグスタボ・セルビノ、SSIFF 2023922日フォトコール)

 

★バヨナ監督は「人生を肯定する映画」と、サンセバスチャン映画祭で語っています。またパブロ・ヴィエルチの原作 La sociedad de la nieve は、辛くて一気に読み通せなかったが、「とても内省的な作品」と評している。原作と映画の大きな違いは、原作では救出後モンテビデオに戻った生存者の苦しみも書かれているが、映画は救出されたところで終わっている。 

   

トレビア:撮影ユニットは3チーム、メインはバヨナが率いるスペインのシエラネバダ山脈(2022110日から429日まで)、第2ユニットはアルゼンチンの監督アレハンドロ・ファデルが率いてチリの風景を撮影した(20218月)。第3ユニットが最も危険な山岳地帯のシーンを任された。胴体の残骸のレプリカは3個作製され、1個は駐車場に建てられた格納庫に置かれ、2個目は人工雪に埋もれた胴体を移動できるようクレーンに支えられていた。もう一つは激突したとき氷河に滑落した機体の片割れのレプリカが、海抜約3000mのタルン(tarn氷河によって作られた山中の小さな湖)の上に置かれた。3チームのスタッフは300人に及んだということですから半端なお金ではありません。果たして資金が回収できるでしょうか。来年14日に配信後、観賞記を予定しています。

  

オリソンテス・ラティノス部門③*サンセバスチャン映画祭2023 ⑪2023年08月31日 11:11

       ルシア・プエンソの新作「Los impactados」がノミネート

 

★オリソンテス・ラティノス部門の最終グループで、SSIFF がプレミアというのはアルゼンチンのルシア・プエンソの5作目「Los impactados」のみ、他はベルリンとかカンヌでプレミアされている。本祭は三大映画祭と言われるカンヌ、ベネチア、ベルリンのほか、トロントの後ということもあって、どうしても新鮮味に欠けます。ルシア・プエンソは4作目「La caída」(22)がプライムビデオで『ダイブ』という邦題で目下配信中です。2007年に『XXY』で鮮烈デビューを果たして以来、問題作を撮り続けている監督の成長ぶりが見られる力作です。新作は本祭がプレミアということもあり賞に絡むのではないかと予想しています。他にリラ・アビレスの「Tótem / Totem」は、世界の映画祭巡りで受賞歴多数です。

 

 

          オリソンテス・ラティノス部門

 

9)Heroico / Heroic」メキシコ

監督ダビ・ソナナ(メキシコ・シティ1989)は、2019年デビュー作「Mano de obra / Workforce」がセクション・オフィシアルにノミネートされている。今回2作目「Heroico / Heroic」がオリソンテス・ラティノス部門にノミネートされた。サンダンス映画祭でプレミア、ベルリン映画祭パノラマ部門正式出品のあとSSIFFにやってきました。より良い未来を求めて軍人学校に入学した反戦主義者の青年を軸にドラマは展開します。現代メキシコに蔓延する体系的な暴力が語られる。

     

       

     

 (ダビ・ソナナ監督、サンセバスチャン映画祭2019にて)

  

データ:製作国メキシコ、2023年、スペイン語・ナワトル語、ミステリードラマ、88

キャスト:サンティアゴ・サンドバル・カルバハル(ルイス)、フェルナンド・クアウトル、モニカ・デル・カルメン、エステバン・カイセド、カルロス・ヘラルド・ガルシア、イサベル・ユディセ

 

ストーリー:アメリカ先住民のルーツをもつルイス・ヌメズは18歳、よりよい未来を確実にするため軍人学校への入学を申し込む。彼と同じような新入生は、やがて完璧な兵士に変身させようと設計された、暴力が日常的である残酷なヒエラルキー・システムに自分たちが放り込まれたことを理解するだろう。

    

  

 

10)「Los colonos / The Settlers」チリ=アルゼンチン=オランダ=フランス=イギリス=デンマーク=台湾=スウェーデン、8ヵ国合作映画

監督フェリペ・ガルベス(サンティアゴ1983)のデビュー作。1901年から1908年のパタゴニアを舞台にしたティエラ・デル・フエゴ島の先住民セルクナム虐殺が物語られる。

★本作はカンヌ映画祭2023「ある視点」でプレミアされたおり、作品&監督紹介を既にアップ済みです。オスカー賞2024のチリ代表作品。

作品&監督紹介記事は、コチラ20230515

   

      

      

     (フェリペ・ガルベス監督)

   

 

11)Los impactados」アルゼンチン

監督ルシア・プエンソ(ブエノスアイレス1976)は、監督、脚本家、作家、製作者。父ルイス・プエンソは、『オフィシャル・ストーリー』(85)でアルゼンチンに初めてオスカーをもたらした監督。ルシアは2001年脚本家としてキャリアをスタートさせる。2013年のオリソンテス・ラティノス部門に長編3作目「El médico alemán  Wakolda」(邦題『ワコルダ』)がノミネートされている。第2次世界大戦中、多くのユダヤ人をアウシュビッツで人体実験を繰り返して「死の天使」と恐れられていたナチスの将校ヨーゼフ・メンゲレ医師の実話を映画化した作品。久しくTVシリーズに専念していて、4作目が待たれていたのが上述の『ダイブ』でした。メキシコで起きた実話に着想を得て製作された。製作にも参画している主役のカルラ・ソウサの魅力もさることながら、性加害者のコーチにエルナン・メンドサを迎えるなどかなり見ごたえがあります。勝利が究極の夢である高飛込競技の少女がコーチから性被害を受けていた実話をもとに、ヒロインの栄光と挫折、最後に勝ち取る解放が語られる。

 

★今回の5作目「Los impactados」は、嵐で雷に打たれことで心身に変化をきたした少女の物語という定義は表層的で、かなり政治的なメッセージが込められているサイコスリラーです。プエンソに影響を与えた監督は、デイヴィッド・リンチを筆頭に、フランソワ・オゾン、オリヴィエ・アサイヤス、ミヒャエル・ハネケ、クレール・ドニなどの作品ということです。主役アダのキャラクターは複雑で、超自然的な要素が設定されており、彼女を苦しめる幻覚や爆発が心的外傷後に起きるストレスなのかどうかは明らかにされない。プエンソの当ブログ登場は、以下にアップしています。

監督キャリア&『ワコルダ』(ラテンビート2013)紹介は、コチラ20131023

『フィッシュチャイルド』(ラテンビート2009)紹介は、コチラ20131011

   

 

        

                        (ルシア・プエンソ監督)

 

データ:製作国アルゼンチン、2023年、スペイン語、サイコスリラー、90

キャスト:マリアナ・ディ・ジロラモ(アダ)、ヘルマン・パラシオス(フアン)、ギジェルモ・プフェニング(ジャノ)、オスマル・ヌニェス(コーエン)、マリアナ・モロ・アンギレリ(オフェリア)

 

ストーリー:アダが野原で雷に打たれた5週間後に昏睡から目覚めると、彼女はすっかり変わってしまっていた。身体的にも精神的にもバランスを崩して苦しんでいます。さらに目に見える明らかな後遺症があり、制御できない一連の奇妙な症状、例えば視覚や聴覚を通しての幻覚、時間の混乱は、彼女を以前の生活から遠ざけ、彼女が愛する人々からの孤立へと駆り立てます。落雷の衝撃を受けた人たちのグループの支援、落雷によって引き起こされる身体的精神的な影響を理解することに専念する医師との信頼を通して、アダはリターンできない旅に誘い出されることになるだろう。

 

 

      

  (アダ役で飛躍的な成長を遂げたと高評価のマリアナ・ディ・ジロラモ)

 

 

4)Tótem / Totem 」メキシコ

監督リラ・アビレス(メキシコ・シティ1982)は、監督、脚本家、製作者。2018年ニューディレクターズ部門に「La camarista / The Chambermaid」が選ばれている。2020年オリソンテス賞の審査員として現地入りしている。脚本リラ・アビレス、音楽トマス・ベッカ、撮影ディエゴ・テノリオ、編集オマール・グスマン。ドイツを皮切りに、米国、アジア、アフリカ諸国の映画祭巡りをしている。

*受賞歴:ベルリン映画祭2023コンペティション部門、エキュメニカル審査員賞受賞、香港映画祭ヤングシネマ部門金の火の鳥賞、北京映画祭監督賞・音楽賞、エルサレム映画祭監督賞、リマ映画祭作品賞・撮影賞などの受賞歴多数。

   

   

 (リラ・アビレス監督と主役のナイマ・センティエス、ベルリン映画祭2023

    

 

 

データ:製作国メキシコ=デンマーク=フランス、2023年、スペイン語、ドラマ、95分、撮影地メキシコシティ

キャスト:ナイマ・センティエス(ソル)、モンセラト・マラニョン(叔母ヌリア)、マリソル・ガセ(叔母アレハンドラ)、サオリ・グルサ(エステル)、マテオ・ガルシア(父トナティウ)、テレサ・サンチェス(クルス)、イアスア・ラリオス(ルチア)、アルベルト・アマドル(ロベルト)、フアン・フランシスコ・マルドナド(ナポ)、他多数

 

ストーリー7歳になるソルは、父親を驚かすびっくりパーティーの準備を手伝うため、祖父の家に来ています。日が経つにつれ、状況はゆっくりと不思議なカオスの大混乱の雰囲気に包まれ、家族の絆をたもつ土台が砕かれていく。ソルは彼女の世界が劇的な変化を遂げるところにちょうどさしかかっていることをやがて理解するでしょう。人生を祝うことで神秘的な道が開かれていく。7歳の少女の視点で生と死、時間が語られる。

 

       

      

        (ソルを演じたナイマ・センティエス、フレームから)

 

 

     

 (左から、ダビ・ソナナ、フェリペ・ガルベス、ルシア・プエンソ、リラ・アビレス)


オリソンテス・ラティノス部門 ②*サンセバスチャン映画祭2023 ⑩2023年08月23日 14:51

         タティアナ・ウエソが2作目「El eco / The Echo」で戻ってきた!

 

★サンセバスチャン映画祭 SSIFF も開幕1ヵ月をきり、連日のごとくニュースが配信されています。例えばセクション・オフィシアルのオープニング作品は宮崎駿の『君たちはどう生きるか』、クロージング作品はイギリスの監督ジェームズ・マーシュの「Dance First」、マーシュ監督は英国史上、最高額、最高齢の金庫破りだったオールドボーイ窃盗団の実話に基づいて描いた『キング・オブ・シーヴズ』(18)が2021年に公開されている。両作ともアウト・オブ・コンペティション部門ノミネート作品であるため金貝賞には絡みません。さらに「ペルラク」部門18作品、「ネスト」部門12作品も相次いで発表されました。更に822日にはドノスティア栄誉賞の二人目の受賞者にビクトル・エリセがアナウンスされるなど急に慌ただしくなってきました。エリセはともかくとして、今年は時間的余裕がなく、アップはスペイン語、ポルトガル語映画に限らざるを得ません。今回はオリソンテス・ラティノ部門の続き、ドラマ2作、ドキュメンタリー2作の合計4作をアップします。

 

          オリソンテス・ラティノス部門

 

5)Clara se pierde en el bosque / Clara Gets Lost in the Woods

  アルゼンチン

監督カミラ・ファブリ(ブエノスアイレス1989)、監督、脚本家、戯曲家、女優として多方面で活躍しているアルゼンチン同世代の期待の星。女優としてミゲル・コーハン、ベロニカ・チェン、フアン・ビジェガスの「Las Vegas」(18)、アレハンドロ・ホビックやルシア・フェレイラの短編に主演している。

 

     

                       

                           

                                            (カミラ・ファブリ監督)

 

データ:脚本はカミラ・ファブリとマルティン・クラウトが共同執筆、2023年、スペイン語、ドラマ、86分、長編デビュー作。

キャスト:カミラ・ペラルタ(クララ)、アグスティン・ガリアルディ(ミゲル)、フリアン・ラルキエル・テラリーニ(イバン)、フロレンシア・ゴメス・ガルシア(エロイサ)、ソフィア・パロミノ(フアナ)、マイティナ・デ・マルコ(パウリナ)、ペドロ・ガルシア・ナルバイツ(フアン)、マルティア・チャモロ(マルティナ)、カミラ・ファブリ(イネス)、フリアン・インファンティノ(マルティン)、ほか

 

ストーリー:クララは都会を離れて郊外に家族と小旅行中に、幼馴染の友人マルティナからの母性のアイディアを前面に押し出したメッセージを受けとった。マルティナとはレプブリカ・クロマニョン・クラブで起きた悲劇の一夜を共にしていた。一連のWhatsApp Messengerのテキスト、ホームビデオ、家族とランチする現在と現実のショット、危機と悲劇によって荒廃した都会での彼女自身や友人たちの思春期がつぶさに語られる。レプブリカ・クロマニョン・クラブの悲劇というのは、20041230日の夜にブエノスアイレスのオンセ地区で開催されていたロック・イベント中に193人の命が奪われた大火災をさす。

          

   

                   (撮影中の監督とクララ役のカミラ・ペラルタ)

 

 

6)El castillo / The Castle」アルゼンチン=フランス=スペイン

  ドキュメンタリー

監督マルティン・ベンチモル(ブエノスアイレス1985)、作品紹介、監督のキャリア&フィルモグラフィーは、以下にアップ済みです。

作品紹介は、コチラ20230721

   

      

   

 

7)「El Eco / The Echo」メキシコ=ドイツ

監督タティアナ・ウエソ(サンサルバドル1972)監督、脚本家。監督のキャリア&フィルモグラフィーは、SSIFF 2021の同部門のオリソンテス賞以下3冠に輝いた「Noche de fuego」にアップしています。新作は、架空の要素が多く含まれているが、メキシコ高地にある村エルエコの子供たちを描いている。監督はメキシコ北部のある村に逗留して、ほぼ1年間掛けて撮影している。監督の子供時代の体験が投影されている。ウエソはエルサルバドル出身だが、4歳のとき両親に連れられてメキシコに移住している。2011年の「El lugar más pequeño」、2016年の「Tempestad」、新作「El Eco」をもって「痛みとトラウマ」三部作を完結したことになる。

Noche de fuego」の紹介記事は、コチラ20210819

     

         

データ:脚本タティアナ・ウエソ、2023年、スペイン語、ドキュメンタリー、102分。本作は既にベルリン映画祭2023でプレミアされ、エンカウンターズ部門の監督賞とドキュメンタリー賞を受賞している他、香港映画祭ドキュメンタリー賞ノミネート、シアトル映画祭ノミネート、カルロヴィ・ヴァリ映画祭、リマ映画祭ドキュメンタリー賞、エルサレム映画祭シャンテル・アケルマン賞を受賞している。

     

    

   (タティアナ・ウエソ、ベルリン映画祭2023ドキュメンタリー作品賞のガラから)

  

キャスト:モンセラ・エルナンデス(モンセ)、マリア・デ・ロス・アンヘレス・パチェコ・タピア(祖母アンヘレス)、ルス・マリア・バスケス・ゴンサレス(ルス)、サライ・ロハス・エルナンデス(サライ)、ウィリアム・アントニオ・バスケス・ゴンサレス(トーニョ)、他多数

 

ストーリー:メキシコ北部の人里離れた村エル・エコは、子沢山の家族が多く、生活は貧しく、子供たちは羊と年長者たちの世話をしています。孫娘は祖母が死ぬまで世話をしなければなりません。霜と旱魃が村を苦しめます。子供たちは両親の話す言葉と沈黙から、死、病気、愛を理解することを学びます。エコは魂のなかにあるもの、周りの人々からうける確実な暖かさ、人生で直面する反逆と眩暈について、成長についての物語です。

   

       

 

8)Estranho caminho / A Strange PathExtraño camino)」ブラジル

  WIP Latam 2022 作品

監督グト・パレンテ(セアラ州都フォルタレザ1983)は、監督、脚本家、撮影監督、俳優。長編10作目になる。WIP Latem 2022の最優秀賞作品賞受賞作。

脚本グト・パレンテ、撮影リンガ・アカシオ、美術タイス・アウグスト、録音ルカス・コエーリョ、編集ビクトル・コスタ・ロペス、ティシアナ・アウグスト・リマ、タイス・アウグスト、グト・パレンテ。トライベッカ映画祭2023では、父親ジェラルド役のカルロス・フランシスコが説得ある演技で主演男優賞を受賞している。

    

     

 

   

 (デビッド役のルカス・リメイラ)

 

データ:製作国ブラジル、2023年、ポルトガル語、ミステリー、85分、トライベッカ映画祭2023で国際コンペティション部門の作品賞、脚本賞、監督賞、カルロス・フランシスコ主演男優賞を受賞するなど4冠を制した。撮影地フォルタレザ。セアラ州文化省からの資金提供を受けている。

   

     

            (父親役のカルロス・フランシスコ)

 

キャスト:ルカス・リメイラ(デビッド)、カルロス・フランシスコ(父ジェラルド)、リタ・カバソ(テレサ)、タルツィア・フィルミノ(ドナ・モサ)、レナン・カピバラ(レナン)、アナ・マルレネ(マリアナ先生)、他多数

 

ストーリー:若い映画背作者デビッドは、映画祭で自作を発表するため生れ故郷のブラジルに向かっています。到着すると新型コロナのパンデミックが急速に全国に広がり始めていた。映画祭は中止され、空港が封鎖されたため帰国便もキャンセルされてしまう。デビッドは滞在先を必要としており、十年以上話していない風変わりな男である父親ジェラルドを訪ねることにする。彼が父親のアパートに到着すると、奇妙なことが起こり始めます。デビッドの軌跡を辿るドラマ。和解の痛み、不条理の喜びの表現などが描かれる。

 

 

    

 (カミラ・ファブリ、マルティン・ベンチモル、タティアナ・ウエソ、グト・パレンテ)


オリソンテス・ラティノス部門12作出揃う*サンセバスチャン映画祭2023 ⑨2023年08月16日 17:49

    オープニングはパウラ・エルナンデス&クロージングはカロリナ・マルコビッチ

   

      

 

★去る83日、第71回サンセバスチャン映画祭オリソンテス・ラティノス部門12作(2022年と同じ)が発表になりました。既にスペインが共同製作国になっている2作、アルゼンチンのドロレス・フォンシマルティン・ベンチモルはご紹介しておりますが、残る10作が発表になり、これですべてが出揃ったことになります。


★オープニング作品は、アルゼンチンのパウラ・エルナンデスの「El viento que arrasa / A Ravaging Wind」(スペイン語)、クロージング作品は、ブラジルのカロリナ・マルコヴィッチの「Pedágio / Toll」(ポルトガル語)と、共に女性監督作品が選ばれました。監督は男性4名、女性8名と、女性シネアストの元気のよさが際立っています。WIP Latam 2作、ヨーロッパ=アメリカ・ラテン共同フォーラム1作が含まれました。作品賞はオリソンテ賞、今回は全作品をご紹介する時間的余裕がなく、管理人が予想する賞に絡みそうな作品をつまみ食いすることになりそうです。一応全12作の作品名、監督、製作国、トレビア情報を列挙しておきます。3回に分けてアップします。

 

          オリソンテス・ラティノス部門

 

1)El viento que arrasa / A Ravaging Wind」アルゼンチン=ウルグアイ

 オープニング作品2023年、スペイン語、ドラマ、94

監督パウラ・エルナンデス(ブエノスアイレス1969)は、アルゼンチンの監督、脚本家、女優。本作はセルバ・アルマダの処女作(2012年刊)である同名小説の映画化。チリのアルフレッド・カストロ、スペインのセルジ・ロペスなど、本邦でも知名度のある演技派がクレジットされている。アルゼンチンのチャコ州が舞台。トロント映画祭2023でワールドプレミアされる。

    

   

             (パウラ・エルナンデス監督)

 

キャスト:アルムデナ・ゴンサレス(レニ)、アルフレッド・カストロ(父親ピアソン神父)、セルジ・ロペス、ホアキン・アセベド

ストーリー:父ピアソン神父の盲目的信仰にとらわれているレニは、父と福音主義の使命を共有しています。或るありふれた自動車事故が彼らをグリンゴの経営する修理工場に導いていきます。神父が整備士の息子タピオカの魂を救うことに取りつかれたとき、レニは自分の運命を受け入れることを理解する。

 

     

     

 

2)「Pedágio / Toll」ブラジル=ポルトガル

  クロージング作品2023年、ポルトガル語、ドラマ、101

監督:カロリナ・マルコヴィッチ(サンパウロ1982)は、監督、脚本家、製作者、フィルム編集者。2007年短編デビュー、短編6編の後、「Carvao / Charcoal / Calvón」)で長編デビューを果たした。これはサンセバスチャン映画祭2022の同セクションに選ばれており、2年連続のノミネートです。監督キャリア&フィルモグラフィーなどは、昨年既に紹介しています。本作も前作に続いて、テーマは宗教、生と死、義務とは何かです。高速道路の料金所で働いている女性がヒロイン、ゲイである息子を救済するため違法な行為に手を染めるようになっていく。製作はデビュー作を手掛けたカレン・カスターニョと再タッグを組み、監督自身も製作に参画、撮影はルイス・アルマンド・アルテアガ。

カロリナ・マルコヴィッチのキャリア紹介は、コチラ20220825

   

          

         

キャスト:メイヴ・ジンキングス(スエレン)、トマス・アキノ(アラウト)、アイザック・グラサ、カウアン・アルバレンガ(ティキーニョ)、カイオ・マセド(リック)、アリネ・マルタ・マイア(テルマ)

ストーリー:高速道路の料金所係員であるスエレンは、ゲイである息子のことで苦しんでいる。著名な外国人司祭が率いる高額なゲイの改宗ワークショップに息子を送るため、車で海岸に行く人々から金品を盗み取るマフィアの片棒を担ぐことにする。ただし、これは息子を入所させるという高貴な目的のためだけに必要な額だけです。LGBTQ+の現大統領派からは「不快な社会ドラマ」と揶揄されている。

   

   

  (カロリナ・マルコヴィッチ監督と主役を演じるメイヴ・ジンキングス)

 

 

3)「Alemania」アルゼンチン=ドイツ

 ヨーロッパ=アメリカ・ラテン共同フォーラム2021、スペイン語、ドラマ、87

監督:マリア・サネッティ(ブエノスアイレス1980)は、監督、脚本家、製作者。2021年、ヨーロッパ=アメリカ・ラテン共同フォーラムの国際アルテキノ賞を受賞、本作が長編デビュー作。2011年、短編「Ping Pong Master」(12分)を監督、脚本、製作している。監督は姉が患っている精神障害に直面している家族を中心軸に、ドラマを展開させている。

     

   

                       (マリア・サネッティ監督)

 

キャスト:マイテ・アギラル(ロラ)、ミランダ・デ・ラ・セルナ、マリア・ウセド、ウォルター・ジャコブ

ストーリー16歳のロラは、ドイツでのセメスターの可能性が出てきたことで、再受験の勉強に取りくむことにした。ロラはドイツに留学したいと思っているが、姉の精神医学的問題に行き詰っている家族は、ロラが断念してくれることを願っている。家族との軋轢に疲労して安定を失っているロラは、自分の考えを推し進めながら、自分自身と彼女を取り巻く状況の両方について、別の視点で見ることができる新しい経験を見つけようとしています。

 

        

   

              (再受験に取り組むロラ)

 

 

4)Blondi」アルゼンチン=スペイン=米国

監督:ドロレス・フォンシ

 作品紹介は、コチラ20230721

     

   



    

 (左から、パウラ・エルナンデス、カロリナ・マルコヴィッチ、マリア・サネッティ、

  ドロレス・フォンシの監督)

  

オリソンテス・ラティノス部門2作発表*サンセバスチャン映画祭2023 ⑤2023年07月21日 15:22

          オリソンテス・ラティノス部門――散発的なノミネート発表

    

       

 

★去る714日、製作国にスペインが参加している映画14作が発表になり、うちオリソンテス・ラティノス部門にはスペインとの合作であるアルゼンチン映画2作が含まれていました。例年ですと8月初めに一挙に全作が発表になるのですが、今年は散発的です。とりあえず発表順にアップしておきます。ホライズンズ・ラティノスを今回からオリソンテス・ラティノスとスペイン語読みに変更します。

 

          オリソンテス・ラティノス部門

 

1)Blondi(アルゼンチン=スペイン=米国)2023年、スペイン語、88

 20234月、BAFICI(ブエノスアイレス国際インディペンデント映画祭)でプレミアされ、アルゼンチンでは61日に公開されています。

監督ドロレス・フォンシ(ブエノスアイレス1978)は、女優としてたびたびサンセバスチャン映画祭に参加していますが、今回はデビュー作「Blondi」の監督として訪れることになります。監督だけでなく脚本、製作、出演とエネルギーを爆発させています。フォンシの監督デビューには誰も驚かないはずです。10代で母親になった女性とその息子の特殊な関係が描かれ、母親ブロンディをフォンシ自身が演じます。夫君サンティアゴ・ミトレ監督がプロデューサーの一人として参加しています。リタ・コルテセやレオナルド・スバラリアなど、アルゼンチン映画ではお馴染みさんが共演しています。

    

       

★本祭との関りは、セクション・オフィシアルにファビアン・ヒエリンスキーの「El aura」(05)、セスク・ゲイの『しあわせな人生の選択』(15)、クラウディア・リョサのサイコスリラー「Distansia de rescate」(21『悪夢は苛む』Netflix)、オリソンテス・ラティノス部門にはサンティアゴ・ミトレの『パウリーナ』(15)と『サミット』(17)などに出演しています。当ブログでは以下にキャリア&フィルモグラフィをアップしています。

『パウリーナ』の紹介記事は、コチラ20150521

『サミット』の紹介記事は、コチラ20171025同年0518

『しあわせな人生の選択』の紹介記事は、2016年01月09日コチラ20170804

『悪夢は苛む』の紹介記事は、コチラ20210728同年1103

 

キャスト:ドロレス・フォンシ(ブロンディ)、カルラ・ペターソン(マルティナ)、リタ・コルテセ(ぺパ)、トト・ロビト(ミルコ)、レオナルド・スバラリア(エドゥアルド)、他多数

ストーリー:ブロンディとミルコは親友同士である。彼らは一緒にいるのが楽しい、同じ音楽を聴き、同じ映画を観て、二人ともマリファナが好きで、リサイタルも一緒に行き、互いの友人も同じ、すべてがパーフェクトである。ただほとんど同年代に見えますが、ブロンディはミルコの母親だということです。

 

  

                   (ミルコ役のトト・ロビトと)


   

                             (ぺパ役のリタ・コルテセと)


 

2)El castillo / The Castle(アルゼンチン=フランス=スペイン)2023

 ドキュメンタリー、スペイン語、78分  WIP Latam & Egeda Platino

監督マルティン・ベンチモル(ブエノスアイレス1985)は、ドキュメンタリー監督、脚本家、撮影監督。本作はベルリン映画祭2023パノラマ部門観客賞ノミネート、香港FFヤングシネマ部門監督賞を受賞、グアダラハラFFで撮影監督のニコ・ミランダがドキュメンタリー撮影賞を受賞、ほかイスラエルの DocAviv 映画祭、テッサロニキ・ドキュメンタリーFF、カルタヘナFFなどに出品されている。製作者マイラ・ボテロ、共同製作者ハイディ・フライシャー、フリア・パラティアン。

    

    

 

  

     (左から、ニコ・ミランダ、ベンチモル監督、ハイディ・フライシャー、

    フリア・パラティアン、ベルリン映画祭2023219日フォトコール)  

 

2017年、パブロ・アパロと共同監督したドキュメンタリー・ミステリー「El espanto」(65分)は、アムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭の中編ドキュメンタリー賞を受賞しているほか、ラスパルマスFF、ドキュメント・バルセロナTV3賞にノミネートされている。2012年にパブロ・アパロと監督した「La gente del río」は、150人しか住んでいない川沿いのエルネスティナ村が舞台。住民は村を訪れる人々が川を楽しむだけでなく、破壊行為で汚していると訴えます。BAFICI 2013 で上映された。

 

出演者:フスティナ・オリボ、アレクア・カミノス・オリボ

解説:フスティナは人生のすべてを家政婦として働いてきた。彼女はアルゼンチンのパンパの奥深くに建つ大邸宅を、元の雇用主から生涯にわたる献身が報われて相続しました。条件は唯一つ、決して売ってはならないということだった。

 

        

       

  (相続した大邸宅でくつろぐフスティナ・オリボ、アレクサ・カミノス・オリボ

   

    

         (マルティン・ベンチモル、ドロレス・フォンシ)


コンペティション部門ノミネート7作品*サンセバスチャン映画祭2023 ②2023年07月15日 18:01

        セクション・オフィシアルのノミネート7作品発表   

      


 

77日、第71回サンセバスチャン映画祭SSIFF 2023セクション・オフィシアル(コンペティション部門)の7作品のノミネート発表がありました。例年1620作くらいですから3分の1だけ、全体像が分かるまでには少し時間がかかりそうです。7作のなかにスペイン映画は含まれておりません。スペイン語映画としてはアルゼンチンの2作が選ばれています。昨年は最初にスペイン映画4作が発表になりましたが、今年は様子が違うようです。以下に公式サイトの発表順に、製作国、タイトル、監督名、キャスト、ストーリーなどを簡単に列挙しておきます。

 

              71SSIFF セクション・オフィシアル

 

1) All Dirt Roads Taste of Salt(米国)英語、97

 *イクスミラ・ベリアク2019

監督レイブン ・ジャクソン(米、テネシー1990)は、監督、詩人、写真家、製作者。長編デビュー作だが本祭との関係は深く、2018年のネスト部門に短編「Nettles」(仮題「イラクサ」24分、タコマFF審査員賞)が出品されている。ほかノミネート作はイクスミラ・ベリアク・プログラムで掘り下げ完成させている。サンダンスFF2023USドラマ・コンペに正式出品された。ミシシッピで暮らす一人の女性の人生がリリックに語られる。

キャスト:チャーリン・マクルーア、ジャヤ・ヘンリー、レジナルド・ヘルムズ・ジュニア、クリス・チョーク、シーラ・アテム、他多数

ストーリー:数十年にわたるミシシッピ州で暮らす黒人女性の人生を探求する物語。私たちを形作った何世代もの人々、場所、そして言葉では言い表せない瞬間への賛歌です。セリフは殆どなく、美しいビジュアル、視覚的なストーリーテリングが監督の才能を際立たせている。

   

    

   

2) Ex-Husbands (米国)英語、コメディ、98

監督ノア・プリツカー(米、サンフランシスコ1986)は監督、作家。長編第2作目、2015年「Quitters」でデビュー、本祭参加は初めてとなる。新作は同じ家族ながらさまざまな登場人物たちのセンチメンタルな変転が語られる。主役グリフィン・ダン以下芸達者が共演する。

 

キャスト:グリフィン・ダン、マイルズ・ハイザー、ジェームズ・ノートン、エイサ・デイビス、ロザンナ・アークエット

ストーリー:ピーターの両親は65年間暮らした後に離婚した。彼の妻は35年後に去り、息子のニックとミッキーはそれぞれ自分の人生を送っている。ピーターがトゥルムに飛んで、ミッキーがお膳立てしたるニックの独身さよならパーティをぶち壊したとき、危機に瀕しているのは自分だけでないことに気づきます。

   

      

 

3) La práctica / The Practice(アルゼンチン=チリ=ポルトガル)

  スペイン語、コメディ、90

監督マルティン・ライトマンRejtman(アルゼンチン、ブエノスアイレス1961)は監督、脚本家、作家、製作者。セクション・オフィシアルのノミネートは初めてだが、1999年「Silvia Prieto」(メイド・イン・スペイン)、オリソンテス・ラティノス部門に「Los guantes mágicos」(04)、「Dos disparos / Two Shots Fired」(14)、2019年にはネスト部門の審査委員長を務めた。最新ニュースとしては、SSIFF 2020でドキュメンタリー「El repartidor está en camino / Riders」を発表、ヨーロッパ-アメリカラテンの共同製作開発賞Eurimages を受賞した。夫婦の危機にあるエステバン・ビリャルディ扮するヨガ教師が主人公。「ヨガの世界についてのコメディです。ヨガを始めてから20年以上経ち、無意識のうちにこの映画を撮る準備してきた」と監督。

 

キャスト:エステバン・ビリャルディ(グスタボ)、ミルタ・ブスネリ(バネサ)、マヌエラ・オジャルスン、カミラHirane、ガブリエル・カニャス

ストーリー:グスタボとバネサは離婚したが、協力してプロジェクトを見直さなければならない。二人ともヨガ教師で、グスタボはアルゼンチン人でバネサはチリ人である。バネサは二人で共有していたスタジオに残り、グスタボは家無し子になった。グスタボは溜めこんだストレスによって膝を負傷し、ヨガを諦める。まず最初に大腿四頭筋を鍛え、その後ジムに行く。彼の人生は少しずつ軌道に乗り、再び練習に戻れるようになる。

別途に監督キャリア&フィルモグラフィ紹介を予定しています。

   

      

 

4) Lile rouge / Red Island / La isla roja (フランス=ベルギー)仏語、116

監督ロバン・カンピヨ(モロッコ、モハメディア1962)は、モロッコ系フランスの監督、脚本家、フィルム編集者。コンペティション部門ノミネートは初めてである。本作はマダガスカルのフランス領植民地を舞台にしている。2004年『奇跡の朝』で監督デビュー、『イースタンボーイズ』(ベネチアFF2013、オリゾンティ部門作品賞受賞)、BPMビート・パー・ミニット』はカンヌFF2017グランプリ国際批評家連盟賞SSIFFのペルラク部門で上映されセバスチャン賞などを受賞した。ローラン・カンテの『南へ向かう女たち』(05)、カンヌFF2008でパルムドールを受賞した『パリ20区、僕たちのクラス』(セザール賞脚色賞)や「Foxfire」(12、『フォックスファイア 少女たちの告白』)の共同脚本家でもある。

 

キャスト:ナディア・テレスツィエンキーヴィツ(コレット・ロペス)、キム・グティエレス(ロベール・ロペス)、チャーリー・ヴォゼル(トマス・ロペス)、ソフィー・ギルマン、デビッド・セレロ、他

ストーリー1970年代初頭のマダガスカルに我々は誘いだされる。フランスが統治していた植民地の一つでは、フランスの軍事基地に駐留する家族たちが植民地主義の最後のあがきを送っていた。トマスは10歳、冒険コミックの怖れを知らないヒロイン〈ファントメット〉の影響を受けた好奇心旺盛な少年である。一方、彼の視線は徐々に世界のもう一つの現実に開かれて始めていた。

    

     

 

5) MMXX (ルーマニア=モルドバ共和国=フランス)ルーマニア語、コメディ、160

監督クリスティ・プイウ(ルーマニア、ブカレスト1967)は、監督、脚本家、俳優。カンヌFFやカルロヴィ・ヴァリFFに出品されている。ルーマニア医療の現実を切りとった2作目『ラザレスク氏の最期』(05)、本祭との関りでは2016年ペルラク部門に『シエラネバダ』を出品している。2020年『荘園の貴族たち』は、ベルリンFFに新設されたエンカウンターズ部門に選出され監督賞を受賞した。

 

キャスト:ビアンカ・ククリチ、ローレンティウ・ボンダレンコ、イゴール・バビアック、オティリア・パナイテ、ドリアン・ボグタ、ドラゴス・ブクル、ロクサナ・オグレンディル、他

ストーリー:若いセラピストのオアナ・フィファーは、患者の質問に少しずつ悶着を起こし始めている。オアナの弟ミハイ・ドゥミトルは誕生日の準備にとらわれ、オアナの夫セプティミウは新型コロナ汚染に怯え、組織犯罪検査官のナルシス・パトラネスクは一人の同僚の死に動揺しています。歴史の岐路に立ち往生している人々の放浪をとらえた瞬間を描いています。

   

  

 

6) Puan (アルゼンチン=イタリア=ドイツ=フランス=ブラジル)スペイン語、107

 *イクスミラ・ベリアク2022

監督マリア・アルチェ(ブエノスアイレス1983) 

    ベンハミン・ナイシュタット(ブエノスアイレス、1986

マリア・アルチェは、SSIFF 2018オリソンテス・ラティノス部門にデビュー作「Familia sumergida / A Famiiy Submerged」がノミネートされ作品賞を受賞しました。一方ベンハミン・ナイシュタットは、同年「Rojo」がセクション・オフィシアルにノミネート、監督賞(銀貝)を受賞しているほか、主役のダリオ・グランディネッティが男優賞(銀貝)、ペドロ・ソテロが撮影賞を受賞するなどした。デビュー作「Historia del miedo / History of Fear」は、2014年オリソンテス・ラティノス部門にが選出されており、両作とも簡単な作品紹介をしています。ベルリンやロカルノ映画祭に参加している。

Rojo」の作品紹介は、コチラ20180716

Historia del miedo」の作品&監督キャリア紹介は、コチラ20140224

 

キャスト:マルセロ・スビオット(マルセロ)、レオナルド・スバラリア(ラファエル)、フリエタ・ジルベルベルグ、アレハンドラ・フレッチェネル、マラ・ベステリ、アンドレア・フリヘリオ

ストーリー:「プアン」として知られるブエノスアイレス大学のユニークな哲学部を舞台にした物語。マルセロはブエノスアイレス大学で哲学を教えています。彼の指導教師のカセリ教授が突然亡くなり、マルセロは空席になった学部長の椅子を引き継ぐことを受け入れます。予想しなかったことは、カリスマ的で魅力的な同僚であるラファエル・スジャーチュクがこの学部長席を奪おうとヨーロッパの大学から戻ってくることでした。二人が学部長職をめぐって闘うはめになり、マルセロの人生もアルゼンチンもカオスになるでしょう。混乱はアルゼンチンのアイデンティティの基本です。

    


  

7) Un silence / A Silence (ベルギー=フランス=ルクセンブルク)仏語、100

監督ヨハヒム・ラフォセ(ベルギー、イクル1975)は、SSIFF 2015のセクション・オフィシアルに「Les chevaliers blancs / The White Knights」がノミネート、監督賞(銀貝)を受賞している。8年ぶりに本作で戻って来ました。本祭との関りはペルラク部門に「Leconomie du couple / After Love」(16)、「Les intranquilles / The Restless」(21)が出品されている。

 

キャスト:ダニエル・オートゥイユ、エマニュエル・デヴォス、マチュー・ガルー、サロメ・ドゥワエルズ、ラリッサ・フェイバー、デニス・シモネッタ、他

ストーリー:著名な弁護士の妻アストリッドは25年間沈黙したままだった。彼女の子供たちが正義を求め始めたとき、家族の安定に突然亀裂が生じます。

   


   

     

  

             (左から、マリア・アルチェ、ベンハミン・ナイシュタット、

              ロビン・カンピヨ、レイブン ジャクソン)

   

   

(左から、ヨアヒム・ラフォセ、ノア・プリツカー、

 クリスティ・プイウ、マルティン・ライトマン)


リサンドロ・アロンソの新作がカンヌ・プルミェールに*カンヌ映画祭20232023年05月19日 15:44

    『約束の地』から9年ぶりとなるリサンドロ・アロンソの「Eureka

    

      

 

★カンヌ・プルミェール部門に追加されたリサンドロ・アロンソの「Eureka」は、アルゼンチン、フランス、ポルトガルなど6ヵ国の合作。アロンソ監督はブエノスアイレス生れ(1975)、監督、脚本家。前作『約束の地』(「Jauja」14)以来、9年ぶりの新作。前作主演のヴィゴ・モーテンセンが新作でも主演、同じくモーテンセンの娘役で映画デビューした、デンマークのヴィールビョーク・マリン・アガーも出演して、同じ父娘に扮している。前作同様娘は失踪するようですが、もちろん続編ではありません。ほかにTVシリーズ『ナルコス:メキシコ編』でお馴染みのメキシコのホセ・マリア・ヤスピク、ポルトガルの監督でもあるベテラン女優マリア・デ・メデイロス、同じく舞台女優、ファドの歌手ルイーザ・クルス、ほかマルチェロ・マストロヤンニを父にカトリーヌ・ドヌーヴを母にもつフランスのキアラ・マストラヤンニなど錚々たるスターが共演している豪華キャストです。

『約束の地』作品 & 監督キャリア紹介は、

  コチラ2015070120140506

          

                

         (髪を短くした最近のリサンドロ・アロンソ監督)

 

 「Eureka

製作:4L(アルゼンチン)、Luxbox(フランス)、Rosa Film(ポルトガル)、

   Woo Films(メキシコ)、Komplizen Film(独)、Fortuna Films(オランダ)、

   Bord Cadre FilmsSlot Machine

監督:リサンドロ・アロンソ

脚本:リサンドロ・アロンソ、マルティン・カーマニョ、ファビアン・カサス

撮影:マウロ・エルセ、ティモ・サルミネン

編集:ゴンサロ・デル・バル

衣装デザイン:ナタリア・セリグソン

メイクアップ:エレナ・バティスタ

特殊効果:フィリペ・ペレイラ

製作者:カリーヌ・ルブラン、マリアンヌ・スロット、(エグゼクティブ)アンディ・クラインマン、アンドレアス・ロアルド、ダン・ウェクスラー、(共同)フィオレッラ・モレッティ、エディ・ザルディ、ほか多数

 

データ:製作国アルゼンチン=フランス=ポルトガル=メキシコ=オランダ=ドイツ、2023年、スペイン語、ドラマ、ウエスタン、140分、撮影アルメリア、20211111日クランクイン、カンヌ上映519

映画祭・受賞歴:カンヌ映画祭2023カンヌ・プルミェール部門正式出品

 

キャスト:ヴィゴ・モーテンセン(マーフィー)、ホセ・マリア・ヤスピク、キアラ・マストラヤンニ(マヤ)、ヴィールビョーク・マリン・アガー(マーフィーの娘モリー)、ルイーザ・クルス(修道女)、ラフィ・ピッツ(無法者ランダル)、マリア・デ・メデイロス、サンティアゴ・フマガリ(受付係)、ナタリア・ルイス(娼婦)、ほか

 

ストーリー:ユーレカはアメリカ大陸のさまざまなところを飛びまわる鳥です。飛行中にタイムトラベルします。ユーレカは先住民が大好きです。運よく彼らの言葉を聞くと、人間になることが如何に難しいかを理解しようとします。1870年、アメリカとメキシコ国境地帯の無法者の町から始まり現在までの時間を、アメリカ、メキシコ、ブラジルのアマゾンのジャングルを縦断しながら、先住民文化の伝統と先祖伝来の知恵を守ることの重要性を探求する。4つのエピソードで構成され、異なる地域が描かれる。マーフィーは無法者ランダルに誘拐された娘を探すため町に到着する。

   

     

           (マーフィー役のヴィゴ・モーテンセン)

 

★パート1は、前作『約束の地』で父娘になったヴィゴ・モーテンセンとヴィールビョーク・マリン・アガーが、今回も同じ役を演じる。誘拐犯ランダルはイランの監督で俳優としても活躍するラフィ・ピッツが演じる。パート2「パインリッジ」は、サウスダコタ州にある現在の先住民居留地が舞台となっている。4部構成の最後「アマゾニア」はアマゾンのジャングルが舞台となる。先住民ではないUbirajaraウビラジャラは、アマゾンでは非常に脅かされていたので地元の金鉱山の探査に出発する。文字通りゴールドラッシュに苦しむことになる。パート3は目下情報が入手できていません。

   

     

           (前作『約束の地』のオリジナルポスター)

 

★アロンソ監督によると「北米の先住民部族と、南米の祖先伝来の伝統を守りたいと願い現代から逃れてきたアマゾンに住む部族を比較したいと思っています。1870年から始まりますが、まったくと言っていいほど現代を描いています。現代の悲劇、自然との断絶感、富の追求によって疎外された世界の過去を描いています」と、シネヨーロッパのインタビューでコメントしている。「私たち全員、特に南米の人々に、私たちが何処でどのように生きるべきか、よりよく生きるためにはどうすれば良いかを考えてほしい」とも語っている。アルゼンチンのパタゴニアを舞台にした『約束の地』で先住民の過酷な運命を描きたかったが、もっと時間をかける必要を感じたようです。そして今回の「Eureka」に繋げることができたわけです。

   

      

              (キアラ・マストラヤンニ)

 

ヴィゴ・モーテンセンのキャリア & フィルモグラフィー紹介は、既に『約束の地』あるいはサンセバスチャン映画祭2020ドノスティア栄誉賞受賞の折にアップしております。ストーリー及びキャストの立ち位置もはっきりせず隔靴掻痒なので、もう少し全体像が見えてから補足します。脚本家のファビアン・カサスは前作でも共同執筆しており、自分は脚本家というより「アロンソ専用の脚本家」だとコメント、確かに2作しか執筆していない。ほか俳優として「ある視点」ノミネートのロドリゴ・モレノの「Los delincuentes」に教師役で出演している。彼とアロンソ監督とモーテンセンの3人はサッカーファン、アルゼンチンのクラブチーム「サンロレンソ・デ・アルマグロ」の熱狂的なおじさんサポーターである。

ヴィゴ・モーテンセンのキャリア紹介は、コチラ⇒2020年07月08日

サンセバスチャン映画祭ドノスティア栄誉賞の記事は、コチラ⇒2020年09月26日

 

★最近カンヌ映画祭が発表したフォトから選んでおきます。

    

   

    

    


   

「ある視点」にロドリゴ・モレノの犯罪コメディ*カンヌ映画祭20232023年05月11日 15:09

   アルゼンチンから自由と冒険を求める犯罪コメディ「Los delincuentes

            

             

    

★「ある視点」部門にはスペインはノミネートなし、アルゼンチン、チリなどラテンアメリカ諸国が気を吐いている。アルゼンチンのニューシネマの一人ロドリゴ・モレノの長編4作目「Los delincuentes」(アルゼンチン、ブラジル、ルクセンブルク、チリ)は、ブエノスアイレスに支店をおく銀行の従業員2人が勤務先で強盗を計画するというコメディ仕立ての犯罪もの、彼らの運命は如何に。モレノ監督はドキュメンタリーや共同監督作品を含めると10作近くなる。なかで単独監督デビュー作の「El custodio」は、ベルリン映画祭2006アルフレッド・バウアー賞を受賞、サンセバスチャン映画祭、マイアミ、グアダラハラ、ハバナなど国際映画祭の受賞歴は30以上に上りました。フィルモグラフィー紹介は後述するとして、新作のデータ紹介から始めます。

 

Los delincuentes」(英題「The Delinquents」)

製作:(アルゼンチン)Wanka Cine / Rizona Films / Jaque Producciones / Compañia Amateur /(ブラジル)Sancho Punta /(ルクセンブルク)Les Films Fauves /(チリ)Jirafa films 協賛INCAA

監督・脚本:ロドリゴ・モレノ

撮影:イネス・ドゥアカステージャ、アレホ・マグリオ

編集:カレン・アケルマン、ニコラス・ゴールドバート、ロドリゴ・モレノ

プロダクション・デザイン・美術:ゴンサロ・デルガド、ラウラ・カリギウリCaligiuri

衣装デザイン:フローラ・カリギウリ

音響:ロベルト・エスピノサ

製作者:エセキエル・ボロヴィンスキー(エグゼクティブ)、エセキエル・カパルド(プロダクション・マネジャー)、レナタ・ファルチェト(ヘッド)、フロレンシア・ゴルバクスGorbaczEugenia Molina、マティアス・リベラ・バシレ(アシスタント)、(以下ルクセンブルク)Jean-Michel HuetYahia SekkilManon SantarelliAlexis Schmitz

 

データ:製作国アルゼンチン、ブラジル、ルクセンブルク、チリ、2023年、スペイン語、コメディ、90分、撮影地ブエノスアイレス、コルドバの山地、期間20223月末~6月、配給マグノリア・ピクチャーズ・インターナショナル

映画祭・受賞歴:カンヌ映画祭2023「ある視点」正式出品、シドニー映画祭(6月)

 

キャスト:エステバン・ビリャルディ(ロマン)、ハビエル・ソロ(モラン)、マルガリータ・モルフィノ(モランの恋人ノルマ)、ダニエル・エリアス、セシリア・ライネロ(モルナ)、ヘルマン・デ・シルバ、ラウラ・パレデス、ガブリエラ・サイドン(ロマンの妻フロール)、セルヒオ・エルナンデス、他

 

ストーリー:ロマンとモランは、ブエノスアイレスに小規模な支店をおく銀行の従業員です。二人は自由と冒険を探しています。モランは日ごとに彼らを灰色の人生に陥れるルーチンを振りはらうというそれだけの意図で、同僚と共謀して大胆な計画を実行することにします。彼らが定年まで稼ぐ給料に相当する金額を銀行から前もって頂くことにしました。どういうわけか彼の強盗計画は成功し、自分の運命を同僚ロマンの運命に委ねます。まず全額を彼に預け、その後土地を探すつもりでコルドバに逃れます。旅先で出会った女性ノルマに無分別にも夢中になります。彼女は姉と山地の分譲地販売をしている彼氏と同居している。数日間一緒に過ごし、必ず戻ってくるが、3年間待ってくれと頼みこむ。ノルマにはすべてが馬鹿げているとしか思えない。一方ロマンは銀行で働きつづけていますが、折悪しくお金の不足についての内部調査が始まりました。非常に多額のお金を隠しているロマンは恐怖に襲われます。同僚たちだけでなく妻フローラにも隠さねばなりません。計画を変更したらいいのでしょうか・・・

   

   

              (混乱する銀行支店、左から3人目ヘルマン・デ・シルバ) 

   

       

        

★モレノ監督によると「モランは犯罪を犯して代価を支払うとしても、解放感を得るために危険な計画を考案する。共犯者のロマンも働かずに義務から解放され自由のなかでより良い生活、つまり都会、仕事、家族から離れ、海とか山とかレジャーが楽しめる田舎暮らしを誰にも依存せずに送りたい。しかし夢を達成するには、どうやって生計を立てるかという実存的な障害が立ちはだかる」。じゃあ目標を追求するにはどうしますか、というお話です。モランの計画は刑務所暮らしも想定内なのです。

 

   

  

 

    

★監督紹介:ロドリゴ・モレノ1972年ブエノスアイレス生れ、監督、脚本家、製作者、ブエノスアイレスのシネ大学の監督プログラムを卒業、独創的なストーリーテリングを目指すアルゼンチンの若い世代のグループの一人です。1993年短編「Nosotros」(8分)で監督デビュー、ビルバオ・ドキュメンタリー短編映画祭で作品賞を受賞する。2012年制作会社「Compañia Amateur」を設立し、「Reimon」以降を製作している。脚本を執筆したルシア・メンドサの「Diarios de Mendoza」、コロンビアのフアン・セバスティアン・ケブラダの「Días extraños」を製作している。フアン・ビジェガスMoVi cineを共有している。主なフィルモグラフィーは以下の通り:

 

1993年「Nosotros」短編(8分)、監督、脚本

1998年「Mala época」監督、脚本、マリアノ・デ・ロサ、ほか4名の共同作品

   (マル・デル・プラタ、トリノ、シカゴ、サンセバスチャン、他)

2002年「El descanso」監督、脚本、ウリセス・ロセル、アンドレス・タンボルニーノ、

   3名の共同作品Bafici、ロンドン、ベネチア、トゥールーズ)

2006年「El custodio」単独長編デビュー作、監督、脚本

   (ベルリン、サンセバスチャン、マイアミ、ニューヨーク、グアダラハラ、ハバナ)

2007年「La señalTV Movie、監督、脚本

2011年「Un mundo misterioso」第2作、監督、脚本

   (ベルリン、トロント、サンパウロ、Bafici

2014年「Reimon」第3作、監督、脚本、製作、72

   (ロッテルダム、ハンブルク、Bafici、サンパウロ、バルでビア)

2017年「Una ciudad de provincia」ドキュメンタリー、監督、脚本、製作、88分、IBAFF

   (ロッテルダム、ビエンナーレ、Bafici

2018年「Our Nighttime Story」ドキュメンタリー、監督、フアン・ビジェガス、

   ほか3名の共同作品

2023年「Los delincuentes」第4作、監督、脚本

2014年、ルシア・メンドサの「Diarios de Mendoza」(55分)脚本、製作

2015年、フアン・セバスティアン・ケブラダの「Días extraños」(70分)脚本、製作

Baficiは、1999年設立されたブエノスアイレス国際インディペンデント映画祭

   

       

                (ロドリゴ・モレノ)

 

★上述したように1993年に短編「Nosotros」でスタートした。オムニバス長編「Mala época」は、4名の共同作品ですが、マル・デル・プラタ映画祭1998で、若い映画製作者の視点で現代を切り取ったことが評価されてFIPRESCIスペシャルメンションを受賞、その他トゥールーズ・ラテンアメリカ映画祭1999で観客賞を受賞、ノミネート多数。共同監督作品「El descanso」は、リェイダ・ラテンアメリカFFICCI脚本賞を受賞した。

    

      

 

★ベルリン映画祭でアルフレッド・バウアー賞を受賞して国際的な評価を受けたのは、単独で監督したデビュー作「El custodio」だが、本作は前年のサンダンスFFに出品されラテンアメリカ部門のNHK賞を受賞している。その他ボゴタFF作品賞監督賞、サンセバスチャンFFホライズンズ・ラティノ部門でスペシャルメンションを受賞している。

      

        

     

           (アルフレッド・バウアー賞のトロフィーを披露する監督)

    

510日「ある視点」の審査団が発表になりました。審査委員長は俳優、コメディアンのジョン・C・ライリー、ほか俳優パウラ・ベーア、俳優エミリー・ドゥケンヌ、監督デイヴィー・チョウ、監督アリス・ウィノクールの5名です。

 

セクション・オフィシアル(コンペ部門)②*マラガ映画祭2023 ⑤2023年03月06日 17:20

        

5El fantástico caso del Golem (仮題「ゴーレムのファンタスティックな出来事」)

データ:製作国スペイン、2022年、スペイン語、コメディドラマ、SF95分、公開スペイン616日予定、長編3作目。

監督紹介フアン・ゴンサレス&フェルナンド・マルティネス(バーニン・ペルセベスBurnin' Percebes)、脚本も同じ。フアン・ゴンサレスはESCAC(カタルーニャ映画視聴覚上級学校)で映画・テレビ・演劇の脚本を専攻。フェルナンド(IMDbナンド)・マルティネスは、バルセロナ大学オーディオビジュアル科卒(2015)、Burnin' Percebesは二人のグループ名。2014年から短編、長編を手がけている。

   

2020年、本作にも出演しているブルナ・クシとハビエル・ボテットを起用して、スーパー8ミリで撮ったファンタジー「La reina de los lagartos」がその斬新さで周囲を驚かせる。フェロス賞ポスター部門、スペシャル賞にノミネート、第7回リソマRizoma賞を受賞、セビーリャ・ヨーロッパ映画祭でも上映された。バルセロナのD'A映画祭ほかに参加している。2023年、制作会社Aquí y Allí Films で本作を撮る。現在アニメーション・シリーズ「Meretricius」、長編「Royal Films」が進行中。

    

  

     (手前フアン・ゴンサレス、後ろフェルナンド・マルティネス)

     


 (フェロス賞ポスター部門ノミネートのLa reina de los lagartos」から)

 

キャスト:ブライス・エフェ、ブルナ・クシ、ルイス・トサール(トニ)、アンナ・カスティーリョ、ハビエル・ボテット、ロジャー・コマ、ナオ・アルベト、ロベルト・アラモ、ダビ・メネンデス、ティト・バルベルデ

ストーリー:パーティが終わったあと、酔っぱらったダビは友人フアンの目の前でテラスから転落してしまいます。ダビの体は車のボンネットの上にぶつかりばらばらになりました。誰も騒ぎ立てていないようなので、フアンは何が起きたのか調べることにしました。こうして彼は空から降ってくるピアノと矛盾の迷宮に迷い込んでいきます。

   

     

 

 

6)Els Encantats(西題Los encantados  仮題「魔法にかけられて」

データ:製作国スペイン、2023年、カタルーニャ語(字幕上映)、ドラマ、108分、公開スペイン62日予定

監督紹介エレナ・トラぺ2作目「Las distancias」がマラガ映画祭2018で金のビスナガと監督賞を受賞、翌年のガウディ賞を受賞している。短編数編の後。「Blog」で長編デビュー、サンセバスチャン映画祭2010サバルテギ部門に出品、「ある視点」を受賞、CECの新人監督賞にもノミネートされた。2015年の「Palabras, mapas, secretos y otras cosas」は、イサベル・コイシェについてのドキュメンタリー、新作は長編3作目。脚本はミゲル・イバニェス・モンロイとの共同執筆。以下で監督紹介をしています。

Las distancias」の作品、及びキャリア&フィルモグラフィー紹介は、

  コチラ20180427

 

        

キャスト:ライア・コスタ(イレネ)、ダニ・ペレス・プラダ、ペップ・クルス、アイナ・クロテット、アイナラ・エレハルデ・ベル、デリア・ブルファウ、マルティ・アタンス

ストーリー:最近離婚したばかりのイレネは、4歳になる娘が父親と数日間過ごすことになり、初めて一人で自身に向き合っている。この新しい現実に適応できず、別荘のあるカタルーニャのピレネー山脈の小さな村に旅をしようと思い立つ。長い間失ったと感じていた安定と落着きを取り戻そうと考えたのだ。しかし、以前は親しい場所だったのに、次第に彼女の人生と同じようにイレネを圧倒し、自分の怖れを克服するには逃亡は役に立たないことを理解するだろう。

    

       

      

         (ライア・コスタ、ペップ・クルス、フレームから)

 

7Empieza el baile (仮題「ダンスを始める」)

データ:製作国アルゼンチン=スペイン、2022年、スペイン語、コメディドラマ、99分、撮影地メンドーサ(アルゼンチン)

監督紹介マリナ・セレセスキー1969年、ブエノスアイレス生れ、監督、脚本家、女優。本作が長編3作目、アムステルダム映画祭2016La puerta abierta」で長編デビュー、作品紹介をしています。20192作目の「Lo nunca visto」では、カルメン・マチ、ペポン・ニエトが出演している。ドキュメンタリーのほか短編多数。

La puerta abierta」の作品紹介は、コチラ⇒2017年01月12日

    

      

 

キャスト:ダリオ・グランディネッティ(カルロス)、メルセデス・モラン(マルガリータ)、ホルヘ・マラレ(ピチュキート)、パストラ・ベガ、アゴスティナ・ポッツイPozzi、ラウタロ・セラ、マルセロ・Xicarts、カロリナ・ソビシュSobisch

ストーリー:カルロスとマルガリータは、当時最も認められた有名なタンゴのカップルでした。今日では、その素晴らしさ、二人が共有した情熱、ステージ、旅、人生は何も残っておりません。カルロスはマドリードに住んでおり、マルガリータは忘却のブエノスアイレスに住んでいる。二人の切っても切れない友人ピチュキートと一緒に、カルロス・ガルデルの街からアンデス山脈の麓へ、彼らの記憶、怖れ、そして何よりも本当の望みを求めて旅立ちます。このクレージーな旅で彼らが避けてきた過去だけでなく、最もピュアな人生に出会えるでしょうか。

    

     

               (左から、カルロス、マルガリータ、ピチュキート)

   

   

 

8)La desconocida (仮題「見知らぬ人」)

データ:製作国スペイン、2022年、ドラマ、88分、長編映画3作目。

監督紹介パブロ・マケダ1985年マドリード生れ、製作者、監督、脚本家。2012年「Manic Pixie Dream Girl」で長編デビュー、マドリード・コンプルテンセ大学UCMの視聴覚コミュニケーションの学位を取得。チェマ・ガルシア・イバラ、マルサル・フォレス、エドゥアルド・カサノバを含む25本以上の製作を手がけている。2020年、ヴェルナー・ヘルツォークと共にドキュメンタリー「Dear WernerWalking on Cinema」を撮る。1974年にヘルツォークが師ロッテ・アイスナー危篤の報を受け、彼女の病気平癒を願ってミュンヘンからパリまで歩いた足跡を辿るドキュメンタリー、映画製作の意味を探る旅が語られる。セビーリャ・ヨーロッパ映画祭ニューウェーブ部門でプレミアされた。さらにジネビ、トリノ、トレントなど各映画祭に出品された。RTVEのディアス・デ・シネ賞2021「ビダ・エン・ソンブラ」賞、アルシネ・フェスティバル観客賞を受賞、サンジョルディ賞、フェロス賞、シネマ・ライターズ・サークル賞(ドキュメンタリー部門)にノミネートされた。

   

      

             

          (ドキュメンタリー「Dear Werner」のポスター)

 

キャスト:ライア・マンサナレス(カロリナ)、マノロ・ソロ(レオ)、エバ・リョラチ(エリサ)、ブランカ・パレス(ニナ)、ベガ・セスペデス(アニタ)

ストーリー:カロリナはナイーブで魅力的な若い女性です。彼女はチャットでレオと知り合った。彼は16歳の若者になりすましていた大人の男で、カロリナを騙して市内の閑散とした公園で会うことに成功する。しかしレオがカロリナに会って見ると、彼女が見た目ほどイノセントで無邪気でないのではないかと疑い始める。

    

       

    (レオとカロリナ、フレームから)

   

  


セクション・オフィシアル(コンペ部門)①*マラガ映画祭2023 ④2023年03月03日 18:26

              26回マラガ映画祭2023ノミネーション長編映画全20

 

        

★コンペティション部門セクション・オフィシアルは全20作、新人発掘の映画祭でもあるのでデビュー作が多いのは当然として、最近はベテラン監督の多さが気になります。すでに既発の国際映画祭(ベルリン、ベネチアなど)でプレミアされたもの、中には受賞作もあるようです。作品数が多いので何回かに分けてアップする予定です。スペイン単独作品が8作と多く、メキシコ、ブラジルは別として、市場が狭く単独では製作できないアルゼンチン、チリ、コロンビアなどのラテンアメリカ諸国は合作です。ブラジルのポルトガル語映画は字幕入り上映、セッションは各3回ずつと例年通りです。

 

     26回マラガ映画祭セクション・オフィシアル全20

 

120.000 especies de abejas (仮題「2万種のミツバチ」)

データ:製作国スペイン、2022年、スペイン語・バスク語・フランス語、ドラマ、129分、長編デビュー作 

映画祭・受賞歴:ベルリン映画祭2023コンペティション部門でプレミア(222日)。ギルデ・ドイツ・フィルムアートシアター賞、バリナー・モルゲンポスト紙読者賞、主演のソフィア・オテロ(9歳)が銀熊主演賞を受賞という快挙、過去の受賞者は故フェルナンド・フェルナン≂ゴメスの2回、2012年にビクトリア・アブリルが『アマンテ』で受賞しているだけである。

   

        (銀熊主演賞のソフィア・オテロ、ベルリンFF授賞式)

  

監督紹介エスティバリス・ウレソラ・ソラグレン1984年バスク自治州アラバ生れ、監督、脚本家、製作者。バスク公立大学視聴覚コミュニケーションの学位を取得、フィルム編集の制作理論、ESCAC(カタルーニャ映画視聴覚上級学校)で映画監督の修士号と映画ビジネスの修士号を取得、マーケティング、配給、国際販売などを学ぶ。2019年制作会社「Sirimiri Films」を設立。

フィルモグラフィー2012短編「Adri」、2016長編ドキュメンタリー「Voces de papel」(サンセバスチャン映画祭プレミア)、2018短編「Nor nori nork」、2020短編「Polvo somos」、2022短編「Cuerdas」はカンヌ映画祭「批評家週間」に正式出品、受賞歴多数、フォルケ賞短編部門受賞。

    

     

          (エスティバリス・ウレソラ・ソラグレン監督)

   

キャスト:ソフィア・オテロ(アイトル/ルシア)、パトリシア・ロペス・アルナイス(母親アネ)、アネ・ガバライン(ルーデス)、イツィアル・ラスカノ(リタ)、サラ・コサル(レイレ)、マルチェロ・ルビオ(ゴルカ)、ウナックス・ヘイデンHeyden、他

ストーリー8歳になる少女ルシアは他人の期待に添わない。母親のアネは夏休みを利用して3人の子供たちと養蜂をしている実家に帰郷します。アネの母親リタ、叔母ルルド、3世代の女性たちが直面する疑いと怖れは、彼女たちの人生を変えてしまうだろう。性同一性を求めているルシアの物語。

 

       

    (ベルリンFFで絶賛されたルシア役のソフィア・オテロ、フレームから)

    

       

  

2)Bajo terapia (仮題「セラピー中」)

データ:製作国スペイン、2022年、スペイン語、コメディドラマ、93分、マティアス・デル・フェデリコの同名小説の映画化。

監督紹介ヘラルド・エレーロ1953年マドリード生れ、製作者、監督。1987年、制作会社「Tornasol Media」設立、国際的に活躍している大物プロデューサー、手がけた作品はドキュメンタリー、エグゼクティブを含めると150作を超える。うち2009年製作の『瞳の奥の秘密』は、アカデミー賞外国語映画賞を受賞、アルゼンチンにオスカー像をもたらした。ロドリゴ・ソロゴジェンの「El reino」ではゴヤ賞2019の監督賞以下7冠を制した。監督作品としては、実話をベースにした「Heroína」でマラガ映画祭2005の銀のビスナガ監督賞を受賞している。続く2006年には「Los aires dificiles」で金のビスナガ作品賞を受賞した。ほかに『戦火の沈黙、ヒトラーの義勇兵』(11)など。

 

     

  

キャスト:マレナ・アルテリオ、アレクサンドラ・ヒメネス、フェレ・マルティネス、アントニオ・パグド、エバ・ウガルテ、フアン・カルロス・ベリィド

ストーリー3組の夫婦が珍しいグループ・セラピーのセッションを受けに集まった。心理学者はカップルが一緒に対処しなければならないスローガンを同封した封筒を渡しました。提案されたメカニズムは、誰もが自分の意見を述べ、話し合い、最終的にありのままの自身をさらけ出すことを奨励します。ユーモアを主なツールとして、出会いは予想もしない限界まで複雑になるでしょう。

      

                       

      

 

3Desperté con un sueño (仮題「夢で目覚めた」)

データ:製作国アルゼンチン=ウルグアイ、2022年、ドラマ、76分、長編3作目

映画祭・受賞歴:ベルリン映画祭2023ジェネレーションKplus部門でプレミアされた。

監督紹介パブロ・ソラルス1969年ブエノスアイレス生れ、監督、脚本家、俳優、教師。ブエノスアイレス演劇学校に入学、コロンビア大学シカゴ校で映画を学んだ後帰国、母国でキャリアを積む。脚本家として、カルロス・ソリンの「Historias minimas」、アリエル・ウィノグラードの「Sin hijos」、フアン・タラトゥトなどとタッグを組んでいるほか脚本執筆多数。2011年「Juntos para siempre」で長編デビュー、2017年、名優ミゲル・アンヘラ・ソラを主役に起用した2作目「El último traje」が、『家へ帰ろう』の邦題で劇場公開された。SKIP映画祭上映の折来日している。新作が3作目になる。当ブログで「Sin hijos」の作品紹介をしています。

   

      

 

キャスト:ルーカス・フェロ(フェリペ)、ミレリャ・パスクアル、ロミナ・ペルフォ、マリアナ・スミレビテス、エマ・セナ

ストーリー:フェリペの日常は、湯治場の閑散とした通りを友人たちと自転車に乗ったり、フリースタイルでラップしたり、母親に隠れて演劇のクラスに行ったりして過ごしている。彼の情熱は夢のようなものだが、目覚めると直ぐ内容を書き留めておく。ある映画のオーディションの可能性に直面して、父親が亡くなった8歳のとき以来一度も会ったことのない父方の祖母を頼って首都に脱出する。フェリペは過去の断片をかき集め、自分が何になりたいかを考え始める。

 

      

   

                     (再会した祖母、フレームから)

    

      

  

4El castigo(仮題「罰」)

データ:製作国チリ=アルゼンチン、スペイン語、2022年、ドラマ、86

監督紹介マティアス・ビセ1979年サンティアゴ・デ・チリ生れ、監督、製作者、脚本家。2003年にデビュー作「Sábado」を若干23歳で撮った。マンハイム・ハイデルベルク映画祭のライナー・ヴェルナー・ファスビンダー賞を受賞した。2005年の2作目「En la cama」がバジャドリード映画祭2005の作品賞金の穂を受賞、『ベッドの中で』の邦題でミニ映画祭で上映された。5作目「La vida de los peces」はベネチア映画祭2010監督週間でプレミアされ、ゴヤ賞2011イベロアメリカ映画部門で受賞、ブニュエル賞ほか受賞歴多数。6作目「La memoria del agua」はウエルバ映画祭2015銀のコロン賞ほかを受賞、『水の記憶』としてNetflixで配信されている。2022年の「Mensajes Privados」はマラガ映画祭にノミネートされ、ニコラス・ポブレテが助演男優賞を受賞した。新作は9作目になる。

Mensajes Privados」の紹介記事は、コチラ20220314

   

    

        (マティアス・ビセ、マラガ映画祭2022のプレス会見)

 

キャスト:アントニア・セヘルス(アナ)、ネストル・カンティリャナ(マテオ)、カタリア・サアベドラ、ジャイル・フリ Yair Juri、サンティアゴ・ウルビナ(ルーカス)

ストーリー:アナとマテオは、悪さをしたので罰として数分間放っておいた息子が行方不明になってしまった。必死の捜索は、リアルタイムで森の中や自動車道などで行われる。80分間というもの夫婦は、恐怖、罪悪感、壊れやすい彼らの繋がり、最も厳しい発覚に直面する。アナがどこかで息子が見つからないよう願っているのは、彼が生れてからずっと幸せでなかったからだ。

   

       

     (息子を探すアナとマテオ)