ロドリゴ・プリエトの『ペドロ・パラモ』④*キャスト紹介 ― 2024年12月04日 13:09
PG13では撮れなかった『ペドロ・パラモ』
★メキシコで『ペドロ・パラモ』を読むのは大体高校生から、早い子供で中学生くらいから手にする。ネットフリックスからプリエト監督にオファーがきたときは「PG13」だった(担当者は原作を読んでいない?)。それでは殺人、近親相姦、ヌードは撮れない。R指定を条件に引き受けたと監督。こうしてスサナ・サン・フアンを演じたイルセ・サラスのヌードが可能になったようです。
★ハリスコ州の架空の田舎町コマラを舞台に、20世紀初頭に起きたメキシコ革命とクリステロ反乱を時代背景にした『ペドロ・パラモ』のキャスト・プロフィール、並びに各登場人物の立ち位置を含めてアップします。映画では採用されなかった語り手の重要なモノローグ、コマラは「去る人には上り坂、来る人には下り坂」(断片1)の町、閉じ込められてもがく人、不幸を予感しながら再び戻る人も描かれる。
マヌエル・ガルシア=ルルフォ(ペドロ・パラモ役)
1981年グアダラハラ生れ。初期にはアメリカ映画出演が多いので、ネットフリックス配信を含めると字幕入りで鑑賞できる作品多数。黒澤明の『七人の侍』他のリメイク版『マグニフィセント・セブン』(米、16)、ケネス・ブラナーの『オリエント急行殺人事件』(17)、トム・ハンクスと共演した『オットーという男』(21)、『スイートガール』(21)、最近公開されたカルロス・サウラの『情熱の王国』(西=メキシコ合作、21)で演出家マヌエルを主演、メキシコのマノロ・カーロの『巣窟の祭典』(24)と本作でも主演している。
★ペドロ・パラモ:コマラの繁栄と没落を象徴する権力者にして渇望と絶望の語り手、男性性の賛美、言葉による妻への暴力、家父長制主義の加害者にして犠牲者。荒んだペドロの唯一の救いだったスサナ・サン・フアンへの不毛の愛、彼はスサナを迎え入れるために絶大な権力を求めるが、彼女がどういう世界に住んでいたかを永遠に理解できない不幸な孤独者。ペドロはギリシャ語の pétros「石」より派生、パラモは「荒地」を意味する。
(ペドロ・パラモ役のマヌエル・ガルシア=ルルフォ)
テノッチ・ウエルタ・メヒア(フアン・プレシアド役、ペドロの息子)
1981年メヒコ州エカテペック生れ、ガエル・ガルシア・ベルナルの『太陽のかけら』(07)、キャリー・フクナガの『闇の列車、光の旅』(09)、エベラルド・ゴウト『クライム・シティ』(11)に主演、エドゥビヘス役のドロレス・エレディアと共演、スペインのマヌエル・マルティン・クエンカの『小説家として』(17)、ベルナルド・アレジャノのホラー『闇に住むもの』(20)、ライアン・サラゴサのホラ―『マードレス、闇に潜む声』(21,米)、再びゴウトに起用されサスペンス・ホラー『フォーエバー・パージ』(21)、ライアン・クーグラーの『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』(22)ではタロカン帝国の王に扮した。公開こそされなかったが、東京国際映画祭2014で上映されたアロンソ・ルイスパラシオスのデビュー作『グエロス』に主演、監督夫人であるイルセ・サラスと共演している。本作では出会うことはなかったが父親役のマヌエル・ガルシア=ルルフォと同じ年に生まれている。かつて交際していたマリア・エレナ・リオスへの性的暴行疑惑という残念なニュースも浮上している。
*『グエロス』の作品紹介は、コチラ⇒2014年10月03日
★フアン・プレシアド:前半の主な語り手、ペドロとドロリータスの息子、赤ん坊のときメディア・ルナを母親と去り、母との約束により父親から略奪された財産の代償を求めるという希望をもって、下るべきでない坂を下りて来る。やがてフアンは、権力と富への渇望が痛みと絶望の遺産を残した父親の正体に近づいていく。幻視と幻聴に悩まされ死者と交流するうち、自分が生きてるのか死んでるのか分からず、やがて絶望に至る。彼の罪は幻を求めて故郷を離れて坂を下ったことである。
(フアン・プレシアド役のテノッチ・ウエルタ)
ドロレス・エレディア(エドゥビヘス・ディアダ)
1966年、バハ・カリフォルニア・スル州の州都ラパス生れ、UNAMで演劇を学んだ本格派、1990年デビューしている。アレハンドロ・スプリンガル「Santitos」で、アミアンFF1999、カルタヘナFF2000の女優賞を受賞、カルロス・キュアロン『ルド and クルシ』(08)でルド&クルシ兄弟の母親役を演じた。ロドリゴ・プラがキルケゴールの日記にインスパイアされた「Decierto adentro」(仮訳「内なる砂漠」)でグアダラハラFF2008で主演女優賞を受賞した。クリス・ワイツ『明日を継ぐために』(11)、テノッチ・ウエルタと共演した『クライム・シティ』、エイドリアン・グランバーグの『キック・オーバー』(11)、カール・フランクリン『ウルティマ、ぼくに大地の教えを』(13)、ラシッド・ブシャールの『贖罪の街』(14)はフランス映画『暗黒街の二人』のリメイク版、アレハンドラ・マルケス・アベジャ『虚栄の果て』(22)、GGベルナルの監督2作めシリアスコメディ「Chicuarotes」(19)などTVシリーズ出演も含めて国際的に活躍している。ネット配信中の作品もあるが、受賞歴のある作品は見られない。
*「Chicuarotes」の作品紹介は、コチラ⇒2019年05月13日
★エドゥビヘス・ディアダ:コマラで売春宿を兼ねたバルを営んでいた女性、フアンの母ドロリータスの親友。パラモ家の管理人フルゴルに部屋の鍵を渡したことで、図らずも殺人に手を貸してしまう。神の許しを得るために善行を積んだが、耐えきれなくて自ら命をたつ。姉マリアが死後の救済をレンテリア神父に頼むが拒まれ、まだ此の世をさまよって死者と交流する。
(エドゥビヘス役のドロレス・エレディア)
イルセ・サラス(スサナ・サン・フアン)
1981年メキシコシティ生れ、映画、TV 、舞台女優。国立演劇学校で演技を学ぶ。夫のアロンソ・ルイスパラシオスの『グエロス』でテノッチ・ウエルタと共演、アレハンドラ・マルケス・アベジャの『グッド・ワイフ』に主演、既にキャリア紹介をしています。
*『グッド・ワイフ』での紹介記事は、コチラ⇒2019年04月14日
★スサナ・サン・フアン:ペドロのこども時代からの憧れの人であり、彼が愛した唯一人の女性。肺結核を患っていた母親の死後、父バルトロメ・サン・フアンとコマラを去る。革命前夜、母親の葬儀に誰一人として弔問に訪れなかった大嫌いなコマラに戻ってくる。父親との理不尽な性的関係で死後の救済を諦めている。神父も父も共に「パードレ」、パードレはスサナにとって権力者の象徴である。父とのトラウマ克服のため狂気の世界に逃げ込んでフロレンシオという謎の夫をつくりだしている。トラウマによる想像が記憶となっている。フアンの墓の近くに埋葬されており、二人は死後の世界で繋がっている。
(狂気の世界に安住を求めるスサナ・サン・フアン)
エクトル・コツィファキス(フルゴル・セダノ、パラモ家の管理人)
1971年コアウイラ州トレオン生れ、映画、TV ,舞台俳優。UNAMの演劇学校であるCUT(大学演劇センター、1962年設立)で学ぶ(1996~2000)。TVシリーズ出演が多いが、主な代表作はルイス・エストラダの『メキシコ 地獄の抗争』(10)、ダビ・ミチャンのアクションドラマ「Reacciones adversas」(11)で主演、ディエゴ・コーエンのホラー「Luna de miel」(15)で主演、ベト・ゴメスのコメディ「Me gusta, pero me asusta」(17)と「Bendita Suegra」(23)、ナッシュ・エドガートンのダークコメディ『グリンゴ最強の悪運男』(18)、アレハンドロ・イダルゴのホラー「El exorcismo de Dios」とアクション、ホラー、コメディとこなす。TVシリーズ『ナルコス メキシコ編』に出演している。
★フルゴル・セダノ:先代ルカス・パラモ以来の未婚の管理人、ペドロに代替わりしたとき54歳と年齢が分かる悪徳管理人。借金地獄のペドロを大地主にした立役者。彼の視点は重みがある。ペドロの指示によって不動産鑑定士トリビオ・アルドルテをエドゥビヘスの店で縛り首にして殺害する。しかしペドロの土地を貰いに来たという革命軍のリーダーにあっさり射殺される。ペドロからは「役に立つ男だったが、もう老いぼれの用なし」と一顧だにされなかった。
(フルゴル・セダノ役のエクトル・コツィファキス)
ロベルト・ソサ(レンテリア神父役)
1970年メキシコシティ生れ、俳優、TVシリーズのを監督を手掛けている。1976年に子役としてスタートを切り、TVシリーズ、短編含めると166作に出演。代表作は、セバスティアン・デル・アモのヒット作、ガリシア生れながらキューバに渡り、後にメキシコにやって来てB級映画の巨匠になるフアン・オロルの伝記映画「El fantástico mundo de Juan Orol」に主役を演じ、アリエル賞2013主演男優賞、ACE賞2014主演男優賞、ドン・ルイス映画祭2013男優賞などを受賞、アレックス・コックスの「El patrullero」(日本との合作、『PNDCエル・パトレイロ』1993公開)でサンセバスチャン映画祭1992男優賞、フランシスコ・アティエの「Lolo」でシカゴ映画祭1993男優賞、他受賞歴多数。
★レンテリア神父:コマラの町の唯一人の神父。神父としての誓いを果たせるという希望をもっていたが、ペドロの金貨に負けて彼の愚息ミゲルに祝福を与えてしまう。反対に自死したエドゥビヘスには与えない。父親をミゲルに殺されたうえ、レイプされた姪と暮らしている。クリステロ内戦では反乱軍に身を投じる。本作はメキシコにおける来世に関する一連の信仰を探求しており、彼のモノローグは重要である。
(レンテリア神父役のロベルト・ソサ)
マイラ・バタジャ(ダミアナ・シスネロス役)
1990年メキシコシティ生れ、女優、短編だが脚本を執筆している。2021年タティアナ・ウエソのデビュー作、もらえる賞をすべて制覇したという問題作「Noche de fuego」で、アリエル賞2022助演女優賞、ソニア・セバスティアンの短編「Above the Desert with No Name」(23、17分)で、ロスアンゼルス映画賞2024女優賞を受賞している。TVシリーズのダークコメディ「El Mantequilla」(23,8話)では女刑事に扮する。これからが楽しみな女優の一人。
*「Noche de fuego」の作品紹介は、コチラ⇒2021年08月19日
★ダミアナ・シスネロス:メディア・ルナのパラモ家の女中頭、赤ん坊のフアン・プレシアドを一時育てていた。コマラに戻って来たフアンをメディア・ルナから迎えに来る。ペドロをあの世に招き入れる女性でもある。原作と映画の違いの一つは、原作に登場するサン・フアン家の女中、フスティナ・ディアスを省いていることです。彼女は父娘とずっと行を共にしていて、スサナの育ての親でもあった。メディア・ルナで狂気のスサナを介護していたのは、映画のようにダミアナでなくフスティナである。ジャンルが違うのですから、この程度の変更は問題ありませんが、二人は同じ女中でも本質が異なる。フスティナも幻聴に怯えているが、ダミアナのように生死の境を超えられるわけではない。
(ダミアナ・シスネロス役のマイラ・バタジャ)
ジョバンナ・サカリアス(ドロテア〈ラ・クアラカ〉)
1976年メキシコシティ生れ、女優、監督。19歳のときクラシックバレエを止め演劇を学び始め、舞台女優としてスタートする。2001年ハイメ・ウンベルト・エルモシージョの「Escrito en el cuerpo de la noche」で映画デビュー。代表作は、2018年アレハンドロ・スプリンガルのウエスタン「Sonora」で主演、ドロレス・エレディアと共演、揃ってアリエル賞にノミネートされた。マーティン・キャンベルの『レジェンド・オブ・ゾロ』(25)でバンデラスと共演、ウォルター・サレスの『オン・ザ・ロード』(12)、ブレッド・ドノフー他「Salvation」でロスアンゼルス映画祭2013の女優賞を受賞している。監督作品としては、2015年コメディ「Ramona」(10分)でアリエル賞2013短編賞、2020年長編デビュー作「Escuela para Seductores」がある。
★ドロテア〈ラ・クアラカ〉:コマラにたどり着いたフアンにエドゥビヘスの店を教える語り手。産んでもいない赤ん坊を探してコマラをうろついている。神父は天国の門は閉じられているが、主は許されると諭す。教会の広場で倒れていたフアン・プレシアドを葬り、自分も一緒の墓に眠っており、フアンの語りを聞く。施し物欲しさにミゲル・パラモに売春斡旋をしていた罪人、ミゲル亡き後、神父に懺悔する。
(ドロテア役のジョバンナ・サカリアス)
イシュベル・バウティスタ(ドロレス・プレシアド)
1994年メキシコシティ生れ、ベラクルサナ大学演劇学部卒、国立美術館演技賞受賞、2018年バニ・コシュヌーディの「Luciernagas」で映画デビュー、2023年ルイス・アレハンドロ・レムスの「El sapo de cristal」でノエ・エルナンデスと共演、TVシリーズでは征服者エルナン・コルテスを主人公にした歴史時代劇「Hernan」(8話、19)にマリンチェ役で出演している。
★ドロレス・プレシアド、ドロリータス:メディア・ルナの女あるじ、ペドロの最初の妻、フアンの母親。借金を帳消しにするためのペドロの求婚を愛と錯覚して全財産を失う。夫の言葉によるDVに耐えかね、コリマにいる姉を頼ってコマラを去り、再び戻ることができなかった。露の滴る緑豊かなコマラを息子に言い残して失意のうちに旅立つ。
(ドロリータス役のイシュベル・バウティスタ)
ノエ・エルナンデス(アブンディオ・マルティネス、ペドロの息子)
1969年イダルゴ生れ、アリエル賞主演男優賞を4回受賞するなど受賞歴多数。ホルヘ・ペレス・ソラノの「La tirisia」(14)、ガブリエル・リプスタインの『600マイルズ』(15)、セルヒオ・ウマンスキー・ブレナーの「Eight Out of Ten」(18)、2020年に製作されたヘラルド・ナランホの「Kokoloko」が大分遅れて今年受賞した他、トライベッカ映画祭2020主演男優賞も受賞している。2018年グアダラハラ映画祭のメスカル賞を受賞している。脇役だが東京国際映画祭2015で上映されたロドリゴ・プラの『モンスター・ウィズ・サウザン・ヘッズ』、ラテンビートFF2011で上映されたヘラルド・ナランホの『MISS BALA/銃弾』に出演している。父親ペドロを演じたマヌエル・ガルシア=ルルフォより一回りも年上ということもあって、個人的にはキャスティングに違和感があった。
★アブンディオ・マルティネス:ペドロが認知しない大勢の私生児の一人、ロバ追いを生業とする。フアンをコマラに案内する。主な出番は最初と最後に現れるだけと少ないが、父親を殺害する重要人物、事故で耳が不自由になる設定は何を意味するか。アブンディオの造形は、短編集『燃える平原』収録の「コマドレス坂」のレミヒオ・トリコ殺しの語り手を彷彿とさせ、彼の原型は短編にある。
(アブンディオ・マルティネス役のノエ・エルナンデス右)
サンティアゴ・コロレス(ミゲル・パラモ)
TVシリーズ、チャバ・カルタスの「El gallo de oro」(23~24、20話)レミヒオ役で18話に出演。本作で映画デビューを果たした。
★ミゲル・パラモ:ペドロが気まぐれで認知した息子、母親はお産で亡くなる。愛馬コロラドに振り落とされて17歳で死去。レンテリア神父の兄弟を殺害、レイプ魔と父親の悪の部分を受け継いだ愚息。
(マルガリータ、ダミアナ・シスネロス、ミゲル・パラモ)
★その他、スサナの父親バルトロメ・サン・フアン役のアリ・ブリックマン(チアパス州1975)は俳優、作曲家、代表作はマリアナ・チェニーリョのコメディ「Todo lo invisible」(20)で、主演、音楽、脚本も監督と共同執筆している。同監督のヒット作「Cinco dias sin Nora」にも出演、本作はアリエル賞2010作品賞以下を独占した。フアンの死の恐怖がつくりだした幻覚と思われるドニスの妹役のヨシラ・エスカルレガ(1995)は、アマゾンプライムで配信が開始されたばかりの『戦慄ダイアリー 屋根裏の秘密』に出演している。ペドロの祖母を演じたフリエタ・エグロラは、娘ナタリア・ベリスタインが監督した『ざわめき』(22)に主演している。ネットフリックスで配信されている。古くはアルトゥーロ・リプスタインの『深紅の愛』に出演している。
(穴だけの母親の写真を見つめるフアン・プレシアド)
(コマラを去るサン・フアン父娘を見送るペドロ・パラモ)
(エドゥビヘスに初夜の務めを頼むドロリータス)
(レンテリア神父にミゲルの許しを金貨で支払うペドロ)
(レンテリア神父の姪アナ)
(スサナのメディア・ルナ到着を待つペドロとダミアナ)
(スサナとレンテリア神父)
第39回ゴヤ賞2025栄誉賞にアイタナ・サンチェス=ヒホン*ゴヤ賞2025 ① ― 2024年12月09日 11:41
総合司会者にベテラン女優マリベル・ベルドゥとレオノール・ワトリング
(アイタナ・サンチェス=ヒホン)
★第39回ゴヤ賞2025の授賞式は、既に2月8日(土)のグラナダ開催が決まっておりました(グラナダ展示会議宮殿にて開催)。今年はノミネーション発表が遅れていますが、10月8日、スペイン映画アカデミー会長フェルナンド・メンデス=レイテ、グラナダ市長マリフラン・カラソ、副会長ラファエル・ポルテラ、グラナダ市議会文化評議員フアン・ラモン・フェレイラなどが出席して、イスラム建築であるサント・ドミンゴの王の間にてゴヤ賞の大枠が発表されました。
(映画アカデミー会長メンデス=レイテ、グラナダ市長マリフラン・カラソ)
★11月13日、ガラ当日の総合司会者の発表がありました。マリベル・ベルドゥとレオノール・ワトリング、日本でも公開作品の多い知名度抜群の女優二人が仕切ることになりました。
(総合司会者マリベル・ベルドゥ、レオノール・ワトリング)
★マリベル・ベルドゥ(マドリード1970)は「レオノールと私は親友同士、私たちは共にエネルギッシュです。二人ともやるべき仕事を理解しており、チームを組んでやります。だからガラでは、ご覧になってくださる方々が楽しめるよう司会することに務めます。ゴヤ賞という特別な夕べに愛をこめて取りくみます。どうか上手くいきますように!」と表明した。
*ゴヤ賞ではビセンテ・アランダの『アマンテス』(91)で初ノミネートされてから何回も対抗馬に敗れ、グラシア・ケレヘタの「Siete mesas de billar francés」(07)が「5度目の正直」となって受賞するまでの道程が長かった。しかしその後の怒涛の受賞歴は以下のキャリア紹介に譲ります。
*マリベル・ベルドゥのキャリア&フィルモグラフィー紹介は、コチラ⇒2014年04月07日
★レオノール・ワトリング(マドリード1975)は「ゴヤ賞のガラに、私が尊敬するマリベルと一緒に司会することが夢でした。名誉なことでありますが責任も感じています。素晴らしいシナリオ作家たちが私たちと一緒だなんて何と力強いことでしょう!」と強調しました。やはりガラ全体を構成する脚本家の良し悪しが鍵を握っています。
*ゴヤ賞関連では、アントニオ・メルセロの「La hora de los valientes」(98)、イネス・パリス他の『マイ・マザー・ライクス・ウーマン』(02)でノミネートされただけです。デビューは1990年代初めですが、ビガス・ルナの『マルティナは海』(01)で日本初登場、次いで翌年アルモドバルの『トーク・トゥ・ハー』でブレイクした。バンド Marlango のボーカルとしても活躍している。
*レオノール・ワトリングのキャリア紹介は、コチラ⇒2014年06月11日
ゴヤ栄誉賞2025の受賞者アイタナ・サンチェス=ヒホン
★11月17日、スペイン映画アカデミーは、ゴヤ賞2025ゴヤ栄誉賞受賞者にアイタナ・サンチェス=ヒホン(ローマ1968)をアナウンスしました。映画のみならず舞台、TVシリーズで40年に及ぶキャリアの持ち主です。アカデミー理事会は「最初から仲間から愛され、尊敬され、批評家のみならず観客からの評価も高い」、メンデス=レイテ会長は「真面目で責任感が強く、有能で親密、すべての作品に誠実さと深みを与える方法を熟知している」ことを授賞理由に挙げました。
(インタビューを受ける受賞者、プレス会見にて)
★一方、アイタナは授賞の知らせに「圧倒され、とても感謝して幸せに浸っています」とコメント、また女優にとって栄誉賞は「名誉であり、仲間から愛されていると感じられる、映画ファミリーの一員であることを意味します。プロとして40年が経ちましたが、自分が愛されていると感じて感動しています。これからの前進の励みになります」と語った。
(メンデス=レイテ会長とアイタナ・サンチェス=ヒホン)
★過去の女性受賞者は8名、うち直近10年間の受賞者が5対5と男性と拮抗していて、やっと女性シネアストが評価される時代が到来したことを実感します(他の4人はアンヘラ・モリーナ、ぺパ・フローレス〈マリソル〉、マリサ・パレデス、アナ・ベレン)。今は亡きビガス・ルナの『裸のマハVolavérunt』のアルバ公爵夫人役でサンセバスチャン映画祭1999銀貝賞の女優賞を受賞、アルモドバルの『パラレル・マザーズ』(21)でゴヤ賞助演女優賞に初ノミネートされ、フェロス賞とイベロアメリカ・プラチナ賞には受賞した。別途紹介記事を予定していますが、スペイン映画アカデミー金のメダルをフアン・ディエゴと受賞した折に、紹介記事をアップしています。
*アイタナ・サンチェス=ヒホンの紹介記事は、コチラ⇒2015年08月01日
アイタナ・サンチェス=ヒホンにゴヤ栄誉賞2025*ゴヤ賞2025 ② ― 2024年12月17日 10:34
ゴヤ栄誉賞の女性最年少受賞者アイタナ・サンチェス=ヒホンの軌跡
(ゴヤ栄誉賞2025受賞が発表された、10月17日フォトコール)
★前回に引き続き、ゴヤ栄誉賞受賞者アイタナ・サンチェス=ヒホンのキャリア&フィルモグラフィー紹介です。授賞理由、記者会見での受賞者コメントは前回に譲りますが、折に触れて紹介してきた記事と重なる部分があります。生涯功労賞の意味合いもある賞ですから56歳になったばかりは如何にも若い。それに現役バリバリですからフィルモグラフィーもこれで終わりにはならない。授賞発表が誕生日直前だったので55歳受賞になります。10年前の2015年、54歳という若さで受賞を打診されたアントニオ・バンデラスは最初固辞した経緯がありましたが、今回はすんなりいった。フアン・カルロス・フィッシャー演出の「La madre」の舞台に上がる寸前に、映画アカデミー会長から電話で知らせを受けたと語っている。
★アイタナ・サンチェス=ヒホン・デ・アンジェリス:映画、舞台、TVの女優。1968年11月5日、フランコ独裁を逃れてイタリアに亡命していたスペイン人の歴史学者でスペイン語翻訳家の父アンヘル・サンチェス=ヒホン・マルティネスと、イタリア人の数学教授フィオレラ・デ・アンジェリスの娘としてローマで生まれた。クリスチャンネームは、27年世代を代表する詩人で戯曲家のラファエル・アルベルティが名付け親、彼の娘アイタナ・アルベルティから採られた。イタリアとスペインの二重国籍、2002年造形アーティストのパピン・ルッカダンと結婚したが、2020年に離婚していたことを昨年の誕生会で明らかにした。2人の子供は既に成人している。1998年ホセ・ルイス・ボラウの後を継いで、女性初となるスペイン映画アカデミー会長を短期間だが務めている(~2000)。ローマ在住。
(毎回ベストドレッサーに選ばれるアイタナ、デザインはカロリナ・エレーラ、
宝石はカルティエ、ゴヤ賞2023ガラ、助演男優賞プレゼンターでした)
★フィルモグラフィー:劇場公開、ネット配信、DVD発売など邦題のある作品を中心に、未公開だが受賞歴のある作品、TVシリーズの話題作も含めて年代順にアップします。1986年、TVシリーズ、ペドロ・マソの「Segundo enseñanza」(13話)のうち7話に出演、キャリアをスタートする。続いて同年ホセ・マリア・フォルケの現実とフィクションを取り交ぜた「Romanza final(Gayarre)」で映画デビューした。19世紀のテノール歌手フリアン・ガヤレのビオピック、フリアンにホセ・カレーラスが扮した。アントニオ・ヒメネス=リコ、フェルナンド・フェルナン・ゴメス、そして1989年フェルナンド・コロモのコメディ「Bajarse al moro」でアントニオ・バンデラス、フアン・エチャノベ、ベロニカ・フォルケと共演、その演技が注目された。ペドロ・デ・ラ・ソタの「Viento de cólera」で主演、ムルシア・スペイン映画週間でパコ・ラバル女優賞を受賞した。
(4人とも若い、ベロニカは既に旅立っている、「Bajarse al moro」から)
★90年代にはいると、主役、準主役に抜擢され、受賞には至らずとも国際映画祭でのノミネートも増えていきました。1993年は特に収穫の年で、アントニ・ベルダゲルの「Havanera 1820」でシネマ・ライターズ・サークル女優賞、ピラール・ミロの「El pájaro de la felicidad」でメルセデス・サンピエトロの義理の娘を好演、メキシコのアルフォンソ・アラウの『雲の中で散歩』でキアヌ・リーヴスと共演、フォトグラマス・デ・プラタ女優賞ノミネート、アドルフォ・アリスタラインの「La ley de la frontera」のジャーナリスト役、マヌエル・ゴメス・ペレイラの『電話でアモーレ』で共演のハビエル・バルデム(ゴヤ賞受賞他多数)と揃ってACEプレミアを受賞した。筆名クラリン(レオポルド・アラス)の同名小説「La Regenta」(『ラ・レヘンタ/裁判官夫人』)をドラマ化したTVミニシリーズ(3話)でカルメロ・ゴメスと共演、共にフォトグラマス・デ・プラタ(TV部門)の女優、男優賞をそれぞれ受賞、さらに彼女はスペイン俳優組合の主演女優賞も受賞した。現在のスペイン映画アカデミー会長フェルナンド・メンデス=レイテが監督と脚色を手掛けた話題作で、当時のお茶の間を釘付けにした。
(キアヌ・リーヴスと『雲の中で散歩』から)
(ドラマ「La Regenta」の裁判官夫人に扮したアイタナ)
★ハイメ・チャバリの「Sus ojos se cerraro y el mundo sigue andando」、アルゼンチンのフアン・ホセ・カンパネラのサスペンス『ラブ・ウォーク・イン』(「Ni el tiro del final」)の歌手役、ビセンテ・アランダの「Celos」、ビガス・ルナの「La camarera del Titanic」でトゥリア女優賞、ロルカの戯曲を映画化したメキシコのマリア・ノバロの「Yerma」では主人公イェルマ、夫フアンにフアン・ディエゴが扮した他、ギリシャのイレネ・パパスが老婆役で共演した。特筆すべきはビガス・ルナの『裸のマハ』のアルバ公爵夫人役でサンセバスチャン映画祭1999女優賞を受賞したが、ゴヤ賞にはノミネートさえされなかった。
(ゴヤ役のホルヘ・ぺルゴリアとアルバ公爵夫人のアイタナ)
★今世紀に入ると海外の監督からのオファーも多くなり、イタリアのガブリエレ・サルヴァトレスのミステリー『ぼくは怖くない』(「Io non ho paura」)、妊娠7カ月で撮影に臨んだエドゥアルド・コルテスの「Carta mortal」、アメリカのブラッド・アンダーソンのサイコスリラー『マシニスト』(バルセロナ映画祭主演女優賞)、アルゼンチンのルイス・プエンソの『娼婦と鯨』など、公開あるいは未公開だがDVDが発売され、日本でも字幕入りで見られる映画が増えていった。
★2000年後半、コルド・セラのホラー「Bosque de sombras」、ベントゥラ・ポンスの『密会1723号室』ではホセ・コロナドと共演、ゴンサロ・スアレスの「Oviedo Express」は、かつてTVでドラマ化されたクラリンの「La Regenta」をベースにして、舞台上演のため巡業している役者たちがオビエド急行でアストゥリアスに向かっているというロマンティック・コメディ。アイタナもカルメロ・ゴメスも同じ役で共演した。イタリアのシルヴィオ・ムッチーノ監督が主役も演じた「Parlami d'amore」(イタリア語)ではフランス人の人妻役だった。役柄によってスペイン人、イタリア人、フランス人を演じ分けた。
★2011年、パコ・アランゴのコメディ「Maktub」では、アルゼンチンのディエゴ・ペレッティとタッグを組み、アランゴはゴヤ賞新人監督賞にノミネートされた。イタリア映画だがマッテオ・ロヴェーレのラブコメ「Gli sfiorati」は未公開ながら『妹の誘惑』の邦題でDVD化されている。その後演劇にシフトして銀幕から遠ざかり、2018年のパトリシア・フェレイラの『ティ・マイ~希望のベトナム~』で戻ってきた。主役はカルメン・マチだが、ネットフリックスで配信された。アルモドバルの『パラレル・マザーズ』(ゴヤ賞2022助演女優賞ノミネート、フェロス賞とイベロアメリカ・プラチナ賞受賞)、フラン・トーレスの『ラ・ヘファ:支配する者』、アントニオ・メンデス・エスパルサの「Que nadie duerme」(スペイン俳優組合&フェロス賞助演女優賞ノミネート)と受賞やノミネートが続いている。
(「Que nadie duerme」出演で、フェロス賞2024助演女優賞ノミネート)
★他に、サラゴサ映画祭2004サラゴサ市賞、アルメリア映画祭2022アルメリア・ティエラ・デ・シネ賞を受賞している。現在ネットフリックスTVシリーズ『レスピーラ/緊急救命室』(全16話)が8月から配信されている。主人公に『エリート』出演で人気上昇中のマヌ・リオス、アイタナの他ナイワ・ニムリ、ブランカ・スアレス、ボルハ・ルナなどベテラン勢が脇を固めているが、評価は厳しいか。
◎主なフィルモグラフィー(TVシリーズ、短編は除く)
1986「Romanza final(Gayarre)」ホセ・マリア・フォルケ
1987「Redondela」ペドロ・コスタ
1988「No hagas planes con Marga」ラファエル・アルカサル
「Remando al viento」ホラー、『幻の城 バイロンとシェリー』ゴンサロ・スアレス、
英語、公開
「Jarrapellejos」アントニオ・ヒメネス=リコ
1989「Bajarse al moro」コメディ、フェルナンド・コロモ
「El mar y el tiempo」フェルナンド・フェルナン・ゴメス
「Viento de cólera」ペドロ・デ・ラ・ソタ、
ムルシア・スペイン映画週間パコ・ラバル女優賞
1991「El laberinto griego」ラファエル・アルカサル
1992「El marido perfecto」ベダ・ドカンポ・フェイホー
1993「Havanera 1820」キューバ合作、アントニ・ベルダゲル、
シネマ・ライターズ・サークル女優賞
「El pájaro de la felicidad」ピラール・ミロ
1995「Un paseo por las nubes」『雲の中で散歩』メキシコ=米、アルフォンソ・アラウ、
公開1995
「La ley de la frontera」アルゼンチン合作、アドルフォ・アリスタライン
「Boca a boca」『電話でアモーレ』マヌエル・ゴメス・ペレイラ、公開1997
1997「Sus ojos se cerraro y el mundo sigue andando」アルゼンチン合作、
ハイメ・チャバリ
「Ni el tiro del final」『ラブ・ウォーク・イン』米=アルゼンチン、
フアン・ホセ・カンパネラ、英語、未公開、ビデオ発売1999
「La camarera del Titanic」仏=伊=独=西、ビガス・ルナ、トゥリア女優賞1998
1998「Yerma」ピラール・タボラ
1999「Celos」ビセンテ・アランダ
「Volavérunt」『裸のマハ』ビガス・ルナ、サンセバスチャン映画祭1999女優賞
2000「Sin dejar huella」メキシコ合作、マリア・ノバロ
2001「Mi dulce」イタリア合作、ヘスス・モラ・ガマ
「Hombres felices」ロベルト・サンティアゴ
2003「Io non ho paura」」『ぼくは怖くない』伊=西=米、スリラー、
ガブリエレ・サルヴァトレス、イタリア語、公開2004
2003「Carta mortal」クライム、エドゥアルド・コルテス
2004「El maquinista」『マシニスト』米合作、サイコスリラー、ブラッド・アンダーソン、
英語・スペイン語、バルセロナ映画女優賞、公開2005
2004「La puta y la ballena」『娼婦と鯨』アルゼンチン合作、ルイス・プエンソ、
未公開、DVD発売
2006「Bosque de sombras」スリラー、コルド・セラ
「Animales heridos」『密会1723号室』ベントゥラ・ポンス、未公開、DVD発売
2007「Oviedo Express」コメディ、ゴンサロ・スアレス
「La carta esférica」イマノル・ウリベ、ペレス=レベルテの小説の映画化
2008「Parlami d'amore」(スペイン題「Háblame de amor」)イタリア合作、
シルヴィオ・ムッチーノ、イタリア語
2011「Maktub」アルゼンチン合作、パコ・アランゴ
「Gli sfiorati」『妹の誘惑』ラブコメ、イタリア、マッテオ・ロヴェーレ、
イタリア語、DVD発売
2018「Thi Mai, rumbo a Vietnam」『ティ・マイ~希望のベトナム』
パトリシア・フェレイラ、Netflix 配信
2021「Madres paralelas」『パラレル・マザーズ』ペドロ・アルモドバル、
ゴヤ賞2022助演女優賞ノミネート、フェロス賞&イベロアメリカ・プラチナ賞受賞
2022「La jefa」『ラ・ヘファ:支配する者』フラン・トーレス、Netflix 配信
2023「Mi otro Jon」パコ・アランゴ
「Que nadie duerme」ルーマニア合作、アントニオ・メンデス・エスパルサ、
フェロス賞助演女優賞ノミネート
*「Que nadie duerme」とアイタナ・サンチェス=ヒホン紹介は、コチラ⇒2024年01月11日
*スペイン映画アカデミー金のメダル受賞記事は、コチラ⇒2015年08月01日/11月20日
(金のメダル2015をフアン・ディエゴと受賞する)
★ゴヤ賞2025ノミネート発表は、昨年より大分遅れましたが、現地グラナダから12月18日11:00とアナウンスされました。現地発表は今回が初、例年はマドリードの本部ですから珍しい。司会者はナタリア・デ・モリーナとアルバロ・セルバンテスの二人。
第39回ゴヤ賞2025ノミネーション発表*ゴヤ賞2025 ③ ― 2024年12月21日 18:08
最多ノミネーションはマルセル・バレナの「El 47」の14カテゴリー
★12月18日、予定通り第39回ゴヤ賞2025のノミネーションが発表になりました。カテゴリーは28と変化なく、最多ノミネーションはマルセル・バレナの「El 47」の14カテゴリー、続いてアランチャ・エチェバリアの「La infiltrada」の13、イサキ・ラクエスタ&ポル・ロドリゲスの「Segundo premio」の11、ペドロ・アルモドバルの「La habitación de al lado」(The Room Next Door)の10、パウラ・オルティスの「La virgen roja」の9、ダニ・デ・ラ・オルデンの「Casa en flames」と、ハビエル・マシぺの「La estrella azul」のそれぞれ8、アイトル・アレギ&ジョン・ガラーニョの「Marco」の5カテゴリーでした。うち全くの未紹介作品が最多ノミネーションの「El 47」で実話に基づいているようです。ガラまでに作品紹介の予定です。
(ノミネーション発表するアルバロ・セルバンテスとナタリア・デ・モリーナ、12月18日)
★候補者のプレゼンターは、ナタリア・デ・モリーナとアルバロ・セルバンテスの2人、開催都市であるグラナダのカルメン・デ・ラ・ビクトリアで行われました。今回は両人ともノミネートはありません。フォトは昨年と同じ作品ポスターでの発表でした。初出のみにフォトを入れました。各カテゴリーとも5作品、初出には監督名を追加しました。ガラは2025年2月8日です。
*印は当ブログで作品紹介をしています。
*印は、12月14日開催された第30回ホセ・マリア・フォルケ賞2024の受賞作品&受賞者です。
*第39回ゴヤ賞2025ノミネーション*
◎作品賞
「Casa en flames」監督ダニ・デ・ラ・オルデン *(2025年01月08日)
製作:アルベルト・アランダ、アナ・エイラス、アリエンス・ダムシ、キケ・マイジョ、
ダニ・デ・ラ・オルデン、ベルナト・サウメル、トニ・カリソサ、
ハイメ・オルティス・デ・アルティニャノ
「El 47」監督マルセル・バレナ * *(2024年12月28日)
製作:ハビエル・メンデス、ラウラ・フェルナンデス・エスペソ
「La estrella azul / The Blue star」監督ハビエル・マシぺ *(2023年08月09日)
製作:アメリア・エルナンデス、エルナン・ムサルッピ、シモン・デ・サンティアゴ
「La infiltrada」監督アランチャ・エチェバリア *(2025年01月15日)
製作:アルバロ・アリサ、マリア・ルイス・グティエレス、メルセデス・ガメロ、
パブロ・ノゲロレス
「Segundo premio」監督イサキ・ラクエスタ&ポル・ロドリゲス *(2024年03月14日)
製作:クリストバル・ガルシア
◎監督賞
ペドロ・アルモドバル「La habitación de al lado」『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』 *
アランチャ・エチェバリア「La infiltrada」
パウラ・オルティス「La virgen roja」
アイトル・アレギ&ジョン・ガラーニョ「Marco」 *
イサキ・ラクエスタ&ポル・ロドリゲス「Segundo premio」
◎新人監督賞
ミゲル・ファウス「Calladita」
ペドロ・マルティン=カレロ「El llanto」(邦題『叫び』) *
ハビエル・マシぺ「La estrella azul」
サンドラ・ロメロ「Por donde pasa el silencio」
パス・ベガ「Rita」
◎オリジナル脚本賞
エドゥアルド・ソラ「Casa en flames」
アルベルト・マリニ&マルセル・バレナ「El 47」
ハビエル・マシぺ「La estrella azul」
アメリア・モラ&アランチャ・エチェバリア「La infiltrada」
アイトル・アレギ、ジョン・ガラーニョ、ホルヘ・ヒル・ムナリス、ホセ・マリ・ゴエナガ「Marco」
◎脚色賞
アレックス・モントーヤ、ジョアナ M. オルトゥエタ「La casa」*
ペドロ・アルモドバル「La habitación de al lado」
ピラール・パロメロ「Los destellos」監督ピラール・パロメロ *
マル・コル、バレンティナ・ビソ「Salve María」監督マル・コル
イシアル・ボリャイン、イサ・カンポ「Soy Nevenka」監督イシアル・ボリャイン *
◎オリジナル作曲賞
アルナウ・バタリェル「El 47」
アルトゥロ・カルデルス「Guardiana de Dragones-Dragonkeeper」アニメーション
監督Li Jianping(李建平)&サルバドール・シモ
アルベルト・イグレシアス「La habitación de al lado」
フェルナンド・ベラスケス「La infiltrada」
セルヒオ・デ・ラ・プエンテ「Verano en diciembre」
◎オリジナル歌曲賞
Show me - 作曲家:フェルナンド・ベラスケス「Buffalo Kids」アニメーション
監督フアン・ヘスス・ガルシア・ガローチャ”ガロ”、ペドロ・ソリス
El borde del mundo - 作曲家:バレリア・カストロ「El 47」
Los Almendros - 作曲家:アントン・アルバレス&イェライ・コルテス
「La guitarra flamenca de Yerai Cortés」
La Virgen Roja - 作曲家:マリア・アルナル「La virgen roja」
Love is the worst - 作曲家:アロンドラ・ベントレー、イサキ・ラクエスタ「Segundo premio」
◎主演男優賞
アルベルト・サン・フアン「Casa en flames」
エドゥアルド・フェルナンデス「Marco」 *
アルフレッド・カストロ「Polvo serán」監督カルロス・マルケス=マルセ
ウルコ・オラサバル「Soy Nevenka」
ビト・サンス「Volveréis」監督ホナス・トゥルエバ *
◎主演女優賞
エンマ・ビララサウVilarasau「Casa en flames」
ジュリアン・ムーア「La habitación de al lado」
ティルダ・スウィントン「La habitación de al lado」
カロリナ・ジュステ「La infiltrada」
パトリシア・ロペス・アルナイス「Los destellos」
◎助演男優賞
エンリク・アウケル「Casa en flames」
サルバ・レイナ「El 47」
オスカル・デ・ラ・フエンテ「La casa」
ルイス・トサール「La infiltrada」
アントニオ・デ・ラ・トーレ「Los destellos」
◎助演女優賞
マカレナ・ガルシア「Casa en flames」
マリア・ロドリゲス・ソト「Casa en flames」
クララ・セグラ「El 47」
ナウシカア・ボニン「La infiltrada」
アイシャ・ビリャグラン「La virgen roja」
◎新人男優賞
オスカル・ラサルテ「¿Es el enemigo? La pelicula de Gila」監督アレクシス・モランテ
クティ・カラバハル「La estrella azul」
ペペ・ロレンテ「La estrella azul」
クリスタリノ「Segundo premio」
ダニエル・イバニェス「Segundo premio」
◎新人女優賞
ゾエ・ボナフォンテ「El 47」
マリエラ・カラバハル「La estrella azul」
マリナ・ゲロラ「Los destellos」
ラウラ・ヴァイスマール「Salve María」
ルシア・ベイガ「Soy Nevenka」
◎プロダクション賞
ライア・ゴメス「Casa en flames」
カルロス・アポリナリオ「El 47」
アシエル・ペレス・セラノ「La infiltrada」
カティ・マルティ・ドノグエDonoghue「La virgen roja」
カリオス・アモエド「Segundo premio」
◎撮影監督賞
アイザック・ビラ「El 47」
エドゥ・グラウ「La habitación de al lado」
ハビエル・サルモネス「La infiltrada」
タクロ・タケウチ「Segundo premio」
グリス・ホルダナ「Soy Nevenka」
◎編集賞
ナチョ・ルイス・カピリャス「El 47」
ハビエル・マシぺ、ナチョ・ブラスコ「Los destellos」
ビクトリア・ラマーズ「La infiltrada」
フェルナンド・フランコ「Los pequeños amores」監督セリア・リコ・クラベリーノ *
ハビ・フルトス「Segundo premio」
◎美術賞
マルタ・バザコ「El 47」
インバル・ワインバーグ「La habitación de al lado」
ハビエル・アルバリニョ「La virgen roja」
ペペ・ドミンゲス・デル・オルモ「Segundo premio」
ミゲル・アンヘル・レボーリョ「Volveréis」
◎衣装デザイン賞
エステル・パラウダリエス、ヴィニエト・エスコバル「Disco, Ibiza, Locomía」
監督キケ・マイジョ
イランツェ・オルテス、オルガ・ロダル「El 47」
ビナ・ダイヘレル「La habitación de al lado」
アランチャ・エスケロ「La virgen roja」
ルルデス・フエンテスLourdes「Segundo premio」
◎メイクアップ&ヘアー賞
カロル・トルナリア「El 47」
モラグ・ロス、マノロ・ガルシア「La habitación de al lado」
パトリシア・ロドリゲス、トノ・ガルソン「La infiltrada」
エリ・アダネス、パコ・ロドリゲス・フリアス「La virgen roja」
カルメレ・ソレル、セルヒオ・ペレス・ベルベル、ナチョ・ディアス「Marco」
◎録音賞
アマンダ・ビリャビエハ、ホアキン・ラハデル、他「La estrella azul」
セルヒオ・ビュルマン、アンナ・ハリントン、マルク・オルツ「La habitación de al lado」
ファブロ・ウエテ、ホルヘ・カスティーリョ・バリェステロス、他「La infiltrada」
コケ・F.ラエラ、アレックス・F.カピリャ、他「La virgen roja」
ディアナ・サグリスタ、エバ・ベリニョ、他「Segundo premio」
◎特殊効果賞
ラウラ・カナルス、イバン・ロペス・エルナンデス「El 47」
Li Xin「Guardiana de Dragones-Dragonkeeper」
マリアノ・ガルシア・マーティ、ジョン・セラノ、他「La infiltrada」
ラウル・ロマニリョス、フアンマ・ノガレス「La virgen roja」
ジョン・セラノ、マリアノ・ガルシア・マーティ、他「Marco」
◎アニメーション賞
「Buffalo Kids」
「Guardiana de Dragones-Dragonkeeper」
「Mariposas Negras」監督ダビ・バウテ *
「Rock Bottom」監督マリア・トレノル
「SuperKlaus」監督アンドレア・セバスティア、スティーブ・マジョーリー
◎ドキュメンタリー賞
「Domingo Domingo」監督ラウラ・ガルシア・アンドレウ
「La guitarra flamenca de Yerai Cortés」
「Marisol, llámame Pepa」監督ブランカ・トレス
「Mi hermano Ali」監督パウラ・パラシオス
「No estás sola」監督アルムデナ・カラセド、ロベルト・バハル
◎イベロアメリカ映画賞
「Agarrarme fuerte」ウルグアイ、監督アナ・ゲバラ・ポセ、レティシア・ホルヘ・ロメロ
「Ainda estou aqui / Aún estoy aquí」ブラジル、監督ウォルター・サレス *
「El jockey」『キル・ザ・ジョッキー』アルゼンチン、監督ルイス・オルテガ *
「El lugar de la otra」『イン・ハー・プレイス』チリ、マイテ・アルベルディ *
「Memorias de un cuerpo que arde」コスタリカ=スペイン、
監督アントネリャ・スダサシ・フルニス
◎ヨーロッパ映画賞
「El Conde de Montecristo」フランス、
監督アレクサンドル・ド・ラ・パトリエール&マチュー・デラポルテ 公開未定
「Emilia Pérez」フランス、監督ジャック・オーディアール *
(2025年3月28日公開予定)
「Flow」ラトビア=フランス=ベルギー、監督ギンツ・ジルバロディス、アニメーション
(2025年3月14日公開予定)
「La Quimera」『墓泥棒と失われた女神』イタリア、監督アリーチェ・ロルヴァケル、公開
「La zona de interés」『関心領域』イギリス、監督ジョナサン・グレイザー、公開 *
◎短編映画賞
「Betiko gaua / La noche eterna」(18分)監督エネコ・サガルドイ
「Cuarentena」(6分)監督セリア・デ・モリナ
「El Trono」(13分)監督ルシア・ヒメネス
「La gran obra」(20分)監督アレックス・ロラ
「Mamántula」(48分)監督イオン・デ・ソサ
◎短編ドキュメンタリー賞
「Ciao Bambina」(18分)監督アフィオコ・グネッコ、カロリナ・ジュステ
「Els Buits」(19分)監督イサ・ルエンゴ、マリナ・フレイシャ・ロカ、ソフィア・エステべ
「Las novias del sur」(40分)監督エレナ・ロペス・リエラ
「Los 30(no)son los nuevos 20」(20分)監督フアン・ビセンテ・カスティリェホ・ナバロ
「Semillas de Kivu」(29分)監督カルロス・バリェ、ネストル・ロペス
◎短編アニメーション賞
「Cafune」(7分)監督カルロス・フェルナンデス・デ・ビゴ、ロレナ・アレス
「El cambio de rueda」(9分)監督ベゴーニャ・アロステギ
「La mujer ilustrada」(8分)監督イサベル・エルゲラ
「Lola, Lolita, Lolaza」(9分)監督マベル・ロサノ
「Wan」(13分)監督ビクトル・モニゴテ
★以上が28カテゴリーの全リストです。マラガ映画祭のノミネート作品から多くが選ばれており、例えばアニメーションでは、サルバドール・シモ&李建平の「Dragonkeeper」はオープニング作品だったし、マリア・トレノルの「Rock Bottom」、ホナス・トゥルエバ、セリア・リコ・クラベリーノも、マラガでプレミアされた作品でした。
最多ノミネーションの「El 47」*ゴヤ賞2025 ④ ― 2024年12月28日 16:59
マルセル・バレナとエドゥアルド・フェルナンデスの再タッグ!
★作品賞最有力候補「El 47」のマルセル・バレナは、前作「Mediterráneo」(21)の監督です。オスカル・カンプスというライフガードをモデルにした実話、地中海を横断するアフリカ難民を救助する人道支援組織NGOオープン・アームズの設立者、カンプスにエドゥアルド・フェルナンデスが扮した。バレナは新作にもフェルナンデスを起用している。舞台は1970年代のバルセロナ郊外トーレ・バロ、1950年代~60年代から移住が始まった地区、スペインでも最も貧しい州といわれるエストレマドゥーラやアンダルシアからの移住者が多いバリオである。彼らの家には水道も電気もありません。バルセロナ当局は市の一部と認めていないのでした。市の対応にうんざりした勇気ある住民たちの怒りが発端でした。前世紀の草の根運動の物語ながら今日的なテーマでもある。
★前作「Mediterráneo」はゴヤ賞とフォルケ賞の作品賞、男優賞にノミネートされましたが、ゴヤ賞はプロダクション・撮影・オリジナル歌曲賞の3賞、フォルケ賞は受賞できなかった。新作「El 47」は、去る12月14に既に結果発表のあったフォルケ賞で作品賞に輝いた。他に映画と価値観教育賞もゲット、男優賞にエドゥアルド・フェルナンデスが受賞したが、こちらはアイトル・アレギ&ジョン・ガラーニョの「Marco」出演でした。
*「Mediterráneo」の作品&監督キャリア紹介は、コチラ⇒2021年12月13日
(作品賞受賞スピーチをするマルセル・バレナ、フォルケ賞2024ガラ、12月14日)
「El 47」
製作: MediaPro Studio / 3Cat / ICEC / ICO / Movistar Plus+ / RTVE / Triodos Bank
監督:マルセル・バレナ
脚本:マルセル・バレナ、アルベルト(ベト)・マリニ
音楽:アルナウ・バタリェル(作曲)、バレリア・カストロ(歌曲)
撮影:アイザック・ビラ
編集:ナチョ・ルイス・カピリャス
美術:マルタ・バザコ、クララ・ロセル・アベリョ
衣装デザイン:オルガ・ロダル、イランツェ・オルテス
メイクアップ&ヘアー:カルロ・トルナリア
視覚効果:ラウラ・カナルス、イバン・ロペス・エルナンデス
キャスティング:アンドレス・クエンカ、ルイス・サン・ナルシソ
プロダクション:カルロス・アポリナリオ
製作者:ハビエル・メンデス、ラウラ・フェルナンデス・エスペソ、(エグゼクティブ)コンシャ・オレア、オリオル・サラ=パタウ(3Cat)、エバ・ガリード、他多数
データ;製作国スペイン、2024年、カタルーニャ語、スペイン語、ドラマ、実話、110分、撮影地バルセロナのカタルーニャ広場、バルセロナ市庁舎、トーレ・バロ近郊、期間2023年6月末~7月、配給A Coontracorriente Films、公開2024年9月6日、封切り1週間で€240.000を超えるヒット作、海外を含めた興行成績は、IMDb情報で3,278,603ドル
映画祭・受賞歴:第30回ホセ・マリア・フォルケ賞2024、作品賞(フィクション長編映画)、映画と価値観教育賞を受賞、第17回ガウディ賞2025、作品賞(カタルーニャ語映画)、監督・脚本・俳優賞など18部門ノミネート、第12回フェロス賞2025、脚本・助演女優(クララ・セグラ)・オリジナル・サウンドトラック賞の3部門ノミネート、第4回カルメン賞2025、作品賞(ノン・アンダルシア・プロダクション部門)ノミネート、第39回ゴヤ賞2025、作品賞以下14部門ノミネート
キャスト:エドゥアルド・フェルナンデス(マノロ・ビタル)、クララ・セグラ(妻カルメン)、ゾエ・ボナフォンテ(娘ジョアナ)、サルバ・レイナ(フェリピン)、オスカル・デ・ラ・フエンテ(アントニオ)、カルロス・クエバス(パスクアル)、ベッツィ・トゥルネス(アウロラ)、ビセンテ・ロメロ(オルテガ)、ダビ・ベルダゲル(セラ)、ボルハ・エスピノサ(エル・ルビオ)、カルメ・サンサ(ビラ夫人)、アイマル・ベガ(ジョセップ)、フランセスク・フェレル(弁護士)、ロロ・エレーロ(マティアス)、エバ・アリアス(フェリ)、マリア・モレラ(マル)、エレナ・フォルチュニー(合唱団指導者)、カルロス・オビエド(ペドリート)、フアン・オリバーレス(エレナ神父)、他トーレ・バロ地区のエキストラなど多数
ストーリー:バルセロナ1978年、トーレ・バロ地区のコミュニティ住民は、水道も電気もない生活にうんざりしている。バルセロナ市議会は公共交通機関の運行はできない、何故なら道路があまりに狭すぎる坂道て安全運行ができないと主張する。彼らの隣人の一人でバルセロナ交通局のバス運転手マノロ・ビタルは、当局の主張はウソで間違っていると、路線バス47番の車両をハイジャックしてデモを行おうとする。トーレ・バロはスペイン内戦を経て故郷を離れざるを得なかったエストレマドゥーラやアンダルシアの移民たちが作ったコミュニティ、彼らが受けた侮蔑と差別に激怒した男マノロ、ハイジャックした47番バス、そしてバリオの住民たちの運命や如何に? 実話にインスパイアされた市民参加型の草の根運動が語られる。
★2023年5月、制作会社メディアプロがバルセロナ近郊のトーレ・バロで、マルセル・バレナの「El 47」のエキストラ募集をすると発表した。6月末にクランクイン、7月中に撮影は終了した。約半世紀前の話とはいえ、現在世界中で起きている移民問題を考えると、きわめて今日的なテーマとも言えます。暗いニュースの多かったスペインでは庶民は元気のでるポジティブな映画を求めている。そういう意味ではプラスにはたらくだろう。ただエモーショナルな作品には違いないが結末は想定内だから、それがどう評価されるかです。下馬評では演技力のあるキャスト陣を揃えたこともあって評価は高い。
★事の発端は1978年5月7日に起きた。マノロ・ビタル(1923~2010)は路線バス47番をトーレ・バロ地区まで走らせた。1978年という年は、フランコ将軍の死去(1975年11月)にともない、約40年間に及ぶ独裁体制が終わりを告げた民主主義移行期にあたる。スアレス率いる民主中道連合UCA政権時代で、1982年ゴンサレス率いる社会労働党PSOEが政権をとる4年前にあたる。本作に出演するカルロス・クエバス扮するパスクアルは、1982年から1997年までバルセロナ市長を務めたパスクアル・マラガル(バルセロナ1941)、カタルーニャ労働者戦線の活動家にして反フランコ運動の人民解放戦線に参加している人物。本作を観たマラガルの家族は感動したと語っている。クエバスの演技は称賛されているが、残念ながらノミネートされなかった。
(カルロス・クエバス扮するパスクアル)
(左から、エドゥアルド・フェルナンデス、カルロス・クエバス、バレナ監督)
★マルセル・バレナ監督のキャリア&フィルモグラフィーは、前作「Mediterráneo」に譲ります。ゴヤ賞2025のノミネートは14カテゴリーと多数のためスタッフ陣については受賞発表後に予定し、キャストのうちマノロ・ビタルの妻カルメン役のクララ・セグラ(助演女優賞)と娘ジョアナ役のゾエ・ボナフォンテ(新人女優賞)を紹介しておきます。
(モデルになったマノロ・ビタル)
★マノロ・ビタル役のエドゥアルド・フェルナンデスは本作でのノミネートはなく、別作品「Marco」でのノミネートです。先述した通りフォルケ賞を受賞したばかりです。ゴヤ賞ノミネートは14回という常連さん、うちアレックス・オレの「Faust 5.0」で2002主演男優賞、セスク・ゲイの『イン・ザ・シティ』で2004助演男優賞、アメナバルの『戦争のさなかで』で2020助演男優賞と3賞している。ほかにアルベルト・ロドリゲスの『スモーク・アンド・ミラーズ』ではサンセバスチャン映画祭2016の銀貝男優賞を受賞している。ノミネート作品を列挙すると21世紀のスペイン映画史になるほどです。タッグを組んだ監督には上記の他、マリアノ・バロッソ、ビガス・ルナ、マヌエル・ゴメス・ペレイラ、アルモドバル、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ、マルセロ・ピニェイロ、ダニエル・モンソンなどなどです。
*「Marco」紹介記事は、コチラ⇒2024年09月03日
*『スモーク・アンド・ミラーズ』紹介記事は、コチラ⇒2016年09月24日
*『戦争のさなかで』の主な紹介記事は、コチラ⇒2019年11月26日
(路線バス47番の運転手マノロ・ビタル、フレームから)
(トロフィーを手にしたフェルナンデス、フォルケ賞2024男優賞ガラ)
★クララ・セグラ・クレスポ:1974年バルセロナ生れ、映画、TV ,舞台女優、脚本家。アメナバルの『海を飛ぶ夢』(04)で初登場、尊厳死を法的に支援する尊厳死協会の職員ジュネ役だった。脇役だが字幕入りで見ることのできる作品が結構多い。例えば東京国際映画祭2008ナチュラルTIFF部門で上映された『フェデリコ親父とサクラの木』(原題「Cenizas del cielo」)、ギレム・モラレスの『ロスト・アイズ』(10)、ガウディ賞2017助演女優賞ノミネートのマルセル・バレナの『100メートル』、同じくガウディ賞ノミネートのオリオル・パウロの『嵐の中で』(18)、ダニ・デ・ラ・オルデンの『クレイジーなくらい君に夢中』(21)など。
★ほかにフォルケ賞2021の映画と価値観教育賞を受賞したダビ・イルンダインの「Uno para todos」(20)に出演、本作でもクレジットされているダビ・ベルダゲルやベッツィ・トゥルネスと共演している。最近ではエレナ・マルティンの「Creatura」でガウディ賞2024助演女優賞を受賞している。ガウディ賞ではマル・コルの「Tots volem el millor per a ella」(13)にノラ・ナバスと共演、ナバスが主演女優賞、セグラが助演女優賞を受賞している。
(夫婦役を演じたフェルナンデスとセグラ、フレームから)
★ゴヤ賞は、昨年の「Creatura」でノミネートされているので今回が2回目になります。そのほかガウディ賞とフェロス賞にノミネートされている。さらにゴヤ賞2025作品賞にノミネートされている、ダニ・デ・ラ・オルデンのカタルーニャ語映画「Casa en Flames / Casa en llamas」に再び起用されている。こちらの作品もガラまでには紹介記事を予定しています。
*「Creatura」の作品紹介は、コチラ⇒2023年05月22日
*「Uno para todos」の作品紹介は、コチラ⇒2020年04月16日
* ダビ・ベルダゲルとベッツィ・トゥルネスのキャリア紹介記事は、コチラ⇒2020年04月16日
(ノラ・ナバスとクララ・セグラ、ガウディ賞2014ガラ)
★ゾエ・ボナフォンテ:2004年バルセロナ生れ、女優。長寿TVシリーズ「Amar es para siempre」(2013~24)でスタートを切る。2022年に42話出演している。ほかに「Escándalo, relato de una obsesión」(23、8話)に出演、本作で映画デビュー、ゴヤ賞のほかガウディ賞にもノミネートされているシンデレラガール。来年にはオルガ・オソリオの「El secreto del orfebre」でマリオ・カサスやミシェル・ジェンナーと共演する。評価はこれからです。
(ジョアナ役のゾエ・ボナフォンテ、フレームから)
(フェルナンデスやセグラと一緒にインタビューを受けるボナフォンテ、9月5日)
★数ある秋の映画祭のどこにも出品せず、いきなり劇場公開という珍しいケースがゴヤ賞でどこまで票を集められるか興味がわきます。上記のように第17回ガウディ賞はカタルーニャ語部門18カテゴリー、フェロス賞は3部門がノミネートされています。ガウディ賞は受賞間違いなしですが、ゴヤ賞はバルセロナ派のアカデミー会員は少ないのでフォルケ賞のようにはいかないか。
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