ホセ・ルイス・クエルダ、「金の映画賞」受賞*マラガ映画祭2019 ⑫ ― 2019年04月03日 18:54
ホセ・ルイス・クエルダの「Amanece, que no es poco」が金の映画賞
★3月18日ピカソ美術館ホールで、ビスナガ特別賞の一つ「金の映画賞」が ホセ・ルイス・クエルダの不条理コメディ「Amanece, que no es poco」(1989)に授与されました。「こんな賞を戴けるなんて本当に厚かましく思いますが、チーム全員大喜びしています」と、カスティージャ・ラ・マンチャはアルバセテ生れ(1947)の受賞者はスピーチしました。続いて映画同様ユーモアたっぷりのスピーチで聴衆を沸かせ、シュールレアリストとしての健在ぶりを示しました。プレゼンターはジャーナリストのルイス・アレグレとフェルナンド・メンデス=レイテ監督、トロフィーはクエルダ映画を熟知しているメンデス=レイテが手渡しました。本作に出演した分身術が使える酔っ払いのミゲル・レジャンや自殺願望者のギジェルモ・モンテシノスも出席、ホセ・ササトルニル、カルメン・デ・リリオ、チュス・ランプレアベなど、重要な役を演じた出演者が既に旅立っています。それを補うかのようにクエルダの新作「Tiempo después」(2018年12月公開)のプロデューサー、カルメラ・マルティネス・オリアルトやフェリックス・トゥセル、出演のダニエル・ペレス・プラダなどがお祝いに駆けつけました。
(メンデス=レイテからビスナガのトロフィーを受け取るホセ・ルイス・クエルダ、3月18日)
★作家、ジャーナリスト、シネアストのルイス・アレグレ(テルエル1962)によると、「1989年の公開時にはパッとしなかった。しかし時間が経つにつれて、じわじわとカルト映画として浸透していき、毎年舞台となった町を巡り歩く観光ツアーを楽しむ<アマネシストたちAmanecistas>の出現をもたらした」。いわゆるファンクラブみたいなものができたわけです。クエルダ監督も「公開時の不評は、実際のところ落胆しなかった。それはヒットすると期待していなかったからね。公開日に映画館に偵察に出かけたら、こんな映画を見るためにお金は使いたくないと怒っているご婦人がいたんだよ」と、相変わらずジョークをとばしていた。
(トロフィーを手に「もうときめかないし、涙も出ないんだ」という受賞者)
★1966年以来の友人、クエルダのデビュー作「Pares y nones」(仮題「丁半勝負」)にも出演したフェルナンド・メンデス=レイテ(マドリード1944)監督は、文化省のオーディオビジュアル・アート協会の総ディレクター(1986~88)だったときのことを思い出して、彼は「この業界では最も仕事熱心な男です」と。全員に脚本が配られ読み始めるや、「そこにいた全員が、一体全体このジョークは何なんだい、と議論が始まり、それが楽しかったのを思い出します」と挨拶した。可笑しな論理のすり替えやナンセンス・ギャグあり、セリフはチグハグで繋がらない、ブラックユーモアとは違う意味不明なやり取りに役者たちは面食らったらしい。それを観に行った観客も同じだったわけですが。
★本作はいわゆる群像劇で誰が主役なのか、あるいは主役はいないのかどうか判然としない。酔っ払いカルメロを演じたミゲル・レジャンは、グティエレス伍長に扮したホセ・ササトルニル<ササ>が天真爛漫に動き回りながら確信していたある逸話を紹介した。彼は「本物の映画だと気づいたとき、われわれはスペインから追い出されたところにいる」と言ったそうです。舞台はスペインのどこかのはずですが、どこでもない山間の村、多分監督の生れ故郷アルバセテ周辺の村なのです。「もし自分がアルバセテで生まれていなかったら、この映画も生まれなかった」と監督も語っていました。
(ミゲル・レジャンとホセ・ササトルニル、映画から)
★こういう村に、超大国アメリカのオクラホマ大学で教鞭を執っているアントニオ・レシネス扮するテオドロが、サバティカル休暇で帰郷してくる。自慢の息子が帰ってきてルイス・シヘス扮する父親ジミーは大喜び、二人はサイドカーで旅行に出かけることにする。母親は息子が留守のあいだに父親が口うるさいと殺してしまっているが何故かお咎めなし。この変な親子が、人間が畑から生えてくるような村をぐるぐる巡るストーリーなのです。アメリカへの屈折したオブセッションも見所の一つでしょうか。映画生誕20周年記念の2009年にはアルバセテ市観光局が村おこしのため観光ツアーを企画して、クエルダ監督もサイドカーに乗って宣伝に一役買いました。30周年には「金の映画賞」が転がり込んでめでたしメデタシ、観光ツアーがあったかどうか分かりませんが、スペイン映画史に残る一作なのは間違いありません。
(オクラホマ大学教授役のアントニオ・レシネスと父親役のルイス・シヘス、映画から)
(畑から人間が生えてくる、風変わりな村です)
★サンセバスチャン映画祭2018でプレミアされ、12月に公開されたクエルダの新作「Tiempo después」は、どうやら受賞作と対になっているらしく、時代は9177年という超未来のアンサンブル・ドラマ、現在活躍中の芸達者が揃って出演している。カルロス・アレセス、ブランカ・スアレス、ベルト・ロメロ、ロベルト・アラモ、セクン・デ・ラ・ロサ、アントニオ・デ・ラ・トーレ、アルトゥーロ・バルス、前作にも出演したガビノ・ディエゴ、などなど。第6回フェロス賞2019コメディ部門にノミネートされたが、強敵ハビエル・フェセルの「Campeones」に軍配が上がった。
(中央が監督、左側はデ・ラ・トーレ)
(自身も出演したアンドレウ・ブエナフエンテのトーク番組で自作を語る監督)
★ホセ・ルイス・クエルダは寡作な映画作家です。第2作の『にぎやかな森』(87)は、ゴヤ賞作品・脚本賞を受賞、監督賞は逃した。またサンセバスチャン映画祭OCIC 賞ホナラティブ・メンションを受賞するなどした。マヌエル・リバスの短編集を映画化した『蝶の舌』(99)はゴヤ賞脚色賞を受賞、どちらも本邦でも公開され好評だった。しかしクエルダ・ファンの一押しは「Amanece, que no es poco」ではないかと思います。アメナバルのデビュー作『テシス、次に私が殺される』(96)や『オープン・ユア・アイズ』(97)、『アザーズ』(01)などの製作を手掛け、後進の育成にも寄与している。キャリア&フィルモグラフィーについては、第6回フェロス賞2019栄誉賞を受賞したおりアップしております。
*フェロス賞2019栄誉賞の記事は、コチラ⇒2019年01月23日
(フェロス賞2019栄誉賞のトロフィーを手にした監督)
★「Amanece, que no es poco」については、現在休眠中のCabinaブログが日本語で読める唯一の作品紹介ではないかと思います。示唆に富んだ紹介なのでご興味のある方はどうぞワープして下さい。管理人もコメントを投稿しています。コチラ⇒
http://azafran.tea-nifty.com/blog/2009/03/amanece-que-no-.html
イベロアメリカ・フェニックス賞財政難で一旦休止のニュース ― 2019年04月07日 15:29
ない袖は振れない苦しい台所事情も政治がらみか?
(黒いフェニックスの卵)
★毎年初冬の11月に開催されていた「イベロアメリカ・フェニックス賞」が、メキシコ当局による財政援助が難しくなり、やむなく休止に追い込まれてしまいました。第1回が2014年でしたから、たったの5回しか開催されなかったことになります。イベロアメリカと銘打たれておりましたが、選考母体は2012年創設されたばかりの「Cinema 23」でメキシコ主導の映画賞、授賞式開催国は持ち回りでなくメキシコと決まっていました。元宗主国のスペインとポルトガルも参加してノミネーションはされましたが、グランプリに輝くことはついぞありませんでした。
(第1回グランプリ作品ディエゴ・ケマダ=ディエスの「金の鳥籠」、授賞式から)
★2017年には、TVシリーズ部門にNetflixオリジナル作品の参加を開始、Netflixに門戸を開いた。麻薬王エスコバルの誕生から死までを描いた『ナルコス』がドラマ部門で、コメディ部門でも『クラブ・デ・クエルボス』が受賞した。第5回の2018年には『ペーパー・ハウス』が受賞、さらに「ネットフリックス・プリマ・オペラ賞」を設けて盛上げに協力し始めていたのですが、所詮焼け石に水だったようです。
(TVシリーズ部門、2018年受賞作『ペーパー・ハウス』Netflix)
★本映画賞の二大資金援助はメキシコの連邦政府と地方政府だったようで、主催者によると両者の折合いが難航、回答が貰えなかったことが休止の主たる理由だという。メキシコ新大統領アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドルは、一部の反汚職運動のような市民団体への助成金カットを数週間前に発表していた。政権批判をして論争のタネを振りまくNGOや文化団体には援助したくないのでしょう。そういう意味では本映画賞は、受賞作品を一瞥すれば一目瞭然、かなり政治的な色合いが濃く、援助カットの標的になってもおかしくない。第1回授賞式は、メキシコの麻薬密売組織に関係している政治家や警察関係者による学生43名の失踪殺害事件を厳しく批判、第5回はフェミニズム運動、特にアルゼンチンでの妊娠中絶合法化のシンボル緑のハンカチ運動など、毎年ラテンアメリカ諸国政府への「No」を鮮明にしている。
第1回作品賞2014『金の鳥籠』(メキシコ)ディエゴ・ケマダ=ディエス監督
第2回作品賞2015『ザ・クラブ』(チリ)パブロ・ラライン監督
第3回作品賞2016『ネルーダ 大いなる愛の逃亡者』(チリ)パブロ・ラライン監督
第4回作品賞2017『ナチュラルウーマン』(チリ)セバスティアン・レリオ監督
第5回作品賞2018『夏の鳥』(コロンビア)クリスティナ・ガジェゴ&チロ・ゲーラ共同監督
(第3回作品賞『ネルーダ 大いなる愛の逃亡者』の製作者フアン・デ・ディオス・ラライン、
トロフィーを手にしたネルーダ役のルイス・ニェッコ、刑事役のG.G.ベルナル)
(第4回作品賞『ナチュラルウーマン』で女優賞に輝いたダニエラ・ベガ)
(第5回作品賞『夏の鳥』ガラ、緑のハンカチを巻いたクリスティナ・ガジェゴ監督とスタッフ)
★残念なニュースですが、再開を願って2020年を待ちましょうか。
ゴヤ賞はテレビ・シリーズに門戸を閉ざす ― 2019年04月09日 14:51
スペイン映画アカデミーは満場一致でシリーズ・ドラマ締め出しを決定
★スペイン映画アカデミー会長マリアノ・バロッソは、2020年のゴヤ賞は「現在のシステムを維持」して「TVシリーズには門戸を閉ざす」との声明を発表した。「テレビ局製作を含めた作品も認めない」という厳しい枠がはめられた。少なくとも当面はシリーズ・ドラマ除外のようだが、映画アカデミー執行部の「満場一致」の決定とは驚きです。しかしこの決定は、今年のゴヤ賞ガラでの恒例の会長スピーチとは反対方向に向かった印象です。
★現在のようなテレビ局主導になりがちな状況から「数千数百万の小さな画面を敵と見なせば、私たちは立ち行かなくなるでしょう。観客は私たちの映画を映画館で観ていますが、また他の画面で見ている人もたくさん存在します。私たちはあらゆる種類の画面を考慮したい。・・・映画はテレビと対抗すべきではないし、テレビも映画を打ち倒すべきではありません。私たちは勝利者同盟なのです」とバロッソ会長はスピーチしたのでした。映画とテレビは一種の運命共同体、どちらも生き残ろうと語っていたはずです。
(2019年ゴヤ賞授賞式で挨拶するマリアノ・バロッソ会長)
★アカデミーによると、決定までには何回も会合がもたれたようで、特にゴヤ賞の対象作品にシリーズ物も受け入れる可能性を開こうというバロッソ会長提案の核心について討議したようです。エンリケ・ウルビス監督がヨーロッパ・プレスに語ったところによると、ゴヤ賞が「テレビに頼る前」に「スペイン映画がするべきこと」はたくさんある。「私たちは角突き合いするのではなく、互いに支え合わねばならない」と。バロッソのスピーチは「良かった」が、投票には「反対票」を入れたと付け加えた。全員一致も複雑だったようです。互いに助け合わねばならないが、対象作品にシリーズ作品を入れるのは目下はNoということですかね。
★ゴヤ賞対象作品になるには、現在ドラマとアニメーションの場合は劇場での連続上映7日間、ドキュメンタリーは3日間が義務付けられているが、これは変更なしということです。今後アカデミーは、テレビ局、プラットフォーム、制作会社、テレビ・アカデミーとの会合を模索しており、近く開催されるようです。テレビ局の資金援助なしに製作することは至難の業でしょう。やはりNetflixのようなプラットフォームの出現が大きいのではないでしょうか。将来的には『ROMA/ローマ』のようなNetflixでもオリジナル作品の増加が避けられないから、なし崩しではなくきちんと決めておくべき事案です。
★今から8年前の2011年、当時映画アカデミー会長だったアレックス・デ・ラ・イグレシアが「私たちはインターネットに恐怖を覚えるべきではありません。インターネットは映画の救世主になるだろう」とゴヤ賞授賞式でスピーチした。賛成反対が交錯して事態は紛糾した。嫌気がさしてデ・ラ・イグレシアは任期半ばで辞任した。あれから8年、くすぶり続けていた火種が発火したようです。テレビで映画を見る若い層が増え、映画は映画館で見ていたオールドファンが少数派になってきている。それにつれて地方都市での映画館閉鎖にも拍車が掛かってスクリーンそのものが消滅しつつある。テレビはおろか今ではスマホで映画を見る時代になりつつある。結果、映画館はガラ空きで閑古鳥が鳴いている。という状況にアカデミーは危機感を募らせている。
(ネットは映画の救世主とスピーチしたアカデミー会長デ・ラ・イグレシア、2011年ガラ)
金のビスナガ受賞作品、カルロス・マルケス=マルセ*マラガ映画祭2019 ⑬ ― 2019年04月11日 15:33
カルロス・マルケス=マルセの「Els dies que vindran」が3賞
★カルロス・マルケス=マルセの長編第3作「Els dies que vindran」が、作品賞金のビスナガ・監督賞、主役のマリア・ロドリゲス・ソトが女優賞と、大賞3冠を受賞しました。今回は特別栄誉賞に時間を割き、作品紹介ができないまま閉幕してしまいました。これから何作か受賞作品をアップしてお茶を濁すことにします。「金のビスナガ」賞は、スペインとラテンアメリカ諸国に分けて与えられる。金賞は作品賞だけで、その他は銀賞です。
★まずスペイン製作の「金のビスナガ」受賞作品から。カルロス・マルケス=マルセ(バルセロナ1983)は、2014年のデビュー作「10.000 km」に続いて2度目の受賞となりました。新作も第1作と同じ若いカップルが主人公、雰囲気が似通っている印象は、主役の一人が監督の友人でもあるダビ・ベルダゲルということに関係しているかもしれません。第1作は泣いたり笑ったりと観客の心をつかみましたが、新作も観客と審査員を虜にできたようです。言語はカタルーニャ語で字幕入り上映でした。因みに第2作「Tierra firme」は、セビーリャ映画祭2017のオープニング作品、ASECAN(アンダルシア・シネマ・ライターズ協会)賞を受賞している。
(マリア・ロドリゲス、監督、ダビ・ベルダゲル、マラガ FF 2019フォトコールから)
* 第1作「10.000 km」と監督紹介記事は、コチラ⇒2014年04月11日
* 第2作「Tierra firme」の紹介記事は、コチラ⇒2017年11月07日
「Els dies que vindran」(「Los días que vendrán」)
製作:Lastor Media / Avalon P.C. 協賛ICAA / ICEC 参画 Movistar+ / TVE / TVC
監督・脚本・編集:カルロス・マルケス=マルセ
脚本:クララ・ロケ、コラル・クルス
撮影:アレックス・ガルシア
編集:オスカル・デ・ジスペルト、フリアナ・モンタニェス、アナ・プファッフ(パフ)Pfaff
音楽:マリア・アルナル
プダクション・デザイン:アナ・ポンス=フォルモサ
メイクアップ&ヘアー:ダナエ・ガテル、ヘスス・マルトス
製作者:トノ・フォルゲラ、セルジ・モレノ、マリア・サモラ
データ:製作国スペイン、カタルーニャ語、2019年、ロマンティック・コメディ、94分、スペイン公開2019年6月28日予定、配給元Avalon D. A
映画祭・受賞歴:ロッテルダム映画祭2019正式出品(1月31日上映)、第22回マラガ映画祭2019正式出品3月20日上映(作品賞・監督賞・女優賞受賞)、D'A映画祭(バルセロナ)正式出品5月4日上映予定
キャスト:マリア・ロドリゲス・ソト(妻ビル)、ダビ・ベルダゲル(夫リュイス)、ルぺ・ベルダゲル・ロドリゲス(娘ソエ)他多数
プロット:30歳のビルはジャーナリスト、32歳のリュイスは弁護士、妊娠に二人が気づいたとき、まだ付き合い始めて1年しか経っていなかった。子供は欲しいが今ではない。どうしたらいい? カメラは9ヵ月間この若いカップルの思いがけない体験を見守っていく。子供を生むという重大な推移、彼らの怖れ、喜び、期待、落胆、特に日に日に大きくなっていく妻の現実を細やかに追っていく。二人が三人になるということはどういうことかをカップルは学ぶことになる。主役を演じたカップルは実生活でも夫婦であり、ベビーは一人娘である。 (文責:管理人)
(ベビーは欲しいが、今ではないと、逡巡するビルとリュイスの夫婦)
★プレス会見での監督談話を要約すると「アイデアは『Tierra firme』撮影中に、ベルダゲルから父親になるという知らせを受けたときに閃いた。ストーリーは現実に支えられているが、勿論フィクションです。ドキュメンタリーの部分も含んでいるが、妊娠と同時進行で撮影していったので、費やした日数は50日間ほどだが、結局1年以上かかってしまった。舞台となった家屋も彼らの自宅で、彼らは同じマンションの別の部屋に引っ越してもらった。映画の中に現れるベビーは彼らの娘ルぺだが映画ではソエにした。もう2歳になっている。お飾りでない、仕掛けもせずに、父親になる過程を不自然でなくフィルターを掛けずに描こうとした」ということになる。ただ観客は少し混乱しますよね。
(本作のアイデアを明かすマルケス=マルセ監督とダビ・ベルダゲル、3月20日のプレス会見で)
★別のインタビューだが「舞台女優のベルダゲルの奥さんが、妊娠したことで舞台に出られなくなってしまった。つまり失業してしまった」と。「ドキュメンタリーの部分も含んでいる」というのは、出産シーンは、彼女の両親の友人のカメラマンが撮ったホーム・ビデオの由、それを作中に滑り込ませていることを指しているようです。さすがに友人の妻の分娩シーンは撮れなかったと。彼女の母親は教師で、生徒たちに「赤ちゃんはどこからやってくる」みたいな授業をしていて、その教材にしようと考えたらしい。タイトルもそこから思いついたということでした。
(銀のビスナガ監督賞を受賞したマルケス=マルセ)
★友人の妻の失業対策のために撮ったわけではないでしょうが、結果的にはマリア・ロドリゲスに「銀のビスナガ」女優賞がもたらされ、彼女は大きなお腹を抱えて約50日間頑張った甲斐があった。「生まれた娘は家宝です」とロドリゲス、トロフィーは大先輩のスシ・サンチェスの手から受け取りました。来年のゴヤ賞まで人気が持続すると新人女優賞のカテゴリーになる。マルセル・バレナの実話を映画化した『100メートル』(16、Netflix)、カタルーニャTV3シリーズ「El café de la marina」(14)ほか短編に出演している。主に舞台に軸足をおいているようだが、今回の受賞で変わるかもしれない。
(銀のビスナガ女優賞プレゼンターのスシ・サンチェスと抱き合うマリア・ロドリゲス)
(受賞スピーチをするマリア・ロドリゲス)
★ダビ・ベルダゲル(ジローナ1983)は、カルラ・シモンのデビュー作『悲しみに、こんにちは』に出演、孤児になってしまった姪を引き取って育てる養父役で、ゴヤ賞2018助演男優賞を受賞している。本作は第20回マラガ映画祭2017の作品賞受賞作品、こちらも言語はカタルーニャ語でした。ベルダゲル自身も母語はカタルーニャ語です。他カルロス・マルケス=マルセのデビュー作「10.000 km」で、ゴヤ賞2015新人男優賞ノミネート、ガウディ賞男優賞を受賞している。
(金のビスナガ賞2014受賞の「10.000 km」のポスター)
イベロアメリカ「金のビスナガ」受賞作品*マラガ映画祭2019 ⑭ ― 2019年04月14日 14:31
メキシコを襲った経済危機をバックに上流階級の女性たちのカオスを描く
★イベロアメリカ諸国で製作された映画に贈られる「金のビスナガ」賞は、メキシコのアレハンドラ・マルケス・アベジャの第2作「Las niñas bien」が受賞した。トロント映画祭2018でプレミアされて以来、国際映画祭での受賞歴をもつコメディ、何かの賞に絡むとは思っていましたが、金のビスナガは想定外でした。他に脚本賞・編集賞の3冠、少し意外でした。サン・ルイス・ポトシ生れだがメキシコ・シティで育った。バルセロナのカタルーニャ映画スタジオ・センターの映画監督科で学ぶ。監督紹介によれば、2009年に撮った短編「5 recuerdos」が140ヵ所の国際映画祭で上映されたとある。映画祭の多さにはあきれるばかりですが、2015年長編デビュー作「Semana Santa」がトロント映画祭に出品、SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト映画祭)やカルロヴィ・ヴァリ映画祭でも上映された。
(自作を語るアレハンドラ・マルケス・アベジャ)
★メキシコ公開日(3月22日)と重なったことから残念ながら来マラガはなく、上映後のプレス会見も検索できなかった。脚本賞のプレゼンターは、今回リカルド・フランコ賞を受賞した脚本家のラファエル・コボスであったが、マルケス・アベジャはビデオ参加にとどまった。
(ビデオ参加のアレハンドラ・マルケス・アベジャ、右端にラファエル・コボス)
「Las niñas bien」(「The Good Girls」)
製作:Woo Films / LATAM & North America Distribution / Cinepolis
監督・脚本:アレハンドラ・マルケス・アベジャ
原作グアダルーペ・ロアエサの同名小説
撮影:ダリエラ・ルドロー
編集:ミゲル・シュアードフィンガー
音楽:トマス・バレイロ
美術:クラウディオ・ラミレス・カステリ
製作者:ロドリゴ・ゴンサレス、ラファエル・レイ、ガブリエラ・マイレ、マリア・コルドバ
データ:製作国メキシコ、スペイン語、2018年、コメディ・ドラマ、93分、公開メキシコ3月22日
映画祭・受賞歴:トロント映画祭2018、ローマ、シカゴ、モレリア、テッサロニキ、ストックホルム、マラケシュ、マカオ(観客賞)、ハバナ(女優賞イルセ・サラス)以上2018年開催。パームスプリングス映画祭2019(Directors to Watch)、マラガ(作品賞・脚本賞・編集賞)、D'A映画祭、他
キャスト:イルセ・サラス(ソフィア)、フラビオ・メディナ(ソフィアの夫フェルナンド)、カサンドラ・シアンヘロッティ(アレハンドラ)、パウリナ・ガイタン(アナ・パウラ)、ヨハンナ・ムリージョ(イネス)、ヒメナ・ゲーラ(クリスティナ)、アナ・ホセ・アルドレテ(ロレナ)、パブロ・チェモル(ダニエル)、クラウディア・ロボ(マリルス)、ダニエル・アダッドHaddad(ベト)、アレハンドラ・マルドナド、ディエゴ・ハウレギ(ハビエル)、レベッカ・デ・アルバ(同)、ガブリエル・ヌンシオ、他多数
(4人の良家の子女、ソフィア、アレハンドラ、アナ・パウラ、イネス)
ストーリー:時はホセ・ロペス・ポルティージョ政権の1982年、メキシコは重大な経済危機に陥っていた。想像だにしたこともない社会崩壊が起きるまで、ソフィアは魅力にあふれ、その上品さにおいても完璧な女性、友人グループのリーダー的存在だった。ソフィアは体面を保とうと腐心するが、夫の負債、世間の中傷に晒される。彼女の精神的ダメージは避けられず、金の切れ目は縁の切れ目であることに気づく。ソフィアを中心に社会的ピラミッドの頂点に立つ4人の女性たち、アレハンドラ、イネス、アナ・パウラが辿る救済ではなく成熟への旅が語られる。 (文責:管理人)
(誕生会のドレスを綿密に点検するソフィア、冒頭シーンから)
グアダルーペ・ロアエサの同名小説「良家の子女」をベースに製作された
★1987年に刊行されたグアダルーペ・ロアエサの小説「Las niñas bien」がベースになっている。作家によると「脚本にはタッチしていないが、私の小説の映画化では最もよくできている。セリフも衣装も当時の雰囲気を上手く再現できている。映画に登場する宝石類は、友人のデザイナーダニエル・エスピノサが制作したコレクションから提供されたものです」と語っている。
(作家ロアエサとデザイナーのエスピノサ、メキシコのオープニング、3月22日)
(監督、原作者、パウリナ・ガイタン、カサンドラ・シアンヘロッティ、サラス)
★<niñas bien>というのは、日本語の「良家の子女」に当たるだろうか。経済的に恵まれた上流階級の娘たちで、子供時代は祖母や母親から躾けられ、文化や伝統が優先される家庭環境で過ごしている。お金は天から降ってくるのであるから心配する必要がないはずだが実はそうではなかった。ヒロインのソフィアは、夫がどうやってお金を稼いでいるか知らないし知ろうともしない。興味があるのは自分たちエリート階級の特権的な生活を楽しむことである。お金を失うと、金持ちは何を失うのでしょうか。銀食器、シャネルのバッグ、ディオールのドレス、ジュエリー、シャンパン、エトセトラ。この映画は社会的不平等を批判的に見ているが告発しているのではなく、エリートが失う特権は何かを探す映画である。
(豪華なジュエリー、シャンパン、贅沢は永遠に続くと思っていたソフィア)
(ソフィアと夫のフェルナンデス)
★1981年の石油価格の暴落が引き金となって、メキシコ・ペソは大暴落、海外の銀行は融資を拒絶する。翌年8月、ロペス・ポルティージョ大統領は利払いの一時停止を宣言するが時すでに遅し、国民は急激なインフレと失業の増大に苦しむことになる。階級差別と不平等が根づいた時代が背景になっている。「何が起ころうがメキシコは変わらない。そういうことを気づかせるために年代物の映画を作っている。この分析で分かったことは、自分が抑圧される代わりに抑圧者となることができるなら直ちにチャンスを掴むべきだという権力の理想がまだ浸透していないということだった」と監督。
★メキシコの階級主義は常に身近にあるが、現在では面と向かい合ってと同じくらいネットワーク上での関心が高まってきている。2018年総領選挙ではメキシコをこき下ろす隣国大統領に怒りが集中、「反トランプ」に掻き立てられた国民が団結して、新興左派政党を勝利させ、新大統領ロペス・オブラドールは得票率53%の歴史的勝利をおさめた。しかしこの政権交代の流れは欧米が望む左派政党の退潮の維持と矛盾している。階級主義と不平等は現在でも80年代と変わらずメキシコに根づいてしまっているが、映画も政治に無関心ではいられない。
★ソフィアを演じたイルセ・サラスは、1981年メキシコ・シティ生れ、映画、TV、舞台で活躍。国立演劇学校で演技を学んだ。舞台やTVシリーズ出演後、アントニオ・セラノ・アルグエジェスの「Hidalgo, La historia jamás contada」(10)のオーディションを受け映画デビューする。続いてセバスティアン・デル・アモの「Cantinflas」や本邦でも話題になったアロンソ・ルイスパラシオスがモノクロで撮ったデビュー作『グエロス』と第2作「Museo」に出演している。ロベルト・スネイデルの「Me estás matando Susana」には、G.G.ガエルと共演している。NetflixオリジナルのTVシリーズ「Historia de un criman: Colosio」(7話)が、『コロシオ 犯罪アンソロジー大統領候補の暗殺』という邦題で3月22日から配信されている。1994年にティフアナで起きたコロシオ暗殺事件をベースにした犯罪ドラマ。サラスはコロシオの妻ディアナ・ラウラを演じている。アロンソ・ルイスパラシオス監督とのあいだに2児、母親業も楽しんでいる。メキシコに根をおろしてしまった社会問題の解決を目指す文化芸術グループに参加している、物言う女優の一人でもある。
*『グエロス』の作品紹介は、コチラ⇒2014年10月03日
*「Museo」の作品紹介は、コチラ⇒2018年02月19日
*「Me estás matando Susana」の作品紹介は、コチラ⇒2016年03月22日
(不治の病と闘っている大統領候補者の妻に扮したイルセ・サラス、TVシリーズ)
★アナ・パウラ役のパウリナ・ガイタン(メキシコ・シティ1992)は、キャリー・フクナガの『闇の列車、光の旅』で意志の強い女性を演じて好評だった。アレハンドラ役のカサンドラ・シアンヘロッティ(メキシコ・シティ1987)は、映画やTVシリーズのほか舞台女優としても活躍、サラス同様「Cantinflas」のほか、イシアル・ボリャインの『雨さえも、ボリビアの熱い一日』に出演している。イネス役のヨハンナ・ムリジョは、TVシリーズ出演が多く舞台でも活躍しているせいか、本邦公開作品は見つからなかった。映画ではディエゴ・ルナのロード・ムービー「Sr. Pig」に脇役ながら出演のほか、まだ未公開だが Axel Muños ムニョスの「Noches De Julio」では主役に起用されている。
*『闇の列車、光の旅』の作品紹介は、コチラ⇒2013年11月10日
★次回は、審査員特別賞のアリ・サマの「Esto no es Berlín」を予定しています。こちらも1980年代のメキシコが舞台のようです。当時のメキシコ人の憧れの地は、ロンドンかベルリンだったそうです。
追加情報:『グッド・ワイフ』の邦題で2020年07月10日に劇場公開されました。
審査員特別賞受賞作品「Esto no es Berlín」*マラガ映画祭2019 ⑮ ― 2019年04月17日 11:49
「Esto no es Berlín」は監督の半自伝的な作品
★イベロアメリカ金のビスナガに続いて審査員特別賞もメキシコのシネアスト、ハリ・サマの「Esto no es Berlín」が受賞しました。ほかに批評家審査員特別賞、アルフレッド・アルタミラノのデラックス銀のビスナガ撮影賞、マウロ・サンチェス・ナバロの銀のビスナガ助演男優賞と4冠に輝きました。本映画祭でメキシコがこんなに評価された記憶はなく、そもそもノミネーション自体がありませんでした。舞台設定が80年代と「Las niñas bien」とほぼ同じですが、所属している社会階級が異なれば、見えてくる世界も全く別の姿を現すというわけです。映画祭には監督の分身カルロスを演じたハビアニ・ポンセ・デ・レオンと本作には出演のなかった俳優ダニエル・ビジャルと3人で出席した。
(左から、ダニエル・ビジャル、サマ監督、ハビアニ・ポンセ・デ・レオン、マラガ映画祭にて)
★ハリ・サマHari Sama(本名Carlos)、1967年メキシコシティ生れ。監督、脚本家、製作者、ミュージシャン。Hariは通称、デビュー作「Sin ton ni Sonia」のクレジットはカルロス・サマ、以降本名と通称を混在させている。メキシコシティの中流階級が多く住んでいるロマス・ベルデスの出身。映画養成センター(CCC)の映画科卒、メキシコシティの音楽研究スタジオセンター(CIEM)で作曲法を学んだ。若いときから映画と音楽に多くの情熱を注いでいる。彼の映画には痛みと居場所探し、衝動的な闇と光が混在している。作品の多くが自伝的な要素をもち、登場人物の造形には彼自身が投影されている。茶道や禅に魅せられており、ドキュメンタリー「Sunka Raku」を撮っている。グアダラハラやモレリアなどの国内映画祭のほか、サンセバスチャン、上海、ビアリッツ・ラテンアメリカ、各映画祭に出品、受賞している。フィルモグラフィーは後述。
「Esto no es Berlín」(「This Is Not Berlin」)
製作:Catatonia Cine 共同La Palma de Oro Films
監督・脚本・編集・プロデューサー:ハリ・サマ
脚本:ロドリゴ・オルドニェス、マックス・スニノ
音楽:Joy Division、Roxy Music、Devo他多数
撮影:アルフレッド・アルタミラノ(撮影賞受賞)
編集:ロドリゴ・リオス、ヒメナ・クエバス
美術:ディアナ・キロス
衣装デザイン:ガブリエラ・フェルナンデス
メイクアップ:カリナ・ロドリゲス
プロデューサー:アレ・ガルシア、アントニオ・ウルダピジェタ、ベロニカ・バラデス
データ:メキシコ、スペイン語、2019年、ドラマ、105分、公開スペイン6月予定
映画祭・受賞歴:第16回モレリア映画祭2018のインプルソ・モレリア Cinépolis Distribución賞特別メンションを受賞。サンダンス映画祭2019「ワールド・シネマ」ドラマ部門(1月25日)、マラガ映画祭正式出品(3月16日)審査員特別賞・批評家審査員特別賞・撮影賞・助演男優賞受賞、トライベッカ映画祭(4月28日予定)、マイアミ映画祭イベロアメリカ部門、モレリア映画祭もアナウンスされている。
キャスト:ハビアニ・ポンセ・デ・レオン(カルロス)、ホセ・アントニオ・トレダノ(親友ヘラ)、ヒメナ・ロモ(ヘラの姉リタ)、マウロ・サンチェス・ナバロ(ニコ)、クラウディア・ガルシア(マウド)、アメリコ・ホランダーHollander(ティト)、アリ・サマ(エステバン)、マリナ・デ・タビラ(カルロスの母カロリナ)、フアン・カルロス・レモリナ(エミリオ)、ルミ・カバソス(スサナ)、フェルナンド・アルバレス・レベイルRebeil、他多数
ストーリー:1986年メキシコシティ、居場所の見つからない17歳の高校生カルロスの物語。うつ状態の母親、いつも不在の父親、退屈な友達、しかし有名なナイトクラブ<El Azteca>に足を踏み入れたことで世界が一変する。夜のアンダーグラウンドでは、ポストパンク、奔放なセックス、ドラッグが充満していた。親友ヘラ、パンクロックのヘラの姉リタへのプラトニックな愛、アートへのパッションなど、奥深いヒューマニズムと実存的なドラマが語られる。監督が辿った人生の一部がノスタルジックに語られる自伝的な要素を含んでいる。映画は眠り込んだ現代社会を目覚めさせるために激しく反逆的だった時代に観客を運んでいくだろう。 (文責:管理人)
(退屈な高校生活をおくっていた頃のカルロス、ハビアニ・ポンセ・デ・レオン)
(アートで生きる道を発見したカルロス)
(カルロスの親友ヘラ、ホセ・アントニオ・トレダノ)
★プレス会見のQ&Aでは「この映画はとても個人的な難解な映画で製作が難しかった。現代のスペインで評価してもらえてとても嬉しい」と監督。自分はとても保守的な環境で育ち、鬱ぎみの母親と父親はいつも不在の家庭でした。本質的な痛みを昇華させる方法をアートに求めた狂気の面白い人々と知り合うことで、私の人生は変わりました。つまりアートで生きる道があることを発見したのです。タトゥー、イヤリング、髪を染めること、同性愛が許される世界でした。自身はゲイでドラッグを常習していました。友人の多くが死んで、親友も90年代の初めにエイズで亡くなりました。この映画には当時の自分が投影されています。80年代のメキシコの若者の憧れの地は、ベルリン、ロンドンなどのヨーロッパ、メキシコの現実を考えないですむ美学や言語がとても必要だったのです。そこからタイトルが付けられました。
(自伝的作品と語るサマ監督、マラガ映画祭プレス会見、3月16日)
★大体こんな内容でした。本作にはトレードマークの帽子を脱いで鬘を被って登場します。主役の青年に自分のクリスチャン・ネームを付けたことからも分かるように、主人公は当時の監督の等身大かと想像します。脚本にロドリゴ・オルドニェスの助けを借り客観性をもたせようとしたのも、自身を語ることの難しさを感じたからのようです。
★キャスト紹介:主役のカルロスを演じたハビアニ・ポンセ・デ・レオンは当時16歳だった由。2011年TVシリーズでデビュー、2013年からの長寿TVシリーズ「Violetta」(160話)に出演、映画は本作が初めて。マラガではかなり大人っぽい感じでしたが、細い鼻すじの美形で女性ファンが付きそうです。一体にイケメン揃いなのは監督の好みかもしれない。親友ヘラ役のホセ・アントニオ・トレダノは映画初出演、アニメーションのボイス出演がある。助演男優賞を受賞したマウロ・サンチェス・ナバロは、2010年TVシリーズでデビュー以来テレビでの仕事が多く、お茶の間の人気度は高いようです。本作出演は2作目。
(ニコ役で助演男優賞を受賞したマウロ・サンチェス・ナバロ)
★ヘラの姉リタを演じたヒメナ・ロモは、2008年「Voy a explotar」でデビュー、映画とTVシリーズにかなり出演しているが脇役に甘んじている。現在進行中のマリアナ・ゴンサレスのデビュー作「Fractal」には主演している。アルフォンソ・キュアロンの『ROMA/ローマ』の演技で一躍脚光を浴び、アカデミー賞助演女優賞にノミネートされたマリナ・デ・タビラが,カルロスの鬱ぎみの母親役で出演している。
(パンクロッカーのリタを演じたヒメナ・ロモ)
(カルロスの母親を演じたマリナ・デ・タビラ、映画から)
*主なフィルモグラフィー*
1996「Una suerte de galleta」短編デビュー
2003「Sin ton ni Sonia」長編デビュー、グアダラハラ映画祭観客賞、モレリア映画祭出品
2005「La cola entre las patas」短編、グアダラハラ映画祭短編賞
2007「Tiene la tarde ojos」短編
2011「El sueño de Lu」モレリア映画祭栄誉メンション、上海映画祭正式出品
2013「Despertar el polvo」
2014「La tiara vacía」短編
2015「Sunka Raku: alegrñia evanescente」ドキュメンタリー
2015「El espacio que buscas」アルバロ・フェルナンデスとの共同監督
2016「Ya nadie toca el trombón」短編ドキュメンタリー
2017「Pinocho」
2019「Esto no es Berlín」省略
(TVシリーズは割愛)
マラガ映画祭2019受賞作品*落穂ひろい ⑯ ― 2019年04月18日 10:48
元気だったコメディ映画とマラゲーニョスが活躍したマラガ映画祭
★例年ならアルゼンチン映画が何かに絡むのに、今年は盛り上がらなかった。なかでスペインとの合作コメディ、セビーリャ出身のサンティ・アモデオのコメディ「Yo, mi mujer y mi mujer muerta」の主役を演じたオスカル・マルティネスがひとり気を吐いた。ブエノスアイレス大学の建築学教授を演じて銀のビスナガ主演男優賞を受賞した。『人生スイッチ』や『笑う故郷』で本邦でもお馴染みになったベテランです。プレゼンターはアルフォンソ・コルテス=カバニリャスのアクション・ドラマ「Sordo」に共演のイマノル・アリアスとウーゴ・シルバでした。本作もセクション・オフィシアルにノミネートされていた作品でしたが、こちらは無冠でした。
(中央が受賞者オスカル・マルティネス)
★観客賞は、老いてますます元気なフェルナンド・コロモ(マドリード1946)のコメディ「Antes de la quema」、主役はマラゲーニョのサルバ・レイナがトロフィーを受け取りました。そのほか2人受賞だった銀のビスナガ助演女優賞にこれまたマラガ生れのマギー・シバントスが受賞しました。プレゼンターのマカレナ・ゴメスからトロフィーを受け取りました。もう一人の受賞者は、コロンビアのルベン・メンドサの「Niña errante」出演のカロリナ・ラミレスでした。
(サルバ・レイナとフェルナンド・コロモ監督、フォトコールで)
(受賞スピーチをする、サルバ・レイナ)
(マカレナ・ゴメスからトロフィーを受け取るマギー・シバントス)
★銀のビスナガ助演男優賞はダニエル・デ・ラ・オルデンの「Litus」出演のキム・グティエレスと、前回アップしたハリ・サマの「Esto no es Berlin」のマウロ・サンチェス・ナバロが分け合いました。
(受賞スピーチするキム・グティエレス)
*セクション・オフィシアルのドキュメンタリー部門*
◎銀のビスナガ作品賞(副賞8000ユーロ)
「Terra franca」監督レオノル・テレス
◎銀のビスナガ監督賞
フェリペ・モンロイ「Los fantasmas del Caribe」
◎審査員特別メンション
「Titix」監督タニア・エルナンデス・べラスコ
◎観客賞
「Baracoa」監督パブロ・ブリオネス
★ソナチネ部門以下、短編、アニメーションの受賞者名は割愛します。オープニングもクロージングもダニ・ロビラ主演のコメディでした。
★セクション・オフィシアル部門ノミネーションのなかで、ホタ・リナレスの「¿ A quién te llevarías a una isla desierta ?」が、『無人島につれていくなら誰にする?』という邦題で、既にNetflix で配信が始まっています。TVシリーズ『ペーパー・ハウス』のハイメ・ロレンテ、ほかエステバン・クレスポの『禁じられた二人』のポル・モネンとマリア・ペドラサのコンビ、アンドレア・ロスの若手4人が出演している。
(表面的には和気あいあいだが、それぞれ抱える重大な秘密が明かされていく)
アルモドバルの新作「Dolor y gloria」*カンヌ映画祭2019 ② ― 2019年04月22日 15:10
カンヌ映画祭コンペティション部門のノミネーション発表
★4月18日、第72回カンヌ映画祭2019(5月14日~25日)のコンペティション部門(19作)、「ある視点」(16作)のノミネーション発表があり、今後追加の可能性もあるということでした。スペイン語映画はペドロ・アルモドバルの新作「Dolor y gloria」(「Pain and Gloria」)1作のようです。スペインでは3月22日に封切られました。1週間前の公開記念イベントには出演者のみならず大勢の関係者が出席しました。もう二度とはできないだろうという盛大な夜を仲間とファンで過ごしたようです。カンヌに合わせて映画製作をしているアルモドバル、ノミネーションは暗黙の了解だったでしょう。コンペティション部門の審査委員長は、カンヌとは縁の深いメキシコのアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督が既にアナウンスされています。
*審査委員長アレハンドロ・G・イニャリトゥの記事は、 コチラ⇒2019年03月06日
(フランス語のカンヌ映画祭用ポスター)
(公開記念イベントの最終リハーサルでのアルモドバル監督)
★作品の詳細はいずれアップする予定ですが、ざっくり紹介するとアルモドバルの自伝的フィクション、監督の分身サルバドール・マジョSalvador Malloを演じるのが、かつてアルモドバルのお守りfeticheと言われたアントニオ・バンデラス、8作目となります(因みにSalvador MalloはAlmodóvarのアナグラムになっています)。サルバドールの少年時代の母親ハシンタにこれまたアルモドバル映画6作目となるペネロペ・クルス、父親にラウル・アレバロ、現在の母親にアルモドバル映画は『神経衰弱ぎりぎりの女たち』以来30年ぶりとなるフリエタ・セラーノ、他にアシエル・エチェアンディア、レオナルド・スバラグリア、セサル・ビセンテなど。共にサルバドールの母親を演じたペネロペ・クルスとフリエタ・セラーノの演技を称賛する批評家が目立ちました。
(監督とバンデラス)
(バンデラスとエチェアンディア、映画から)
(バンデラスとスバラグリア、映画から)
(バンデラスと母親役フリエタ・セラーノ)
★女優陣にノラ・ナバス、セシリア・ロス、スシ・サンチェスとなんとも豪華版、必ず顔を出す製作者で弟アグスティンも司祭役で出演します。話題を集めているのが歌手のロサリアがラブ・コールを受けてデビューしたことです。クルスとデュオで「A tu vera」をご披露します。ロサリアはアルモドバルの新ムーサになるのではないかと、外野は騒々しい。ゴヤ賞ガラ登場に続いて活躍が注目されています。
(ペネロペ・クルス、息子役アシエル・フロレス、ロサリア、スペイン語版ポスター)
(故郷を後にするサルバドール一家、フロレス、クルス、ラウル・アレバロ)
(バンデラスとノラ・ナバス)
★アルモドバル映画が大嫌いな批評家も今回はまずまずで、酷評に歯止めがかかっています。公開第1週目興行成績120万ユーロをはじき出しましたが、そのあと公開されたカルロス・テロンTherónのコメディ「Lo deje cuanndo quiero」が150万ユーロとあっさり記録を塗り替えてしまい、スペイン人のコメディ好きには苦笑いです。ダビ・ベルダゲルとエルネスト・アルテリオが主演、イタリア映画「Smetto quando voglio」のリメイクのようです。
★カンヌには他に、ロドリゴ・ソロゴジェンの短編「Madre」(17)をベースに長編化した同タイトルの作品も応募していたようですが採用されませんでした。スペイン公開は10月18日と決定しておりますが、プレミアは7月のカルロヴィ・ヴァリ映画祭、続いて秋のトロントやサンセバスチャン映画祭がアナウンスされています。もう一作、アレハンドロ・アメナバルの久々の長編「Mientras dure la guerra」も選に漏れてしまった。哲学者ミゲル・デ・ウナムノの最晩年を描いた伝記映画、ウナムノにカラ・エレハルデが扮している。
*アメナバル「Mientras dure la guerra」の紹介記事は、コチラ⇒2018年06月01日
(撮影中の母親役マルタ・ニエトとロドリゴ・ソロゴジェン)
(撮影中のウナムノ役のカラ・エレハルデとアメナバル)
「ある視点」にアルベルト・セラの「Liberte」*カンヌ映画祭2019 ③ ― 2019年04月25日 11:43
アルベルト・セラの9作目「Liberté」の時代背景はフランス革命前夜
★アルベルト・セラはカンヌ映画祭2016に特別招待作品として上映された「La mort de Louis XIV」(仏語)が評価され本邦でも2年後に『ルイ14世の死』の邦題で公開された。広島国際映画祭2017 関連企画として「アルベルト・セラ監督特集」(11月24日~26日)が組まれ、自身もゲストとして来日、『ルイ14世の死』と3作目『鳥の歌』(2008、El cant dels ocells)が上映された。引きつづきアテネ・フランス文化センターでも特集が組まれ(11月30日~12月2日)、2作に加えて『騎士の名誉』(06、Honor de cavalleria)、ドキュメンタリー『主はその力をあらわせり』(11、El Senyor ha fet en mi meravelles)、ロカルノ映画祭2013の金豹賞受賞作品『私の死の物語』(Historia de la meve mort)の5作が上映された。そして翌2018年5月にはシネマニアの情熱が実って公開され、再び監督を招いてのイベントも開催されたのでした。
*ロカルノ映画祭「金豹賞」受賞と監督キャリアの記事は、コチラ⇒2013年08月25日
(ロカルノ映画祭2013金豹賞のトロフィーを手にした監督)
(ジャン=ピエール・レオがルイ14世を演じた)
★アルベルト・セラ(ジローナ、1975)は、監督、脚本家、製作者、舞台演出家。スペインでも作家性の強い監督の一人、国際映画祭や映画賞受賞者として本国よりも海外のほうが有名なのではないかと思います。これには作品がカタルーニャ語またはフランス語映画という事情もあって、バルセロナ以外の国内での上映機会が少ないことも一因です。ガウディ賞受賞はあってもゴヤ賞はノミネーションさえありません。カタルーニャ人は複雑で、昨今の独立運動でも分かるように心理的にはマドリードは遠くフランスは近いのです。
(セルバンテスの『ドン・キホーテ』を素材にした『騎士の名誉』から)
★「ある視点」ノミネーションの新作「Liberté」の詳細は、IMDbでは情報不足ですが、フランス共和国の標語「自由、平等、友愛」から取られているようです。時代はルイ16世の御代、1774年フランス革命前夜、場所はポツダムとベルリン間のどこかという設定、タイトルから判断して言語は仏語ではないかと思いますが公式サイトにありません。主演のヘルムート・バーガーはオーストリア人、晩年のヴィスコンティが寵愛してやまなかった俳優、イリアナ・ザベートと『ルイ14世の死』出演のマルク・スジーニはフランス人、監督作品にはお馴染みのリュイス・セラーはカタルーニャ人など国際色豊か、他にテオドラ・マルカデ、ハビ・ぺレス、アレックス・デュトマンなど。
★セラ監督はスタッフは同じメンバーで映画作りをするタイプ、エグゼクティブ・プロデューサーのモンセ・トリオラは監督の全作を手掛けており、作品によっては女優としても出演しています。他にプロデューサーとしてセラ監督、フランスのピエール=オリヴィエ・バルデ、他にポルトガルのホアキン・サピニョが前作に続いてクレジットされている。編集も監督、アリアドナ・リバス、アルトゥル・トルトと前作と同じです。
★2018年2月、ベルリンのフォルクスビューネ劇場でアルベルト・セラ演出で初演された「Liberté」がベースになっているようです。こちらはドイツ語でヘルムート・バーガーとイングリッド・カーフェンが主演しました。まだ映画の写真が入手できませんでしたので、少しは雰囲気の分かる舞台での写真をアップしておきます。
(2018年2月公演の「Liberté」から、フォルクスビューネ劇場)
★「ある視点」部門には、スペインからはガリシア出身のオリヴェル・ラセの「O que arde」もノミネートされています。2作とも最初からカンヌ映画祭の資金援助を受けて企画されていたものです。というのもラセ監督の前作「Mimosas」(16)は、カンヌ映画祭併催の「批評家週間」のグランプリ作品だったからです。今回はコンペティションではありませんが、カンヌ映画祭本体のノミネート、階段を1段昇ったことになるのでしょうか。
オリベル・ラセの新作が「ある視点」に*カンヌ映画祭2019 ④ ― 2019年04月28日 16:16
予告通り新作はガリシア地方の山村が舞台
★2010年のデビュー作「Todos vós sodes capitáns」(「You All Are Captains」)から第2作「Mimosas」まで資金不足で6年かかりましたが、新作「O que arde」までは半分の3年に短縮できました。2016年、さいわいなことに「Mimosas」がカンヌ映画祭併催の「批評家週間」でグランプリをとったことで資金調達が順調だったことが理由です。オリベル・ラセ(ガリシア語読みならオリベル・ラシェか)の新作は、予告通り北スペインのガリシア地方の山村が舞台です。アルベルト・セラの「Liberté」よりは若干多めの情報が入手できました。
(2016年「批評家週間」グランプリ作品「Mimosas」のポスター)
★ラセ監督は37年前の1982年にパリで生れた、監督、脚本家、製作者、俳優。5~6歳ごろガリシア州ア・コルーニャ(ラ・コルーニャ)に戻り、大西洋に面した貿易都市ポンテべドラ、内陸部のルゴなどに住み、映画はバルセロナにあるポンペウ・ファブラ大学で学んだ後、ロンドンでもキャリアを積んだ。10年ほど毎年モロッコで暮らしていたことが評価の高かった「Mimosas」を生み出した。今回はガリシアに戻って長年構想を練っていた「O que arde」を完成させた。キャリア&フィルモグラフィーについては、既に以下にアップしております。
*「Mimosas」と主な監督紹介記事は、コチラ⇒2016年05月22日
「O que arde」(「Viendo le feu」「A Sun That Never Sets」)
製作:Miramemira(西)、4A4 Productions(仏)、Tarantula Luxenbourg、Kowalski Films、
Pyramide international 協賛ガリシアTV(TVG)他
監督:オリベル・ラセ
脚本:オリベル・ラセ、サンティアゴ・フィジョル Fillor
撮影:マウロ・エルセ Mauro Herce
編集:クリストバル・フェルナンデス
衣装デザイン:ナディア・アシミ
プロダクション・デザイン:サムエル・レナ
製作者:Mani Mortazavi(仏)、Donato Rotunno(ルクセンブルク)、他
データ:スペイン=フランス=ルクセンブルク、ガリシア語、2019年、90分、ドラマ、撮影地ナビア・デ・スアルナ、モンテロソ、セルバンテス、ルゴ、ビベイロなどガリシア州で約6週間。カンヌ映画祭及びルクセンブルク映画基金、ルゴ市などからの資金提供を受けた。
映画祭・受賞歴:カンヌ映画祭2019「ある視点」部門ノミネーション
キャスト:アマドール・アリアス(アマドール・コロ)、ベネディクタ・サンチェス(母ベネディクタ)、イナシオ・アブラオ(イナシオ)、エレナ・フェルナンデス(獣医エレナ)、イバン・ヤニェス、ルイス・マヌエル・ゲレロ・サンチェス(消防士ルイス)、ヌリア・ソテロ、アルバロ・デ・バサル、ダビ・デ・ペソ、ナンド・バスケス、ルベン・ゴメス・コエリョ、他
ストーリー:放火の罪で収監されていたアマドール・コロが2年間の刑期を終えて出所してきたとき、出迎えには誰も現れなかった。故郷である鄙びた山村に戻ると、老いてはいるが思慮深い母親ベネディクタと三頭の牛が待っていた。母と息子は自然のゆったりとしたリズムに合わせて時を刻んでいた。しかしそれも新たな山火事が起きる夜までのことだった。
(アマドールと母親ベネディクタ)
★紹介記事からはサスペンスの要素も感じられますが、予告編もまだアップされていない段階での予測は控えます。アイデアは2006年に体験した大火事がベースになっている。2007年には既に映画化の構想を固めていたようですから、「Mimosas」と同時進行だった。悪者に仕立て上げられ蔑まれている人間を救済するために、寛容、許し、慈悲、愛、家族が語られる。「涙を含んだ辛口メロドラマ」と監督自身が語っている。撮影地をガリシアのルゴ県に選んだのは、ルゴ市からの援助があったことも一因と推測しますが、メインとなったナビア・デ・スアルナの山村は、監督にとって忘れがたい場所でもあったからのようです。カンタブリア海に面したビベイロでも撮影したようで、正式の予告編が待たれます。
(ナビア・デ・スアルナのトレードマークの石橋をバックにした監督)
(ナビア・デ・スアルナで撮影準備をする監督)
★キャストは土地の人を起用、2017年に60代の女性(母役)と40代の男性(息子役)探しから始まった。その他なぜ映画を作るのか、制作の動機は何か、いつも自問しているようです。作家性の強い監督だと思いますが、自身は必ずしも商業映画を否定しているわけではなく、いずれにも優れたものとそうでないものがあると語っている。オーソドックスなタイプの監督、資金集めに苦労していることから、Netflix についての質問には「ネットフリックスで自由に作れるのか確信が持てない」と消極的、映画がお茶の間だけで消費されることへの抵抗もあるようだ。世の中の変化のスピードが早いのも問題、現在では映画館をいっぱいにするのはミステリーだと語っている。
(監督とアマドール役のアマドール・アリアス)
(オーレンセの山火事のシーンを撮る撮影班)
★IMDbのストーリー紹介では、アマドールではなくラモンとなっておりますが、フランスやルクセンブルクの制作会社の紹介記事によって一応アマドールとしておきます。ラモンの愛称はモンチョでガリシアには多い名前です。間違っている場合には訂正いたします。
★『ザ・ニューヨーカー』によると、第2作「Mimosas」は2017年アメリカで上映された映画35作に選ばれ、米国でも受け入れられたことが分かります。カンヌ以外ではアルメリア、ブエノスアイレス・インディペンデント、カイロ、ミンスク、台北、各映画祭で受賞している。スペインではどうかというと、管理人が期待したほどではなく、セビーリャ・ヨーロッパ映画祭2016審査委員特別賞を受賞しましたが、言語がアラビア語ということもあってゴヤ賞ノミネートはありませんでした。新作は4つあるスペイン公用語のガリシア語映画です。
*セビーリャ・ヨーロッパ映画祭2016の記事は、コチラ⇒2016年11月25日
追加情報:ラテンビート2019で『ファイアー・ウィル・カム』の邦題で上映決定。
東京国際映画祭2019ワールド・フォーカス部門共催作品です。
最近のコメント