ドノスティア栄誉賞にジョニー・デップ*サンセバスチャン映画祭2021 ⑰2021年08月31日 21:12

     ドノスティア栄誉賞受賞者はジョニー・デップとマリオン・コティヤール

 

       

 

★第69回サンセバスチャン映画祭2021ドノスティア栄誉賞ジョニー・デップが受賞することは大分前に決まっていましたが、824日二人目の受賞者としてマリオン・コティヤールがアナウンスされました。昨年はコロナウイリス感染拡大でヴィゴ・モーテンセン一人でしたが、今年は2人 米国とフランスの俳優が選ばれました。ジョニー・デップは922日、マリオン・コティヤールはオープニングの917日にメイン会場クルサールで授与式が行われます。両人とも日本語版ウィキペディアで読めますので、ごく簡単に発表順にアップします。今回はジョニー・デップ。 彼は昨年も本祭に参加、ジュリアン・テンプルのドキュメンタリーCrock of Gold: AFew Rounds With Shane MacGowanの製作者の一人、自身もシェン・マガウアンと共演している。 テンプル監督が審査員特別賞を受賞した。

  


    

     

       (昨年のSSIFFに来サンセバスチャンしたジョニー・デップ)

 

ジョニー・デップ(ジョン・クリストファー・デップ2世)は、1963年ケンタッキー州生れ、俳優、プロデューサー、ミュージシャン。ギタリストとしてキャリアをスタートさせる。映画デビューは21歳のとき、ウェス・クレイブンのホラー映画『エルム街の悪夢』84)で殺人鬼フレディ・クルーガーの犠牲者役で出演した。1990『クライ・ベイビー』で初めて主役を演じ、「一番好きな監督」というティム・バートンのファンタジー『シザーハンズ』90でゴールデン・グローブ賞(ミュージカルコメディ部門)の主演男優賞にノミネートされた。『エド・ウッド』94、モノクロ)、『スリーピー・ホロウ』99)など、2016年の『アリス・イン・ワンダーランド』までバートン映画には9本出演している。

   

      

        (相思相愛?のティム・バートン監督とジョニー・デップ)

 

90年代の華々しいキャリアとして、忘れられないのがラッセ・ハルストレムの『ギルバート・グレイプ』93)、知的障害をもつ弟(レオナルド・ディカプリオがアカデミー賞助演男優賞にノミネート)の世話をしながら一家の大黒柱役を演じた。ジョニデもレオさまもとても好かった。他に同監督の『ショコラ』00)ではロマの青年に扮し、ぶっとんだ女優ジュリエット・ビノシュに負けない息の合った演技で、共に流れ者の悲哀を演じた。エミール・クストリッツァの『アリゾナ・ドリーム』に主演、監督がベルリン映画祭1993で銀熊審査員グランプリを受賞している。ジム・ジャームッシュの『デッドマン』95)、マイク・ニューウェルの『フェイク』97)では、実在したFBI潜入捜査官を演じた。 役柄上髪を剃って禿頭にした、テリー・ギリアムの『ラスベガスをやっつけろ』98)、ロマン・ポランスキーの『ナインスゲート』99、米西仏合作)など、90年代が一番充実していたのではないか。米アカデミー賞はノミネートだけで受賞歴はないが、1999年にはフランス映画アカデミーのセザール栄誉賞を受賞している。多分ハリウッドスターとしては最も早かったのではないか。

 

       

21世紀に入るとゴア・ヴァービンスキー他が監督したシリーズ『パイレーツ・オブ・カリビアン』0306071117)で新しい世代のファンを獲得した。第1作目でアカデミー主演男優賞にノミネートされたが、前述したように他作品でも受賞はない。ゴールデン・グローブ賞にいたっては、ノミネート9回、ティム・バートンの『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』07)で主演男優賞(ミュージカルコメディ部門)をやっと受賞しただけ。 最近は受賞から遠ざかっているが、ゴア・ヴァービンスキーの『ローン・レンジャー』13)、ロブ・マーシャルのミュージカル『イントゥ・ザ・ウッズ』14)、またスコット・クーパーの『ブラック・スキャンダル』15SSIFF のパールズ部門で上映された。

    

★当ブログでも『夷狄を待ちながら』のタイトルで紹介したチロ・ゲーラの『ウェイティング・バーバリアンズ 帝国の黄昏』19)、最新作アンドリュー・レヴィタスのMINAMATAミナマタ』20)では、水俣を伝えたジャーナリストの一人、写真家のユージン・スミスに扮する。水俣を考える微妙な作品ながら間もなく公開されることが決定した(923日)。今年は水俣病が公式認定されて65年目だそうで新刊や改版版が刊行される。新しいファンが期待される。

     

      

             (キャプテン・ジャック・スパロウ)

 

★私生活では不祥事も含めて何かと話題が豊富だが、破格の出演料、多額の寄付やチップで有名、子煩悩で、ファンのサインに気軽に応じるなど偉ぶらない。現在はコロナでファンはおいそれと近づけないが、スペインでの人気は高い。メイン会場のクルサールで、922日にマヌエル・マルティン・クエンカの「La hija」の上映前に授与式がもたれる。913日にチケット販売が予告されている。次回はもう一人の受賞者マリオン・コティヤール。