アルモドバルの新作「Dolor y gloria」*カンヌ映画祭2019 ② ― 2019年04月22日 15:10
カンヌ映画祭コンペティション部門のノミネーション発表
★4月18日、第72回カンヌ映画祭2019(5月14日~25日)のコンペティション部門(19作)、「ある視点」(16作)のノミネーション発表があり、今後追加の可能性もあるということでした。スペイン語映画はペドロ・アルモドバルの新作「Dolor y gloria」(「Pain and Gloria」)1作のようです。スペインでは3月22日に封切られました。1週間前の公開記念イベントには出演者のみならず大勢の関係者が出席しました。もう二度とはできないだろうという盛大な夜を仲間とファンで過ごしたようです。カンヌに合わせて映画製作をしているアルモドバル、ノミネーションは暗黙の了解だったでしょう。コンペティション部門の審査委員長は、カンヌとは縁の深いメキシコのアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督が既にアナウンスされています。
*審査委員長アレハンドロ・G・イニャリトゥの記事は、 コチラ⇒2019年03月06日
(フランス語のカンヌ映画祭用ポスター)
(公開記念イベントの最終リハーサルでのアルモドバル監督)
★作品の詳細はいずれアップする予定ですが、ざっくり紹介するとアルモドバルの自伝的フィクション、監督の分身サルバドール・マジョSalvador Malloを演じるのが、かつてアルモドバルのお守りfeticheと言われたアントニオ・バンデラス、8作目となります(因みにSalvador MalloはAlmodóvarのアナグラムになっています)。サルバドールの少年時代の母親ハシンタにこれまたアルモドバル映画6作目となるペネロペ・クルス、父親にラウル・アレバロ、現在の母親にアルモドバル映画は『神経衰弱ぎりぎりの女たち』以来30年ぶりとなるフリエタ・セラーノ、他にアシエル・エチェアンディア、レオナルド・スバラグリア、セサル・ビセンテなど。共にサルバドールの母親を演じたペネロペ・クルスとフリエタ・セラーノの演技を称賛する批評家が目立ちました。
(監督とバンデラス)
(バンデラスとエチェアンディア、映画から)
(バンデラスとスバラグリア、映画から)
(バンデラスと母親役フリエタ・セラーノ)
★女優陣にノラ・ナバス、セシリア・ロス、スシ・サンチェスとなんとも豪華版、必ず顔を出す製作者で弟アグスティンも司祭役で出演します。話題を集めているのが歌手のロサリアがラブ・コールを受けてデビューしたことです。クルスとデュオで「A tu vera」をご披露します。ロサリアはアルモドバルの新ムーサになるのではないかと、外野は騒々しい。ゴヤ賞ガラ登場に続いて活躍が注目されています。
(ペネロペ・クルス、息子役アシエル・フロレス、ロサリア、スペイン語版ポスター)
(故郷を後にするサルバドール一家、フロレス、クルス、ラウル・アレバロ)
(バンデラスとノラ・ナバス)
★アルモドバル映画が大嫌いな批評家も今回はまずまずで、酷評に歯止めがかかっています。公開第1週目興行成績120万ユーロをはじき出しましたが、そのあと公開されたカルロス・テロンTherónのコメディ「Lo deje cuanndo quiero」が150万ユーロとあっさり記録を塗り替えてしまい、スペイン人のコメディ好きには苦笑いです。ダビ・ベルダゲルとエルネスト・アルテリオが主演、イタリア映画「Smetto quando voglio」のリメイクのようです。
★カンヌには他に、ロドリゴ・ソロゴジェンの短編「Madre」(17)をベースに長編化した同タイトルの作品も応募していたようですが採用されませんでした。スペイン公開は10月18日と決定しておりますが、プレミアは7月のカルロヴィ・ヴァリ映画祭、続いて秋のトロントやサンセバスチャン映画祭がアナウンスされています。もう一作、アレハンドロ・アメナバルの久々の長編「Mientras dure la guerra」も選に漏れてしまった。哲学者ミゲル・デ・ウナムノの最晩年を描いた伝記映画、ウナムノにカラ・エレハルデが扮している。
*アメナバル「Mientras dure la guerra」の紹介記事は、コチラ⇒2018年06月01日
(撮影中の母親役マルタ・ニエトとロドリゴ・ソロゴジェン)
(撮影中のウナムノ役のカラ・エレハルデとアメナバル)
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