第28回マラガ映画祭2025特別賞*マラガ映画祭2025 ① ― 2025年03月14日 19:10
マラガ映画祭の〈特別賞〉マラガ―スール賞にカルメン・マチ

★第28回マラガ映画祭は3月14日に開催(23日まで)、6つの特別賞(大賞マラガ―スール賞、レトロスペクティブ賞―マラガ・オイ、マラガ才能賞―マラガ・オピニオン、リカルド・フランコ賞、ビスナガ・シウダ・デル・パライソ賞、クラシック映画から選ばれる金の映画)が発表になっています。コンペティション部門にあたるセクション・オフィシアル作品(今回22作)、アウト・オブ・コンペティション作品も全て出揃っていますが、取りあえず特別賞をアップいたします。アルゼンチンの俳優、コメディアンでもあるギレルモ・フランチェラが黒一点です。当ブログではスペイン語読みのギジェルモ・フランセージャでご紹介していますが、アルゼンチンではイタリア語で呼ばれている由。各賞ともキャリア&フィルモグラフィー紹介を予定しています。ビスナガ栄誉賞にはアルゼンチンのアレハンドロ・アグスティ監督受賞が発表になっています。
*マラガ映画祭2025特別賞*
◎マラガ―スール賞(スール紙とのコラボ)
カルメン・マチ(女優)、1963年マドリード生れ、17歳で舞台女優としてデビューして以来、TVシリーズ、映画にと走り続けている。当ブログでもキャリア紹介を含めて何回も登場させていますが、マラガ―スールが未だだったとは意外です。舞台女優が長かったこと、長寿TVシリーズの「7 vidas」(101話出演、00~06)や「Aida」(101話出演、05~14)出演もあり、映画で主役を演じるのは、2009年のハビエル・レボーリョの「La mujer sin piano」まで待たねばなりませんでした。そして翌年、エミリオ・アラゴンのデビュー作「Paper Birds」主演でラテンビート映画祭2010に監督と来日した。本作は『ペーパー・バード~幸せは翼にのって』で公開された。ゴヤ賞2015助演女優賞を受賞した「Ocho apellidos vascos」までのキャリア&フィルモグラフィーをアップしていますが、後日それ以降を予定しています。
*「Ocho apellidos vascos」の紹介記事は、コチラ⇒2015年01月28日

◎レトロスペクティブ賞―マラガ・オイ(マラガ・オイ紙とのコラボ)
ギレルモ・フランチェラ(ギジェルモ・フランセージャ、俳優、映画・舞台・TV)、1955年ブエノスアイレス生れ、祖父がイタリアからの移民。メキシコ映画の『ルド&クルシ』(08、カルロス・キュアロン)、スール賞・クラリン賞・銀のコンドル賞(助演男優)を受賞した『瞳の奥の秘密』(09、フアン・ホセ・カンパネラ)、イベロアメリカ・プラチナ賞(主演男優)を受賞した『エル・クラン』(15、パブロ・トラペロ)が公開されている。実在した営利誘拐犯を演じるのは、ストレスのたまる楽しくない役柄だったと語っている。
*『瞳の奥の秘密』作品紹介は、コチラ⇒2014年08月09日
*『エル・クラン』の主な作品紹介記事は、コチラ⇒2016年11月13日

◎マラガ才能賞―マラガ・オピニオン(マラガ・オピニオン紙とのコラボ)
エレナ・マルティン・ヒメノ(女優、脚本家、監督)、1992年バルセロナ生れ、最新作「Creatura」(23、カタルーニャ語)では、主演、脚本、監督と三面六臂の活躍、才媛ぶりを発揮している。カンヌ映画祭と併催される「監督週間」でプレミアされ、翌年のガウディ賞2024では作品賞と監督賞を受賞、ほかに助演男優・助演女優・新人俳優・編集賞を受賞している。ほかにサンセバスチャン映画祭2023ドゥニア・アヤソ賞を受賞している。既にキャリア&フィルモグラフィーをアップしておりますが、マラガ映画祭関連では、監督デビュー作「Júlia ist」(17)が ZonaZine 部門の銀のビスナガ作品賞、同右監督賞、Movister+賞を受賞している。
*「Creatura」の作品・キャリア紹介は、コチラ⇒2023年05月22日
* ガウディ賞2024授賞式の記事は、コチラ⇒2024年02月11日
*「Júlia ist」の作品紹介は、コチラ⇒2017年07月10日

★女優としてのキャリアは、ベルリン映画祭でプレミアされた後、第22回マラガ映画祭2019短編部門に出品された、イレネ・モライの「Suc de Síndria」(英題「Watermelon Juice」)に主演、銀のビスナガ女優賞、イベロアメリカ短編映画祭で主演女優賞、メディナ映画祭2019主演女優賞など受賞した。ゴヤ賞2020では監督と製作者ミリアム・ポルテが短編映画賞を受賞している。メリチェル・コレルの「Con el viento」は、マラガFF 2018 ZonaZine 部門で作品賞を受賞している。老いた母親と3姉妹という4人の女性の生き方をめぐる作品で、エレナは末娘に扮した。マラガFF でプレミアされたマリア・リポルの「No nos mataremos con pistolas」(22)は、何年も会っていなかった5人の友人の再会劇、昔の愛と傷の記憶が彼らを過去への旅に駆り立てる。アレックス・ロラ・セルコスの「Unicornios」(23、仮題「ユニコーン」)もマラガFF 出品作品、主役はグレタ・フェルナンデスですが、エレナも共演している。1979年生れの若手監督として個人的に注目しているので、以下に作品紹介をしておきます。
*アレックス・ロラ・セルコスの「Unicornios」の作品紹介は、コチラ⇒2023年03月14日

★演劇活動も活発で、バルセロナのベケット・ホールで実験演劇ラボラトリー Els malnascutsの共同設立者の一人。若者(16歳から30歳)が対象の脚本や演技のワークショップを行っている。
◎リカルド・フランコ賞(スペイン映画アカデミーとのコラボ)
ロラ・サルバドール・マルドナド(作家、脚本家、監督、製作者)、1938年バルセロナの共和派の家庭に生れる。スペイン内戦後マドリードに移り、英国学校で学んだ。1962年から70年までラジオ、新聞社、劇場、映画、TV界などで働いている。作家、脚本家、映画監督、製作者という多才なキャリアは、スペインの現代文化に不可欠な存在であり、その芸術性、社会的な影響力は際立っている。スペイン映画アカデミー AACCE、脚本家労働組合 ALMA、オーディオビジュアルメディア著作権 DAMAの創設者の一人。1980年代後半まではサルバドール・マルドナドを使用している。

★記憶に残る仕事として、1997年のピラール・ミロの問題作「El crimen de Cuenca」を上げたい。これはロラ・サルバドール自身の同名小説の映画化で、脚本も監督と共同執筆している。本作はスペイン内戦前の1910年にクエンカ村で実際に起きた冤罪事件をベースにしている。フランコ没後、既に検閲制度も廃止されていたにもかかわらず、治安警備隊による凄惨な拷問シーンが描かれていることから、彼らによる上映禁止が画策され、監督を軍法会議にかけようとさえした。本作はスペインの見せかけの民主主義が露呈した問題作、「第1回スペイン映画祭1984」で『クエンカ事件』の邦題で上映された。

(小説「クエンカ事件」の表紙)
★ハイメ・チャバリの代表作「Bearn o La sala las muñecas」(83、「ベアルン」)と「Las bicicletas son para el verano」(84、「自転車は夏のために」)の脚本を執筆している。2作ともスペイン映画史に残る名作、前者はリョレンソ・ビリャロンガの同名小説の映画化、後者は俳優、監督、戯曲家でもあったフェルナンド・フェルナン=ゴメスの戯曲の映画化である。カルロス・モリネロとタッグを組んだ「Salvajes」(01)はホセ・ルイス・アロンソ・デ・サントスの同名戯曲の映画化、ゴヤ賞2002脚色賞を監督などと受賞している。同監督とはドキュメンタリー「La niebla en las palmeras」がトライベッカ映画祭2006審査員賞にノミネートされている。ほかにキューバの女優ミルタ・イバラの監督デビュー作「Titón, de La Habana a Guantanamera」(08、ドキュメンタリー)の脚本を執筆している。ティトンとはイバラの亡夫トマス・グティエレス・アレア監督の愛称、サンセバスチャン映画祭のオリソンテス・ラティノス部門に正式出品された。
★上記以外の受賞歴では、2011年芸術功労賞金のメダル、2014年映画国民賞、2021年シモーヌ・ド・ボーヴォワール賞などを受賞、2023年カタルーニャ映画アカデミー名誉会員、2024年DAMA名誉会員になっている。
◎ビスナガ・シウダ・デル・パライソ賞
マリア・ルイサ・サン・ホセ(女優)、1946年マドリード生れ、非常に若いときからマドリード・フィルム現像所でモノクロの現像やフィルム編集などの分野で働き始める。その後、国際ラジオ放送局のアナウンサーの研修生になる。続いてスタジオ・モロの宣伝モデルになり、1965年、マルセル・オフュルスの「Hagan juego, señoras」(仏西合作)で映画デビューする。主にフランコ没後の民主主義移行期、Tercera Vía(第三の道)運動と称されたグループの作品に出演している。人気はあるが質的に劣る、あるいは良質だが観客がそっぽを向いて不人気、そのどちらでもない良質で興行的に成功する「第三路線」を目指した運動。

★ペドロ・ラサガのコメディ「Hasta que el matrimonio nos separe」(77、ホセ・サクリスタンと共演)、未公開だが『欲望 BESTIA HUMANS』の邦題でTV放映されている。エロイ・デ・ラ・イグレシアの「El diputado」(78、ホセ・サクリスタン、ホセ・ルイス・アロンソと共演)は、およそ20年後の東京国際レズ&ゲイ映画祭1999で『国会議員』の邦題で上映された。そのほか主役ではないが、名脚本家と言われたラファエル・アスコナが執筆したアントニオ・ヒメネス・リコの「Soldadito español」(88)、カルロス・サウラが自身の少年時代を投影させた「Pajarico」(97)では、少年の叔母役で出演した。本作は「スペイン映画祭1998」で『パハリーコ―小鳥―』の仮題で上映されている。ホセ・ルイス・ガルシア・サンチェスの「Adiós con el corazón」は良質のコメディで、フアン・ルイス・ガリアルドがゴヤ賞2001主演男優賞を受賞している。その他、アナ・マリスカル、ハビエル・アギーレ、マリアノ・オソレス、ゴンサレス・シンデ、ロベルト・ボデガス、ペドロ・オレアなど多くの監督に起用されている。

(ホセ・サクリスタンと夫婦役を演じた『国会議員』のフレームから)
★TVシリーズ出演も多く、ナルシソ・イバニェス・セラドールの「Mañana puede ser verdad」(64)、70年代からは、「Animales racionales」(72~73、4話)、フェルナンド・フェルナン=ゴメスと共演した「El pícaro」(74)、ヘスス・プエンテと共演した「Diálogos de un matrionio」(82、13話)、テレノベラ「Nada es para siempre」(00)、歌手ロシオ・ドゥルカルと共演した「Los negocios de mamá」(97、13話)、ホルヘ・サンスが主演した「El inquilino」(04、13話)などが上げられる。
★舞台女優としては、1964年、ホセ・オスナ演出の「Golfus de Roma」で初舞台を踏む。イギリスの劇作家エムリン・ウィリアムズ、スペインではガルシア・ロルカ、ホセ・ルイス・アロンソ、アドルフォ・マルシリャチ、ミゲル・ナロス、フランシスコ・ニエバ、ギリシャ悲劇を代表するソフォクレス、シェイクスピア、ロペ・デ・ベガ、カルデロン、オニールなど、現代劇からギリシャ古典劇まで守備範囲は広い。1974年ルイス・ブニュエル新人賞、1975年ア・コルーニャ映画祭トーレ・デ・ヘラクルス賞、2009年ムラ・セグンド・デ・チョモン栄誉賞、2022年ビジネス・プロフェッショナル・ウーマン BPW 組織化に寄与したことで平等発言賞などを受賞している。
◎金の映画
「Fultivos」(1975)、監督ホセ・ルイス・ボラウ(1929~)、日本のスペイン映画元年と言われた「スペイン映画の史的展望〈1951~1977〉」(1984年10月開催)に『密漁者たち』の邦題で上映されている。後日紹介予定。

(ポスター)
◎ビスナガ栄誉賞
アレハンドロ・アグレスティ(監督、脚本家、製作者)、1961年ブエノスアイレス生れ、後日紹介記事を予定しています。

(アレハンドロ・アグレスティ)
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