第28回マラガ映画祭2025〈特別賞〉授与式*マラガ映画祭2025 ⑦ ― 2025年03月31日 15:16
カルメン・マチのマラガ―スール賞
★受賞者のキャリア紹介も中途半端のままですが〈特別賞〉の授与式のフォトをアップしておきます。映画祭上映または公開が期待できそうな作品紹介は、ぼちぼちアップしていきます。資金調達の困難が大きな問題となっているイベロアメリカ映画の本数が少なかったのが気がかりです。
◎マラガ―スール賞(スール紙とのコラボ)授与式3月15日、セルバンテス劇場にて
カルメン・マチ(1963マドリード、女優)
★金のビスナガ受賞者は、授与式に先だって地中海を見下ろす遊歩道アントニオ・バンデラス通りに手形入りの記念碑を建ててもらえる。マラガ生れのバンデラスはマラガ名誉市民で、本祭にも毎年多額の資金提供をしてマラガ市の発展に尽くしている。

★登壇したのは人気TVシリーズ「Aída」で共演したメラニ・オリバーレスと「Un efecto óptico」のペポン・ニエトほか、監督兼俳優のパコ・レオン、監督兼劇作家ミゲル・デル・アルコ、キャスティング監督ルイス・サン・ナルシソ、監督ナチョ・ガルシア・ベリリャとメディアプロ・グループの総指揮者ラウラ・フェルナンデス・エスペソ、彼女とメラニ・オリバーレスがトロフィーをカルメンに手渡した。


◎レトロスペクティブ賞―マラガ・オイ(マラガ・オイ紙とのコラボ)授与式3月21日
セルバンテス劇場にて
ギレルモ・フランチェラ(ギジェルモ・フランセーリャ、1955ブエノスアイレス、俳優)
★アウト・オブ・コンペティション作品、ハビエル・ベイガの「Playa de lobos」に主演、セルバンテス劇場の舞台には、監督以下、共演者ダニ・ロビラ、製作者のヘラルド・エレーロとマリエラ・ベスイエフスキー、アルゼンチンから駆けつけた俳優のオスカル・マルティネスなどが登壇しました。
*キャリア&フィルモグラフィー紹介は、コチラ⇒2025年03月14日

(受賞祝いに馳せ参じた仲間たちに囲まれて・・・)
★受賞者は「ユーモアがふんだんにあるだけでなく、物語の進行にそって突然暗闇が表面化するような作品が大好きです」とコメントした。

◎マラガ才能賞―マラガ・オピニオン(マラガ・オピニオン紙とのコラボ)授与式3月18日、
セルバンテス劇場にて
エレナ・マルティン・ヒメノ(1992バルセロナ、女優、監督、脚本家)
★プレゼンターは、監督で脚本家のクララ・ロケ、プロデューサーのマルタ・クルアニャスとアリアドナ・ドット、俳優のオリオル・プラの4名でした。それぞれ受賞者とコラボしてきた仲間です。マルティン・ヒメノは「2作とも自分が主演監督してきましたが、将来的にはもうしないと考えている。というのも書いて、演じて監督するのは理想的ではないからです」コメントした。2作とは「Júlia ist」と「Creatura」です。
*キャリア&フィルモグラフィー紹介は、コチラ⇒2025年03月14日


◎リカルド・フランコ賞(スペイン映画アカデミーとのコラボ)授与式3月17日、
セルバンテス劇場にて
ロラ・サルバドール(1938バルセロナ、作家、脚本家、監督、製作者)
★コラボしているスペイン映画アカデミー会長フェルナンド・メンデス=レイテ以下、フェルナンド・レオン・アラノア監督、脚本家カルロス・マリネロ、脚本家でDAMA*会長のビルヒニア・ヤグエ、キャスティングディレクターのセシリア・バヨナスとリカルド・フランコの娘ロラ・フランコが登壇した。ロラ・フランコとは長い付き合いということです。受賞者は「ここ数年脚本家の仕事は悪くなってきている。知性の名のもとに現れたテクノロジーによって重要性が軽視されている」とAIに脅威を感じているということでしょうか。
*DAMA:Derechos de Autor de Medios Audiovisuales 視聴覚機関著作権。2022年6月就任した。
*キャリア&フィルモグラフィー紹介は、コチラ⇒2025年03月14日


◎ビスナガ・シウダ・デル・パライソ賞、授与式3月19日、セルバンテス劇場にて
マリア・ルイサ・サン・ホセ(1946年マドリード、女優)
★プレゼンターは、半世紀にわたってスペイン映画で活躍した女優を讃えたスペイン映画アカデミー会長フェルナンド・メンデス=レイテ、お祝いに駆けつけたのは、受賞者の伝記を上梓した作家でジャーナリストのパスクアル・ベラ、ジャーナリストのルイス・アレグレ、AraFilmFest 会長ホセ・アントニオ・アギラル、マラガのオペラ歌手カルロス・アルバレスと全員男性シネアストたちでした。
*キャリア&フィルモグラフィー紹介は、コチラ⇒2025年03月14日


◎ビスナガ栄誉賞、授与式3月20日、エチェガライ劇場にて
アレハンドロ・アグレスティ(1961年ブエノスアイレス、監督、脚本家、製作者)
★本祭メインディレクターのフアン・アントニオ・ビガルからトロフィーを受け取った。プレゼンターのビガルは受賞理由をこの国際的に傑出したシネアストを「アレハンドロ・アグレスティは、疑う余地のない才能と映画の重要性を携えて多くのジャンルを超えてきた監督、アルゼンチンにとどまらず国際的な基準となる映画つくりをしてきた。彼の作品はシネマ愛好家が寄せる興味に応えている」とヨーロッパやハリウッドでも製作している映画作家の功績を強調した。

(左端フアン・アントニオ・ビガル、中央受賞者)
★受賞者アグスティは、「受賞は驚きと感謝でいっぱい、ここに立っていることに感動しています。私はマラガには一度も来たことがなかったからです。このように素晴らしい町と素敵な人々に出会えるなんて」とスピーチした。

(トロフィーを手にしたアレハンドロ・アグレスティ)
★彼とタッグを組んだスターには、ヤン・デ・ボンの『スピード』で一躍有名になったサンドラ・ブロックとキアヌ・リーブスのコンビを起用した『イルマーレ』、その共演者クリストファー・プラナー、監督自身も出演した「No somos animales」(13、『ノー・アニマルズ』)のジョン・キューザックとアル・パチーノ、そのほかセシリア・ロス(00、「Una noche con Sabrina Love」)、カルメン・マウラ(02、「Valentin」)など枚挙に暇がない。
★移住していたオランダと合作した1986年の「El hombre que ganó la razón」(86)は、ベルリン、カンヌ、サンセバスチャンと権威ある映画祭に出品された。1996年にはアルゼンチンの軍事政権下(1976~84)で行方不明になった犠牲者の子供たちが抱える疎外感をテーマにした「Buenos Aires Vice Versa」は、マル・デル・プラタ映画祭だけでなく海外も含めて多くの映画祭に出品され受賞している。2006年のワーナーブラザースが製作した前出の『イルマーレ』(「La Casa del Lago」)が、アルゼンチン出身の監督でハリウッドに進出した最初のシネアストになりました。
第28回マラガ映画祭2025特別賞*マラガ映画祭2025 ① ― 2025年03月14日 19:10
マラガ映画祭の〈特別賞〉マラガ―スール賞にカルメン・マチ

★第28回マラガ映画祭は3月14日に開催(23日まで)、6つの特別賞(大賞マラガ―スール賞、レトロスペクティブ賞―マラガ・オイ、マラガ才能賞―マラガ・オピニオン、リカルド・フランコ賞、ビスナガ・シウダ・デル・パライソ賞、クラシック映画から選ばれる金の映画)が発表になっています。コンペティション部門にあたるセクション・オフィシアル作品(今回22作)、アウト・オブ・コンペティション作品も全て出揃っていますが、取りあえず特別賞をアップいたします。アルゼンチンの俳優、コメディアンでもあるギレルモ・フランチェラが黒一点です。当ブログではスペイン語読みのギジェルモ・フランセージャでご紹介していますが、アルゼンチンではイタリア語で呼ばれている由。各賞ともキャリア&フィルモグラフィー紹介を予定しています。ビスナガ栄誉賞にはアルゼンチンのアレハンドロ・アグスティ監督受賞が発表になっています。
*マラガ映画祭2025特別賞*
◎マラガ―スール賞(スール紙とのコラボ)
カルメン・マチ(女優)、1963年マドリード生れ、17歳で舞台女優としてデビューして以来、TVシリーズ、映画にと走り続けている。当ブログでもキャリア紹介を含めて何回も登場させていますが、マラガ―スールが未だだったとは意外です。舞台女優が長かったこと、長寿TVシリーズの「7 vidas」(98話出演、00~06)や「Aida」(95話出演、05~14)出演もあり、映画で主役を演じるのは、2009年のハビエル・レボーリョの「La mujer sin piano」まで待たねばなりませんでした。そして翌年、エミリオ・アラゴンのデビュー作「Paper Birds」主演でラテンビート映画祭2010に監督と来日した。本作は『ペーパー・バード~幸せは翼にのって』で公開された。ゴヤ賞2015助演女優賞を受賞した「Ocho apellidos vascos」までのキャリア&フィルモグラフィーをアップしていますが、後日それ以降を予定しています。
*キャリア&フィルモグラフィーの紹介記事は、コチラ⇒2025年04月06日
*「Ocho apellidos vascos」の紹介記事は、コチラ⇒2015年01月28日

◎レトロスペクティブ賞―マラガ・オイ(マラガ・オイ紙とのコラボ)
ギレルモ・フランチェラ(ギジェルモ・フランセージャ、俳優、映画・舞台・TV)、1955年ブエノスアイレス生れ、祖父がイタリアからの移民。メキシコ映画の『ルド&クルシ』(08、カルロス・キュアロン)、スール賞・クラリン賞・銀のコンドル賞(助演男優)を受賞した『瞳の奥の秘密』(09、フアン・ホセ・カンパネラ)、イベロアメリカ・プラチナ賞(主演男優)を受賞した『エル・クラン』(15、パブロ・トラペロ)が公開されている。実在した営利誘拐犯を演じるのは、ストレスのたまる楽しくない役柄だったと語っている。
*『瞳の奥の秘密』作品紹介は、コチラ⇒2014年08月09日
*『エル・クラン』の主な作品紹介記事は、コチラ⇒2016年11月13日

◎マラガ才能賞―マラガ・オピニオン(マラガ・オピニオン紙とのコラボ)
エレナ・マルティン・ヒメノ(女優、脚本家、監督)、1992年バルセロナ生れ、最新作「Creatura」(23、カタルーニャ語)では、主演、脚本、監督と三面六臂の活躍、才媛ぶりを発揮している。カンヌ映画祭と併催される「監督週間」でプレミアされ、翌年のガウディ賞2024では作品賞と監督賞を受賞、ほかに助演男優・助演女優・新人俳優・編集賞を受賞している。ほかにサンセバスチャン映画祭2023ドゥニア・アヤソ賞を受賞している。既にキャリア&フィルモグラフィーをアップしておりますが、マラガ映画祭関連では、監督デビュー作「Júlia ist」(17)が ZonaZine 部門の銀のビスナガ作品賞、同右監督賞、Movister+賞を受賞している。
*「Creatura」の作品・キャリア紹介は、コチラ⇒2023年05月22日
* ガウディ賞2024授賞式の記事は、コチラ⇒2024年02月11日
*「Júlia ist」の作品紹介は、コチラ⇒2017年07月10日

★女優としてのキャリアは、ベルリン映画祭でプレミアされた後、第22回マラガ映画祭2019短編部門に出品された、イレネ・モライの「Suc de Síndria」(英題「Watermelon Juice」)に主演、銀のビスナガ女優賞、イベロアメリカ短編映画祭で主演女優賞、メディナ映画祭2019主演女優賞など受賞した。ゴヤ賞2020では監督と製作者ミリアム・ポルテが短編映画賞を受賞している。メリチェル・コレルの「Con el viento」は、マラガFF 2018 ZonaZine 部門で作品賞を受賞している。老いた母親と3姉妹という4人の女性の生き方をめぐる作品で、エレナは末娘に扮した。マラガFF でプレミアされたマリア・リポルの「No nos mataremos con pistolas」(22)は、何年も会っていなかった5人の友人の再会劇、昔の愛と傷の記憶が彼らを過去への旅に駆り立てる。アレックス・ロラ・セルコスの「Unicornios」(23、仮題「ユニコーン」)もマラガFF 出品作品、主役はグレタ・フェルナンデスですが、エレナも共演している。1979年生れの若手監督として個人的に注目しているので、以下に作品紹介をしておきます。
*アレックス・ロラ・セルコスの「Unicornios」の作品紹介は、コチラ⇒2023年03月14日

★演劇活動も活発で、バルセロナのベケット・ホールで実験演劇ラボラトリー Els malnascutsの共同設立者の一人。若者(16歳から30歳)が対象の脚本や演技のワークショップを行っている。
◎リカルド・フランコ賞(スペイン映画アカデミーとのコラボ)
ロラ・サルバドール・マルドナド(作家、脚本家、監督、製作者)、1938年バルセロナの共和派の家庭に生れる。スペイン内戦後マドリードに移り、英国学校で学んだ。1962年から70年までラジオ、新聞社、劇場、映画、TV界などで働いている。作家、脚本家、映画監督、製作者という多才なキャリアは、スペインの現代文化に不可欠な存在であり、その芸術性、社会的な影響力は際立っている。スペイン映画アカデミー AACCE、脚本家労働組合 ALMA、オーディオビジュアルメディア著作権 DAMAの創設者の一人。1980年代後半まではサルバドール・マルドナドを使用している。

★記憶に残る仕事として、1997年のピラール・ミロの問題作「El crimen de Cuenca」を上げたい。これはロラ・サルバドール自身の同名小説の映画化で、脚本も監督と共同執筆している。本作はスペイン内戦前の1910年にクエンカ村で実際に起きた冤罪事件をベースにしている。フランコ没後、既に検閲制度も廃止されていたにもかかわらず、治安警備隊による凄惨な拷問シーンが描かれていることから、彼らによる上映禁止が画策され、監督を軍法会議にかけようとさえした。本作はスペインの見せかけの民主主義が露呈した問題作、「第1回スペイン映画祭1984」で『クエンカ事件』の邦題で上映された。

(小説「クエンカ事件」の表紙)
★ハイメ・チャバリの代表作「Bearn o La sala las muñecas」(83、「ベアルン」)と「Las bicicletas son para el verano」(84、「自転車は夏のために」)の脚本を執筆している。2作ともスペイン映画史に残る名作、前者はリョレンソ・ビリャロンガの同名小説の映画化、後者は俳優、監督、戯曲家でもあったフェルナンド・フェルナン=ゴメスの戯曲の映画化である。カルロス・モリネロとタッグを組んだ「Salvajes」(01)はホセ・ルイス・アロンソ・デ・サントスの同名戯曲の映画化、ゴヤ賞2002脚色賞を監督などと受賞している。同監督とはドキュメンタリー「La niebla en las palmeras」がトライベッカ映画祭2006審査員賞にノミネートされている。ほかにキューバの女優ミルタ・イバラの監督デビュー作「Titón, de La Habana a Guantanamera」(08、ドキュメンタリー)の脚本を執筆している。ティトンとはイバラの亡夫トマス・グティエレス・アレア監督の愛称、サンセバスチャン映画祭のオリソンテス・ラティノス部門に正式出品された。
★上記以外の受賞歴では、2011年芸術功労賞金のメダル、2014年映画国民賞、2021年シモーヌ・ド・ボーヴォワール賞などを受賞、2023年カタルーニャ映画アカデミー名誉会員、2024年DAMA名誉会員になっている。
◎ビスナガ・シウダ・デル・パライソ賞
マリア・ルイサ・サン・ホセ(女優)、1946年マドリード生れ、非常に若いときからマドリード・フィルム現像所でモノクロの現像やフィルム編集などの分野で働き始める。その後、国際ラジオ放送局のアナウンサーの研修生になる。続いてスタジオ・モロの宣伝モデルになり、1965年、マルセル・オフュルスの「Hagan juego, señoras」(仏西合作)で映画デビューする。主にフランコ没後の民主主義移行期、Tercera Vía(第三の道)運動と称されたグループの作品に出演している。人気はあるが質的に劣る、あるいは良質だが観客がそっぽを向いて不人気、そのどちらでもない良質で興行的に成功する「第三路線」を目指した運動。

★ペドロ・ラサガのコメディ「Hasta que el matrimonio nos separe」(77、ホセ・サクリスタンと共演)、未公開だが『欲望 BESTIA HUMANS』の邦題でTV放映されている。エロイ・デ・ラ・イグレシアの「El diputado」(78、ホセ・サクリスタン、ホセ・ルイス・アロンソと共演)は、およそ20年後の東京国際レズ&ゲイ映画祭1999で『国会議員』の邦題で上映された。そのほか主役ではないが、名脚本家と言われたラファエル・アスコナが執筆したアントニオ・ヒメネス・リコの「Soldadito español」(88)、カルロス・サウラが自身の少年時代を投影させた「Pajarico」(97)では、少年の叔母役で出演した。本作は「スペイン映画祭1998」で『パハリーコ―小鳥―』の仮題で上映されている。ホセ・ルイス・ガルシア・サンチェスの「Adiós con el corazón」は良質のコメディで、フアン・ルイス・ガリアルドがゴヤ賞2001主演男優賞を受賞している。その他、アナ・マリスカル、ハビエル・アギーレ、マリアノ・オソレス、ゴンサレス・シンデ、ロベルト・ボデガス、ペドロ・オレアなど多くの監督に起用されている。

(ホセ・サクリスタンと夫婦役を演じた『国会議員』のフレームから)
★TVシリーズ出演も多く、ナルシソ・イバニェス・セラドールの「Mañana puede ser verdad」(64)、70年代からは、「Animales racionales」(72~73、4話)、フェルナンド・フェルナン=ゴメスと共演した「El pícaro」(74)、ヘスス・プエンテと共演した「Diálogos de un matrionio」(82、13話)、テレノベラ「Nada es para siempre」(00)、歌手ロシオ・ドゥルカルと共演した「Los negocios de mamá」(97、13話)、ホルヘ・サンスが主演した「El inquilino」(04、13話)などが上げられる。
★舞台女優としては、1964年、ホセ・オスナ演出の「Golfus de Roma」で初舞台を踏む。イギリスの劇作家エムリン・ウィリアムズ、スペインではガルシア・ロルカ、ホセ・ルイス・アロンソ、アドルフォ・マルシリャチ、ミゲル・ナロス、フランシスコ・ニエバ、ギリシャ悲劇を代表するソフォクレス、シェイクスピア、ロペ・デ・ベガ、カルデロン、オニールなど、現代劇からギリシャ古典劇まで守備範囲は広い。1974年ルイス・ブニュエル新人賞、1975年ア・コルーニャ映画祭トーレ・デ・ヘラクルス賞、2009年ムラ・セグンド・デ・チョモン栄誉賞、2022年ビジネス・プロフェッショナル・ウーマン BPW 組織化に寄与したことで平等発言賞などを受賞している。
◎金の映画
「Fultivos」(1975)、監督ホセ・ルイス・ボラウ(1929~)、日本のスペイン映画元年と言われた「スペイン映画の史的展望〈1951~1977〉」(1984年10月開催)に『密漁者たち』の邦題で上映されている。後日紹介予定。

(ポスター)
◎ビスナガ栄誉賞
アレハンドロ・アグレスティ(監督、脚本家、製作者)、1961年ブエノスアイレス生れ、後日紹介記事を予定しています。
*キャリア&フィルモグラフィー紹介は、コチラ⇒2025年03月31日

(アレハンドロ・アグレスティ)
アイタナ・サンチェス=ヒホンのゴヤ栄誉賞授与式*ゴヤ賞2025 ⑪ ― 2025年02月20日 19:29
プレゼンターはマリベル・ベルドゥ、感動的なキャリア紹介

★ゴヤ栄誉賞授与式が比較的早い時間帯にありました。プレゼンターが誰になるかも楽しみの一つ、2023年の受賞者は、授賞式の前日に旅立ってしまった巨匠カルロス・サウラで、『歌姫カルメーラ』で主演したカルメン・マウラが務めました。会場は激動の時代を死の直前まで走り続けたマエストロを偲ぶ感動の渦が巻き起こりました。今回のプレゼンターは、総合司会者でもあるマリベル・ベルドゥでサウラのときと負けず劣らず会場を泣かせました。
★受賞者アイタナ・サンチェス=ヒホンのキャリア紹介の途中、感動で言葉を詰まらせて中断する一幕があったのでした。会場からは「マリベル、頑張れ」の温かい応援の拍手が沸き起こり、カメラは会場の涙にくれるクララ・セグラ、2014年、最年少で受賞したアントニオ・バンデラスの姿などを追いました。師匠ともいえるアルモドバルより先に受賞することに拘って固辞した末の受賞が頭をよぎったのか、やはり目は潤んでいました。アイタナは「マリベル、このゴヤをあなたの手から受け取ることが私の夢だったのを知らなかったの?」と。二人は2歳違い、まだゴヤ賞など存在しなかった少女時代から女優を天職と考え、大女優になることを夢見る仲良しだったそうです。

(ハグしあう、アイタナとマリベル)
★プレゼンターは、「光り輝く類いまれな才能の持ち主、素晴らしい信頼のできる共犯者、これは皆が納得のゴヤです。私たちが自分の姿を映す鏡、何故ならあなたは私たちの国や文化が向上するよう努力したからです。40年間ものあいだ闘ったなんて、それは奇跡です」と、受賞者の卓越性に敬意を払った。

(エモーショナルなキャリア紹介をしたマリベル・ベルドゥ)
★受賞者のキャリア&フィルモグラフィーは、既にアップしておりますが、映画とTV出演を中心にした紹介記事で、舞台女優としてのキャリアは割愛しています。スペイン語版ウィキペディアに載っていない事柄なども含めて、今回受賞スピーチから明らかになった事柄をかいつまんで補足します。自分の師として、演劇の師アリシア・エルミダ(マドリード1932~2022)、受賞者にサンセバスチャン映画祭1999銀貝女優賞をもたらした『裸のマハ』の監督ビガス・ルナ(バルセロナ1946~2013)、2023年師走旅立ってしまった女性監督のパイオニアの一人であるパトリシア・フェレイラ(マドリード1958~2023)の3人にオマージュを捧げました。
★アリシア・エルミダ*については、12歳での初舞台がここフェデリコ・ガルシア・ロルカの生れ故郷グラナダの劇団《バラッカ》だったことに触れた。ロルカが1930年初めに設立した劇団です。「彼女と一緒にロルカの生地フエンテバケーロスでロルカの作品を上演したのです。だから私の人生は文字通りここグラナダから始まったわけです」と語った。この瞬間から彼女の学校は仕事場となり、職業として生活できるわずかな数の俳優の一部分になることができた。「だからこのゴヤを逆風に向かって進む仲間たちと分かち合いたい、皆さんとともに!」と。演技の師は舞台にあり、若い人たちに舞台で演技を学んで欲しいとも語った。
★さらに自分にとって学びは尽きない泉のようなものだと語り、今宵この場にいない人々のなかで、どうしても感謝したい師としてビガス・ルナに言及した。また40人以上の監督と仕事をする幸運に恵まれたこと、4人の女性監督に起用されたこと、その一人として脚本家でもあったパトリシア・フェレイラに触れた。まだ女性が足を踏み入れることができなかった時代からのパイオニアの一人でしたが、現在では多くの監督、製作者、脚本家、撮影監督、撮影技師、音響家が活躍している。それは彼女のような先輩たちの努力の成果だと語った。アイタナはフェレイラの『ティ・マイ~希望のベトナム』にカルメン・マチやアドリアナ・オソレスと出演している。(Netflix で配信しています)


★当然の流れとしてマリサ・パレデスを追悼しました。「彼女はゴヤ賞のガラではっきり述べていました。〈文化を怖れる必要はない。怖れるべきは無知であり、無関心であり、偽物や狂信的行為、暴力です。重要なのは戦争を怖れることです〉」と。「マリサにも納得して貰えると思いますが、怖れるべきことに新たな帝国主義、民族浄化の台頭を付け足したい」と述べた。
★最後に家族、生きる喜びである二人の子供レオとブルナ、ずっと以前に亡くなった父アンヘル、
会場で娘の晴れ姿を見守っていた母フィオレラに感謝を述べた。特に彼女の共犯者で仕事の原動力だった母親に「ママ、あなたの支えや信頼なしには、何事も成し遂げられなかった」と語りかけた。「愛を込めて皆さま有難うございました。映画館でお目にかかりましょう」と締めくくった。(父親は2007年に鬼籍入りしている)
★主な受賞歴:2022年にスペイン映画アカデミー名誉会員、アルハンブラ友好財団の名誉会員。1993年シネマ・ライターズ・サークル賞(「Havanera 1820」)、1995年フォトグラマス・デ・プラタ女優賞(TVシリーズ「Regenta」)、1996年フォトグラマス・デ・プラタ女優賞(演劇『熱いトタン屋根の猫』)、1999年サンセバスチャン映画祭銀貝女優賞(『裸のマハ』)、2004年バルセロナ女優賞、2015年「金のメダル」、同年Max賞主演女優賞(演劇「Medea」)、2022年フェロス賞助演女優賞(『パラレル・マザーズ』)、2024年12月に文化省が付与する芸術功労金のメダル、2025年ゴヤ栄誉賞。
*受賞者の主なキャリア&フィルモグラフィー紹介は、コチラ⇒2024年12月17日
*スペイン映画アカデミー「金のメダル」受賞記事は、コチラ⇒2015年08月01日/11月20日
*アリシア・エルミダは、舞台女優、映画、TV女優。1950年代半ばに舞台女優としてスタートを切り、シェイクスピア、ロペ・デ・ベガ、あるいは米国のソーントン・ワイルダー、チェーホフの『桜の園』、フェデリコ・ガルシア・ロルカの『ベルナルダ・アルバの家』などに出演した。1981年、ロルカの《バラッカ》劇団の巡業に参加する。その後《アリシア・エルミダ学校》と呼ばれたクラスで後輩に発声法や演技の指導にあたった。古典詩の造詣が深く、ロルカの『ドン・クリストバルの祭壇装飾絵図』、『老嬢ドーニャ・ロシータ』ほか、バリェ=インクランの『聖なる言葉』(Max賞1999受賞)、ミゲル・デ・ウナムノの「El otro」、後にアイタナも演じたテネシー・ウィリアムズの『熱いトタン屋根の猫』などに出演した。2014年スペイン映画アカデミー「金のメダル」受賞。政治的発言も多く、もの言う女優として女性の地位向上に貢献した一人でした。
ラブストーリーが語られた『海を飛ぶ夢』公開20周年を祝う
★第19回ゴヤ賞2005のガラはアレハンドロ・アメナバルの『海を飛ぶ夢』のための授賞式でした。1作品がノミネートできる最大カテゴリー数は18個、うちオリジナル歌曲・編集・衣装デザイン賞を除いた15カテゴリーにノミネートされ、受賞できなかったのは録音賞だけでした。少しばかり白けたのを思い出しました。今回登壇したのは、作品・監督・オリジナル脚本・オリジナル作曲賞のアメナバル、主演男優賞のハビエル・バルデム、主演女優賞のロラ・ドゥエニャス、新人女優賞のベレン・ルエダ、新人男優賞のタマル・ノバスの5名、今回「El 47」で助演女優賞を受賞したクララ・セグラも共演者でしたが登壇しなかった。

(登壇した『海を飛ぶ夢』の監督、主要キャスト)
★この『海を飛ぶ夢』クルーが今回の作品賞のプレゼンターを務めた。昨年はペドロ・アルモドバルの『オール・アバウト・マイ・マザー』の公開25周年で、監督以下まだ元気だったマリサ・パレデス、主演のセシリア・ロス、ペネロペ・クルス、アントニア・サンフアンの豪華版でした。最近のゴヤ賞ガラはプレゼンターも視聴率アップに一役買っているようです。


(左端が受賞者ダニ・デ・ラ・オルデン、読み上げたのはベレン・ルエダでした)
国際ゴヤ賞にリチャード・ギア*ゴヤ賞2025 ⑩ ― 2025年02月16日 10:43
第二の青春を満喫している受賞者リチャード・ギア

(「いじめっ子が米国大統領になっている」とスピーチした受賞者)
★第4回目となる国際ゴヤ賞は、サンセバスチャン映画祭2007のドノスティア栄誉賞受賞者である米国の俳優兼プロデューサーのリチャード・ギアの手に渡りました。プレゼンターはハリウッドでも活躍しているアントニオ・バンデラスでした。1975年ミルトン・カトセラスの犯罪ドラマ「Report to the Commissioner」(未公開)で映画デビューしているので、今年はキャリア50周年記念の節目の年に当たります。会場から温かい数分のスタンディングオベーションを受け、「(この賞を頂くのは)少し時期尚早でした。というのも私は新しい家族のいるスペインで製作する企画をもっているからです。実はガリシアの素晴らしい女性と結婚しているのです」と、会場で見守る実業家で人道活動家の妻アレハンドラ・シルバを紹介しました。因みに第1回の受賞者はケイト・ブランシェット(オーストラリア)、第2回はジュリエット・ビノシュ(フランス)、昨年がシガニー・ウィーバー(米国)と3連発で女優さんが受賞していました。

(プレゼンターのアントニオ・バンデラスとジョルジオ・アルマーニを着た受賞者)
★リチャード・ギアは、1949年フィラデルフィア生れの、俳優、製作者、人権活動家、ダライ・ラマを支援するチベット仏教の熱心な信者である。中国政府によるチベット人民迫害を非難して入国拒否になっている。30年以上前に「ギア財団」を設立して、チベット自治区のための活動を整備するほか、ダライ・ラマ14世が提唱するチベット文化の保護、先住民の権利保護などに賛同、受賞スピーチでも訴えていた。なかでも拍手を受けたのは「難民や我が家を持てない人々に、この賞を捧げたい」とスピーチしたときでした。また、権威主義の新たな台頭を危惧し、米国は「いじめっ子が大統領になって、権力と金が支配する恐ろしい場所になっている」と、警鐘を鳴らした。同じチベット仏教徒の信者であるアレハンドラ・シルバ(ア・コルーニャ1983)は、立ち上がって賛同の拍手を送っていました。


(見つめあう幸せなカップル、レッドカーペットにて)
★私生活に触れると、二人の出遭いは2014年頃で、チベット仏教徒の権利保護の活動が縁ということです。アレハンドラの前夫との離婚が正式に成立した2018年に、ギアにとっては3度目となる結婚をした。33歳の年齢差をはねのけての結婚、「父親と娘みたい」という陰口を聞き流し、翌年第1子、2020年第2子が誕生、アレハンドラの前夫とのあいだの男児合わせて3人兄弟、ギアは再婚相手キャリー・ローウェル(2002~16)との間に既に成人している息子(ホーマー・ジェームズ・ジグメ・ギア、歌手、2000生)がおり、4人の父親になっている。ベネチア映画祭2024に妻、長男と連れだって参加していた。昨年コネチカット州の自宅を売却、シルバの両親が暮らしているガリシアに移住している。ロスにあるもう1軒の家には長男が住んでおり、当分行ったり来たりになる由。
★キャリア&フィルモグラフィー:スクリーン以外のことに字数を取りすぎましたが、ほとんどの映画が公開され、TVでも放映されているので詳細は不要でしょうか。日本語ウィキペディアも充実しています。親日家で何回も訪日しているうえ、『HACHI 約束の犬』の製作を手掛け出演もしているのでファンは多い。しかしこれだけ主役を演じているのにオスカー像には縁遠く、ノミネートさえ一度もありません。犯罪コメディ・ミュージカル『シカゴ』(02)で受賞していると思っていたが勘違いで、受賞したのは第60回ゴールデングローブ賞(コメディ/ミュージカル部門)の主演男優賞でした。共演のレネー・ゼルウィガーと受賞した。キャサリン・ゼタ=ジョーンズは、アカデミー賞で助演女優賞を受賞した。

(タップダンスを披露した『シカゴ』のポスター)
他に1982年テイラー・ハックフォードの『愛と青春の旅だち』(ドラマ部門)、1990年ゲイリー・マーシャルの『プリティ・ウーマン』(コメディ/ミュージカル部門)、2012年ニコラス・ジャレッキーの『キング・オブ・マンハッタン』(ドラマ部門)の3作にノミネートされているだけでした。ポール・シュレーダーのサスペンス『アメリカン・ジゴロ』(80)やフランシス・フォード・コッポラの『コットン・クラブ』(84)など80年代の良作にオファーされているが、賞には結びつかなかった。ヨセフ・シダーの『嘘はフィクサーのはじまり』(16)のノーマン役で新境地を開いたと称賛されている。

(ゴヤ栄誉賞を受賞したアイタナ・サンチェス=ヒホンと、レッドカーペットにて)
★次回は、アイタナ・サンチェス=ヒホンのゴヤ栄誉賞を予定しています。
第12回フェロス賞2025授賞式*結果発表 ― 2025年02月02日 14:06
映画ドラマ部門は「Salve María」、コメディ部門は「Casa en flames」

★1月25日、第12回フェロス賞2025の授賞式がポンテベドラの文化会館 Pazo da Culturaで開催され、全カテゴリー21の結果発表がありました。選考母体はスペイン映画ジャーナリスト協会AICAです。映画部門11、TVシリーズ部門7、フェロス感動賞2、今年の受賞者がハイメ・チャバリだったフェロス栄誉賞の合計21カテゴリーです。総合司会者は、昨年アレハンドロ・マリンの「Te estoy amando locamente」出演で助演男優賞を受賞したラ・ダニが務めました。登壇して降壇するまで涙の止まらない受賞スピーチをしたのでした。

(左から3人め、AICA会長マリア・ゲーラ)


(総合司会者ラ・ダニ)
★ゴヤ賞の前哨戦という位置づけが少し怪しくなってきた印象です。マル・コルの作品賞受賞作「Salve María」など、ゴヤ賞では脚色賞と新人女優賞(ラウラ・ヴァイスマール)の2個、カテゴリーの数を勘案すると少なすぎ、イサキ・ラクエスタ&ポル・ロドリゲスの「Segundo premio」においてはゼロ、ゴヤ賞は3番目に多い11個です。重なるのはダニ・デ・ラ・オルデンのコメディ「Casa en llamas」(原題「Casa en flames」)、監督賞はペドロ・アルモドバルの手に渡りましたが、受賞は5回(予告編・脚本・監督)、フェロス栄誉賞2023につづいて2回めの監督賞を受賞しました。

★マル・コル(バルセロナ1981)は、バルセロナのカタルーニャ映画視聴覚上級学校で映画を学ぶ。イサベル・コイシェにつづく世代を代表する監督。デビュー作「Tres dias con la familia」がマラガ映画祭2009でプレミアされ、翌年のガウディ賞を総なめにして、ゴヤ賞では新人監督賞を受賞している。第23回東京国際女性映画祭2010のオープニング作品に選ばれ、『家族との3日間』の邦題で上映された。新作「Salve María」は、母性をテーマにしたサイコスリラー仕立て、カティシャ・アギーレの小説 ”Las madres no” の映画化です。ロカルノ映画祭でプレミアされ、国際映画部門のスペシャルメンション他を受賞、ガウディ賞2025の脚色賞を受賞している。
★TVシリーズ部門作品賞の「Querer」(4話)は、ホセ・マリア・フォルケ賞2024でも作品・主演男優(ペドロ・カサブランク)・主演女優(ナゴレ・アランブル)を受賞していて、予想通りの受賞でした。サンセバスチャン映画祭2024のアウト・オブ・コンペティション作品として特別上映されている。

*第12回フェロス賞2025結果発表*(*印は紹介作品)
★映画部門
◎作品賞(ドラマ)
「Salve María」監督マル・コル、脚本マル・コル、バレンティナ・ビソ、
原作カティシャ・アギーレ、製作マリア・サモラ、Sergi Casamitjana
ノミネート:
「La estrellas azul」(ハビエル・マシぺ) *
「La habitación de al lado」『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』(ペドロ・アルモドバル) *
「La virgen roja」『レッド・バージン』(パウラ・オルティス)
「Los destellos」(ピラール・パロメロ) *

(右から2人め、マル・コル監督)

(受賞スピーチをする製作者マリア・サモラ)

(興奮がおさまらないキャスト&スタッフ)
◎作品賞(コメディ)
「Casa en llamas」監督ダニ・デ・ラ・オルデン、
製作アルベルト・アランダ、キケ・マイジョ他 *
ノミネート作品:
「Bodegón con fantasmas」(監督エンリケ・ブレオ)
「Buscando a Coque」(同テレサ・ベリョン&セサル・F・カルビーリョ)
「Escape」(同ロドリゴ・コルテス) *
「Volveréis」(同ホナス・トゥルエバ) *

(スピーチするダニ・デ・ラ・オルデン)

◎監督賞
ペドロ・アルモドバル(『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』) *
ノミネート:アランチャ・エチェバリア、ダニ・デ・ラ・オルデン、パウラ・オルティス、
ピラール・パロメロ



◎主演女優賞
エンマ・ビララサウ(「Casa en llamas」)
ノミネート:パトリシア・ロペス・アルナイス、ナイワ・ニムリ、ラウラ・ヴァイスマール、
カロリナ・ジュステ


◎主演男優賞
エドゥアルド・フェルナンデス(「Marco」監督アイトル・アレギ&ジョン・ガラーニョ) *
ノミネート:ペペ・ロレンテ、ウルコ・オラサバル、アントニオ・デ・ラ・トーレ、
ダビ・ベルダゲル


◎助演女優賞
クララ・セグラ(「El 47」監督マルセル・バレナ) *
ノミネート:アンナ・カステーリョ、マリナ・ゲロラ、マリア・ロドリゲス・ソト、
アイシャ・ビリャグラン

(受賞者欠席で、バレナ監督がスピーチを代読した)
◎助演男優賞
オスカル・デ・ラ・フエンテ(「La casa」監督アレックス・モントーヤ) *
ノミネート:エンリク・アウケル、フリアン・ロペス、ホセ・サクリスタン、
アルベルト・サン・フアン


◎脚本賞 DAMA
エドゥアルド・ソラ(「Casa en llamas」)
ノミネート:
マルセル・バレナ&ベト・マリニ(「El 47」)
ハビエル・マシぺ(La estrellas azul)
ペドロ・アルモドバル(『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』)
エドゥアルド・ソラ&クララ・ロケ(『レッド・バージン』)


(TVシリーズ部門でも受賞して2個ゲットした)
◎オリジナル音楽賞
アルベルト・イグレシアス(『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』)
ノミネート:
アルナウ・バタリェル(「El 47」)
フェルナンド・ベラスケス(「La casa」)
マリア・アルナル(「Polvo serán」監督カルロス・マルケス=マルセ)
セルティア・モンテス(「Salve María」)

◎予告編賞
ミゲル・アンヘル・トゥルド(「Polvo serán」カルロス・マルケス=マルセ)
ノミネート:
アルベルト・レアル(『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』)、
ハビエル・モラレス(「La infiltrada」アランチャ・エチェバリア) *
オマール・ベルムデス&カルロス・ベロト(「Marco」)
マルタ・ロンガス&ヘスス・フェルナンデス・ガルシア(『レッド・バージン』)

◎ポスター賞
オクタビオ・テロル、リュイス・トゥデラ(「Salve María」)
ノミネート:「Casa en llamas」、「La estrellas azul」、『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』、「「Polvo serán」


(ラウラ・ヴァイスマールの乳首露出がSNSで問題になったポスター)
★TVシリーズ部門
◎作品賞(ドラマ)
「Querer」4話(製作:フアン・モレノ、コルド・スアスア、スサナ・エレラス、フラン・アラウホ、監督アラウダ・ルイス・デ・アスア、脚本:アラウダ・ルイス・デ・アスア、フリア・デ・パス、エドゥアルド・ソラ、キャスト:ナゴレ・アランブル、ペドロ・カサブランク、ロレト・マウレオン、ミゲル・ベルナルドー、イバン・ペリセル、他) *

(アラウダ・ルイス・デ・アスア監督)


◎作品賞(コメディ)
「Celeste」6話(製作:ディエゴ・サン・ホセ、フラン・アラウホ、ラウラ・フェルナンデス・エスペソ他、監督エレナ・トラぺ、脚本:ディエゴ・サン・ホセ、ダニエル・カストロ、オリオル・プイグ・プラヤ、キャスト:カルメン・マチ、アンドレア・バヤルド、アントニオ・ドゥラン、クララ・サンス、マノロ・ソロ、他多数)




◎主演女優賞
ナゴレ・アランブル(「Querer」)
ノミネート:モニカ・ロペス、カルメン・マチ、カンデラ・ペーニャ、イリア・デル・リオ


◎主演男優賞
オリオル・プラ(「Yo, adicto」)
ノミネート:フランセスコ・カリル、ペドロ・カサブランク、トリスタン・ウジョア、
アルベルト・サン・フアン

(受賞者はマドリードでの舞台出演で欠席、共演者ハビエル・ヒネルが代理で受け取った)


◎助演女優賞
ノラ・ナバス(「Yo, adicto」)
ノミネート:タマラ・カセリャス、マリア・レオン、ロレト・マウレオン、クララ。サンス


◎助演男優賞
ポル・ロペス(「Nos vemos en otra vida」)
ノミネート:ミゲル・ベルナルドー、ハビエル・グティエレス、イバン・ペリセル、マノロ・ソロ


◎脚本賞 DAMA
アラウダ・ルイス・デ・アスア、フリア・デ・パス、エドゥアルド・ソラ(「Querer」)

(エドゥアルド・ソラ、アラウダ・ルイス・デ・アスア、フリア・デ・パス)
◎フェロス感動賞(フィクション)
「Polvo serán」(監督カルロス・マルケス=マルセ)
製作国スペイン=スイス=イタリア合作、スペイン語、英語、ミュージカル・ドラマ、106分、ガウディ賞2025作品賞を含む4冠、アンヘラ・モリーナ、アルフレッド・カストロ主演。

(カルロス・マルケス=マルセ監督)

◎フェロス感動賞(ノンフィクション)
「The Human Hibernation」(監督アンナ・コルヌデリャ・カストロ)
製作国スペイン、英語、SF、90分。第74回ベルリン映画祭2024「フォーラム」部門、FIPRESCI賞受賞、マル・デル・プラタFF、トゥールーズ・シネエスパーニャ、他ノミネート多数。スペイン公開2025年1月10日

(左から2人め、アンナ・コルヌデリャ)


◎フェロス栄誉賞
ハイメ・チャバリ、1943年マドリード生れ、監督、脚本家、演出家、また俳優でもあった。プレゼンターは、「Besos para todos」に出演したエンマ・スアレスでした。

(左端がプレゼンターのエンマ・スアレス)


*キャリア&フィルモグラフィー
★マドリードの公立映画学校で学ぶ。1970年「Ginebra en los infiernos」で長編映画デビューする。1976年、「Los viajes escolares」(仮題「修学旅行」)、個人的な複雑な問題を抱えた家族をテーマにしている。製作者エリアス・ケレヘタとのコラボレーションで注目されるようになる。最高のドキュメンタリーと称される「El desencanto」(76、仮題「失望」)を撮っている。有名な詩人レオポルド・パネロ一家のフランコ独裁時代における家族制度を分析している。シネマ・ライターズ・サークル賞1977作品賞、フォトグラマス・デ・プラタのスペイン映画出演者賞を受賞した。40年間という長きにわたって窒息させられてきたドキュメンタリーというジャンルに生命力を吹き込んでいる。
★1977年「A un Dios desconocido」(仮題「見知らぬ神に」)でエクトル・アルテリオとハビエル・エロリアガを起用して同性愛をテーマに取り入れている。サンセバスチャン映画祭サンセバスティアン賞(アルテリオ)、スペイン語映画賞などを受賞した。1980年、ケレヘタと脚本を共同執筆した「Dedicatoria」(「献身」)は、カンヌ映画祭コンペティション部門にノミネートされた。
★80年代には「Bearn o la sala de las munecas」(83,同「ベアルン、または人形の間」)では、フェルナンド・レイ、アンヘラ・モリーナ、アンパロ・ソレル・レアル、イマノル・アリアスなどが共演している。つづく「Las bicicletas son para el verano」(84、『自転車は夏のために』)は、スペイン映画史をひもとけば必ず紹介される秀作、スペイン内戦を背景にした或る家族の感受性豊かな物語が語られ商業的にも成功した作品で、2作とも製作者はアルフレッド・マタス。アンヘラ・モリーナ起用は5作品、その一つが1986年の「El río de oro」、ミュージカル「Las cosas del querer」(89、『歌と踊りと恋のいざこざ』)、その続編(95)などです。
★2000年、コメディ「Besos para todos」にエンマ・スアレスやピラール・ロペス・デ・アヤラ、エロイ・アソリンを起用して、ゴヤ賞監督賞にノミネートされた他、トゥリア賞を受賞した。2005年「Camarón」は、フラメンコ歌手カマロン・デ・ラ・イスラ(1992年没)のビオピック、カマロンを演じたオスカル・ハエナダにゴヤ賞主演男優賞をもたらし、他にも衣装デザイン賞、メイクアップ&ヘアー賞を受賞した。
★もう監督は引退したのかと思っていたコロナ禍の2022年、約17年振りにマルタ・ニエト、セルジ・ロペスなどのベテラン演技派、若手アドリアン・ラストラを起用したコメディ「La manzana de oro」を撮った。ほかビッキー・ペーニャ、ロベルト・エンリケス、ガルシア・ミラン、アルバロ・スビエスなど豪華キャストを揃えての群像劇、本人も神父役で出演している。フェルナンド・アランブルの小説の映画化、撮影監督キコ・デ・ラ・リカ(『ブランカニエベス』『ルシアとSEX』)、フィルム編集はアルモドバルの『ペイン・アンド・グローリー』や『パラレル・マザーズ』を手掛けているテレサ・フォントと文句なしの布陣でした。次回作もあるかもしれない。
第17回ガウディ賞2025結果発表*作品賞は「El 47」と「Polvo seran」 ― 2025年01月21日 19:14
予想通りマルセル・バレナの「El 47」が7冠を制す

★1月19日、バルセロナ国際会議センターで第17回ガウディ賞2025の結果発表がありました。予想通りというか下馬評通りというか、カタルーニャ語部門はマルセル・バレナの「El 47」でした。カタルーニャ語以外では、カルロス・マルケス=マルセのミュージカル・ドラマ「Polvo serán / They Will Be Dust」、新作はスペイン語で撮りましたが、彼はバルセロナ生れのカタルーニャ語の監督です。両カテゴリーともバルセロナ派が受賞したことになった。ガウディ賞の選考母体はカタルーニャ映画アカデミーですから、当然の結果とも言えます。
★「El 47」は、作品賞のほか主演男優・助演女優・プロダクション・衣装デザイン・視覚効果・メイクアップ&ヘアーの7冠、観客特別賞を含めると8冠でした。主演男優賞のエドゥアルド・フェルナンデスは、フォルケ賞をアイトル・アレギ&ジョン・ガラーニョの「Marco」で受賞しています。同じ年に主演と助演にノミネートされることはありますが、2作品で主演受賞は記憶にありません。助演女優賞のクララ・セグラは、昨年エレナ・マルティンの「Creatura」で受賞したばかりでした。今回は出席できず彼女の娘を演じたゾエ・ボナフォンテが代理でトロフィーを受け取りました。

(両手にトロフィーを手にしたマルセル・バレナ監督)
★「Polvo serán / They Will Be Dust」は、脚本はカルロス・マルケス=マルセ監督とクララ・ロケ(『リベルタード』)、コラル・クルス(『エクリプス』)の共同執筆、アンヘラ・モリーナ、スペインに移住したアルゼンチンのアルフレッド・カストロを主演に、人生の終末を描いた重いテーマをミュージカル・ドラマにした作品。トロント映画祭2024プラットフォーム賞、第69回バジャドリード映画祭銀の穂賞、ローマ映画祭ではアンヘラ・モリーナが女優賞を受賞している。作品賞以下、美術・編集・オリジナル音楽賞の4冠でした。

(カルロス・マルケス=マルセ監督)
★「Segundo premio」は、イサキ・ラクエスタ&ポル・ロドリゲスが監督賞、バダホス出身の日系人タクロウ・タケウチTakuro Takeuchiが撮影賞、他に録音賞の3冠を受賞した。
★「Casa en flames」(監督ダニ・デ・ラ・オルデン)は、エンマ・ビララサウの主演女優賞、エンリク・アウケルの助演男優賞、エドゥアルド・ソラのオリジナル脚本賞の3冠でした。今回は未だガラのビデオを観てないのですが、アンダルシアからの移住者である「チャルネゴ charnego」のエドゥアルド・ソラの受賞スピーチが会場を沸かせたようです。チャルネゴというのはスペイン国内の非カタルーニャ語圏から移住した人を指す単語、彼の家族は全員カタルーニャ語が話せず、移住者に手を差し伸べてくれた公共教育のお蔭で今日があると感謝のスピーチをして、会場から拍手喝采を受けたようです。脚本家の受賞スピーチが話題になるのは珍しい。
*第17回ガウディ賞2025結果発表*
◎作品賞(カタルーニャ語部門)
「El 47」(監督マルセル・バレナ、製作者ラウラ・フェルナンデス・エスペソ、
ハビエル・メンデス)

(マルセル・バレナ監督)

◎作品賞(非カタルーニャ語部門)
「Polvo serán / They Will Be Dust」(監督カルロス・マルケス=マルセ、
製作者トノ・フォルゲラ、アリアドナ・ドット、ジョバンニ・ポンピリ、ダビ・エピネイ、他)

(カルロス・マルケス=マルセ監督)

(アンヘラ・モリーナはエンマ・ビララサウに敗れました)
◎監督賞
イサキ・ラクエスタ&ポル・ロドリゲス(「Segundo premio」)

(登壇したのはポル・ロドリゲス)
◎新人監督賞
セリア・ヒラルド(「Un lugar Común」)

◎主演女優賞
エンマ・ビララサウ(「Casa en flames」)

◎主演男優賞
エドゥアルド・フェルナンデス(「El 47」)

◎助演女優賞
クララ・セグラ(「El 47」)

(受賞者欠席のため代理でトロフィーを受け取ったゾエ・ボナフォンテ)
◎助演男優賞
エンリク・アウケル(「Casa en flames」)

◎新人俳優賞
ラウラ・ヴァイスマールWeissmahr(「Salve Maria」監督マル・コル)

◎オリジナル脚本賞
エドゥアルド・ソラ(「Casa en flames」)

(カタルーニャの手厚い公共教育に感謝の辞を述べた受賞者)
◎脚色賞
マル・コル&バレンティナ・ビソ(「Salve Maria」)

(受賞スピーチをするバレンティナ・ビソ)

(右が監督・脚本家のマル・コル)
◎編集賞
キアラ・ダイネゼ(「Polvo serán」)

◎オリジナル音楽賞
マリア・アルナル(「Polvo serán」)

◎撮影賞
タクロウ・タケウチ(「Segundo premio」)

◎プロダクション賞
カルロス・アポリナリオ「El 47」

◎美術賞
ライア・アテカ(「Polvo serán」)

◎衣装デザイン賞
オルガ・ロダル&イランツェ・オルティス(「El 47」)

(左オルガ・ロダル、イランツェ・オルテス)
◎メイクアップ&ヘアー賞
カロル・トルナリア(「El 47」)

◎録音賞
ディアナ・サグリスタ、アレハンドロ・カスティーリョ、アントニン・ダルマッソ、
エバ・バリニョ(「Segundo premio」)

(3人で登壇したが入手できたディアナ・サグリスタのフォト)

(エバ・バリニョ、アレハンドロ・カスティーリョ、ディアナ・サグリスタ)
◎視覚効果賞
ラウラ・カナルス&イバン・ロペス・エルナンデス(「El 47」)
◎ドキュメンタリー賞
「Diari de la meva sextorsió」(監督・脚本パトリシア・フランケサ、製作パトリシア・フランケサ、ミレイア・グラエル・ビバンコス)

◎アニメーション賞
「Mariposas negras」(監督ダビ・バウテ、製作エドモン・ロッチ、他多数)

◎短編映画賞
「El príncep」(監督・脚本アレックス・サルダ、
製作カルロタ・コロモ、アドリア・ラウエルタ、マルタ・クルアニャス、ハビ・バラ)

(左側がアレックス・サルダ)
◎ヨーロッパ映画賞
『落下の解剖学』フランス、2023年(監督ジュステーヌ・トリエ、脚本アルチュール・アラリ&トリエ監督、製作マリー・アンジュ・ルシアーニ&ダビド・ティオン)

(受賞者欠席のため映画 WebサイトFilminの創設者ジャウマ・リポルが代理で受け取った)
◎観客特別賞
「El 47」(マルセル・バレナ)

(モデルになったマノロ・ビダルの孫娘ジョアナ・ビダルも登壇した)
★以上です。ざっと見渡すと受賞作にはゴヤ賞にもノミネートされているカテゴリーが多そうですが、果たしてどのくらい重なるでしょうか。
★今回主要メンバーで参加しましたが無冠に終った、ピラール・パロメロの「Los destellos」のチームは、ゴヤ賞でも5カテゴリーにノミネートされています。脚色賞のパロメロ、主演女優賞のパトリシア・ロペス・アルナイス、助演男優賞のアントニオ・デ・ラ・トーレ、新人女優賞のマリナ・ゲロラなどです。

(ロペス・アルナイス、監督、デ・ラ・トーレ、製作者のバレリー・デルピエール)
アイタナ・サンチェス=ヒホンにゴヤ栄誉賞2025*ゴヤ賞2025 ② ― 2024年12月17日 10:34
ゴヤ栄誉賞の女性最年少受賞者アイタナ・サンチェス=ヒホンの軌跡

(ゴヤ栄誉賞2025受賞が発表された、10月17日フォトコール)
★前回に引き続き、ゴヤ栄誉賞受賞者アイタナ・サンチェス=ヒホンのキャリア&フィルモグラフィー紹介です。授賞理由、記者会見での受賞者コメントは前回に譲りますが、折に触れて紹介してきた記事と重なる部分があります。生涯功労賞の意味合いもある賞ですから56歳になったばかりは如何にも若い。それに現役バリバリですからフィルモグラフィーもこれで終わりにはならない。授賞発表が誕生日直前だったので55歳受賞になります。10年前の2015年、54歳という若さで受賞を打診されたアントニオ・バンデラスは最初固辞した経緯がありましたが、今回はすんなりいった。フアン・カルロス・フィッシャー演出の「La madre」の舞台に上がる寸前に、映画アカデミー会長から電話で知らせを受けたと語っている。
★アイタナ・サンチェス=ヒホン・デ・アンジェリス:映画、舞台、TVの女優。1968年11月5日、フランコ独裁を逃れてイタリアに亡命していたスペイン人の歴史学者でスペイン語翻訳家の父アンヘル・サンチェス=ヒホン・マルティネスと、イタリア人の数学教授フィオレラ・デ・アンジェリスの娘としてローマで生まれた。クリスチャンネームは、27年世代を代表する詩人で戯曲家のラファエル・アルベルティが名付け親、彼の娘アイタナ・アルベルティから採られた。イタリアとスペインの二重国籍、2002年造形アーティストのパピン・ルッカダンと結婚したが、2020年に離婚していたことを昨年の誕生会で明らかにした。2人の子供は既に成人している。1998年ホセ・ルイス・ボラウの後を継いで、女性初となるスペイン映画アカデミー会長を短期間だが務めている(~2000)。ローマ在住。

(毎回ベストドレッサーに選ばれるアイタナ、デザインはカロリナ・エレーラ、
宝石はカルティエ、ゴヤ賞2023ガラ、助演男優賞プレゼンターでした)
★フィルモグラフィー:劇場公開、ネット配信、DVD発売など邦題のある作品を中心に、未公開だが受賞歴のある作品、TVシリーズの話題作も含めて年代順にアップします。1986年、TVシリーズ、ペドロ・マソの「Segundo enseñanza」(13話)のうち7話に出演、キャリアをスタートする。続いて同年ホセ・マリア・フォルケの現実とフィクションを取り交ぜた「Romanza final(Gayarre)」で映画デビューした。19世紀のテノール歌手フリアン・ガヤレのビオピック、フリアンにホセ・カレーラスが扮した。アントニオ・ヒメネス=リコ、フェルナンド・フェルナン・ゴメス、そして1989年フェルナンド・コロモのコメディ「Bajarse al moro」でアントニオ・バンデラス、フアン・エチャノベ、ベロニカ・フォルケと共演、その演技が注目された。ペドロ・デ・ラ・ソタの「Viento de cólera」で主演、ムルシア・スペイン映画週間でパコ・ラバル女優賞を受賞した。

(4人とも若い、ベロニカは既に旅立っている、「Bajarse al moro」から)
★90年代にはいると、主役、準主役に抜擢され、受賞には至らずとも国際映画祭でのノミネートも増えていきました。1993年は特に収穫の年で、アントニ・ベルダゲルの「Havanera 1820」でシネマ・ライターズ・サークル女優賞、ピラール・ミロの「El pájaro de la felicidad」でメルセデス・サンピエトロの義理の娘を好演、メキシコのアルフォンソ・アラウの『雲の中で散歩』でキアヌ・リーヴスと共演、フォトグラマス・デ・プラタ女優賞ノミネート、アドルフォ・アリスタラインの「La ley de la frontera」のジャーナリスト役、マヌエル・ゴメス・ペレイラの『電話でアモーレ』で共演のハビエル・バルデム(ゴヤ賞受賞他多数)と揃ってACEプレミアを受賞した。筆名クラリン(レオポルド・アラス)の同名小説「La Regenta」(『ラ・レヘンタ/裁判官夫人』)をドラマ化したTVミニシリーズ(3話)でカルメロ・ゴメスと共演、共にフォトグラマス・デ・プラタ(TV部門)の女優、男優賞をそれぞれ受賞、さらに彼女はスペイン俳優組合の主演女優賞も受賞した。現在のスペイン映画アカデミー会長フェルナンド・メンデス=レイテが監督と脚色を手掛けた話題作で、当時のお茶の間を釘付けにした。

(キアヌ・リーヴスと『雲の中で散歩』から)

(ドラマ「La Regenta」の裁判官夫人に扮したアイタナ)
★ハイメ・チャバリの「Sus ojos se cerraro y el mundo sigue andando」、アルゼンチンのフアン・ホセ・カンパネラのサスペンス『ラブ・ウォーク・イン』(「Ni el tiro del final」)の歌手役、ビセンテ・アランダの「Celos」、ビガス・ルナの「La camarera del Titanic」でトゥリア女優賞、ロルカの戯曲を映画化したメキシコのマリア・ノバロの「Yerma」では主人公イェルマ、夫フアンにフアン・ディエゴが扮した他、ギリシャのイレネ・パパスが老婆役で共演した。特筆すべきはビガス・ルナの『裸のマハ』のアルバ公爵夫人役でサンセバスチャン映画祭1999女優賞を受賞したが、ゴヤ賞にはノミネートさえされなかった。

(ゴヤ役のホルヘ・ぺルゴリアとアルバ公爵夫人のアイタナ)
★今世紀に入ると海外の監督からのオファーも多くなり、イタリアのガブリエレ・サルヴァトレスのミステリー『ぼくは怖くない』(「Io non ho paura」)、妊娠7カ月で撮影に臨んだエドゥアルド・コルテスの「Carta mortal」、アメリカのブラッド・アンダーソンのサイコスリラー『マシニスト』(バルセロナ映画祭主演女優賞)、アルゼンチンのルイス・プエンソの『娼婦と鯨』など、公開あるいは未公開だがDVDが発売され、日本でも字幕入りで見られる映画が増えていった。
★2000年後半、コルド・セラのホラー「Bosque de sombras」、ベントゥラ・ポンスの『密会1723号室』ではホセ・コロナドと共演、ゴンサロ・スアレスの「Oviedo Express」は、かつてTVでドラマ化されたクラリンの「La Regenta」をベースにして、舞台上演のため巡業している役者たちがオビエド急行でアストゥリアスに向かっているというロマンティック・コメディ。アイタナもカルメロ・ゴメスも同じ役で共演した。イタリアのシルヴィオ・ムッチーノ監督が主役も演じた「Parlami d'amore」(イタリア語)ではフランス人の人妻役だった。役柄によってスペイン人、イタリア人、フランス人を演じ分けた。
★2011年、パコ・アランゴのコメディ「Maktub」では、アルゼンチンのディエゴ・ペレッティとタッグを組み、アランゴはゴヤ賞新人監督賞にノミネートされた。イタリア映画だがマッテオ・ロヴェーレのラブコメ「Gli sfiorati」は未公開ながら『妹の誘惑』の邦題でDVD化されている。その後演劇にシフトして銀幕から遠ざかり、2018年のパトリシア・フェレイラの『ティ・マイ~希望のベトナム~』で戻ってきた。主役はカルメン・マチだが、ネットフリックスで配信された。アルモドバルの『パラレル・マザーズ』(ゴヤ賞2022助演女優賞ノミネート、フェロス賞とイベロアメリカ・プラチナ賞受賞)、フラン・トーレスの『ラ・ヘファ:支配する者』、アントニオ・メンデス・エスパルサの「Que nadie duerme」(スペイン俳優組合&フェロス賞助演女優賞ノミネート)と受賞やノミネートが続いている。

(「Que nadie duerme」出演で、フェロス賞2024助演女優賞ノミネート)
★他に、サラゴサ映画祭2004サラゴサ市賞、アルメリア映画祭2022アルメリア・ティエラ・デ・シネ賞を受賞している。現在ネットフリックスTVシリーズ『レスピーラ/緊急救命室』(全16話)が8月から配信されている。主人公に『エリート』出演で人気上昇中のマヌ・リオス、アイタナの他ナイワ・ニムリ、ブランカ・スアレス、ボルハ・ルナなどベテラン勢が脇を固めているが、評価は厳しいか。
◎主なフィルモグラフィー(TVシリーズ、短編は除く)
1986「Romanza final(Gayarre)」ホセ・マリア・フォルケ
1987「Redondela」ペドロ・コスタ
1988「No hagas planes con Marga」ラファエル・アルカサル
「Remando al viento」ホラー、『幻の城 バイロンとシェリー』ゴンサロ・スアレス、
英語、公開
「Jarrapellejos」アントニオ・ヒメネス=リコ
1989「Bajarse al moro」コメディ、フェルナンド・コロモ
「El mar y el tiempo」フェルナンド・フェルナン・ゴメス
「Viento de cólera」ペドロ・デ・ラ・ソタ、
ムルシア・スペイン映画週間パコ・ラバル女優賞
1991「El laberinto griego」ラファエル・アルカサル
1992「El marido perfecto」ベダ・ドカンポ・フェイホー
1993「Havanera 1820」キューバ合作、アントニ・ベルダゲル、
シネマ・ライターズ・サークル女優賞
「El pájaro de la felicidad」ピラール・ミロ
1995「Un paseo por las nubes」『雲の中で散歩』メキシコ=米、アルフォンソ・アラウ、
公開1995
「La ley de la frontera」アルゼンチン合作、アドルフォ・アリスタライン
「Boca a boca」『電話でアモーレ』マヌエル・ゴメス・ペレイラ、公開1997
1997「Sus ojos se cerraro y el mundo sigue andando」アルゼンチン合作、
ハイメ・チャバリ
「Ni el tiro del final」『ラブ・ウォーク・イン』米=アルゼンチン、
フアン・ホセ・カンパネラ、英語、未公開、ビデオ発売1999
「La camarera del Titanic」仏=伊=独=西、ビガス・ルナ、トゥリア女優賞1998
1998「Yerma」ピラール・タボラ
1999「Celos」ビセンテ・アランダ
「Volavérunt」『裸のマハ』ビガス・ルナ、サンセバスチャン映画祭1999女優賞
2000「Sin dejar huella」メキシコ合作、マリア・ノバロ
2001「Mi dulce」イタリア合作、ヘスス・モラ・ガマ
「Hombres felices」ロベルト・サンティアゴ
2003「Io non ho paura」」『ぼくは怖くない』伊=西=米、スリラー、
ガブリエレ・サルヴァトレス、イタリア語、公開2004
2003「Carta mortal」クライム、エドゥアルド・コルテス
2004「El maquinista」『マシニスト』米合作、サイコスリラー、ブラッド・アンダーソン、
英語・スペイン語、バルセロナ映画女優賞、公開2005
2004「La puta y la ballena」『娼婦と鯨』アルゼンチン合作、ルイス・プエンソ、
未公開、DVD発売
2006「Bosque de sombras」スリラー、コルド・セラ
「Animales heridos」『密会1723号室』ベントゥラ・ポンス、未公開、DVD発売
2007「Oviedo Express」コメディ、ゴンサロ・スアレス
「La carta esférica」イマノル・ウリベ、ペレス=レベルテの小説の映画化
2008「Parlami d'amore」(スペイン題「Háblame de amor」)イタリア合作、
シルヴィオ・ムッチーノ、イタリア語
2011「Maktub」アルゼンチン合作、パコ・アランゴ
「Gli sfiorati」『妹の誘惑』ラブコメ、イタリア、マッテオ・ロヴェーレ、
イタリア語、DVD発売
2018「Thi Mai, rumbo a Vietnam」『ティ・マイ~希望のベトナム』
パトリシア・フェレイラ、Netflix 配信
2021「Madres paralelas」『パラレル・マザーズ』ペドロ・アルモドバル、
ゴヤ賞2022助演女優賞ノミネート、フェロス賞&イベロアメリカ・プラチナ賞受賞
2022「La jefa」『ラ・ヘファ:支配する者』フラン・トーレス、Netflix 配信
2023「Mi otro Jon」パコ・アランゴ
「Que nadie duerme」ルーマニア合作、アントニオ・メンデス・エスパルサ、
フェロス賞助演女優賞ノミネート
*「Que nadie duerme」とアイタナ・サンチェス=ヒホン紹介は、コチラ⇒2024年01月11日
*スペイン映画アカデミー金のメダル受賞記事は、コチラ⇒2015年08月01日/11月20日

(金のメダル2015をフアン・ディエゴと受賞する)
★ゴヤ賞2025ノミネート発表は、昨年より大分遅れましたが、現地グラナダから12月18日11:00とアナウンスされました。現地発表は今回が初、例年はマドリードの本部ですから珍しい。司会者はナタリア・デ・モリーナとアルバロ・セルバンテスの二人。
第39回ゴヤ賞2025栄誉賞にアイタナ・サンチェス=ヒホン*ゴヤ賞2025 ① ― 2024年12月09日 11:41
総合司会者にベテラン女優マリベル・ベルドゥとレオノール・ワトリング

(アイタナ・サンチェス=ヒホン)
★第39回ゴヤ賞2025の授賞式は、既に2月8日(土)のグラナダ開催が決まっておりました(グラナダ展示会議宮殿にて開催)。今年はノミネーション発表が遅れていますが、10月8日、スペイン映画アカデミー会長フェルナンド・メンデス=レイテ、グラナダ市長マリフラン・カラソ、副会長ラファエル・ポルテラ、グラナダ市議会文化評議員フアン・ラモン・フェレイラなどが出席して、イスラム建築であるサント・ドミンゴの王の間にてゴヤ賞の大枠が発表されました。

(映画アカデミー会長メンデス=レイテ、グラナダ市長マリフラン・カラソ)
★11月13日、ガラ当日の総合司会者の発表がありました。マリベル・ベルドゥとレオノール・ワトリング、日本でも公開作品の多い知名度抜群の女優二人が仕切ることになりました。

(総合司会者マリベル・ベルドゥ、レオノール・ワトリング)
★マリベル・ベルドゥ(マドリード1970)は「レオノールと私は親友同士、私たちは共にエネルギッシュです。二人ともやるべき仕事を理解しており、チームを組んでやります。だからガラでは、ご覧になってくださる方々が楽しめるよう司会することに務めます。ゴヤ賞という特別な夕べに愛をこめて取りくみます。どうか上手くいきますように!」と表明した。
*ゴヤ賞ではビセンテ・アランダの『アマンテス』(91)で初ノミネートされてから何回も対抗馬に敗れ、グラシア・ケレヘタの「Siete mesas de billar francés」(07)が「5度目の正直」となって受賞するまでの道程が長かった。しかしその後の怒涛の受賞歴は以下のキャリア紹介に譲ります。
*マリベル・ベルドゥのキャリア&フィルモグラフィー紹介は、コチラ⇒2014年04月07日
★レオノール・ワトリング(マドリード1975)は「ゴヤ賞のガラに、私が尊敬するマリベルと一緒に司会することが夢でした。名誉なことでありますが責任も感じています。素晴らしいシナリオ作家たちが私たちと一緒だなんて何と力強いことでしょう!」と強調しました。やはりガラ全体を構成する脚本家の良し悪しが鍵を握っています。
*ゴヤ賞関連では、アントニオ・メルセロの「La hora de los valientes」(98)、イネス・パリス他の『マイ・マザー・ライクス・ウーマン』(02)でノミネートされただけです。デビューは1990年代初めですが、ビガス・ルナの『マルティナは海』(01)で日本初登場、次いで翌年アルモドバルの『トーク・トゥ・ハー』でブレイクした。バンド Marlango のボーカルとしても活躍している。
*レオノール・ワトリングのキャリア紹介は、コチラ⇒2014年06月11日
ゴヤ栄誉賞2025の受賞者アイタナ・サンチェス=ヒホン
★11月17日、スペイン映画アカデミーは、ゴヤ賞2025ゴヤ栄誉賞受賞者にアイタナ・サンチェス=ヒホン(ローマ1968)をアナウンスしました。映画のみならず舞台、TVシリーズで40年に及ぶキャリアの持ち主です。アカデミー理事会は「最初から仲間から愛され、尊敬され、批評家のみならず観客からの評価も高い」、メンデス=レイテ会長は「真面目で責任感が強く、有能で親密、すべての作品に誠実さと深みを与える方法を熟知している」ことを授賞理由に挙げました。

(インタビューを受ける受賞者、プレス会見にて)
★一方、アイタナは授賞の知らせに「圧倒され、とても感謝して幸せに浸っています」とコメント、また女優にとって栄誉賞は「名誉であり、仲間から愛されていると感じられる、映画ファミリーの一員であることを意味します。プロとして40年が経ちましたが、自分が愛されていると感じて感動しています。これからの前進の励みになります」と語った。

(メンデス=レイテ会長とアイタナ・サンチェス=ヒホン)
★過去の女性受賞者は8名、うち直近10年間の受賞者が5対5と男性と拮抗していて、やっと女性シネアストが評価される時代が到来したことを実感します(他の4人はアンヘラ・モリーナ、ぺパ・フローレス〈マリソル〉、マリサ・パレデス、アナ・ベレン)。今は亡きビガス・ルナの『裸のマハVolavérunt』のアルバ公爵夫人役でサンセバスチャン映画祭1999銀貝賞の女優賞を受賞、アルモドバルの『パラレル・マザーズ』(21)でゴヤ賞助演女優賞に初ノミネートされ、フェロス賞とイベロアメリカ・プラチナ賞には受賞した。別途紹介記事を予定していますが、スペイン映画アカデミー金のメダルをフアン・ディエゴと受賞した折に、紹介記事をアップしています。
*アイタナ・サンチェス=ヒホンの紹介記事は、コチラ⇒2015年08月01日
アルモドバルのドノスティア栄誉賞ガラ*サンセバスチャン映画祭2024 ㉙ ― 2024年09月29日 17:21
アルモドバルにドノスティア栄誉賞――プレゼンターはティルダ・スウィントン

★9月26日(木)クルサール・ホール、ペドロ・アルモドバルのドノスティア栄誉賞ガラが、スペイン首相ペドロ・サンチェス夫妻も出席して賑々しく行われました。受賞者は前日25日が75歳の誕生日だった由、サンセバスチャン映画祭に初めて参加したのは44年前、デビュー作『ペピ、ルシ、ボンと他大勢の娘たち』がニュー・ディレクターズ部門にノミネートされたときでした。そして今年、第81回ベネチアFFの金獅子賞を受賞したばかりの「The Room Next Door / La habitación de al lado」がセレモニーの後上映されました。本作は東京国際映画祭ワールド・フォーカス部門にラテンビート共催作品として『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』の邦題で上映されます。

(左から、首相夫人ベゴーニャ・ゴメス、ペドロ・サンチェス首相、
ペドロ・アルモドバル、ティルダ・スウィントン、SSIFF2024ガラ、9月26日)
★プレゼンターはラ・マンチャの監督が英語で長編を撮った『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』の主役の一人を演じたティルダ・スウィントン、彼女はジャン・コクトーの戯曲に基づいた短編『ヒューマン・ボイス』にも主演している。最後にスペインサイドの共演者、フアン・ディエゴ・ボット、ラウル・アレバロ、メリナ・マシューズ、ビクトリア・ルエンゴも登壇して、受賞者を祝福しました。もう一人の主演者ジュリアン・ムーアは残念ながら不参加でした。プレゼンターはアルモドバルの映画について「人間的な親しみのこもった慰めをあたえ、私たちが必要としているときに私たちを明るくし」、「私たちを虜にし、楽しませ、感動させ、ほぼ半世紀を分かち合ってきた。そして終りの兆しが感じられない」と称揚した。


(トロフィーにキスするラ・マンチャの監督)


(お祝いのスピーチをするティルダ・スウィントン)
★受賞者は開口一番、会場に夫人を同伴して出席していたサンチェス首相に「文化を支援するためにここに来ていただき本当にありがとう」とまず感謝を送った。こう挨拶されては支援しないわけにいかないです。「私の映画を際立たせるものがあるとすれば、それは登場人物たちが享受している自由であり、自由がなければ人生は生きる価値がない」と語った。便箋4~5枚手にしていたから長い受賞スピーチだった。「私のような年齢でドノスティア賞を貰うのは終着を意味するかもしれない。これまでの行程のご褒美かもしれないが、私はそう思っていない。私にとって映画は、祝福か呪詛か、休むことなく脚本を書き監督すること以外の人生は考えられないし、仮にそれが酷い作品だったとしても作り続けるつもりだ、何故ならその反対は空っぽだからだ」とスピーチし、これからも映画を作り続けることが自分の命であり、映画なしの人生はあり得ないことを強調した。

(左から、ラウル・アレバロ、メリナ・マシューズ、受賞者、ビクトリア・ルエンゴ、
フアン・ディエゴ・ボット、ティルダ・スウィントン)
★ティルダ・スウィントンとジュリアン・ムーアが主演する新作について「憎しみのメッセージが支配する現実において、私の映画はその反対です。共感、寄り添い、助け合うことを提案しています」と、かつてのキャバレー・アーティスト、危険を怖れずメロドラマを撮りつづけるアルモドバルは、これから上映される新作のほのめかしをした。
★1970年代に徒手空拳でマドリードにやってきた映画界の異端児の本祭登場は、先述したように1980年の『ペピ、ルシ、ボンと他大勢の娘たち』、その後セクション・オフィシアルに『セクシュリア』(82)、アウト・オブ・コンペティションに『私の秘密の花』(95)、1993年には「アルモドバルの夕べ」という特集が組まれている。またドノスティア栄誉賞のプレゼンター役で、1996年アル・パチーノ、2004年ウディ・アレン、2008年愛弟子アントニオ・バンデラスにトロフィーを手渡すためにやってきている。

★さらにメイド・イン・スペイン部門で『オール・アバウト・マイ・マザー』(99)、『トーク・トゥ・ハー』(02)、『バッド・エデュケーション』(04)、『ボルベール〈帰郷〉』(06)、『抱擁のかけら』(09)、『アイム・ソー・エキサイテッド!』(13)、『ジュリエッタ』(16)、『ペイン・アンド・グローリー』(19)が上映されている。因みに本賞は1986年から始まっており、スペインの受賞者としては8人目、受賞順に1999年フェルナンド・フェルナン=ゴメス、2001年パコ・ラバル、2008年アントニオ・バンデラス、2013年カルメン・マウラ、2019年ペネロペ・クルス、2023年ビクトル・エリセ、同ハビエル・バルデムです。
★ガラの司会者はバスク自治州ビスカヤ出身のエネコ・サガルドイ(1994)、バスク語とスペイン語で進行役を務めた。サガルドイは『アルツォの巨人』でゴヤ賞2018新人男優賞を受賞している、俳優、製作者、最近バスク語で短編「Betiko gaua / The Eternal Night」を監督、マラガ映画祭2023短編部門にノミネートされた。

(司会者エネコ・サガルドイ)
★ドノスティア栄誉賞ガラのフォト集(クルサール・ホールにて)

(右から2人目、ペドロ・サンチェス首相夫妻、会場にて)

(受賞者とティルダ・スウィントン)



(メリナ・マシューズ)


(ビクトリア・ルエンゴ)

(フアン・ディエゴ・ボット)

(ラウル・アレバロ)

(『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』のスタッフ&キャスト、
制作会社エル・デセオのアグスティン・アルモドバル、エステル・ガルシアを交えて)
*『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』の記事は、コチラ⇒2024年06月18日
*『ストレンジ・ウェイ・オブ・ライフ』のきじは、コチラ⇒2023年05月04日
*『ヒューマン・ヴォイス』の記事は、コチラ⇒2020年08月16日
*『ペイン・アンド・グローリー』の記事は、コチラ⇒2019年04月22日
*『ジュリエッタ』の記事は、コチラ⇒2016年02月19日
*『アイム・ソー・エキサイテッド』の記事は、コチラ⇒2013年09月21日
映画国民賞受賞のマリア・サモラ*サンセバスチャン映画祭2024 ㉗ ― 2024年09月26日 15:31
製作者マリア・サモラに映画国民賞2024の授与式

(受賞者マリア・サモラ)
★9月21日タバカレラで、2024年の映画国民賞の授与式がありました。受賞者マリア・サモラ(バレンシア1976)は、カルラ・シモンや今年のセクション・オフィシアル審査委員長を務めるハイオネ・カンボルダなど、インディペンデント映画中心の作品を手掛けています。6月に受賞がアナウンスされていましたが、映画部門の授与式はサンセバスチャン映画祭と決まっており、副賞は30.000ユーロです。選考母体はスペイン文化スポーツ教育省とスペイン映画アカデミーで、今回のプレゼンターはエルネスト・ウルタスン文化相でした。
*マリア・サモラのキャリア&フィルモグラフィーは、コチラ⇒2024年06月16日

(マリア・サモラとエルネスト・ウルタスン文化相)
★21日からコンペティション部門、その他の第1回目の上映が始まり、海外勢を含めた国内の監督、製作者、俳優がレッドカーペットに登場しました。これまで作品紹介をしてきましたチームを中心にフォトをアップします。まずは審査員メンバーから。
*キャリア紹介は、コチラ⇒2024年09月21日

(審査委員長スペインの監督ハイオネ・カンボルダ)

(審査員アルゼンチンの作家レイラ・ゲリエロ)

(審査員アメリカの俳優フラン・クランツ)

(審査員ギリシャの監督クリストス・ニク)

(審査員フランスの製作者キャロル・スコッタ)

(審査員オーストリアの監督ウルリヒ・ザイドル)
★セクション・オフィシアル出品作、イシアル・ボリャインの「Soy Nevenka / I’m Nevenka」のチーム

(女優ミレイア・オリオル、監督、俳優ウルコ・オラサバル、9月21日)

(ボリャイン監督、共同脚本執筆者イサ・カンポ)
★セクション・オフィシアル出品作、「Conclave」のエドワード・ベルガー監督

★セクション・オフィシアル特別上映、カンヌ映画祭総代表のティエリー・フレモーのドキュメンタリー「Lumiere!, L’aventure continue」(16、『リュミエール!』)のチーム

(ティエリー・フレモーとエグゼクティブプロデューサーのマエル・アルノー)
★オリソンテス・ラティノス部門、「El jockey / Kill The Jockey」の監督と出演者たち

(ルイス・オルテガ監督)

(左から、ウルスラ・コルベロ、ナウエル・ぺレス・ビスカヤート、オルテガ監督、
マリアナ・ディ・ジロラモ)
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