ニューディレクターズ部門ノミネート13作*サンセバスチャン映画祭2021 ⑤ ― 2021年07月31日 15:00
ニューディレクターズ部門のノミネーション13作が発表されました
★去る7月28日、サンセバスチャン映画祭ディレクターのホセ・ルイス・レボルディノスとクチャバンク・ギブスコア・ネットワークのディレクター(アイノア・アルアバレナ)がプレス会見、13作のタイトを発表しました。共同監督作品があるので監督は14人です。このセクションはデビュー作か第2作目までが対象です。うちスペイン語作品はアルゼンチンの2作を含めて5作、ほかトルコ、スロベニア、カナダ、ルーマニア、米国、ロシア、韓国、中国、残念ながら日本はノミネートありませんでした。スペイン語作品をアップしておきます。
*ニューディレクターズ部門*
① Carajita アルゼンチン(製作国ドミニカ共和国=アルゼンチン)2021、86分
監督:シルビナ・シュニサーSchnicer(シュニッセルか、アルゼンチン)&ウリセス・ポラ(カタルーニャ)、両監督は2017年に「Tigre」で同セクションに参加しています。タイトルのティグレは地名デルタ・デル・ティグレ。ウリセス・ポラはカタルーニャ出身ですがブエノスアイレスに在住しています。共に長編2作目です。
*「Tigre」の作品紹介は、コチラ⇒2017年08月23日
(デビュー作「Tigre」のポスター)
出演:セシル・ヴァン・ウェリーCecile Van Welie(サラ)、マグノリア・ヌニェス(ヤリサ)、リチャード・ダグラス(ペドロ)、アデラニー・パディリャ、ハビエル・エルミダ他
ストーリー:サラと彼女の乳母ヤリサは社会的階級の垣根を超えた関係で繋がっており、それはまるで娘と母親のようだった。しかし二人の人生に押し入ってきた或るアクシデントのため、引き離されてしまうことになる。サラは熱烈なフリーのダイバーとして海の近くで暮らすことを切望している。静かな水中の世界に安息の場を見つけている。一方ヤリサにとっては、家族の世話をするために18年前に娘を残してきた村に帰ることを意味している。映画は舞台となったドミニカ共和国のラス・テレナスで撮影された。
(シルビナ・シュニサー、ウリセス・ポラ)
② Ese fin de semana / That Weekend アルゼンチン
(製作国アルゼンチン=ブラジル)2021、70分
第4回ヨーロッパ-ラテンアメリカ合作フォーラム
監督:マラ・ペスシオ(アルゼンチン)監督、脚本家。2015年「Historias breves 11:20 años」を8人の監督の一人として撮る。マルティン・ロドリゲス・レドンドの「Marilyn」(18)の脚本を監督と共同執筆した。他TVシリーズのコメディ、ドラマの脚本を数多く手掛けている。本作が長編デビュー作、2017年サンセバスチャン映画祭の合作フォーラムに選ばれていた。
出演:ミス・ボリビア、イリナ・ミシスコ、ラウラ・クラメール、マリア・パス・フェレイラ
ストーリー:フリアは詐欺をしたことで、長らく離れていた故郷に帰ってきた。旅行許可書に署名してやってきたが、何よりもまず、抱えている多くの問題を解決するためのお金を集めに戻ってきた。過去とのぶつかりは、彼女が期待していたようにはならなかった。長年会うことのなかった母と娘の再会が語られる。
(イリナ・ミシスコ、マリア・パス・フェレイラ)
(マラ・ペスシオ監督)
③ Josefina / Josephine スペイン(製作国スペイン)2021、90分
監督:ハビエル・マルコ(スペイン)、短編「A la cara」がゴヤ短編映画賞2020、ベルリナーレ・タレントやレイキャビック・タレント・ラボに選ばれている。本作の脚本はベレン・サンチェス・アレバロによって執筆され、エンマ・スアレスとロベルト・アラモのベテラン二人が主演している。『さよならが言えなくて』や『マリアの旅』を手掛けているセルゲイ・モレノの製作、2020年4月~5月に撮影した。
出演:エンマ・スアレス(ベルタ)、ロベルト・アラモ(フアン)、ミゲル・ベルナルデュ、オリビア・デルカン(ジョシ)、マノロ・ソロ(ラファエル)、ペドロ・カサブランク、マベル・リベラ、他
ストーリー:刑務官として働く内気なフアンは、セキュリティモニターを通して、毎週日曜日に面会に訪れるベルタを静かに観察している。囚人の一人の母親であるベルタは、1日の大半を寝たきりの夫の介護で家に閉じ込められている。或る日のこと遂にベルタに近づくことができた。彼は女囚ホセフィナの父親を装うという自らの思いつきに驚いている。フアンとベルタが生きている空っぽの現実に必要なもの、遅い出会いと愛の物語。
(エンマ・スアレスとロベルト・アラモ)
(ハビエル・マルコ監督)
④ La roya / The Rust コロンビア(製作国コロンビア=フランス)2021、85分
第4回ヨーロッパ-ラテンアメリカ合作フォーラム2017、
サンセバスチャンWIP Latam 2020
監督:フアン・セバスチャン・メサ(コロンビア)の第2作目、デビュー作「Los nadie」は、ベネチア映画祭2016の「国際批評家週間」で観客賞を受賞している。第2作目はカンヌ映画祭の新人監督育成プロジェクト「シネフォンダシオン・レジデンス」で脚本が練られた。
*「Los nadie」の紹介記事は、コチラ⇒2016年09月17日
出演:フアン・ダニエル・オルティス、パウラ・アンドレア・カノ、ラウラ・グティエレス
ストーリー:ホルヘはコーヒーのプランテーションで働いている。ホルヘのような若い世代で田舎に残ろうと決めたのは彼一人である。町のフィエスタが近づいてくると、以前恋人だったアンドレアも都会から戻ってくる。彼女の到着は心身ともに彼を混乱に引きこむだろう。地方のアイデンティティについて語られる。
(フアン・セバスティアン・メサ監督)
⑤ Las vacaciones de Hilda / Hilda's Short Summer ウルグアイ
(製作国ウルグアイ=ブラジル) 2021、88分
Cine en Construcción 36(現在のWIP Latam)
監督:アグスティン・バンチェロ(ウルグアイ1987)監督、脚本家のデビュー作。2012年より短編「Pozos」、高評価だった「De las casas blancas」や「Pérdidas」などを発表しつづけている。長編第1作は「ばらばらに壊れた家族に端を発した映画で、1990年代末と現代の二つの時代が語られる。ドロレスやバルネアリオ・ソリス、モンテネグロでも撮影された」と監督。2019年3月クランクイン。
出演:カルラ・モスカテリィ(イルダ)、エドガルド・カストロ、ガブリエル・ビリャヌエバ、スサナ・アンセルミ、他
ストーリー:イルダはコンセプションの田舎町で一人暮らしをしている。彼女は周囲の人々との情緒的な関係を意図的に避けている。数年来会っていない息子が会いに来るという報せがくる。彼女の生活は中断されてしまう。室内を片付けたり、ここ最近の容姿の衰えを少しでも見栄えよくしようと準備を始めた。しかし息子は訪問を延期し、日取りは分からないという。過去のある夏を生きている女性の物語。
(アグスティン・バンチェロ監督)
(撮影中のバンチェロ監督とイルダ役のカルラ・モスカテリィ)
★以上、スペイン語映画5作のみご紹介しました。7月30日、セクション・オフィシアル部門のスペイン映画がアップされました。イシアル・ボリャイン、フェルナンド・レオン・デ・アラノア、パコ・プラサ、ホナス・トゥルエバ、アウト・オブ・コンペティションには、カルロス・サウラ(開幕)、ダニエル・モンソン(閉幕)を含めて、アレハンドロ・アメナバル、マヌエル・マルティン・クエンカなどです。まだ全体像は見えてませんが、それも時間の問題でしょう。
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