マルタ・マトゥテのデビュー作が金のビスナガ作品賞*マラガ映画祭2026 ⑦ ― 2026年04月11日 11:41
金のビスナガは若手監督マルタ・マトゥテのデビュー作が受賞

★マラガ映画祭のセクション・オフィシアルは、スペイン映画とイベロアメリカ映画の2本立て、前者の最高賞「金のビスナガ」作品賞は新人監督マルタ・マトゥテのデビュー作「Yo no moriré de amor」が受賞、後者はメキシコのホアキン・デル・パソの「El jardín que soñamos」の手に渡りました。先ず前者の作品紹介から始めます。脚本にマトゥテ監督自身が投影されているという主役を演じたフリア・マスコルトが銀のビスナガ主演女優賞、父親役のトマス・デル・エスタルが銀のビスナガ助演男優賞を受賞しています。昨年もエバ・リベルタードのデビュー作「Sorda」が受賞して女性監督の活躍を印象づけた。本作は『幸せの、忘れもの』という邦題でゴールデンウイークに劇場公開されます。相変わらず陳腐なタイトルですが、何とかなりませんかね。
「Yo no moriré de amor / I Won’t Die for Love」
製作:Elastica Films(スペイン)/ Solita Films(同)/ Saga Film(ベルギー)
協賛:ICAA / RTVE / Movistar Plus+ / Ayuntamiento de Madrid / Filmin /
Comunidad de Madrid
監督・脚本:マルタ・マトゥテ
撮影:サラ・ガジェゴ・グラウ
編集:カルロス・カニャス・カレイラ
音楽:シモン・フランケ
美術:ロシオ・ペーニャ
キャスティング:マリア・ロドリゴ
衣装デザイン:エステル・ルカス・ハケティ Jaqueti
メイクアップ&ヘアー:アンネ・モラリス、サンドラ・オブリエン
製作者:マリア・サモラ(Elastica Films)、ホセ・エステバン・アレンダ、セサル・エステバン・アレンダ(Solita Films)、(エグゼクティブ)セシリア・リバス、フラビア・ビウルン(Saga Film)
データ:製作国スペイン=ベルギー、2026年、スペイン語、ドラマ、94分、撮影地:マドリード自治州バルデモロ(監督の故郷)、公開スペイン2026年5月8日
映画祭・受賞歴;第29回マラガ映画祭セクション・オフィシアル作品、金のビスナガ作品賞、銀のビスナガ助演女優賞(フリア・マスコルト)、助演男優賞(トマス・デル・エスタル)受賞、フェロス賞プエルタ・オスクラ2026受賞(AICEスペイン映画ジャーナリスト協会メンバーが選ぶ賞)
キャスト:フリア・マスコルト(クラウディア)、ソニア・アルマルチャ(母親)、トマス・デル・エスタル(父親)、ラウラ・ワイスマー、ギジェルモ・ベネト、フラン・カントス(ペペ)、レティシア・エタラ、マルク・ドミンゴ(アルベルト)、ダニエル・ゲーロ、ホルヘ・バサンタ、ロレア・インチャウスティ(レイレ)、他
ストーリー:18歳になるクラウディアの物語、母親のアルツハイマー病が静かな嵐のように押し寄せ、長らく断絶していた家族の役割を定義し直す必要に迫られている。クラウディアは早めに始まった介護で彼女の青春は息ができない。介護する義務と同世代の他の女性のように青春を謳歌したい願望のはざまで引き裂かれている。この目の前の現実を生きる方法を探し始めるが、それは家族全員の絆を変えることになるだろう。愛、独立、道義心、義務と願望の葛藤についての物語。

(左から、トマス・デル・エスタル、フリア・マスコルト、マトゥテ監督、
ソニア・アルマルチャ、ラウラ・ワイスマー、マラガFF、3月11日、フォトコール)
★監督紹介:マルタ・マトゥテ Marta Matute García、1988年マドリード自治州バルデモロ生れ、監督、脚本家、女優、撮影監督。2011年、マドリード・コンプルテンセ大学視聴覚コミュニケーション卒、ウィリアム・レイトン劇場ラボラトリーで演劇芸術の学位を取得する。女優として短編映画に出演。ゴン・ラモスやエバ・ミルなどの演出で舞台にも立っている他、パウラ・アモールやハビエル・ヒネルの演出助手も手掛けており、独立系の映画のフィルム編集者でもある。
*フィルモグラフィー:
2016「Zong」短編、監督ボルハ・エチェベリア、女優出演
2017「Grasse Matinée」短編、監督イバン・アルティレス、女優出演
2023「Una amiga」短編、監督、脚本
2024「Xiao Wei」短編、監督Jiajie Yu Yan、脚本共同執筆・女優出演
2026「Yo no moriré de amor」長編デビュー作、監督、脚本


(短編「Una amiga」のポスター)
★金のビスナガ作品賞の「Yo no moriré de amor」は、2020年スペイン映画アカデミーのレジデンシアに選ばれる。2021年に第18回「フリオ・アレハンドロ長編脚本SGAE賞*」を受賞、Ventana CineMad、Ventana Sur、などのワークショップに参加して制作した。アルツハイマー型認知症になった母親を10年間にわたって介護した家族や監督自身が投影されている。同世代のカルラ・シモンやベレン・フネス、ピラール・パロメロの作品からも着想を得ていると語っている。本格的な評価はこれからですが、将来が有望視されている。
*フリオ・アレハンドラ(ウエスカ1906~デニア1995)は、スペイン、メキシコ、アルゼンチン映画の脚本家、ルイス・ブニュエルの『ビリディアナ』(61)や『哀しみのトリスターナ』(70)の脚本を監督と共同執筆している。SGAE Sociedad Genaral de Autores y Editoresは、1995年設立された著作権管理団体でスペイン著者出版社協会。

(フリオ・アレハンドロ長編脚本SGAE賞のトロフィを掲げる監督)
★キャスト紹介:フリア・マスコルトJulia Mascort、バルセロナ出身の映画・舞台女優、歌手、楽器はギターとチェロ。ラウラ・オブラドールズの短編単独デビュー作「Las chicas/The Girls」(24、16分、スペイン語)、クリスティアン・アビレスの「La herida luminosa」(22、23分、スペイン語)出演の他、カタルーニャTVシリーズ「Com si fos ahir/With That Same Look」(2022年8話出演)、「Un nuevo amanecer」(2024年2話出演)、長編出演は今回が初、主役も女優賞も初のようです。カタルーニャ語、スペイン語のバイリンガル、英語もできる。マラガではスペイン語でインタビューを受けていた。

(銀のビスナガ主演女優賞受賞、マラガFFガラ)
★トマス・デル・エスタル Tomás del Estal、1967年サラマンカ生れ、俳優。TVシリーズ出演でスタート、脇役専門とはいえ本数が3桁は多すぎる。コメディからホラー、社会派シリアスドラマと芸域は広いから、スペイン映画ファンなら必ず見覚えがあるでしょう。受賞歴は、今回の銀のビスナガ助演男優賞受賞が初、検索している管理人も驚いている。最近では、こんな映画に出演しています、2024『叫び』、2021『ウェイ・ダウン』、2018『誰もがそれを知っている』、2016『スモーク・アンド・ミラーズ』、同『ジュリエッタ』、2015『ヤシの木に降る雪』、2014『トガリネズミの巣穴』、2010『BIUTIFUL ビューティフル』、同『ペーパーバード 幸せは翼にのって』など、当ブログでも作品紹介をしています。TVシリーズではシーズン2が始まった『ガリシアン・ギャング』、『鉄の手』などがNetflixで配信されている。

(銀のビスナガ助演男優賞受賞、マラガFFガラ)
★アルツハイマー認知症の母親を演じたソニア・アルマルチャ(アリカンテ州ピノソ1972)は、バレンシアの演劇芸術学校とウィリアム・レイトンで演技を学んだ。マラガ関連では、マラガFF2025の短編部門でポロ・メナルゲスの「Una vocal」で銀のビスナガ主演女優賞を受賞した。2020年ハビエル・マルコの「A la cara」で同じ短編部門の同賞を受賞している。この短編は2025年に同タイトルで長編化され、ロラ・ガオス賞の主演女優賞にノミネートされた。

(母親とクラウディア、フレームから)
★ハイメ・ロサーレスがゴヤ賞2008作品賞と監督賞を受賞した『ソリチュード:孤独のかけら』に主役に抜擢され、物静かだが我が道を着々と準備する芯の強い女性を演じて、スペイン俳優組合新人女優賞を受賞しています。他2017年にエステバン・クレスポの『禁じられた二人』、パコ・プラサのホラー『エクリプス』、ロドリゴ・ソロゴジェンのスリラー「El reino」、フェルナンド・レオン・デ・アラノアのブラックコメディ「El buen patrón/The Good Boss」では、ゴヤ賞2022助演女優賞ノミネート、俳優組合女優賞などを受賞、ジョン・ガラーニョ&アイトル・アレギの「Marco」、クラウディア・ピントの「Las consecuencias」(21)、最近は主に映画出演にシフトしている。
*『ソリチュード:孤独のかけら』の作品紹介は、コチラ⇒2013年11月08日
*「Las consecuencias」の作品紹介は、コチラ⇒2021年07月01日
*「El buen patrón」の作品紹介は、コチラ⇒2021年08月10日
★ラウラ・ワイスマー(ヴァイスマール)Laura Weissmahr、1992年タリファ生れ、女優、製作者。バルセロナのエオリア高等演劇芸術学校で演技を学んだ後、イギリスのウエストミンスター大学で映画テレビ制作の学位を取得する。ドキュメンタリーを撮っている。エレナ・マルティン・ヒメノ監督の「Júlia Ist」(17)やダビ・ビクトリの「No matarás」(20)に出演、2024年にマル・コルのサスペンス「Salve María」主演して、ゴヤ賞2025新人女優賞ほか、ガウディ賞、フェロス賞、バジャドリード映画祭、サンジェルマン賞などを受賞して脚光を浴びた。これからの活躍を予感させる。

(ゴヤ賞2025新人女優賞受賞のガラ)
★今秋の東京国際映画祭2026での上映を期待したいところです。
マラガ-スール賞にロッシ・デ・パルマ*マラガ映画祭2026 ⑥ ― 2026年04月07日 10:15
大賞マラガ-スール賞に比類のない才能の持ち主ロッシ・デ・パルマ

★3月7日、セルバンテス劇場で、ロッシ・デ・パルマのマラガ-スール賞のガラが祝われました。プレゼンターにマベル・ロサノ、カルメン・マチ、ブランカ・ポルティーリョ、そして受賞者の娘ルナ・リオネからトロフィーを受け取りました。ロサノは作家で映画監督、女優、モデルと受賞者と同じく多才、活動家でもある。女優のカルメン・マチ(2025年)とブランカ・ポルティーリョ(2023年)は、それぞれマラガ-スール賞の受賞者、当日上映されたペドロ・アギレラの「Día de Caza」の共演者でもある。簡単なミニキャリア紹介は既にアップしておりますので、今回はガラの模様と受賞者のフィルモグラフィーを中心にお届けします。
*ミニキャリア紹介は、コチラ⇒2026年03月19日

(受賞者、マベル・ロサノ、カルメン・マチ、ブランカ・ポルティーリョ、ルナ・リオネ)
★マベル・ロサノは会場に出席してくれたファンに歓迎の言葉を述べ、「この賞は、スクリーンに姿を見せる度に私たちに強い印象を残してきた忘れられない人々に敬意を表するため役立っています」と。「ロッシは私の姉妹、私の親友、そして共犯者です。ずっと昔から一緒に歩いてきました。これは比喩なんかじゃなく現実なんです、だって私たちは隣人でもあるからね」、「ロッシ・デ・パルマは、独創的、とても個性的で存在感があり、カリスマ的でもある。彼女の才能は世界が認めています」と、受賞者を紹介した。また、受賞者の芸術的な側面、映画を含めて舞台、モード、デザイン、その他創造力豊かな分野、社会活動などにも触れ、受賞者の功績を称えました。

(マベル・ロサノ)
★昨年の受賞者であるカルメン・マチは、「私は80年代のモビダ・マドリレーニャ運動全盛期にPeor Impossible*で彼女を見て魅せられていました。この女性とどうしたら友達になれるかと考えていました。そうこうしているうちに人生は私に贈り物をしてくれた。最終的には映画で共演することにもなったのです。ロッシは全方位的なアーティスト、映画においても人生においてもシンボリックな存在です。しかし、なかでも美しさと寛容な心の広い女性であることは、みんなが認めるところです」とスピーチした。
*モビダ・マドリレーニャ運動というのは、フランコ独裁政権後の民主化移行期にマドリードで発生した若者中心のカウンターカルチャー運動。自由、性的解放、自己表現を掲げ、音楽、映画、芸術、ファッションなどの分野で変革を求め、80年代前半が全盛期だった。Peor Impossible は、1984年に活動を開始したポップミュージックのグループ、ロッシ・デ・パルマはメンバーの一人でした。

(昨年の受賞者カルメン・マチ)
★2023年の受賞者ブランカ・ポルティーリョは、「多分わたしは、個人的にはそれほど親しくなかった。しかしロッシ・デ・パルマには脱帽、心から感心しております。時を分かち合い、仕事を共にすることで、彼女が模範となる女性であること、地面を揺るがせるエネルギーを持っていることに気づきました。美しさ、探求心、優しさ、そして圧倒的な力強さがあり、内面からにじみだす美しさに溢れ、なかでも心の広い素晴らしい仲間です」と、受賞者のエネルギッシュでありながらも、その繊細さを強調しました。

(エネルギッシュで心の広い受賞者を強調するブランカ・ポルティーリョ)
★受賞者の娘ルナ・リオネ(1999年生れ、歌手、モデル)は、彼女のもとで大きくなったことの重要性について語りました。「ロッシ・デ・パルマの娘であることをどう思うか、よく聞かれました。私はいつも同じ返事、決して私を退屈させることがないと応えました。ロッシは多面的な素晴らしい女性です」。ルナにとってロッシ・デ・パルマの娘であることは大きな幸運だと強調しました。デ・パルマにはもう一人ガブリエル(1998)というミュージシャンの息子がいる。「地獄の日々だった」という子供たちの父親から逃れるため、小さい二人を抱えて逃亡して以来、子供中心の生活を重視して、現在は独身と称している。ルナとのツーショットを当ブログでも紹介している。

(「あなたの娘であるのは幸運」と母親を称えるルナ・リオネ)
★会場の座席でプレゼンターたちのスピーチに聞き入っていた受賞者は、登壇すると「今、私は盛大な誉め言葉の数々に当惑しています。何しろ私はお世辞の嵐には馴れておりません」と挨拶して会場を沸かせた。映画祭やマラガ市との絆について「デ・パルマは、映画祭の草創期から素晴らし瞬間を共にしてきました。最も重要なことは、信じられないやり方で映画に専念するマラガの観客の皆さまです」と。「私たち全ての人々がアーティストです。ビスナガ賞受賞者も(砂浜で)魚の串焼きをする職人もアーティストです」と、お金にはちょっと不自由をしているスペインの老若男女に感謝の言葉を述べた。

(会場の座席でプレゼンターのスピーチに聞き入る受賞者)
★最近鬼籍入りした両親のこと、モビダ・マドリレーニャ運動、Peor Impossible、アルモドバル、ジャン=ポール・ゴルチエ、ロバート・アルトマン、マイク・フィギス(英)、テリー・ギリアム、アレキサンダー・マックイーン(英)、サン・ローランなど、フランス、米国、イギリスのシネアストやデザイナーについて語りました。

★当日、バンデラス遊歩道に建立された記念碑の除幕式が、マラガ市長フランシスコ・デ・ラ・トーレ以下、歴史的文化遺産担当議員マリアナ・ピネダ、生れ故郷バレアーレス自治体の文化担当書記官ペドロ・ビダル、スール紙の編集長アルベルト・ゴメス・アルメンドレス、本祭ディレクターのフアン・アントニオ・ビガルなど大勢が参加して行われました。更に授与式の後、ペドロ・アギレラの「Día de Caza」(「狩の日」25)が上映されました。カルロス・サウラが初めてエリアス・ケレヘタとタッグを組んだ長編3作目「La caza」を女性主演で再構築したものです。ベルリン映画祭1966で監督賞を受賞、サウラの力量を国際的に認めさせることになった作品。本邦でも「スペイン映画祭1984」で『狩り』の邦題で上映されました。人里離れた狩猟場でウサギ狩りをする4人の男たちの朝から夕方までの1日を描いたもので、最後には狩り以上に凄惨な結末を迎える。今回プレゼンターを務めたカルメン・マチ、ブランカ・ポルティーリョが共演する。


(除幕式の参加者に囲まれて)


(上映された「Día de Caza」とサウラの『狩り』)
★受賞者紹介:ロッシ・デ・パルマ(本名ロサ・エレナ・ガルシア・エチャベ、パルマ・デ・マジョルカ1964)、少女時代は両親の出身地であるカステリョン(バレンシア)やアビレス(アストゥリアス)で育った。フィルモグラフィーは、1986年デビューだが脇役が多いせいか3桁を超す。受賞歴のある話題作、DVD発売やネットで配信中の作品に絞ってアップします。
1987『欲望の法則』 監督ペドロ・アルモドバル
1988『神経衰弱ぎりぎりの女たち』 監督同上 ACE賞1989助演女優賞ノミネート
1989『アタメ』 監督同上
1992『サム・サフィ』(フランス) 監督ヴィルジニー・テヴェネ(ヴァージニー・テヴネ)
1993『ハイルミュタンテ!電撃XX作戦』 監督アレックス・デ・ラ・イグレシア
1993『キカ』 監督P・アルモドバル ゴヤ賞1994助演女優賞ノミネート
スペイン俳優組合助演女優賞ノミネート、ACE賞1995助演女優賞受賞
1994『プレタポルテ』(米国) 監督ロバート・アルトマン
米ナショナル・ボード・オブ・レビュー1994アンサンブル演技賞受賞
1995『私の秘密の花』 監督 P・アルモドバル、ゴヤ賞1996助演女優賞ノミネート、
スペイン俳優組合助演女優賞ノミネート
1998『踊るのよ、フランチェスカ!』(米国) 監督ケリー・セイン
1998「Hors Jeu」(フランス) 監督カリム・ドリディ、ロカルノ映画祭特別賞受賞
1998『セクシュアル・イノセンス』(イギリス) 監督マイク・フィギス
2002『ル・ブレ』(仏・英) 監督アラン・ベルベリアン、フレデリック・フォレスティエ
2004『ピープル』(仏・西、フランス語) 監督ファビアン・オンテニエンテ
2004『ダブルオー・ゼロ』(仏・英、仏語・英語) 監督ジェラール・ピレス
2005『20センチ!』(東京国際映画祭) 監督ラモン・サラサール
2009『抱擁のかけら』 監督 P・アルモドバル
2016『ジュリエッタ』 監督 P・アルモドバル フェロス賞2017助演女優賞ノミネート
2017『マダムのおかしな晩餐会』(フランス、仏語・西語・英語) 監督アマンダ・スターズ
ガスパリラ映画祭国際演技賞受賞
2018『テリーギリアムのドン・キホーテ』(米・西・仏・ベルギー・英他、英語・西語)
2019『弟は僕のヒーロー』(伊・西、イタリア語) 監督ステファノ・チパーニ
2019「Los Rodríguez y el más allá」(メキシコ・西) 監督パコ・アランゴ
2020『マーメイド・イン・パリ』(フランス) 監督マチアス・マルジウ
2021『パラレル・マザーズ』 監督 P・アルモドバル シネフォリア2022助演女優賞ノミネート
2022『レインボー』 監督パコ・レオン
2022『ラ・メゾン 小説家と娼婦』(仏・ベルギー) 監督アニッサ・ボンヌフォン
2025『ママンと?!ハネムーン』(フランス) 監督ニコラ・キッシュ
2025「Día de Caza」 監督ペドロ・アギレラ
2026「Amarga Navidad」 監督ペドロ・アルモドバル
★その他、ヤン・レノルのドキュメンタリー「Jean Paul Gaultier:Freak and Chic」(2018、ジャン=ポール・ゴルチエの自伝的ミュージカル)に出演している。またマラガ-スール賞以外にも、1994年ラファス・デル・ピ映画祭生涯功労賞、2019年フィルミング・イタリア・ベネチア国際功績賞、2022年イタリア・サルデーニャ・フェスティバル「ウィメンパワー」賞、2025年トゥールーズ・シネスパーニャ「バイオレット・ドヌール」賞などを受賞している。
第29回マラガ映画祭2026受賞結果*マラガ映画祭2026 ⑤ ― 2026年03月30日 11:22
金のビスナガ作品賞にマルタ・マトゥテとホアキン・デル・パソが受賞

(左から、プレゼンターと審査員と審査委員長ハイオネ・カンボルダ)
★授賞式は3月14日、セルバンテス劇場で開催されました。受賞結果はノミネート発表欄(3月9日、同12日)に追加情報としてアップしましたが、今秋の映画祭の目安になるので、例年通り授賞式のフォトなども交えて纏めました。昨年は受賞作品が、スペイン映画に偏っていましたが、今年はイベロアメリカ映画が脚光を浴びました。進行役の総合司会者は、エレナ・サンチェスとナシ・ロドリゲスが務めました。

(進行役を務めたエレナ・サンチェスとナシ・ロドリゲス)
★審査員は、委員長にハイオネ・カンボルダ(サンセバスティアン1983、監督、脚本家、アートディレクター、『ライ麦のツノ』)、以下ベレン・フネス(バルセロナ1984、監督、脚本家、昨年監督賞受賞)、ダニエラ・ミシェル(モレリア映画祭の設立者、2003年より同映画祭ディレクター)、ロレト・マウレオン(スペインの映画・TV・舞台女優)、ロサ・モンテロ(マドリード1951、ジャーナリスト、作家『世界を救うための教訓』、脚本家)、ガストン・パウルス(ブエノスアイレス1972,俳優『華麗なる詐欺師たち』『陽に照らされて』、製作者、脚本家)、サンティアゴ・ロンカリオロ(リマ1975,作家、脚本家、ジャーナリスト)、以上の7名です。セクション・オフィシアルの受賞結果は以下の通りです。

(ロサ・モンテロ、スピーチする審査委員長ハイオネ・カンボルダ)

(ダニエラ・ミシェル、サンティアゴ・ロンカリオロ、ロレト・マウレオン、
ベレン・フネス、ガストン・パウルス、ロサ・モンテロ)
*第29回マラガ映画祭2026セクション・オフィシアル受賞結果*
◎金のビスナガ作品賞(スペイン映画、副賞8.000ユーロ)
「Yo no moriré de amor」スペイン、監督マルタ・マトゥテ



(中央が監督、フォトコール、3月11日)
◎金のビスナガ作品賞(イベロアメリカ映画、副賞8.000ユーロ)
「El jardín que soñamos / The Garden We Dreamed」メキシコ、
監督ホアキン・デル・パソ



(フォトコール、3月13日)
◎審査員特別賞(銀のビスナガ)
「Iván & Hadoum」スペイン=ドイツ=ベルギー、監督イアン・デ・ラ・ロサ


(左から、前列2人め主役エルミニア・ロ・モレノ、3人め監督、
後列2人め主役シルベル・チコン、フォトコール、3月12日)
◎監督賞(銀のビスナガ)
ホアキン・デル・パソ 「El jardín que soñamos」

◎主演女優賞(銀のビスナガ「マラガ・パラシオ・ホテルAC」)
フリア・マスコルト 「Yo no moriré de amor」


◎主演女優賞(審査員スペシャル・メンション)
アンヘレス・プラダル 「Angeles」メキシコ=アルゼンチン、監督パウラ・マルコビッチ


(中央がマルコビッチ監督、フォトコール、3月13日)
◎主演男優賞(銀のビスナガ「MAKE & MARK」)
ニコラス・サラテ「Hangar Rojo」チリ=アルゼンチン=イタリア
監督フアン・パブロ・サジャト

(フォトコール、3月7日)
◎主演男優賞(審査員スペシャル・メンション)
シルベル・チコン 「Iván & Hadoum」

(フォトコール、3月12日)
◎助演女優賞(銀のビスナガ)
マリア・マグダレナ・サニソ 「La hija cóndor / The Condor Daughter」
ボリビア=ペルー=ウルグアイ、監督アルバロ・オルモス・トリコ


◎助演男優賞(銀のビスナガ)
トマス・デル・エスタル 「Yo no moriré de amor」


(フォトコール、3月11日)
◎脚本賞(銀のビスナガ)
イアン・デ・ラ・ロサ 「Iván & Hadoum」

◎音楽賞(銀のビスナガ)
セルヒオ・プルデンシオ、マルセロ・ゲレーロ 「La hija cóndor」


(アルバロ・オルモス・トリコ監督、右)
◎撮影賞(銀のビスナガ)
ゴーハン・ティリヤキ Gokhan Tiryaki 「El jardín que soñamos」
◎編集賞(銀のビスナガ)
バレリア・エルナンデス、セバスティアン・ブラム 「Hangar rojo」

◎批評家審査員特別賞(銀のビスナガ)
「Hangar Rojo」 監督フアン・パブロ・サジャト

◎観客賞(銀のビスナガ、「エルパイス」紙)
「Hangar Rojo」 監督フアン・パブロ・サジャト


(ニコラス・サラテ、フアン・パブロ・サジャト監督、フォトコール、3月7日)
◎観客賞(銀のビスナガ、観客の投票)
「Pioneras. Sólo querían jugar」 監督マルタ・ディアス・デ・ロペ・ディアス


(監督、フォトコール、3月8日)
★前半上映のため既に帰国してしまったりして、授賞式のフォトが入手できないプロジェクトには、フォトコールにいたしました。
第29回マラガ映画祭ビスナガ栄誉賞*マラガ映画祭2026 ④ ― 2026年03月24日 11:40
マラガ映画祭ビスナガ栄誉賞はナタリア・オレイロが受賞

★映画祭は、金のビスナガにマルタ・マトゥテの「Yo no moriré de amor」(スペイン)とホアキン・デル・パソの「El jardíin que soñamos」(イベロアメリカ)が受賞して終了していますが、前回に続いてマラガの特別賞としてマラガ栄誉賞ほかをアップいたします。栄誉賞も年々若返りして現役受賞者が増加しています。
◎ビスナガ栄誉賞
ナタリア・オレイロ(女優、歌手、モデル、衣装デザイナー、クリエーター、ユニセフの親善大使、愛称ナティ)、1977年ウルグアイのモンテビデオ生れ、1994年アルゼンチンに帰化して、両国とロシアの国籍を持つ。銀のコンドル3回受賞のベテラン女優、両国で活躍しています。TVシリーズ「Sos mi vida」(アルゼンチン06~07)は、52ヵ国で放映されるなどの成功で、主役を演じたオレイロは〈テレノベラの女王〉と称されました。

★映画の代表作として、エドゥアルド・ミグノグナの「Cleopatra」(03)、マルティン・サストレの「Miss Tacuarembó」(10、イリス女優賞受賞)、ベンハミン・アビラの「Infancia Clandestino」(12、銀のコンドル、スール賞受賞)、ルシア・プエンソの「Wakolda」(13、銀のコンドル受賞、プラチナ賞・スール賞ノミネート)、ロレナ・ムニョスの「Gilda, no me arrepiento de este amor」(16、銀のコンドル、スール賞、プラチナ観客賞受賞)、本祭ノミネートの新作、ベンハミン・アビラの「La mujer de la fila」(25)、マリア・ラウラ・ベルチ&ラウラ・チアブランドの「La noche sin mí」(25)などが挙げられる。映画賞のプレゼンターとして、ウルグアイのプンタ・デル・エステで開催された第3回イベロアメリカ・プラチナ賞2016にサンティアゴ・セグラと、翌2017年にマドリードで開催されたおりにも連続で総合司会を務めています。当ブログでは「Wakolda / The German Doctor」(『ワコルダ/見知らぬ医師』)をアップしています。
★授与式は3月13日、セルバンテス劇場にて、総合司会者は女優エリサ・スルエタによって進行され、受賞者が「あらゆるタイプの登場人物、ジャンル、フォーマットで輝かしい足跡を残している」ラテンアメリカを代表する女優の才能を紹介しました。お祝いに馳せつけた、ロレナ・ムニョス監督、キャスティングディレクターで監督のマリア・ラウラ・ベルチ、監督ベンハミン・アビラ(アルゼンチン)の3人が登壇、それぞれ出遭いと受賞者の才能を語りました。



★1996年交通事故で急死したアルゼンチンの歌姫ヒルダのビオピック「Gilda, no me arrepiento de este amor」でタッグを組んだロレナ・ムニョス監督は、受賞者が出演したタイトルを織り交ぜながら次のように語りかけた。「ナティ、あなたはありそうな多くの人生を演じてきた(“Las vidas posibles”)。最初の結婚で母親になり(”Mi primera boda ”)、ほとんど疲れ切って(“Casi muerta”)、息ができなくなった("Asfixiados")。キャンプに出掛け(“Campamento con mamá”)、声のしない夜を過ごし(“La noche sin mí”)、そして行列に並ぶ最初の女性になった(“La mujer de la fila”)。そんなあなたが大好きよ」と。

(フォトコールにて)

(ファンサービスも怠らないナタリア・オレイロ、レッドカーペットにて)
★デビュー作「La noche sin mí」を監督したマリア・ラウラ・ベルチは、演技者としてのオレイロの感受性や義務を強調した。「私は創作の過程をナタリアと一緒にできたことを幸運に思います。「Infancia Clandestino」の最初の日に彼女に会って、その魅力の虜になりました。仕事に対する大きな愛、感性、誠実さなどです。緻密な視点とカメラの後方にいる私たちに対する配慮を決して忘れなかった」と。最後にベンハミン・アビラもオレイロとの出遭いについて語った。「Infancia Clandestino」の最初の打ち合わせに彼女の家に赴くと、既に台本を深く読み込んでいて、登場人物だけでなく物語の要点についても充分理解していた。「私の目の前にいる人の素晴らしさに直ぐ気づいた。あなたには常に皆をリラックスさせる人徳がある」と受賞者に語りかけた。
*『ワコルダ/見知らぬ医師』の紹介記事は、コチラ⇒2013年10月23日

(スピーチした監督たちに囲まれて)
◎ビスナガ栄誉賞
マリアノ・コーン(1975)、ガストン・ドゥプラット(1969)、アルゼンチンのデュオ監督、脚本家、撮影監督、製作者。1993年よりコンビを組んでいるアルゼンチンを代表するシネアスト、知的でシニカル、ユーモアのセンスに溢れ、奇想天外な発想で私たちを挑発します。長編2作目「El hombre de al lado」(09)が、まだ知名度があるとは言いがたかった日本で、『ル・コルビュジエの家』の邦題で公開され、あまりの面白さに仰天した。続く「El ciudano ilustre」(16、『名誉市民』)が『笑う故郷』の邦題で公開されブレイクした。アントニオ・バンデラス、ペネロペ・クルス、オスカル・マルティネスの豪華キャストがスクリーンを魅了した「Competencia oficial」(21)は、『コンペティション』という邦題でネット配信されています。

(監督コンビを囲んで、フェルナンド・メンデス⋍レイテ、A.バンデラス、J.A.ビガル他)
★既成概念を打ち壊す斬新な手法で社会を描いている。本祭では以上3作と新作のブラックコメディ「Homo Argentum」(25、98分)が「レトロスペクティブ・マリアノ・コーン & ガストン・ドゥプラット」で特別上映されました。新作はアルゼンチン文化の特異性をユーモアと自己批判を込めて描いた短編16話で構成されている。ギレルモ・フランチェラ、エバ・デ・ドミニチ、ミゲル・グラナドスなどが出演しているようで、いずれ鑑賞できるでしょう。
★授賞式は3月11日、エチェガライ劇場、プレゼンターはアントニオ・バンデラス、本祭の総ディレクターのフアン・アントニオ・ビガル、スペイン映画アカデミー会長フェルナンド・メンデス=レイテなどが出席しました。当日は『コンペティション』が上映されました。バンデラスは「ビスナガ栄誉賞のプレゼンターであることを名誉に思います。この映画のキーポイントは、なんと言ってもユーモアです。『コンペティション』をご覧になった方は、私たちが賞を作っているのを既にご存じです」と、映画のセリフを思い出してジョークを飛ばした。
*「El ciudano ilustre」『笑う故郷』の紹介は、コチラ⇒2016年10月13日/同年10月23日
*「Competencia oficial」『コンペティション』の紹介は、コチラ⇒2021年09月10日

(左から、M.コーン、G.ドゥプラット、プレゼンターのA.バンデラスとJ.A.ビガル、3月11日)
◎ビスナガ栄誉賞
ホセ・ルイス・シエンフエゴス(映画祭プログラマー)
1964年、アストゥリアスのアビレス生れ、2025年12月2日、脳梗塞のため60歳という若さでマドリードで急逝した。オビエド大学で心理学を専攻し、1991年スペイン国営ラジオ局で脚本や司会者を務めた。その後ヒホン映画祭ディレクター(1995~2011)、セビリア映画祭の映画プログラマーを歴任(2012~22)、バジャドリード映画祭通称 SEMINCI(2023~25)在任中に病に倒れた。そのほかサンセバスチャン映画祭、ブエノスアイレス国際インディペンデント映画祭 BAFICI、カルロヴィ・ヴァリ映画祭の審査員を務めている。ヨーロッパ映画アカデミー会員、死後、スペイン文化省より「金のメダル芸術功労賞」が授与された。

(故ホセ・ルイス・シエンフエゴス)
★3月10日にオマージュが捧げられました。スペイン映画アカデミーAACCE 会長フェルナンド・メンデス=レイテ以下、ホセ・ルイス・レボルディノス(サンセバスティアンFF総ディレクター)、マリオナ・ビアデル&ハビエル・エストラダ(バジャドリードFF同)、マラガFFのフアン・アントニオ・ビガルが登壇して功績を讃えました。

(バジャドリード映画祭ディレクターのマリオナ・ビアデル、ハビエル・エストラダ)

(J.A.ビガル、スピーチするM.ビアデル、J.エストラダ、AACCE会長、J.L.レボルディノス)
特別賞マラガ―スール賞にロッシ・デ・パルマ*マラガ映画祭2026 ③ ― 2026年03月19日 11:10
特別賞の大賞マラガ―スール賞は女優のロッシ・デ・パルマ

★マラガ〈特別賞〉は、マラガ―スール賞を含めて、レトロスペクティブ賞、才能賞、リカルド・フランコ賞、ビスナガ・シウダ・デル・パライソ賞の5賞、それに栄誉賞を含めると6賞となります。今年は紹介が後手に回っておりますが一応アップしておきます。大賞のマラガ―スール賞の受賞者は地中海を眼下にした遊歩道アントニオ・バンデラス通りに手形入りの記念碑を建ててもらえます。マラガ生れのバンデラスはマラガの〈名誉市民〉で、映画祭にも資金を提供しています。今回建ててもらえるのは、スペインの女優ロッシ・デ・パルマです。
★ビスナガ栄誉賞にはウルグアイの女優で歌手のナタリア・オレイロが選ばれ、3月13日に感動的な授与式がありました。今回は他に、アルゼンチンのマリアノ・コーンとガストン・ドゥプラットの監督デュオ、昨年12月に死去したヒホン、セビリア、バジャドリードなど各映画祭のディレクターを歴任したホセ・ルイス・シエンフエゴスを偲んでオマージュが捧げられました。今回は数が多いので、先ず特別賞5賞を駆け足でアウトラインをアップしておきます。
*マラガ映画祭2026特別賞*
◎マラガ―スール賞(スール紙とのコラボ)
ロッシ・デ・パルマ(パルマ・デ・マジョルカ1964)、スペインの女優、モデル、歌手と多才。アルモドバルに映画出演を口説かれてデビューしたのが『欲望の法則』、以来アルモドバルのミューズの一人、『キカ』と『私の秘密の花』でゴヤ賞にノミネートされている。スペイン映画だけでなく、英語、フランス語、カタルーニャ語に堪能で、ロバート・アルトマン、パトリス・ルコンテ、テリー・ギリアム、カリム・ドリディなど国際的に著名な監督のもとで仕事をしており、ドリディの「Hors Jeu」の演技により、ロカルノ映画祭1998特別女優賞を受賞している。他にアマンダ・スターズの英仏西語が飛びかう『マダムのおかしな晩餐会』主演で、フロリダ州のガスパリラ映画祭2017の国際演技賞を受賞している。本作については当ブログにアップしています。

★授与式は3月7日、ペドロ・アギレラの「Día de caza」(25)が上映されました。本作はカルロス・サウラの名作と言われる「La caza」(65)の女性版、カルメン・マチ、ブランカ・ポルティージョなど豪華キャスト、公開を期待しています。部分的にキャリア紹介しておりますが、追って授与式の模様も交えてキャリア&フィルモグラフィーの紹介記事を予定しています。

(自身の手形に手を添える受賞者、バンデラス通りに建てられた記念碑、3月7日)
◎レトロスペクティブ賞-マラガ・オイ(マラガ・オイ紙とのコラボ)
フランシスコ・ロンバルディ(ペルーの監督、タクナ1949)、アルゼンチンのサンタフェ映画学校で学ぶ。長編デビュー作「Muerte al amanecer」(76)が海外で注目され、ロカルノ映画祭1997エキュメニカル審査員賞スペシャル・メンションを受賞、ハバナやカルタヘナの映画際で上映された。代表作はマリオ・バルガス⋍リョサの同名小説を映画化した『都会と犬達』が、カンヌ映画祭1985併催の「監督週間」にノミネート、サンセバスチャン映画祭では銀貝監督賞を受賞した。ほか『ライオンの棲みか』(88)、『豚と天国』はモントリオール映画祭1990アメリカ部門のグランプリを受賞した。本祭で「El corazón del lobo」(25)がノミネートされているので、新作紹介を兼ねて別途にアップを予定しています。
*キャリア&フィルモグラフィーと新作紹介は、コチラ⇒2026年05月07日

★3月12日、セルバンテス劇場にて、授与式進行役は女優のエリサ・スルエタ、受賞者は友人や仲間に囲まれて、ラテンアメリカ映画について語りました。ラテンアメリカ諸国とのコラボを推進する製作者のヘラルド・エレーロ、代表作の『ライオンの棲みか』や『豚と天国』をプロデュースした。同プロデューサーのマリエラ・ベスイエフスキー、ペルーとの合作映画「No se lo digas a nadie」や「Tinta roja」に主演したスペイン女優ルシア・ヒメネス、新作の撮影監督テオ・デルガド、同じく新作の製作者グスタボ・サンチェスが登壇しました。受賞者は最後に自身を支えてくれた家族に感謝しました。


(受賞スピーチするレトロスペクティブ賞受賞者、3月12日)
◎マラガ才能賞-マラガ・オピニオン(マラガ・オピニオン紙とのコラボ)
アラウダ・ルイス・デ・アスア(バラカルド1978)、スペインの監督、脚本家。デウスト大学では英文学を専攻、映画はマドリード映画学校 ECAM で学んだ。長編デビュー作「Cinco lobitos」はベルリン映画祭2022パノラマ部門にノミネート、続くマラガ映画祭セクション・オフィシアルでいきなり金のビスナガ作品賞ほか7冠の快挙、第2作はロマンティック・コメディが『だから、君なんだ』の邦題でNetflixで配信されている。3作目「Los domingos」がゴヤ賞ほか受賞ラッシュとなり、当ブログでも度々登場させていますから割愛しますが、TVシリーズ「Querer」(24、4話)も受賞歴を誇り、既に文化省が選考母体の「金のメダル芸術功労賞」を受賞しており、目が離せない。
*「Cinco lobitos」の作品紹介は、コチラ⇒2022年05月14日/同年12月13日
*「Los domingos」の作品とキャリア紹介記事は、コチラ⇒2025年07月27日
*「Querer」の紹介記事は、コチラ⇒2024年10月09日

★授与式は3月8日、セルバンテス劇場にて、進行役の女優ノエミ・ルイスが務め、映画仲間や友人たちが駆けつけました。ECAMで知り合ったというフィルム編集者のアンドレス・ジル、脚本家のエドゥアルド・ソラ、「Cinco lobitos」の主役を演じたライア・コスタ、「Querer」や「Los domingos」でタッグを組んだナゴレ・アランブル、それぞれゴヤ賞、フォルケ賞、フェロス賞の受賞者たち、思い思いに受賞者の豊かな力量と魅力、ほかの人を魔法にかけて巻き込んでしまう稀有な才能について語り、才能賞受賞が相応しいシネアストであることを印象づけました。


(受賞スピーチをするルイス・デ・アスア、3月8日)
◎リカルド・フランコ賞(スペイン映画アカデミーとのコラボ)
マヌエラ・オコン・アブルト(ウエルバ1973、製作者)、スペインでもっとも確固たる、かつ認知度の高い映画製作者の一人、1996年以来およそ30年に及ぶキャリアの持ち主である。複雑なプロジェクトを運営する映画製作者としてプロフェッショナルな地位を築いてきている。20作以上の長編、テレビ・シリーズなど、カテゴリーを問わず手掛けている。カルロス・サウラ(98、『ボルドーのゴヤ』)やフェルナンド・フェルナン=ゴメス(99、「Lazaro de Tormes」)のような主要な監督のもとでスタートした後、アルベルト・ロドリゲスとの出合いが決定的、さらにマテオ・ヒル(99、『パズル』)、サンティアゴ・アモデオ(05、「Cabeza de perro」)、アナ・ロサ・ディエゴ、パコ・バニョスといった監督たちと結びつき、同時代の製作者の視点からアンダルシア及びスペイン映画の展望を再生することに貢献しています。

★主な受賞歴:2015年ACECANホセフィナ・モリーナ賞、2016年、実在のスパイを主人公にしたアルベルト・ロドリゲスの『スモーク・アンド・ミラーズ』でACECANプロダクション賞、ウエルバ・イベロアメリカFFライト賞、同監督の「Modelo 77」でゴヤ賞2023プロダクション賞、アンダルシア映画アカデミーのカルメン賞を受賞しています。ほかノミネートは多数あり、なかでもロドリゲスのフィルム・ノワール『グループ 7』でゴヤ賞2013、公開された『マーシュランド』もゴヤ賞2014でノミネートされています、「La Peste」(17~19、12話)などTVシリーズも手掛けています。作品紹介は、ロドリゲス監督のフィルモグラフィーで紹介しています。
*『マーシュランド』の紹介記事は、コチラ⇒2015年01月24日
*『スモーク・アンド・ミラーズ』の紹介記事は、コチラ⇒2016年09月24日
★授与式は3月10日、アカデミー会長フェルナンド・メンデス=レイテがプレゼンター、監督アルベルト・ロドリゲス、製作者ベレン・サンチェス、ゲルバシオ・イグレシアス、キャスティング監督エバ・レイラ・イ・ヨランダ・セラノなどが登壇した。


(授与式、3月10日)
◎ビスナガ・シウダ・デル・パライソ賞
ビクトリア・ベラ(マドリード1953)、映画、舞台、テレビ女優。4歳でクラシック・バレエを学び始め、当時マドリードを拠点にしていたデンマークのバレリーナで教師でもあったカレン・タフトのバレエ学校やコペンハーゲン歌劇場の演出家レイフ・オルベングのもとで技術を学んだ。13歳からウィリアム・レイトンやミゲル・ナロスの学校でスタニスラフスキー・メソッドを学び、ブレヒトの『第三帝国の恐怖と悲惨』で舞台デビュー、マガジャネス小劇場で活躍する。『アンネの日記』の主役に抜擢され、これが本格的なキャリアの始りとなった。

(エレガントで誠実な女優ビクトリア・ベラ)
★映画デビューは、TVシリーズに出演していた70年代初め、ペドロ・マッソの「Las adolescentes」(76)で女学生役で主演、『新・青い体験』で公開されている。ほかにセバスティアン・ダルボの「Acosada」(85)やハビエル・アギレの「La diputada」(88)に主演する。代表作は、『黄昏の恋』でスペイン初のオスカー監督となったホセ・ルイス・ガルシが、アカデミー賞ノミネート3回目となる「Asignatura aprobada」(87)、ベルリン映画祭1989に出品されたフランシスコ・ロドリゲス・フェルナンデスのサスペンス「Testigo azul」などに主演している。米、イタリア、メキシコなどの合作映画に出演していることもあって、アンソニー・クイン、ピーター・フォンダ(G・ニコラス・ハエックの『ファミリー・エキスプレス』90、BS放映)、アリス・クーパー(クライド・アンダーソンのホラー『モンスター・ドッグ』86、ビデオ)などと共演している。
★TVシリーズでは、ブラスコ・イバニェスの小説をベースにした人気ドラマ「Cañas y barro」(78、6話)でブレイクし、金のテレプログラマを受賞した。「El jardín de Venus」(83、4話、助演)、「Ninette y un señor de Murcia」(84、8話、主演)、イタリアの「Quattro piccole donne」(90)など海外のTVシリーズにも出演、さらに自身の作品「Dame un beso」を監督、プロデュースしている。舞台女優としては、ギリシャ悲劇から前衛派のファスビンダーまで幅広く、オスカー・ワイルド、スペインの劇作家バジェ=インクラン、ベニート・ペレス・ガルドス、ミゲル・ミウラなどの作品に出演しています。優雅さと誠実さを兼ねそなえ、フランコ体制が終焉した民主主義移行期に活躍した〈移行期のミューズ〉と称され、映画と舞台を支配した女優です。


(セルバンテス劇場での授与式、3月9日)
★授与式は、3月9日、セルバンテス劇場にて、アリシア・ロマイ(ジャーナリスト)、セバスティアン・ダルボ(監督)、マヌエル・フランシスコ・レイナ作家が登壇しました。受賞者は国際的な映画に主演できたこと、撮影中に出会った俳優アンソニー・クインの優しさを称賛した。「疲労困憊しているときにみんなをチェスに誘って、自分の人生やフェリーニの映画について語ってくれ、とても素晴らしい友情を示してくれた」と回想した。またアリシア・ロマイは「大女優というだけでなく、自由で本物の女性でもあるベラを今宵祝えることが重要です」とスピーチした。受賞者は「パライソの都市マラガにいる幸せを感謝する」とスピーチを締めくくった。
第29回マラガ映画祭イベロアメリカ映画ノミネート*マラガ映画祭2026 ② ― 2026年03月12日 11:09
セクション・オフィシアル――イベロアメリカ映画10作

★イベロアメリカ映画部門は、メキシコを中心にアルゼンチン、チリ、珍しくペルー、ボリビア、キューバの作品がノミネートされています。映画祭も既に終盤に入りましたが、作品名、監督、製作、キャストなどのデータをアップします。アルゼンチン出身だがメキシコで活躍しているパウラ・マルコビッチ、ペルーのベテラン監督フランシスコ・J・ロンバルディ、俳優として知名度のあるメキシコのダニエル・ヒメネス・カチョとキューバのホルヘ・ぺルゴリアなどが選ばれており、後半に上映が予定されている作品が多い。
*マラガ映画祭2026セクション・オフィシアル作品(イベロアメリカ)*
1)「Ángeles」(メキシコ=アルゼンチン)2025年、93分、長編5作目
監督&脚本:パウラ・マルコビッチ(ブエノスアイレス1968)、監督、脚本家、作家。デビュー作「El premio」は自伝的要素の濃い映画でベルリン映画祭2011でプレミアされ、アリエル賞、ハバナやリマの映画祭で作品賞を受賞している。新作はモレリア映画祭2025で既にプレミアされている。
製作:Cuevas de Altamira Producciones / Isla Bonita Films / Gualicho Cine / Disruptiva Films 他
キャスト:アンヘレス・プラダル(アンヘレス14歳)、アビアン・ヴァインスタイン(ダビ)、イサベリャ・ラミレス
★受賞結果:審査員特別メンション女優賞(アンヘレス・プラダル)


2)「El corazón del lobo」(ペルー)2025年、99分
監督:フランシスコ・J・ロンバルディ、ラテンアメリカで有名なシネアストの一人、既に17作を監督しており、サンセバスチャン、モレリア、カンヌ、ベルリン、トロントなど国際映画祭の受賞者、2014年文化国民賞を受賞している。共同脚本:フランシスコ・J・ロンバルディ、アウグスト・カバダ。紹介記事を予定しています。
製作:La Soga Producciones
キャスト:ビクトル・アクリオ・シチャ、ハレド・ビセンテ・サンチェス、シルバナ・ディアス・ゴイコチェア、ラウル・ラミレス・ベルガラ、マルティン・マルティネス・ゴンサレス、他多数


3)「El guardián」(メキシコ=スペイン)2025年、102分、長編デビュー作
監督&脚本:ヌリア・イバニェス、監督、脚本家、メキシコの映画センターCCCで学んだ。ドキュメンタリー映画3作の評価は高い。新作はモレリア映画祭2025でプレミアされ、オペラ・プリマ賞を受賞している。
製作:Miss Paraguay produccionas / Palomo Negra / Solita Films
キャスト:バシリオ・モンカダ・エルナンデス、ヘラルド・トレホルナ、ホルヘ・アブラハム・フエルテ、アンドレア・ララ、ホセ・ミサエル・ムリーリョ、ミゲル・アンヘル・アルセ、他多数


4)「El jardín que soñamos / The Garden We Dreamed」(メキシコ)2026年、102分、3作目
監督&脚本:ホアキン・デル・パソ(メキシコシティ1986)、監督、撮影監督、脚本家、製作者。キューバの映画テレビ学校とポーランドの国立映画学校で学んだ。2016年デビュー作「Maquinaria Panamericana」は、ベルリン映画祭フォーラム部門でプレミアされ、グアダラハラ映画祭メスカル賞、FIPRESCI賞、モンテレイFFメキシコ映画賞、アリエル賞2017オリジナル脚本賞など受賞歴多数。第2作「El hoyo en la cerca」は、ベネチア映画祭2021オリゾンティ部門ノミネート、カイロ映画祭2021金のピラミッド賞などを受賞している。新作はベルリンFFパノラマ部門ノミネート。
製作:Amondo Cine / Carcava Cine
キャスト:ネヘミエ・バスティン、ルス・アイチャ・ピエール・ネルソン、フォースタン・ピエール、キマエレ・ホリー・プレビレ、カルロス・エスキベル
★受賞結果:金のビスナガ作品賞(イベロアメリカ映画)、銀のビスナガ監督賞(ホアキン・デル・パソ)、銀のビスナガ撮影賞(ギョクハン・ティリヤキ)


5)「Hangar Rojo」(チリ=アルゼンチン=イタリア)2026年、81分、モノクロ、デビュー作
監督:フアン・パブロ・サラト、監督、製作者、脚本家、制作会社Villano Produccionesの設立者。2010年ドキュメンタリー「Ojos Rojos」はチリ映画史上、最も見られた映画の一つ。TVシリーズも手掛けており、ジャーナリズム賞、アルタソル賞など受賞している。新作は「もう一つの9.11」と称される1973年9月11日、軍事クーデタが起きたサンティアゴが舞台です。ベルリンFFペルスペクティブ部門上映、劇映画長編デビュー作。脚本:ルイス・エミリオ・グスマン
製作:Villano Producciones / Brava Cine / Rain Dogs / Caravan / Berta Film / TVN
キャスト:ニコラス・サラテ、ボリス・ケルシア、マルシアル・タグレ、カタリナ・ストゥアルド、アロン・エルナンデス、フランシスコ・カラスコ、フアン・カノ
★受賞結果:銀のビスナガ男優賞(ニコラス・サラテ)、銀のビスナガ編集賞(バレリア・エルナンデス、セバスティアン・ブラム)、批評家審査員銀賞(フアン・パブロ・サラト)、銀のビスナガ「エル・パイス」観客賞(フアン・パブロ・サラト)


6)「Juana」(メキシコ)2025年、101分、デビュー作
監督:ダニエル・ヒメネス・カチョ、俳優、監督、イベロアメリカの映画、テレビ、舞台で活躍する最も重要な俳優、アルフォンソ・キュアロン、ペドロ・アルモドバルなどとコラボしている。60作以上に出演している。TVシリーズ「Cronica de castas」(14)を手掛けている。共同脚本:エンマ・ベルトラン。デビュー作は、モレリア映画祭コンペティション部門、エストニアのタリン・ブラックナイツFFノミネート。新聞社で働く40代のジャーナリストのフアナは、女性殺害事件に関する古い調査をするなかで、過去のトラウマに直面する。
製作:Talipot Studio / North Films / Redrum Post / Cactus Film & Video
キャスト:ディアナ・セダノ(フアナ)、マルガリータ・サンス(アメリア)、アルトゥーロ・リオス(ラモン)、アントニオ・フォルティエル(アルマンド)、ナイレア・ノルビンド(アドリアナ・ヌニェス)、アンヘレス・クルス(ナネット)


7)「La mujer de la fila / The Woman in the Line」(アルゼンチン)2025年、105分
監督:ベンハミン・アビラ、監督、脚本家、「Infancia Clandestino」(カンヌFF2011)のような作家性の強い作品を撮っており、新作と同じナタリア・オレイロを起用している。国際映画祭巡りをして受賞歴多数。共同脚本:ベンハミン・アビラ、マルセロ・ミューラー。本作は実話に基づいている。18歳になる息子が冤罪で刑務所に収監されたことで、母親は息子の自由のため闘います。マルティン・フィエロ監督賞、主演女優賞(ナタリア・オレイロ)を受賞している。
製作:Mostra Cine / Buffalo Films / Diving Media
キャスト:ナタリア・オレイロ(アンドレア)、アンパロ・ノゲラ(ラ・ベインティドス)、アルベルト・アンマン(アレホ)、フェデリコ・ハインリッヒ(グスタボ)、マルセラ・アクーニャ(コカ)、リデ・ウランガ(アリシア)、ルイス・カンポス(エミリオ)、ベンハミン・アビラ(サンティリャン)、他多数


8)「La hija Cóndor / The Condor Daughter」(ボリビア=ペルー=ウルグアイ)2025年、
109分、2作目
監督&脚本:アルバロ・オルモス・トリコ、脚本家、監督、製作者、BoliviaCine の創設者。2011年ドキュメンタリー作家としてスタート、2018年、長編フィクション「Wiñay」を撮る。他にアレハンドロ・キロガの「Los de Abajo」などの製作を手掛けている。新作が第2作目になる。若いケチュアの助産師見習いクララの夢は、都会に出て歌手になることだった。言語はケチュア語とスペイン語。
製作:Empatia Cinema / Ayara Producciones / La mayor Cine
キャスト:マリア・マグダレナ・サニソ、マリソル・バジェホス・モンターニョ、ネリー・ワイタ
★受賞結果:銀のビスナガ助演女優賞(マリア・マグダレナ・サニソ)、銀のビスナガ音楽賞(セルヒオ・プルデンシオ、マルセロ・ゲレーロ)


9)「Mil pedazos」(チリ=スペイン=アルゼンチン)2025年、90分
監督:セルヒオ・カストロ=サン・マルティン、チリの監督、脚本家、製作者、ドキュメンタリーやTVシリーズを手掛ける。2015年長編フィクション「La mujer de barro」はベルリンFFでプレミアされ、トゥールーズ、モントリオール、ウェルバ、BFIロンドン、エルサレムほか国際映画祭巡りをした。共同脚本:セルヒオ・カストロ=サン・マルティン、マラ・ペスシオ
製作:Latente films / Amore Cine / Maluta films / Panes Contenidos / Bikini films / Inaudita
キャスト:パオラ・ジャンニーニ、ダニエル・ムニョス(ミゲル)、エミリア・ロドリゲス、フランシスコ・ペレス・バンネン、ヒメナ・マルティン、アンドレア・ロメロ


10)「Neurótica anónima」(メキシコ=キューバ)2025年、96分
監督:ホルヘ・ぺルゴリア・ロドリゲス(ハバナ1965)、俳優、監督、脚本家。『苺とチョコレート』(93)で華々しく国際舞台にデビューした、イベロアメリカを代表するシネアスト、キューバの現代社会の矛盾をテーマにしたドキュメンタリーや映画を撮りつづけている。長編デビュー作「Afinidades」(マラガFF2010,ウラジミル・クルスとの共同監督)、「Fátima o el Parque de la Fraternidad」(ハバナFF2014)など。共同脚本:ミルタ・イバラ、ホルヘ・ぺルゴリア。アルコール依存症の夫と暮らす高齢の女性は、辛い現実から逃れるために30年間働いてきた映画館の閉鎖に直面してメンタルな危機に陥る。女性の再生が語られる。共同執筆者のミルタ・イバラが主役を演じる。
製作:Itaca Films Mexico / Audiovisuales ICAIC
キャスト:ミルタ・イバラ、ロベルト・ペルドモ、ジョエル・アンヘリノ、オスバルド・ドイメアディオス、アンドレア・ドイメアディオス、カルメン・ルイス、ダニエル・トリアナ、ジョルディ・モレホン


★以上10作、女性監督が2人は少し寂しい。
第29回マラガ映画祭ノミネート発表*マラガ映画祭2026 ① ― 2026年03月09日 13:43
セクション・オフィシアル――スペイン映画12作、ラテンアメリカ映画10作

★今年はゴヤ賞ガラが約1ヵ月遅かったこともあって、既に全容が発表になっているマラガ映画祭(3月6日~16日)のアップが遅れてしまいました。セクション・オフィシアルが22作、うちスペインが12作、メキシコ、アルゼンチンなどラテンアメリカ諸国が10作です。アウト・オブ・コンペティションの21作は2作以外スペイン映画です。期間中に全セクションで263作が上映される予定です。他に大賞マラガ-スール賞(ロッシ・デ・パルマ)以下の特別賞、審査員団、特別上映などが発表になっています。一応セクション・オフィシアルのノミネート作品のタイトル・監督・脚本家・キャストを列挙しておきます。新人登竜門の映画祭とはいえ、昨今ではオープニング作品のマリヤム・トゥザニの「Calle Málaga」のように、既に国際映画祭巡りをしているベテラン勢が増加しています。最もオープニング作品はコンペティション部門ですがグランプリ受賞は先ずないでしょう。
*第29回マラガ映画祭2026セクション・オフィシアル作品(スペイン)*
1)「Calle Málaga」(モロッコ=西=仏=ベルギー=独)2025年、116分
オープニング作品
監督:マリヤム・トゥザニ(Maryam Touzani、1980、モロッコ、タンジール)、モロッコの映画監督、脚本家、女優。2019年、「Adam」(邦題『モロッコ、彼女たちの朝』)で長編デビューする。2作目『青いカフタンの仕立て屋』(22、「Le bleu du caftan」)、両作ともカンヌFF「ある視点」に出品、後者でFIPRESCI賞を受賞し、米アカデミー賞モロッコ代表作品になった。新作「Calle Málaga」が3作目、スペイン語・アラビア語、ドラマ、116分。ベネチアFF2025、トロント、チューリッヒ、バンクーバー、BFIロンドン、シカゴなどの国際映画祭上映作品、他多数。
脚本:ナビル・アユチ、マリヤム・トゥザニ
キャスト:カルメン・マウラ(マリア・アンヘレス)、マルタ・エトゥラ(娘クララ)、アーメド・ブーラン(アブスラム)、マリア・アルフォンサ・ロッソ(ホセファ)、ミゲル・ガルセス、他多数


2)「Altas capacidades / Better Class」(スペイン=ウルグアイ)2025年、101分
監督:ビクトル・ガルシア・レオン、共同脚本:ボルハ・コベアガ、ビクトル・ガルシア・レオン
製作:Buena Pinta Media / Think Studio / Sayaka Producciones / Altas capacidades Película
キャスト:マリアン・アルバレス、イスラエル・エレハルデ、フアン・ディエゴ・ボット、ナタリア・レイェス、ピラール・カストロ、スソ・ナンクラレス


3)「Después de Kim」(スペイン)2025年、107分
監督&脚本:アンヘレス・ゴンサレス=シンデ
製作:Después de Kim AIE / Voramar Films / Tornasol Media
キャスト:アドリアナ・オソレス、ダリオ・グランディネッティ、グロリア・マルチ、ケビン・ブランド、ロヘル・アランダ、クリスティナ・ローゼンヴィング


4)「Corredora」(スペイン)2026年、96分
監督&脚本:ラウラ・ガルシア・アロンソ
製作:Distinto Films / Elastica Films / Dos Soles Media
キャスト:アルバ・サエス、マリナ・サラス、アレックス・ブレンデミュール


5)「Iván & Hadoum」(スペイン=ドイツ=ベルギー)2026年、101分、長編デビュー作
監督&脚本:イアン・デ・ラ・ロサ、ドイツ出身の監督だがスペイン語で撮っている。ベルリン映画祭初監督テディ賞受賞。
製作:Avalon / Pecado Films / Vayolet Films / Iván & Hadoum AIE / Port au Prince Films / Saga Film、他
キャスト:シルベル・チコン(イバン)、エルミニア・ロ・モレノ(アドゥム/ハドゥムHadoum)、ウルスラ・ディアス・マンサノ(アンパロ)、エスペランサ・グアルダド(カルメン)、ニコ・モントーヤ(マヌエル)、他
★受賞結果:銀のビスナガ審査員特別賞、男優審査員特別メンション(シルベル・チコン)、銀のビスナガ脚本賞(イアン・デ・ラ・ロサ)


6)「La buena hija / The Good Daughter」(スペイン)2025年、101分、長編2作目
監督&脚本:フリア・デ・パス(バルセロナ1995)、ESCAC監督科卒、デビュー作「Ama」(21)はマラガFFプレミア上映、ゴヤ賞、フェロス賞ノミネート。2024年TVシリーズ、アラウダ・ルイス・デ・アスアの「Querer」の共同クリエーター。
製作:Astra Pictures / Avalon / Krater Films / Harta la Película AIE
キャスト:キアラ・アランシビア、ジャネット・ノバス、フリアン・ビリャグラン、ペトラ・マルティネス


7)「Lapönia」(スペイン)2025年、89分
監督&脚本:ダビ・セラーノ(監督、脚本家、製作者、劇作家)、エミリオ・マルティネス=ラサロ監督がマラガFF2002で金のビスナガを受賞した「El otro lado de la cama」の脚本を手掛けている。
製作:The Mediapro Studio
キャスト:ナタリア・ベルベケ(モニカ)、フリアン・ロペス、アンヘラ・セルバンテス(ヌリア)、ブランカ・ラミレス、ヴェビョルン・エンガー


8)「Mala bèstia」(スペイン)2025年、94分、長編デビュー作
監督&脚本:バルバラ・ファレ(脚本家、監督、製作者)2016年ESCAC卒、
製作:Mimosa Produce / Sumendie Filmak / Lagrima Films / Kabak Films Studio
キャスト:イリア・デル・リオ、ロジェール・カザマジョール、マリア・シュヴィンゲン


9)「Mi querida señorita / My Dearest Señorita」(スペイン)2026年、112分
監督:フェルナンド・ゴンサレス・モリーナ、脚本アラナ・S・ポルテロ
製作:Suma Contento
キャスト:エリザベス・マルティネス、アンナ・カステーリョ、パコ・レオン、ナゴレ・アランブル、マヌ・リオス、エネコ・サガルドイ、ロラ・ロドリゲス、他


10)「Pioneras. Solo querían jugar」(スペイン=ポルトガル)2025年、106分、長編3作目
監督&脚本:マルタ・ディアス・デ・ロペ・ディアス、ESCAC監督科卒、2018年デビュー作「Mi querida cofradia」がマラガFF観客賞ほか受賞、共同脚本:セビナ・ゲーラ、1970年代初め、女子のスポーツは禁じられていたが、ある女子高サッカー・クラブを舞台にした女子サッカーの歴史が語られる。
製作:Cine365Film / NadieEs Perfecto / Ciudadano Ciskul / Bando A Parte / Pioneras La Película AIE
キャスト:ソフィア・デ・イスナハル、ブルナ・ルカダモ、ダニエル・イバニェス、アイシャ・ビリャグラン、ノラ・オチョテコ、他多数
★受賞結果:銀のビスナガ観客賞


11)「Pizza Movies」(スペイン)2026年、95分、長編4作目
監督:カルロ・パディアル、監督、脚本家、作家、2012年デビュー作「Mi Loco Erasmus」、TVシリーズも手掛けている。共同脚本:カルロ・パディアル、カルロス・デ・ディエゴ、デシレ・デ・フェス
製作:
キャスト:ジュディット・マルティン、ベルト・ロメロ、ジョセップ・セギ、ルベン・ヒメネス、レオン・マルティネス、ブルナ・クシ、ホアキン・レジェス、ラウル・アレバロ、タマル・ノバス、ミゲル・ノゲラ、他多数


12)「Yo no moriré de amor / I Won’t Die for Love」(スペイン)2026年、94分、デビュー作
監督&脚本:マルタ・マトゥテ
製作:Solita Films / Erastica Films / Saga Film
キャスト:フリア・マスコルト、ソニア・アルマルチャ、トマス・デル・エスタル、ラウラ・ワイスマー、ギジェルモ・ベネト
★受賞結果:金のビスナガ作品賞(スペイン映画部門)、銀のビスナガ「ACマラガ・パラシオホテル」女優賞(フリア・マスコルト)、銀のビスナガ助演男優賞(トマス・デル・エスタル)


★以上がスペイン映画の12作です。映画祭の大賞マラガ-スール賞も3月7日、セルバンテス劇場にロッシ・デ・パルマを迎えて授与式が行われました。プレゼンターは、昨年の受賞者カルメン・マチ以下、監督、脚本家、女優のマベル・ロサノ、本賞2023受賞者ブランカ・ポルティージョ、受賞者の娘、女優のルナ・リオネでした。キャリア紹介の予定です。
第40回ゴヤ賞2026結果発表*ゴヤ賞2026 ⑧ ― 2026年03月05日 10:26

(ゴヤ賞2026の受賞者全員)
★2月28日、第40回ゴヤ賞2026の授賞式がバルセロナの国際会議センターで盛大に開催されました。ホスト役の総合司会者は、カタルーニャ出身のシンガーソングライターのリゴベルタ・バンデーニと顎髭を白髪染めしたルイス・トサールが務め、予告通り歌って踊って軽快に登場しました。カタルーニャ語、スペイン語、バスク語、英語、手話と言語も多様性に富んでいました。40周年ということで懐かしい過去の名画、受賞作、総合司会者の紹介が挟みこまれ、結果3時間を超す長丁場でした。招待客にはペドロ・サンチェス首相の姿もあり、ゴヤ栄誉賞のゴンサロ・スアレス監督、国際ゴヤ賞受賞者スーザン・サランドン(ニューヨーク1946)の登壇にはスタンディング・オベーションで敬意を表していました。米イスラエルのイラン攻撃には「イラン政府を援助することはない」が、両国の事態を悪化させるだけの迷走に警告を発していた。スペインに2ヵ所ある米軍基地の使用を認めないようです。


(歌って踊って登場したホスト役のリゴベルタ・バンデーニとルイス・トサール)

(AACCE会長フェルナンド・メンデス=レイテ、サンチェス首相、レッドカーペットにて)

(拍手を送るサンチェス首相、隣席にベゴーニャ・ゴメスも・・・)
★結果は以下の通りですが、アラウダ・ルイス・デ・アスアの「Los domingos」が主要部門(作品・脚本・監督・主演女優・助演女優賞の5冠)を制覇、米アカデミー賞の国際長編映画賞と音響賞にノミネートされているオリベル・ラシェの 「Sirāt」は、オリジナル作曲・プロダクション・撮影・編集・美術・録音賞の最多受賞でしたが、監督自身の登壇はありませんでした。会場ではサランドンと隣り合って座っており、インタビューの受け答えも場慣れしたのか実に友好的でした。

(国際ゴヤ賞受賞者スーザン・サランドンと6冠のオリベル・ラシェ)
*第40回ゴヤ賞2026の受賞者一覧(太字受賞者)*
作品賞
「La cena / The Dinner」 製作:クリストバル・ガルシア、リナ・バデネス、
ロベルト・ブトラゲーニョ
「Maspalomas」製作:アンデル・バリナガ=レメンテリア・アラノ、ハビエル・ベルソサ
アンデル・サガルドイ・ムヒカ、フェルナンド・ラロンド、
「Sirāt」 製作:アグスティン・アルモドバル、エステル・ガルシア、オリオル・マイモー、
ハビ・フォント
「Sorda」 製作:アドルフォ・ブランコ、ミリアム・ポルテ、ヌリア・ムニョス・オルティン
◎「Los domingos」(フォルケ賞・フェロス賞受賞作品)
製作:マリサ・フェルナンデス・アルメンテロス、サンドラ・エルミダ・ムニョス、
マヌ・カルボ、ナヒカリ・イピニャ
*プレゼンターは、クララ・セグラを含めて5名

(製作者4名がそれぞれスピーチ、キャスト&スタッフが大勢登壇しました)

(作品賞、監督賞、オリジナル脚本賞の3冠)

監督賞
アイトル・アレギ、ホセ・マリ・ゴエナガ 「Maspalomas」
カルラ・シモン 「Romería」
オリベル・ラシェ 「Sirat」
アルベルト・セラ 「Tardes de soledad」『孤独の午後』
◎アラウダ・ルイス・デ・アスア 「Los domingos」バッチ右襟
*プレゼンターは、J. A. バヨナ監督、他

新人監督賞
イオン・デ・ソサ 「Balearic」
ジャウマ・クラレト・ムサルト 「Estrany riu / Extraño río」
ジェンマ・ブラスコ 「La furia」
ヘラルド・オムス 「Muy lejos」
◎エバ・リベルタード 「Sorda」(ガウディ賞監督賞受賞)
*プレゼンターは、昨年の作品賞受賞者マルセル・バレナ(El 47)とアランチャ・エチェバリア(La infiltrada)の2人の監督でした。


(エバ・リベルタード、背後にバレナ監督とエチェバリア監督)
オリジナル脚本賞
◎アラウダ・ルイス・デ・アスア 「Los domingos」(フェロス賞受賞者)
*プレゼンターは、昨年の受賞者エドゥアルド・ソラ、他

脚色賞
◎ホアキン・オリストレル、マヌエル・ゴメス・ペレイラ、ヨランダ・ガルシア・セラノ
「La cena」
*プレゼンターは、スペイン映画アカデミー会長の経験者である、元文部大臣で監督兼脚本家のアンヘレス・ゴンサレス=シンデ(2006~09)と監督・脚本家のマリアノ・バロッソ(2018~22)の大物シネアストでした。


(ヨランダ・ガルシア・セラノは欠席)
オリジナル作曲賞
◎カングディング・ライ(カンディン・レイ)「Sirāt」(ガウディ賞オリジナル作曲賞受賞)
*プレゼンターは、俳優でラッパーのエル・ランギ(杖をついて登場)、他


オリジナル歌曲賞
◎「Flores para Antonio」作曲:アルバ・フローレス、シルビア・ペレス・クルス
「Flores para Antonio」監督エレナ・モリナ、イサキ・ラクエスタ
*プレゼンターは、かつてのゴヤ賞新人女優賞受賞者の2人、アンナ・カステーリョは2017年、ラウラ・ワイスマーは昨年貰ったばかりです。受賞者アルバ・フローレスは、亡き父親アントニオについて語り、少しだけ歌も披露しました。


(アルバ・フローレスとシルビア・ぺレス)
主演男優賞
アルベルト・サン・フアン 「La cena」
ミゲル・ガルセス 「Los domingos」
マリオ・カサス 「Muy lejos」
マノロ・ソロ 「Una quita portuguesa」
◎ホセ・ラモス・ソロイス 「Maspalomas」(フォルケ賞・フェロス賞受賞者)
*プレゼンターは、『クリアチューラ Creatura』でゴヤ賞2024助演男優賞ノミネートのアレックス・ブレンデミュール

(アイトル・アレギ&ホセ・マリ・ゴエナガ両監督に感謝のスピーチ)

(ホセ・マリ・ゴエナガ & アイトル・アレギ、レッドカーペットにて)
主演女優賞
アンヘラ・セルバンテス 「La furia」
アントニア・セヘルス 「Los Tortuga」 監督ベレン・フネス *
ノラ・ナバス 「Mi amiga Eva」
スサナ・アバイトゥア 「Un fantasma en la batalla」
◎パトリシア・ロペス・アルナイス 「Los domingos」(フォルケ賞・フェロス賞受賞者)
*プレゼンターは、『死んでしまったら私のことなんか誰も話さない』でゴヤ賞1996主演女優賞を受賞したビクトリア・アブリル、他ノミネートのコレクター。

(大先輩ビクトリア・アブリルからトロフィを受け取る受賞者)

(どうしても涙が止まらない受賞者)

(子供時代の暴力に光を与えた監督に感謝のスピーチをした)
助演男優賞
ミゲル・レリャン 「El cautivo」 監督アレハンドロ・アメナバル
フアン・ミヌヒン 「Los domingos」
カンディド・ウランガ 「Maspalomas」
タマル・ノバス 「Rondallas」 監督ダニエル・サンチェス・アルバロ
◎アルバロ・セルバンテス「Sorda」(ガウディ賞助演男優賞・マラガFF男優賞受賞)
*プレゼンターは、エンリク・アウケル、ミキ・エスパルベ、カルロス・クエバスなど5名、受賞者をもみくちゃにしていました。



助演女優賞
エルビラ・ミンゲス 「La cena」
ミルヤム・ガジェゴ 「Romería」
エレナ・イルレタ 「Sorda」
マリア・デ・メデイロス 「Una quinta portuguesa」
◎ナゴレ・アランブル 「Los domingos」(フェロス賞受賞者)

新人男優賞
フリオ・ペーニャ 「El cautivo」
ウーゴ・ウェセルWelzel 「Enemigos」 監督ダビ・バレロ
ジャン・モンテル・パラウ 「Leo & Lou」
ミッチ・ロブレス 「Romería」
◎アントニオ〈トニ〉・フェルナンデス・ガバレ 「Ciudad sin sueño」監督ギジェルモ・ガロ
*プレゼンターは、ナタリエ・ポサ、ミシェル・ジェンナー、ルイス・トサール


(今宵最も短いスピーチ・ナンバーワンのトニ、25.05秒)
新人女優賞
ノラ・エルナンデス 「La cena」
ブランカ・ソロア 「Los domingos」
エルビラ・ララ 「Los Tortuga」
リュシア・ガルシア 「Romería」
◎ミリアム・ガルロ 「Sorda」
*プレゼンターは、『パンズ・ラビリンス』でゴヤ賞2007新人女優賞を受賞したイバナ・バケロ、他。受賞者が言葉に詰まると、会場から「ガンバッテ」と手話で応じる波がおきました。







衣装デザイン賞
◎エレナ・サンチス 「La cena」
*プレゼンターは、アルトゥーロ・バルス、他


(最速スピーチ、ナンバー3のエレナ・サンチス、34.30秒)
メイクアップ&ヘアー賞
◎アナ・ロペス=プイグセルベル、ベレン・ロペス=プイグセルベル、ナチョ・ディアス
「El cautivo」(『囚われ人』)監督アレハンドロ・アメナバル
*プレゼンターは、「A cambio de nada」のダニエル・グスマン監督と主役を演じたミゲル・エランのコンビでした。



特殊効果賞
◎パウラ・ガリファ・ルビア、アナ・ルビオ 「Los Tigres」


アニメーション賞
◎「Decorado」(フォルケ賞アニメーション賞受賞作品)
アルベルト・バスケス、ホセ・マリア・フェルナンデス・デ・ベガ、他
*全員バッチをつけて登壇した受賞者たち


ドキュメンタリー賞
◎「Tardes de soledad」(ガウディ賞ドキュメンタリー賞受賞)
アルベルト・セラ、ルイス・フェロン、モンセ・トリオラ、ペドロ・パラシオス
*プレゼンターは、女優のフアナ・アコスタとカルメ・エリアス

(サングラスが「うん、ちょとね」のアルベルト・セラ)

(反トランプの受賞者、赤絨毯でも噛みついていました)
イベロアメリカ映画賞
◎「Belén」(アルゼンチン、2025、フォルケ賞ラテンアメリカ映画賞受賞作品)
製作:レティシア・クリスティ、マティアス・モスティリン、ウーゴ・シグマン
監督ドロレス・フォンシ
*プレゼンターは、カルラ・ソフィア・ガスコンとパコ・レオン

(受賞スピーチをするドロレス・フォンシ、右にカルラ・ソフィア・ガスコン)

(レッドカーペットにて)
ヨーロッパ映画賞
◎「Valor sentimental / Sentimental Value」『センチメンタル・バリュー』
(ノルウェー他、2025) 監督ヨアキム・トリアー
*プレゼンターは、ビクトリア・ルエンゴ、他。監督は欠席、配給元のエンリケ・コスタが代理でトロフィを受け取った。

(エンリケ・コスタのスピーチは、27.19秒で最速ナンバー2でした)
短編映画賞
◎「Angulo muerto」(フォルケ賞短編賞受賞作品) 監督クリスティアン・ベテタ
製作:ホセ・ルイス・ランカーニョ、パブロ・ロペス・トーレス
*プレゼンターは、アントニア・サン・フアンとレオノール・ワトリング


(右端は主演のエバ・リョラチ)
短編ドキュメンタリー賞
◎「El Santo」 監督カルロ・ドゥルシ
製作:アダン・アリアガ、カルロ・ドゥルシ、ミゲル・モリナ・カルモナ
*プレゼンターは、白いドレスのシルビア・アブリル、他

(カルロ・ドゥルシ監督)

短編アニメーション賞
◎「Gilbert」 監督アレックス・サル、アルトゥーロ・ラカル、ジョルディ・ヒメネス
*プレゼンターは、アントニア・サン・フアン、レオノール・ワトリング、カジェタナ・ギジェン=クエルボ、シルビア・アブリルなどと豪華版



◎ゴヤ賞2026栄誉賞 ゴンサロ・スアレス
*プレゼンターは、ポルトガルの女優マリア・デ・メデイロス、自身も「Una quinta portuguesa」出演で助演女優賞にノミネートされていました。
*受賞者紹介記事は、コチラ⇒2025年12月25日



(マリア・デ・メデイロスと受賞者)
◎第5回国際ゴヤ賞 スーザン・サランドン(ニューヨーク1946)
*プレゼンターは、スペイン映画アカデミー会長AACCEフェルナンド・メンデス=レイテで、臨席のサンチェス首相に出席の御礼の挨拶を述べていた。第4回はリチャード・ギア、今年もハリウッドスターでした。もの言う異色の女優、強い女性のイメージとはかけ離れた、内気でエレガントな、しかし強固で説得力のある感動的なスピーチをした。ドレスはアルマーニの由。
*「歴史を語る人々と一緒にいられることを光栄に思います。私はスペイン、なかでもバルセロナが大好きです。あなた方の芸術、魅力的な美術館、建造物、料理、人々が大好きです」と、戦争に反対するスペイン首相と国民、それに引きかえ自分の周囲で起きている暴力や残虐行為を比較していました。『テルマ & ルイーズ』の主人公は健在でした。写真のように「パレスティナに自由」のバッチを付けていました。また、カメラが過去のAACCE副会長スシ・サンチェスやノラ・ナバスを追っていたのが、やはり40年の歴史を感じさせ印象的でした。


(AACCE会長からトロフィを受け取る受賞者)


★以上のように、フォルケ賞、フェロス賞、ゴヤ賞と似たり寄ったりの予想通りの結果になりました。ホセ・ラモン・ソロイス、パトリシア・ロペス・アルナイスのように3個のトロフィーを手にした人もいました。今回は直前に米国とイスラエルのイラン攻撃を受けて、「STOP ストップジェノサイド」または「FREE パレスティナに自由」のバッチを思い思いの場所に付けている出席者が大勢目につきました。ガザ爆撃が始まった2024年の授賞式とは比較にならないほどの参加者でした。
★ゴヤ賞ガラの総合司会を一人で3回もこなしたバルセロナ生れのロサ・マリア・サルダの紹介で始まった点鬼簿コーナーでは、この1年間で多くの映画人が鬼籍入りしました。ベレン・アギレラの ”Si te vas” をバックに、エクトル・アルテリオ、セルソ・ブガチョ、ベロニカ・エチェギなどが映しだされ、個人的にも或る感慨にふけりました。女優だけでなくコメディアンの実力を遺憾なく発揮したスペイン映画史に残るサルダの懐かしい映像に見入ってしまいました。
★視聴率26パーセント、最近5年間では最高、ホストの二人も面目を施した。疲れも吹き飛んだことでしょう。参加者の多くが戦争反対を表明した授賞式となりました。

(衣装を変えてフィナーレに登場したリゴベルタとトサール)
ジェマ・ブラスコの「La furia」*ゴヤ賞2026 ⑦ ― 2026年02月25日 14:54
深い闇を描くジェマ・ブラスコのデビュー作「La furia」

★第40回ゴヤ賞2026新人監督賞(ジェマ・ブラスコ)と主演女優賞(アンヘラ・セルバンテス)の2カテゴリーにノミネートされている「La furia」は、スペインでは第28回マラガ映画祭2025でプレミアされました。長編劇映画デビュー作、タイトルが「激怒」と穏やかでない。年越しのパーティでレイプされた若い舞台女優の恥辱と復讐に燃える心の闇が物語られるが、レイプ復讐映画ではなさそうです。マラガでは主役アレックスを演じたアンヘラ・セルバンテスの圧倒的なパフォーマンスが脚光を浴びました。

(インタビューを受ける監督、マラガ映画祭2025にて)

(アレックス・モネル、監督、アンヘラ・セルバンテス、マラガFFフォトコール)
「La furia / The Fury」
製作:Ringo Media / Aragon TV / Filmin / ICEC / ICAA / RTVE
監督:ジェマ・ブラスコ
脚本:ジェマ・ブラスコ、エバ・パウマ
音楽:ジョナ・ハマン
撮影:ネウス・オレ
編集:ディダック・パロウ、トマス・ロペス
キャスティング:イレネ・ロケ
プロダクションデザイン&美術:アンナ・アウケル
衣装デザイン:エステル・パラウダリエス
メイクアップ&ヘアー:ダナエ・ガテル、アレ・サルバット
製作者:ミレイア・グラエル・ビバンコス
データ:製作国スペイン、2025年、カタルーニャ語・スペイン語、ドラマ、107分、撮影地バルセロナ、アラゴン州テルエル(トレベリーリャ村)、配給元フィルマックス(スペイン)、公開スペイン2025年3月28日
映画祭・受賞歴:SXSWサウス・バイ・サウスウエスト映画祭2025ワールドプレミア、マラガ映画祭2025セクション・オフィシアル、銀のビスナガ主演女優賞(アンヘラ・セルバンテス)、助演男優賞(アレックス・モネル)、編集賞(ディダック・パロウ、トマス・ロペス)、マイアミ映画祭初監督賞ノミネート、D’A映画祭(バルセロナ)オープニング作品、インド映画祭、第31回フォルケ賞2025女優賞ノミネート。以下2026年、シネマ・ライターズ・サークル賞新人監督賞ノミネート、スペイン俳優組合賞(アンヘラ・セルバンテス)、フェロス賞主演女優賞ノミネート、ガウディ賞新人監督賞・主演女優賞受賞、助演女優賞(カルラ・リナレス)・助演男優賞・オリジナル脚本賞ノミネート、ディアス・デ・シネ賞作品賞・女優賞(アンヘラ・セルバンテス)受賞、ヒホン映画祭、他
キャスト:アンヘラ・セルバンテス(アレックス/アレクサンドラ)、アレックス・モネル(兄アドリアン)、エリ・イランソ(母エレナ)、カルラ・リナレス(フリア)、サリム・ダプリンセ(サミル)、アナ・トレント(舞台演出家)、ジュディット・コルティナ(フリア)、パウ・エスコバル(ダビ)、ビクトリア・リベロ、他多数
ストーリー:舞台女優のアレックスは、年越しのパーティでレイプされる。彼女は兄アドリアンに救いを求めますが、彼は妹を守れなかった怒りで苦しみます。1年間のあいだアレックスは兄や友人と距離をおき嫌悪感と恥辱のなかで孤立して生きていく。アドリアンは怒りに沈潜し、アレックスが必要としているものから遠く離れて、次第に闇のなかに堕ちていく。一方アレックスにとって痛みと激怒を追い払うための唯一の方法は、舞台で演じる復讐心に燃えるメディアの人格に自分を託して体現することだった。『メディア』はエウリピデスによって書かれた神話に基づくギリシャ悲劇だが、ここでは性的暴力が引き起こした兄妹の現代悲劇が語られる。


(アレックスと兄アドリアン、フレームから)
「語りたくてたまらないテーマ」とブラスコ監督
★監督紹介:ジェマ(ジェンマ)・ブラスコ Gemma Blasco、1993年バルセロナ生れ、監督、脚本家。2014年バルセロナ映画学校Bande à Partを卒業。短編映画、広告、舞台の映像化を手掛けている。8ミリ、16ミリ、デジタル、ミニDVなど異なったフォーマットの経験を重ね「バルセロナでアッバス・キアロスタミと一緒に撮る」というワークショップにも参加している。2013年、キャストが盲人の女性と聾啞者の男性という設定の短編「Matices」を撮る。続いて2015年の「Formas de jugar」がカタルーニャ映画祭「新しい展望」部門短編賞を受賞する。2017年、「Jauría」製作の資金援助をICAAより受け、マラガ映画祭2018短編部門のセクション・オフィシアルにノミネートされる。その後、シッチェス、マドリード、アルシネ、ヒホン、アルメリア、アミアン、ボゴショートなど国内外の国際映画祭巡りをし、翌年のゴヤ賞短編映画賞のプレセレクションやガウディ賞にノミネートされている。

★長編「El zoo」がヒホン映画祭2018で上映される。若い俳優のグループが舞台でリアリティショーを演じている。現実と架空の境界では一人しか留まることができない、登場人物たちは互いに食べつくしていくという実験映画のようです。
★フィクションとしてはデビュー作になる長編2作めが2018年から着手していた本作「La furia」で、自身の体験がミックスされている。監督によると、この映画は未だ映画を学びはじめる前の「18歳のとき自分の身に起きた街路での性的暴力の体験から生まれました。私が創作した復讐の映画です。居場所を奪われた犠牲者がどんな痛みを抱え、何が必要で、何を望んでいるかについて、もう語りたくてたまらない」とインタビューに応えている。キューバのサンアントニオ・デ・ロス・バニョスの映画テレビ学校で「登場人物の構成」というセミナーに参加してテーマの細分化をした。その後、マジョルカ・タレント・ラボ(Filmin)、トリノ・フィルム・ラボ、2021年カンヌのシネフォンダシオン最終候補者になった。さらにスペイン女性映画製作者協会CIMAの新企画に選ばれるなどした。撮影地の一つアラゴン州テルエルのトレベリーリャは、父方の家族が住んでいる由。厳しい誠実さで難しいテーマに取りくみ、観客にとっては座り心地は決して良くないが、現実の本質的なことを突きつけている。今回のゴヤ賞ノミネートは〈新人監督賞〉枠ですが、キャリア的には新人とは言えません。

(撮影中のブラスコ監督、セルバンテス、モネール)
*フィルモグラフィー
2013「Matices」3分、監督、脚本、スペイン語・英語、トレス・コートFFモンディアレ賞受賞
2015「Formas de jugar」短編、監督、脚本、スペイン語
2017「La mujer del escaparate」短編、ファンタジア、スペイン語、監督、脚本
2018「Jauría」短編19分、スペイン語、監督、脚本(マルタ・フォント共同執筆)
マラガFF短編部門上映、
2018「El zoo」長編デビュー作、実験映画、96分、スペイン語、監督
ヒホン映画祭、ラスパルマス映画祭、D’A映画祭上映
2025「La furia」長編劇映画(割愛)
★キャスト紹介:
*アンヘラ・セルバンテス Angela Cervantes Sorribas、1993年バルセロナ生れ、女優、アルバロ・セルバンテスは実兄、「Sorda」でゴヤ賞助演男優賞にノミネートされており、兄妹受賞が期待されている。カタルーニャTVシリーズ出演でスタート、長編デビューは、カロル・ロドリゲス・コラスのコメディドラマ「Chavalas / Girlfreinds」(21)でバルのオーナーに扮し、ゴヤ賞2022新人賞にノミネート、ガウディ賞を受賞した。ピラール・パロメロの「La maternal / Motherhood」(22)で、14歳で出産することになった娘の若い母親役を演じ、ゴヤ賞・フェロス賞助演女優賞ノミネート、ガウディ賞受賞。ジョルディ・ヌニェスの「Valenciana」(24)出演など。

(揃ってゴヤ賞にノミネートされているセルバンテス兄妹、2026年2月23日)
*本作「La furia」について、ジェマ監督とは演劇学校時代に出会い、当時から映画化を語り合ってきたから、「最初から、脚本の最初のバージョンから、既に読んでいた」とRTVEのインタビューで語っている。マラガ映画祭2025銀のビスナガ女優賞受賞、フォルケ賞ノミネート、ガウディ賞2026主演女優賞受賞、フェロス賞ノミネート、ゴヤ賞と俳優組合賞は結果待ち。同じ年のマラガ映画祭で上映されたガラ・グラシアの「Lo que queda de ti」(25、西=伊=葡)にも主演、最新作は、間もなく始まるマラガ映画祭2026で上映されるダビ・セラーノのラップランドを舞台にしたコメディ「Lapönia」に主演している、ブレイクスルー(ブレイクアウトロー)の演技者として今後が期待できる女優の一人。


(「La furia」のフレームから)

(ガウディ賞のトロフィーを手にしたアンヘラ、2026年2月8日授賞式)
*アレックス・モネール Alex Mpnner、1995年1月バルセロナ生れ、既に短編、TVシリーズを含めると50作以上に出演している。TVシリーズ「Polseres vermelles」(2011~13、28話、カタルーニャTV)でフォトグラマス・デ・プラタ主演男優賞を受賞する。2012年、パコ・プラサの『RECレック3ジェネシス』で長編映画デビュー、同年パトリシア・フェレイラの「Els nens salvatges / Los niños salvajes」で注目され、マラガ映画祭2012助演男優賞・ガウディ賞2013主演男優賞・トゥリア賞2013新人賞受賞など受賞、ゴヤ賞新人男優賞にもノミネートされた。

*当ブログ紹介作品には、2014年のベレン・マティアスの「Marsella」、2016年、イサ・カンポ&イサキ・ラクエスタの「La propera pell / La proxima piel」でフォルケ賞とフェロス賞2017の主演男優賞にノミネート、『記憶の行方』の邦題でネットフリックスが配信した。2019年、ベレン・フネスの「La hija de un ladrón」、マラガ映画祭2021でセクン・デ・ラ・ロサが監督デビューした「El Cover」、マルセル・バレナの実話に基づいた「Mediterraneo」(21、『地中海のライフガードたち』)は、難民映画祭2022オンラインで配信されている。ペドロ・マルティン=カレロの心理ホラー「El llanto」(24『叫び』)など、多くの問題作に出演している。

(RTVEのインタビューを受けるアレックスとアンヘラ、2024年4月1日)
*作品紹介はしていないが、ルイス・キレスの密室サスペンス「Bajocero」(21、邦題『薄氷』)、日本で人気の高いダニエル・カルパルソルのアクション映画「Centauro」(22、『ケンタウロス』)などがNetflixで配信されている。2022年から始まっているTVシリーズ「La ruta」(14話)で主役を演じている。1996年バレアレス諸島のイビサ島が舞台、フランコ時代を生きた父親世代との断絶のなかで、居場所探しをする若者5人の軌跡を描いている。
ドロレス・フォンシの2作目「Belén」*ゴヤ賞2026 ➅ ― 2026年02月17日 17:57
イベロアメリカ映画賞ノミネート――ドロレス・フォンシの「Belén」

★アルゼンチンのドロレス・フォンシの第2作「Belén」は、サンセバスチャン映画祭2025セクション・オフィシアルでプレミア上映され、3月15日に開催される第98回アカデミー賞(国際長編映画賞部門)にアルゼンチン代表作品に選ばれていました。ショートノミネート15作には残りましたが、残念ながらノミネートは逃しました。ちなみにスペイン代表作品のオリベル・ラシェの 「Sirāt」は、映画賞と音響賞の2部門に踏みとどまりました。サンセバスチャン映画祭では作品紹介をしませんでしたが、ゴヤ賞イベロアメリカ映画賞にノミネートされましたので、遅ればせながらアップいたします。

(左から、フリエタ・カルディナリ、ドロレス・フォンシ、カミラ・プラーテ、
ラウラ・パレデス、サンセバスチャン映画祭2025フォトコール、9月22日)
★本作はおよそ10年前の2014年、アルゼンチン北西部トゥクマンで実際に起きた「乳児殺害(中絶)」の冤罪事件をベースにしています。アナ・エレナ・コレアのノンフィクション小説 “Somos Belén” (プラネタ社、2019年刊)を原作として、アルゼンチンで中絶法案成立に繋がった法廷での激しい対立を描いています。〈ベレン〉という名前は本名ではなく、この冤罪事件をきっかけに女性の人権運動が広がるにつれ、シンボル的に付けられた名前です。本名を明かすことは家族に危険が及ぶ可能性を考慮して、映画ではカミラ・プラーテ扮するフリエタの名前で登場します。監督自身が演じるソレダード・デサは、トゥクマン出身の実在の弁護士です。オスカー賞ノミネートのプロモーションに現地を訪れたデサ弁護士と監督は、メディアからの多くのインタビューを受けましたが、それはテーマが世界中の女性の権利闘争と共鳴しているからで、今の瞬間を象徴する映画だからです。

(自著 “Somos Belén” を手にしたアナ・コレアとドロレス・フォンシ)

(インタビューを受けるデサ弁護士と彼女を演じたドロレス・フォンシ、ロサンゼルス)
「Belén」
製作:Amazon MGM Studios / K & S Films
監督:ドロレス・フォンシ
脚本:ラウラ・パレデス、ドロレス・フォンシ、アグスティナ・サン・マルティン、
ニコラス・ブリトス (原作:アナ・コレア “Somos Belén” )
撮影:ハビエル・フリア
編集:アンドレス・ペペ・エストラーダ
衣装デザイン:ルシア・ガスコニ
メイクアップ & ヘアー:ディノ・バランチノ、アンヘラ・ガラシハ、フロレンシア・グロッソ
プロダクションマネジメント:ニコラス・ポラストリ
製作者:レティシア・クリスティ(K & S)、マティアス・モスティリン、ウゴ・シグマン、ロドリゴ・カラ、ディエゴ・コペリョ(コペラ)、(エグゼクティブ)アルトゥール・デル・リオ(Amazon Studios)
データ:製作国アルゼンチン、2025年、スペイン語、法廷ドラマ、105分、第98回アカデミー賞アルゼンチン代表作品(ショート15作ノミネート)、配給米アマゾンMGMスタジオ、公開アルゼンチン2025年9月18日、プライムビデオ配信:英・米・カナダ・スウェーデン・シンガポール、ウルグアイ(シネマティカ)、視聴地域が限られ、現在日本では視聴できません。
映画祭・映画賞:サンセバスチャン映画祭2025セクション・オフィシアル(助演俳優賞カミラ・プラーテ、RTVE「もう一つの視点賞」スペシャル・メンション受賞)、リオデジャネイロFF、オランダのライデンFF、シカゴFF、フォルケ賞2025ラテンアメリカ映画賞受賞、ハバナFF2025音響賞、ローズ・ドール・ラティノス2025TVストリーミング賞受賞、2026年パルマ・スプリングスFF、
キャスト:カミラ・プラーテ(ベレン/フリエタ)、ドロレス・フォンシ(弁護士ソレダード・デサ)、ラウラ・パレデス(バルバラ)、フリエタ・カルディナリ(公選弁護人ベアトリス・カマニョ)、セルヒオ・プリナ(ディエゴ)、ルイス・マチン(判事ファリア)、セサル・トロンコソ(アルフォンソ)、リリ・フアレス(マベル)、ルス・プラーテ(メチャ)、ガイア・ガリバルディ(フローラ)、マリア・マルル(クリス)、他多数
ストーリー:2014年、アルゼンチン北部トゥクマンで流産したにも拘わらず、違法な中絶〈乳児殺害〉の罪で告発、収監されたフリエタ(通称ベレン)の実話に基づいています。本作は、彼女を救うため立ち上がった勇敢な弁護士ソレダード・デサとの激しい法廷闘争が、やがて女性の権利を求める中絶合法化の大きな社会運動へと発展していく様子が語られ、法的な壁と社会の偏見に立ち向かうため連帯した女性たちを描いています。アナ・コレアの優れたノンフィクション小説がベースになっている。

(アナ・コレアと “Somos Belén” の表紙)
★本作は弁護士視点の法廷闘争がメインと推察されますが、まだ作品が視聴できないためフリエタの流産がどうして乳児殺害になったのかという経緯がよく分かりません。トゥクマン州(州都サン・ミゲル・デ・トゥクマン)は、アルゼンチンでも家父長制的な法制度が根を張った保守的な地域といわれ、女性の地位は低い。フリエタは激しい腹痛のため救急外来に搬送され、自身が妊娠22週目で流産したことを知らされます。当時彼女は27歳で妊娠していることを知らなかったという。医療従事者はフリエタが中絶を試みた可能性を疑い、警察に通報する。フリエタは目が覚めると退院どころか手錠がはめられ収監されたという、我が耳を疑う言語道断な事件です。
★監督、脚本、出演のドロレス・フォンシ(ブエノスアイレス1978)の2作目となる本作は、自身が企画して制作会社を探したというわけではなかった。ベレン事件には最初からコミットしていたが、自身で撮る予定はなかったと語っている。制作会社K & S Filmsのレティシア・クリスティから打診があり、引き受けたと語っている。
★女優としての経歴が長く、パートナーのサンティアゴ・ミトレの『パウリーナ』以下クラウディア・リョサの『悪夢は苛む』までの代表作4作を当ブログで紹介しています。監督デビュー作「Blondi」は、サンセバスチャン映画祭2023オリソンテス・ラティノス部門にノミネート、アルゼンチン映画アカデミーとコンドル賞2024初監督作品賞を受賞しています。優れた法廷闘争を描いた映画にはアカデミー賞2023国際長編映画賞にノミネートされたミトレの『アルゼンチン、1985』が記憶に新しい。比較しても始まりませんが、いずれ視聴できた折には改めてアップしたい。
*ドロレス・フォンシのキャリア&フィルモグラフィーは、コチラ⇒2023年07月21日
*『パウリーナ』は、コチラ⇒2015年05月21日

(デサ弁護士役ドロレス・フォンシとフリエタ役のカミラ・プラーテ、フレームから)
★ソレダード・デサ、トゥクマン州都サン・ミゲル・デ・トゥクマン生れ、トゥクマン国立大学卒、著書に ”Libertad para Belén: Grito nacional” がある。時代遅れの法律によって女性の健康やプライバシーが脅かされている現実と闘う弁護士の一人。地元トゥクマン裁判所の「8年の禁固刑」という深刻な不正義に驚愕して、フリエタの弁護を前任者から引き継いだ。デサは自分が闘っているのがフリエタだけでなく、時代遅れの法律によって長年苦しめられてきた全女性のためであることに気づいたという。激しい社会運動のさなか、2017年にデサ弁護士の努力の甲斐あって州最高裁判所は「禁固3年」に減刑、フリエタは釈放され、最終的には無罪を勝ち取った。デサ弁護士は「映画ベレンは、ハンディキャップで組み立てられた自由の物語ですが、それは多くの人々の頑張りと団結についての物語でもある」とコメントしている。

(ソレダード・デサ弁護士)

(中絶法案合法化のデモ行進)
★アナ・エレナ・コレア、ブエノスアイレス生れ、作家、弁護士、政治的コメンテーター、活動家、フェミニスト、“Somos Belén” の著者。2019年11月にブエノスアイレス大学法学部で行われた出版記念イベントにまだ就任前だったが、次期大統領アルベルト・フェルナンデス(任期2020年12月~2023年12月)も出席して、「私がここにいるのは、彼女たちの要求を支持するため」とスピーチした。就任した翌年合法化された。イベントには、アナ・コレアの他、ソレダード・デサ弁護士、中絶闘争の先駆者ネリー・ミニエルスキー弁護士(サン・ミゲル・デ・トゥクマン1929)やフォンシ監督の姿もあった。

(左から2人目、デサ弁護士、アナ・コレア、次期大統領アルベルト・フェルナンデス、
ミニエルスキー弁護士、ドロレス・フォンシ、中絶合法化のイベント、2019年11月15日)
★カミラ・プラーテ(ベレン/フリエタ)は、アグスティン・トスカノの「El Motoarrebatador / The Snatch Thief」(18)でデビュー、アルゼンチン映画アカデミー賞2019新人女優賞にノミネートされた。本作はカンヌ映画祭併催の「監督週間」でプレミアされ、同年サンセバスチャン映画祭オリソンテス・ラティノス部門にもノミネートされた。バイクひったくり犯の心の遍歴が語られる。トスカノはサン・ミゲル・デ・トゥクマン出身の監督です。2019年リリアナ・パオリネリのコメディ「Margen de error」、TVシリーズ「Tafí Viejo, verdor sin tiempo」(25)などが代表作。
*「El Motoarrebatador / The Snatch Thief」紹介記事は、コチラ⇒2018年09月07日

(「Belén」の法廷シーンから)

(銀貝助演俳優賞のトロフィーを手にしたカミラ、SSIFF2025授賞式にて)
★同じテーマの作品として、ドキュメンタリーだがSSIFF2019でご紹介したRTVEスペイン国営ラジオ・テレビが選ぶ「もう一つの視点」を受賞したフアン・ソラナスの「La ola verde(Que sea ley)」がある。カンヌ映画祭2019アウト・オブ・コンペティションで特別上映された。妊娠中絶合法化のシンボルである緑のハンカチやスカーフを身に着けてカンヌやサンセバスチャンに大挙して参加した。翌2020年、フェルナンデス大統領によってに合法化された。しかし、アルゼンチンのトランプと揶揄される現大統領ハビエル・ミレイは、中絶法の復活を豪語している。
*「La ola verde(Que sea ley)」の記事は、コチラ⇒2019年08月11日/同年10月03日
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