アルゼンチンからロミナ・パウラの第1作*サンセバスチャン映画祭2019 ⑳ ― 2019年09月10日 11:34
ホライズンズ・ラティノ第6弾――ロミナ・パウラの第1作「De nuevo otra vez」
★女優としてキャリアを積んできたロミナ・パウラの初監督作品です。いわゆる女性の危機と言われる40歳を迎え、一念発起して監督したデビュー作「De nuevo otra vez」のテーマは、女性の権利、母性、ゆれ動く気まぐれな欲求などを語っている。主役ロミナを自ら演じ、自身の母親と4歳になる息子も共演しており、フィクションとノンフィクションが混在しているようです。ロッテルダム映画祭2019「Bright Future」部門に正式出品、他にインディリスボア・インディペンデント映画祭リスボン・シティ賞ノミネート、ウルグアイ映画祭イベロアメリカ部門作品賞を受賞している。ロミナ・パウラは、サンティアゴ・ミトレの「Estudiante」(11)でアルゼンチン・アカデミー2011の新人女優賞を受賞している。本作はラテンビート2012で『エストゥディアンテ』の邦題で上映された。
(自作を語るロミナ・パウラ、2019年6月)
(エステバン・ラモチェとロミナ・パウラ、『エストゥディアンテス』から)
「De nuevo otra vez」(「Again Once Again」)
製作:Varsovia
監督・脚本:ロミナ・パウラ
音楽:ヘルマン・コーエン
撮影:エドゥアルド・クレスポ
編集:エリアネ・カッツ
美術:パウラ・レペット
製作者:ルシア・チャバリ、フロレンシア・スカラノ(以上エグゼクティブ)、ディエゴ・ドゥブコブスキー
データ:製作国アルゼンチン、スペイン語・ドイツ語、2019年、ドラマ、84分。公開アルゼンチン2019年6月6日
映画祭・受賞歴:ロッテルダム映画祭2019「Bright Future」部門に正式出品、インディリスボア・インディペンデント映画祭リスボン・シティ賞ノミネート、シンガポール映画祭正式出品、ウルグアイ映画祭イベロアメリカ部門作品賞を受賞、他
キャスト:ロミナ・パウラ(ロミナ)、モニカ・ランク(母親モニカ)、ラモン・コーエン・アラシ(息子ラモン)、マリアナ・チャウド(マリアナ)、パブロ・シガル(パブロ)、デニーズ(ドゥニーズ)・グロエスマン(デニーズ)、エステバン・ビグリアルディ(ハビエル)、他
ストーリー:ロミナは息子ラモンを連れて実家に戻ってきた。ラモンの父親とは縁を切って、一時的に母親モニカの家に身を寄せている。ブエノスアイレスを訪れてから、自分がいったい何をしたいかはっきりさせたいと考えている。ドイツ語の教師をしながら独身時代のように夜の外出を試みる。自分が何者か知る必要に迫られて、原点に立ち戻りつつ、家族の過去を再建しようとする。予測可能な困難を避けながら、自ら選んだ道で生き生きしてくる。映画的探究は勿論のこと、洞察力のある、感受性豊かなドラマになっている。家族とは、母性とは、女性の権利とは、人生の半ばでゆれ動く欲望、女性の危機が語られる。 (文責:管理人)
40歳は女性の曲がり角――まだ冒険の時間が残されている
★ロミナ・パウラ(ブエノスアイレス1979)は、アルゼンチンでは幾つもの顔をもつよく知られた才媛である。作家として3冊の小説に加えて短編集1冊、戯曲家、舞台演出家、女優、主にマティアス・ピニェイロ映画の常連である。例えば「El hombre robado」(07)、「Todos mienten」(09)、「Viola」(12)、「La princesa de Francia」(14)、「Hermia & Helena」(16)とピニェイロの長編全作に起用されています。そして今回の「De nuevo otra vez」で監督と脚本家としてのキャリアが加わった。「執筆したり、演出したり、演じたりしているなかで、映画を監督したら違う何かが見えてくるのではないかと冒険がしたくなった。身近だが普遍性のあるテーマにしたいと思った」とその動機を語っています。
(処女作「¿ Vos me querés a mí ?」の表紙、2005年刊)
★出発点を個人的なテーマに選んだのは何故か。それは「母親を撮ることがそもそものアイデアだったから」と日刊紙「クラリン」のインタビューで語っている。「息子と私はいつも一緒に暮らしているが、母とはまったく違う。だから母を撮る一番いい方法は、ドイツ語を話している母の家を舞台にすることだった。わたしの家族はドイツ語を使っていない。母を出演させることで何かを掴みたかった」とその理由を語っている。家族を被写体にすることの困難さや母親や息子を演じさせることで二人が変わってしまうことはなかったか、という質問には「簡単だったかどうかは分からないが、予測に反してスムーズに進行した。確かに言えるのは、二人を自由気儘にさせたので撮影中は満足していたようだった。しかし母はいくつかのシーンではドラマチックな演技をしていた。これまで彼女にそんな才能があるなんて気づかなかったが、結果的にはそれは素晴らしいサプライズだった」と応えている。然り人間は演技する動物です。
(ロミナ、息子ラモン、母モニカ、映画から)
(ラモンとロミナ)
★本作が最初で最後のフィルムでないのは当然ですが、文学や演劇のように簡単にはいかない。制作会社探しだけでなく諸々の準備が山ほどある。本作が評価されることも重要だが、まず観客を惹きつけるアイデアが生まれることが先決でしょうか。現代は女性でも何か冒険ができそうな時代になってきたので、次回作を期待したい。
★ベネチア映画祭も金獅子賞にトッド・フィリップスの『ジョーカー』を選んで終幕しました(9月7日)。もうこれで主役のホアキン・フェニックスの2020年アカデミー男優賞受賞は決りでしょうか。スペイン語映画も大賞受賞には及びませんでしたが、コンペ外で何作か目に入りましたので別途アップします。忘れていけないのが、ペドロ・アルモドバルの栄誉金獅子賞受賞でした。
キュアロンの『ROMA』にFIPRESCI*サンセバスチャン映画祭2019 ⑲ ― 2019年09月05日 10:36
今年のFIPRESCI受賞はアルフォンソ・キュアロンの『ROMA/ローマ』
(右端下がトロフィー)
★8月29日、第67回サンセバスチャン映画祭のFIPRESCI(国際映画批評家連盟)賞は、アルフォンソ・キュアロンの『ROMA/ローマ』になりました。連盟の批評家のメンバー618名が投票に参加しました。2018年7月1日以降に公開された作品が対象、ファイナルにはアルモドバル「Dolor y Gloria」、ポン・ジュノ『パラサイト 半地下の家族』(2020年1月公開)、ヨルゴス・ランティモス『女王陛下のお気に入り』の3作が残っておりましたが、最終的に『ROMA/ローマ』に軍配が上がりました。
★サンセバスチャン映画祭のFIPRESCIは、1999年から始まり、過去にはアルモドバル、ハネケ、クリスティアン・ムンジウ、ゴダール、ポランスキー、エトセトラ。キュアロンの受賞は今回が初めてということでした。もう本人でさえトロフィーの数は多すぎて分からないでしょうし、飾る場所も・・・と要らぬ心配をしています。映画祭開催中のどこかで授賞式がある予定ですが、まだ未定です。
ウルグアイの新星ルシア・ガリバルディ*サンセバスチャン映画祭2019 ⑱ ― 2019年09月04日 11:53
ホライズンズ・ラティノ第5弾――ルシア・ガリバルディの「Los tiburones」
★女性監督が少ない今回のホライズンズ・ラティノ部門、サンダンス映画祭2019(ワールド・シネマ部門)で監督賞を受賞したルシア・ガリバルディ(モンテビデオ1986)のデビュー作「Los tiburones」は、ブエノスアイレス国際インディペンデント映画祭 BAFICI 審査員特別賞、続いて8月開催のリマ映画祭2019で審査員スペシャル・メンションを受賞したばかりです。もともとはSSIFF の Cine en Construcción 34(2018年)の技巧賞受賞作品です。主演にウルグアイのロミナ・ベンタンクル、フェデリコ・モロシニを起用、二人とも映画は初出演である。他にアルゼンチンからバレリア・ロイスとファビアン・アレニジャスが脇を固めている。サンダンスFFの高評価が以後の成功を導きだしたようです。
(ルシア・ガリバルディ監督)
(ルシア・ガリバルディとロミナ・ベンタンクル、サンダンスFF2019にて)
「Los tiburones」(「The Sharks」)
製作:Montelona Cine / Nephilim Producciones / Trapecio Cine
監督・脚本:ルシア・ガリバルディ
撮影:ヘルマン・ノセジャ
編集:セバスティアン・Schjaer
音楽:ファブリツィオ・ロッシ、ミゲル・レカルデ
製作者:パンチョ・マグノス、イサベル・ガルシア、他
データ:製作国ウルグアイ、アルゼンチン、スペイン、スペイン語、2019年、ドラマ、80分。ウルグアイ公開2019年6月6日
映画祭・受賞歴:サンダンス映画祭2019(ワールド・シネマ部門)監督賞、BAFICI 審査員特別賞、ウルグアイ映画祭出品、シアトル映画祭出品、グアダラハラ映画祭イベロアメリカ部門の審査員特別賞と女優賞(ロミナ・ベンタンクル)、リマ映画祭2019審査員スペシャル・メンションなどを受賞している。サンセバスチャン映画祭「ホライズンズ・ラティノ部門」正式出品。2018年サンセバスチャン映画祭Cine en Construcción 34 技巧賞受賞作品。
キャスト:ロミナ・ベンタンクル(ロシナ)、フェデリコ・モロシニ(ホセロ)、バレリア・ロイス(ロシナの母)、ファビアン・アレニジャス(ロシナの父)、アントネジャ・アキスタパチェ(マリアナ)、他
ストーリー:いつもは物静かな湯治場なのだが、沿岸にサメが出没したという噂が立ち動揺していた。14歳になるロシナは、海のなかに何かがいるのを見たのだが、誰もそのことに注意を払わなかった。住宅のメンテナンス業をしている父親に連れられて仕事場に行ったとき、自分より少し年長のホセロと知り合った。汚れたプール、豪華な庭園、人気のない浜辺で、ロシナの新しい体験が始り、自分とホセロの体の隔たりを縮めたい欲求を覚えた。しかし殆ど反応がなく、彼の注意を惹くために大胆な少しみだらな計画を練り上げることにした。それは何か不思議な存在によって心を動かされる、目に見えない危険なものでなくてはならなかった。サメ警報の出ている地方のコミュニティを背景に、少女の性の目覚めが語られる。
(ロシナ役のロミナ・ベンタンクルとホセロ役のフェデリコ・モロシニ)
(左端、フェデリコ・モロシニ、映画から)
★ロシナの家族は、ウルグアイの経済的な危機もあって、少なくとも平穏とは言い難い。サメの噂や水不足からくる湯治場の観光客減によって共同体にも変化の兆しがみられる。父親の仕事もプールの清掃やら、庭園の管理やらあれこれ、雇人を使ってこなしている。そのなかの青年の一人がホセロという設定のようです。小魚やそのほかの海の生物を食い漁るサメが様々なメタファーになっている。例えば獲物を待ち伏せる狩人のような少女、あるいは不機嫌、無秩序、フラストレーション、ささやかな勝利など、悲喜劇というコメントも目にしました。
(トロフィーを手にした、製作者パンチョ・マグノスと監督、グアダラハラ映画祭2019にて)
★ベネチア映画祭も後半に入りましたが、ということはサンセバスチャン映画祭 SSIFFの開幕が近いということです。両映画祭は期間の近接だけでなく上映作品もダブっている。コンペティション外だがホライズンズ・ラティノ部門のクロージング作品、ハイロ・ブスタマンテの「La Llorona」は、ベネチア・デイズのコンペティション外上映、セバスティアン・ムニョスの「El príncipe」(「The Prince」チリ、アルゼンチン、ベルギー)は、第34回「国際批評家週間」に正式出品されている。1970年代のチリ、首都サンティアゴ近郊の都市サンベルナルドにある刑務所に収監された20代の青年ハイメの愛と忠誠、刑務所内の権力闘争が描かれる。アルフレッド・カストロやガストン・パウルスがクレジットされているので、時間があればアップします。
(ハイメ役フアン・カルロス・マルドナドを配したポスター)
(アルフレッド・カストロ、フアン・カルロス・マルドナド、ガストン・パウルス)
ドナルド・サザーランドにドノスティア賞*サンセバスチャン映画祭2019 ⑰ ― 2019年09月02日 11:37
3人目のドノスティア賞は今年も英語圏の俳優が受賞します!
★ホライズンズ・ラティノ部門の紹介が途切れていますが、開催が近づいてきたこともあって、サバルテギ-タバカレラ部門、メイド・イン・スペインなどの全体像が見えてきました。8月27には3人目のドノスティア賞に、カナダ出身アメリカで活躍する俳優ドナルド・サザーランド(セント・ジョン1935)受賞の発表がありました。長い芸歴から世代によって代表作も違うと思いますが、サザーランドといえば、ロバート・アルトマンのコメディ『M★A★S★H マッシュ』(70)を挙げない人は少ないでしょう。朝鮮戦争の野戦病院に配属された破天荒な3人の軍医の一人になった。笑い飛ばしながら戦争の愚かさと体制批判をしたアルトマンならではの反戦ブラックコメディでした。
(ドナルド・サザーランド『M★A★S★H マッシュ』から)
★キャリア紹介は、日本語ウイキペディアで充分と思いますが、スリラー、ホラー、コメディ、ドラマとなんでもOKのマルチ俳優なのにオスカー受賞歴はゼロ、80年代に作品に恵まれなかったことや、脇役が多かったせいかもしれない。2018年にアカデミー栄誉賞を受賞したのが初のオスカー賞だった。日本語ウイキは新しい情報を載せていないことが多く、栄誉賞の記事も見当たらなかった。オスカーとは性格も選考母体も異なるゴールデン・グローブ賞には、1971年前述の『M★A★S★H マッシュ』と、1981年のロバート・レッドフォードの『普通の人々』で主演男優賞、1999年のロバート・タウンの『ラスト・リミッツ』で助演男優賞と3回ノミネートされたが、いずれも受賞には至らなかった。2018年にチューリッヒ映画祭の栄誉賞に当たる「ライフライム・アチーブメント賞」を受賞、今年サンセバスチャンFFの栄誉賞「ドノスティア賞」を受賞する。
(チューリッヒ映画祭栄誉賞のスピーチをするサザーランド)
★2000年、クリント・イーストウッド監督・出演した『スペース・カウボーイ』、ジョー・ライトの『プライドと偏見』(05)では5人姉妹の父親役を演じた。ジュゼッペ・トルナトーレの『鑑定士と顔のない依頼人』(13)、2015年のジョン・カサーのウエスタン『ワイルドガン』では息子キーファー・サザーランドと親子を演じた。久しぶりに認知症を患う主役を演じたのが、パオラ・ヴィルズィの『ロング、ロングバケーション』、末期ガンの妻(ヘレン・ミレン)と人生最後の旅に出る。ベネチアFFでワールド・プレミアされ、SSIFFのペルラス部門でも上映された。同じくベネチアFF2019で上映されるジェームズ・グレイのSFスリラー『アド・アストラ』にも出演、ブラッド・ピットとトミー・リー・ジョーンズが父子を演じる。既に9月20日劇場公開も決定している。
(『スペース・カウボーイ』のオジサン4人、右端がサザーランド)
★9月26日メイン会場のクルサールで、栄誉賞ドノスティア賞の授与式が行われる。その後、サザーランドが出演しているイタリア系アメリカ人の監督ジュゼッペ・カポトンディのスリラー「The Burnt Orange Heresy」が上映される。チャールズ・ウィルフォードの同名小説(翻訳書『炎に消えた名画』)の映画化、ミック・ジャガー、クレス・バング、エリザベス・デビッキと共演する。サザーランドは隠遁生活をしている画家に扮し、ミック・ジャガーは彼のスタジオから作品を盗もうとするセレブな美術品コレクターになる。イタリアのコモ湖畔を舞台に、名画盗難をめぐる犯罪サスペンス、いずれ公開されるでしょう。本作はベネチアFFではコンペティション外ですが、クロージング作品として、映画祭最終日の9月7日に上映されます。舞台がイタリア、監督もイタリア系ということでクロージングに選ばれたのかもしれない。
(クレス・バングとエリザベス・デビッキ「The Burnt Orange Heresy」)
★今年のベネチア映画祭のオープニング作品は、是枝監督の『真実』で、上映後の「スタンディングオベーションが6分」など大々的に報じていました。金獅子賞受賞なら黒澤明の『羅生門』(1951)以来とか。
パブロ・ララインの「Ema」がペルラスに*サンセバスチャン映画祭2019 ⑯ ― 2019年08月28日 14:16
現代の家族をめぐる挑発的なドラマ「Ema」
★ペルラス部門の追加作品のうち、チリのパブロ・ラライン「Ema」と、コロンビアのチロ(シーロ)・ゲーラの「Waiting for the Barbarians」が昨年の『夏の鳥』に続いてペルラスにエントリーされていた。後者は監督が英語でコロンビア以外で撮った初めての映画となる。何回も言及しているように南アフリカ連邦出身(国籍は南ア連邦とオーストラリア)のジョン・マックスウェル・クッツェーの小説『夷狄を待ちながら』(1980、翻訳1991)の映画化です。2003年ノーベル文学賞、異例と言われた2度のブッカー賞受賞と、翻訳書も多く、2度にわたって来日している。劇場公開が視野に入っている英語映画ということで後回しにします。
★パブロ・ラライン(サンティアゴ1976)の新作「Ema」は、ベネチア映画祭2019コンペティション部門(8月31日上映)、トロント映画祭(9月8日上映)の後、SSIFFに登場します。ラライン映画の本映画祭の関りは、『トニー・マネロ』「Post Mortem」『ザ・クラブ』 がホライズンズ・ラティノ部門、『No』『ネルーダ 大いなる愛の逃亡者』がペルラス部門にノミネートされている。「Post Mortem」以外はラテンビートで見ることができ、チリの監督としては認知度ナンバーワンではないでしょうか。
「Ema」
製作:Fabula
監督:パブロ・ラライン
脚本:ギジェルモ・カルデロン、アレハンドロ・モレノ
音楽:ニコラス・Jaar
撮影:セルヒオ・アームストロング
編集:セバスティアン・セプルベダ
プロダクション・デザイン:エステファニア・ラライン
衣装デザイン:フェリペ・クリアド
プロダクション・マネージメント:ジョナサン・ホタ・オソリオ
特殊効果:ホアキン・サインス
製作者:ロシオ・Jadue(エグゼクティブ)、フアン・デ・ディオス・ラライン、クリスティアン・エチェベリア、他
データ:製作国チリ、スペイン語、2019年、ドラマ、102分、撮影はバルパライソで6週間、2019年米国公開の予定
映画祭・受賞歴:ベネチア映画祭2019コンペティション部門正式出品(8月31日上映)、トロント映画祭2019 Galas部門(9月8日上映)、サンセバスチャン映画祭ペルラス部門出品
キャスト:マリアナ・ディ・ジロラモ(エマ)、ガエル・ガルシア・ベルナル(エマの夫)、サンティアゴ・カブレラ、ジャンニナ・フルッテロ、エドゥアルド・パシェコ、カタリナ・サーべドラ、パオラ・ジャンニーニ、他
ストーリー:偶発的な出来事で心の傷を負ったあと、家庭生活は不安定になっている。激烈な振付師とレゲトンの踊り手エマの夫婦は、個人的な解放を求めて波乱に富んだ船出をする。現代の家族、アート、欲望についての挑発的なドラマ。
(エマに扮するマリアナ・ディ・ジロラモと夫役のG. G. ガエル)
★2016年の英語映画『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』完成後、2018年8月に新作のタイトルは「Ema」、スペイン語で撮るという発表があった。既にガエル・ガルシア・ベルナルと相手役にラライン映画は初めてというマリアナ・ディ・ジロラモ(サンティアゴ1990)起用が決まっていた。『No』や『ネルーダ 大いなる愛の逃亡者』に続いて、G. G. ガエルとタッグを組んだ。マリアナはチリのカトリック大学で演劇を専攻、舞台、TVシリーズ「Río oscuro」(7話)に出演している他、アレハンドロ・フェルナンデス・アルメンドラスの「Aquí no ha pasado nada」に脇役出演している。
(新作発表のラライン監督とG. G. ガエル)
(マリアナ・ディ・ジロラ)
★脇を固めるのは、米TVシリーズでも活躍するベネズエラのサンティアゴ・カブレラ(カラカス1978)、『家政婦ラケル』の怪演で観客を魅了したチリのベテラン女優カタリナ・サーべドラ、『泥棒と踊り子』や「メアリとマイク」の主役マリアナ・ロヨラ(サンティアゴ1975)などがクレジットされている。
★「偶発的な出来事」が紹介したストーリーからは分からないが、上手くいかなかった養子縁組を指しているようです。脚本は『ネルーダ~』のギジェルモ・カルデロンと「Medea」を監督したアレハンドロ・モレノとの共同執筆です。製作はラライン監督の実弟フアン・デ・ディオス・ララインが手掛けている。レゲトンというのは、1980年代から90年代にかけてのアメリカのヒップホップの影響を受けたプエルトリコ人が生み出した音楽、レゲエ+サルサ+ボンバなどが加わっているそうです。
コスタ・ガヴラスにドノスティア賞*サンセバスチャン映画祭2019 ⑮ ― 2019年08月25日 15:37
パルム・ドール、金熊賞、金貝賞を受賞した監督にドノスティア賞
★9月19日、一人目のペネロペ・クルスに続いて、ギリシャ出身だがフランスで活動している監督コスタ・ガヴラスにサンセバスチャン映画祭の栄誉賞ドノスティア賞が贈られることがアナウンスされました。初期のイヴ・モンタンを起用して撮った『Z』(69)、『告白』(70)、『戒厳令』(72)の三部作をリアルタイムで観たオールドファン、『ミッシング』(82)を皮切りに『マッド・シティ』(97)などを堪能したハリウッド映画ファン、またはフランス映画祭で上映された『斧』や『西のエデン』で初めてガヴラス映画を観た若いファンにも嬉しいニュースに違いない。因みにフランス映画『ザ・キャピタル マネーにとりつかれた男』(12)は、第60回サンセバスチャン映画祭SSIFF 2012の金貝賞受賞作品でした。
(三部作の1作目『Z』のポスター)
★授賞式は9月21日、ビクトリア・エウヘニア劇場で、当日には新作「Adults in the Room」(19、フランス=ギリシャ、言語は英語・ギリシャ語)の特別上映があります。ギリシャ出身の監督が初めてギリシャ語で撮った作品ということです。本作は「ギリシャ危機2015」当時、チプラス政権の財務大臣(任期1月21日~7月6日)だったヤニス・バルファキスの回想録「Adults in the Room: My Battle With Europe’s Deep Establishment」(2017年刊)がベースになっている。同年チューリッヒで舞台化されているそうです。8月31日、ベネチア映画祭でワールド・プレミアされ、本映画祭上映後、9月29日にギリシャで公開される予定。
(新作「Adults in the Room」から)
★ベネチア映画祭では新作「Adults in the Room」が上映されるだけでなく、野心的な作品を撮り続けている監督に贈られる「監督・ばんざい!賞」も授与されます。「人は決して生まれた国を忘れません。特にギリシャのような国ではそうです。そこから逃げてきたのは、私のような社会階級の若者には神政デモクラシーの服従しかなかったからです」と、22歳でパリに脱出した当時を語った監督、ギリシャ経済危機をテーマに再び自分の激情を表現するために故国に戻ってきた。新作はギリシャ語で撮る最初の作品になる。今年86歳になったガヴラスは、2018年8月30日、AP通信が死亡説を流して大騒ぎになったが、実は本作製作中だったのでした。
(「Adults in the Room」撮影中の監督とバルファキス財務大臣役のクリストス・ロウリス)
★コスタ・ガヴラス(ルトラ・イレアス1933、国籍ギリシャ、フランス)については、日本版ウィキペディアで主な作品は紹介されているので、キャリアは改めてご紹介するまでもありませんが、なかで当ブログと関係深いのが三部作の一つ、1970年のウルグアイの首都モンテビデオを舞台にした『戒厳令』(仏伊合作)です。本作はイタリア系アメリカ人ダン・アンソニー・ミトリオンが、都市ゲリラグループ「トゥパマロス」に誘拐され、最終的には殺害されるという実際にあった事件がモデルになっています。フランスのルイ・デリュック受賞作品。
★映画ではミトリオンは技師フィリップ・マイケル・サントーレとなり、シャンソン歌手として成功していたイヴ・モンタンが扮した。一人の新聞記者がこの事件を調査する課程で、サントーレが技師ではなく、南米の赤化を食い止めるためウルグアイの公安当局に派遣された、元CIAの諜報員であったことが分かってくる。当時はウルグアイだけでなく、アメリカの裏庭と称された南米諸国には、左翼弾圧を目的に送り込まれてくるCIAメンバーは、アルゼンチン、チリ他、南米全体に及んでいた。彼らはビジネスマンや技術者、領事館職員など仮の姿で入国、思想教育やベトナム戦争で培った拷問のノウハウを伝授したりした。これは後の歴史が証明していることです。世界は米ソ冷戦時代真っただ中だったのです。
*「トゥパマロス」については、アルバロ・ブレッヒナーの『12年の長い夜』で紹介しています。
(イヴ・モンタンと目出し帽を被ったトゥパマロスのメンバー、映画から)
★もう一つが、アメリカ映画界の足掛かりを掴んだ最初の英語作品、ジャック・レモンを主役に撮った、政治スリラー『ミッシング』(米仏合作)です。1973年9月11日、ピノチェトによって起されたチリの軍事クーデタのさなか行方不明になったチリ在住のアメリカ人チャールズ・ホーマン失踪事件を描いている。トマス・ハウザーの「The Execution of Chales Homan: An American Sacrifice」(1978年刊)の映画化。ジャック・レモンはチャールズの父親に扮した。シシー・スペイセクが義父と一緒にチャールズ捜索をする妻を演じた。カンヌ映画祭1982のパルム・ドール、ジャック・レモンが男優賞を受賞した他、翌年のアカデミー賞では脚色賞を受賞した。
(『ミッシング』のポスター、主演のジャック・レモンとシシー・スペイセク)
★1989年には『ミュージックボックス』(89、米)が第40回ベルリン映画祭の金熊賞を受賞した。1989年11月にベルリンの壁が崩壊した後に開催された最初の映画祭でした。ハンガリーのユダヤ人虐殺をテーマにした法廷ドラマ、ユダヤ人虐殺犯の容疑をかけられたハンガリー移民の父を弁護するため立ち上がった娘が見た真実とは、果たして父は有罪なのか無罪なのか、二転三転するスリリングなストーリー、弁護士の娘にジェシカ・ラングが扮してアカデミー主演女優賞にノミネートされた。ミュージックボックスとは決め手となるオルゴールから付けられた。
★また劇場未公開ながら人気ランキング上位なのが「Amen.」(02、仏独米ルーマニア合作)、邦題は『ホロコースト―アドルフ・ヒトラーの洗礼―』と非常に長いタイトルが付けられた。ナチズムが吹き荒れた時代のヴァチカンの沈黙がテーマでした。ポーランドのトレブリンカ絶滅収容所での大量虐殺を幇助したクルト・ゲルシュタインにウルリッヒ・トゥクルを起用した。何度もTV放映されているからご覧になった方が多いと思います。
(撮影中の左から、監督、マチュー・カソヴィッツ、ウルリッヒ・トゥクル)
★1998年、長年の業績に対してルネ・クレール賞。1982年から87年までと、2007年以降シネマテーク・フランセーズの理事長を務めている。
ペルーのベガ兄弟の「La bronca」*サンセバスチャン映画祭2019 ⑭ ― 2019年08月23日 17:19
ホライズンズ・ラティノ第4弾――ペルー映画「La bronca」
★去る8月21日閉幕した第23回リマ映画祭PUCPでダニエル&ディエゴ・ベガ兄弟の3作目「La bronca」が、ペルー映画批評家協会APRECI賞を受賞しました。トロフィーはダニエル・ベガ監督とホルヘ・ゲーラが登壇してトロフィーを受け取りました。2014年に第2作「El mudo」が受賞して以来2回目となります。他にロドリゴ・パラシオスが主演男優賞、ペルー映画に与えられる文化省賞の第3席を受賞しました。ベガ兄弟のデビュー作「Octubre」は、カンヌ映画祭2010「ある視点」に出品され、いきなり審査員賞を受賞しました。同年のサンセバスチャン映画祭にも出品されたこともあってか、ラテンビートLBFF 2010に『10月の奇跡』として上映される予定でしたが、理由は分かりませんが土壇場で取り止めになったのでした。偶然赤ん坊を拾ったことで人生が一変してしまう独り身の質屋を営む中年男の話でした。では、二人が共同監督した第3作目「La bronca」を紹介します。
(トロフィーを披露する、ダニエル・ベガ監督と主演のホルヘ・ゲーラ、リマ映画祭にて)
(主演男優賞受賞のロドリゴ・パラシオス)
「La bronca」(「The Clash」)
製作:Maretazo Cine(ペルー)/ Tondero Films(同)/ 1976 Productions(カナダ)/
Día Fragma Fábrica de Películas(コロンビア)
監督・脚本:ダニエル・ベガ・ビダル、ディエゴ・ベガ・ビダル
撮影:ディエゴ・ロメロ・スアレス=ジャノス(リャノス)
録音:パブロ・ビジェガス(ビリェガス)
美術:マキシム・ノルマンド
編集:マルティン・グティエレス
製作者:ニコラス・Comeau(1976 Productions)、ダニエル・ガルシア(Día Fragma Fábrica de Películas)、ミゲル・ヴァリャダレス(Tondero Films)、ベガ兄弟(Maretazo Cine)
データ:製作国ペルー=コロンビア、スペイン語・英語、2019年、102分、製作発表2016年8月、2017年初めクランクイン
映画祭・受賞歴:第23回リマ映画祭2019正式出品、APRECI賞・ペルー文化省賞3席、主演男優賞受賞。第67回サンセバスチャン映画祭2019「ホライズンズ・ラティノ部門」出品
キャスト:ホルヘ・ゲーラ(ロベルト)、ロドリゴ・パラシオス(父親ボブ・モントーヤ)、ロドリゴ・サンチェス・パティニョ、イザベル・ゲラール、シャーロット・オービン、サンドリーヌ・ポワリエ=アラール Sandrine Poirier-Allard、ルナ・マセド
ストーリー:1990年始初頭のペルーは政治的混乱に陥っていた。アルベルト・フジモリが軍と警察の支持のもと、国会を解散させるためにアウトゴルペを画策していたからだ。18歳になるロベルトは人生に行き詰っていた。何年も前に無秩序なペルーを捨て、カナダのモントリオールに移住した父親ボブ・モントーヤを頼って故郷を後にする。父親はカナダ人の新しい家族と暮らしていた。誇り高い父親は、自身の先入観から北米人が理想とする考えを息子にも強要した。父と子の再会は、逃れられない激しさをもって永遠に結ばれるだろう。90年代初頭、ペルーに吹き荒れた恐怖、苦悩、痛み、裏切りは、多くのペルー人のディアスポラを生んだ。カナダで撮影された最初のペルー映画。 (文責:管理人)
(ロベルト役のホルヘ・ゲーラ、映画から)
カナダで撮影された最初のペルー映画「La bronca」
★ダニエル・ベガによると「この物語は泡のように暮らしている中流階級の家族に焦点を合わせている」と語っている。キャストの大多数は、主演者ロドリゴ・パラシオス、ホルヘ・ゲーラを含めてペルー人を起用、言語はスペイン語と英語、カナダで撮影された最初のペルー映画。舞台となるモントリオールはフランスから移住してきた人が多く、公用語は英語とフランス語、従ってキャストにもフランス映画またはTVシリーズに出ている俳優が目に付く。
(カナダの新しい家族)
★デビュー作「Octubre」は上記の他、カルタヘナFF監督賞、マル・デ・プラタFFラテンアメリカ作品賞、オデッサFF審査員特別賞などを受賞している。2作目となる「El mudo」は、サンセバスチャン映画祭の「Cine en Construcción 23」作品、BAFICI FFの監督賞、ロカルノFFに出品され、主演のフェルナンド・バシリオが男優賞を受賞するなどしている。他に第3作の製作資金のため、共同で米国TVシリーズ「El Chapo」(2017、4話のみ)の脚本執筆と監督を手掛けている。エル・チャポとはメキシコの実在の麻薬密売者の綽名、Netflix で配信された。他にダニエル・ベガは単独でコメディ「Intercambiados」(19)を撮っている。短編、ドキュメンタリーなど。
(左からディエゴ、ダニエルのベガ兄弟、2014年「El mudo」がAPRECI賞を受賞)
◎8月21日、ペルラス部門に10作が追加されました。日本からも是枝裕和監督の「La vérité / The Truth」、邦題『真実』で10月11日公開が決まっています。もう1作が100億円突破の新海誠監督のアニメーション『天気の子』が選ばれていました。他にパブロ・ララインの「Ema」と、初めてチロ・ゲーラが英語で撮った「Waiting for the Barbarians」が含まれています。
◎次回はホライズンズ・ラティノ部門は小休止して、8月19日に発表になった二人目のドノスティア賞(栄誉賞)を受賞することになったギリシャ出身の主にフランスで活動している監督コスタ・ガヴラスについてアップします。
コロンビア映画「Monos」*サンセバスチャン映画祭2019 ⑬ ― 2019年08月21日 16:03
ホライズンズ・ラティノ第3弾――アレハンドロ・ランデスの第3作「Monos」
★先日、ホライズンズ・ラティノ部門のラインナップをした折に、ウィリアム・ゴールディングの『蠅の王』(1954刊)の映画化とコメントしましたが、アレハンドロ・ランデスの「Monos」は、『蠅の王』にインスパイアされたが近い。過去にピーター・ブルック(63)とハリー・フック(90)の手で2回映画化されていますが、こちらは文字通り小説の映画化でした。最新ニュースによると、3度目の映画化をルカ・グァダニーノに交渉中という記事を目にしました。話題作『君の名前で僕を呼んで』の監督、実現すればどんな料理に仕上がるのか興味が湧く。
★アレハンドロ・ランデス(サンパウロ1980)は、監督、製作者、脚本家、ジャーナリスト。サンパウロ生れだが、父親がエクアドル人、母親がコロンビア人で、母語はスペイン語である。米国ロード・アイランドの名門ブラウン大学で政治経済を専攻した。ボリビア大統領エボ・モラレスについてのドキュメンタリー「Cocalero」でデビュー、本作はラテンビートLBFF2008で『コカレロ』の邦題で上映された。第2作の「Porfirio」は、カンヌ映画祭併催の「監督週間」に出品、その後トロントFFやメリーランドFFでも上映された。警察の不用意な発砲で下半身不随になったポルフィリオ・ラミレスの車椅子人生が語られる。本作はフィクションだが、本人のたっての希望でラミレス自身が主役ポルフィリオを演じている。第3作となる「Monos」は、製作国がコロンビアを含めて6ヵ国と、その多さが際立つ。米国アカデミー2020のコロンビア代表作品候補となっている。
「Monos」
製作:Stela Cine / Bord Cadre Films / CounterNarrative Films / Le Pacte 以下多数
監督:アレハンドロ・ランデス
脚本:アレハンドロ・ランデス、アレクシス・ドス・サントス
撮影:ジャスパー・ウルフ
音楽:ミカ・レビ
編集:テッド・グアルド、ヨルゴス・マブロプサリディス、サンティアゴ・Otheguy
製作者:アンドレス・カルデロン、J. C. Chandor、Charies De Viel Castel、ホルヘ・イラゴリ、Duke Merriman、グスタボ・パスミン、ジョセフ・レバルスキ、グロリア・マリア(以上エグゼクティブ)、アレハンドロ・ランデス、クリスティナ・ランデス、他多数
データ:製作国コロンビア=アルゼンチン=オランダ=ドイツ=スイス=ウルグアイ、スペイン語・英語、2019年、スリラー・ドラマ、102分、コロンビア公開2019年8月15日、他イタリア(7月11日)、以下オランダ、米国、イギリス、スウェーデン、ノルウェー、フランスなどがアナウンスされている。
映画祭・映画賞:サンダンスFFワールド・シネマ・ドラマ部門審査員特別賞、ベルリンFFパノラマ部門上映、BAFICI オリジナル作曲賞、アート・フィルム・フェスティバル作品賞ブルー・エンジェル受賞、カルタヘナFF観客賞・コロンビア映画賞、ニューポート・ビーチFF作品賞以下4冠、オデッサFF作品賞、トゥールーズ・ラテンアメリカFF CCAX賞、トランシルヴァニアFF作品賞などを受賞、ノミネーションは割愛
キャスト:ジュリアンヌ・ニコルソン(ドクター、サラ・ワトソン)、モイセス・アリアス(パタグランデ、ビッグフット)、フリアン・ヒラルド(ロボ、ウルフ)、ソフィア・ブエナベントゥラ(ランボー)、カレン・キンテロ(レイデイ、レディ)、ラウラ・カストリジョン(スエカ、スウェーデン人)、デイビー・ルエダ(ピトゥフォ)、パウル・クビデス(ペロ、ドッグ)、スネイデル・カストロ(ブーンブーン)、ウィルソン・サラサール(伝令)、ホルヘ・ラモン(金探索者)、バレリア・ディアナ・ソロモノフ(ジャーナリスト)、他
ストーリー:一見すると夏のキャンプ場のように見える険しい山の頂上、武装した8人の少年ゲリラ兵のグループ「ロス・モノス」が、私設軍隊パラミリタールの軍曹の監視のもと共同生活を送っている。彼らのミッションは唯一つ、人質として誘拐されてきたアメリカのドクター、サラ・ワトソンの世話をすることである。この危険なミッションが始まると、メンバー間の信頼は揺らぎ始め、次第に疑いを抱くようになる。 (文責:管理人)
(ロス・モノスに囲まれた拉致被害者サラ・ワトソン役ジュリアンヌ・ニコルソン)
コロンビアの半世紀に及ぶ内戦についての出口なしのサバイバルゲーム
★ストーリーから直ぐ連想されるのは、20世紀後半のコロンビアに半世紀以上も吹き荒れた内戦の傷である。比較されるのはフランシス・フォード・コッポラの『地獄の黙示録』の原作となったジョセフ・コンラッドの『闇の奥』(1902刊)であろうが、原作にあるような「心の闇」は希薄のようです。本作は目眩やアドレナリンどくどくでも瞑想的ではないようだ。社会と隔絶された場所、登場人物の若者グループなど舞台装置は、ウィリアム・ゴールディングの『蠅の王』を思い出させる。極寒の地の厳しさのなかで、武器を持たされ軍事訓練を受ける若者のグループは、ついこの間まで存在していたコロンビアに容易に結びつく。
(8人の武装グループ「ロス・モノス」と軍曹)
★コロンビア公開に際して受けたインタビューで、前から「若者を主役にして戦闘やメロドラマを織り込んだ目眩を起こさせるようなセンセショーナルな作品を探していた。私たちの映画はあまり観想的ではなくてもアドレナリンは注入したかった。ジャンル的には戦闘とアクションを取り込んで、観客は正当性には駆られないだろうから、皮膚がピリピリするようなものにしたかった」とランデス監督は語っていた。戦争映画はベトナムは米国が、アフリカはフランスが撮っているが、自分たちはコロンビア人の視点で自国の戦争映画を作る必然性があったとも語っている。
(アレハンドロ・ランデス監督)
★登場人物たちの名前も、政治的に左か右か分からなくてもかまわない。「イデオロギー・ゼロを観客に放り投げたかった。所詮世界は非常に偏向して、富も理想も違いすぎている。エモーションを通して揺さぶろうとするなら、どんなメタファーが有効かだ」、「何を語るかだけでなくどう語るか」、『蠅の王』や『闇の奥』が出発点にあったようです。
★キャスト陣のうち、ドクター役のジュリアンヌ・ニコルソン(マサチューセッツ州メドフォード1971、代表作『薔薇の眠り』『8月の家族』)とパタグランデ役のモイセス・アリアス(ニューヨーク1994、代表作SFアクション『エンダーのゲーム』、「The King of Summer」)は、アメリカの俳優、スエカ役のラウラ・カストリジョンはスペインのTVシリーズに出演している。金探索者のホルヘ・ラモンはルクレシア・マルテルの『サマ』に出演している。そのほかは本作が2作目か初出演。
*追加情報:ラテンビート2019で『猿』の邦題で上映が決定しました。
*追加情報:2021年10月30日『MONOS 猿と呼ばれし者たち』の邦題で公開されました。
ハイロ・ブスタマンテの「Temblores」*サンセバスチャン映画祭2019 ⑫ ― 2019年08月19日 11:29
ホライズンズ・ラティノ第2弾――ハイロ・ブスタマンテの第2作目「Temblores」
★ハイロ・ブスタマンテは、第3作目「La Llorona」がコンペティション外ではあるが、ホライズンズ・ラティノ部門のクロージング作品に選ばれ、さらにベネチア映画祭2019の「ベニス・デイ」上映も決定しているなど脚光を浴びているグアテマラの監督。第2作となる「Temblores」は、既にベルリン映画祭2019「パノラマ」部門でワールド・プレミアされた。受賞には至らなかったが、テーマの一つがLGBT問題であることからテディー賞対象作品だった。グアテマラではホモセクシュアルは悪い性癖として根絶するための治療が必要と考えられている。テーマとしてはタブーの一つであると、監督はベルリンFFのインタビューに答えていた。
(監督を挟んでパブロとイサを演じた二人の主演者、ベルリンFFにて)
★本作はグアテマラ社会の階級格差、宗教問題、不寛容が語られているようで、デビュー作『火の山のマリア』とテーマが被さっている印象です。結婚して二人の子供に恵まれながら、ある男性を愛してしまったことから地獄を見ることになる敬虔な福音派の信者パブロの物語。ベルリンFF以降、マイアミ映画祭、ルクセンブルク市、グアダラハラ、シアトル、トゥールーズ・ラテンアメリカ、ミネアポリス・St. ポールほか、国際映画祭上映が続いているが、若干グアテマラ社会の分かりにくさがネックになっているのか目下のところ大賞受賞には至っていない。
「Temblores / Tremors」
製作:Tu Vas Voiir Productions / La Casa de Production / Memento Films Production /
Iris Productions / Arte France Cinéma
監督・脚本:ハイロ・ブスタマンテ
撮影:ルイス・アルマンド・アルテアガ
音楽:パスクアル・レイェス(オリジナル・ミュージック)
編集:セサル・ディアス、サンティアゴ・Otheguy
衣装デザイン:ベアトリス・ランタン
プロダクションマネージメント:マウリシオ・エスコバル
製作者:ジェラール・ラクロア、デ・ヘスス・ペラルタ、ニコラス・スティル、エドガルド・テネンバウム、他
データ:グアテマラ=フランス=ルクセンブルク、スペイン語、2019年、ドラマ、107分、フランス公開2019年5月1日、グアテマラ8月22日
映画祭・受賞歴:ベルリンFF2019 パノラマ部門、グアダラハラFFイベロアメリカ部門撮影賞(ルイス・アルマンド・アルテアガ)受賞、ミネアポリス・St. ポールFFイメージング・フィルムメーカー賞受賞、L.A.Outfest 演技賞(フアン・パブロ・オリスラガー)、マイアミFF、トゥールーズ・ラテンアメリカFF観客賞・Rail d’Oc 受賞、トランシルバニアFF、ワールド・シネマ・アムステルダムFF、サンセバスチャンFF ホライズンズ・ラティノ部門出品など多数。
キャスト:フアン・パブロ・オリスラガー Olyslager(パブロ)、マウリシオ・アルマス・セバドゥア(パブロの恋人フランシスコ)、ダイアン・バゼン(パブロの妻イサ)、マリア・テロン(ロサ)、サブリナ・デ・ラ・ホス(主任司祭)、ルイ・フラティ(司祭)、マグノリア・モラレス(クリスティナ)、セルヒオ・ルナ(サルバドル)、パブロ・アレナレス(アベル)、マラ・マルティネス(エバ)、他
ストーリー:40歳になるパブロは、2人の子供のよき父親でもあり、福音派の教義を忠実に守っている敬虔な信徒でもある。しかし、ある一人の男性に魅せられたことから、彼の伝統を重んじる完璧な人生は崩れ始め、感情は信仰も含めて苦境に立たされている。彼の家族と教会が彼の治療の必要性を決定すると、治療の抑圧が強まるにつれ、不寛容という地獄の苦痛に堪えることになる。まだLGBTに対する正しい知識がなく、治療が必要な病気と考えるグアテマラ社会での、敬虔な福音派の信徒という宗教問題を絡ませて、一変したパブロの人生が語られる。 (文責:管理人)
(教会で祈りを捧げるパブロ一家と信徒たち)
デビュー作『火の山のマリア』と同じスタッフで撮った「Temblores」
★カミングアウトしたことで人生が一変する男の悲劇が語られるようだが、グアテマラ社会の情報が少ないなか、国際映画祭で受賞しまくったデビュー作のようなサプライズには乏しいようだ。スタッフのメンバーは、プロデューサー以下、音楽(パスクアル・レイェス)、撮影監督(ルイス・アルマンド・アルテアガ)とも前作と同じメンバーです。編集者の一人セサル・ディアスは同じ部門にノミネートされている「Nuestras madres / Our Mothers」の監督、『火の山のマリア』に引き続いて参画している。グアテマラのような市場の小さい映画発達途上国では、スタッフは互いに協力し合わざるをえないのかもしれない。
★キャスト陣のうち、主人公パブロ役のフアン・パブロ・オリスラガーは、2004年、エリアス・ヒメネス・Trachtenbergの「La casa de enfrente」でデビュー、代表作は、同監督の「VIP:La otra casa」(07)、ライ・フィゲロアの「La bodega」(10)、「Toque de Queda」(11)、ホンジュラス映画、フアン・カルロス・ファンコニの「El Xendra」(12)に出演、ハイロ・ブスタマンテの3作目「La Llorona」にも出演している。各作品ともグアテマラ内戦、政権の汚職、刑務所が舞台だったりと重いテーマの作品ばかりです。パブロが愛するフランシスコ役のマウリシオ・アルマス・セバドゥアは映画初出演のようです。
(パブロとフランシスコ)
★パブロの妻を演じたダイアン・バゼンは本作でデビュー、前作でマリアの母親を演じて貫禄の演技をしたマリア・テロンがクレジットされている。彼女は「La Llorona」にも出演している。本作でデビューした主任司祭役のサブリナ・デ・ラ・ホスの演技を褒めている記事があったが、予告編からもその凄みのある演技が伝わってくる。彼女も「La Llorona」にクレジットされている。ホモセクシュアル矯正施設のような存在に驚きを禁じ得なかった。また2人の子役の演技も高評価です。IMDb情報では、他のキャストもほとんどが本作が映画デビューのようです。
(パブロの家族、妻イサと2人の子供)
(悪い性癖の治療を受けている患者たち、中央が主任司祭のサブリナ・デ・ラ・ホス)
★パブロとフランシスコのバックグラウンドが非常に異なっていること、二人が異なった信仰を持っていることなど、厳しい階級格差や信仰問題の存在が希薄な本邦での公開は難しいかもしれない。どちらかというと第3作目となる「La Llorona」のほうが期待できるのではないか。
*『火の山のマリア』の作品、監督キャリア&フィルモグラフィーは、コチラ⇒2015年08月28日
*『火の山のマリア』のLBFFの記事は、コチラ⇒2015年10月25日
アンドレス・ウッドの新作「Araña」*サンセバスチャン映画祭2019 ⑪ ― 2019年08月16日 12:43
ホライズンズ・ラティノ第1弾――チリの監督アンドレス・ウッドの新作
★アンドレス・ウッド久々の新作であること、ラテンビートLBFFとの深い関わりやキャストにメルセデス・モランやマリア・ベルベルデが出演ということで、チリ=アルゼンチン=ブラジル合作「Araña / Spider」の紹介から。チリの監督と言えば、『No』や『ネルーダ 大いなる愛の逃亡者』のパブロ・ララインが有名ですが、彼はデビュー作『トニー・マネロ』がカンヌ映画祭併催の「監督週間」にノミネートされたこともあって、カンヌFF出品が多い。他にベネチア映画祭やベルリン映画祭にも出品しており、今年も新作「Ema」はベネチアとトロントに出品された。
「Araña / Spider」
製作:Bossa Nova Films / Magma Cine / Wood Producciones
監督:アンドレス・ウッド
脚本:ギジェルモ・カルデロン
撮影:M.I. Littin-Menz
キャスティング:ロベルト・マトゥス
美術:ロドリゴ・バサエス
製作者:パトリシオ・ペレイラ(エグゼクティブ)、パウラ・コセンサ、アレハンドロ・ガルシア、他
データ:製作国チリ=アルゼンチン=ブラジル、スペイン語、2019年、スリラー、サンセバスチャン映画祭ホライズンズ・ラティノ部門出品、チリ公開2019年8月15日
キャスト:メルセデス・モラン(イネス)、マリア・バルベルデ(ヤング・イネス)、フェリペ・アルマス(イネスの夫フスト)、ガブリエル・ウルスア(ヤング・フスト)、マルセロ・アロンソ(イネスとフストの親友ヘラルド)、ペドロ・フォンテーヌ(ヤング・ヘラルド)、カイオ・ブラット(アントニオ)、マリア・ガルシア・オメグナ(ナディア)、マリオ・ホールトン(ホセ)、ハイメ・バデル(ドン・リカルド)、他
ストーリー:1970年代の初頭、イネス、夫のフスト、夫婦の親友ヘラルドの三人は、アジェンデ政権打倒を目論む過激な国粋主義を標榜する極右グループのメンバーだった。犯罪や陰謀が渦巻くなか、彼らは歴史の流れを変えようと或る政治的犯罪に手を染めていく。同時に危険で情熱的な三角関係にもつれ込み、裏切りにより彼らは永遠に袂を分かつことになる。40年という長いあいだ、復讐と強迫観念に捉われていたヘラルドは、青春時代の国家主義的な主義主張にかき立てられていた。一方イネスは、実業家として成功を収めていた。警察は、ヘラルドと自宅に保管してある書類をを監視しており、イネスはかつての政治的性的な過去や夫フストのことが明るみに出ることを避けようと最善を尽くすだろう。サルバドル・アジェンダ政権(1970年11月4日~1973年9月11日)打倒を目標に生まれたパラミリタール「祖国と自由」運動を掘り下げる。二人のイネスによって物語は語られる。 (文責:管理人)
(左から、青春時代の仲間、イネス、ヘラルド、フストの3人)
『マチュカ 僕らと革命』とは別の視点で撮った「Araña」
★アンドレス・ウッド(サンティアゴ・デ・チレ1965)は、監督、脚本家、製作者、SSIFF1997ニューディレクターズ部門に出品された「Histrias de fútbol」がデビュー作。カンヌFF「監督週間」出品の「Machuca」(04、『マチュカ 僕らと革命』)、「La buena vida」(08、『サンティアゴの光』LBFF2009、ゴヤ賞2009イスパノアメリカ映画賞)、「Violeta se fue a los cielos」(11、『ヴィオレータ、天国へ』LBFF)などが代表作。『サンティアゴの光』がLBFFで上映された折り来日している。監督としては『ヴィオレータ、天国へ』を最後に、現在は製作者としてTVシリーズに力を注いでおり、今回8年ぶりに『マチュカ』とは別の視点で「Araña」を撮った。
*アンドレス・ウッドのキャリア&フィルモグラフィーは、コチラ⇒2018年03月04日
(アンドレス・ウッド監督、2019年8月)
★「もう一つの9-11」と言われるのが1973年11月3日に勃発したチリの軍事クーデタである。如何にしてピノチェトがクーデタを成功させ、20年近くにも及ぶ独裁政権を維持できたのか考え続けているアンドレス・ウッドが、『マチュカ 僕らと革命』とは別の視点でチリの現代史を描いている。40年の時を隔てて、キャストは各々別の俳優が演じている。ヤング・イネスはスペイン女優マリア・バルベルデ(マドリード1987)、現代のイネスはアルゼンチンのベテラン女優メルセデス・モラン(サン・ルイス1955)が扮した。バルベルデは2003年、マヌエル・マルティン・クエンカの「La flaqueza del bolchevique」で銀幕デビュー、相手役のルイス・トサールと堂々わたり合って、いきなり翌年のゴヤ賞新人女優賞を受賞したシンデレラ・ガール。LBFF2014上映の『解放者ボリバル』、Netflixのマリア・リポル『やるなら今しかない』など、スペイン映画に止まらず、イタリア、イギリス、米国映画にも出演している。
*マリア・バルベルデのキャリア紹介は、コチラ⇒2015年07月14日
(チリ公開前夜祭に登場した二人のイネス、モランとバルベルデ、2019年8月14日)
★メルセデス・モランは、昨年のLBFFで上映されたアナ・カッツの『夢のフロリアノポリス』に主演、ルクレシア・マルテルの「サルタ三部作」の第1部『沼地という名の町』、第2部『ラ・ニーニャ・サンタ』の他、パブロ・ララインの『ネルーダ 大いなる愛の逃亡者』など、当ブログでは数回にわたってキャリア紹介をしています。リカルド・ダリンと共演することが多く、アルゼンチンではチョー有名な女優。
*メルセデス・モランの主なフィルモグラフィーは、コチラ⇒2018年09月21日
(過去の秘密が暴露されることを怖れるイネス、メルセデス・モラン)
★ヘラルド役のペドロ・フォンテーヌとマルセロ・アロンソはチリの俳優、ペドロ・フォンテーヌは2015年、マリア・エルビア・レイモンドの「Days of Cleo」でデビューした。プロデューサーとしてLBFF上映のクリストファー・マーレイの『盲目のキリスト』や、アレハンドロ・フェルナンデス・アルメンドラスの「Aqui no ha pasado nada」を手掛けている。マルセロ・アロンソはパブロ・ララインのデビュー作『トニー・マネロ』や「Post Mortem」の他、『ザ・クラブ』のガルシア神父や『ネルーダ 大いなる愛の逃亡者』などに出演している演技派で、本作主演の一人。他に「Princesita」などが代表作。TVシリーズ出演が多く、チリの有名どころが総出演している観のある人気犯罪ドラマ「Prófugos」(11&13)にも出演している。
(マリア・バルベルデとペドロ・フォンテーヌ)
(ポスターにも採用されたヘラルド役のマルセロ・アロンソ)
★フスト役のガブリエル・ウルスアとフェリペ・アルマスの二人もチリと、大方はチリの俳優が起用されている。ガブリエル・ウルスアは2010年、パスカル・クルムの「MP3: una pelicula de rock descargable」でデビュー、他にフアン・ギジェルモ・プラドのアクション・アドベンチャー「Puzzle negro」など。フェリペ・アルマス(サンティアゴ1957)は、主にTVシリーズに出演しているテレビ界の大物俳優。しかし目下自閉症の息子をほったらかしにしていたことで告発されており窮地に立たされている。他にドン・リカルド役のハイメ・バデル(バルパライソ1935)は、パブロ・ララインのほとんどの作品「Post Mortem」から『ザ・クラブ』『No』『ネルーダ~』などに顔を出している。
(ヤング・イネスのマリア・バルベルデ、ヤング・フストのガブリエル・ウルスア、
背後にグループ「PATRIA Y LIBERTAD 祖国と自由」のポスター)
(公開前夜祭でのフェリペ・アルマス)
★国家主義的な極右グループ「PATRIA Y LIBERTAD 祖国と自由」のリーダーらしきアントニオは、ブラジルのカイオ・ブラット(サンパウロ1980)が演じている。ナディアを演じたマリア・ガルシア・オメグナは美人女優として売り出し中だが、目下第一子を抱えており、夫君ゴンサロ・バレンスエラにエスコートされて前夜祭に参加、話題を集めていた。
(マリア・ガルシア・オメグナ、公開前夜祭にて)
◎関連記事(管理人覚え)
*『ザ・クラブ』の紹介記事は、コチラ⇒2015年10月18日
*『ネルーダ 大いなる愛の逃亡者』の紹介記事は、コチラ⇒2017年11月22日
*「Aqui no ha pasado nada」の紹介記事は、コチラ⇒2016年08月23日
*『盲目のキリスト』の紹介記事は、コチラ⇒2016年10月06日/10月21日
*追加情報:ラテンビート2019で『蜘蛛』の邦題で上映が決定しました。
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