パコ・プラサの新作ホラー「La abuela」*サンセバスチャン映画祭2021 ⑪ ― 2021年08月12日 18:26
『エクリプス』のパコ・プラサの新作はホラー「La abuela」
★パコ・プラサのセクション・オフィシアルは初めて、金貝賞を競うことになった。新作「La abuela」はホラー、脚本を『マジカル・ガール』や『シークレット・ヴォイス』の監督カルロス・ベルムトが手掛けているのが話題を呼んでいる。祖母役にココ・シャネルのお気に入り、1950~60年代に世界で最も人気のあったモデルの一人、ヴェラ・バルデス(リオデジャネイロ1936)を起用、その孫娘に前回アップしたフェルナンド・レオンの「El buen patrón」で長編映画デビューしたアルムデナ・アモールが抜擢されている。新旧世代のコントラスト、老いの恐怖がテーマのようだ。
(アルムデナ・アモール、プラサ監督、ヴェラ・バルデス)
「La abuela」(「Grandmother」)
製作:Apache Films / Apache AIE / Atresmedia Cine / Les Films Du Worso
監督:パコ・プラサ
脚本:カルロス・ベルムト、(アイデア)パコ・プラサ
撮影:ダニエル・フェルナンデス・アベリョ
キャスティング:フランソワ・リヴィエール
プロダクション・デザイン&美術:ライア・アテカ
衣装デザイン:ビニェト・エスコバルVinyet Escobar
メイクアップ:(特殊メイク)ナチョ・ディアス、フアン・オルモ、ルベン・セラ、他
プロダクション・マネージメント:ダビ・ラゴニグ
特殊効果:ラウル・ロマニリョス、他
録音:ガブリエル・グティエレス、他
製作者:エンリケ・ロペス・ラヴィーン(Apache Films)、ピラール・ロブラ
データ:製作国スペイン=フランス、スペイン語、2021年、ホラー、100分、撮影地マドリード、パリ、撮影期間2020年夏、配給ソニーSony Pictures、スペイン公開2021年10月22日決定、公開後アマゾン・プライム・ビデオにて配信予定。
映画祭・受賞歴:第69回サンセバスチャン映画祭セクション・オフィシアル正式出品
キャスト:アルムデナ・アモール(スサナ)、ヴェラ・バルデス(祖母ピラール)、カリナ・コロコルチコワ(エバ)、チャチャ・ホアンHuang(ウェートレス)、Michael Collisマイケル・コリス(乗客)
ストーリー:スサナはモデルとして働いていたパリの生活を一旦止めて、マドリードに戻らねばならなくなった。両親の死後、我が子のように育ててくれた祖母ピラールが脳溢血で倒れ、介護者を必要としていたからだ。数日間の滞在と考えていたのだが、まもなく超常的な悪夢へと変貌していく。若い女性の人生をを変えてしまう悪夢、私たちが触れたくない老いの恐怖が語られる。
(スサナと祖母ピラール)
「ジャンルシネマは比類のない創造的な自由がある」とパコ・プラサ
★パコ・プラサ(バレンシア1973)は、監督、脚本家、製作者、編集者。CEU サンパブロ大学、バレンシア大学で情報科学の学士号、マドリード・コミュニティ映画視聴覚上級学校ECAMの映画監督の学位を取得している。英語、フランス語に堪能、1995年監督デビュー、短編「Abuelitos」(99)や「Rompecabezas / Puzzles」(01)でキャリアをスタートさせた。2001年、長編デビュー作「Los hijos de Abraham」がシッチェス映画祭2001ファンタスティック映画ヨーロッピアンのグランプリを受賞、2004年ホラーサスペンス「Romasanta. La caza de la bestia」でマラガ映画祭監督賞を受賞した。しかしなんといっても彼の存在を世に示したのは、ジャウマ・バラゲロと共同で監督したホラー『RECレック』(07)だったでしょう。
(単独で監督した『RECレック3 ジェネシス』のスペイン版ポスター)
★シリーズ・レックは4作あり、第1作と2作が共同で監督、3作目がプラサ単独(レティシア・ドレラ主演)、4作目がバラゲロ単独です。国際映画祭で合計26賞したと言われる大ヒット作でした。プラサ監督は2014年7月インスティテュート・セルバンテス東京で開催された<スペインホラー映画上映会>のため来日、講演している。他にアメナバルの『テシス』やバヨナの『永遠のこどもたち』などが上映された。パートナーのレティシア・ドレラの映画をプロデュースしている。
★2017年に撮ったホラー「Verónica」(邦題『エクリプス』)がゴヤ賞2018で作品賞を含む7カテゴリーにノミネートされた折り、少しだけ監督紹介をしています(受賞は録音賞のみ)。「私たちは男性優位で女嫌いの社会に暮らしている」と、警鐘を鳴らしていた。ルイス・トサールを起用して撮ったスリラー「Quien a hierro mata」は、共演のエンリク・アウケルにゴヤ賞2020の新人男優賞をもたらした。この度ホラーに戻ってきたのが本作「La abuela」です。
*『エクリプス』の紹介記事は、コチラ⇒2018年02月01日
(『エクリプス』のスペイン版ポスター)
★新作のインタビューで「ジャンルシネマは、私たちに関係する問題を話すのに最適です。比類のない創造的な自由を利用して現実について語ることができる」と監督。方や脚本を手掛けたカルロス・ベルムトは、「ホラーの脚本をずっと書きたいと思っていました。チャンスが与えられて幸運でした。ホラーは現在最も革新が行われている、X線撮影が可能なジャンルの一つです。本作は、私たちの社会が怖れているあまり隠し続けているもの、それは老いです」とコメント、どうやらテーマの一つはアンタッチャブルな老後のようです。
(タッグを組んだカルロス・ベルムトとパコ・プラサ)
★主役の一人84歳になるヴェラ・バルデスは、モデル引退後ブラジルに戻り舞台女優として活躍していたそうですが、ここ最近映画に出演している。パラグアイの監督パブロ・ラマルのデビュー作「La última tierra」に出演、監督がロッテルダム映画祭2016のタイガー賞スペシャル・メンションを受賞している。上述したようにアルムデナ・アモールは未知数、共演者のチャチャ・ホアンは、ラウラ・アルベア&ホセ・オルトゥーニョのサイコ・ホラー「Ánimas」(18)に主人公のガールフレンド役で出演している。『アニマ』の邦題でNetflixで配信されている。
(ピラール役のヴェラ・バルデス、映画から)
(撮影中のアルムデナ・アモールとプラサ監督)
(スサナ役のアルムデナ・アモール、映画から)
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