パブロ・ララインの「Ema」がペルラスに*サンセバスチャン映画祭2019 ⑯2019年08月28日 14:16

             現代の家族をめぐる挑発的なドラマ「Ema

 

      

★ペルラス部門の追加作品のうち、チリのパブロ・ララインEmaと、コロンビアのチロ(シーロ)・ゲーラWaiting for the Barbariansが昨年の『夏の鳥』に続いてペルラスにエントリーされていた。後者は監督が英語でコロンビア以外で撮った初めての映画となる。何回も言及しているように南アフリカ連邦出身(国籍は南ア連邦とオーストラリア)のジョン・マックスウェル・クッツェーの小説『夷狄を待ちながら』(1980、翻訳1991)の映画化です。2003年ノーベル文学賞、異例と言われた2度のブッカー賞受賞と、翻訳書も多く、2度にわたって来日している。劇場公開が視野に入っている英語映画ということで後回しにします。

 

  

                  

★パブロ・ラライン(サンティアゴ1976)の新作Emaは、ベネチア映画祭2019コンペティション部門(831日上映)、トロント映画祭(98日上映)の後、SSIFFに登場します。ラライン映画の本映画祭の関りは、『トニー・マネロ』「Post Mortem」『ザ・クラブ』 がホライズンズ・ラティノ部門、No』『ネルーダ 大いなる愛の逃亡者』がペルラス部門にノミネートされている。Post Mortem」以外はラテンビートで見ることができ、チリの監督としては認知度ナンバーワンではないでしょうか。

 

  Ema

製作:Fabula

監督:パブロ・ラライン

脚本:ギジェルモ・カルデロン、アレハンドロ・モレノ

音楽:ニコラス・Jaar

撮影:セルヒオ・アームストロング

編集:セバスティアン・セプルベダ

プロダクション・デザイン:エステファニア・ラライン

衣装デザイン:フェリペ・クリアド

プロダクション・マネージメント:ジョナサン・ホタ・オソリオ

特殊効果:ホアキン・サインス

製作者:ロシオ・Jadue(エグゼクティブ)、フアン・デ・ディオス・ラライン、クリスティアン・エチェベリア、他

 

データ:製作国チリ、スペイン語、2019年、ドラマ、102分、撮影はバルパライソで6週間、2019年米国公開の予定

映画祭・受賞歴:ベネチア映画祭2019コンペティション部門正式出品(831日上映)、トロント映画祭2019 Galas部門(98日上映)、サンセバスチャン映画祭ペルラス部門出品

 

キャスト:マリアナ・ディ・ジロラモ(エマ)、ガエル・ガルシア・ベルナル(エマの夫)、サンティアゴ・カブレラ、ジャンニナ・フルッテロ、エドゥアルド・パシェコ、カタリナ・サーべドラ、パオラ・ジャンニーニ、他

 

ストーリー:偶発的な出来事で心の傷を負ったあと、家庭生活は不安定になっている。激烈な振付師とレゲトンの踊り手エマの夫婦は、個人的な解放を求めて波乱に富んだ船出をする。現代の家族、アート、欲望についての挑発的なドラマ。

 

        

       (エマに扮するマリアナ・ディ・ジロラモと夫役のG. G. ガエル)

       

2016年の英語映画『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』完成後、20188月に新作のタイトルは「Ema」、スペイン語で撮るという発表があった。既にガエル・ガルシア・ベルナルと相手役にラライン映画は初めてというマリアナ・ディ・ジロラモ(サンティアゴ1990起用が決まっていた。『No』や『ネルーダ 大いなる愛の逃亡者』に続いて、G. G. ガエルとタッグを組んだ。マリアナはチリのカトリック大学で演劇を専攻、舞台、TVシリーズ「Río oscuro」(7話)に出演している他、アレハンドロ・フェルナンデス・アルメンドラスの「Aquí no ha pasado nada」に脇役出演している。

 

         

                      (新作発表のラライン監督とG. G. ガエル)

 

         

  (マリアナ・ディ・ジロラ)

 

★脇を固めるのは、米TVシリーズでも活躍するベネズエラのサンティアゴ・カブレラ(カラカス1978)、『家政婦ラケル』の怪演で観客を魅了したチリのベテラン女優カタリナ・サーべドラ、『泥棒と踊り子』や「メアリとマイク」の主役マリアナ・ロヨラ(サンティアゴ1975)などがクレジットされている。

 

★「偶発的な出来事」が紹介したストーリーからは分からないが、上手くいかなかった養子縁組を指しているようです。脚本は『ネルーダ~』のギジェルモ・カルデロンと「Medea」を監督したアレハンドロ・モレノとの共同執筆です。製作はラライン監督の実弟フアン・デ・ディオス・ララインが手掛けている。レゲトンというのは、1980年代から90年代にかけてのアメリカのヒップホップの影響を受けたプエルトリコ人が生み出した音楽、レゲエ+サルサ+ボンバなどが加わっているそうです。

  

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